特許第5777210号(P5777210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5777210-パイロット燃焼を行うボイラ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777210
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】パイロット燃焼を行うボイラ
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/20 20060101AFI20150820BHJP
   F22B 35/00 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   F23N5/20 B
   F22B35/00 H
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-183336(P2011-183336)
(22)【出願日】2011年8月25日
(65)【公開番号】特開2013-44483(P2013-44483A)
(43)【公開日】2013年3月4日
【審査請求日】2014年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】森本 守
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−055118(JP,A)
【文献】 特開平10−318502(JP,A)
【文献】 特開平06−129602(JP,A)
【文献】 特開2002−221318(JP,A)
【文献】 特開2004−205129(JP,A)
【文献】 特公平05−065767(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0215340(US,A1)
【文献】 特許第2544918(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/00− 5/20
F22B35/00−35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラの圧力又は温度を検出しておき、検出値がメイン燃焼停止設定値まで上昇するとメインバーナによるメイン燃焼を停止して燃焼待機とし、検出値がメイン燃焼開始設定値まで低下するとメインバーナによるメイン燃焼を開始する制御を行っており、燃焼待機時にはパイロットバーナによるパイロット燃焼を行っておくことで、次回のメイン燃焼開始時には短時間でメイン燃焼を開始することができるようにしているボイラであって、燃焼待機時のパイロット燃焼時間が所定時間に達した場合にはメインバーナの燃焼を行うことで、負荷要求時には即座に対応可能な状態に制御するものであることを特徴とするパイロット燃焼を行うボイラ。
【請求項2】
請求項1に記載のパイロット燃焼を行うボイラにおいて、パイロット燃焼の継続時間を検出しておき、パイロット燃焼の継続時間が所定の時間に達するごとに所定の時間だけメイン燃焼を行うものであることを特徴とするパイロット燃焼を行うボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイン燃焼とパイロット燃焼を行うことのできる燃焼装置を持ち、燃焼待機時にパイロット燃焼を行っておくことで負荷追従性を高めているボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2002−221318号公報にあるように、メインバーナとパイロットバーナを設置しておき、メイン燃焼を開始する場合にはパイロットバーナの火炎を利用してメインバーナでの燃焼を開始し、燃焼待機時にはメインバーナは燃焼を停止するがパイロットバーナは燃焼を行うようにしているボイラがある。ボイラが蒸気ボイラであれば、運転制御はボイラの蒸気圧力を検出しておき、検出した蒸気圧力値がメイン燃焼停止設定値まで上昇するとメインバーナによるメイン燃焼を停止、メイン燃焼開始設定値まで低下するとメインバーナによるメイン燃焼を開始する制御を行っている。
【0003】
ボイラは燃焼を停止していた状態から燃焼を開始する場合、まず炉内の換気を行うプレパージを行い、次にパイロットバーナを着火し、最後にメインバーナの着火を行ってメイン燃焼を開始するようにしている。しかしこの手順で燃焼を開始していたのでは、燃焼指令が出力されても実際に燃焼を開始するまでに長い時間が必要となる。そのため、燃焼待機時であってもパイロット燃焼を継続しておき、燃焼が必要になった際にはすぐにメイン燃焼を開始することで、負荷に対する追従性を向上させることが行われている。
