特許第5777329号(P5777329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777329
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】ウインドワイパ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/00 20060101AFI20150820BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20150820BHJP
   G01M 3/26 20060101ALI20150820BHJP
   B60S 1/08 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   F16J15/00 E
   F16J15/10 X
   F16J15/10 A
   G01M3/26 M
   B60S1/08 A
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-261273(P2010-261273)
(22)【出願日】2010年11月24日
(65)【公開番号】特開2011-112225(P2011-112225A)
(43)【公開日】2011年6月9日
【審査請求日】2013年11月21日
(31)【優先権主張番号】10 2009 046 978.8
(32)【優先日】2009年11月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター カスティンガー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング シュナイダー
【審査官】 杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/135716(WO,A2)
【文献】 特開2008−012740(JP,A)
【文献】 特開平08−017542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00 − 15/56
G01M 3/00 − 3/40
B60S 1/00 − 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気駆動装置(9)の伝動装置ハウジング(14)のためのハウジングカバー(10;7)であって、該ハウジングカバー(10;7)が圧力調整装置(12)を有しており、該圧力調整装置(12)が、前記ハウジングカバー(10;7)によって閉鎖される前記伝動装置ハウジング(14)の内室と周囲との間の圧力差を補償するようになっている形式のものにおいて、
前記ハウジングカバー(10;7)における前記圧力調整装置(12)の領域内に少なくとも部分的にシールエレメント(19;46)が配置されており、該シールエレメント(19;46)は、前記圧力調整装置(12)の機能検査中に、検査工具(23:30;40)と前記ハウジングカバー(10;7)との間の接続部をシールするように設計されており、
前記電気駆動装置(9)は、円筒形の極ハウジング(13)と被駆動軸(17)とを有していて、前記ハウジングカバー(10;7)は、前記被駆動軸(17)に対して平行に整列された側面(44)を有しており、前記検査工具(23;30;40)は、前記側面(44)に対して平行且つ前記極ハウジング(13)の軸線方向に対して垂直な運動で、前記シールエレメント(19;46)に被せ嵌められることを特徴とする、伝動装置ハウジングのためのハウジングカバー(10;7)。
【請求項2】
前記シールエレメント(19;46)が前記側面(44)に対して前記被駆動軸(17)の軸方向にずらして配置されている、請求項1記載のハウジングカバー(10;7)。
【請求項3】
前記シールエレメント(19;46)が、前記圧力調整装置(12)に対して増大された周方向輪郭を有している、請求項1又は2記載のハウジングカバー(10;7)。
【請求項4】
前記シールエレメントが、第1の平面を備えた第1の部分領域(52)と、第2の平面を備えた第2の部分領域(53)とを有しており、前記第1の平面が前記第2の平面に対してほぼ垂直に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のハウジングカバー(10;7)。
【請求項5】
前記シールエレメント(19;46)が少なくとも熱可塑性のエラストマー(TPE)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のハウジングカバー(10,7)。
【請求項6】
ウインドワイパ駆動装置のハウジングカバー(10;7)に配置された圧力調整装置(12)のための検査装置であって、前記圧力調整装置(12)に、機能検査のための検査工具(23;30;40)が配置されている形式のものにおいて、
