(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777260
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】水作動式加圧ガス放出装置
(51)【国際特許分類】
F23Q 3/00 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
F23Q3/00 106G
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-528389(P2013-528389)
(86)(22)【出願日】2011年9月13日
(65)【公表番号】特表2013-538330(P2013-538330A)
(43)【公表日】2013年10月10日
(86)【国際出願番号】US2011051424
(87)【国際公開番号】WO2012037144
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年7月7日
(31)【優先権主張番号】61/382,271
(32)【優先日】2010年9月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514056942
【氏名又は名称】カールトン テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CARLETON TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、ロバート イー.
(72)【発明者】
【氏名】フォード、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ケリー、マイケル イー.
(72)【発明者】
【氏名】モッタ、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ラローズ、アルフォンス エス.
【審査官】
正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭51−094119(JP,A)
【文献】
米国特許第4267944(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23Q 3/00
B63C 9/18
F17C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張式物品を着用した乗組員と連携して用いられる水作動式ガス放出システムであって、
前記膨張式物品に流体連通しているシュレーダバルブと、
前端部および後端部を有する容器であって、所定量の膨張ガスを貯蔵し、該容器の前記前端部にはダイヤフラムが設けられ、前記ダイヤフラムに近接して刺しピンが設けられた前記容器と、
プライマに接続された塩分センサであって、所定レベルの塩分の検出に応じて前記プライマを始動させるように構成されており、前記プライマは始動時に前記ダイヤフラムに穿孔して前記膨張ガスの放出を可能にする前記塩分センサと、
前記容器の前記前端部に取り付けられ、カバーおよびスカートを有するエンドキャップであって、前記カバー内に円形開口部が形成されており、スロットによって前記円形開口部および前記ダイヤフラムの間に流体通路を形成する前記エンドキャップと、
前記エンドキャップに枢動可能に固定されたレバーであって、前記刺しピンが該レバーの末端に接続されており、該レバーを手動で回転させることにより、前記ダイヤフラムに穿孔して前記膨張ガスの放出を可能にする前記レバーと、
前記円形開口部内に回転可能に配置されたリングであって、前記シュレーダバルブ上に適合する寸法を有するD字形の内周を備え、該リングの周囲を貫通する一連の開口が形成されており、前記開口が前記スロットに整合するように構成され、前記ダイヤフラムおよび前記シュレーダバルブの間に流体経路を維持するとともに、装置の方向を変更可能である前記リングとを備えるシステム。
【請求項2】
膨張式物品と連携して用いられる水作動式ガス放出装置であって、前記膨張式物品はバルブステムを有し、該装置は、
前端部および後端部を有する膨張ガス用の容器と、
カバー、前記カバー内に形成された開口部、および前記開口部と前記容器との間に流体通路を形成するスロットを有するエンドキャップと、
前記開口部内に回転可能に配置されたリングであって、前記バルブステム上に適合する寸法を有する内周を備え、該リングの周囲を貫通する一連の開口が形成され、前記開口は前記スロットに整合するように構成された前記リングとを備える装置。
【請求項3】
前記膨張ガスを放出可能にするように、手動で前記容器を破裂させるための手段をさらに備える請求項2に記載の装置。
【請求項4】
