特許第5777255号(P5777255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5777255現像装置およびそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777255
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】現像装置およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   G03G15/08 364
   G03G15/08 321B
   G03G15/08 322B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-49879(P2013-49879)
(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-174495(P2014-174495A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128842
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 温
(74)【代理人】
【識別番号】100134821
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 信行
(72)【発明者】
【氏名】池端 芳彰
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−171294(JP,A)
【文献】 特開2012−168232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを含む現像剤を収容する現像容器と、
前記現像容器内の前記現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送部材と、
前記現像容器内のトナー濃度またはトナー残量を検知するトナー検知センサーと、
前記撹拌搬送部材に設けられ、前記撹拌搬送部材が回転することにより前記トナー検知センサーの検知面を清掃するスクレーパーと、
を備え、
前記撹拌搬送部材は、正逆回転可能に構成されており、
前記スクレーパーは、前記撹拌搬送部材の正回転時に前記トナー検知センサーの検知面に接触する第1部材と、前記撹拌搬送部材の逆回転時に前記トナー検知センサーの検知面に接触する第2部材と、を有し、
前記第1部材は、前記第2部材よりも耐摩耗性が高く、
前記第2部材と前記検知面との間の摩擦係数は、前記第1部材と前記検知面との間の摩擦係数よりも高いことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記撹拌搬送部材は、画像形成時に正回転することにより前記現像容器内の現像剤を撹拌搬送するとともに、非画像形成時に逆回転することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第1部材はポリエチレンにより形成されており、
前記第2部材は不織布により形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記撹拌搬送部材は樹脂製であるとともに、回転軸と、前記回転軸に一体成型される羽根と、を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記撹拌搬送部材は、回転軸と、前記回転軸に設けられる羽根と、を有し、
前記スクレーパーの第2部材が、前記羽根の、前記撹拌搬送部材の正回転時に回転方向下流側となる面に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置およびそれを備えた画像形成装置に関し、特に、現像容器内のトナー濃度またはトナー残量を検知するトナー検知センサーと、トナー検知センサーの検知面を清掃するスクレーパーと、を含む現像装置およびそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、感光体等からなる像担持体上に形成した静電潜像を、現像装置により現像しトナー像として可視化することを行っている。このような現像装置の一つとして、二成分現像剤を用いる二成分現像方式が採用されている。この種の現像装置は、現像容器内にキャリアとトナーとからなる二成分現像剤を収容し、像担持体に現像剤を供給する現像ローラーを配設するとともに、現像容器内部の現像剤を攪拌しながら搬送して現像ローラーへと供給する撹拌搬送部材を配設している。
【0003】
この現像装置では、現像動作によってトナーが消費されていく。このため、現像により消費された分のトナーを補給するために、現像容器内に配置されたトナー濃度検知センサー(トナー検知センサー)により現像剤中のトナー濃度を測定する必要がある。
