(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押圧力判定手段によって、前記押圧力の大きさが前記複数の押圧力値範囲のうち第1の押圧力値範囲に属するとの判定がなされた際、前記動作モード制御手段は、前記他の動作モードとして非プライベートモードを起動させ、
前記押圧力判定手段によって前記押圧力の大きさが前記複数の押圧力値範囲のうち第2の押圧力値範囲に属するとの判定がなされ、且つ前記接触判定手段によって当該指の接触位置が所定の表面位置範囲に属するとの判定がなされた際、前記動作モード制御手段は、前記他の動作モードとしてプライベートモードを起動させる
ことを特徴とする請求項1に記載のユーザインタフェース装置。
画像を画面に表示する画像表示部を備えており、該画像表示部を消灯する消灯モードを含む複数の動作モードを起動可能なユーザインタフェース装置に搭載されたプログラムであって、該ユーザインタフェース装置が、
前記画像表示部の画面上に接触した指によって与えられる押圧力を検出する押圧力検出部と、
当該指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと
を更に備えており、前記プログラムが、
各動作モードがそれぞれに割り当てられた複数の押圧力値範囲のいずれに、前記押圧力の大きさが属するかを判定する押圧力判定手段と、
当該指の接触位置が、前記タッチパネルにおける複数の表面位置範囲のいずれに属するかを判定する接触判定手段と、
前記消灯モードの発動時に、前記押圧力判定手段によって前記押圧力の大きさが1つの押圧力値範囲に属するとの判定がなされ、且つ前記接触判定手段によって当該指の接触位置が1つの表面位置範囲に属するとの判定がなされた際、該1つの押圧力値範囲と少なくとも該1つの表面位置範囲との組合せに対して割り当てられた動作モードを、該消灯モードに代わる他の動作モードとして起動させる動作モード制御手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするユーザインタフェース装置用のプログラム。
画像を画面に表示する画像表示部を備えており、該画像表示部を消灯する消灯モードを含む複数の動作モードを起動可能なユーザインタフェース装置における、動作モード起動方法であって、該ユーザインタフェース装置が、
前記画像表示部の画面上に接触した指によって与えられる押圧力を検出する押圧力検出部と、
当該指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネルと
を更に備えており、前記動作モード起動方法が、
各動作モードがそれぞれに割り当てられた複数の押圧力値範囲のいずれに、前記押圧力の大きさが属するかを判定するステップと、
当該指の接触位置が、前記タッチパネルにおける複数の表面位置範囲のいずれに属するかを判定するステップと、
前記消灯モードの発動時に、前記押圧力の大きさが1つの押圧力値範囲に属するとの判定がなされ、且つ当該指の接触位置が1つの表面位置範囲に属するとの判定がなされた際、該1つの押圧力値範囲と少なくとも該1つの表面位置範囲との組合せに対して割り当てられた動作モードを、該消灯モードに代わる他の動作モードとして起動させるステップと
を有することを特徴とする動作モード起動方法。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0028】
本発明によるユーザインタフェース装置は、ディスプレイを消灯する消灯モードを含む複数の動作モードを起動可能となっている。このユーザインタフェース装置は、この消灯モードの起動時に、ディスプレイの画面上に接触した指によって与えられる押圧力p
cの大きさが所定閾値p
th以上である際、消灯モードに代えて他の動作モードを起動させる点に特徴を有する。
【0029】
このように、消灯モードから他の動作モードへの切り換えが、消灯されたディスプレイの画面を所定以上の力で押し込む操作によって実現される。この押し込み操作は、周囲の人に気付かれないほど簡易であって、しかも単なる接触に較べて誤動作を生じ難い。
【0030】
また、1つの実施形態として、複数の動作モードが、指による押圧力p
cについての複数の押圧力値範囲それぞれに割り当てられていることも好ましい。この場合、このユーザインタフェース装置は、消灯モードの起動時に、押圧力p
cの大きさが1つの押圧力値範囲に属する際、この1つの押圧力値範囲に割り当てられた動作モードを起動させる。
【0031】
ここで、以下に説明する実施形態において、ユーザインタフェース装置に具備される複数の動作モードを列挙する。
