特許第5777344号(P5777344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777344
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】包装用袋の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 23/60 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   B31B23/60
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-13829(P2011-13829)
(22)【出願日】2011年1月26日
(65)【公開番号】特開2012-153399(P2012-153399A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106715
【氏名又は名称】ザ・パック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】小川 裕司
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第00407911(GB,A)
【文献】 実開昭49−052921(JP,U)
【文献】 米国特許第02061437(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02164078(FR,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第00903425(FR,A1)
【文献】 米国特許第02060470(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 1/00− 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋底端部に相当する部位の裏面材部分に貼合わせ用の透孔を形成した原紙を裏面側に折り込む胴部折込み処理と、折り込まれた裏面材の重ね合わせ縦辺同士を接着する胴部貼合せ処理と、胴部における底端部を表面材部分と裏面材部分とが重ね合わされた状態で胴部の裏面側に折り返し、折り返された2枚重ね状態の折返し片を、前記透孔を含む範囲に塗布された接着剤を介して胴部の裏面に貼り合わせる底端部貼合わせ処理と、を含み、
袋ごとの分離用のミシン目を形成するとともに、袋底端部に相当する部位の裏面材部分に貼り合わせ用の前記透孔を打ち抜き形成した長尺の原紙を連続走行させ、前記胴部折込み処理、前記胴部貼合せ処理を順次経た後、前記ミシン目での分断によって袋素材を得、この袋素材に前記底端部貼合せ処理を施し、2枚重ねの折返し片を、透孔を含む範囲に塗布された接着剤を介して前記胴部の裏面に貼り合わせることを特徴とする包装用袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や菓子などの各種物品を収納する包装用袋の製造方法に係り、特には、胴部の下端部を単に閉塞しただけの、平坦な底面を備えない平袋と呼称される包装用袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平袋としては、例えば、特許文献1に示されているように、扁平筒状に形成した胴部の下端部を接着して折り返すとともに、その折り返し部分を被覆紙で覆って接着したもの(特許文献図1図3参照)や、胴部の下端部を接着した上で、その下端部を更に被覆紙で覆って接着したもの(特許文献図4図7参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−76638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の平袋は、胴部の底端を丈夫なものにできる利点はあるが、胴部の底端を閉塞するのに別の被覆紙を用いるので、材料コストが高くつくのみならず、接着工程が複雑なために大量に連続製造するのには不向きで、その製造コストも高くつくという不具合があった。
【0005】
また、こうした不具合を解消するものとして、例えば図11図14に示すように、袋分断用のミシン目mを形成した原紙2を連続走行させながら、表面材部分2aの左右に連なる裏面材部分2bを図11から図12に示すように折り線g,hを介して折り重ねるとともに、裏面材部分2bの縦辺同士を接着剤sで貼り合せて扁平な胴部3を形成し、その後、図13(a)(b)に示すようにミシン目mを介して袋素材6を切り離し、袋底端部を、折り線iを介して袋裏面側に折返し、折返し片4に大きく突出形成した糊代部4cを図14に示すように接着剤tで胴部3の裏面に貼り合せるようにしたものが考えられている。
【0006】
この構成においては、別の被覆紙を用いることなく丈夫な底部を簡単に形成することができるものであるが、糊代部4cを形成するために分断用のミシン目mが大きい段差状となるために、胴部3における開口端の表面側に深くて大きい凹部7が形成されることになり、袋の実質深さが浅くなってしまい、原紙から所望の深さの袋を得る際の歩留まりが低下するものであった。
【0007】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、連続して能率よく、かつ、安価に製造することができるとともに、開口端を揃えることができ、しかも、低端部を丈夫なものにすることができる包装用袋の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0017】
発明に係る包装用袋の製造方法は、袋底端部に相当する部位の裏面材部分に貼合わせ用の透孔を形成した原紙を裏面側に折り込む胴部折込み処理と、折り込まれた裏面材の重ね合わせ縦辺同士を接着する胴部貼合せ処理と、胴部における底端部を表面材部分と裏面材部分とが重ね合わされた状態で胴部の裏面側に折り返し、折り返された2枚重ね状態の折返し片を、前記透孔を含む範囲に塗布された接着剤を介して胴部の裏面に貼り合わせる底端部貼合わせ処理を施すと共に、袋ごとの分離用のミシン目を形成するとともに、袋底端部に相当する部位の裏面材部分に貼り合わせ用の前記透孔を打ち抜き形成した長尺の原紙を連続走行させ、前記胴部折込み処理、前記胴部貼合せ処理を順次経た後、前記ミシン目での分断によって袋素材を得、この袋素材に前記底端部貼合せ処理を施し、2枚重ねの折返し片を、透孔を含む範囲に塗布された接着剤を介して胴部の裏面に貼り合わせることを特徴とする。
