(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777068
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】マスク評価装置
(51)【国際特許分類】
G03F 1/84 20120101AFI20150820BHJP
【FI】
G03F1/84
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-40673(P2013-40673)
(22)【出願日】2013年3月1日
(65)【公開番号】特開2014-170044(P2014-170044A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2013年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124280
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166501
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 潔
(72)【発明者】
【氏名】楠瀬 治彦
【審査官】
赤尾 隼人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−240523(JP,A)
【文献】
特開昭58−162038(JP,A)
【文献】
特開2006−162891(JP,A)
【文献】
特開2002−296762(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/080873(WO,A1)
【文献】
特開平07−209202(JP,A)
【文献】
特開平01−185434(JP,A)
【文献】
特開平01−201143(JP,A)
【文献】
特許第5126917(JP,B2)
【文献】
特開2009−300426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00−1/86;7/20
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板の表面にマスクパターンが形成されているフォトマスクを評価し又は検査するマスク評価装置であって、
光ビームを発生する光源装置と、光源装置から出射した光ビームをステージ上に配置されたフォトマスクのマスクパターンが形成されていない裏面に向けて投射する照明光学系と、フォトマスクのガラス基板とマスクパターンとの界面で反射し、ガラス基板を透過して裏面から出射する反射光を受光する集光光学系と、集光光学系から出射した反射光を受光する光検出手段とを有する光学装置、及び
前記光検出手段からの出力信号を用いて、前記ガラス基板とマスクパターンとの界面の反射率に対応した基準輝度情報を生成する手段と、前記光検出手段から出力される出力信号の輝度値と前記基準輝度情報とを用いて前記フォトマスクに形成されているマスクパターンの密度情報を形成する手段とを有する信号処理装置を具えることを特徴とするマスク評価装置。
【請求項2】
エッチング処理中のレジスト付きフォトマスクを評価し又は検査するマスク評価装置であって、
光ビームを発生する光源装置と、光源装置から出射した光ビームをステージ上に配置されたフォトマスクのマスクパターンが形成されていない裏面に向けて投射する照明光学系と、フォトマスクのガラス基板とマスクパターンとの界面で反射し、ガラス基板を透過して裏面から出射する反射光を受光する集光光学系と、集光光学系から出射した反射光を受光する光検出手段とを有する光学装置、及び
前記光検出手段からの出力信号を用いて、前記ガラス基板とマスクパターンとの界面の反射率に対応した基準輝度情報を生成する手段と、前記光検出手段から出力される出力信号の輝度値と前記基準輝度情報とを用いて前記フォトマスクに形成されているマスクパターンの密度情報を形成する手段とを有する信号処理装置を具えることを特徴とするマスク評価装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマスク評価装置において、前記信号処理装置は、前記光検出手段から出力される出力信号の輝度値を前記基準輝度情報により除算することによりマスクパターンの密度を算出する手段を有することを特徴とするマスク評価装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のマスク評価装置において、前記信号処理装置は、マスクパターンの密度情報を用いてマスクパターンの寸法に対応する情報を形成する手段を有し、マスクパターンの寸法情報を出力することを特徴とするマスク評価装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載のマスク評価装置において、前記光源装置はP偏光した光ビームを発生し、前記照明光学系は、P偏光した光ビームをフォトマスクの裏面に対してブリュースター角で投射することを特徴とするマスク評価装置。