(a)スリープモード(消灯モード):ディスプレイを消灯した省電力状態を実現する動作モード。本モードでは、消費電力をより抑制するため、作業中のデータをメモリ又はハードディスクに待避させることも好ましい。さらに、実施形態によっては、指の接触位置を出力するタッチパネルへの電力供給を停止することも可能である。尚、このスリープモードでも、指による押圧力p
cを検出する後述の押圧力検出部への電力供給は継続される。
【0032】
(b)プライベートモード(非消灯モード):ディスプレイを点灯し、タッチパネル及び押圧力検出部にも電力を供給して、個人情報を取り扱える動作状態を実現する動作モード。プライベートリストに登録された相手との携帯電話網による着信・発信の履歴、送受信メールの履歴・内容は、このプライベートモードの発動中にしか閲覧できない。また、プライベートリストに登録された相手からの着信は、プライベートモード発動中にのみ通知される。さらに、プライベートモード発動中に撮影された写真・動画のファイルは、プライベートモード発動中にしか確認され得ない。
【0033】
(c)通常モード(非消灯モード):ディスプレイを点灯し、タッチパネル及び押圧力検出部にも電力を供給して、通常の動作状態を実現する動作モード。この通常モードは、非プライベートモードとなる。すなわち、プライベートリストに登録された相手との携帯電話網による着信・発信の履歴、送受信メールの履歴・内容は、この通常モードの発動中には閲覧できない。また、プライベートリストに登録された相手からの着信は、通常モード発動中には通知されない。この通知されなかった着信は、プライベートモードに切り換えた際に確認可能となる。さらに、プライベートモード発動中に撮影された写真・動画のファイルは、通常モード発動中には確認され得ない。
【0034】
さらに、後述の
図3を用いて説明する実施形態においては、以下の動作モードも備えられている。
(d)ビジネスモード(非消灯モード):ディスプレイを点灯し、タッチパネル及び押圧力検出部にも電力を供給して、ビジネス情報を取り扱える動作状態を実現する動作モード。このモードは非プライベートモードでもある。ビジネスリストに登録された相手との携帯電話網による着信・発信の履歴、送受信メールの履歴・内容は、このビジネスモードの発動中にしか閲覧できない。また、ビジネスリストに登録された相手からの着信は、ビジネスモード発動中にのみ通知される。さらに、ビジネスモード発動中に撮影された写真・動画のファイルは、ビジネスモード発動中にしか確認され得ない。
【0035】
尚、本発明に係る動作モードは、当然に以上の分類に限定されるものではない。動作モードとして、少なくともディスプレイを消灯した省電力状態を実現する消灯モード(スリープモード)と、ディスプレイが点灯した非消灯モードとを備えていればよい。
【0036】
また、本発明によるユーザインタフェース装置の多くは、片手又は両手で携帯され、保持した手の指で操作することが可能なスマートフォンやタブレット型コンピュータのような携帯型情報機器である。従って、以下、本発明の実施形態として、携帯型情報機器を説明する。
【0037】
図1は、本発明による携帯型情報機器での、スリープモードから通常モードへの切り換え操作を説明するための、携帯型情報機器の前面図、及び指による操作の概略図である。
【0038】
図1(A)に、スリープモード発動中の携帯型情報機器1の前面図を示す。この前面図によれば、ディスプレイ101は消灯されており、ディスプレイ101の画面には何も表示されていない。尚、このスリープモードは、機器1に対する操作が所定時間なされなかった場合に自動的に起動されてもよく、または電源ボタン104等の所定のボタンを押下することによって起動されてもよい。
【0039】
また、ディスプレイ101の画面上に、指の接触位置を時間経過に応じて逐次出力するタッチパネル100が配置されている。本実施形態では、スリープモード発動中には、このタッチパネル100にも電力は供給されていない。さらに、タッチパネル100下(
図1(A)ではタッチパネル100の四隅下)に、押圧力検出部103が配置されている。押圧力検出部103は、指によってタッチパネル100に与えられる押圧力p
Cを検出する。この押圧力検出部103には、スリープモード発動中であっても電力が供給されている。
【0040】
以下、動作モードをスリープモードから通常モードへ切り替える操作を説明する。最初に、ユーザは、携帯型情報機器1を保持し、保持した手の指(
図1(A)では右手の親指)で、消灯されたディスプレイ101の画面に接触する。ここで、指の接触位置105は、画面内(タッチパネル100内)のいずれの位置であっても構わない。次いで、ユーザは、この接触した指を画面に押し込む。この指による押圧力p
cの大きさが、通電されている押圧力検出部103によって測定される。
【0041】
この押圧力p