手動で前記容器を破裂させるための前記手段は、刺しピンを含む請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記膨張ガスを放出可能にするように、自動的に前記容器を破裂させるための手段をさらに備える請求項2に記載の装置。
【請求項6】
自動的に前記容器を破裂させるための前記手段は、刺しピンを作動させるために使用される塩分センサ、バッテリ、およびプライマを含む回路である請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記容器および前記バルブステムの間に流体経路を維持するとともに、当該装置の方向を変更可能である請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記バルブステムはシュレーダバルブであり、前記リングはD字形内部領域を有する請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記容器はCO2キャニスタである請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記カバー内の前記開口部は矩形状であり、前記矩形状の開口部内に固定される一連のD字形フィッティングをさらに備え、前記D字形フィッティング内に前記バルブステムを挿入することが可能である請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記D字形フィッティングのうちの1つは、エラストマワッシャである請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記リングは、デテント機構を用いて、ハウジング内で4つの異なる角度方向の1つで固定される請求項10に記載の装置。
【請求項13】
ガス放出装置用のフィッティングであって、該フィッティングは、ガス放出装置を回転可能にバルブステムに相互連結し、該フィッティングは、
カバー、前記カバー内に形成された開口部、および前記開口部と前記ガス放出装置との間に流体通路を形成するスロットを有するエンドキャップと、
前記開口部内に回転可能に配置されたリングであって、前記バルブステム上に適合する寸法を有する内周を備え、該リングの周囲に貫通して一連の開口が形成され、開口は前記スロットに整合するように構成される前記リングとを備えるフィッティング。
【請求項14】
前記一連の開口は相互に90度の間隔をおいて配置される請求項13に記載のフィッティング。
【請求項15】
前記バルブステムはシュレーダバルブであり、前記リングはD字形の内周を有する請求項13に記載のフィッティング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス放出装置に関する。より具体的には、本発明は、真水および塩水のいずれによっても作動するガス放出装置であって、調整可能に浮揚装置に取り付けることができるガス放出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浮揚装置を膨らませるために加圧ガス放出装置を用いることが、当技術分野で知られている。例えば、Millerによる特許文献1、およびJankowiak等による特許文献2には、パイロットおよび船員による使用に適した救命胴衣などの浮揚装置を膨張させるための水作動式の加圧ガス放出装置について記載されており、これらの文献は、本願出願人に譲渡されたものであって、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
これらの装置は、水域周辺で勤務するパイロットまたは船員による着用が容易であるため良好に作用する。このため、万一パイロットが自身の航空機を放棄する必要が生じたとき、あるいは万一船員が船から転落したとき、この装置が使用可能であることが保証される。この場合、装置は、自動的に作動することにより浮揚装置を膨らませて、パイロットまたは船員の命を救うのに役立つ。また、救命ボートなど、加圧ガスによる膨張用装置に対応した浮揚装置が市場に出回っている。ところが、現在使用されている浮揚装置の多くは、1つのタイプの加圧ガス膨張用装置のみに対応するように特別に設計されたインタフェースを持つように構成されている。
【0004】
同様に、1992年9月15日にNaab等に付与された特許文献3には、電磁干渉(すなわち「EMI:ElectroMagnetic Interference」)に対する保護機能を備える水作動式加圧ガス放出装置について記載されており、この文献は、同じく本願出願人に譲渡されており、参照により本明細書に組み込まれる。EMI保護を備える水作動式加圧ガス放出装置は、回路ケーシングとこれに関連付けられたプライマケーシングとの間のインタフェースに重なるスカートまたはステップを備えるように構成されている。ステップは、EMI放射がインタフェースに沿って電気回路まで伝達される可能性を低減するように、両ケーシングの間のインタフェースをブロックする作用を果たす。また、バッテリ穴とエレクトロニクスキャビティとの間の通路にも、EMIフィルタが設けられており、これは、電子リード線と回路ケーシングとの間に電気的に接続されて、少なくとも1つのコンデンサによって、回路ケーシング内に漏出するEMI放射を接地に短絡させている。これらの改良により、米国政府の現行の基準に従った高度なEMI保護が装置にもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4024440号明細書
