(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の物品のそれぞれの上端部を対応する前記チャックに前記第2方向から案内する複数のアッパーガイドを備える、請求項1ないし6のいずれかに記載の箱詰め装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
「揺動レバー方式」のハンドでは、ツメの開き幅によって揺動レバーの角度が変わり、物品に対するツメの接触角度が変わるため、或る厚さの物品に適するように設計されたハンドを、他の厚さの物品に適用した場合には、当該物品を確実に把持することができないおそれがあった。
【0007】
一方、「平行移動方式」のハンドでは、一対のスライダのそれぞれが互いに平行方向に移動されるので、グリッパの開き幅が変化した場合でも、物品に対するグリッパの接触角度を一定に保持でき、1つのハンドを厚さが異なる複数種類の物品に適用できる。しかし、エアシリンダがスライダの摺動方向に延びて配置されていたので、摺動方向におけるハンド全体の長さが長くなっていた。したがって、このハンドを特許文献1及び2に記載された箱詰め装置に適用した場合には、隣り合うハンド間でエアシリンダどうしが干渉するおそれがあった。そのため、複数のハンドのそれぞれの物品把持位置を互いに近づけることが困難であり、例えば、物品のサイズが小さい場合には、ハンドで把持された物品間に隙間が生じ、コンパクトに箱詰めすることができないおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、厚さが異なる複数種類の物品に共通に適用することができるとともに、複数のチャックのそれぞれの物品把持位置を互いに近づけることができる、箱詰め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の箱詰め装置は、複数の物品を第1方向に列状に並べて整列させる物品整列装置と、整列させられた前記複数の物品を、平面視で前記第1方向に対して直交する第2方向に同時に押し出す物品押出し装置と、前記物品押出し装置で押し出されてきた前記複数の物品を外装箱の内部に押し込む物品押込み装置とを備え、前記物品押込み装置は、複数の物品のそれぞれの上端部を把持する複数のチャックを有し、前記複数のチャックのそれぞれは、前記第1方向に直線状に移動可能に構成された第1把持部及び第2把持部と、前記第1把持部及び前記第2把持部を互いに近接又は離間する方向に移動させるエアシリンダとを有し、前記エアシリンダを構成するシリンダ及びピストンは、前記第1方向に延びて配置され、奇数番目に配置された前記チャックの前記エアシリンダと、偶数番目に配置された前記チャックの前記エアシリンダとは、前記第2方向にずれて配置される。
【0010】
この構成では、エアシリンダを構成するシリンダ及びピストンが、第1方向に延びて配置され、第1把持部及び第2把持部が、エアシリンダによって第1方向に直線状に移動される。したがって、把持部の開き幅が変化した場合でも、物品に対する把持部の接触角度を一定に保持することが可能であり、1つのチャックを厚さが異なる複数の物品に適用することができる。また、奇数番目に配置されたチャックのエアシリンダと、偶数番目に配置されたチャックのエアシリンダとが、第2方向にずれて配置されるので、隣り合うチャック間でエアシリンダどうしが干渉するのを防止でき、複数のチャックのそれぞれの物品把持位置を互いに近づけることができる。
【0011】
前記エアシリンダは、前記第1方向に延びて前記第2方向に並んで配置された第1シリンダ及び第2シリンダと、前記第1シリンダ及び前記第2シリンダのそれぞれの内部に往復移動可能に収容された第1ピストン及び第2ピストンと、前記第1ピストン及び前記第2ピストンのいずれか一方の動力を他方に逆方向に伝達する動力伝達部とを有し、前記第1ピストン及び前記第2ピストンのそれぞれに前記第1把持部及び前記第2把持部が接続されてもよい。
【0012】
この構成では、第1ピストン及び第2ピストンの一方が一方向に駆動されると、他方がその逆方向に駆動され、第1把持部及び第2把持部が物品把持位置の両側で往復移動される。したがって、物品把持位置を、第1把持部及び第2把持部の移動範囲の中央部に位置決めでき、複数のチャックを、物品把持位置を基準としてバランスよく配置することができる。
【0013】
前記複数のチャックのそれぞれを構成する前記第1把持部及び前記第2把持部は、互いに対向して前記第2方向に延びて配置された第1把持面及び第2把持面を有し、