cの大きさが所定の閾値p
th以上である場合、スリープモードが解除され、
図1(B)に示すように、動作モードが、スリープモードから通常モードへ切り替えられる。
【0042】
ここで、
図1(B)では、最初に、動作モード状態が、スリープモードから通常モードのロック状態へ切り替えられている。ロック状態では、ディスプレイ101が点灯され、タッチパネル100も通電されるが、ディスプレイ101の画面に表示された画像は固定され、ロック解除の操作以外は受け付けられない。このロック状態は、スリープモード解除後のタッチパネル100を介した誤動作を防止するために設定される。尚、当然に、スリープモードからロック状態を経ずに通常モードへ切り替える形態も可能である。
【0043】
次いで、ユーザは、表示されたロック解除領域107を、指によって所定の閾値p
th以上の押圧力p
cで押し込む。これにより、ロック状態が解除され、ディスプレイ101の画面が、通常モードの待ち受け画面に切り替えられる。この通常モードでは、ディスプレイ101が点灯され、タッチパネル100も通電されて、画像・データ等が表示され得る状態となり、通常の操作も可能となる。
【0044】
尚、押圧力の閾値p
thは、例えば、0.5N(ニュートン)乃至2.0Nの範囲内の値とすることができる。また、ロック状態の解除方法として、ロック解除領域107に指を接触させて解除してもよく、ロック解除領域107を、接触させた指で一方向(例えば下側)にドラッグすることによって解除してもよい。
【0045】
また、他の実施形態として、消灯モードの発動時に、指による押圧力p
cの大きさが所定の閾値p
th以上であって、且つ指がタッチパネル100のいずれかの位置に接触した(指の接触がタッチパネル100で検知された)際、消灯モードに代えて通常モード(他の動作モード)を起動させることも好ましい。この場合、スリープモード発動中でも、タッチパネル100に電力が供給される。ここで、動作モードの切り替えは、押圧力p
c値の判定と、タッチパネル100への接触の有無の判定との両方に基づいて決定される。
【0046】
以上述べたように、携帯型情報機器1では、スリープモードから通常モード(他の動作モード)への切り換えが、消灯されたディスプレイ101の画面を押し込む操作によって実現される。すなわち、押し難い位置に設けられた電源ボタン104等を押下する操作を必要としない。また、この押し込み操作は、画面を所定以上の押圧力p
c(≧p
th)で単に押し込むだけであり、機器1を保持した状態で即、保持した手の指(親指)をもって容易に実行される。押し込む位置(接触位置105)も画面内の任意の位置であって、位置を見て確認する必要もない。結果として、この押し込み操作は、周囲の人に操作したこと自体を気付かれないほど簡易な操作となっている。
【0047】
また、スリープモード(及びロック状態)を解除した後、押し込み操作を行った手の状態でそのまま、通常モード(他の動作モード)での操作が可能となるので、電源ボタン104等を押下する場合と比較して、操作性も向上する。
【0048】
さらに、携帯型情報機器1では、単に、画面(タッチパネル100)に接触する操作ではなく、所定以上の押圧力p
c(≧p
th)で押し込む操作が必要となるので、不要・不本意な接触によって誤動作が生じることもない。以上、携帯型情報機器1は、周囲の人に気付かれないほど簡易な操作で、誤動作を抑制しつつ、スリープモードに代えて通常モード(他の動作モード)を起動可能であることが理解される。
【0049】
尚、スリープモードに代わって通常モード(又は通常モードのロック状態)が起動する際、押し込まれた指に対して触覚応答としての振動106が付与されることも好ましい。これにより、ユーザは、実行した押し込み操作が有効に作用したことを指先から確認することができる。また、振動の程度を十分に抑えることによって、振動による応答があったことを、周囲の人に気付かれないようにすることも可能となる。
【0050】
図2は、本発明の携帯型情報機器における他の実施形態を示す、携帯型情報機器の前面図、及び指による操作の概略図である。
【0051】
図2(A)は、スリープモード発動中の携帯型情報機器2の前面図である。この前面図においても、
図1(A)の携帯型情報機器1と同様に、ディスプレイ201は消灯されており、タッチパネル200にも電力は供給されていないが、押圧力検出部203は通電されている。
【0052】
以下、動作モードを、スリープモードから通常モードへ、又はスリープモードからプライベートモードへ切り換え分ける操作を説明する。
【0053】
最初に、ユーザは、携帯型情報機器2を保持し、保持した手の指(