【特許文献2】米国特許第4768128号明細書
【特許文献3】米国特許第5148346号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の装置は、いずれも、それらの本来の目的では、良好に作用する。しかしながら、一般的な商業用途、軍事用途、および個人の娯楽用途の少なくともいずれか一つにおいて、低コストかつ軽量で、邪魔にならない水作動式加圧ガス放出装置であって、様々な浮揚装置、ベスト、救命ボートなどにインタフェースで連結されるガス放出装置が必要である。万一、人が命にかかわり得る水難状況に陥ることがあれば、この装置は、関連付けられた個人用浮揚装置を自動的に膨らませる必要があり、また、万一、装置が自動的に膨らませることに失敗することがあれば、あるいはユーザが水に入る前に手動で浮揚装置を膨らませたい場合に、この装置は、予備の膨張方法として作動させられる手動手段を提供する必要がある。さらには、この装置は、着用が容易であって、邪魔にならず、種々のインタフェースに適合するものである必要がある。これによって、加圧ガス放出装置は、常に着用されるので、万一、人が真水中または塩水中に沈むことがあれば、確実に使用が可能である。また、この装置は、高い信頼性を有し、低いコストで製造できる必要があり、これによって、それを、低コストかつ再使用不可能な水作動式加圧ガス放出装置として販売することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水作動式加圧ガス放出装置は、様々なインタフェース手段で、標準的なあらゆる膨張式ライフベスト、ライフジャケット、救命ボートに適合し、また、従来の加圧ガスカートリッジまたは容器に接続するように適応させることが可能である。これによって、装置は、海底油井掘削装置上、作業船上、および造船所内で勤務する人々にとって、また、水域周辺での建設活動、漁業、趣味の舟遊び、およびレース活動にかかわる人々にとって、さらには水上または水辺での活動にかかわる子供、障害者、または高齢者にとって、特に有用である。また、加圧ガス放出装置は、この装置に連結されているレバーによって、手動で作動させることが可能である。装置が自動的に作動されると、刺しピンが前方にロックする。これによって、新しいシリンダが本体にねじ込まれる場合には、それが締め付けられるときに、前方にロックした刺しピンがシリンダに刺さることにより、装置の再利用を防止する。さらに、装置は、エンドキャップを通して視認可能な点火インジケータピンを備えている。この点火ピンは、装置が自動的に始動された後にのみ作動する。
【発明の効果】
【0008】
本装置の利点は、あらゆる標準的な膨張式ライフベスト、ライフジャケット、または救命ボートに容易に適合させることができることにある。
本装置の別の利点は、様々に異なるインタフェースによって、従来の様々な加圧ガスカートリッジまたは容器に接続することができることにある。
【0009】
本装置のさらに別の利点は、一般に自動車エアバッグに使用されている標準的な加圧ガスカートリッジに接続することができるということにある。
本発明のさらに別の利点は、回転リングによって膨張式装置に連結することが可能であることにより、本装置は、いくつかの異なる方向のいずれかで連結できることにあり、これによって、使用の容易さ、利便性、およびアクセプタビリティが高まるだけではなく、多くの異なるインタフェースによる幅広い有用性も強化される。
【0010】
本発明のさらなる利点は、塩分センサに適合可能であることにあり、これによって、ガスカートリッジを、真水または塩水の存在下で作動させることが可能である。
これらの利点および他の利点は、導電性流体に浸漬されたときに自動的に加圧ガスボンベからガスを放出するように作動し、一般的な商業用および個人の娯楽用に適した装置によって提供される。特に、本発明の加圧ガス放出装置は、比較的小型であり、人の活動の邪魔にならない軽量構造を有する。このため、装置は、ベルトに装着するか、あるいは人の身体に携行品として固定することができ、そして、万一、その人が誤って真水または塩水の中に落下することがあれば、個人用浮揚装置を自動的に膨らませるように作用する。個人用浮揚装置は、ライフジャケット、ライフベスト、または個人用救命ボートであり得る。これによって、命にかかわり得る水難状況が回避される。
【0011】