【請求項6】
請求項5に記載のマスク評価装置において、前記光源装置は、P偏光した光ビームを発生する光源と、光源から出射した光ビームを第1の方向に周期的に偏向するビーム走査手段とを含み、
前記照明光学系は、ビーム走査手段から出射した光ビームを光軸に平行で光軸からの距離が時間と共に変化する走査ビームに変換するテレセントリック走査レンズ系を含み、
前記集光光学系はテレセントリック結像レンズ系により構成され、
前記光検出手段は、前記第1の方向と対応する方向に配列された複数の受光素子を有するラインセンサにより構成され、
前記フォトマスクの裏面は、ブリュースター角で入射する走査ビームにより第1の方向にそってビーム走査されることを特徴とするマスク評価装置。
【請求項7】
請求項6に記載のマスク評価装置において、前記フォトマスクを支持するステージは、第1の方向と直交する方向に移動可能なステージにより構成され、
フォトマスクの裏面は、前記第1の方向のビーム走査と第1の方向と直交する第2の方向のステージ移動により2次元走査されることを特徴とするマスク評価装置。
【請求項8】
請求項6に記載のマスク評価装置において、前記ラインセンサの1画素のサイズは、フォトマスクに形成されているマスクパターンのサイズよりも大きくなるように構成されていることを特徴とするマスク評価装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のマスク評価装置において、前記フォトマスクの表面には、マスクパターンと同一の材料で構成されている基準パターンが形成され、
前記信号処理装置は、前記基準パターンとガラス基板との界面で反射した反射光の輝度値を基準輝度情報として用い、前記光検出手段から出力される出力信号の輝度値と基準輝度情報とに基づき、マスクパターンの密度情報を出力することを特徴とするマスク評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスクに形成されているパターンを評価又は検査するのに好適なマスク評価装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子又は液晶表示パネルを製造する際に用いられるフォトマスクにおいては、同一のパターンが繰り返される繰り返しパターンが形成されている。このパターンに寸法異常が生じたり又はムラが発生すると、転写パターンのCDエラーとなり、表示画像の品質が低下する不具合が発生する。例えば、繰り返しパターンに発生するムラないし寸法異常は数nm程度の微小な変化量であっても、表示画面上においてすじ状の画像変化として表示されることがある。人間の肉眼は急激な画像変化を識別する作用を有するため、たとえパターンのムラが数nm程度であっても、すじ状の画像が視認され、表示画像の品質が低下する不具合が発生する。従って、フォトマスクに形成されている繰り返しパターンの線幅分布やCDエラーを評価できる評価装置の開発が強く要請されている。
【0003】
従来、フォトマスクに形成されているマスクパターンの線幅や密度を測定する方法として、電子顕微鏡を用いてパターンを拡大し、拡大されたパターン画像からパターン寸法を計測して良否判定することが行われていた。しかしながら、このような方法では、検査のスループットが低いため、サンプリング方式で測定せざるを得ず、検査結果の信頼性に問題があった。
【0004】
フォトマスクに存在するCDエラーを検出する装置として、フォトマスクを透過した高次回折光を検出する微細構造検査装置が既知である(例えば、特許文献1参照)。この既知の検査装置では、検査すべきフォトマスクをステージ上に配置し、ステージの下方に照明光学系が配置され、フォトマスクの上方には結像光学系が配置されている。そして、フォトマスクの下方から照明光が投射され、フォトマスクを透過した高次回折光は結像光学系を介してCCDカメラにより受光され、フォトマスクから出射した透過光の強度が検出されている。
【0005】
フォトマスクのCDエラーを検出するムラ検出装置として、フォトマスクのパターン形成面に向けて斜めに照明光を投射し、フォトマスクを透過した高次回折光を検出する検査装置が既知である(例えば、特許文献2参照)。このムラ検出装置では、フォトマスクのパターン形成面側に照明光学系が配置され、反対側(裏面側)に結像光学系及び光検出手段が配置されている。フォトマスクのパターン形成面に斜めに照明ビームを投射すると、CDエラーが存在する箇所から出射した回折光は、正規のエリアから出射した回折光とは異なる回折角で出射する。そして、CDエラーに応じて発生する高次回折光が暗線又は明線として検出されている。この既知のムラ検出装置では、繰り返しパターン中にCDエラーが暗線又は明線として検出されるので、ムラの発生を正確に検出できる利点がある。