前記シールエレメント(19;46)が少なくとも部分的に、前記ハウジングカバー(10,7)の圧力調整装置(12)の領域内に配置されていて、検査工具(23;30;40)とハウジングカバー(10;7)との間の接続部をシールするように設計されており、
前記ウインドワイパ駆動装置は、円筒形の極ハウジング(13)と被駆動軸(17)とを有していて、前記ハウジングカバー(10;7)は、前記被駆動軸(17)に対して平行に整列された側面(44)を有しており、前記検査工具(23;30;40)は、前記側面(44)に対して平行且つ前記極ハウジング(13)の軸線方向に対して垂直な運動で、前記シールエレメント(19;46)に被せ嵌められることを特徴とする、検査装置。
【請求項7】
前記検査工具(30)が、楔状に構成された区分(50)を有している、請求項6記載の検査装置。
【請求項8】
前記シールエレメント(19;46)が2つの部分より構成されており、検査装置に、シールエレメント(19;46)の第1の部分(36)が配置されていて、前記圧力調整装置(12)を包囲する、ハウジングカバー(10;7)の領域内にシールエレメント(19;46)の第2の部分(38)が配置されており、前記シールエレメント(19;46)の2つの部分(36,38)は、これら2つの部分(36,38)がシールエレメント(19;46)の閉じた周方向輪郭を形成するように配置されている、請求項6又は7記載の検査装置。
【請求項9】
電気駆動装置(9)のためのハウジングカバー(10;7)における圧力調整装置(12)のシール性を検査するための方法において、
シールエレメント(19;46)を備えたハウジングカバー(10;7)を、圧力調整装置(12)の領域内に配置し、
検査工具(23;30;40)を前記ハウジングカバー(10;7)の前記シールエレメント(19;46)に被せ嵌め、
前記圧力調整エレメント(12)を、前記検査工具(23;30;40)を介して検査圧によって負荷し、
検査圧の低下を検出
前記電気駆動装置(9)は、円筒形の極ハウジング(13)と被駆動軸(17)とを有していて、前記ハウジングカバー(10;7)は、前記被駆動軸(17)に対して平行に整列された側面(44)を有しており、前記検査工具(23;30;40)を、前記側面(44)に対して平行且つ極ハウジング(13)の軸線方向に対して垂直な運動で、前記シールエレメント(19;46)に被せ嵌める、
ことを特徴とする、電気駆動装置(9)のためのハウジングカバー(10;7)における圧力調整装置(12)のシール性を検査するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気駆動装置の伝動装置ハウジングのためのハウジングカバーであって、該ハウジングカバーが圧力調整装置を有しており、該圧力調整装置が、ハウジングカバーによって閉鎖される前記伝動装置ハウジングの内室と周囲との間の圧力差を補償するようになっている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ連邦共和国特許公開第102007022192号明細書によれば、ウインドワイパの電気駆動装置のための伝動装置ハウジングが公知である。この公知の伝動装置ハウジングは、伝動装置とウインドワイパモータのための電子制御装置とを収容し、気密に配置された伝動装置カバーとダイヤフラムを備えた圧力調整装置とを有している。この圧力調整装置は、ハウジング内部とハウジング周囲との間の圧力を補償する際に、湿気がハウジング内部に浸入するのを阻止するか、又は少なくとも十分に避けるように、伝動装置ハウジングを構成する、という課題を有している。このために、圧力調整装置として、伝動装置ハウジングから突き出す排気通路が形成されており、この排気通路はダイヤフラムによって閉鎖されていて、このダイヤフラムの軸線は、伝動装置の被駆動軸に対して垂直に又はほぼ垂直に配置されている。ダイヤフラムを有する排気装置のシール性を検査するために、伝動装置ハウジングの組み付け後に、シールエレメントを備えた検査工具を伝動装置ハウジングにおける排気装置の領域内に設置し、排気通路が圧力で負荷される。機能検査中に圧力が低下すると、これは、圧力調整装置のダイヤフラムが欠陥箇所若しくは非気密性を有していることの証拠となる。シールエレメントにおける非気密性による圧力低下を排除するために、検査工具に力が加えられ、この検査工具及びシールエレメントが、電気駆動装置の伝動装置カバーに確実に押し付けられる。これによって、伝動装置カバーが伝動装置ハウジングに対して検査工具の押し付け方向にずらされて、伝動装置カバーと伝動装置ハウジングとの間に非気密性が発生することになる。また、検査工具のシールエレメントは、1回の検査サイクルで摩耗するので、信頼のおける検査結果を得るために、一定の時間間隔で規則的に、検査工具のシールエレメントを交換する必要がある。これによってコストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第102007022192号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明の課題は、複数の圧力調整装置を簡単かつ確実に検査するために適した、電気駆動装置のハウジングカバーにおける圧力調整装置のための検査の可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載したハウジングカバー、請求項6に記載したハウジングカバーのための検査装置、並びに請求項9に記載した方法によって解決された。その他の実施態様は、従属請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電気駆動装置のための電動装置ハウジングのハウジングカバーに配置されている検査工具を、機能検査中に圧力損失に対して確実にシールするために、ハウジングカバーにおける圧量調整装置の領域に少なくとも部分的に、検査工具とハウジングカバーとの間の接続を機能検査中にシールするように設計されたシールエレメントを配置すればよいことが分かった。
【0007】
ハウジングカバーにそれぞれの機能検査のためにシールエレメントを配置することによって、機能検査のために新たなシールエレメントが提供される、という利点が得られた。これによって、機能検査中にコンディションを変わらずに維持することができる。また、検査工具にシールエレメントを配置するのに対してシールエレメントの摩耗を防止することができ、それによって検査工具におけるシールエレメント交換のための作業コストを低減することができる。
【0008】
本発明の実施態様によれば、シールエレメントが圧力調整装置の表面に対して軸方向にずらして配置されている。これによって、圧力調整装置は、検査工具をハウジングカバーに取り付ける際に汚れ若しくは損傷に対して保護して配置することができる、という利点が得られる。
【0009】
本発明の別の実施態様によれば、シールエレメントは圧力調整装置よりも大きい周方向輪郭を有している。これによって、検査工具を確実にシールエレメント上に設置することができ、従って圧力調整装置のシール性を確実に検査することができる。
【0010】
本発明の別の実施態様によれば、シールエレメントが、第1の平面を備えた第1の部分領域と、第2の平面を備えた第2の部分領域とを有しており、前記第1の平面が第2の平面に対してほぼ垂直に配置されている。このような形式で、検査工具をハウジングカバーにおける圧力調整装置の機能検査のために、圧力調整装置の表面に対して平行なリニア(線)状の組み付け運動によって簡単に配置することができる。また、検査工具を操作する機構を簡単に構成することができる。
【0011】
本発明の別の実施態様によれば、検査工具は、楔状に構成された少なくとも1つの区分を有している。このような形式で、検査工具は、ハウジングカバーに沿ったリニア運動によって確実にシールしながら配置することができ、この際に、検査工具の組み付け中にシールエレメントに作用する剪断力は減少される。
【0012】
本発明の有利な実施例によれば、シールエレメントが2つの部分より構成されており、検査装置に、シールエレメントの第1の部分が配置されていて、ハウジングカバーにおいて圧力調整装置を包囲する領域内にシールエレメントの第2の部分が配置されており、前記シールエレメントの2つの部分は、これら2つの部分がシールエレメントの閉じた周方向輪郭を形成するように配置されている。このような形式で、機能検査中に検査圧力が漏れ出ることは避けられる。またこれによって、摩耗が少ない、シールエレメントの第1の部分は、必要な場合にだけ交換すればよいので、シールエレメントのための材料消費は減少される。これに対して、検査工具が被せ嵌められることによって、シールエレメントの前記第1の部分よりも高い摩耗にさらされる、シールエレメントの第2の部分は、各ハウジングカバーにおいて交換される。
【0013】
本発明の別の実施態様によれば、電気駆動装置が、円筒形軸線を備えた極ハウジング及び被駆動軸を有している。ハウジングカバーは、被駆動軸に対してほぼ平行に整列された側面を有している。検査工具は、圧力調整装置の機能検査のために、極ハウジングの円筒形軸線方向で側面に対して平行に、ハウジングカバーのシールエレメントに被せ嵌められる。これによって、検査工具は簡単かつ確実にハウジングカバーに配置することができ、この際に、電気駆動装置の伝動装置ハウジングに対するハウジングカバーのずれは減少される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電気駆動装置の斜視図である。
図2】圧力調整装置が設けられている第1のハウジングカバーの部分的な斜視図である。
図3】第1の検査工具の斜視図である。
図4】第2の検査工具の斜視図である。
図5】第1のハウジングカバーを半分に破断した斜視図である。
図6】圧力調整装置を備えた第2のハウジングカバーの斜視図である。
図7】第3の検査工具の斜視図である。