図2(A)では右手の親指)で、消灯されたディスプレイ201の画面に接触する。ここで、指の接触位置205は、画面内(タッチパネル200内)のいずれの位置であっても構わない。次いで、ユーザは、この接触した指を画面に押し込む。この指による押圧力p
cの大きさが、通電されている押圧力検出部203によって測定される。
【0054】
本実施形態においては、さらに、通常モード、及びプライベートモードが、指による押圧力p
cについての第1の押圧力値範囲、及び第2の押圧力値範囲それぞれに割り当てられている。ここで、例えば、
(1a)第1の押圧力値範囲を、第1の閾値p
th1以上であって第2の閾値p
th2未満(p
th1≦p
c<p
th2)の範囲とし、
(2a)第2の押圧力値範囲を、第3の閾値p
th3以上であって第4の閾値p
th4未満(p
th3≦p
c<p
th4)の範囲とする。
【0055】
両押圧力値範囲は重畳しないように設定される。例えば、p
th1<p
th2≦p
th3<p
th4、又はp
th3<p
th4≦p
th1<p
th2に設定可能である。p
th1<p
th2≦p
th3<p
th4であるとして、第1の閾値p
th1は、例えば0.5N乃至1.0Nの範囲内の値とし、第3の閾値は、例えば1.0N乃至2.0Nの範囲内の値とすることができる。また、第4の閾値p
th4を非常に大きな値にする(すなわち実質的に上限を設けない)ことも可能である。
【0056】
これらの設定の下、押圧力検出部203によって測定された指による押圧力p
cの大きさが、
(1b)第1の押圧力値範囲に属する(p
th1≦p
c<p
th2)場合、通常モードが起動され(
図2(B))、
(2b)第2の押圧力値範囲に属する(p
th3≦p
c<p
th4)場合、プライベートモードが起動される(
図2(C))。
【0057】
例えば、p
th1<p
th2≦p
th3<p
th4に設定された場合、ユーザの操作から見て、指をもって所定の押圧力以上で比較的弱く押し込むと、スリープモードが解除して通常モードが起動され、比較的強く押し込むと、スリープモードが解除してプライベートモードが起動される。尚、押し込んだ指を戻しても(離しても)、その後、起動した動作モードは発動し続ける。
【0058】
ここで、通常モードは、
図1(B)の通常モードと同様である。一方、プライベートモードは、ディスプレイ201を点灯し、タッチパネル200及び押圧力検出部203にも電力を供給して、個人情報を取り扱える動作状態を実現する動作モードである。
【0059】
ここで、
図2(B)及び(C)ではそれぞれ、動作モード状態が最初に、スリープモードから、通常モードのロック状態及びプライベートモードのロック状態へ切り替えられている。このロック状態は、
図1(B)のロック状態と同様である。尚、当然に、スリープモードからロック状態を経ずに通常モード又はスリープモードへ切り替える形態も可能である。
【0060】
プライベートモードでは、
図2(C)に示すように、当初、ディスプレイ101の画面は、プライベートモードの待ち受け画面となる。ここで、例えば、通話又は電子メールのための画面を開いて、プライベートリストに登録された相手との携帯電話網による着信・発信の履歴、送受信メールの履歴・内容を閲覧することができる。また、プライベートリストに登録された相手からの着信は、このプライベートモードの発動中にのみ通知される。
【0061】
さらに、プライベートモード発動中に、撮影部209によって撮影された写真・動画のファイルは、ファイル管理部213によって保存・管理されている。このファイル管理部213のプライベートメモリに格納されたファイルは、プライベートモード発動中にしか確認され得ず、その内容を見ることもできない。
【0062】
このように、携帯型情報機器2では、スリープモードから通常モード、又はスリープモードからプライベートモードへの切り換えを、押し込みの程度を変える操作によって、確実に仕分けることができる。この押し込みの程度を変える操作は、非常に簡易な仕分け方法となっており、機器2を保持した状態で即、保持した手の指(親指)をもって容易に実行される。押し込む位置(接触位置205)も画面内の任意の位置であって、位置を見て確認する必要もない。すなわち、この押し込みの程度を変える操作は、周囲の人に操作したこと自体を気付かれないほど簡易な操作となっている。
【0063】
また、単に、画面(タッチパネル200)に接触する操作ではないので、不要・不本意な接触によって誤動作が生じることもない。以上、携帯型情報機器2は、周囲の人に気付かれないほど簡易な操作で、誤動作を抑制しつつ、スリープモードに代えて所望の動作モードを選択して起動させることができる。
【0064】