【特許文献1】特開2005−233869号公報
【特許文献2】特開2010−19639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した微細構造検査装置では、フォトマスクをはさんで一方の側に照明光学系が配置され、反対側に透過光を検出する結像光学系及びCCDカメラが配置されている。このように、照明系と検出系とが互いに反対側に配置した構造では、照明光学系と結像光学系との間において光軸を合わせることが困難になる欠点がある。さらに、比較的サイズの小さいフォトマスクを検査する場合、光学系を固定し、フォトマスクをX及びY方向に移動させることにより、フォトマスクの全面を検査することができる。しかしながら、液晶パネルの製造に用いられるフォトマスクは、最大1.5m×1.5m程度の大きさであり、フォトマスクを固定し、光学系を移動させることにより全面走査しなければならない。この場合、フォトマスクを挟んで配置された2つのステージを互いに同期して走査するためには、2つの光学系を支持する機械的な構造体が複雑な構造となってしまう。さらに、フォトマスクの裏面側から照明光を投射し、透過光を検出するため、フォトマスクの表面及び裏面上のコンタミネーションの影響を受けやすく、検出精度が低下する欠点も指摘されている。
【0007】
特許文献2に記載されたムラ検出装置は、繰り返しパターンに存在するムラを暗部又は明部として検出しているので、微細なCDエラーを高い検出精度で検出できる利点がある。しかしながら、上述したように、フォトマスクから出射する透過光を検出しているため、光学系が大型化及び複雑化する欠点があった。さらに、フォトマスクに存在するムラは明部又は暗部として検出され、パターンの線幅や間隔の誤差量に対応する物理量が計測できないため、定量的な検査結果を必要とする要請に対応できない欠点も指摘されている。
【0008】
本発明の目的は、透過光検査に起因する欠点を解消し、1つの光学ステージ上に照明系及び検出系の両方を配置でき、安定した光学系を構成するマスク評価装置を実現することにある。
さらに、本発明の目的は、フォトマスクに形成されているパターンの線幅分布や間隔分布に対応する物理量を計測でき、パターンの寸法の均一性を定量的に評価又は検査することができるマスク評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるマスク評価装置は、ガラス基板の表面にマスクパターンが形成されているフォトマスクを評価し又は検査するマスク評価装置であって、
光ビームを発生する光源装置と、光源装置から出射した光ビームをステージ上に配置されたフォトマスクのマスクパターンが形成されていない裏面に向けて投射する照明光学系と、フォトマスクのガラス基板とマスクパターンとの界面で反射し、ガラス基板を透過して裏面から出射する反射光を受光する集光光学系と、集光光学系から出射した反射光を受光する光検出手段とを有する光学装置、及び
前記光検出手段からの出力信号
を用いて、前記ガラス基板とマスクパターンとの界面の反射率に対応した基準輝度情報を生成する手段と、前記光検出手段から出力される出力信号の輝度値と前記基準輝度情報とを用いて前記フォトマスクに形成されているマスクパターンの密度情報を形成する手段とを有する信号処理装置を具えることを特徴とする。
【0010】
マスクパターンを形成するクロム膜とガラス基板との間の界面は、極めてクリーンな状態で形成されると共に一旦形成された後に外部に曝されることはない。しかも、エッチング処理が行われても界面はエッチングの影響を一切受けず、クリーンな状態に維持される。従って、ガラス基板とマスクパターンとの間の界面は、均一な反射率を有する反射面とみなすことができる。本発明は、このガラス基板とマスクパターンとの界面の特性に着目し、フォトマスクの裏面から照明ビームを投射し、ガラス基板とマスクパターンとの間の界面で反射した反射光を検出する。上記界面はフォトマスク全体にわたって均一な反射率の反射面であるから、反射光の光量からマスクパターンが占める面積、密度、パターン寸法等の各種評価情報を収集することが可能になる。すなわち、例えばフォトマスクに形成されている比較的大きな面積のベタ部分の界面からの反射光強度を基準信号として用い、繰り返しパターン領域からの単位面積当たりの反射光強度を基準信号で除算すれば、マスクパターンの密度や密度分布並びにパターン寸法等の各種物理量に対応したデータを計測することが可能である。従って、フォトマスクを定量的に評価する上で極めて有益な情報を得ることができる。特に、マスクパターンの密度は、マスクパターンをパターニングするエッチング処理を制御するパラメータや露光時間を制御するパラメータとして利用できるので、計測されたパターン密度に基づいてエッチング量や露光量を調整するパラメータとして利用することができる。
