特許第5777350号(P5777350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電波工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5777350-発振器 図000002
  • 特許5777350-発振器 図000003
  • 特許5777350-発振器 図000004
  • 特許5777350-発振器 図000005
  • 特許5777350-発振器 図000006
  • 特許5777350-発振器 図000007
  • 特許5777350-発振器 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777350
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】発振器
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20150820BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   H03B5/32 H
   H05K3/34 501D
   H05K3/34 507C
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-23575(P2011-23575)
(22)【出願日】2011年2月7日
(65)【公開番号】特開2012-165156(P2012-165156A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2014年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【弁理士】
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】西山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】笠原 憲司
(72)【発明者】
【氏名】村越 裕之
【審査官】 ▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−208557(JP,A)
【文献】 特開2009−087964(JP,A)
【文献】 特開平02−058894(JP,A)
【文献】 特開2009−004871(JP,A)
【文献】 特開2000−332394(JP,A)
【文献】 特開2011−009973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B5/30−H03B5/42
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂の基板と、前記基板上の搭載される回路部品とを備える発振器であって、
前記基板上に形成され、前記回路部品の端子電極に半田により接続する2端子の電極パターンと、
前記回路部品を持ち上げて前記回路部品の端子電極と前記電極パターンとの間に半田を充填するための空間が形成されるように、前記電極パターン上であって前記端子電極に接触する部分に形成された突起部と、
前記電極パターン上に塗布され、前記電極パターンと前記端子電極との間の空間に充填され、前記回路部品搭載後のリフローにより前記電極パターンと前記端子電極の側面との間にフィレット形状で形成される半田とを有することを特徴とする発振器。
【請求項2】
電極パターン上に形成される突起部は、対向する電極パターン側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の発振器。
【請求項3】
電極パターン上で突起部が形成されていない箇所にフィレット形状の半田が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の発振器。
【請求項4】
一つの電極パターン上には、複数の突起部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の発振器。
【請求項5】
突起部の高さは、10μm〜100μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の発振器。
【請求項6】
突起部の高さは、20μm〜50μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の発振器。
【請求項7】
2端子の電極パターンが互いに対向する方向が、基板の線膨張率の最も小さい方向に揃えるように、電極パターンを配置したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の発振器。
【請求項8】
恒温槽付水晶発振器に適用したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスエポキシ樹脂の回路基板を使用した発振器に係り、特に、半田への歪みを緩和させ耐ヒートサイクル性能を向上させた発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来、水晶発振器において、ガラスエポキシ樹脂を回路基板に使用したものがある。