尚、スリープモードに代わって通常モード(又は通常モードのロック状態)が起動する際、押し込まれた指に対して第1の触覚応答としての振動206が付与され、一方、プライベートモード(又はプライベートモードのロック状態)が起動する際、第2の触覚応答として振動206とは異なる振動207が付与されることも好ましい。例えば、振動206は、「ブルッ」といった振動のように、振動単位が1つからなるパターンであるのに対し、振動207は、「ブルッ、ブルッ」といった振動のように、振動単位が2つからなるパターンであってもよい。これにより、ユーザは、強弱を意図して押し込んだ操作が有効に作用し、所望の動作モードが選択的に発動したことを指先から確認することができる。また、それぞれの振動の程度を十分に抑えることによって、振動による応答があったことを、周囲の人に気付かれないようにすることも可能となる。
【0065】
図3は、本発明の携帯型情報機器における更なる他の実施形態を示す、携帯型情報機器の前面図、及び指による操作の概略図である。
【0066】
図3(A)は、スリープモード発動中の携帯型情報機器3の前面図である。この前面図においても、
図1(A)の携帯型情報機器1と同様に、ディスプレイ301は消灯されている。但し、本実施形態において、タッチパネル300及び押圧力検出部203はともに通電されている。
【0067】
以下、動作モードを、スリープモードから通常モード、プライベートモード又はビジネスモードへ切り換え分ける操作を説明する。
【0068】
最初に、ユーザは、携帯型情報機器3を保持し、保持した手の指(
図3(A)では右手の親指)で、消灯されたディスプレイ301の画面に接触する。ここで、タッチパネル300(画面)の表面は、複数の表面位置範囲304、304′、並びに304
oth(304及び304′以外の表面位置範囲)に区分けされている。この通電されたタッチパネル300からの接触位置信号を用いて、指の接触位置305が、複数の表面位置範囲のいずれに属するかが判定される。
【0069】
次いで、ユーザは、この接触した指を画面に押し込む。この指による押圧力p
cの大きさが、通電されている押圧力検出部203によって測定される。本実施形態においては、
通常モード、及びプライベートモード・ビジネスモードが、指による押圧力p
cについての第1の押圧力値範囲(p
th1≦p
c<p
th2)、及び第2の押圧力値範囲(p
th3≦p
c<p
th4)それぞれに割り当てられている。これら第1及び第2の押圧力値範囲は、
図2を用いて説明したものと同様である。
【0070】
これらの設定の下、以下の通りに動作モードが切り換えられる。
(1)押圧力p
cの大きさが第1の押圧力値範囲に属し(p
th1≦p
c<p
th2)、且つ指の接触位置305が表面位置範囲304
oth(304及び304′以外の表面位置範囲)に属する場合、通常モードが起動される。すなわち、通常モードは、第1の押圧力値範囲と表面位置範囲304
othとの組合せを条件として起動するように設定される。
【0071】
(2)押圧力p
cの大きさが第2の押圧力値範囲に属し(p
th3≦p
c<p
th4)、且つ指の接触位置305が表面位置範囲304に属する場合、プライベートモードが起動される。すなわち、プライベートモードは、第2の押圧力値範囲と表面位置範囲304との組合せを条件として起動するように設定される。
(3)押圧力p
cの大きさが第2の押圧力値範囲に属し(p
th3≦p
c<p
th4)、且つ指の接触位置305が表面位置範囲304′に属する場合、ビジネスモードが起動される。すなわち、ビジネスモードは、第2の押圧力値範囲と表面位置範囲304′との組合せを条件として起動するように設定される。
【0072】
例えば、p
th1<p
th2≦p
th3<p
th4に設定された場合、ユーザの操作から見て、指をもって、表面位置範囲304及び304′以外の部分を所定の押圧力以上で比較的弱く押し込むと、スリープモードが解除して通常モードが起動され、表面位置範囲304を比較的強く押し込むと、スリープモードが解除してプライベートモードが起動され、表面位置範囲304′を比較的強く押し込むと、スリープモードが解除してビジネスモードが起動される。尚、
図3(B)は、スリープモードが解除してプライベートモードが起動した様子を示している。
【0073】
ここで、
図3(B)では、動作モード状態が最初に、スリープモードからプライベートモードのロック状態へ切り替えられている。このロック状態は、
図1(B)のロック状態と同様である。尚、当然に、スリープモードからロック状態を経ずにスリープモードへ切り替える形態も可能である。一方、動作モードがスリープモードからビジネスモード又は通常モードへ切り替わる際にも、ロック状態を経る形態が可能となる。
【0074】
ここで、変更態様として、通常モードは、指の接触位置305に拘わらず、押圧力p
