特許第5777130号(P5777130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5777130ストリップを製造するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777130
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】ストリップを製造するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B21B 1/46 20060101AFI20150820BHJP
   B21B 1/26 20060101ALI20150820BHJP
   B21B 1/04 20060101ALI20150820BHJP
   B21B 45/00 20060101ALI20150820BHJP
   B22D 11/12 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   B21B1/46 B
   B21B1/26 E
   B21B1/04
   B21B45/00 L
   B22D11/12 A
   B22D11/12 D
【請求項の数】19
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-553728(P2014-553728)
(86)(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公表番号】特表2015-508336(P2015-508336A)
(43)【公表日】2015年3月19日
(86)【国際出願番号】EP2013051433
(87)【国際公開番号】WO2013110754
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2014年9月1日
(31)【優先権主張番号】102012201090.4
(32)【優先日】2012年1月25日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ザイデル・ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ズーダウ・ペーター
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−15904(JP,A)
【文献】 特表2011−502785(JP,A)
【文献】 特表2010−534137(JP,A)
【文献】 特表2009−508691(JP,A)
【文献】 特表2005−525239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/00−1/46,37/00−37/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続鋳造装置(2)と、移送方向(F)でこれに続く第1の炉(3)と、移送方向(F)で第1の炉(3)に続く第2の炉(4)と、移送方向(F)で第2の炉(4)に続く圧延機(5)とを有し、第1の炉(3)の達成可能な温度勾配(ΔT/Δt)が、第2の炉(4)の達成可能な温度勾配(ΔT/Δt)よりも小さい装置内でストリップ(1)を製造するための方法において、
この方法が、
a)少なくとも2つの異なるスラブ又はストリップ(1)を有する所定の生産周期中にスラブ又はストリップ(1)の製造すべき生産範囲を確定するステップと、
b)所定の生産周期の生産すべきスラブ又はストリップ(1)の少なくとも一部のため圧延機(5)内へのそれぞれの進入温度(TFM)を決定するステップと、
c)第1の炉(3)からの退出温度(TAO1)を決定するステップであって、この退出温度が、ステップb)で決定された最高の圧延機(5)内への進入温度(TFM)よりも低く選択され、ステップb)で決定された最低の圧延機(5)内への進入温度(TFM)よりも低いか実質的に等しく選択されるステップと、
d)製造すべきスラブ又はストリップ(1)がステップc)により決定された退出温度(TAO1)で第1の炉(3)から出るように、第1の炉(3)を運転するステップと、
e)圧延機(5)内への進入温度(TFM)が、ステップd)により得られた第1の炉(3)の退出温度(TAO1)以上である場合に、第2の炉(4)によって製造すべきスラブ又は製造すべきストリップ(1)を必要な圧延機(5)内への進入温度(TFM)に加熱もしくは再加熱するステップと、
を備え、
第1の炉(3)は、スラブ又はストリップ(1)の退出温度(TAO1)が最大で1125℃であるように運転され、第1の炉(3)内で、乾式炉ローラ、即ち、冷却剤による内部冷却のない炉ローラが使用されること、を特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載のステップc)で、第1の炉(3)からの退出温度(TAO1)が、請求項1に記載のステップb)で決定された最低の圧延機(5)内への進入温度(TFM)と実質的に等しく選択されること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の炉(3)として、ローラ炉床炉が使用されること、及び/又は、第2の炉(4)として、誘導炉又はDFI炉(Direct Flame Impingement炉)又は誘導炉とDFI炉の組合せが使用されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第2の炉(4)は、スラブ又はストリップ(1)の温度上昇が最大で100℃であるように運転されること、を特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第1の炉(3)が、スラブ貯蔵炉として使用されること、を特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第1の炉(3)からの退出温度(TAO1)と圧延機(5)内への進入温度(TFM)は、第1の炉(3)及び第2の炉(4)及び圧延機(5)のために合計した熱間ストリップを製造するためのエネルギーコスト及び/又はCOエミッション及び/又はエネルギー消費量が、所定の生産周期内で最小になるように、繰り返し確定されること、を特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1のステップb)による圧延機(5)内への進入温度(TFM)の決定及び/又は請求項1のステップc)による第1の炉(3)からの退出温度(TAO1)の決定及び/又は生産すべき全てのスラブ又はストリップ(1)のためのエネルギー消費量及び/又はCOエミッション及び/又はエネルギーコストが、計算モデルによって行なわれること、を特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