全ての前記チャックにおいて、前記第1把持面及び前記第2把持面の前記第2方向における一方端部は、前記第1方向に延びる第1仮想直線上に配置され、前記第1把持面及び前記第2把持面の前記第2方向における他方端部は、前記第1方向に延びる第2仮想直線上に配置されてもよい。
【0014】
この構成では、全てのチャックの第1把持面及び第2把持面において、第2方向における一方端部が第1仮想直線上に揃えられ、第2方向における他方端部が第2仮想直線上に揃えられる。したがって、全てのチャックについて、物品を把持する条件を均一化でき、箱詰め動作を安定させることができる。
【0015】
全ての前記チャックにおいて、前記エアシリンダは、前記第1仮想直線と前記第2仮想直線とで囲まれた範囲内に配置されてもよい。
【0016】
この構成では、第1仮想直線と第2仮想直線とで囲まれた範囲、すなわち物品を把持するために確保される必要最小限の範囲からエアシリンダがはみ出すことがなく、複数のチャックを有する部分(チャックユニット等)のサイズが大型化するのを防止できる。
【0017】
前記物品押込み装置は、上下方向に移動可能に設けられた昇降アームと、前記昇降アームの下端部に着脱自在に取り付けられたチャックユニットとを有し、前記チャックユニットは、略板状の基台と、前記基台に取り付けられた前記複数のチャックとを有してもよい。
【0018】
この構成では、複数のチャックがチャックユニットの基台に取り付けられるので、チャックユニットを昇降アームの下端部に取り付けるだけで、複数のチャックを所定位置に簡単に配置することができる。
【0019】
前記物品押込み装置は、複数の物品を負圧により吸着する吸着ユニットを有し、前記チャックユニット及び前記吸着ユニットのいずれか一方が、前記昇降アームの下端部に選択的に取り付けられてもよい。
【0020】
この構成では、チャックユニット及び吸着ユニットのいずれか一方が昇降アームの下端部に選択的に取り付けられるので、スタンディングパウチを用いた物品及び通常の物品の両方に適用できる。また、これらの使用態様において、吸気又は排気のシステムを共通に用いることができるので、使用態様の変更に伴うコスト負担を抑えることができる。
【0021】
前記複数の物品のそれぞれの上端部を対応する前記チャックに前記第2方向から案内する複数のアッパーガイドを備えてもよい。
【0022】
この構成では、複数の物品のそれぞれの上端部を複数のアッパーガイドによって対応するチャックに確実に案内することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の箱詰め装置によれば、厚さが異なる複数種類の物品に共通に適用できるとともに、複数のチャックのそれぞれの物品把持位置を互いに近づけることができる。したがって、例えば、物品のサイズが小さい場合でも、チャックで把持された物品間に隙間が生じるのを防止でき、複数の物品をコンパクトに箱詰めすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0026】
[箱詰め装置の全体構成]
図1は実施形態に係る箱詰め装置10の構成を示す正面図であり、
図2は箱詰め装置10の構成を示す平面図であり、
図3は箱詰め装置10の主要部の構成を示す斜視図である。なお、図面中の矢印で示すように、以下の説明で用いる「前、後、左、右、上、下」の方向は、箱詰め装置10を正面(
図1)から見たときの方向と一致し、奥側が「前」、手前側が「後」となっている。
【0027】
図1に示すように、箱詰め装置10は、複数(本実施形態では4個)の物品Tを整列させて物品集合体Xを構成するとともに、これらの物品Tを、物品集合体Xを単位として段ボールケースやダース箱等の外装箱Uの内部に自動収容するものである。ここで、物品Tは、シャンプー及びパスタソース等の液状物をスタンディングパウチで包装したものであり、物品Tの上部は上方に向けて楔状に尖っている。
【0028】
図1及び
図2に示すように、箱詰め装置10は、縦ピロー包装機等のような前段の装置(図示省略)から物品Tを導入する物品導入装置12と、複数の物品Tを「第1方向」としての左右方向に列状に並べて整列させる物品整列装置14と、整列させられた複数の物品Tからなる物品集合体Xを、平面視で左右方向(第1方向)に対して直交する「第2方向」の前方に押し出す物品押出し装置16と、押し出されてきた物品集合体Xを外装箱Uの内部に押し込む物品押込み装置18と、押し出されてきた複数の物品Tの上端部を、物品押込み装置18の複数のチャック90a〜90d(
図5(A),(B))に押出し方向(すなわち第2方向)から案内するガイド装置20とを備えている。また、箱詰め装置10は、これらの装置を支持するフレーム22と、装置12,14,16,18を統一的に制御する制御装置24(