【0004】
ここで、トナー濃度を正確に測定するためには、トナー濃度検知センサーの検知面に現像剤が堆積するのを抑制する必要がある。そこで、撹拌搬送部材に、トナー濃度検知センサーの検知面を清掃するためのスクレーパーを設けている。これにより、撹拌搬送部材の回転時に、スクレーパーがトナー濃度検知センサーの検知面を摺動して清掃する。スクレーパーとして不織布を用いた場合、トナー濃度検知センサーの検知面を効果的に清掃することができる。
【0005】
なお、例えば特許文献1には、トナー濃度検知センサーの検知面を清掃するためのスクレーパーとして不織布を用いた現像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−168232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、スクレーパーとして不織布を用いた場合、不織布はトナー濃度検知センサーの検知面を長期間に亘り摺動することによって摩耗する。このため、トナー濃度検知センサーの検知面に現像剤が堆積するのを長期間に亘って抑制することが困難であるという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、トナー検知センサーの検知面に現像剤が堆積するのを長期間に亘って抑制することが可能な現像装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の現像装置は、トナーを含む現像剤を収容する現像容器と、現像容器内の現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送部材と、現像容器内のトナー濃度またはトナー残量を検知するトナー検知センサーと、撹拌搬送部材に設けられ、撹拌搬送部材が回転することによりトナー検知センサーの検知面を清掃するスクレーパーと、を備え、撹拌搬送部材は、正逆回転可能に構成されており、スクレーパーは、撹拌搬送部材の正回転時にトナー検知センサーの検知面に接触する第1部材と、撹拌搬送部材の逆回転時にトナー検知センサーの検知面に接触する第2部材と、を有し、第1部材は、第2部材よりも耐摩耗性が高く、第2部材と検知面との間の摩擦係数は、第1部材と検知面との間の摩擦係数よりも高い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スクレーパーは、撹拌搬送部材の正回転時にトナー検知センサーの検知面に接触する第1部材と、撹拌搬送部材の逆回転時にトナー検知センサーの検知面に接触する第2部材と、を有し、第1部材は、第2部材よりも耐摩耗性が高い。これにより、撹拌搬送部材の正回転時において、スクレーパーがトナー検知センサーの検知面を摺動して摩耗するのを抑制することができるので、トナー検知センサーの検知面に現像剤が堆積するのを長期間に亘って抑制することができる。このため、トナー検知センサーにより、トナー濃度またはトナー残量を長期間に亘って精度良く検知することができる。
【0011】
また、第2部材と検知面との間の摩擦係数は、第1部材と検知面との間の摩擦係数よりも高い。すなわち、第2部材は、第1部材に比べて、トナー検知センサーの検知面に対する清掃力が大きい。これにより、撹拌搬送部材を逆回転することによって、第2部材によりトナー検知センサーの検知面をより効果的に清掃することができる。このため、トナー検知センサーの検知面に徐々に堆積して第1部材のみでは除去しきれない現像剤の薄膜を、第2部材により除去することができる。これにより、トナー検知センサーにより、トナー濃度またはトナー残量を長期間に亘ってより精度良く検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態の現像装置を備えた画像形成装置の全体構成を示した断面図である。
図2】本発明の一実施形態の現像装置の構造を示した側面断面図である。
図3】本発明の一実施形態の現像装置の撹拌部の構造を示した平面断面図である。
図4】本発明の一実施形態の現像装置の第1スパイラルの構造を示した斜視図である。
図5】本発明の一実施形態の現像装置の第1スパイラルの構造を示した斜視図である。
図6】本発明の一実施形態の現像装置の第1スパイラル周辺の構造を示した側面断面図である。
図7】本発明の一実施形態の現像装置のスクレーパーの構造を示した拡大斜視図である。
図8】本発明の一実施形態の現像装置のスクレーパーの構造を示した拡大斜視図である。