cの大きさが第1の押圧力値範囲に属する場合に起動されるように設定することもできる。この場合、通常モードは、第1の押圧力値範囲と全表面位置範囲(304+304′+304
oth)との組合せを条件として起動することになる。このように、1つの押圧力値範囲と少なくとも1つの表面位置範囲との組合せに対して、1つの動作モードを割り当て、この組合せ条件が満たされた際に、割り当てられた動作モードを起動させることができる。その結果、種々の組合せ条件を形成することが可能となり、多様な動作モードの選択が可能となる。
【0075】
以上、携帯型情報機器3では、スリープモードから通常モード、又はスリープモードからプライベート(ビジネス)モードへの切り換えを、指を所定の表面位置範囲内に接触させ押し込みの程度を変える操作によって、確実に仕分けることができる。このうち押し込みの程度を変える操作は、非常に簡易な仕分け方法となっており、機器3を保持した状態で即、保持した手の指(親指)をもって容易に実行される。また、所定の表面位置範囲も、指(親指)が容易に届く範囲とすることによって、見て確認する必要がない程度に接触が容易となる位置にすることができる。従って、この指を所定の表面位置範囲内に接触させ押し込みの程度を変える操作は、周囲の人に操作したこと自体を気付かれないほど簡易な操作とすることが可能である。
【0076】
また、単に、画面(タッチパネル200)に接触する操作ではないので、不要・不本意な接触によって誤動作が生じることもない。以上、携帯型情報機器3は、周囲の人に気付かれないほど簡易な操作で、誤動作を抑制しつつ、スリープモードに代えて所望の動作モードを選択して起動させることができる。
【0077】
さらに、所定の動作モード(プライベート(ビジネス)モード)を起動させるのに、押圧力p
cの条件だけでなく接触位置305の条件も組み合わされるので、偶然に所定の動作モードが起動してしまう事態をより確実に回避することができる。その結果、個人(仕事)情報等の秘密情報の保護がより確実に図られる。この際、押圧力値範囲の区間幅及び表面位置範囲の面積を調整することによって、起動し易さとモード動作保護とのバランスをとることが可能となる。
【0078】
尚、本実施形態においても、スリープモードに代わって通常モード、プライベートモード、若しくはビジネスモード(又はいずれかのモードのロック状態)が起動する際、押し込まれた指に対して触覚応答として、それぞれ異なった種類の振動が付与されてもよい。これにより、ユーザは、所望の動作モードが選択的に発動したことを指先から確認することができる。また、それぞれの振動の程度を十分に抑えることによって、振動による応答があったことを、周囲の人に気付かれないようにすることも可能となる。
【0079】
図4は、本発明による携帯型情報機器3の構成を概略的に示す斜視図及び機能構成図である。
【0080】
図4によれば、携帯型情報機器3は、タッチパネル300と、ディスプレイ301と、触覚応答機構部302と、押圧力検出部303と、通信部308と、撮影部309と、プロセッサ・メモリとしての機能構成部とを備えている。ここで、機能構成部(プロセッサ・メモリ)は、携帯型情報機器3に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって、その機能を実現する。
【0081】
尚、他の実施形態としての携帯型情報機器1及び2も、
図4の機能構成によって実現される。この場合、後述する接触判定部321におけるスリープモード発動時の機能であって、指の接触位置がタッチパネルにおける複数の表面位置範囲のいずれに属するかを判定する機能は、用いられない。
【0082】
ディスプレイ301は、画面に画像を表示する。また、タッチパネル300は、ディスプレイ301の画面上に配置されており、ユーザの指の接触位置情報を、時間経過に応じて逐次、後述する接触判定部321に出力する。このタッチパネル300として、投影型静電容量方式タッチパネル、表面型静電容量方式タッチパネル、抵抗膜方式タッチパネル、超音波表面弾性波方式タッチパネル、又は赤外線走査方式タッチパネル等を採用することができる。
【0083】
触覚応答機構部302は、スリープモードが解除されて他の動作モードが起動した際、タッチパネル300に接触した指に対して、タッチパネル300を振動させることにより触覚応答を与える。触覚応答機構部302は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料を用いて形成された圧電アクチュエータとすることができる。
【0084】
押圧力検出部303は、指によってタッチパネル300に与えられる押圧力p