エネルギーコスト及び/又はCOエミッション及び/又はエネルギー消費量を最小化するための計算時の部分目標値として、圧延機(5)内への進入温度(TFM)の最小化が使用されること、を特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
エネルギーコスト及び/又はCOエミッション及び/又はエネルギー消費量を最小化するための計算時の部分目標値として、最低の第1の炉(3)の炉退出温度(TAO1)が使用されること、を特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項10】
エネルギーコスト及び/又はCOエミッション及び/又はエネルギー消費量を最小化するための計算時の部分目標値として第2の炉(4)内の温度勾配(ΔT)の最小化が使用されること、を特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項11】
計算モデルで、最適な第1の炉(3)からの退出温度(TAO1)と圧延機(5)内への進入温度(TFM)の確定時に、プロセス限界値及び/又は装置限界値が考慮されること、を特徴とする請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
第1の炉(3)として、DFI炉(Direct Flame Impingement炉)が使用されること、を特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
第1の炉(3)及び/又は第2の炉(4)として、DFI炉(Direct Flame Impingement炉)が使用され、そのバーナ及び/又はバーナ調整及び/又はスラブ表面からの火炎間隔は、スラブ表面のスケール又はスラブ材料の溶解が生じないように選択されること、を特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
第1の炉(3)及び/又は第2の炉(4)として、DFI炉(Direct Flame Impingement炉)が使用され、そのバーナは、スラブを幅全体にわたって均等に加熱するために形成され、このため、バーナはその幅にわたって一貫して長方形ノズルとして形成されていること、を特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
第1の炉(3)及び/又は第2の炉(4)として、DFI炉(Direct Flame Impingement炉)が使用され、そのバーナは、移送方向(F)に複数列に形成され、バーナは、列から列へずらして配置され、これにより、バーナは、全体で、幅にわたってストリップ(1)の均等な加熱を生じさせること、を特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
スラブ又はストリップ(1)が、第1の炉(3)の前で予備圧延工程を受けさせられること、を特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
第1の炉(3)が、2つの部分炉(3’,3”)に分割されていること、及び、スラブ又はストリップ(1)が、両部分炉(3’,3”)の間で圧延工程を受けさせられること、を特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
第2の炉(4)又は第2の炉(4)の少なくとも個々のモジュールが利用されない場合、第2の炉又はその個々のモジュールは、生産ライン外に移動され、その箇所にローラテーブルカプセルが挿入されること、を特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
鋳造圧延装置(CSP装置)内で、30〜120mmの厚さ範囲内スラブもしくは薄スラブが使用されること、を特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造装置と、移送方向でこれに続く第1の炉と、移送方向で第1の炉に続く第2の炉と、移送方向で第2の炉に続く圧延機とを有し、第1の炉の達成可能な温度勾配が、第2の炉の達成可能な温度勾配よりも小さい装置内でストリップを製造するための方法に関する。更に、本発明は、スラブ又はストリップを製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記形式のストリップを製造するための装置は、従来技術において公知である。
【0003】
この種の方法を、国際公開第2011/015365号パンフレット(特許文献6)が開示する。同様の及び他の解決策を独国特許出願公開第10 2006 054 932号明細書(特許文献7)、米国特許第5 307 864号明細書(特許文献8)、独国特許出願公開第10 2008 029 581号明細書(特許文献9)、欧州特許出願公開第1 375 680号明細書(特許文献10)、国際公開第85/03891号パンフレット(特許文献11)、欧州特許出願公開第0 183 209号明細書(特許文献12)、米国特許第4 182 146号明細書(特許文献13)及び米国特許第4 918 960号明細書(特許文献14)が示す。
【0004】