図1)とを備えている。
【0029】
図1に示すように、フレーム22は、パイプ状又は棒状の部材や板状の部材を互いに接合することによって構成されており、
図2に示すように、フレーム22の前部には、物品集合体Xが上から下に通過する開口Wが設けられている。そして、フレーム22の後部には、物品導入装置12及び物品整列装置14が左右方向に並んで設けられており、フレーム22の前部における開口Wと対応する部分には、物品押込み装置18が設けられている。また、フレーム22の上部における物品整列装置14と物品押込み装置18とに跨る領域には、物品押出し装置16が設けられている。さらに、物品押出し装置16における押出し経路Rには、ガイド装置20が設けられている。制御装置24(
図1)は、CPUと、制御プログラム及び各種のデータを記憶する記憶装置とを有しており、CPUで制御プログラムが実行されることによって、装置12,14,16,18による一連の箱詰め動作が実行される。
【0030】
[物品導入装置の構成]
図1に示すように、物品導入装置12は、左右方向に間隔を隔てて配置された一対のローラ26(右側のローラ26は図示省略)と、一対のローラ26間に掛け渡された無端ベルト28と、一対のローラ26のうち少なくとも一方を駆動するモータ(図示省略)とを有している。縦ピロー包装機等のような前段の装置(図示省略)から物品導入装置12に複数の物品Tが順次供給されると、これらの物品Tは、無端ベルト28に載置されて左方に向けて搬送され、無端ベルト28の左側の端部から物品整列装置14に与えられる。
【0031】
[物品整列装置の構成]
図1及び
図2に示すように、物品整列装置14は、複数の物品Tを立てた状態で一列に整列させるものであり、複数の物品Tを左右方向において一方向(本実施形態では左方向)に搬送する搬送面30aを有する無端軌道30と、無端軌道30の搬送面30aに搬送方向に間隔を隔てて設けられた複数のフィン32とを有している。
【0032】
図3に示すように、無端軌道30は、前方から後方に向けて互いに平行に並んで配置された第1ベルト34a、第2ベルト34b、第3ベルト34c及び第4ベルト34dを有しており、これらのベルト34a〜34dの表面が搬送面30aとなっている。そして、第1ベルト34a及び第3ベルト34cが、左右方向に間隔を隔てて設けられた一対のプーリー36(左側のプーリー36は図示省略)間に掛け渡されており、第2ベルト34b及び第4ベルト34dが、左右方向に間隔を隔てて設けられた一対のプーリー38(左側のプーリー38は図示省略)間に掛け渡されている。
【0033】
図1に示すように、一対のプーリー36(
図3)のうち少なくとも一方には、第1駆動部37が接続されており、一対のプーリー38(
図3)のうち少なくとも一方には、第2駆動部39が接続されている。第1駆動部37及び第2駆動部39のそれぞれは、高精度の位置制御が可能なモータ(ステッピングモータ及びサーボモータ等)37a,39aを有しており、これらのモータ37a,39aが制御装置24に電気的に接続されている。
【0034】
図3に示すように、複数のフィン32は、複数の物品Tを立てた状態で保持する板状部材であり、本実施形態では、4個の物品Tを保持する5枚のフィン32が1組となって1つのフィン群40が構成されており、複数のフィン郡40が無端軌道30の搬送面30a上に所定の間隔を隔てて配置されている。2枚のフィン32間に物品Tを立てた状態において、物品Tを後方又は前方から見たときの形状は略三角形(
図1)であり、物品Tを左方又は右方から見たときの形状は略四角形(
図3)であり、物品Tを上方又は下方から見たときの形状は略楕円形(
図2)である。
【0035】
各フィン郡40において、隣接するフィン32どうしの間隔は、物品Tの最大厚さよりも大きく設計されている。そして、搬送面30a上に並ぶ複数のフィン郡40に連続番号を付したと仮定すると、奇数番号が付されたフィン郡40を構成する各フィン32が、第1ベルト34a及び第3ベルト34cに取り付けられており、偶数番号が付されたフィン郡40を構成する各フィン32が、第2ベルト34b及び第4ベルト34dに取り付けられている。したがって、奇数番目のフィン郡40と偶数番目のフィン郡40とを別々に駆動させることができる。例えば、
図3に示すように、先行するフィン郡40を物品整列位置P1で停止させた状態で、後続するフィン郡40を物品受入れ位置P2で停止させたり、或いは、物品整列位置P1に向けて移動させたりすることができる。
【0036】
[物品押出し装置の構成]