Cを検出する。押圧力検出部103は、例えば、タッチパネル300の四隅下に設置されており、指を押し付けられて撓んだタッチパネル300が自身に及ぼす押圧の合計を、押圧力p
Cとして検出する。この押圧力検出部303が出力する押圧力信号は、後述する押圧力判定部320に入力される。押圧力検出部303は、例えば、PZT等の圧電材料を用いて形成された圧電センサとすることができる。また、圧電アクチュエータで構成された触覚応答機構部302を設ける代わりに又は設けると共に、この押圧力検出部303を触覚応答機構部として利用することも可能である。
【0085】
通信部308は、携帯電話網を介した通話の発信・着信を制御し、電子メール等の送受信を制御する。通信部308は、通話の着信・発信の履歴、送受信メールの履歴・内容を後述する通信履歴管理部312に出力する。
【0086】
撮影部309は、レンズモジュールと、レンズモジュールからの光を受光して光電変換を行う電荷結合素子(CCD)と、CCDからの画像信号に対してゲイン調整等の処理を行う信号処理部と、処理された画像・動画信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、撮影画像・動画データを生成する画像処理部とを備えている。生成された撮影画像・動画データは、後述するファイル管理部313に出力される。
【0087】
同じく
図4によれば、プロセッサ・メモリとしての機能構成部は、押圧力判定部320と、接触判定部321と、動作モード制御部322と、触覚応答制御部323と、表示制御部310と、アプリケーション処理部311と、通信履歴管理部312と、ファイル管理部313と、ディスプレイ電源制御部314と、タッチパネル電源制御部315とを有する。
【0088】
押圧力判定部320は、押圧力検出部303からの押圧力信号を入力する。その後、押圧力判定部320は、この信号に基づいて、指による押圧力p
cの大きさが所定の押圧力閾値p
th以上であるか否か、又は各動作モードがそれぞれに割り当てられた複数の押圧力値範囲のいずれに、押圧力p
cの大きさが属するかを判定する。さらに、押圧力判定部320は、この判定結果を動作モード制御部322に出力する。
【0089】
接触判定部321は、タッチパネル300からの接触位置信号を入力する。その後、接触判定部321は、この信号に基づいて、指の接触位置が、タッチパネル300における複数の表面位置範囲のいずれに属するかを判定する。尚、この機能は、
図1及び
図2に示した携帯型情報機器1及び2には不要である。さらに、接触判定部321は、この判定結果を動作モード制御部322に出力する。
【0090】
動作モード制御部322は、スリープモードが起動された際、ディスプレイ電源制御部314に指示信号を出力し、ディスプレイ301を消灯させる。また、
図1及び
図2に示した携帯型情報機器1及び2では、タッチパネル電源制御部315に指示信号を出力し、タッチパネル300への通電も停止させる。これにより、スリープモード下、省電力化を図る。
【0091】
また、動作モード制御部322は、押圧力判定部320及び接触判定部321から判定結果を入力する。次いで、これらの(押圧力p
cの大きさ、又は押圧力p
cの大きさ及び指の接触位置に係る)判定結果に基づき、予め押圧力値範囲に割り当てられていた、又は押圧力値範囲と表面位置範囲との組合せに割り当てられていた動作モードを、スリープモードに代えて、起動させる。
【0092】
さらに、動作モード制御部322は、プライベート(ビジネス)モードを起動させた際、ディスプレイ電源制御部314に対してディスプレイを点灯させる指示を行い、タッチパネル電源制御部315に対してタッチパネル300へ電力を供給させる指示を行って、個人(仕事)情報を取り扱える状態に設定する。
【0093】
ここで、動作モード制御部322は、例えば、通信部308から出力されて通信履歴管理部312において保存・管理されている通話の着信・発信の履歴、送受信メールの履歴・内容のうち、通信履歴管理部312のプライベート(ビジネス)リストに登録された相手に係るものを表示可能とするように通信履歴管理部312(表示制御部310)に指示する。また、プライベート(ビジネス)リストに登録された相手からの着信も、このプライベート(ビジネス)モード発動中において、通知させる。
【0094】
さらに、動作モード制御部322は、例えば、撮影部209によって撮影されてファイル管理部213において保存・管理されている写真・動画のファイルのうち、ファイル管理部213のプライベート(ビジネス)メモリに格納されたものを表示可能とするようにファイル管理部213(表示制御部310)に指示する。
【0095】