欧州特許第1 960 131号明細書(特許文献1)から、スラブを加熱するための保持炉と誘導炉を、選択された運転形式に依存して、即ちストリップを連続的に製造する際に一度、ストリップを非連続的に製造する際に一度、起動もしくは停止することが公知である。
【0005】
欧州特許第1 963 034号明細書(特許文献2)では、スラブを加熱するために、加熱作用がスラブ中心部に集中させられるように、その作業周波数が低く選択される誘導炉が設けられる。
【0006】
独国特許出願公開第10 2008 055 650号明細書(特許文献3)には、特に冷却のために必要な水量及びその装置内での分配並びに鋳造速度を算定する計算モデルが使用される、薄スラブ装置においてエネルギー必要量とCO排出量を最小化するための方法が記載されている。
【0007】
保持炉と誘導炉の組合せ使用が、欧州特許第1 469 954号明細書(特許文献4)及び米国特許第7 942 191号明細書(特許文献5)から公知である。
【0008】
いわゆるCSP装置内で熱間ストリップを製造する場合、先ず、薄スラブが連続鋳造装置内で鋳造され、次にローラ炉床炉内で所望の炉温度に加熱され、その直後に仕上げトレイン(圧延機)内で仕上げストリップ厚さに圧延される。ローラ炉床炉内で薄スラブを再加熱する場合は、(例えばガスの形態をした)加熱エネルギーが必要であり、仕上げトレインでの厚さリダクションをする場合は、変形のための電力が必要である。この場合、必要な炉温度は、実質的に、圧延すべき最終厚さ及びストリップ幅並びにストリップ材料に依存している。
【0009】
この場合、仕上げトレイン内の薄い最終厚さ又は高い負荷のストリップは、特に最大炉温度レベル(例えば1150℃)を決定する。しかしながら、この極端なストリップは、しばしば低い生産率である。圧延プログラムの内又は1日の内で、異なったストリップが圧延される。多くのストリップは、高い進入温度を必要としない。即ち、これらストリップは過熱されるということである。ここでは加熱エネルギーを節約することができる。しかしながら、ローラ炉床炉を任意に各ストリップに調整すること、及び、仕上げトレイン進入温度(T−FM;加熱後もしくは仕上げトレインの前の最後の炉の前の平均スラブ温度として定義されている)を個々に変更すること、はできない。従って、ローラ炉床炉の慣性のために、炉温度は、実質的に同じ高さレベルを維持する。このような公知のCSP装置の典型的なコンセプト的構成は、図1からわかり、装置長さにわたる、即ち連続鋳造装置から仕上げトレインの後までの、平均温度の変化は、図2から明らかである。
【0010】
図1には、スラブ1を鋳造する連続鋳造装置2を有する装置が図示されている。スラブ1は、ローラ炉床炉3に到達し、ここで、スラブは、進入温度TFMに加熱される。スラブは、ここでは例えば60mmの厚さを有し、移送方向Fに、境界条件に応じて4〜8m/minの速度で移動する。ローラ炉床炉は、例えば240mの長さである。その後、炉の後の温度TFMで、スラブ1は、圧延機5(仕上げトレイン)に導かれ、所望の厚さのストリップに、例えば2.4mmの値に圧延される。次いで、ストリップは、冷却区間10に到達する。
【0011】
対応する温度変化は、図2からわかる。ここでは、進入温度TFMが1150℃であることが見られる。
【0012】
ローラ炉床炉内で消費されるエネルギー及び(例えば連続鋳造後の60mmのスラブ厚さから2.4mmの最終ストリップ厚さへの)仕上げトレイン内での変形のために消費されるエネルギー並びにCOエミッション及びエネルギーコストは、1150℃の進入温度TFMを有する例については、以下のように記載することができる(でスケーリングポンプ、ロール冷却のためのポンプ等のような補助ユニットのエネルギー消費は考慮しなかった):
【0013】
水冷式ローラを有するローラ炉床炉は、178.1kWh/tの加熱エネルギーを必要とする。加熱コストは、5.34ユーロ/tであり、COエミッションは、41.0kgCO/tである。仕上げトレインでは、変形のために、電力コスト3.35ユーロ/tで47.8kWh/tの変形エネルギーと、26.8kgCO/tのCOエミッションを必要とする。合計で、8.69ユーロ/tのコストで225.9kWh/tのエネルギー必要量と、67.7kgCO/tのCOエミッションが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許第1 960 131号明細書
【特許文献2】欧州特許第1 963 034号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2008 055 650号明細書
【特許文献4】欧州特許第1 469 954号明細書
【特許文献5】米国特許第7 942 191号明細書
【特許文献6】国際公開第2011/015365号パンフレット
【特許文献7】独国特許出願公開第10 2006 054 932号明細書
【特許文献8】米国特許第5 307 864号明細書
【特許文献9】独国特許出願公開第10 2008 029 581号明細書
【特許文献10】欧州特許出願公開第1 375 680号明細書
【特許文献11】国際公開第85/03891号パンフレット
【特許文献12】欧州特許出願公開第0 183 209号明細書
【特許文献13】米国特許第4 182 146号明細書
【特許文献14】米国特許第4 918 960号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の根底にある課題は、ストリップ製造時の、特に鋳造圧延装置(CSP装置)での熱間ストリップ製造時のエネルギー消費量を更に低減し、コストを節約するだけでなく、CO排出量も低減することを可能にする、冒頭で述べた形式の方法及び付属の装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によるこの課題の解決は、方法によれば、この方法が、
a)少なくとも2つの異なるスラブ又はストリップを有する所定の生産周期中にスラブ又はストリップの製造すべき生産範囲を確定するステップと、