図9】本発明の一実施形態の現像装置の第1スパイラル周辺の構造を示した側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1図9を参照して、本発明の一実施形態による画像形成装置1の構造について説明する。本実施形態の画像形成装置1はタンデム型のカラープリンターであり、回転自在である感光体ドラム(像担持体)11a〜11dは、例えば有機感光層が形成された有機感光体(OPC感光体)やアモルファスシリコン感光層が形成されたアモルファスシリコン感光体が用いられ、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックの各色に対応させて配設される。各感光体ドラム11a〜11dの周囲に、現像装置2a〜2d、露光ユニット12、帯電器13a〜13d及びクリーニング装置14a〜14dが配設される。
【0015】
現像装置2a〜2dは、感光体ドラム11a〜11dの右方に夫々対向して配置され、感光体ドラム11a〜11dにトナーを供給する。帯電器13a〜13dは、感光体回転方向に対し現像装置2a〜2dの上流側であって感光体ドラム11a〜11dの表面に対向して配置され、感光体ドラム11a〜11d表面を一様に帯電させる。
【0016】
露光ユニット12は、パーソナルコンピューター等から画像入力部(図略)に入力された文字や絵柄などの画像データに基づいて、各感光体ドラム11a〜11dを走査露光するためのものであり、現像装置2a〜2dの下方に設けられる。露光ユニット12には、レーザー光源、ポリゴンミラーが設けられ、各感光体ドラム11a〜11dに対応して反射ミラー及びレンズが設けられる。レーザー光源から出射されたレーザー光が、ポリゴンミラー、反射ミラー及びレンズを介して、帯電器13a〜13dの感光体回転方向下流側から、各感光体ドラム11a〜11dの表面に照射される。照射されたレーザー光により、各感光体ドラム11a〜11d表面には静電潜像が形成され、この静電潜像が各現像装置2a〜2dによりトナー像に現像される。
【0017】
無端状の中間転写ベルト17は、テンションローラー6、駆動ローラー25及び従動ローラー27に張架されている。駆動ローラー25は図示しないモーターによって回転駆動され、中間転写ベルト17は駆動ローラー25の回転によって循環駆動させられる。
【0018】
この中間転写ベルト17に接触するように各感光体ドラム11a〜11dが中間転写ベルト17の下方で搬送方向(図1の矢印方向)に沿って隣り合うように配列されている。各一次転写ローラー26a〜26dは、中間転写ベルト17を挟んで各感光体ドラム11a〜11dと対向し、中間転写ベルト17に圧接して一次転写部を形成する。この一次転写部において、中間転写ベルト17の回転とともに所定のタイミングで各感光体ドラム11a〜11dのトナー像が中間転写ベルト17に順次転写される。これにより、中間転写ベルト17表面にはマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたフルカラートナー像が形成される。
【0019】
二次転写ローラー34は、中間転写ベルト17を挟んで駆動ローラー25と対向し、中間転写ベルト17に圧接して二次転写部を形成する。この二次転写部において、中間転写ベルト17表面のトナー像が用紙Pに転写される。転写後に、ベルトクリーニング装置31が中間転写ベルト17に残存するトナーを清掃する。
【0020】
画像形成装置1内の下方には、用紙Pを収納する給紙カセット32が配設され、給紙カセット32の右方には、手差しの用紙を供給するスタックトレイ35が配設される。給紙カセット32の左方には、給紙カセット32から繰り出された用紙Pを中間転写ベルト17の二次転写部に搬送する第1用紙搬送路33が配設される。また、スタックトレイ35の左方には、スタックトレイ35から繰り出された用紙を二次転写部に搬送する第2用紙搬送路36が配設される。更に、画像形成装置1の左上方には、画像が形成された用紙Pに対して定着処理を行う定着部18と、定着処理の行われた用紙を用紙排出部37に搬送する第3用紙搬送路39とが配設される。
【0021】
給紙カセット32は、画像形成装置1本体の外部(図1の表面側)に引き出すことにより用紙の補充を可能にしたもので、収納されている用紙Pがピックアップローラー33b及び給紙ローラー対33aにより1枚ずつ第1用紙搬送路33側に繰り出される。
【0022】
第1用紙搬送路33と第2用紙搬送路36とはレジストローラー対33cの手前で合流しており、レジストローラー対33cにより、中間転写ベルト17における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取って、用紙Pが二次転写部に搬送される。二次転写部に搬送された用紙Pは、バイアス電位が印加された二次転写ローラー34によって、中間転写ベルト17上のフルカラーのトナー像を二次転写され、定着部18に搬送される。
【0023】
