特許第5777059号(P5777059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5777059-排水トラップ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777059
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】排水トラップ
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/28 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   E03C1/28 A
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-169627(P2011-169627)
(22)【出願日】2011年7月15日
(65)【公開番号】特開2013-24018(P2013-24018A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100090619
【弁理士】
【氏名又は名称】長南 満輝男
(72)【発明者】
【氏名】石垣 征樹
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭49−005405(JP,Y1)
【文献】 特開昭48−082653(JP,A)
【文献】 特開2007−154410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12−1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部を塞いだ流入管と、上端部を塞いだ流出管とが隣接並列して配設され、流入管の下部に開口接続され、流出管外周面に螺旋状旋回上昇して、流出管の上部に開口接続された傾斜管を設け、排水が、螺旋状に旋回上昇されて渦巻き流にすることを特徴とする排水トラップ。
【請求項2】
流出管外周面に螺旋状旋回上昇させた傾斜管がその上方端を流出管上部のその接線方向に接続して開口され、螺旋状に旋回上昇して渦巻き流になった排水が流出管内にも渦巻き流となって勢い良く流れ込むことを特徴とする請求項1記載の排水トラップ。
【請求項3】
傾斜管が流出管外周面に螺旋状旋回上昇させて設けられ、コンパクトにした該傾斜管で渦巻き流を起し、流出管上部に接続した傾斜管上方端が封水部(ウェア)とされることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載の排水トラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面器、流し、及び手洗い器の排水トラップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面器、流し、及び手洗い器の排水トラップは、S型排水トラップが一般的で、2つのU字管をもってS字トラップが構成されるものであった。
しかし、S型排水トラップは、2つのU字管によるS字トラップの構成であるためコンパクト化に限度があり、キャビネット内のデッドスペースを縮小できなかった。この点を解決する排水トラップとして、ボトルトラップで構成されたボトル型排水トラップがある。
【0003】
そして、このS型排水トラップには、S字トラップで構成され、そのS字トラップの下向きに曲がり終えた下傾斜状の傾斜管と、その下流に垂下状の垂下管とを設け、該垂下管と前記傾斜管との交わる部分の内側に凸部が配置されて絞り部を形成させ、封水の噴き出しによる異音の発生を防止し、更には、該凸部にゴミを溜まり難くしたものがあった(特許文献1)。
【0004】
また、ボトル型排水トラップには、排水の流れ込む流入管の下部を封水筒とし、該封水筒が封水部(ウェア)を形成したボトルトラップ内に挿入設置されて、前記封水部に接続管を介して流出管が接続され、封水筒の下端を絞り口にして逆流防止されるものがあった(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2010−222890
【特許文献2】 特開2003−328418
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
S字トラップの下向きに曲がり終えた下傾斜状の傾斜管と、その下流に垂下管とを設け、この傾斜管の垂下管と交わる部分に絞り部を形成したS型排水トラップは、S字トラップの形態ではコンパクトにし難く、狭い空間での取付け作業が困難であり、また、デッドスペースが多くなり、その設置に占める空間を大きくしなければならなかった。
【0007】
そして、コンパクトにできるボトル型排水トラップでは、ボトルトラップ内にゴミやアカ、異物が堆積しがちで、それらが付着しての汚れ、最悪の場合には、これらの付着物でボトルトラップ内が詰まってしまう恐れがあった。また、異音の発生があった。