【0018】
本発明方法によると、1回接着剤を塗布して折返し片を折返し処理するだけで、2枚重ね状態の折返し片を、その裏面材部分のみならず表面材部分をも胴部の裏面に貼り合せることができ、別の被覆紙を用いることなく丈夫な底部を簡単に形成することができると共に、長尺の原紙を連続走行させながら、底部の丈夫な平袋を能率よく製造することができる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明によれば、連続して能率よく、かつ、安価に製造することができるとともに、開口端を揃えることができ、しかも、底端部を丈夫なものにすることができる包装用袋を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る包装用袋を表側から見た斜視図である。
図2図2は、図1の包装用袋を裏側から見た斜視図である。
図3図3は、前記包装用袋の原紙の平面図である。
図4図4は、図3の原紙において胴部折込み工程を経た当該原紙の平面図である。
図5図5は、上記原紙から切り離された袋素材の平面図である。
図6図6は、上記袋素材の下端部折返し工程を示す斜視図である。
図7図7は、完成した包装用袋を裏側から見た正面図である。
図8図8は、図7におけるa−a線断面を拡大して示す図である。
図9図9は、本発明の別実施例における包装用袋において下端部折返し工程を示す斜視図である。
図10図10は、図9の別実施例の包装用袋を裏側から見た斜視図である。
図11図11は、比較例における原紙の平面図である。
図12図12は、比較例の胴部折込み工程を経た原紙の平面図である。
図13図13(a)は、比較例の下端部折返し工程を示す斜視図、図13(b)は、完成した包装用袋を裏側から見た斜視図である。
図14図14は、比較例の包装用袋を表側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態に係る包装用袋を詳細に説明する。図1に本発明の実施形態に係る包装用袋を表側から見た斜視図、図2図1の包装用袋を裏側から見た斜視図を示す。これらの図を参照して実施形態の包装用袋1は、表面材部分2aの左右端に連なる裏面材部分2bを裏側に折り込み、その縦辺同士を貼り合せて扁平な胴部3を形成するとともに、この胴部3の底端裏面に2枚重ね状態の折返し片4を折り重ねて貼り合せた平袋に構成されたものである。
【0024】
以下、図3図7を参照して上記包装用袋の製造工程を説明する。
【0025】
図3に、原反ロールから繰り出されて一定方向Fに連続走行する原紙2が示されている。この原紙2は、表面材部分2aの左右に裏面材部分2bを連設した横幅を有しており、実際には水平に走行されながら以下の各種処理を受ける。
【0026】
先ず、その走行径路の上手において、袋単体を切り離すためのミシン目mが形成されるとともに、袋底端部に相当する位置に、折返し片貼り合せ用の透孔5として複数の丸形打ち抜き孔、いわゆるパンチ穴が横方向に沿って並列形成される。
【0027】
次に、一方の裏面材部分2bの縦辺近くに接着剤Sが連続塗布され、その後、他方の裏面材部分2bが折り線gに沿って内側に折り込まれるとともに、その上に一方の裏面材部分2bが折り線hに沿って内側に折り込まれて他方の裏面材部分2bに重ねられ、図4に示すように、両裏面材部分2bの縦辺同士が貼り合わされた扁平な胴部3が連続して形成される。
【0028】
次に、ミシン目mを介した切り離しが行われ、図5に示すような袋素材6が形成される。
【0029】
図6に示すように、袋素材6における胴部3の底端部には、表面材部分4aと裏面材部分4bとを重ね合わせた2枚重ね状態の前記折返し片4が形成され、その裏面材部分4bに接着剤tが透孔5を含む範囲に亘って塗布される。その後、折返し片4が折り線iに沿って胴部裏面側に折り返され、折返し片4が胴部3の裏面に貼り合わされて、図7に示すように、包装用袋1が完成する。
【0030】
この場合、図8に示すように、折返し片4における裏面材部分4bに塗布された接着剤tの一部は、折返し片4における表面材部分4aにも透孔5を介して塗布され、折返し片4における裏面材部分4bが胴部3の裏面に貼り合わされとともに、折返し片4における表面材部分4aも透孔5を介して胴部3の裏面に貼り合わされ、これによって丈夫な袋底端部が形成される。
【0031】
なお、この例では、完成した包装用袋1における表面材部分2aの開口端に指掛け用の浅い凹部7が形成されるように、ミシン目mの長手方向中央部位が浅く湾曲されている。
【0032】
(その他の実施形態)
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0033】
(1)図9図10に示すように、折返し片貼合わせ用の前記透孔5を折返し片4の長手方向に沿う打ち抜き長孔にしてもよい。図9図10図1ないし図8と対応する部分には同一の符号を付している。
【0034】
(2)上記実施形態では、2枚重ねの折返し片4を胴部3の裏面に貼り合せるのに、折返し片4における裏面材部分4bに接着剤tを塗布しているが、胴部3の裏面に接着剤tを塗布して折返し片4を折返し貼り合せることによっても、折返し片4における表面材部分4aを、透孔5を介して胴部3の裏面に貼り合せることができる。
【0035】
(3)包装用袋1の開口操作を容易にする凹部7の深さは極浅いものでよく、凹部7をなくして開口端を完全に揃えるようにしてもよい。
【0036】
(4)上記実施形態では左右にマチのない単純な平袋を例示したが、胴部3の左右にマチを折込み形成したものに適用することもできる。
【0037】
(5)上記実施形態では、長尺の原紙2を連続走行させながらミシン目mの形成、透孔5の打ち抜き、および、胴部3の貼り合せを行った後、袋素材6を切り離して底端部の折返し貼り合せ処理を行うことにより高能率で袋製造を行う場合を例示しているが、透孔5が形成された枚葉の原紙に胴部貼合せ処理、および、底端部の折返し貼合せ処理を施して包装用袋1を完成させることも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 包装用袋
2 原紙
2a 表面材部分
2b 裏面材部分
3 胴部
4 折返し片
4a 表面材部分
4b 裏面材部分
5 透孔
6 袋素材
7 凹部
m ミシン目
s 接着剤
t 接着剤
g 折り線
h 折り線
i 折り線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14