b)所定の生産周期の生産すべきスラブ又はストリップの少なくとも一部のため、特に生産すべき全てのスラブ又はストリップのために圧延機内へのそれぞれの進入温度を決定するステップと、
c)第1の炉からの退出温度を決定するステップであって、この退出温度が、ステップb)で決定された最高の圧延機内への進入温度よりも低く選択され、ステップb)で決定された最低の圧延機内への進入温度よりも低いか実質的に等しく選択されるステップと、
d)製造すべきスラブ又はストリップがステップにより決定された退出温度で第1の炉から出るように、第1の炉を運転するステップと、
e)圧延機内への進入温度が、ステップにより得られた第1の炉の退出温度以上である場合に、第2の炉によって製造すべきスラブ又は製造すべきストリップを必要な圧延機内への進入温度に加熱もしくは再加熱するステップと、
を備え
第1の炉は、スラブ又はストリップの退出温度(TAO1)が最大で1125℃であるように運転され、第1の炉内で、省エネルギーの乾式炉ローラが使用されることを特徴とする。
【0017】
前記のステップc)で、第1の炉からの退出温度(TAO1)は、ステップb)で決定された最低の圧延機内への進入温度と実質的に等しく選択することができる。この場合、実質的に等しくとは、特に、第1の炉の後で、即ち停止状態の第2の炉の領域内で温度変化(冷却)が極僅かしかないと考慮されると、理解する。
【0018】
即ち、前記のステップc)は、最高の圧延機内への進入温度が、第2の炉によって、第2の炉の最高の炉出力を考慮して調整されるように、第1の炉からの退出温度を決定するということである(即ち、第2の炉は、少なくとも最大限に可能な炉出力で第1の炉の退出温度から出発して最高の圧延機内への進入温度を達成できなければないない)。
【0019】
前記のステップb)及びc)は、繰り返し最適化することができ、このため、これらステップは、逆の順序で行なうことができる。
【0020】
第1の炉として、ローラ炉床炉が使用されること、及び/又は、第2の炉として、誘導炉又はDFI炉(Direct Flame Impingement炉)又は誘導炉とDFI炉の組合せ、即ち炉グループが使用されること、が考えられる。
【0021】
第2の炉(炉グループ)は、スラブ又はストリップの温度上昇が最大で100℃であるように運転される。これにより、約10m未満の短い再加熱区間(誘導加熱区間)が得られる。
【0022】
第1の炉は、スラブ貯蔵炉として使用することができる。
【0023】
第1の炉の達成可能な温度勾配は第2の炉の達成可能な温度勾配よりも小さいので、これは、第2の炉(炉グループ)は、スラブを比較的短い区間で個々に加熱することができる高い加熱速度もしくは高い温度動特性によって際立っているということである
【0024】
第1の炉からの退出温度と圧延機内への進入温度は、第1の炉及び第2の炉及び圧延機のために合計した熱間ストリップを製造するためのエネルギーコスト及び/又はCOエミッション及び/又はエネルギー消費量が、所定の生産周期内で最小になるように、繰り返し確定される。
【0025】
前記のステップb)による圧延機内への進入温度の決定及び/又は前記のステップc)による第1の炉からの退出温度の決定及び/又は生産すべき全てのスラブ又はストリップのためのエネルギー消費量及び/又はCOエミッション及び/又はエネルギーコストは、計算モデルによって行なうことができる。
【0026】
この場合、特に、エネルギーコスト及び/又はCOエミッション及び/又はエネルギー消費量を最小化するための計算時の部分目標値として、圧延機内への進入温度の最小化が使用されること、が考えられる。このため、最低の第1の炉の炉退出温度を使用することができる。更に、第2の炉内の温度上昇の最小化を使用することができる。
【0027】
この場合、計算モデルで、特に、最適な第1の炉からの退出温度と圧延機内への進入温度の確定時に、プロセス限界値及び/又は装置限界値が相応に考慮される。
【0028】
第1の炉として、DFI炉(Direct Flame Impingement炉)を使用することもできる。
【0029】
更に、第1の炉及び/又は第2の炉として、DFI炉(Direct Flame Impingement炉)を使用することができ、そのバーナ及び/又はバーナ調整及び/又はスラブ表面からの火炎間隔は、スラブ表面のスケール又はスラブ材料の溶解が生じないように選択される。第1の炉及び/又は第2の炉として、DFI炉を使用することができ、そのバーナは、スラブを幅全体にわたって均等に加熱するために形成され、このため、バーナは、特にその幅にわたって一貫して長方形ノズルとして形成されている。選択的に、第1の炉及び/又は第2の炉として、DFI炉が使用され、そのバーナは、移送方向に複数列に形成され、バーナは、列から列へずらして配置され、これにより、バーナは、全体で、幅にわたってストリップの均等な加熱を生じさせること、が可能である。
【0030】
発展形によれば、スラブ又はストリップは、第1の炉の前で予備圧延工程を受けさせられる。
【0031】
第1の炉は、2つの部分炉に分割することができ、その場合、スラブ又はストリップは、両部分炉の間で圧延工程を受けさせられる。
【0032】
第2の炉又は第2の炉の少なくとも個々のモジュールが利用されない場合、第2の炉又はその個々のモジュールは、生産ライン外に移動され、その箇所にローラテーブルカプセルを挿入することができる。
【0033】
連続鋳造装置と、移送方向でこれに続く第1の炉と、移送方向で第1の炉に続く誘導炉の形態の第2の炉と、移送方向で誘導炉に続く圧延機とを有する、スラブ又はストリップを製造するための装置は、本発明によれば、第1の炉が、省エネルギーの乾式炉ローラを備えていること、及び、誘導炉が、移送方向に間隔を置いた複数の誘導コイルを備え、誘導コイルの領域に断熱手段が配置されていることを特徴とする。
【0034】
誘導コイルの前及び/又は後及び/又は間に、少なくとも部分的に断熱カセットを配置することができる。
【0035】
更に、誘導コイルの前及び/又は後及び/又は間に、少なくとも部分的に、断熱されたローラテーブルローラを配置することができる。
【0036】
誘導コイルは、スラブ又はストリップの側に少なくとも1つの断熱プレート又は断熱マットを備えることができる。