図8】第3の検査工具を下から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、ウインドワイパのための電気的な駆動装置の斜視図を示す。図1には図示されていないウインドワイパは、電気駆動装置9の被駆動軸17に接続されている。電気駆動装置9は円筒形の極ハウジング13を有しており、該極ハウジング13内に、図示していない電動モータが極ハウジング13の円筒形軸線に対して平行に配置されている。極ハウジング13は伝動装置ハウジング14に結合されている。伝動装置ハウジング14は、極ハウジング13の円筒形軸線に対して垂直方向で下方に延在する被駆動軸17を有しており、この被駆動軸17は、伝動装置ハウジング14から突き出している。伝動装置ハウジング14は、被駆動軸17とは反対側がハウジングカバー10によって閉鎖されている。伝動装置カバー10と伝動装置ハウジング14との間にハウジングシール15が配置されており、該ハウジングシール15は、制御装置と電動モータと伝動装置とを有する伝動装置ハウジング14の内室を外部環境の影響に対してシールしている。電気駆動装置9は、ハウジングカバー10の上側に配置された接続部11を介して自動車のエネルギ供給源に接続されている。ハウジングカバー10は伝動素落ちハウジング14に係止エレメント16によって接続されており、該係止エレメント16は、ハウジングシール15にプリロード力を加え、それによって伝動装置ハウジング14を確実にシールすることができる。ハウジングカバー10は上側にフレキシブルなエレメント22を有しており、それによって、例えば電気駆動装置9の組み付け後に電気駆動装置9のブラシロッカを終端位置にもたらすことできる。極ハウジング13に面した、ハウジングカバー10の第1の側面44に、圧力調整装置12が配置されている。圧力調整装置12は、ハウジングカバー10の第1の側面44の表面に対してやや引っ込んでいる。これによって、ダイヤフラム54を有する圧力調整装置12は完成後に損傷及び汚れに対して保護される、という利点を有している。さらに、圧力調整装置12の領域内にシールエレメント19が配置されている。圧力調整装置12は、圧力調整装置12のダイヤフラムが空気を通すが、液滴又は粒子は通さないようになっていることによって、ハウジング内部と周囲との間の圧力差を補償するように設計されている。圧力差は、例えば電気駆動装置の内室と周囲との間の温度差により発生する。このような形式で、ハウジング内室内に開口を設ける必要なしに、電気駆動装置9のハウジング内部の圧力補償が確実に得られ、従って伝動装置ハウジング14は確実に周囲の影響に対してシールされている。これによって、圧力が変化した時に例えば水が電気駆動装置9内に吸い込まれることがないという利点が得られる。
【0016】
周囲に対する電気駆動装置9のシール性若しくは圧力調整装置12を検査するために、圧力調整装置12及びシールエレメント19の領域内に検査工具23が配置されており、シールエレメント19は検査工具を有する圧力調整装置12をシールする。さらに、圧力調整装置12は検査工具内に設けられた空気通路を介して検査ガスによって負荷される。検査ガスは圧力調整装置12のダイヤフラムを通過して、電気駆動装置9のハウジング内部内の圧力を補償する。検査ガスの低下は検査装置によって検出される。検査ガスの検査圧が、定められた閾値を越えて低下した場合、これは、圧力調整装置12の検査工具23の領域内における非気密性、又は伝動装置ハウジング14とハウジングカバー10又は極ハウジング13との間の非気密性、或いは検査工具とハウジングカバー10との間のシールエレメント19における非気密性が存在することを示す。
【0017】
検査工具は、ハウジングカバー10に組み付けるために、極ハウジングの円筒形軸線に対して垂直、かつハウジングカバー10の第1の側面44の整列方向に対して平行なリニア状(線状)の運動でシールエレメント19に沿って摺動せしめられる。これによって、ハウジングカバー10は伝動装置ハウジング14に対して整列された状態において、検査工具2をハウジングカバー10の表面に対して垂直方向に摺動させても殆どその位置を動くことがない、という利点を有している。
【0018】
図2は、ハウジングカバー10の一部の斜視図を示す。ほぼ中央位置においてハウジングカバー10に圧力調整装置12が配置されている。圧力調整装置12は、ハウジングカバー10内においてほぼ極ハウジング13の円筒形軸線に沿って、ハウジングカバー10の第1の側面44に対して引っ込んでいる。圧力調整装置12はさらにシールエレメント19によって取り囲まれている。シールエレメント19は、段部21の環状の縁部に配置されており、段部21の底部には、圧力調整装置12の図示していないダイヤフラムが配置されている。このダイヤフラムは、接続ウエブ45の上側に配置されている。接続ウエブ45は2つの貫通開口58を接続しており、これらの貫通開口58は、伝動装置ハウジング14の内室に通じている。シールエレメント19は、圧力調整装置12の外周輪郭に比較して大きい外周輪郭を有している。
【0019】