上記は、以下の本発明の詳細な説明をより良く理解することにより、本発明の当技術分野への貢献をより良く理解できるように、本発明のより適切かつ重要な特徴について、概説したものである。本発明の更なる特徴について以下で説明するが、それらは本発明の請求項の要旨をなすものである。開示される思想および具体的な実施形態は、本発明と同じ課題を解決するための他の構造を改良または設計するために容易に利用され得ることは、当業者であれば理解すべきである。また、そのような均等的な構成が、特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨および範囲から逸脱しないことも、当業者であれば理解すべきである。
【0012】
図面を参照して、以下の詳細な説明を読むことにより、本発明の特徴および目的がより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】Dリングインサートを採用した膨張用装置の側面図である。
【
図3】Dリングインサートを採用した膨張用装置の代替的実施形態である。
【
図5】D字形キー溝アセンブリを採用した別の代替的実施形態の透視図である。
【
図6】
図5のD字形キー溝アセンブリの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
複数の図面において、同様の参照符号によって同様の部品が示される。
本発明は、膨張式物品に固定されるように構成されたガス放出装置に関するものである。この装置は、市販のガスボンベであり得る容器と、塩分センサと、エンドキャップとを備えている。塩分センサは、容器から膨張ガスを放出させて物品を膨張させるように作用する電気点火式プライマを操作する。エンドキャップは、円筒状の貫通孔を有し、貫通孔において回転Dリングを受け入れる。Dリングは、膨張式物品のバルブに適合するような寸法を有する。Dリングは、一連の周辺開口を有し、開口がスロットに選択的に整合されることにより、容器とバルブとの間に流体通路を形成することが可能である。Dリングによって、膨張式物品と容器との間で空気圧カップリングを維持しながら、この装置を、いくつかの異なる角度位置の間で回転させることが可能である。代替的な実施形態では、Dリングは、D字形のキー溝で置き換えられる。
【0015】
ガス放出装置
図1〜2は、ガス放出装置20、および関連付けられた容器22を示している。容器22は、従来のCO
2シリンダであってよく、前端部24と、加圧された膨張ガスを貯蔵する内部とを備えている。膨張ガスは、加圧されたヘリウムおよびアルゴンの混合ガスであり得る。他の周知の膨張ガスを使用してもよい。容器22の前端部24には、ダイヤフラム26が流体密に取り付けられている(
図2を参照)。ダイヤフラム26は、膨張ガスが作動前に容器から漏出することを防止する。
【0016】
エンドキャップ28は、ダイヤフラム26を破裂させるために用いられる刺しピン32を収容している。刺しピン32は、通路34内に配置されて、バネ36で取り囲まれており、これによって、ピン32は初期状態においてダイヤフラム26に接触しないように保持されている。ピン32上には、2つのOリングがあって、燃焼ガスを膨張ガスから分離している。この特徴については、Millerによる特許文献1に、より詳しく記載されている。ピン32は、自動または手動で、バネの付勢に抗して前方に移動されることが可能である。自動作動は、プライマ、バッテリ、およびセンサ(38、42、44)によって実施される。センサ44によって海水が検出されると、プライマ38を点火させるための回路が、バッテリ42によって完成される。そして、これによって、刺しピン32は、ダイヤフラム26を破裂させて、膨張ガスを流動させる。あるいは、ユーザがカムレバー46を手動で回転させることができ、これによって、刺しピン32はダイヤフラム26を破裂させる。どちらの場合においても、膨張ガスが容器から流出して、接続されている物品を膨らませる。Millerによる特許文献1は、本装置により採用される自動および手動の膨張方法について更に詳しく記載しており、この文献は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0017】
また、膨張用装置20はレーダアンテナなどの強いEMI源の近傍に配置されるため、電子回路の損傷または膨張用装置が誤って作動することを防ぐために、センサをEMIから保護することも必要である。従って、ハウジングは、いくつかのEMI吸収金属材で構成されてよく、それはEMI吸収箔を含んでいてもよく、あるいはEMI吸収材を含む射出成形プラスチックで構成されてもよい。適当なEMIシールドは、Naab等による特許文献3に記載されており、その開示は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0018】
エンドキャップおよびDリング
エンドキャップ28は、容器22の前端部24上に配置されており、容器22の上端部24上で下方に延びる下側周縁スカート48を有している。スカート48は、ねじによって、または圧着により、容器22の前端部24に取り付けることができる。理想的には、スカート48と容器22とは、膨張ガスを通過させないように気密に嵌合される。
