【実施例】
【0029】
図2〜9に関して、これらの図は第二のヘルムホルツダンパに直列に接続している第一のヘルムホルツダンパ11を備えたダンパ機構10を示す。
【0030】
第一のヘルムホルツダンパ11の共振周波数と第二のヘルムホルツダンパの共振周波数は互いに近いか、あるいはかなり近く、特にこれら二つの共振周波数は相乗ダンピング効果をもたらしている範囲内で互いに変化する。
【0031】
ヘルムホルツダンパの共振周波数は、次の関係が満たされると互いに近似している。
(数式1) CL=(ω
1−ω
2)
2/(ω
1×ω
2)≦1
【0032】
特に「極めて近似している」とは、CL≪1であることを意味しており、この場合、CL≪1とは1よりも少なくとも一桁小さいことを意味する。
【0033】
第二のヘルムホルツダンパ12は、チャンバ15の内部に接続可能な第二の容積室13と第二の頚部14を備えており、減衰されるべき圧力振動が生じるおそれがある(例えばガスタービンの燃焼室)。そして第一のヘルムホルツダンパ11は、第二の容積室13に接続した第一の減衰容積室16と第一の頚部17を有している。
【0034】
第一の減衰容積室16および/または第二の容積室13が可変の容積であると有利である。
【0035】
特に図に示したように、滑動可能なピストン21を収容している一つのシリンダ20は、ピストン21の一方の側で第一の減衰容積室16を規定し、ピストン21の他方の側で第二の容積室13を規定している。さらにピストン21は第一の頚部17も規定している。図示したように、第一の頚部17はピストン21内の複数の孔により規定されている。
【0036】
図2〜4は本発明の様々な実施例を示す。
【0037】
図2はシリンダ20がピストン21でもって二つの容積を規定する実施例を示す。この実施例では空気を冷却するための入口24も示してある。
【0038】
加えて、ピストンは棒体25を備えており、この棒体は棒体を動かし、かつ矢印Fで示したようにその位置を調節するためにピストン21に接続している。この調節により、容積16と13が調節される。
【0039】
図3は
図2の実施例に似た実施例を示す。
図3において、同じ参照符号は図におけるような同じかあるいは類似の構成部材を示す。
【0040】
特に
図3の実施例はピストン21内に四つの第一の頚部17を備えている(二つの頚部だけが示してある)。もちろん様々な数量の頚部が使用されていてもよい。
【0041】
図4は
図2および3の実施例に似た、機構の別の実施例を示しており、同じ参照符号は同じかあるいは類似の構成部材を示す。
【0042】
特に
図4の機構は二つのピストンを備えたシリンダ20を有している。第一のピストン21aは第一および中間の容積室16,26を規定し、かつ四つの第一の頚部17aを有している(二つの頚部のみ示してある)。第二のピストン21bは第二の容積室13と中間の容積室26を規定し、かつ一つの中間の頚部17bを有している。したがって、中間の容積室26は第一および第二のピストン17a,17bの間で規定されており、第二の容積室13は第二の頚部17cを経由してチャンバ15に内部に接続している。
【0043】
この実施例において、ピストン21a,21bは各々、棒体28a,28bに接続している(例えばピストン21aに接続した孔の開いた棒体28aは、ピストン21bに接続した第二の棒体28bを収容している)。
【0044】
これによりピストン21a,21b両方の調節が互いに独立して可能になり、従って容積室16,26,13の調節も互いに独立して可能になる。
【0045】
図5は本発明の機構の別の実施例を示す。
【0046】
この実施例は
図4の実施例に似ており、同じ参照符号は同じかあるいは類似の構成部材を示す。
【0047】
さらに
図5の実施例において、棒体28a,28bは各々、その位置を調節するためにアクチュエータ29に接続している。アクチュエータは圧力振動センサ(pressure pulsation sensors)31に接続した制御ユニット30に接続しており、かつこの制御ユニットにより駆動されている。
【0048】
頚部17および/または17aおよび/または17bは、
可変の横断面を有していると有利である。
【0049】
この点において、
図6と7はピストン21の一例を示しており、このピストンは互いに重なり合うように滑動可能な二つの部材33,34を有しており、かつ各々が配列調整可能な孔35,36を備えている。すなわち、部材33,34は孔35,36の少なくとも一部が整列されるように回転する。
可変の横断面を備えた頚部17は、部材33,34の整列された孔35,36により規定されている。
【0050】
図5に示した機構は、試験運転に特に適応している。
【0051】