【0011】
さらに、本発明による評価装置では、フォトマスクの裏面側から照明光を投射しているので、レジスト膜が除去される前のフォトマスク(レジスト付きのフォトマスク)について評価ないし検査を行うことができる。よって、パターンの密度分布に基づき、追加のエッチング処理を行い、或いは局所的な追加のエッチング処理を行うことにより、部分的にエッチング不足なフォトマスクを良品のフォトマスクに修正することも可能である。
【0012】
さらに、本発明では、フォトマスクの裏面側から照明ビームを投射し、ガラス基板とマスクパターンとの界面からの反射光を検出する構成を採用しているので、フォトマスクの裏面側に配置した1つの光学ステージ上に光源装置、走査系、照明系、検出系を配置することができるので、光学系の支持機構が比較的簡単な構造となり、大型フォトマスクの評価ないし検査を行う評価装置として好適である。
【0013】
本発明による評価装置の好適実施例は、光源はP偏光した光ビームを発生し、照明レンズ系は、P偏光した光ビームをフォトマスクの裏面に対してブリュースター角で投射することを特徴とする。ガラス基板の裏面に向けてP偏光した照明光をブリュースター角で投射すれば、フォトマスクの裏面における表面反射はほぼ零となり、ほぼ全ての照明光がガラス基板の内部に進入する。さらに、ガラス基板の内部に進入しマスクパターン以外の開口部に入射した照明光は、ガラス基板から空気層へブリュースター角で出射するため、ガラス基板と空気との界面における反射も零となる。さらに、界面で反射した反射光もブリュースター角でガラス基板の裏面から空気層へ出射するので、ガラス基板と空気層との間の界面における反射も零となる。従って、表面反射及びガラス基板内部での多重反射がほとんど発生しない光学系を形成することができ、コントラストの高い特性を有する。特に、ガラス基板とマスクパターンとの界面が均一な反射率を有する反射面として機能することとの相乗効果により、精度の高い計測が可能になる。
【発明の効果】
【0014】
マスクパターンを構成するクロム膜とガラス基板との界面は、フォトマスク全体にわたって均一な反射率を有する反射面として機能するので、上記界面からの反射光を検出することにより、パターン密度や線幅分布等の各種物理量に対応したデータを収集することが可能になり、フォトマスクについて定量的な評価ないし検査を行うことが可能になる。
さらに、フォトマスクの裏面側から照明光を投射し、マスクパターンを構成するクロム膜とガラス基板と界面で反射し裏面から出射する反射光を検出しているので、1つの光学ステージ上に光源系、照明系及び検出系を配置することができ、光学系を構成する構造体が大幅に簡単化される。
さらに、照明光としてP偏光した照明光を用い、P偏光した照明光をブリュースター角で投射すれば、表面反射及び多重反射のない光学系が実現され、精度の高い評価装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による評価装置の全体構成を示す図である。
【
図2】光ビームのフォトマスクに対する入射状態及び出射状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明による検査装置の全体構成を模式的に示す線図である。光源1から照明用の光ビームを発生する。光源として、レーザダイオード、SLED(Super Luminescent Emission Diode)、各種ランプを用いることができる。本例では、波長が405nmの直線偏光した光ビームを発生するレーザダイオードを用いる。光源1から出射した直線偏光した光ビームは、コリメータレンズ2により平行ビームに変換され、ビーム偏向手段として機能するガルバノミラー3に入射する。ガルバノミラー3は、信号処理装置11から供給される駆動信号に基づき、入射した光ビームを第1の方向(X方向)に周期的に偏向する。偏向周波数は、例えば30Hzとすることができる。ビーム偏向手段として、ポリゴンミラー等のガルバノミラー以外の各種ビーム偏向装置を用いることができる。周期的に偏向された光ビームは、照明光学系として機能する走査レンズ4に入射する。走査レンズ4は、一例としてテレセントリックレンズで構成される。走査レンズ4は、ガルバノミラー3が走査レンズの光軸の延長線上に位置する場合、入射した偏向ビームを光軸に平行なビームであって、第1の方向(X方向)にそって光軸からの距離が時間と共に変化する走査ビームに変換する。尚、ガルバノミラー3と走査レンズ4は、検査すべき表面を第1の方向にそってライン状に走査する走査光学系を構成する。