【0008】
本発明は、コンパクトにでき、キャビネット内のデッドスペースを縮小できる、そして、ゴミやアカ、異物の堆積及び付着を洗い流し、即ち、自浄作用される、その上、異音を発生させない排水トラップが得られることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の排水トラップは、下端部を塞いだ流入管と、上端部を塞いだ流出管とが隣接並列して配設され、流入管の下部に開口接続され、流出管外周面に螺旋状旋回上昇して、流出管の上部に開口接続された傾斜管を設け、排水が、螺旋状に旋回上昇されて渦巻き流にするものである。
【0010】
本発明の排水トラップは、流出管外周面に螺旋状旋回上昇させた傾斜管がその上方端を流出管上部のその接線方向に接続して開口され、螺旋状に旋回上昇して渦巻き流になった排水が流出管内にも渦巻き流となって勢い良く流れ込むものである。
【0011】
本発明の排水トラップは、傾斜管が流出管外周面に螺旋状旋回上昇させて設けられ、コンパクトにした該傾斜管で渦巻き流を起し、流出管上部に接続した傾斜管上方端が封水部(ウェア)とされるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の排水トラップは、傾斜管が流出管外周面に螺旋状旋回上昇して設けられ、長くなりがちの傾斜管もコンパクトにでき、よって、排水トラップ自体がコンパクトにでき、螺旋状に旋回上昇する傾斜管によって、排水が、流入管の下部から流出管の上部へ渦巻いて上昇し、この渦巻き流によって、排水トラップ内のゴミやアカ、異物などの付着による汚れを清掃し、自浄作用を果すことになる。
【0013】
本発明の排水トラップは、流出管外周面に螺旋状旋回上昇させた傾斜管がその上方端を流出管上部のその接線方向に接続して開口され、螺旋状に旋回上昇して渦巻き流になった排水が、傾斜管の上方端を流出管上部のその接線方向に接続したので、流出管内でも渦巻き流となって勢い良く流れ込み、ゴミやアカ、異物などの付着による汚れを清掃し、更なる効果的な自浄作用がされる。
【0014】
そして、傾斜角が一定である傾斜管を渦巻き流となって流れる排水には、傾斜角に変化がないので流れに乱れがなく、異音を発生することがない。
また、傾斜管上方端が封水部(ウェア)とされ、該封水部を越えて流出管へ流れる排水においても、傾斜管での渦巻き流の状態で流れ込む故、キャビィテーションを起さず、封水部での異音の発生がない。
更に、傾斜管上方端を封水部(ウェア)とすることによって、防臭、害虫類の通過防止ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】 排水トラップの斜視全体図である。
図2】 排水トラップの縦断面図である。
図3】 排水トラップの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の排水トラップは、図1乃至図3に示す如く、流入管1と、流出管2と、そして傾斜管3とで構成され、流入管1の下端部は塞がれ、その流入管1の下部を開口11して傾斜管3の下方端が接続され、該傾斜管は、流入管1との接続から流出管2の外周面に螺旋状旋回上昇させ、上端部が塞がれた該流出管の上部を開口21して、傾斜管3の上方端が接続される。
【0017】
傾斜管3は長くなっても、流出管2外周面に螺旋状旋回上昇させるためコンパクトにでき、よって、排水トラップ自体もがコンパクトにでき、流出管2外周面に螺旋状旋回上昇する傾斜管によって、排水の流れが渦巻き流にされ、この渦巻き流で排水トラップ内のゴミやアカ、異物などの付着による汚れを清掃し、いわゆる自浄作用される。
【0018】
本発明の排水トラップは、流出管2外周面に螺旋状旋回上昇させた傾斜管3がその上方端を流出管2上部のその接線方向に接続して開口され、排水を螺旋状に旋回上昇して渦巻き流にし、傾斜管の上方端を流出管上部の接線方向に接続しているので、該渦巻き流が流出管2にも勢い良く流れ込み、ゴミやアカ、異物などの付着による汚れを清掃し、最も効果的な自浄作用されるものである。
【0019】
傾斜管3は、一定の傾斜角であるので排水の流れに乱れを生じさせることなく、騒音の発生を起さない。
また、傾斜管3上方端の流出管2の開口21への接続部は封水部(ウェア)4をなし、該封水部によって、防臭、害虫類の通過を阻止することになる。
そして、この封水部4より流出管2へ流れる排水は、傾斜管3を流れる過程での渦巻き流の延長であるので、その勢い良く流れ込む渦巻き流によって異音を発生するようなことにならない。
なお、流入管1の下端部を塞ぐためには、この下端部をドレン抜きにして、ドレンキャップ5を被せれば良い。
そして、流入管1の上端部は、洗面器、流し、及び手洗い器の排水口へ接続され、また、流出管2の下端部は、排水管へ接続される。
なおまた、6は、オーバーフロー管に接続するオーバーフロー枝管である。
【符号の説明】
【0020】
1 流入管
11 開口
2 流出管
21 開口
3 傾斜管
4 封水部
5 ドレンキャップ
6 オーバーフロー枝管
図1
図2
図3