図2に示すように、物品押出し装置16は、左右方向(第1方向)に列状に並べられた複数の物品Tを、物品整列位置P1から平面視で列の側方(本実施形態では前方)に向けて同時に押し出すものであり、直動機構44と、押出し部46と、ロアガイド48と、ストッパ部50とを有している。
【0037】
図2に示すように、直動機構44は、前後方向に延びて配置されたリニアレール52と、リニアレール52に対して往復移動可能に取り付けられた往復テーブル54と、リニアレール52の前端部及び後端部の近傍に配置された一対のプーリー56a,56bと、これらのプーリー56a,56b間に掛け渡された無端ベルト58と、一方のプーリー56aを駆動するモータ60とを有している。そして、無端ベルト58に対して往復テーブル54が固定されている。モータ60は、高精度の位置制御が可能なステッピングモータ及びサーボモータ等であり、モータ60が制御装置24(
図1)に電気的に接続されている。したがって、モータ60でプーリー56aを正転又は逆転させると、無端ベルト58が正転又は逆転され、これに伴って往復テーブル54が前方又は後方に往復移動される。
【0038】
図3に示すように、押出し部46は、複数の物品Tを物品押込み装置18に向けて押し出すものであり、左右方向に延びる支持アーム62と、支持アーム62に取り付けられた複数(本実施形態では4枚)の押出しプレート64とを有している。押出しプレート64は、2枚のフィン32間に収容された物品Tを前後方向(第2方向)の前方に押圧する略四角形の板状部材であり、隣り合う2枚の押出しプレート64の間には、フィン32が通るスリット64aが形成されている。そして、押出しプレート64の上端部が、支持アーム62に固定されており、支持アーム62の端部が往復テーブル54に固定されている。
【0039】
図2に示すように、ロアガイド48は、複数の物品T(物品集合体X)の下部を物品押込み装置18に対して前後方向(第2方向)から案内するものであり、押出し部46で押し出されてきた複数の物品T(物品集合体X)の列方向両側に配置された第1ロアガイド片48a及び第2ロアガイド片48bを有している。第1ロアガイド片48a及び第2ロアガイド片48bのそれぞれは、互いに対向して配置された略四角形の板状部材であり、第1ロアガイド片48aと第2ロアガイド片48bとの間隔は、フィン群40の両側に位置する2枚のフィン32間の間隔とほぼ同じか、それよりも大きく、かつ、複数の押出しプレート64の全体の幅(左右方向長さ)より大きく設計されている。
図3に示すように、ストッパ部50は、複数の物品T(物品集合体X)を受け止める板状部材であり、開口Wの前端縁に沿って配置されている。
【0040】
[物品押込み装置の構成]
図4は、物品押込み装置18の主要部の構成を示す斜視図であり、
図5(A)は、チャックユニット84の構成を示す正面図であり、
図5(B)は、チャックユニット84の構成を示す底面図である。また、
図6は、チャック90aの構成を示す斜視図であり、
図7は、チャック90aの構成を示す断面図である。なお、チャック90a〜90dの基本的構成は同じであることから、
図6及び
図7についてはチャック90aを例に挙げて説明する。
【0041】
図3に示すように、物品押込み装置18は、シャッタ66と、物品保持部68と、複数の物品Tを把持して外装箱Uの内部に押し込む押込み部70と、外装箱搬送装置72とを備えている。
【0042】
図3に示すように、シャッタ66は、フレーム22(
図2)の開口Wを開閉するものであり、開口Wに移動可能に設けられた左右一対の開閉プレート74a,74bを有している。
【0043】
図2に示すように、物品保持部68は、開閉プレート74a,74bの上面に載置された複数の物品T(すなわち物品集合体X)を左右方向(第1方向)から保持するものであり、左右一対の保持プレート76a,76bと、保持プレート76a,76bを複数の物品T(物品集合体X)に押し当てる押圧装置78a,78bとを有している。
【0044】
図1に示すように、押込み部70は、フレーム22に設けられた昇降タワー80と、昇降タワー80に上下方向に移動可能に設けられた昇降アーム82と、昇降アーム82の下端部に取り付けられたチャックユニット84と、昇降アーム82を昇降させる昇降装置(図示省略)と、フレーム22に設けられ、エア供給口86a,86bを支持する支柱88とを有している。
【0045】