定着部18は、ヒーターにより加熱される定着ベルトと、定着ベルトに内接する定着ローラーと、定着ベルトを挟んで定着ローラーに圧接して配設された加圧ローラー等とを備え、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧することにより定着処理を行う。用紙Pは、トナー像が定着部18で定着された後、必要に応じて第4用紙搬送路40で反転されて用紙Pの裏面にも二次転写ローラー34でトナー像が二次転写され、定着部18で定着される。トナー像が定着された用紙Pは第3用紙搬送路39を通って、排出ローラー対19により用紙排出部37に排出される。
【0024】
次に、図2を参照して、現像装置2aの詳細構造について説明する。なお、図2図1の背面側から見た状態を示しており、現像装置2a内の各部材の配置は図1と左右が逆になっている。また、以下の説明では、図1に示す感光体ドラム11aに対応する現像装置2aの構成及び動作について説明するが、現像装置2b〜2dの構成及び動作については現像装置2aと同様であるので、説明を省略し、また各色の現像装置及び感光体を示すa〜dの符号を省略する。
【0025】
図2に示すように、現像装置2は、現像ローラー(現像剤担持体)20と、磁気ローラー21と、規制ブレード24と、攪拌搬送部材42、及び現像容器22等により構成されている。
【0026】
現像容器22は、現像装置2の外郭を構成し、その下部で仕切り部22bによって第1搬送室22cと第2搬送室22dに仕切っている。第1搬送室22c及び第2搬送室22dには、キャリアとトナーからなる二成分現像剤が収容される。また、現像容器22は、攪拌搬送部材42、磁気ローラー21及び現像ローラー20を回転可能に保持している。更に、現像容器22には、現像ローラー20を感光体ドラム11に向けて露出させる開口22aが形成されている。
【0027】
現像ローラー20は、感光体ドラム11に対向し、一定の間隔を設けて感光体ドラム11の左方に配設される。また、現像ローラー20は、感光体ドラム11に接近した対向位置において、感光体ドラム11にトナーを供給する現像領域Dを形成している。磁気ローラー21は、一定の間隔を設けて現像ローラー20に対向し、現像ローラー20の左斜め下方に配設される。また、磁気ローラー21は、現像ローラー20に接近した対向位置において、現像ローラー20にトナーを供給する。攪拌搬送部材42は磁気ローラー21の略下方に配設される。また、規制ブレード24は磁気ローラー21の右斜め下方にて現像容器22に固定保持されている。
【0028】
攪拌搬送部材42は、第1スパイラル43と第2スパイラル44の2本で構成される。第2スパイラル44が磁気ローラー21の下方で、第2搬送室22d内に設けられ、第1スパイラル43が第2スパイラル44の左方に隣接して、第1搬送室22c内に設けられる。
【0029】
第1及び第2スパイラル43、44は現像剤を攪拌して現像剤中のトナーを所定のレベルに帯電させる。これによりトナーはキャリアに保持される。また、第1搬送室22cと第2搬送室22dを仕切る仕切り部22bの長手方向(図2の紙面表裏方向)の両端部分には、連通部(後述する上流側連通部22eおよび下流側連通部22f)が設けられており、第1スパイラル43が回転すると、帯電した現像剤が仕切り部22bに設けた一方の連通部から第2スパイラル44に搬送され、現像剤が第1搬送室22c内と第2搬送室22d内とを循環する。そして、第2スパイラル44から磁気ローラー21に現像剤が供給される。
【0030】
磁気ローラー21は、ローラー軸21aと磁極部材M及び非磁性材からなる非磁性スリーブ21bを備え、攪拌搬送部材42により供給された現像剤を担持し、担持した現像剤からトナーのみを現像ローラー20に供給するものである。磁極部材Mは、断面扇形に形成された外周部の極性の異なる複数の磁石が配設され、ローラー軸21aに接着等により固着される。ローラー軸21aは、非磁性スリーブ21b内で、磁極部材Mと非磁性スリーブ21bの間に所定の間隔を設けて、現像容器22に回転不能に支持される。非磁性スリーブ21bは、図示しないモーターと歯車からなる駆動機構により、現像ローラー20と同方向(図2の反時計回り方向)に回転し、また直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスを印加される。非磁性スリーブ21b表面において、帯電した現像剤は磁極部材Mの磁力によって磁気ブラシを形成して担持され、磁気ブラシは規制ブレード24によって所定の高さに調節される。
【0031】
非磁性スリーブ21bが回転すると、磁気ブラシは、磁極部材Mによって非磁性スリーブ21b表面に担持されて搬送され、現像ローラー20に接触すると、磁気ブラシのトナーのみが、非磁性スリーブ21bに印加されたバイアスに応じて、現像ローラー20に供給される。
【0032】
現像ローラー20は、固定軸20aと、磁極部材20bと、非磁性の金属材料で円筒状に形成される現像スリーブ20c等を備えて構成されている。
【0033】