【0017】
走査レンズ4から出射した走査ビームは、全反射ミラー5を経て検査されるべきフォトマスク6の裏面に入射する。フォトマスク6は、ステージ7上に保持する。すなわち、フォトマスク6は、パターンが形成されていない裏面が走査レンズ4と対向するようにステージ7上に配置する。ステージ7はXYステージにより構成され、第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向(Y方向)に移動する。従って、フォトマスク6は、ビーム走査とステージ移動により2次元的に走査される。尚、ステージ7には位置センサ(図示せず)が連結され、ステージ7の第1及び第2の方向の位置情報は信号処理装置11に出力される。
【0018】
走査ビームは、フォトマスク上に例えば200μm程度の走査スポットを形成する。フォトマスク6に入射する走査ビームは、時間と共にX方向に周期的に変位するため、検査されるフォトマスク6は、走査ビームにより第1の方向にそってライン状に走査される。後述するように、走査ビームは、フォトマスクのガラス基板のブリュースター角に等しい入射角でフォトマスクの裏面に入射する。フォトマスクに入射した走査ビームの一部は、ガラス基板の内部を透過し、ガラス基板とマスクパターンとの間の界面で反射する。また、マスクパターンが形成されていないエリアに入射した走査ビームは、ガラス基板を透過し、そのままフォトマスクから出射する。検査及び評価の対象となるフォトマスクは、最終的に完成したフォトマスクだけでなく、エッチング処理中のレジスト膜が存在するフォトマスクについても行うことができる。特に、レジスト膜が存在するエッチング処理中のフォトマスクについては、本発明の評価装置から出力される評価情報に基づき、再度エッチング処理をフォトマスク全体について又は局所的に行って修正することにより、パターン密度や線幅について所定の条件を満たす良品のフォトマスクを形成することができる。
【0019】
ガラス基板とマスクパターンとの界面で反射した反射ビームは、ガラス基板の内部を進行し、フォトマスクの裏面から出射する。フォトマスクから出射した反射ビームは、全反射ミラー8で反射し、撮像レンズ9を介して撮像装置10に入射し、撮像装置10上に結像される。撮像レンズ9として、テレセントリックレンズ系撮像レンズを用いることが望ましく、本例では、テレセントリックレンズ系を用いる。また、撮像装置10として、X方向と対応する方向に配列された複数の受光素子を有するラインCCDカメラを用いる。撮像装置10の各受光素子に蓄積された電荷は、信号処理装置11から供給される駆動信号により1ライン毎に順次読み出され、画像信号として信号処理装置11に出力する。ラインCCDカメラ10の読出周波数とガルバノミラー3の振動周波数は互いに同期させ、走査ビームの1ライン走査ごとにラインCCDカメラ10から1ライン分の画像信号を読み出す。信号処理装置11は、ラインCCDカメラ(撮像装置)10から供給される画像信号を用いフォトマスクの反射光画像を形成し、形成された反射画像に基づいてフォトマスクの評価情報を出力する。尚、撮像装置10として、ラインCCDカメラだけでなく、CMOSイメージセンサ等の各種光検出手段を用いることも可能である。
【0020】
本例では、光学系ステージを用い、走査レンズ4、全反射ミラー5及び8、撮像レンズ9及び撮像装置10は光学系ステージ上に固定配置する。従って、フォトマスク6に対して裏面側に配置した1つの光学系ステージを用いるだけで、全ての光学素子を保持することが可能である。この結果、光学系を支持する機械的な構造が一層簡単化することが可能になる。
【0021】
走査ビームは、フォトマスクの検査される部位に走査スポットを形成し、X方向にそってライン走査が行われる。撮像レンズ9は、その焦点面が走査ビームが形成する走査ラインと一致するように配置する。すなわち、本例では、走査ビームはパターン面をX方向にライン走査して走査ラインを形成するので、撮像レンズは、その焦点面が走査ビームにより形成される走査ラインと一致するように位置決め配置する。
【0022】
走査ビームのフォトマスク上の走査位置は、ステージ7に連結した位置センサからの第1及び第2の方向の位置情報及びラインCCDカメラ10の画素位置情報から求めることができる。
【0023】
図2は、フォトマスクに対する走査ビームの入射状態及び出射状態を線図的に示す図であり、
図2(A)は、走査ビームがマスクパターンに入射した際の走査ビーム及び反射ビームの光路を示し、