図4に示すように、昇降アーム82は、上下方向に延びるパイプ状又は棒状のアーム本体82aと、アーム本体82aの下端部に取り付けられた接続部82bとを有している。接続部82bは、チャックユニット84の上面に当接される略板状の部材であり、接続部82bの上面の中央部にアーム本体82aの下端部が接続されている。また、接続部82bにおけるアーム本体82aの左右方向(第1方向)両側に位置する部分には、取付ねじ89の雄ねじ部(図示省略)が挿通されるスリット82cが前後方向(第2方向)に延びて形成されており、スリット82cの前端部は前方に向けて開かれている。したがって、チャックユニット84の上面に取付ねじ89が予め取り付けられている場合には、取付ねじ89の雄ねじ部(図示省略)を、スリット82cの前端部からスリット82cの奥部に前方から導入することができる。
【0046】
図4及び
図5(A),(B)に示すように、チャックユニット84は、物品押出し装置16で押し出されてきた複数の物品T(
図1)のそれぞれの上端部を個別に把持する複数(本実施形態では4つ)のチャック90a〜90dと、複数のチャック90a〜90dを支持する基台92とを有している。
【0047】
図6及び
図7に示すように、チャック90aは、エアシリンダ200と、エアシリンダ200によって左右方向(第1方向)に駆動される第1把持部202及び第2把持部204とを有している。
【0048】
図7に示すように、エアシリンダ200は、左右方向(第1方向)に延びて前後方向(第2方向)に並んで配置された第1シリンダ206a及び第2シリンダ206bと、第1シリンダ206a及び第2シリンダ206bのそれぞれの内部に往復移動可能に収容された第1ピストン208a及び第2ピストン208bと、動力伝達部210とを有している。そして、第1シリンダ206a及び第2シリンダ206bのそれぞれの左右方向(第1方向)端部には、第1空気供給口207a及び第2空気供給口207bが形成されている。
【0049】
動力伝達部210は、ピニオン210aと、第1ピストン208aに設けられた第1ラック210bと、第2ピストン208bに設けられた第2ラック210cとを有しており、前後方向(第2方向)におけるピニオン210aの両側に、第1ラック210b及び第2ラック210cが配置されている。第1空気供給口207aから第1シリンダ206aの内部に空気が供給されると、第1ピストン208a及び第1ラック210bが右方に移動される。そして、この動力が動力伝達部210のピニオン210aを介して第2ラック210cに逆方向(左方)に伝達され、第2ピストン208b及び第2ラック210cが左方に移動される。一方、第2空気供給口207bから第2シリンダ206bの内部に空気が供給されると、第2ピストン208b及び第2ラック210cが右方に移動され、動力伝達部210の上記と逆の作用により、第1ピストン208a及び第1ラック210bが左方に移動される。
【0050】
また、
図6に示すように、エアシリンダ200は、左右方向(第1方向)に延びるリニアレール212と、リニアレール212に対して左右方向(第1方向)に摺動可能に取り付けられた第1摺動部214a及び第2摺動部214bとを有しており、第1摺動部214aと第1ピストン208a(
図7)とが連結されており、第2摺動部214bと第2ピストン208b(
図7)とが連結されている。そして、第1把持部202が第1摺動部214aに取り付けられており、第2把持部204が第2摺動部214bに取り付けられている。つまり、第1把持部202が、第1摺動部214aを介して第1ピストン208a(
図7)に接続されており、第2把持部204が、第2摺動部214bを介して第2ピストン208b(
図7)に接続されている。したがって、第1ピストン208a及び第2ピストン208bが駆動されると、第1把持部202及び第2把持部204が互いに近接又は離間する方向に移動され、物品Tを把持したり、放したりするための開閉動作が実行される。
【0051】
図5(A)に示すように、第1把持部202は、本体部220と緩衝部材222とを有している。本体部220は、第1摺動部214aに接続される略板状の基部220aと、基部220aの左右方向(第1方向)端部から下方に延びて略板状に形成された支持部220bとを有しており、支持部220bにおける物品T側の面が、緩衝部材222が取り付けられる取付面となっている。また、基部220aには、ボルト224が挿通される複数の孔(図示省略)が形成されている。そして、当該孔に挿通されたボルト224が第1摺動部214aに形成された雌ねじ(図示省略)に螺合されることによって、本体部220が第1摺動部214aに取り付けられている。
【0052】
緩衝部材222は、物品Tの表面に当接する板状、棒状又はブロック状の部材であり、支持部220bの上記取付面に対して、ねじ、ボルト・ナット、嵌合構造及び接着剤等の取付手段を用いて取り付けられている。緩衝部材222の材質及び形状等は、物品Tを傷付けることなく把持できるように設計されており、本実施形態では、ウレタンゴムによって略板状に形成されている。そして、緩衝部材222の物品T側の面が、物品Tを把持するときに物品Tと接触する第1把持面222aとなっている。