【0019】
エンドキャップ28は、円筒状の貫通孔の開口部52を有し、これが、Dリングインサート54を回転可能に受け取る。Dリングインサート54は、この装置20を、膨張式物品のバルブステムに取り付けることを可能にする。Dリングは、略円筒状の外面56を有している。周辺溝が外面56上に形成されて、1つまたは複数のOリングを受容するように構成されている。Oリングは、Dリング54と円筒状開口部52との間に空気シールを形成している。Dリング54の内側開口部58は、D字形である。このため、Dリング54は、標準のシュレーダバルブ62のD字形バルブステムに取り付けることができる。内側開口部58は、他のタイプのバルブステムに対応するために、他の寸法や形状を採用することもできる。
【0020】
本発明によれば、Dリング54は、円筒状開口部52内に回転可能に配置される。装置20に対してDリング54を異なる角度方向でロックするための手段を備えている。
図1および2に示す実施形態では、その手段は、4つの角度方向のうちの1つの方向でDリング54を位置決めするためのバネ付勢されたデテント64を含んでいる。デテント64は、Dリング54内の対応する凹部に嵌合するバネ付勢されたボールベアリングを備えている。図示される実施形態では、Dリング54は、0°、90°、180°、270°に対応する角度位置に拘束される。これらの角度位置は、Dリング54の側部に貫通して配置された4つのポート68に対応している。他のデテント手段を同様に用いることもできる。例えば、円筒状開口部内の対応する凹部に嵌合させることが可能なタブを、Dリングの周囲に配置してもよい。
【0021】
開口部52内で回転するDリング56によって、装置20は、3通りの異なる方向のうちのいずれかで、膨張式物品に固定することができる。これらの方向は、通常、装置20の上向き、下向き、横向きに対応している。しかしながら、特定の膨張用装置のニーズに応じて、任意の数の方向を採用することができる。エンドキャップは、円筒状開口部52と刺しピン通路34との間に延びる内部スロット66を備えている。Dリング54内のポート68は、ロックされる角度位置0°、90°、180°、270°のそれぞれで、スロット66に整合する。このようにして、Dリング54がこれらの方向のうちのいずれかにロックされているときにはいつでも、ダイヤフラム26とバルブステムとの間に延びる流路が形成される。
【0022】
回転Dリング54は、LPU−9、LPU−23、LPU−21、MK1 Flight Deck、LPU−36、LPU−38、さらには、標準のシュレーダバルブを備える他のあらゆる軍用救命具に適合するように配置することができる。作動の際には、Dリングの周囲のOリングによって膨張圧力が維持される。
【0023】
装置の運用
使用するときには、装置は、膨張式物品のシュレーダバルブに取り付けられる。その後、装置20は、所望の向きまでDリング54の周りに回転される。装置20が回転されるときに、Dリング54は、シュレーダバルブ62上に固定された状態に維持される。そして、装置は、4つの角度方向0°、90°、180°、270°のいずれかでロックすることができる。これらの方向のそれぞれにおいて、Dリング内のポート68が、内部スロット66に整合して、流体経路Fが形成される。経路Fは、容器22からダイヤフラム26を通り、刺しピン通路34を通り、スロット66を通り、ポート68を通り、バルブステム62を通って、膨張されるべき物品の中まで延びている。ダイヤフラム26が破裂されると、流体経路Fによって、膨張流体は物品を膨らませることが可能である。好ましい実施形態では、バルブステム62とDリング54とは、流体密に接続される。また、Dリング54の両側に、膨張ガスの漏れを防ぐためのガスケットが設けられている。
【0024】
その後、乗組員が海水に接触すると、センサによって、バッテリ42を充電可能にするように回路が形成される。そして、回路は、エネルギーパルスを送って、プライマ28を始動させる。これによって、穿刺ピンすなわち刺しピン32が前方に移動されて、ダイヤフラム26を破裂させることにより、流体経路Fが形成され、そして物品が膨張される。
【0025】
あるいは、乗組員が手動で物品を膨張させることができる。手動で操作するには、引綱(Lanyard)を引くと、これによってカムレバー46が回転する。カムレバー46が回転するときに、ドライバとの接触によって、穿刺ピン32を前方に移動させる力が発生する。これによって、同様にダイヤフラム26を破裂させることにより、流体経路Fが形成され、そして物品が膨張される。
【0026】
代替的実施形態
本発明のいくつかの代替的実施形態を
図3〜6に示している。
図3〜4は、上記のようなDリングおよびエンドキャップ(54および28)を備えるが、ただし通常のエアバッグ用ガス発生器で使用される実施形態72を示している。