【0037】
断熱カセット、断熱されたローラテーブルローラ及び/又は断熱プレートは、セラミック繊維材料から成ることができ、これら断熱カセット、断熱されたローラテーブルローラ及び/又は断熱プレートは、特に、薄い耐温性の板材でカバリングされている。
【0038】
発展形によれば、断熱フードを設けることができ、誘導コイルと断熱フードが移動手段と結合しており、これにより、誘導コイルが利用されない場合、誘導コイルを生産ライン外に移動可能で、その箇所に断熱フードを挿入可能である。
【0039】
更に、少なくとも1つの断熱フードに少なくとも一時的に振動運動を作用可能な手段を設けることができ、振動運動は、特にスラブ又はストリップの移送方向に対して横に整向されている。これにより、落下してきたスケールの滑り落ちを促進させることができる。
【0040】
この場合、断熱フードは、漏斗状に形成することができる。
【0041】
発展形によれば、振動運動の作用を加える手段が、断熱フードのための移動手段によって実現され、移動手段が、特に移動速度を急変状に変更するために形成されている。これにより、断熱フードのための横駆動は、同時に断熱フードの振動のためにも利用される。移動手段による断熱フードの移動も可能であり、断熱フードは、起伏のある軌道上を移動され、これにより振動させられる。
【0042】
最後に、少なくとも1つの断熱フードの特に周期的な吹払いをするための手段も設けることができる。これによっても、例えばそれぞれ所定の時間の経過後に下の断熱フードを圧縮空気で吹き払うことによって、効率的にスケールを排除もしくは除去することができる。
【0043】
即ち柔軟に圧延機内に進入する前の炉温度を調整するために、ローラ炉床炉の後に付加的に短い誘導加熱装置が配置される。
【0044】
(断温された)誘導加熱装置を利用しない場合、誘導加熱装置又はその個々のモジュール(インダクタ)を生産ラインから横に移動し、その箇所に最適に断熱されたローラテーブルカプセルを挿入することができる。インダクタ及び断熱フードの移動のために、同じ又は別個の移動手段を使用することができる。
【0045】
従って、本発明は、有利な方法で、仕上げトレイン進入温度と第1の炉からの最適な退出温度を適合させて調整することによって、エネルギー消費量を、従ってエネルギーコストを最小化し、COエミッションを低減する。
【0046】
方法を適用するため、好ましくは、加熱プロセス、圧延プロセス及び冷却区間の境界条件に依存して最適なもしくは最低のローラ炉床炉退出温度と仕上げトレイン進入温度と最後に最低のエネルギー消費量もしくは最低のCOエミッションもしくは最低のエネルギーコストを調整するための計算モデルが使用される。この場合、プロセス限界値及び装置限界値の考慮が行なわれる。
【0047】
誘導加熱装置又はDFI炉は、ストリップからストリップへ実質的な温度変更を達成できる高動的なアクチュエータであり、これに対して、ローラ炉床炉は、事情によっては長い時間を介して初めて温度変更を行なうことがある低動的なアクチュエータを構成する。前記のローラ炉床炉は、本発明によれば、特に最低のスラブ貯蔵温度を調整するために使用されるが、誘導加熱装置又はDFI炉は、仕上げトレインの前の特に最低の目標温度(仕上げトレイン進入温度)を調整する。
【0048】
断熱された誘導加熱区間とDFI炉は、同時に最適な断熱をした時に高動的な加熱を可能にし、従って高効率的な加熱を可能にする。
【0049】
好ましくは、各ストリップ又は/及び長い生産周期(圧延プログラム、1日、ローラ炉床炉の温度のための最大の変更周期)のためにローラ炉床炉の温度を決定し、誘導加熱装置を利用するための最適化アルゴリズムの突合せが、見積りの形態で行なわれる。
【0050】
1125℃未満の低い炉温度での省エネルギーの炉ローラ(特に乾式炉ローラ、即ち、冷却剤による内部冷却のない炉ローラ)の組合せの使用と、スラブ(もしくは粗ストリップ)の特に最低の仕上げトレイン進入温度T−FMへの誘導再加熱も、有利に可能である。
【0051】
温度損失を低減するため、好ましくは、ストリップを再加熱するための誘導加熱装置の使用が行なわれるが、但し、利用されない場合は、誘導加熱装置全体又は誘導加熱装置領域の一部のカプセル化が行なわれる。
【0052】
例えばローラ炉床炉として形成された第1の炉の代わりに、(選択的又は部分的に)受動的又は能動的なローラテーブルカプセル又はウォーキングビーム炉を使用することができる。
【0053】
エネルギー消費量及びエネルギーコストを低減するための別の最適化パラメータとして、好ましくは鋳造厚さが考慮される。
【0054】
図面には、本発明の実施例が図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】主構成要素である連続鋳造装置、ローラ炉床炉及び仕上げトレインを有する、従来技術によるスラブ又はストリップを製造するための装置の概略側面図
図2図1による装置の経過にわたるスラブもしくはストリップ内の温度の経過
図3】本発明によるスラブ又はストリップを製造するための装置の概略側面図
図4】2つの異なったスラブもしくはストリップに対する温度経過が(一方は実線で、もう一方は点線で)図示された、図3による装置の経過にわたるスラブもしくはストリップ内の温度の経過
図5】個々のストリップのための仕上げストリップ厚さが記載された、ストリップの数を有する製造プログラムの概略
図6図5による個々のストリップのために必要な仕上げトレイン内への進入温度TFM
図7】ローラ炉床炉内に水冷式炉ローラを有する例と乾式炉ローラを有する例に対して本発明による方法を使用した際のエネルギーコストに関する一覧表
図8】選択的な形成によるスラブ又はストリップを製造するための装置の概略側面図
図9】別の選択的な形成によるスラブ又はストリップを製造するための装置の概略側面図
図10】断面で図示した従来技術による誘導炉の概略側面図
図11】断面で図示した本発明による形成を有する誘導炉の概略側面図
図12】部分的に誘導炉が断熱フードによって交換された、図11と同様の誘導炉の概略側面図