【0053】
図5(A)に示すように、第2把持部204は、本体部230と緩衝部材232とを有している。本体部230は、第1摺動部214aに接続される略板状の基部230aと、基部230aの左右方向(第1方向)端部から下方に延びて略板状に形成された支持部230bとを有しており、支持部230bにおける物品T側の面が、緩衝部材232が取り付けられる取付面となっている。また、基部230aには、ボルト224が挿通される複数の孔(図示省略)が形成されている。そして、当該孔に挿通されたボルト224が第2摺動部214bに形成された雌ねじ(図示省略)に螺合されることによって、本体部230が第2摺動部214bに取り付けられている。
【0054】
緩衝部材232は、緩衝部材222と同様に、ウレタンゴム等によって略板状等に形成されており、支持部230bの取付面に対して、上記取付手段を用いて取り付けられている。そして、緩衝部材232の物品T側の面が、物品Tを把持するときに物品Tと接触する第2把持面232aとなっている。
【0055】
図5(B)に示すように、奇数番目に配置されたチャック90a,90cのエアシリンダ200と、偶数番目に配置されたチャック90b,90dのエアシリンダ200とは、前後方向(第2方向)にずれて配置されている。したがって、エアシリンダ200のサイズが左右方向(第1方向)に長いにもかかわらず、隣り合うチャック間でエアシリンダ200どうしが干渉することはなく、左右方向(第1方向)における物品把持位置P5(
図11)や物品把持位置P5どうしの間隔G(
図11)を、物品Tのサイズ等に応じて適正に設計することができる。例えば、本実施形態のように、奇数番目に配置されたチャック90a,90cのエアシリンダ200と、偶数番目に配置されたチャック90b,90dのエアシリンダ200とを、前後方向(第2方向)において互いの一部が重なるように配置すると、物品把持位置P5どうしの間隔G(
図11)を短くすることができ、小サイズの物品Tに適した設計を行うことができる。
【0056】
また、
図5(B)に示すように、複数のチャック90a〜90dのそれぞれを構成する第1把持部202及び第2把持部204は、互いに対向して前後方向(第2方向)に延びて配置された第1把持面222a及び第2把持面232aを有している。そして、全てのチャック90a〜90dにおいて、第1把持面222a及び第2把持面232aの前後方向(第2方向)における一方端部(前端部)は、左右方向(第1方向)に延びる第1仮想直線L1上に配置されており、第1把持面222a及び第2把持面232aの前後方向(第2方向)における他方端部(後端部)は、左右方向(第1方向)に延びる第2仮想直線L2上に配置されている。つまり、全てのチャック90a〜90dの第1把持面222a及び第2把持面232aにおいて、前後方向(第2方向)における一方端部が第1仮想直線L1上に揃えられ、前後方向(第2方向)における他方端部が第2仮想直線L2上に揃えられている。したがって、全てのチャック90a〜90dについて、物品Tを把持する条件を均一化でき、箱詰め動作を安定させることができる。
【0057】
さらに、
図5(B)に示すように、全てのチャック90a〜90dにおいて、エアシリンダ200は、第1仮想直線L1と第2仮想直線L2とで囲まれた範囲内に配置されている。したがって、物品Tを把持するために確保される必要最小限の範囲からエアシリンダ200が前後方向(第2方向)にはみ出すことはなく、チャックユニット84のサイズが前後方向(第2方向)において大型化するのを防止できる。
【0058】
なお、エアシリンダ200としては、市販されている一般的なものを使用でき、例えば、SMC株式会社の商品名「薄形エアチャック、MHF2Series」を使用できる。また、本実施形態において、第1把持部202及び第2把持部204の構成は適宜変更可能であり、本体部220,230の一部で物品Tを把持できる場合には、緩衝部材222,232は省略されてもよい。この場合には、本体部220,230における物品Tと接触する面が第1把持面及び第2把持面(図示省略)となる。
【0059】
図4に示すように、基台92は、複数のチャック90a〜90dを上方から支持する板状部材であり、基台92の下面に複数のチャック90a〜90dがねじ等によって取り付けられている。また、基台92の上面の周縁部には、継ぎ手部94、第1エア分配部96及び第2エア分配部98が設けられており、基台92の上面の中央部には、2つのねじ孔(図示省略)が左右方向(第1方向)に間隔を隔てて形成されており、これらのねじ孔に取付ねじ89が螺合されている。そして、エア供給口86a(