固定軸20aは現像容器22に回転不能に支持される。この固定軸20aには、現像スリーブ20cが回転自在に保持され、更に、磁石よりなる磁極部材20bが磁気ローラー21と対向する位置に現像スリーブ20cと所定の間隔を設けて、接着等により固着される。現像スリーブ20cは、図示しないモーターと歯車からなる駆動機構により、図2の矢印方向(反時計回り方向)に回転させられる。また、現像スリーブ20cには、直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
【0034】
現像バイアスを印加された現像スリーブ20cが図2の反時計回り方向に回転すると、現像領域Dにおいて、現像バイアス電位と感光体ドラム11の露光部位の電位との電位差により、現像スリーブ20c表面に担持されたトナーが感光体ドラム11に飛翔する。飛翔したトナーは図2の矢印方向(時計回り方向)に回転する感光体ドラム11上の露光部位に順次付着し、感光体ドラム11上の静電潜像が現像される。
【0035】
次に、現像装置の攪拌部について詳しく説明する。
【0036】
図3に示すように現像容器22には、前述のように、仕切り部22bと、第1搬送室22cと、第2搬送室22dと、上流側連通部22eと、下流側連通部22fとが形成され、その他に、現像剤補給口22gが形成されている。この現像剤補給口22gは、現像容器22の上部に設けられた現像剤補給容器(図略)から新たなトナー及びキャリアを現像容器22内に補給するための開口であり、第1搬送室22cの上流側(図3の左側)の上部に形成される。なお、第1搬送室22cにおいて、図3の左側を上流側、図3の右側を下流側とし、また、第2搬送室22dにおいて、図3の右側を上流側、図3の左側を下流側とする。従って、連通部は、第2搬送室22dを基準として、上流及び下流と呼称している。
【0037】
仕切り部22bは、現像容器22の長手方向に延びて第1搬送室22cと第2搬送室22dを並列させるように仕切っている。上流側連通部22eおよび下流側連通部22fは、仕切り部22bの長手方向の一方側および他方側(A1方向側およびA2方向側)にそれぞれ形成されている。上流側連通部22eは、第1搬送室22cおよび第2搬送室22dのA1方向の端部同士を連通している。下流側連通部22fは、第1搬送室22cおよび第2搬送室22dのA2方向の端部同士を連通している。そして現像剤は、第1搬送室22c、上流側連通部22e、第2搬送室22d、及び下流側連通部22f内を循環することが可能である。
【0038】
第1スパイラル43は、回転軸43bと、回転軸43bに一体に設けられ、回転軸43bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される第1螺旋羽根(羽根)43aとを有する。回転軸43bは現像容器22に回転可能に軸支されている。第1螺旋羽根43aは、第1搬送室22c内の現像剤を撹拌しながらA1方向に搬送する。
【0039】
また、第1スパイラル43には図4および図5に示すように、第1螺旋羽根43aおよび回転軸43bに一体で、現像剤の搬送速度を調節するための複数のリブ43cが形成されている。なお、第1スパイラル43は、図示しないモーターによって回転駆動されるとともに、印字動作時(画像形成時)に回転する方向である正回転と、後述する不織布52aによる清掃動作時(非画像形成時)に回転する方向である逆回転と、が可能となるように構成されている。
【0040】
第2スパイラル44は図3に示すように、回転軸44bと、回転軸44bに一体に設けられ、回転軸44bの軸方向に第1螺旋羽根43aと同じピッチで第1螺旋羽根43aとは逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成される第2螺旋羽根44aとを有する。回転軸44bは、回転軸43bと平行に配置され、現像容器22に回転可能に軸支されている。第2螺旋羽根44aは、第2搬送室22d内の現像剤をA2方向(A1方向とは反対方向)に撹拌搬送しながら現像ローラー20に現像剤を供給する。
【0041】
また、第1スパイラル43はPS(ポリスチレン)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、PC(ポリカーボネート)などの樹脂により形成されており、第1螺旋羽根43aおよび回転軸43bは一体成型されている。同様に、第2スパイラル44もPS、ABS、PCなどの樹脂により形成されており、第2螺旋羽根44aおよび回転軸44bは一体成型されている。なお、回転軸43bおよび44bは樹脂のみにより形成されており、軸芯に金属棒を用いたものではない。
【0042】
また、図3および図6に示すように、第1搬送室22cには現像剤搬送方向(図3の白矢印方向)に対し上流側連通部22eの上流側に隣接してトナー濃度検知センサー(トナー検知センサー)51が配置されている。
【0043】