図13】選択的な運転方法による装置の経過にわたるスラブもしくはストリップ内の温度の経過
図14】装置をエネルギー的に最適に運転するための計算モデルの概略
図15】最適化モデルの進行プランの概略
【発明を実施するための形態】
【0056】
図に、既に上で説明したように、ストリップ1を製造するための装置が見られる。装置は、連続鋳造装置2と、移送方向Fに続くローラ炉床炉の形態の第1の炉3とを有する。第1の炉に、誘導炉の形態の第2の炉4が続く。第2の炉に、移送方向Fに圧延機(仕上げトレイン)が続く。圧延機5の後に、冷却区間10が配置されている。
【0057】
各ストリップに対して個々に仕上げトレインの前の全エネルギー的に最適な温度TFMを調整できるように、本発明によれば、薄スラブのための加熱作業を相応に分割することが行なわれる。この場合、ローラ炉床炉3は、単に大抵のストリップのために十分であるように(例えば1000〜1050℃に)薄スラブ1を加熱する。極端なストリップ、即ち薄いストリップ又は特に高強度のストリップもしくは仕上げトレインに強く負荷を与えるストリップは、又は、高い最終圧延温度が保証されるべき場合は、個々に高い仕上げトレイン進入温度T−FMに誘導加熱される。即ち、加熱は、単に、どのようにして負荷技術的又は圧延技術的な理由から必要であるかのように行なわれる。
【0058】
低い温度レベルは、変形エネルギーを上昇させる。しかしながら、変形エネルギーの上昇は、実質的に、ローラ炉床炉3での、場合によっては誘導加熱装置4での節約がなされた加熱エネルギーよりも低い。図3には、ローラ炉床炉3と続く誘導加熱装置4とを有するCSP装置が図示されている。図4による温度経過は、誘導感熱装置4と仕上げトレイン5の領域内の可能な運転方法を示す。図1もしくは図2(従来技術による)と比べると、ローラ炉床炉の温度は例えば1000℃に下がっている。多くのストリップにとって、これから生じる約990℃の仕上げトレイン進入温度T−FMで十分であり、例えば停止された第2の炉(誘導炉4)の領域内でいくらか熱/温度が環境に失われる場合、第1の炉(ローラ炉床炉3)からの退出温度TAO1とほぼ等しい。仕上げトレイン5がこの実施例ではバッチモードで運転されるので、ここではいくらか迅速に圧延される。
【0059】
図4には、頻繁な運転方法が実線で記載され、稀な運転方法(より高い温度の)が、点線で記載されている。
【0060】
消費したエネルギーの合計、エネルギーコスト及びCOエミッションは相応に低下する。例えばT−FM=1150℃の最大温度が誘導加熱によって調整されると(図4の点線の温度経過参照)、同様に図1もしくは図2による状態と比べてエネルギー消費量の低減も得られる。しかしながら、エネルギーコスト並びにCOエミッションは、上昇しているが、それは、電力が高いもしくは1次エネルギーがないからである。しかしながら、この温度はめったに調整されない。
【0061】
即ち、最適なもしくは最低の仕上げトレイン進入温度の調整は、図示した例のため、誘導加熱装置及びローラ炉床炉によって行なわれる。図示した誘導加熱装置の代わりに選択的に、同様の効果を得るために、高性能の炉、例えばDFI炉を使用することができる。
【0062】
従って、エネルギーコスト及びエネルギー消費量並びにCOエミッションの低減のため、仕上げトレイン進入温度T−FMを前記限界値の範囲内で最適化し、多くの場合最小化することが目標である。最適化(最小化)のためのアクチュエータとしては、低動的なアクチュエータとしてローラ炉床炉3の退出温度が、高動的なアクチュエータとしてストリップからストリップへ又は所定のストリップ長さにわたって個々に応じることができる誘導加熱装置4が使用される。
【0063】
この最適化は、計算モデルによって行なわれる。これにより、所定の生産周期内の各ストリップに対する全エネルギーコスト、COエミッション及びエネルギー消費量が算定される。第1の炉からの炉温度TAO1並びに仕上げトレイン進入温度T−FMは、繰り返して最適な(最小の)消費量が生じるように変更される。計算のために、パス計画モデルは、最大許容速度もしくは回転数、最大許容圧延荷重、圧延トルク及びモータ負荷を考慮し、ストリッププロフィル及び平坦度並びに所望の材料特性(組織、ミクロ合金元素の溶解)が適切であるかを検査する。更に、冷却区間モデルは、例えば水量が十分であるかを検査する。
【0064】
一般的にいうと、プロセス限界値と装置限界値が点検され、最小のエネルギー消費量又は最小のCOエミッション又は最小のエネルギーコストが確定される。これらの計算は、各圧延の直前及び/又は長い生産周期のための(例えば圧延プログラム又は1日又はローラ炉床炉の温度の最大の変更周期のための)前段階で予め行なうことができる。
【0065】
結果として、ローラ炉床炉3のため及び選択すべき誘導加熱装置4の能力のための最適な温度もしくはガス必要量が、進入速度、スラブ厚さ、幅及び材料に依存して得られる。また、ローラ炉床炉3の適切な最適温度の選択は、炉進入温度及びスラブ厚さの選択又は場合によっては存在する粗スタンドに依存し、これは、同様に考慮されなければならず、エネルギーバランスに影響を与える。最適化アルゴリズムは、鋳造機械モデル、炉モデル、誘導加熱装置の作用を説明するモデル、パス計画モデル、プロフィル平坦度モデル及び冷却区間モデルと結合されており、上位のレベル2.5モデルとして理解される。
【0066】
一般的に、誘導炉4に対して選択的に−これは好ましいが−スラブの加熱に適合させたDFI炉(Direct Flame Impingement炉−直接的な火炎作用)も使用でき、ここで、スラブもしくはストリップが直接的な最適化された火炎作用によって、スラブ表面の溶解を発生させることなく加熱されることを、述べておく。このいわゆるDFI酸素燃料方法による酸素燃料炉は、空気の代わりの純粋な酸素とガス状又は液状の燃料が混合され、火炎が直接的にストリップの方向もしくは薄スラブの方向に整向される特殊な炉である。これは、燃焼工程を最適化するだけでなく、窒素酸化物エミッションも低減する。この加熱方法により、良好な効率で高い熱密度も得ることができる。
【0067】