当該回路基板上に金属の電極パターンが形成され、当該電極パターン上にセラミック等の電子部品が半田付けによって実装されるようになっていた。
【0003】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2004−200187号公報「プリント配線板」(株式会社ニコン)[特許文献1]、特開2007−104005号公報「表面実装用の水晶発振器」(日本電波工業株式会社)[特許文献2]がある。
【0004】
特許文献1には、はんだボールバンプが接合される電極ランドに円柱状の凸部を設け、横方向のストレスをはんだボールバンプと電極ランドとの境界だけでなく、凸部の側面でも受けるようにしたことが示されている。
【0005】
特許文献2には、水晶振動子と実装基板とを接合する表面実装発振器において、水晶振動子における振動子端子と実装基板の接続端子とを半田によって接合する場合に、接続端子に凸部が形成されていることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−200187号公報
【特許文献2】特開2007−104005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の発振器では、セラミック等を使用した電子部品(回路部品)とガラスエポキシ樹脂の回路基板との熱膨張係数の差から、ヒートサイクルが生じる使用環境において実装半田に歪みが集中し、半田にクラックが生じるという問題点があった。
【0008】
特に、恒温槽付水晶発振器(OCXO:Oven Controlled Crystal Oscillator)では、電源のオン/オフが繰り返される使用環境では周囲温度から恒温槽制御温度(例えば85℃)までの温度変化が、電源オン/オフ毎に加わるため、半田にクラックが生じ、長期信頼性に問題があった。
【0009】
尚、特許文献1では、凸部が形成された電極ランドと対向する電極とは、はんだボールバンプで接合するものの、非接触であり、横方向の力に対応するもので、電極ランドと対向する電極との熱膨張係数の差による半田への歪みを対応するものとはなっていない。
【0010】
また、特許文献2では、振動子用端子と凸部が形成された接続端子とを半田で接合するものであるが、振動子用端子と接続端子とは同じタングステンで構成されており、両者の熱膨張係数の差による半田への歪みを考慮したものとはなっていない。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、簡易な構成で安価に温度変化に伴う半田クラックの発生を抑制し、耐ヒートサイクル性能を向上させることができる発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、エポキシ樹脂の基板と、基板上の搭載される回路部品とを備える発振器であって、基板上に形成され、回路部品の端子電極に半田により接続する2端子の電極パターンと、回路部品を持ち上げて回路部品の端子電極と電極パターンとの間に半田を充填するための空間が形成されるように、電極パターン上であって端子電極に接触する部分に形成された突起部と、電極パターン上に塗布され、電極パターンと端子電極との間の空間に充填され、回路部品搭載後のリフローにより電極パターンと端子電極の側面との間にフィレット形状で形成される半田とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記発振器において、電極パターン上に形成される突起部は、対向する電極パターン側に設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記発振器において、電極パターン上で突起部が形成されていない箇所にフィレット形状の半田が形成されることを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記発振器において、一つの電極パターン上には、複数の突起部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記発振器において、突起部の高さが、10μm〜100μmであることを特徴とする。
【0017】
本発明は、上記発振器において、突起部の高さが、20μm〜50μmであることを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記発振器において、端子の電極パターンが互いに対向する方向が、基板の線膨張率の最も小さい方向に揃えるように、電極パターンを配置したことを特徴とする。
【0019】
本発明は、上記発振器において、恒温槽付水晶発振器に適用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基板上に形成され、回路部品の端子電極に半田により接続する2端子の電極パターンと、回路部品を持ち上げて回路部品の端子電極と電極パターンとの間に半田を充填するための空間が形成されるように、電極パターン上であって端子電極に接触する部分に形成された突起部と、電極パターン上に塗布され、電極パターンと端子電極との間の空間に充填され、回路部品搭載後のリフローにより電極パターンと端子電極の側面との間にフィレット形状で形成される半田とを有する発振器としているので、半田を厚く形成して接着を強固にでき、簡易な構成で安価に温度変化に伴う半田クラックの発生を抑制し、耐ヒートサイクル性能を向上させることができる効果がある。