トナー濃度検知センサー51としては、現像容器22内における現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。トナー濃度検知センサー51により現像剤の透磁率が検出されると、その検出結果に相当する電圧値を制御部(図示せず)に出力するよう構成されており、制御部によってトナー濃度検知センサー51の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。
【0044】
センサー出力値はトナー濃度に応じて変化し、トナー濃度が高くなるほど磁性キャリアに対するトナーの比率が高くなり、磁気を通さないトナーの割合が増加するため出力値が低くなる。一方、トナー濃度が低くなるほどキャリアに対するトナーの比率が低くなり、磁気を通すキャリアの割合が増加するため出力値が高くなる。
【0045】
また、第1スパイラル43には図4図6に示すように、トナー濃度検知センサー51に対向する部分にスクレーパー52が設けられている。スクレーパー52は図7および図8に示すように、同形状の不織布(第2部材)52aとポリエチレンシート(第1部材)52bとを図示しない接着層を用いて貼り合せることにより形成されている。
【0046】
不織布52aは約1mmの厚みを有し、ポリエチレンシート52bは約0.1mm〜約0.2mmの厚みを有する。不織布52aとトナー濃度検知センサー51の検知面51aとの間の摩擦係数は、ポリエチレンシート52bとトナー濃度検知センサー51の検知面51aとの間の摩擦係数よりも高い。また、ポリエチレンシート52bは、約100万〜約700万の分子量を有する所謂超高分子量ポリエチレンにより形成されており、不織布52aよりも耐摩耗性が高い。
【0047】
不織布52aの内周側(不織布52aが第1スパイラル43に貼り付けられた際の回転軸43b側の部分)には、両面テープなどからなる接着層53が貼り付けられている。そして、スクレーパー52は図6に示すように、第1螺旋羽根43aの、第1スパイラル43の正回転時に回転方向下流側となる面に、接着層53を用いて貼り付けられる。このとき、スクレーパー52は、第1螺旋羽根43aの先端(外周面、図6の下面)からの突出高さが第1螺旋羽根43aの先端とトナー濃度検知センサー51の検知面51aとの間の距離よりも大きくなるように、第1螺旋羽根43aに貼り付けられる。このため、スクレーパー52は、湾曲した状態でトナー濃度検知センサー51の検知面51aに接触する。
【0048】
なお、本実施形態のように回転軸43bが樹脂のみにより形成されている場合、回転軸43bが撓んでもトナー濃度検知センサー51の検知面51aを確実に摺動(接触)できるように、スクレーパー52の上記突出高さは、より大きく設定される。
【0049】
第1スパイラル43の正回転時には、ポリエチレンシート52bの表面(スクレーパー52の一方面)がトナー濃度検知センサー51の検知面51aを摺動する。その一方、第1スパイラル43の逆回転時には図9に示すように、不織布52aの表面(スクレーパー52の他方面)がトナー濃度検知センサー51の検知面51aを摺動する。このように、ポリエチレンシート52bまたは不織布52aにより、トナー濃度検知センサー51の検知面51aが摺擦されて清掃される。
【0050】
第1スパイラル43を逆回転させるタイミングとしては、印字動作の終了毎に行っても良いし、印字枚数が所定枚数に到達した時点で行うようにしても良い。また、第1スパイラル43を逆回転させる際に、第2スパイラル44も逆回転させてもよい。
【0051】
本実施形態では、上記のように、スクレーパー52は、第1スパイラル43の正回転時にトナー濃度検知センサー51の検知面51aに接触するポリエチレンシート52bと、第1スパイラル43の逆回転時にトナー濃度検知センサー51の検知面51aに接触する不織布52aと、を有し、ポリエチレンシート52bは、不織布52aよりも耐摩耗性が高い。これにより、第1スパイラル43の正回転時において、スクレーパー52がトナー濃度検知センサー51の検知面51aを摺動して摩耗するのを抑制することができるので、トナー濃度検知センサー51の検知面51aに現像剤が堆積するのを長期間に亘って抑制することができる。このため、トナー濃度検知センサー51により、トナー濃度を長期間に亘って精度良く検知することができる。
【0052】
また、上記のように、不織布52aと検知面51aとの間の摩擦係数は、ポリエチレンシート52bと検知面51aとの間の摩擦係数よりも高い。すなわち、不織布52aは、ポリエチレンシート52bに比べて、トナー濃度検知センサー51の検知面51aに対する清掃力が大きい。これにより、第1スパイラル43を逆回転することによって、不織布52aによりトナー濃度検知センサー51の検知面51aをより効果的に清掃することができる。このため、トナー濃度検知センサー51の検知面51aに徐々に堆積してポリエチレンシート52bのみでは除去しきれない現像剤の薄膜を、不織布52aにより除去することができる。これにより、トナー濃度検知センサー51により、トナー濃度を長期間に亘ってより精度良く検知することができる。