スラブ幅にわたってできるだけ均等な加熱を生じさせるため、DFI炉のバーナは、移送方向に列から列へずらして配置されているか、バーナは、幅全体にわたる長方形ノズルとして形成されている。
【0068】
ローラ炉床炉3、誘導加熱装置4及び圧延トレイン5及び場合によってはロールスタンド11内での変形のためのパラメータであるエネルギー、電力コスト及びCOエミッションが算定され、合計され、前記パラメータのための合計の最適な結果が得られるように、誘導加熱装置内の炉温度及び温度上昇もしくは温度T−FMが調整される。
【0069】
最適化の結果並びにストリップの数に関するローラ炉床炉3の出口での温度の変化及び仕上げトレイン進入温度T−FMが原理的に見られるように、図5及び図6の例が示す。仕上げトレインの負荷は、他のパラメータの代わりにここでは例えばストリップ厚さで表現される。厚いストリップの場合、炉温度は、更に上昇せず、誘導加熱装置4を起動することなく直接的に圧延される。炉温度は、例えば1000℃である。長期間薄いストリップが圧延プログラム計画内にある場合、炉温度は、相応に適合されるが(例えば1030℃に)、これについては図6内の点線を参照されたい。個々の薄いストリップ又はストリップグループの1000℃〜1150℃(最大限に必要な)以上への誘導再加熱は、必要な場合にだけ行なわれる(図6内のハッチングされた領域参照)。即ちこの場合、最適に、炉温度TAO1は、製品ミックスに依存して、高い生産率をはや誘導再加熱する必要がないように確定される。
【0070】
図6からローラ炉床炉3の温度(ここでは約1000℃もしくは後に1030℃)とここでは1150℃の最大限に必要な温度T−FM(図6内の細線参照;高い温度を必要としないストリップの場合は誘導加熱装置が動作していない)の間の領域で過熱が回避されることがわかる。再加熱は、若干のストリップのためにだけ誘導加熱装置によって行なわれる(ハッチングされた領域)。
【0071】
図1もしくは図2による従来技術によるCSP装置と比べると、図7で、変更された温度管理の効果が明らかになる。エネルギー消費量、COエミッション及びエネルギーコストは、ここでは異なったバリエーションのためもしくは異なった仕上げトレイン進入温度T−FMのために図示されている。温度効果もしくは加熱効果が明らかになるように、ここでは簡素化して同じ圧延プロセスを前提とした(進入厚さ=60mm、退出厚さ=2.4mm)。表内に、異なった仕上げトレイン進入温度T−FMを有するストリップの生産率は区別されている。ここで、温度T−FMのための基準位置は、誘導加熱装置IHの後に与えられている。例えば、60%の薄スラブは、加熱する必要がなく(T−FM=990℃)、20%のスラブは炉温度1000℃から1050℃に誘導加熱され、10%は1100℃に誘導加熱され、そして10%は1150℃に誘導加熱される。割合の合計を求めると、結果全体が得られる。即ち、この最適化手法の効果的な適用は、図示した製品ミックスのために、エネルギーコスト、エネルギー消費量並びにCOエミッションの低減を生じさせる。エネルギーコストは、例えば、1150℃の一定の炉温度にされた図1による運転方法の当初のレベルの83%に低減される。
【0072】
特に、温度最低化によってエネルギーを削減する手法は、省エネルギーの乾式炉ローラの使用と組み合わされる。一般的に、ローラ炉床炉3(又は2ストランド装置の場合は両炉)が、1050℃〜1100℃より低い温度で運転される場合、有利には全てのローラをエネルギー的に最適な乾式炉ローラから形成することができる。更に、少ない炉ローラ摩耗が生じるか、簡単で安価な炉ローラ材料を使用することができる。それ以外は同じ条件での乾式炉ローラの作用は、図7の“II)乾式炉ローラ”に示されている。これにより、エネルギー消費量は、この例の場合半減し、エネルギーコストも例えば当初の値の64%に低下する。
【0073】
最適な仕上げトレイン進入温度T−FMの調整によりエネルギー消費量、COエミッション及びエネルギーコストを最小化するための前記方法は、コンパクトなCSP装置で適用することができるだけでなく、連続鋳造装置の後及びローラ炉床炉内に粗スタンドを有するCSP装置でも適用することができる。このようなバリエーションは、図8及び9に図示されており、ここでは、ロールスタンド11がローラ炉床炉3の前に挿入されている(図8)か、ローラ炉床炉3が2つの部分炉3’及び3”に分割され、その間にロールスタンド22が配置されている。
【0074】
同様に、同様のデザインを有する薄ストリップ鋳造圧延装置における、並びに、厚スラブ鋳造装置、厚スラブ炉、粗スタンド及び仕上げ圧延トレインの前又は後の誘導加熱装置から成る通常の生産装置における方法の利用が可能である。粗スタンドを有する装置の場合、仕上げトレイン進入温度T−FMに対する影響と最適化のために粗スタンド減面率及び/又は粗スタンド圧延速度が取り込まれる。ローラ炉床炉3の代わりに、選択的又は部分的に受動的又は能動的なローラテーブルカプセルを適用することもできる。
【0075】
しかしながら特に、方法は、好ましくは30〜120mmの厚さ範囲の、特に好ましくは45〜90mmの厚さ範囲のスラブもしくは薄スラブが使用もしくは鋳造される鋳造圧延装置(CSP装置)において使用される。
【0076】
誘導加熱装置4全体が利用されない場合又は誘導加熱区間の一部が利用されない場合、そこでの温度損失が最小化されるように、ローラテーブルのこの領域を熱技術的にカプセル化することが行なわれる。このため、誘導加熱区間全体又は誘導加熱装置の個々のモジュールは、横に移動可能に形成されている。誘導加熱装置と選択的に断熱されたローラテーブルカプセルのどちらかが、圧延トレインへの搬送ライン内に存在する。選択的又は付加的に、誘導加熱装置は、統合した断熱材を有するように形成することもできる。
【0077】
誘導加熱装置4は、比較的短い区間で薄スラブに多くのエネルギーを供給することができる要素である。しかしながら、誘導加熱中、薄スラブは、同時にエネルギーを環境、ローラテーブルローラ及び冷却された誘導加熱装置カバリングに放射する。これら損失により、誘導加熱装置4の効果的な効率が低減される。誘導加熱区間の普通の構造を図10は示す(従来技術)。コイルをカバーするためのプレート12を有する誘導コイル6が認められる。インダクタカバリングは、誘導コイルが過熱されないように冷却される。更に、ローラテーブルローラ8とドライブローラ13が見られる。
