【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化粧は女性が、日常から非日常へと変貌する手段であり、女性にとっては有意義な癒しの作業であるにもかかわらず、従来の住宅では日常生活の延長上である寝室や洗面所などの生活空間で化粧が行われており、女性にとって化粧をするという行為を楽しむための空間が提供されていなかった。
【0005】
特に洗面台に設けられた洗面化粧台や寝室に備え付けられた化粧台は壁面に沿って設けられており、化粧が壁面に向かってする作業となってしまい、壁面の圧迫感を感じながら化粧をすることになり、化粧をする行為が癒しとなるとはいえない状況であった。
【0006】
今後ますます女性の社会進出が増え、ストレスを感じる女性が増える状況にあるなか、発明者は繭の中に包まれて癒されるような空間を演出し、日常生活の中で、女性がリラックスでき、癒しを感じることのできる化粧空間の提案が必要であるという発想に到った。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑み、住宅内において女性が化粧をすることが癒しとなり、非日常性を体感することができる空間を提供すること、さらには繭の中に包み込まれて癒されるような癒しの空間を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題は、住宅の居住空間の一部を仕切って設けられた化粧空間であって、該化粧空間は、居住空間と扉レスで連続し、かつ、居住空間からの視線が遮られた空間であり、該化粧空間は中央部に、カウンターと、カウンターから上方に向けて突出し正面側に鏡を備えた仕切板を有する化粧台が設けられ、該化粧台により化粧空間が2つの空間に分割されていることを特徴とする化粧空間により解決される。
【0009】
この化粧空間は、居住空間の一部を仕切って設けられており、居住空間からの視線が遮られているので、化粧空間内で、家族の視線を気にすることなく、ゆったりとした気分で化粧を行うことができる一方で、居住空間とは扉レスで連続しているため、化粧空間が独立した部屋ではなく、家族から独立して引きこもって化粧をするのではなく、家族の気配を感じながら化粧をすることができる。
【0010】
そして、化粧空間の中央部には化粧台が設けられているので、化粧は壁に向かってではなく、部屋の中央部を向かってすることになり、化粧台が壁に向かって配置されているときのように壁からの圧迫感を受けることなく、化粧台の鏡を備えた仕切板の周囲を介して化粧台の背面側の空間を認識しながら開放的な気分で化粧をすることができる。
【0011】
そして、化粧台により化粧空間が2つの空間に分割されているので、化粧空間を化粧台の正面側の化粧をするための空間と化粧台の背面側の化粧以外の行為をするための空間とに分けて利用することができるので、化粧台の正面側の空間では化粧をし、化粧の背面側の空間では時間をかけてパックをするなど、その用途に合わせて多目的に使うことができる。なお、ここで化粧空間が2つの空間に分割されているとは、化粧空間が完全に2つの空間に仕切られていることを意味するのではなく、化粧空間の利用上2つの空間に分割されている場合を指し、化粧空間が全体として1つの空間である意味で用いている。
【0012】
上記の化粧空間において、化粧台の一方の側端部が前記化粧空間の壁面に当接しているとよい。
【0013】
化粧台の一方の側端部が化粧空間の壁面に当接しているので、化粧空間を化粧台の正面側の空間と背面側の空間2つの空間に略コの字型に2つの空間に分割され、それぞれの空間が通り抜けできないことにより、それぞれの空間にいるときに包まれ感を感じることができ、それぞれの空間を行き来する動線が1つに確定される。
【0014】
また、上記の化粧空間において、化粧空間の天井高が、前記居住空間の天井高より低くなっているとよい。
【0015】
化粧空間の天井高が、居住空間の天井高より低くなっているので、居住空間から化粧空間に移動したときに、異空間へ入った感覚を感じることができ、また、天井高が低いことにより包まれ感がうまれ、あたかも自分か繭の中に包まれているかのような感覚を感じることができる。
【0016】
また、上記の化粧空間において、居住空間から化粧空間ヘ到るアプローチが略S字型となっているとよい。
【0017】
居住空間から化粧空間へ到るアプローチが略S字型になっているので、居住空間と化粧空間が扉レスで連続しているにもかかわらず、居住空間からの視線を確実に遮ることができる。また、住居空間という日常性の空間から化粧空間という非日常性の空間への移行を演出することができる。
【0018】
また、上記化粧空間において、化粧台に正面側及び背面側からアクセス可能な洗面部が設けられているとよい。
【0019】
化粧台に正面側及び背面側からアクセス可能な洗面部が設けられているので、化粧空間の2つの分割された化粧台の正面側の空間と背面側の空間どちらからでも、化粧台の洗面部を利用することができる。
【0020】
また、上記化粧空間において、少なくとも一つのコーナー部がR形状となっているとよい。
【0021】
化粧空間の少なくとも一つのコーナー部が角型でなくR形状であることで、丸みをおびた印象を与え、化粧空間にいる人はやさしく包まれた癒しの空間を実感することができる。なお、ここでコーナー部とは壁面と壁面により構成されたコーナー部だけでなく、壁面と天井面、壁面と床面により構成されるコーナー部も含む意味で用いている。
【0022】
また、上記化粧空間において、少なくとも一つの壁面が屋外と連続する窓であるとよい。
【0023】
化粧空間の少なくとも一つの壁面が屋外と連続する窓であるので、太陽光を取り込むことができ、化粧をする際、蛍光灯や白熱灯だけでなく、太陽光も活用してさまざまな光に対応した化粧を行うことができる。
【0024】
また、上記化粧空間において、化粧空間の少なくとも一つの壁面に開口部が設けられ、開口部により、化粧空間と居住空間が連通しているとよい。
【0025】
化粧空間の少なくとも一つの壁面に開口部が設けられ、開口部により、化粧空間と居住空間が連通していることで、ひとりでこもりがちな化粧空間でありながら、居住空間の人の気配を感じることができ、家族がそばにいる安心感を体感しながら自分ひとりのプライベート空間を楽しむことができる。とくに、小さい子供を抱える女性にとっては、子供の気配を感じながら化粧をすることができるので、安心することができる。