【0053】
また、上記のように、第1スパイラル43は、画像形成時に正回転することにより現像容器22内の現像剤を撹拌搬送するとともに、非画像形成時に逆回転する。これにより、非画像形成時に、清掃力の大きい不織布52aにより検知面51aを清掃することができる。
【0054】
また、上記のように、ポリエチレンシート52bは、超高分子量ポリエチレンにより形成されている。これにより、ポリエチレンシート52bの耐摩耗性を不織布52aの耐摩耗性よりも、容易に高くすることができる。また、スクレーパー52は、不織布52aとポリエチレンシート52bとを貼り合せることにより形成されている。これにより、スクレーパー52のポリエチレンシート52bとは反対側の部材(不織布52a)と検知面51aとの間の摩擦係数を、ポリエチレンシート52bと検知面51aとの間の摩擦係数よりも、容易に高くすることができる。
【0055】
また、上記のように、回転軸43bが樹脂製の場合、現像剤を撹拌搬送する際の反力で回転軸43bが撓みやすくなる。これにより、回転軸43bが撓んでもトナー濃度検知センサー51の検知面51aを確実に摺動できるように、スクレーパー52は第1螺旋羽根43aの先端からの突出高さがより大きくなるように貼り付けられるので、スクレーパー52はより摩耗しやすくなる。このため、回転軸43bが樹脂製である場合にスクレーパー52の摩耗を抑制することは、特に効果的である。
【0056】
また、上記のように、スクレーパー52の不織布52aが、第1螺旋羽根43aの正回転時に回転方向下流側となる面に取り付けられている。これにより、第1スパイラル43の正回転時に、容易に、ポリエチレンシート52bによりトナー濃度検知センサー51の検知面51aを清掃することができる。
【0057】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0058】
例えば、上記実施形態では、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンターに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、カラー複写機、ファクシミリ等の、トナー検知センサーおよびスクレーパーを含む現像装置を備えた種々の画像形成装置に適用可能である。
【0059】
また、上記実施形態では、現像剤としてキャリアおよびトナーからなる二成分現像剤を用いる例について示したが、本発明はこれに限らず、現像剤としてトナーのみからなる一成分現像剤を用いてもよい。この場合、トナー検知センサーとして現像容器内のトナー残量を検知するトナー残量検知センサーを用いてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、トナー検知センサーとして透磁率センサーを用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、圧電センサーなどの、透磁率センサー以外のトナー検知センサーを用いてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、超高分子量ポリエチレンを用いて第1部材を形成した例について示したが、本発明はこれに限らない。超高分子量ポリエチレン以外のポリエチレンを用いて第1部材を形成してもよいし、ポリエチレン以外の材料(例えば樹脂)を用いて第1部材を形成してもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、不織布を用いて第2部材を形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、不織布以外の材料を用いて第2部材を形成してもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、第1搬送室にトナー検知センサーを設け、第1スパイラルにスクレーパーを取り付けた例について示したが、第2搬送室にトナー検知センサーを設け、第2スパイラルにスクレーパーを取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 画像形成装置
2、2a〜2d 現像装置
22 現像容器
42 撹拌搬送部材
43a 第1螺旋羽根(羽根)
43b 回転軸
51 トナー濃度検知センサー(トナー検知センサー)
51a 検知面
52 スクレーパー
52a 不織布(第2部材)
52b ポリエチレンシート(第1部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9