図1)と、継ぎ手部94と、第1エア分配部96と、複数のチャック90a〜90dのそれぞれの第1空気供給口207a(
図7)とが、第1系統のエアチューブ(図示省略)を介して接続されており、エア供給口86b(
図1)と、継ぎ手部94と、第2エア分配部98と、複数のチャック90a〜90dのそれぞれの第2空気供給口207b(
図7)とが、第2系統のエアチューブ(図示省略)を介して接続されている。
【0060】
図1に示すように、外装箱搬送装置72は、外装箱昇降装置100と、外装箱搬入装置102と、外装箱搬出装置104とを有している。外装箱昇降装置100は、空の外装箱Uを開口Wの直下に位置する所定の箱詰位置P3まで上昇させるとともに、複数の物品Tが収容された外装箱Uを所定の降下位置P4まで降下させるものであり、外装箱Uを支持するテーブル100aと、テーブル100aを昇降させる昇降機構100bとを有している。
【0061】
[ガイド装置の構成]
図8はガイド装置20の構成を示す平面図であり、
図9はガイド装置20の主要部の構成を示す斜視図である。また、
図10はチャック90a〜90dとアッパーガイド110と物品Tと押出し部46との位置関係を示す正面図であり、
図11はチャック90a〜90dを閉じた状態を示す正面図である。
【0062】
図8及び
図9に示すように、ガイド装置20は、複数のアッパーガイド110と、複数のアッパーガイド110を支持する支持部材112と、支持部材112に複数のアッパーガイド110を左右方向(第1方向)に移動可能に取り付ける取付部114とを有している。
【0063】
図1に示すように、複数のアッパーガイド110のそれぞれは、物品押出し装置16で押し出されてきた複数の物品Tの上端部を複数のチャック90a〜90dに前後方向(第2方向)から案内するものであり、
図8に示すように、左右方向(第1方向)に間隔を隔てて配置された第1アッパーガイド片116a及び第2アッパーガイド片116bを有している。
【0064】
図9に示すように、第1アッパーガイド片116aは、物品Tの上端部を左方から受けて案内する板状の第1ガイド本体118aと、第1ガイド本体118aの下端縁から外側に突出して形成された第1補強部120aと、第1ガイド本体118aの外面に上下方向に延びて設けられた少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の第1雌ねじ部材122aとを有している。一方、第2アッパーガイド片116bは、物品Tの上端部を右方から受けて案内する板状の第2ガイド本体118bと、第2ガイド本体118bの下端縁から外側に突出して形成された第2補強部120bと、第2ガイド本体118bの外面に上下方向に延びて設けられた少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の第2雌ねじ部材122bとを有している。第1アッパーガイド片116aと第2アッパーガイド片116bとの間隔は、物品整列装置14側(後側)の端部から物品押込み装置18側(前側)の端部に向けて徐々に狭くなっている。
【0065】
図9に示すように、第1雌ねじ部材122a及び第2雌ねじ部材122bのそれぞれは、上部内面に雌ねじが形成された管状の部材であり、第1雌ねじ部材122a及び第2雌ねじ部材122bの長さによって、支持部材112に対する第1ガイド本体118a及び第2ガイド本体118bの相対的な高さ方向位置が決められている。
【0066】
図8に示すように、支持部材112は、左右方向(第1方向)に延びて互いに平行に配置された略棒状の第1部材124a及び第2部材124bと、前後方向(第2方向)に延びて互いに平行に配置された略棒状の第3部材124c及び第4部材124dとによって、平面視略四角形の枠状に形成されている。そして、第1部材124a及び第2部材124bのそれぞれには、左右方向(第1方向)に延びる第1長孔126a及び第2長孔126bが形成されている。また、第2部材124bと第3部材124cとで構成されたコーナ部、及び第2部材124bと第4部材124dとで構成されたコーナ部のそれぞれには、フレーム22に固定される板状の固定部128が形成されており、固定部128には、ねじ孔128a(
図9)が形成されている。
【0067】
図8に示すように、フレーム22は、ガイド装置20の支持部材112を複数の物品Tの押出し経路R(
図2)において着脱可能に支持する「ガイド支持部」としての機能を有している。つまり、フレーム22は、固定部128に対して上方から当接する板状の当接部22aを有しており、当接部22aにおけるねじ孔128a(