【0021】
本発明によれば、端子の電極パターンが互いに対向する方向が、基板の線膨張率の最も小さい方向に揃えるように、電極パターンを配置した上記発振器としているので、簡易な構成で安価に温度変化に伴う半田クラックの発生を抑制し、耐ヒートサイクル性能を向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発振器の平面説明図である。
図2】本発振器の断面説明図である。
図3】電極パターンと端子電極の接続部分(半田部分)の拡大説明図である。
図4】第1の実施例における突起部の形状を示す図である。
図5】第2の実施例における突起部の形状を示す図である。
図6】第3の実施例における突起部の形状を示す図である。
図7】第4の実施例における突起部の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る発振器は、ガラスエポキシ樹脂の回路基板上に形成される電極パターン上に、回路部品の端子電極と接触する部分に、突起部を形成し、当該突起部によって端子電極と電極パターンとの間に形成された空間に、半田が充填されると共に、端子電極の側面に半田がフィレット形状に形成されているものであり、これにより、半田の接着が強固になり、回路部品とガラスエポキシ樹脂材との熱膨張係数の差から温度変化によって生じる実装半田の歪みを緩和させ、耐ヒートサイクル性能を向上させることができるものである。
【0024】
[本発振器:図1図2
本発明の実施の形態に係る発振器について図1図2を参照しながら説明する。図1は、本発振器の平面説明図であり、図2は、本発振器の断面説明図である。
本発振器は、図1,2に示すように、エポキシ樹脂の基板1上に、金属の電極パターン4が形成され、その電極パターン4上に、回路部品(電子部品)2が搭載される。
【0025】
具体的には、電子部品2の電極パターン4に接続する部分には、端子電極3か形成され、端子電極3と電極パターン4とが半田5によって固定されている。
尚、電子部品2は、例えば、セラミック等で形成される。
【0026】
また、基板1のエポキシ樹脂の材質として、CEM−3(Composite Epoxy Material 3)又はFR−4(Flame Retardant Type 4)等を用いる。
CEM−3は、ガラスエポキシ基板のことで、ガラス繊維とエポキシ樹脂を混合した板をベースとしたものである。
FR−4は、ガラスエポキシ基板のことで、ガラス繊維で編んだ布にエポキシ樹脂を含浸させた板をベースにしたものである。
【0027】
[部分的拡大説明:図3
更に、電極パターン4と端子電極3との半田5を介した接続部分について図3を参照しながら説明する。図3は、電極パターンと端子電極の接続部分(半田部分)の拡大説明図である。
図3に示すように、基板1上に形成された電極パターン4には、電子部品2の端子電極3と接触する部分に、突起部(凸部)6が形成されている。
【0028】
そして、電極パターン4上に半田5が塗布され、更に、電子部品2が搭載される。
具体的には、突起部6の先端が端子電極3に接触し、電極パターン4と端子電極3との間に形成された空間に半田5が充填された状態になり、リフロー後に、端子電極3の側面に半田5のフィレット形状が形成される。
【0029】
突起部6の凸部の高さは、発振器の製品によっても異なるが、10μm〜100μm程度であり、更に、20μm〜50μm程度が最適な値となる。
また、突起部6は、例えば、電極パターン4上にメッキ層を形成し、マスキングによって特定部分を残すようにすることで製造する。
更に、突起部6は、対向する電極パターン4側に形成され、突起部6が形成されていないスペースに、上述した半田5のフィレット形状が形成されることになる。
【0030】
突起部6がない従来の構成に比べて、本発振器では、電極パターン4と端子電極3とを接着する半田5の量が多くなる(厚くなる)ため、電極パターン4と端子電極3との接着を強固にすることができる。
これにより、電極パターン4が形成された基板1と端子電極3が形成された電子部品2とが、熱膨張係数が異なっていたとしても、温度変化によって生じる実装半田の歪みを緩和させ、耐ヒートサイクル性能を向上させることができる効果がある。
【0031】
次に、電極パターン4に形成される突起部6の形状について4つのパターンを例示的に図4〜7を用いて説明する。図4は、第1の実施例における突起部の形状を示す図であり、図5は、第2の実施例における突起部の形状を示す図であり、図6は、第3の実施例における突起部の形状を示す図であり、図7は、第4の実施例における突起部の形状を示す図である。尚、図4〜7において、上側の図が平面説明図であり、下側の図が断面説明図である。
【0032】
[第1の実施例:図4
第1の実施例では、図4に示すように、電極パターン4上で、対向する電極パターン4側に2つの円柱の突起部6を設けている。