シールエレメント19は、第1の部分領域52と第2の部分領域53とを有しており、第1の部分領域52は第1の平面内に配置されていて、この第1の平面は第2の平面に対して垂直に配置されている。第2の部部分領域53は、第1の側面44に対して平行に整列されている。シールエレメント19は、その第1の部分領域52がハウジングカバー10の表面に沿って延在している。シールエレメント19は有利な形式で熱可塑性のエラストマー(TPE)を有している。これによって、ハウジングカバー10は、シールエレメント19と共に2成分・射出成形法で製造され得る、という利点を有している。しかしながら、シールエレメント19のための材料として、例えばゴム、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン又はシリコーン等の別の材料も適している。射出成形工具をより簡単な構成にするために、フレキシブルなエレメント22は、図示していない鋳造通路によって接続されており、それによってフレキシブルなエレメント22とシールエレメント19とは、一回の作業工程で射出成形することができる。
【0020】
図4に示した検査工具を確実にシールするために、シールエレメント19の側面領域70は楔状に配置されている。
【0021】
図3は、第1の検査工具23の斜視図を示す。第1の検査工具23は、2つの長方形の区分49,50より成っており、これの長方形区分49及び50は段部47によって分離されている。上側の第1の長方形の区分49の上側48には第1の開口24が配置されている。第2の長方形の区分50は、第1の区分49よりも小さく構成されていて、第1の長方形の区分49の下側に配置されている。第2の長方形の区分50には、第1の開口24に対して垂直に第2の開口25が配置されている。第1の開口24は、図示していない空気通路によって第2の開口25に接続されている。さらに、第1の長方形の区分50の第1の垂直な端面35(この第1に垂直な端面35に第2の開口25が配置されている)は、第2の垂直な端面31からずらされている。第1の検査工具23は、段部47に軸方向のシール面28を有し、また第2の区分50に下側の軸方向の端面としての第2の軸方向のシール面29を有している。第1の検査工具23が、図1及び図2に示した電気駆動装置9のシールエレメント19及びハウジングカバー10に配置されると、検査工具23は第1のシール面28並びに第2のシール面29がシールエレメント19上に載る。第2の直方体状の区分の側面は第2のシール面26として構成されているので、第2のシール面26は、検査工具23を被せ嵌めるとシールエレメント19に接触して、第1の検査工具23とハウジングカバー10と圧力調整装置12とによって包囲された容積を周囲に対して確実にシールする。
【0022】
図4は、第2の検査工具30の斜視図を示す。第2の検査工具30は、第1の検査工具23と同様に第2の区分50に、第1の検査工具23とは異なる鈍角の楔状の輪郭形状を有している。このような楔状の形状は、検査工具23の第2の区分の直方体状の形状に対して、ハウジングカバー10の相応の幾何学形状において、第2の検査工具30を被せ嵌める際にシールエレメント19が、図3に示した長方形の輪郭形状におけるよりも低いせん断負荷にさらされる、という利点を有している。このような形式で、圧力調整装置12前の内室を確実にシールすることができる。また、第1の丸味部32によって、第2の区分50の角隅領域においてシールエレメント19が不均一に負荷若しくは変形されることは避けられる。これによって、圧力調整装置12の機能検査のために、ハウジングカバーに対して検査工具を確実にシールすることができる。
【0023】
図5は、第1のハウジングカバー10を半分に破断した斜視図を示す。ハウジングカバー10には段部21のほぼ縁部に沿ってシールエレメント19が配置されている。クリーンなシールを保証するために、シールエレメント19は環状に延びる隆起部状の領域55を有している。検査工具が隆起部状の領域55に載せられると、この隆起部状の領域55は変形して、周囲に対する確実なシールが得られる。シールエレメント19の第1の部分領域52における溝71内にシールエレメント19が延在していて、隆起部状の領域55の下側に直方体状の区分60を有している。この区分60は、シールエレメント19に作用する押圧力をハウジングカバー10及び溝71に確実に伝達し、また接続面56によって射出成形時にハウジングカバー10との確実な接続が得られるように、設計されている。第2の部分領域53内においては、鋳造技術的な理由により、第1の部分領域52と同様に、シールエレメント19を溝71内に嵌め込む工程は費用がかかる。このような理由により、シールエレメント19はほぼT字形の横断面59を有している。この場合、押圧力はT字形の横断面59の2つの脚を介してハウジングカバー10に伝達される。また、シールエレメント19の横断面をほぼT字形に構成したことによって、隆起部状の領域55の折れ曲がりは確実に避けられるので、この領域55内においてもシールエレメント19は検査工具に対する確実なシール接続が提供される。シールエレメント19の2つの脚は同様に、ハウジングカバー10の接続面56に圧着する。シールエレメントを2成分・射出成形によって構成したことによって、この領域内においてガスが接続面56及びシールエレメント19を介して漏れ出ることは避けられる。第2の部分領域の角隅領域において、シールエレメント19は第2の丸味部57を有しており、この第2の丸味部57は、図4に示した検査工具の適合する第1の丸味部32を受容し、かつシールするように設計されている。