【0004】
しかしこの場合でも、パイロット燃焼中にはボイラ自身からの放熱損失などがあってボイラの温度及び圧力は低下するため、メインバーナへの着火から熱機器としての能力を発揮するまでにはなお時間の遅れがあった。そこで特開2002−221318号公報に記載の発明では、パイロット燃焼待機時のパイロットバーナの燃焼量を、負荷要求時即座に対応可能な状態に制御するようにしている。つまり、パイロットバーナでは燃焼量の変更を可能としておき、パイロット燃焼待機時にパイロットバーナの燃焼量を制御し、ボイラ自身の内部圧力を所定の圧力に維持しておくことで、メインバーナによる燃焼開始から蒸気供給までの時間差を少なくしている。
【0005】
しかしこのことを達成するためには、パイロットバーナは燃焼量の変更が可能なものであって、ボイラ自身の放熱損失,接続配管からの放熱損失,ブロー損失及び排ガス損失を加えたものに見合う熱量となるように、パイロットバーナの燃焼量を加減するなどの制御を行うことが必要となる。パイロットバーナの燃焼量を増減制御する構成とした場合、パイロットバーナの構造及び制御が複雑化するために装置のコストが上昇することになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−221318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、パイロット燃焼待機を行うボイラにおいて、負荷要求に即対応できるようにすることを装置コストの上昇を招くことなく行うことができるボイラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、ボイラの圧力又は温度を検出しておき、検出値がメイン燃焼停止設定値まで上昇するとメインバーナによるメイン燃焼を停止して燃焼待機とし、検出値がメイン燃焼開始設定値まで低下するとメインバーナによるメイン燃焼を開始する制御を行っており、燃焼待機時にはパイロットバーナによるパイロット燃焼を行っておくことで、次回のメイン燃焼開始時には短時間でメイン燃焼を開始することができるようにしているボイラであって、燃焼待機時のパイロット燃焼時間が長くなった場合にはメインバーナの燃焼を行うことで、負荷要求時には即座に対応可能な状態に制御するものであることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記のパイロット燃焼を行うボイラにおいて、パイロット燃焼の継続時間を検出しておき、パイロット燃焼の継続時間が所定の時間に達するごとに短時間のメイン燃焼を行うようものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
パイロット燃焼待機時にメインバーナの燃焼を間欠的に行うことによってボイラの温度や圧力を維持するものであるため、パイロットバーナで燃焼量を増減する必要はなく、パイロットバーナの構造及び制御を簡略化することができるために、装置コストの上昇を招かずに、負荷追従性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明を実施しているボイラの構成図
図2】本発明の一実施例における燃焼状態と蒸気圧力変動状況の説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施しているボイラの構成図、図2は本発明の一実施例における燃焼状態と蒸気圧力変動状況の説明図である。ボイラの中央上部には、下向きに火炎を発生させる燃焼装置2を設けており、ボイラ中央部の燃焼室3内で火炎の燃焼を行う。燃焼装置2には、メインバーナ5とパイロットバーナ6を設けており、燃焼装置2で使用する燃焼用空気は、送風機10によって供給する。送風機10からの燃焼用空気は送風路7を通して送っており、ウインドボックス8で燃焼用空気を整流してメインバーナ5及びパイロットバーナ6へ供給する。
【0013】
燃焼装置2への燃料供給は、燃料供給配管4を通して行う。燃料供給配管4は途中で分岐しており、メインバーナ5及びパイロットバーナ6のそれぞれと接続している。メインバーナ5へ接続している燃料供給配管4にはメイン燃料遮断弁13を設け、パイロットバーナ6へ接続している燃料供給配管4にはパイロット燃料遮断弁12を設けている。メインバーナ5への燃料供給は、メイン燃料遮断弁13を開くことで行い、パイロットバーナ6への燃料供給は、パイロット燃料遮断弁12を開くことで行う。
【0014】