図4のDリング54は、上記のDリング54と同様に作用する。エンドキャップ28を保持するためのセットスクリュ90を備えている。また、
図4に示すように、Oリング92によって、容器22上でエンドキャップを封止している。さらに、点火インジケータ70が設けられている。また、本実施形態は、自動車エアバッグを展開するのに用いられるタイプなど、通常のエアバッグ用のガス発生器で使用することが可能である。例えば、本実施形態は、ミシガン州スターリングハイツのKey Safety Systems社のCGI−130型インフレータ(商品名)で使用されることが好ましい。他の許容可能なガス発生器には、ユタ州オグデンのAutoliv ASP社製の市販用ACH−2.0b型インフレータ(商品名)が含まれる。他の適当なインフレータは、Autoliv ASP社に譲渡された米国特許第5979936号に記載されている。
【0027】
手動でインフレータ72を作動させるために、カムレバー46を回転させると、これによって、穿刺ピン32がダイヤフラム26を貫通する。その後、ガスは、スロット通路66を通って流出する。スロット66は、ガスの流れを遅くし、ガスを冷却するように作用する。その後、ガスは、整合されたDリングポート68を通って、シュレーダバルブのステム62に進入する。留意すべきことは、穿刺ピンをとどめておくためのバネがないことである。しかし、穿刺ピン上のOリングを保持するボア内に、早すぎる下方への移動を抑制するためのステップがある。
【0028】
次に、インフレータ72の自動作動について説明する。装置72が水に浸漬されると、センサ44が始動される。そして、これによって回路が閉鎖されることにより、12Vバッテリが回路内のコンデンサを充電する。その電圧が、コネクタを介してプライマまたはイニシエータ38に放電される。イニシエータ38が点火すると、燃焼ガスが下方に移動して、ダイヤフラム26を破裂させる。これによって、容器22からヘリウムおよびアルゴンガスが放出される。このガスは、エンドキャップ(またはマニホールド)内に流出して、エンドキャップのオリフィスまたは通路66を通って流出する。その後、ガスは、Dリング54内の整合されたポート68を通って、シュレーダバルブ62に進入する。
【0029】
図5および6は、回転Dリング54が、取り外し可能なD字形キー溝アセンブリ74で置き換えられた代替的実施形態を示している。キー溝アセンブリ74は、D字形フィッティング76と、D字形ワッシャ78とを備えている。D字形フィッティング76は、好ましくは、ステンレス鋼またはアルミニウムで形成される。D字形ワッシャ78は、好ましくは、弾性エラストマ材で形成される。キー溝アセンブリ74の両要素は、矩形の外周と、標準のシュレーダバルブ62のプロファイルに適合するD字形の内周とを有している。
【0030】
キー溝アセンブリ74は、エンドキャップ28内の対応する矩形アパチャ82内に取り外し可能に配置されている。キー溝アセンブリ74は、4つの異なる方向のいずれかでアパチャ82に挿入することができる。これらの方向は、互いに90°の角度で配置されている。凹部内でキー溝アセンブリ74の方向を変えることによって、ガス膨張用装置20とシュレーダバルブ62との相対位置を変更することができる。これにより、装置の方向を、膨張される物品に対して設定し直すことが可能である。
図5は、CO
2タイプのインフレータとの接続に使用するエンドキャップの内部構成要素を示している。しかしながら、キー溝アセンブリ74を、上記のように標準の自動車用インフレータに接続して使用してもよい。
【0031】
図6は、凹部82内に配置されたキー溝アセンブリ74の断面図である。図示のように、アセンブリ74は、さらに、上部および下部のワッシャ(84および86)と、エンドキャップ88とを備えてよい。即ち、弾性の上部ワッシャ84は、D字形フィッティング76とD字形ワッシャ78の上に取り付けられる。また、弾性の下部ワッシャ86は、シュレーダバルブ開口部の基部に配置される。シュレーダバルブ62の端部は、ネジ式エンドキャップ88に適合するように構成されたネジ部分を有している。バルブの長さに沿って流体ポートが設けられており、これによって、キャップ88が固定された後でも空気が流動することが可能である。エンドキャップ88を締め付けることにより、下部ワッシャ、D字形ワッシャ、D字形フィッティング、および上部ワッシャによって、シュレーダバルブの上部および下部で流体密シールが形成される。このようにして、シュレーダバルブ62のステムの周りの環状空間は、膨張時に加圧状態になることが可能である。
【0032】
本開示は、特許請求の範囲に含まれる内容、ならびに上記明細書の内容を含むものである。本発明について、その好ましい形態で、詳細に説明したが、当然のことながら、好ましい形態についての本開示は、単なる例にすぎず、構成の細部および部品の組み合わせや配置において、本発明の趣旨および権利範囲から逸脱することなく、様々な変更を採用することができる。