図9)と対応する位置には、貫通孔又はスリット(図示省略)が形成されている。そして、当該貫通孔又はスリットには、上方から固定ねじ130が挿通されており、この固定ねじ130がねじ孔128a(
図9)に螺合されることによって、固定部128が当接部22aに着脱可能に固定されている。
【0068】
図9に示すように、取付部114は、支持部材112に形成された第1長孔126a及び第2長孔126bと、第1アッパーガイド片116a及び第2アッパーガイド片116bのそれぞれに形成された第1雌ねじ部材122a及び第2雌ねじ部材122bと、ボルト等の雄ねじ部材132とを有している。そして、第1長孔126a及び第2長孔126bに上方から雄ねじ部材132が挿通され、この雄ねじ部材132が第1雌ねじ部材122aに螺合されている。また、第1長孔126a及び第2長孔126bに上方から他の雄ねじ部材132が挿通され、この雄ねじ部材132が第2雌ねじ部材122bに螺合されている。雄ねじ部材132を緩めた状態では、第1アッパーガイド片116a及び第2アッパーガイド片116bを、第1長孔126a及び第2長孔126bに沿って第1方向に移動させることができ、これにより、第1アッパーガイド片116a及び第2アッパーガイド片116bの第1方向位置を個別に調整することができる。
【0069】
[箱詰め装置の動作]
制御装置24(
図1)で制御プログラムが実行されると、物品導入工程、物品整列工程、物品押出し工程及び物品押込み工程がこの順に実行される。
【0070】
図2に示すように、物品導入工程では、縦ピロー包装機等のような前段の装置(図示省略)から供給された複数の物品Tが、物品導入装置12によって物品整列装置14に向けて順次搬送される。物品整列工程では、導入された複数の物品Tが左右方向(第1方向)に延びて列状に並べられ、物品集合体Xが構成される。
図3に示すように、物品押出し工程では、物品押出し装置16による複数の物品Tの押出し動作が実行され、複数の物品Tが前後方向(第2方向)の前方に押し出されて開閉プレート74a,74bの上面に配置される。
図10に示すように、このとき、複数の物品Tのそれぞれの上端部は、ガイド装置20のアッパーガイド110によって対応するチャック90a〜90dに対して確実に案内される。
【0071】
図11に示すように、物品押込み工程では、まず、複数の物品Tが複数のチャック90a〜90dで把持される。また、
図1中の二点鎖線で示すように、空の外装箱Uが、外装箱搬送装置72の外装箱搬入装置102及び外装箱昇降装置100によって箱詰位置P3まで搬送される。そして、開口Wが開かれるとともに昇降アーム82及びチャックユニット84が降下され、チャック90a〜90dで上端部を把持された複数の物品Tが外装箱Uの内部に押し込まれる。外装箱Uに所定数の物品Tが収容されると、外装箱Uが降下位置P4まで降下され、外装箱搬出装置104によって搬出される。
【0072】
本実施形態では、奇数番目に配置されたチャック90a,90cのエアシリンダ200と、偶数番目に配置されたチャック90b,90dのエアシリンダ200とを前後方向(第2方向)において互いの一部が重なるように配置し、物品把持位置P5どうしの間隔G(
図11)を短くしているので、チャック90a〜90dで把持された物品T間に隙間が生じるのを防止できる。また、複数の物品Tのそれぞれの上端部をアッパーガイド110によって対応するチャック90a〜90dに確実に案内することができるので、物品Tの整列の乱れを防止できる。したがって、複数の物品Tを外装箱Uの内部に整然とコンパクトに収容することができる。
【0073】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、チャックユニット84でスタンディングパウチを用いた複数の物品Tを把持するようにしているが、チャックユニット84では、上部の厚みが大きい通常の物品を把持することは困難である。そこで、
図12に示すように、他の実施形態では、チャックユニット84に代えて吸着ユニット140が選択的に用いられる。つまり、他の実施形態では、複数の物品を負圧により吸着する吸着ユニット140が予め準備される。そして、チャックユニット84及び吸着ユニット140のいずれか一方が、物品の種類等に応じて自動又は手動により選択され、昇降アーム82の下端部に自動又は手動により取り付けられる。この実施形態では、エア供給口86a,86b(
図1)を含む吸気又は排気のシステムを2つの使用態様において共通に用いることができるので、使用態様の変更に伴うコスト負担を抑えることができる。