また、電極パターン4上で突起部6が形成されていないスペースに、半田5のフィレット形状が形成されることになる。
尚、マスキングで突起部6を形成するため、円柱の形状の方が製造し易い。
【0033】
[第2の実施例:図5
第2の実施例では、図5に示すように、電極パターン4上で、対向する電極パターン4側に四角柱の突起部6を設けている。
第1の実施例と同様に、電極パターン4上で突起部6が形成されていないスペースに、半田5のフィレット形状が形成されることになる。
【0034】
第1の実施例に比べて、端子電極3と突起部6との接触面が増えるため、電極パターン4と端子電極3との間の半田5が充填される空間が減り、接着の強度が若干低下するが、電子部品2の搭載の安定度は高くなる。
【0035】
[第3の実施例:図6
第3の実施例では、図6に示すように、電極パターン4上で、対向する電極パターン4側に3つの円柱の突起部6を設けている。
第1の実施例と同様に、電極パターン4上で突起部6が形成されていないスペースに、半田5のフィレット形状が形成されることになる。
尚、マスキングで突起部6を形成するため、円柱の形状の方が製造し易い。
【0036】
第2の実施例と同様に、第1の実施例に比べて、端子電極3と突起部6との接触面が増えるため、電極パターン4と端子電極3との間の半田5が充填される空間が減り、接着の強度が若干低下するが、電子部品2の搭載の安定度は高くなる。
【0037】
[第4の実施例:図7
第4の実施例では、図7に示すように、電極パターン4上で、対向する電極パターン4側に2つの四角柱の突起部6を設けている。
第1の実施例と同様に、電極パターン4上で突起部6が形成されていないスペースに、半田5のフィレット形状が形成されることになる。
【0038】
[応用例の実施形態]
次に、本発振器の応用例について説明する。
応用例は、本発振器において、電子部品2が搭載される2端子の電極パターン4は互いに、ガラスエポキシ樹脂の基板1で線膨張率が最も小さい方向と同じ方向に、対向するように配置される。
【0039】
ここで、基板1の材質である、一般的なCEM−3の基板の場合、線膨張率は縦方向で25ppm/℃、横方向で28ppm/℃、厚さ方向で65ppm/℃である。
また、一般的なFR−4の基板の場合、線膨張率は縦方向で13ppm/℃、横方向で16ppm/℃、厚さ方向で60ppm/℃である。
また、例えば、電子部品2のセラミック(アルミナ)の線膨張率は、約7ppm/℃である。
【0040】
ここで、基板1について、図1に示すように、図1の長尺方向が「縦方向」とし、短尺方向が「横方向」としている。
一般的なFR−4の「縦方向」では、線膨張率13ppm/℃で、「横方向」の線膨張率16ppm/℃より小さくなっている。基板1における「厚さ」方向では、線膨張率60ppm/℃である。
従って、基板1で線膨張率が最も小さいのは、「縦方向」(長尺方向)となる。
【0041】
そして、図1に示すように、線膨張率が最も小さい「縦方向」(長尺方向)を基準とし、その縦方向と電極パターン4が対向する方向を揃える(同じ方向にする)ようにする。
つまり、電子部品2が搭載される2端子の電極パターン4は互いに、基板1で線膨張率が最も小さい「縦方向」と同じ方向に、対向するように配置される。
【0042】
[耐ヒートサイクル性能]
セラミック等の電子部品2の線膨張率と、エポキシ樹脂の基板1の線膨張率との相違によって、電子部品2に形成された端子電極3と基板1に形成された電極パターン4とが熱膨張によって特に影響を受けるのは、基板1の「縦方向」(図1では基板1の長尺方向)である。
【0043】
従って、熱膨張の影響を受けやすい「縦方向」における基板1の線膨張率が小さければ、その影響を最小にすることができ、半田5に対する歪みを緩和して、半田5にクラックが発生するのを抑制でき、耐ヒートサイクル性能を向上できる効果がある。
【0044】
[実施の形態の効果]
本発振器によれば、電極パターン4の端子電極3に接続する部分に突起部6を形成し、端子電極3と電極パターン4との間に空間を形成し、当該空間に半田5のフィレット形状を形成するようにしているので、半田5の接着強度を高めることができ、半田5のクラック発生を抑制することができ、耐ヒートサイクル性能を向上できる効果がある。
【0045】
別の発振器によれば、上記本発振器の構成を元にして、エポキシ樹脂の基板1上に形成される2端子の電極パターン4が互いに対向する方向を、基板1の線膨張率が小さい方向に揃えるようにしたものであり、電極パターン4上に塗布される半田5への温度変化による歪みを緩和でき、半田5にクラックが発生するのを抑制でき、耐ヒートサイクル性能を向上できる効果がある。
【0046】
本発振器及び別の発振器では、恒温槽付水晶発振器に適用することが、より効果的である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、簡易な構成で安価に温度変化に伴う半田クラックの発生を抑制し、耐ヒートサイクル性能を向上させることができる発振器に好適である。
【符号の説明】
【0048】
1...基板、 2...電子部品、 3...端子電極、 4...電極パターン、 5...半田、 6...突起部(凸部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7