一方、動作モード制御部322は、通常モードを起動させた際、通信履歴管理部312のプライベート(ビジネス)リストに登録された相手に係る通話の着信・発信の履歴、送受信メールの履歴・内容を表示不能にさせる。また、プライベート(ビジネス)リストに登録された相手からの着信も通知しない。さらに、ファイル管理部213のプライベート(ビジネス)メモリに格納された写真・動画のファイルを表示不能にさせる。
【0096】
触覚応答制御部323は、動作モード制御部322から出力される動作モード切り換え情報を入力する。次いで、この情報に基づいて、タッチパネル300に接触した指に対して所定の触覚応答を与えるべく、触覚応答機構部302を制御する。
【0097】
表示制御部310は、アプリケーション処理部311からのアプリケーション処理情報を入力して、アプリケーションの実行に応じた画像をディスプレイ301に表示させる。また、表示制御部310は、通信履歴管理部312、ファイル管理部313、及び動作モード制御部322から出力されるデータ・指示信号に応じて、発着信履歴、送受信メール履歴・内容、又は画像・ファイル等を表示する。
【0098】
図5は、本発明による携帯型情報機器3における動作モード起動方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【0099】
尚、
図5に示した実施形態では、指の接触位置305に拘わらず押圧力p
cの大きさが第1の押圧力値範囲(p
th1≦p
c<p
th2)に属する場合に、通常モードが起動される。また、押圧力p
cの大きさが第2の押圧力値範囲(p
th3≦p
c<p
th4)に属し、且つ指の接触位置305が表面位置範囲304に属する場合に、プライベートモードが起動される。当然に、その他の実施形態も、
図5の手順を容易に変更して実現可能となる。
【0100】
ここで、他の実施形態としての携帯型情報機器1及び2も、
図5の手順によって実現可能である。この場合、後述するステップS510及びS511(指の接触位置の測定・判定)は用いられない。すなわち、ステップS502(押圧力p
cの判定)で真の判定がなされた際には、即、プライベートモードが起動される。
【0101】
(S500)
図5によれば、最初に、動作モード制御部322によって、スリープモードが起動される。この際、ディスプレイ301も消灯される。
(S501)押圧力検出部303によって、指による押圧力p
cが測定される。
(S502)押圧力判定部320によって、押圧力p
cの大きさが第1の押圧力値範囲(p
th1≦p
c<p
th2)及び第2の押圧力値範囲(p
th3≦p
c<p
th4)のいずれかに属するか否かの判定がなされる。
【0102】
(S520)ステップS502で、押圧力p
cの大きさが第1の押圧力値範囲に属するとの判定がなされた際、動作モード制御部322によって、スリープモードが解除されて、通常モードが起動される。
(S521)通常モードが起動される際、押し込んだ指に第1の触覚応答が付与される。これにより、通常モードの起動(スリープモードから通常モードへの切り換え)が完了する。
【0103】
(S510)ステップS502で、押圧力p
cの大きさが第2の押圧力値範囲に属するとの判定がなされた際、タッチパネル300によって、指の接触位置305が測定される。一方、何れの押圧力値範囲にも属さないとの判定がなされた場合、ステップS501に戻って、指による押圧力p
cが測定(モニタ)される。
(S511)ステップS510の後、接触判定部321によって、指の接触位置305が表面位置範囲304に属するか否か(表面位置範囲304及びそれ以外の表面位置範囲のいずれに属するか)の判定がなされる。
【0104】
(S512)ステップS511で真の判定がなされた際、動作モード制御部322によって、スリープモードが解除されて、プライベートモードが起動される。
(S513)プライベートモードが起動される際、押し込んだ指に第2の触覚応答が付与される。これにより、プライベートモードの起動(スリープモードからプライベートモードへの切り換え)が完了する。
【0105】
以上、詳細に説明したように、本発明のユーザインタフェース装置、動作モード起動方法及びプログラムによれば、ディスプレイが消灯される消灯モードから所定の動作モードへの切り換えが、消灯されたディスプレイの画面を押し込む操作によって実現される。この押し込み操作は、画面を所定以上の(又は所定の押圧力値範囲内の)押圧力p
cで単に押し込むだけであり、装置を保持した手の指で容易に実行される。また、単なる接触操作と比較して不要・不本意な入力が生じ難い。その結果、周囲の人に気付かれないほど簡易な操作で、誤動作を抑制しつつ、スリープモードに代えて所望の動作モードが起動可能となる。
【0106】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。