この場合、圧力振動を発生するチャンバ15を備えた装置が作動する間、センサ31は燃焼室15内で発生した圧力振動を検出し、かつ制御ユニット30に表示する信号を検出する。圧力振動が広い大域幅で減衰するまで、制御ユニット30はアクチュエータ29を作動させて、ピストン21a,21bを調節する。
【0052】
この点で、機構を規定しているヘルムホルツダンパ(すなわち容積室13と頚部17c;
容積室26と頚部17b;容積室16と17aにより規定されたヘルムホルツダンパ)の共振周波数が、相乗ダンピング効果をもたらす範囲内で互いに極めて近いように、制御ユニット30とアクチュエータ29はピストン21a,21bを駆動する。
【0053】
アクチュエータ29、制御ユニット30およびセンサ31は、
図2〜4に示したようにダンパ機構に接続されていてもよいことは当然である。この場合、単一ピストン21の位置だけが調節されるべきである。
【0054】
その後(すなわち広い大域幅が可能になる特殊な配列が得られると)、ピストン21あるいはピストン21a,21bは、シリンダ20に溶接されて、ダンパ機構10を作る。
【0055】
本発明はダンパ機構を構成するための方法にも関する。
【0056】
本方法は、少なくとも一つの第一のヘルムホルツダンパ11を備え、この第一のヘルムホルツダンパが第二のヘルムホルツダンパ12に直列に接続していること、および
相乗ダンピング効果をもたらす移動量が見つかるまで、第一のヘルムホルツダンパ11の共振周波数と第二のヘルムホルツダンパ12の共振周波数を互いに対して移動させることを特徴とする。
【0057】
特にダンパ機構のヘルムホルツダンパの共振周波数は、互いに移動されて、相乗ダンピング効果をもたらす小さい移動量を見つけ出す。
【0058】
第一および/または第二の容積室16,13を調節することにより、および/または第一の頚部の横断面を調節することにより移動量が得られ、第一の頚部を流れる流速を調節する。頚部内部の流速を適切に調節することにより、広帯域の特性が調節できる。
【0059】
ダンピング装置の広帯域特性は無次元値qに依存しており、以下のように定義される。
(数式2) q=(ω
0×L
N)/(ζ×u
N)
二つの容積室から成るダンパの例ω
0は、単一ダンパの単一周波数手段であり、L
Nは中間頚部の長さであり、ζは中間頚部の損失係数であり、そしてu
Nは中間頚部の内部の流速である。
【0060】
図10はq因子の関数としての効果的なダンピングのための正常化された周波数帯域幅を示す。ダンパ機構はq
*で最大の広帯域を有しており、主たる複数のパラメータはそれらの最適な値に調節される。
【0061】
テストにより、本発明の実施例における機構が、相乗ダンピング効果を有しており、これにより広いダンピングの帯域幅が得られることがわかった。
【0062】
図8は異なるヘルムホルツダンパの反射率の大きさを示したグラフを示す。
【0063】
パイプがパイプの軸線に対して垂直な壁により一方の端部で閉鎖されているという条件でグラフは描かれている。さらにダンパ機構は壁にかつ他方の端部で接続している(すなわちパイプの開口した端部で圧力振動源(例えばラウドスピーカー)が設けられている)。
【0064】
従って、圧力振動は発生しかつ壁に向かっている。壁に衝突すると、圧力振動の一部が(ダンパ機構により)ダンピングされ、かつ一部は反射される。反射した圧力振動が大きいほど、ダンパ機構のダンピング効率は悪くなり、従って
図8のグラフにおける1に近い反射率の大きさの値は弱いダンピング効果を示しているが、小さい値(すなわち1より小さくかつできれば0に近い)は、良好なダンピング効果を示す。
【0065】
曲線Aは従来のヘルムホルツダンパ(例えば
図1に示したようなヘルムホルツダンパ)に関する。曲線Aからは、ダンピング帯域幅が極めて狭いことが明らかである。
【0066】
曲線Bは二つのヘルムホルツダンパの機構に関しており、その共振周波数は離れて、直列に接続している。曲線Bからは、ダンピング帯域幅が二つの狭いダンピング領域(一つのヘルムホルツダンパの共振周波数にまたがった各領域)を有する。
【0067】
曲線Cは二つのヘルムホルツダンパを備えた
図2に似た機構に関しており、その共振周波数は互いに近く、相乗ダンピング効果を有しており、直列に接続している。
【0068】
曲線Cから、二つの狭いダンピング領域の代わりに、相乗効果の場合、帯域幅は相乗効果を超えて極めて広い一つのダンピング領域を有している。
【0069】
図9は
図3に似た機構をテストする際に描かれたグラフを示す。この場合においても、特に直列に接続したヘルムホルツダンパの機構の帯域幅と比べた際にダンピング帯域幅が極めて広いことが明らかである。
【0070】
記載した特徴が互いに独立して設けられていてもよいのは当然である。
【0071】
実際、使用される材料および寸法は、要求および技術水準に応じて任意に選ぶことができる。