【0078】
効果的な効率を高めるためもしくは誘導加熱装置の領域での温度損失を低減するため、図11に示すように、誘導加熱区間内に同時に断熱材を配置することを提案する。断熱装置として、断熱カセット7が、インダクタの間の上部に設けられ、断熱されたローラテーブルローラ8(間に遮断材を有するディスクローラ)と、薄い断熱プレート又は断熱マット9とが設けられている(下と上に配置することができる)。
【0079】
スラブ材料は、特に、低い熱伝導度、密度及び比熱を有する耐温性のセラミック材料から成る。断熱カセットは、薄い、帯音声の板材でカバリングすることもできる。
【0080】
インダクタ6の間の断熱カセット7は、例えば薄スラブ1の非対称の加熱及び/又は生じ得るスラブ湾曲に対処するために、選択的に高さを調整可能もしくは拡張可能に形成することができる。
【0081】
断熱材14は、ローラ8と誘導コイル7の間にも設けられている。
【0082】
下方へのローラ8の温度損失を低減するため、ローラの下に断熱材15を設けることができる。
【0083】
誘導コイル6が使用されない場合、これら領域は、図12に示すように、例えば横に移動させることにより断熱フード16,17によって交換することができる。ここでは更に、漏斗状に形成された下側の断熱フード16が認められる。これにより、スケールの滑り落ちが促進され、下の断熱フード上のスケールの蓄積が回避される。スラブ1の搬送方向に対して横に下の断熱フード16を一時的に振動させることにより、落ちてくるスケールの滑り落ちが付加的に改善される。この振動工程は、いずれにしても存在する断熱フードの横移動駆動装置により、駆動装置の速度の変更によって又は好ましくは横搬送の利用時の起伏のある搬送区間上の運動によって行なうことができる。選択的にスケールは、ときどき吹払い装置によって吹き落すことができる。スケールを排除し、これにより体積を回避するための全ての措置は、移動可能な断熱ユニットに対しても、固定の下側の断熱フードに対しても同じ形式で行なうことができる。
【0084】
誘導加熱装置内断熱材に対して付加的に、ローラ炉床炉と誘導加熱装置の間で誘導加熱区間の後に断熱材が設けられている。これにより、有利には表面の冷却が低減され、誘導加熱の硬化が支援される。
【0085】
断熱材が統合された誘導加熱装置が比較的良好にカプセル化されているので、この装置は、そこでのスケール形成を低減するために、選択的に不活性ガス(窒素、アルゴン、炉燃焼排気)下で運転することができる。
【0086】
最適化モデルの構成要素もしくはローラ炉床炉退出温度TAO1と仕上げトレイン進入温度T−FMを確定するための異なったサブモデルの相互作用が、図14に図示されている。このモデルもしくはこの手法は、即ち進行する製造プロセスつまり適用中にオンラインで行なわれる、又は/及び、選択的に準備の勉強目的のため及び有利には最適な圧延プログラム計画のためにオフラインで行なわれる。これにより、エネルギー消費量を更に最小化するために同じ最低の炉温度TAO1もしくは仕上げトレイン進入温度T−FMの通過を生じさせる目的で、同様の負荷もしくは特性のストリップグループを適切にまとめることができる。
【0087】
例えばエネルギーコストを最小化するための最適化ステップの進行を図15で解説する。この場合、主最適化パラメータは、ローラ炉床炉退出温度TAO1並びに仕上げトレイン進入温度T−FMである。所定の生産周期のストリップKのために、前記パラメータが計算され、合計して最小のエネルギーコストが得られるように、繰り返し温度TAO1とT−FMが変更もしくは調整される。
【0088】
全エネルギーコストを最小化するための措置と同様に、選択的にCOエミッション又はエネルギー消費量も最小化することができる。このため、星(*)で印をつけた図15内のボックス内で、相応のパラメータだけを交換する必要がある。
【0089】
提案したエネルギー消費量、COエミッション及びエネルギーコストを最小化するための方法は、第2の炉又は第2の炉グループなし(例えば誘導加熱装置4なし)でも、ローラ炉床炉3の後で変換することができる。この場合、ローラ炉床炉3は、仕上げトレイン条件(仕上げストリップ厚さ、負荷、仕上げストリップ温度、必要な冷却区間内の水量等)に依存して最低の仕上げトレイン進入温度T−FMに調整される。その場合、これは、各薄スラブのために個々に行なわれるのではなく、圧延プログラム構成の前段階で考察され、炉加熱動特性を考慮して時間周期内で臨界的な製品のために最低の仕上げトレイン進入温度T−FMが選択される(図13参照)。このため、最適化アルゴリズムは、同じ、しかしながら第2の炉でのエネルギーを考察しないものである。しかしながら、有効性は、低い炉加熱動特性(第1の炉の)のために低い。
【0090】
最適なローラ炉床温度と誘導再加熱とこれによる燃料(天然ガス、炉口ガス、油)又は電気による加熱の分割の調整に関する前で説明した計算結果は、国毎に異なった結果になることがあるが、それは、燃料及び電力のためのコストが、著しく変化するからである。従って、前で説明したケースは、単に例であると理解すべきである。
【符号の説明】
【0091】
1 スラブ/粗ストリップ/ストリップ
2 連続鋳造装置
3 第1の炉(ローラ炉床炉)
3’ 部分炉
3” 部分炉
4 第2の炉(誘導炉)
5 圧延機(仕上げトレイン)
6 誘導コイル
7 断熱カセット
8 ローラテーブルローラ
9 断熱プレート
10 冷却区間
11 ロールスタンド
12 プレート
13 ドライブローラ
14 断熱材
15 断熱材
16 断熱材
17 断熱材
FM=T−FM 圧延機内への進入温度(最後の炉の後で仕上げトレインの前)
AO1 第1の炉からの退出温度
ΔT 温度変化
ΔT/Δt 温度勾配(単位時間ごとの温度変化)
F 移送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15