図2(B)は走査ビームがマスクパターン以外のエリアに入射した際の走査ビームの進行状態を示す。尚、
図1で用いた部材と同一の部材には同一符号を付して説明する。また、走査ビームの走査方向(X方向)は紙面と直交する方向とする。
【0024】
本例では、走査レンズ系4から出射した走査ビームは、P偏光した光ビームとしてガラス基板20のブリュースター角にほぼ等しい入射角θでフォトマスク6の裏面6a(第1の面)に向けて投射する。ガラス基板に対してP偏光した照明光をブリュースター角に等しい入射角で投射すれば、ガラス基板の第1の面における表面反射は零となるため、フレアの無い照明光学系が構成される。尚、P偏光した照明光とは、電気ベクトルが入射面に平行に振動する照明光を意味する。また、入射面とは、照明ビームの光軸を含み試料表面に対して直交する面を意味する。
【0025】
一部の走査ビームは、ガラス基板の裏面6aを経て内部に進入し、マスクパターン21とガラス基板20との界面に入射する。マスクパターンは、真空中において金属クロム膜がスパッタリングにより形成され、その後エッチング処理により形成される。従って、極めて高いクリーンな状態でガラス基板の表面に形成されるので、残留ガス等はほとんど存在せず、全体として均一な状態に維持される。しかも、その後エッチング処理が行われても、マスクパターンとガラス基板との間の界面は、エッチングの影響を全く受けない。従って、ガラス基板20の表面とマスクパターン21との間の界面は、全体として均一な一定の反射率を有する反射面を形成する。本発明では、このようなマスクパターンとガラス基板との間の界面の特性を利用し、マスクパターンの密度を評価情報として出力する。
【0026】
ガラス基板とマスクパターンとの界面で反射した反射ビームは、ガラス基板の内部を進行し、ガラス基板の第1の面(裏面)からブリュースター角に等しい出射角で出射する。ブリュースター角に等しい出射角で出射するため、ガラス基板の第1の面6aにおいて反射する反射光成分はほぼ零となる。従って、第1の面における反射成分が零となるため、多重反射光は発生せず、多重反射による影響を受けない測定が可能になる。
【0027】
裏面6aから出射した反射ビームは、撮像レンズ9により集光され、ラインCCDカメラ10により受光される。
【0028】
図2(B)に示すように、ガラス基板20の内部に進入し、マスクパターン21が形成されていないエリアに入射した走査ビームは、ブリュースター角に等しい出射角でガラス基板の表面(第2の面)6bから出射する。走査ビームはブリュースター角に等しい出射角で出射するため、ガラス基板の第2の面6において反射する反射光成分はほぼ零となる。従って、第2の面における反射成分が零となるため、マスクパターンで反射した反射ビームと同様に多重反射光は発生せず、多重反射による影響を受けない測定が可能になる。
【0029】
本例では、P偏光した走査ビームをブリュースター角に等しい入射角で投射しているので、マスクパターンとガラス基板との界面において均一な反射率の反射面が形成されることに加えて、ガラス基板の第1の面及び第2の面における反射光が発生せず、多重反射による影響をほとんど受けない高精度な測定が可能になる。
【0030】
図3は本発明による評価装置の信号処理装置の一例を示す図である。ラインCCDカメラ10から出力される画像信号は、2次元輝度マップ形成手段30に供給される。2次元輝度マップ形成手段には、ステージに連結した位置センサから供給されるステージ位置情報及びラインCCDカメラの画素の位置情報も供給される。2次元輝度マップ形成手段30は、入力した輝度情報及び位置情報を用いてフォトマスク全体についての2次元輝度マップを形成する。
【0031】
前述したように、ガラス基板とマスクパターンとの間の界面はフォトマスク全体にわたって均一な反射率の反射面を形成する。また、マスクパターンに入射した走査ビームは光検出手段により受光され、マスクパターンが形成されていないエリア(開口部)に入射した走査ビームは、ガラス基板を透過した後外部に出射し、光検出手段に入射することはない。従って、ガラス基板とマスクパターンとの界面における反射率に対応した基準信号とラインCCDカメラ9からの出力信号とを用いることにより、単一面積当たりのマスクパターンが占める面積ないし密度を算出することが可能となる。さらに、光検出手段からの出力信号から、マスクパターンの間隔及び分布状態並びにパターンの線幅分布も検出することが可能である。すなわち、光検出手段の1画素のサイズ(ピクセルサイズ)は10〜100μm程度である。これに対して、フォトマスクに形成されているパターンのサイズないし線幅は、0.1〜数μm程度であり、1画素のサイズよりも十分に小さい。従って、1画素で複数のマスクパターンからの反射光の検出が可能であり、マスクパターンの単位面積当たりの占める割合ないし形成密度に相当する情報を含むデータ信号である。よって、光検出手段からの出力信号を用いてマスクパターンの密度ないし線幅に対応する情報を算出することができる。