【0024】
図6は、圧力調整装置12を備えた第2のハウジングカバー7の斜視図を示す。ハウジングカバー7は、圧力調整装置12の領域内に、第2のシールエレメント46の第1の部分36を有している。さら、ハウジングカバー7は第3のシール面37を有している。この第3のシール面37は、第2のシールエレメント46の平面及び側面44に対して垂直な平面に配置されていて、ハウジングカバー7の上側を形成している。シールエレメント46の第1の部分36は、第2のシールエレメント46を固定するために2成分・射出成形法で製造されている。このような形式で、検査工具を被せ嵌める際にシールエレメントはさらにその正確な位置を占めることができるようになっている。
【0025】
図7及び図8は、第3の検査工具40の斜視図、並びに下から見た図を示す。第3の検査工具40は、図6に示した第2のハウジングカバー7において圧力調整装置12を検査するために適している。この場合、第3の検査工具40は、圧力調整装置12の前の領域をシールするために、第2のシールエレメント46の第2の部分38を有している。第3の検査工具40は、第1の検査工具23と同様に2つの長方形の区分49,50を有しており、第2の長方形の区分50は、第1の長方形の区分49よりも著しく小さく構成されている。第1並びに第2の長方形の区分49,50は、共通の第2の側面42を有している。しかしながら第2の側面42は、圧力調整装置12と反対側に面している。圧力調整装置12に面した第3の側面43は第2の開口25を有しており、この第2の開口25は空気通路72を介して、第1の開口24と接続されている。第1の長方形の区分49と第2の長方形の区分50との間に段部51が配置されている。この段部に、第2のシールエレメント46の第2の部分38が配置されている。第2のシールエレメント46の第2の部分38は、組み付けた状態で、図5に示したハウジングカバー10の第3のシール面37上に載っていて、第2のシールエレメント46の第1の部分36と共に、圧力調整装置12の前の室をシールする。
【0026】
第2のシールエレメント46を2つの部分より構成したことによって、圧力調整装置12の機能検査及び電気駆動装置9の伝動装置ハウジングのシール性の機能検査のために必要な材料は、図2に示したシールエレメント19におけるよりも少なくて済む。第2のシールエレメント46の、摩耗にさらされる第2の部分38は、新たな第2のハウジングカバー7の検査によって交換され、これに対して、剪断力が作用しないことに基づいて第2の部分38と比較して僅かな摩耗にさらされるだけである第1の部分36は、第3の検査工具40において規則的に交換されるだけである。第2のシールエレメント46の第1の部分36と第2の部分38とは、第3の検査工具40を組み付けた状態で完全にシールされた第2のシールエレメント46を形成するように、配置されている。第3の検査工具40は、図3及び図4に示した検査工具23,30と同様に、極ハウジング13の軸線方向で側面44に対して平行に、ハウジングカバー7に沿って被せ嵌められる。このようにすれば、ハウジングカバー7は電気駆動装置の伝動装置ハウジング14に対して押し付けられるだけで、例えば極ハウジング13の軸線方向にずらされない、という利点を有している。このような形式で、ハウジングカバー7,10のシール特性は、ハウジングシール15及び伝動装置ハウジング14と共に、減少されることはない。
【符号の説明】
【0027】
7 ハウジングカバー、 9 電気駆動装置、 10 ハウジングカバー、 11 接続部、 12 圧力調整装置、 13 円筒形の極ハウジング、 14 伝動装置ハウジング、 15 ハウジングシール、 16 係止エレメント、 17 被駆動軸、 19 シールエレメント、 21 段部、 22 フレキシブルなエレメント、 23 検査工具、 24 第1の開口、 25 第2の開口、 26 第2のシール面、 28 シール面、 31 第2の垂直な端面、 32 第1の丸味部、 35 第1の直角な区分50の第1の垂直な端面、 37 第3のシール面、 38 第2の部分、 42 第2の側面、 44 ハウジングカバー10の側面、 45 接続ウエブ、 46 第2のシールエレメント、 47 段部、 49 第1の長方形の区分、 50 第2の長方形の区分、 51 段部、 52 第1の部分領域、 53 第2の部分領域、 54 ダイヤフラム、 55 隆起部状の領域、 56 接続面、 57 第2の丸味部、 58 貫通開口、 59 T字状の横断面、 60 直方体状の区分、 70 側面領域、 71 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8