ボイラは下部の給水配管から給水を行い、垂直な伝熱管部分で加熱した後に気水分離器で蒸気と缶水に分離し、上部の蒸気配管9から蒸気を取り出して蒸気使用機器へ送る。ボイラには、蒸気圧力値を検出する圧力検出装置1を設けておき、圧力検出装置1で検出した蒸気圧力値に基づいて運転の制御を行う。圧力検出装置1、送風機10、パイロット燃料遮断弁12、メイン燃料遮断弁13のそれぞれと接続した運転制御装置11を設けておき、運転制御装置11が各機器の作動を制御することでボイラの運転を制御する。
【0015】
運転制御装置11には、圧力検出装置1で検出する蒸気圧力値に対応させて、燃焼装置2の燃焼状態を定めておく。蒸気圧力値がメイン燃焼開始設定値まで低下すると、メインバーナ5によるメイン燃焼を開始し、メイン燃焼による圧力上昇で蒸気圧力値がメイン燃焼停止設定値まで上昇すると、メインバーナ5での燃焼を停止するように設定しておく。
【0016】
運転制御装置11には、パイロットバーナ6によるパイロット燃焼の設定も行っておく。燃焼を行っていない状態から燃焼を開始する場合は、最初に燃焼室3内の換気を行う必要があり、換気後にパイロットバーナ6の着火を行ってパイロットバーナ6によるパイロット燃焼を開始する。パイロットバーナ6による燃焼を行っている状態でメイン燃料遮断弁13を開き、メインバーナ5への燃料供給を開始すると、パイロットバーナ6の火炎がメインバーナ5に移り、メインバーナ5によるメイン燃焼が開始される。
メインバーナ5による燃焼を開始すると、パイロットバーナ6による燃焼は必要なくなるため、メイン燃焼開始後にパイロット燃料遮断弁12を閉じることでパイロットバーナ6での燃焼を停止する。
【0017】
また、蒸気圧力値の上昇によって燃焼待機とする場合は、メイン燃焼を停止する前にパイロットバーナ6による燃焼を開始する。燃焼を完全に停止した場合、次回の燃焼開始時には初起動時と同様に燃焼準備の工程から開始しなければならず、実際に稼働するまでの時間が長く掛かる。そのため、燃焼待機時でもパイロットバーナ6による燃焼を行っておき、メイン燃焼が必要になった場合にはすぐにメインバーナ5による燃焼が開始できるようにしておく。メイン燃焼からパイロット燃焼に移行する場合も、メインバーナ5の燃焼中にパイロット燃料遮断弁12を開くことでパイロットバーナ6への燃料供給を開始すると、メインバーナ5の火炎がパイロットバーナ6に移り、パイロットバーナ6による燃焼が開始される。パイロットバーナ6での燃焼開始後、メイン燃料遮断弁13を閉じることでメインバーナ5での燃焼を停止する。
【0018】
また、運転制御装置11には、パイロット燃焼時間を計測しておき、パイロット燃焼時間が所定時間に達した場合には、圧力維持のためのメイン燃焼を開始するように設定しておく。ここでのメイン燃焼は、蒸気圧力値がメイン燃焼開始設定値まで低下していなくても行う。パイロットバーナ6による燃焼であってもボイラに対する熱の供給は行われるが、パイロットバーナ6による燃焼量ではボイラからの放熱量よりも小さい。そのため、図2にあるようにパイロット燃焼の場合には、ボイラ内は冷えていくためにボイラ内の圧力は低下していく。そこで、パイロット燃焼時には定期的にメインバーナによる短時間の燃焼を行い、ボイラ内の蒸気圧力値を少しだけ高める。パイロット燃焼が長くなった場合には、メインバーナによる燃焼を所定の時間だけ行うようにしておくと、メインバーナ熱供給量はボイラからの放熱量よりも大きいため、ボイラ内の圧力は上昇する。
【0019】
パイロット燃焼時にボイラ内の蒸気圧力が低下しても、メインバーナの燃焼による蒸気圧力値の上昇を定期的に繰り返すことで蒸気圧力値は回復させることができる。パイロット燃焼時の蒸気圧力値の低下と、短時間のメイン燃焼を定期的に行う蒸気圧力値の上昇を繰り替えすことによって、ボイラの蒸気圧力値を一定の幅内に維持することができる。
そのため、燃焼量を可変としたパイロットバーナを使用する必要はなく、通常のパイロットバーナ及びメインバーナで蒸気圧力を維持することができるため、装置を複雑化する必要がなく、装置のコストを低減することができる。
【0020】
メインバーナの燃焼によるボイラ内圧力の上昇は、パイロット燃焼の経過時間を検出しておき、所定時間が経過するごとに一定時間のメイン燃焼を行うというものであれば、タイマー装置のみで制御が可能となり、非常に安価なものとすることができる。また、ボイラ内での蒸気圧力値や温度を検出する仕組みを持っているものであれば、パイロット燃焼の継続によって蒸気圧力値や温度が所定の値まで低下したことを検出し、メイン燃焼を開始するものであってもよい。
【0021】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 圧力検出装置
2 燃焼装置
3 燃焼室
4 燃料供給配管
5 メインバーナ
6 パイロットバーナ
7 送風路
8 ウインドボックス
9 蒸気配管
10 送風機
11 運転制御装置
12 パイロット燃料遮断弁
13 メイン燃料遮断弁

図1
図2