【0032】
マスクパターンとガラス基板との界面により形成される反射面の反射率(マスクパターンの裏面の反射率)に対応した基準信号(基準輝度情報)を生成する方法として、本例では、フォトマスクに形成されているパターニング処理されていない比較的広い面積のベタ部分を用い、ベタ部分からの反射光の強度を基準信号として用いる。すなわち、フォトマスクには、クロム膜についてパターニング処理されたマスクパターンだけでなく、比較的大きな面積を有するパターンとしてパターニング処理されているベタ部分が存在する。このベタ部分も、マスクパターンと同様に、クロム膜とガラス基板との界面による反射面である。従って、比較的大きな面積のベタ部分からの反射光強度は、ガラス基板とマスクパターンとの間の界面における反射率に対応した基準信号として利用することができる。
【0033】
本例では、フォトマスク全体についてビーム走査を行い、2次元輝度分布を形成する。得られた輝度分布データから、ベタ部分に対応するエリアの
輝度値を基準信号として利用する。2次元輝度マップ形成手段30から出力される輝度情報は、基準信号発生手段31に供給する。基準信号発生手段31は、入力した2次元輝度情報から比較的面積の大きなベタ部分に含まれるエリアの輝度値をガラス基板とマスクパターンとの界面の反射率に対応したデータを示す基準信号とし、得られた基準信号は基準信号メモリ32に記憶する。例えば、単位画素当たりの輝度値を基準信号として用いることができる。尚、ベタ部分は、オペレータが検査すべきフォトマスクを目視で観察し、領域指定することも可能である。
【0034】
2次元輝度マップ情報は、パターン密度生成手段33、パターン密度分布生成手段34及び線幅情報生成手段35にも供給する。基準信号メモリ32に記憶されている基準信号は、パターン密度生成手段33、パターン密度分布生成手段34及び線幅情報生成手段35に供給する。パターン密度生成手段33は、2次元輝度マップ情報と基準信号(基準輝度情報)とを用い、マスクパターンの形成密度を算出する。算出方法として、例えばフォトマスク全体についての輝度値の平均値を基準信号(基準となる輝度値)で除算することにより、パターンの形成密度に対応したデータが算出される。すなわち、基準信号は、光源から出射する光ビームの強度及び界面の反射率の情報を含むから、測定されたパターン領域の輝度値を基準信号で除算することにより、マスクパターンの面積ないし密度に対応した情報が算出される。尚、パターン密度は、繰り返しパターンが形成されている領域についてだけ算出してもよい。求められたパターン密度情報は、所定の閾値と比較することにより、フォトマスクが良品の範囲か否か判定する材料として用いることができる。さらに、得られたパターン密度情報は、パターニングする際のエッチング処理の制御情報として利用することも可能である。
【0035】
パターン密度分布生成手段34は、2次元輝度マップ情報と基準信号とを用いてパターン密度の分布状態を生成する。パターン密度の分布状態は、例えば繰り返しパターン領域について少数画素の複数のエリアに区分し、各エリアごとにパターン密度を算出してパターン密度分布情報を出力する。このパターン密度分布情報は、所定の閾値と比較することによりCDエラーを求めることも可能である。
【0036】
線幅情報生成手段35は、2次元輝度マップ情報、基準信号、及び所定のエリアに含まれるパターンの個数を用いてパターンの線幅に対応して情報を出力する。すなわち、単一面積当たりのパターン密度を求め、得られたパターン密度について単一面積当たりに含まれるパターンの個数で除算することにより、パターンの線幅ないし寸法に対応した情報を出力することが可能である。
【0037】
本発明は上述した実施例だけに限定されず種々の変形や変更が可能である。例えば、フォトマスクに対する評価情報として、パターン密度、密度分布、パターンの線幅(パターンの寸法)を挙げたが、信号処理装置は、界面からの反射光に基づいて検出可能な各種評価情報を作成することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 光源
2 コリメータレンズ
3 ガルバノミラー
4 走査レンズ
5,8 全反射ミラー
6 フォトマスク
7 ステージ
9 撮像レンズ
10 ラインCCDカメラ
11 信号処理装置
20 ガラス基板
21 マスクパターン
30 2次元輝度マップ形成手段
31 基準信号発生手段
32 基準信号メモリ
33 パターン密度生成手段
34 パターン密度分布生成手段
35 線幅情報生成手段