(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記樹脂モジュールは、前記流路の入口及び出口に設けられた入口接続部及び出口接続部を備えており、前記入口接続部及び前記出口接続部は、クイックファスナ構造であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池発電システム。
前記樹脂モジュールと前記機器との設置面に、複数のシール部材が配置され、これらのシール部材に区切られた各領域にそれぞれ異なる流体の導通口が設けられていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム。
水素リッチなガスと酸素とを反応させて直流電力を作る燃料電池本体と、前記水素リッチなガスを生成する,バーナを備えた改質装置とを具備する燃料電池発電システムにおいて、
前記改質装置に原燃料を供給する第1の流路と、前記改質装置から排出される改質ガスが流通する第2の流路を備える第1の集積配管と、
前記燃料電池本体に空気を供給する第3の流路と、前記改質装置に空気を供給する第4の流路と、前記改質装置のバーナに空気を供給する第5の流路を備えた第2の集積配管と、
前記バーナに原燃料と空気を供給する第6の流路と、前記燃料電池本体から排出されるアノードオフガスが流通する第7の流路を備えた第3の集積配管と、
前記燃料電池本体に空気を供給する第8の流路と、前記燃料電池本体から排出されるカソードオフガスが流通する第9の流路を備えた第4の集積配管と、
前記燃料電池本体に改質ガスと空気を供給する第10の流路と、前記アノードオフガスが流通する第11の流路を備えた第5の集積配管と、
前記改質装置から排出される改質ガスが流通する第12の流路と、前記燃料電池本体に空気を供給する第13の流路を備えた第6の集積配管と、
前記改質装置に冷却水を供給する第14の流路を備えた第7の集積配管と、
前記燃料電池本体に冷却水を供給する第15の流路を備えた第8の集積配管と、
前記燃料電池本体と前記改質装置に冷却水を供給する第16の流路と、前記燃料電池本体から排出された冷却水が流通する第17の流路を備えた第9の集積配管のうち、全ての第1〜第9の集積配管、又はいずれか一つの集積配管を備え、当該集積配管が前記樹脂モジュールの中に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池発電システム。
前記第1〜第5の集積配管と、前記第8・第9の集積配管と、前記第6の集積配管と前記第7の集積配管の機能を有した第10の集積配管のうち、全ての前記集積配管、又はいずれか一つの集積配管を備え、当該集積配管が前記樹脂モジュールの中に形成されていることを特徴とする請求項11記載の燃料電池発電システム。
前記第1〜第7,第9の集積配管のうち、全ての前記集積配管、又はいずれか一つの集積配管を備え、前記第8の集積配管の機能を前記第4の集積配管と前記第5の集積配管が備え、当該集積配管が前記樹脂モジュールの中に形成されていることを特徴とする請求項11記載の燃料電池発電システム。
前記第2,第4〜第9の集積配管と、前記第1・第3の集積配管の機能を有した第11の集積配管のうち、全ての前記集積配管、又はいずれか一つの集積配管を備え、当該集積配管が前記樹脂モジュールの中に形成されていることを特徴とする請求項11記載の燃料電池発電システム。
前記第1〜第3,第6,第7,第9の集積配管と、前記第4,第5,第8の集積配管の機能を有した第12の集積配管のうち、全ての前記集積配管、又はいずれか一つの集積配管を備え、当該集積配管が前記樹脂モジュールの中に形成されていることを特徴とする請求項11記載の燃料電池発電システム。
前記第4〜第9の集積配管と、前記第1,第2,第3の集積配管の機能を備えた第13の集積配管のうち、全ての前記集積配管、又はいずれか一つの集積配管を備え、当該集積配管が前記樹脂モジュールの中に形成されていることを特徴とする請求項11記載の燃料電池発電システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る燃料電池発電システムの機器搭載部の構成の一例を示す平面図である。
【0017】
本実施形態の燃料電池発電システム1は、例えば、家庭用燃料電池発電システムに適用されるものである。以下の説明では、家庭用燃料電池発電システムを例にあげて説明するが、本実施形態の燃料電池発電システム1は、家庭用燃料電池発電システム以外の燃料電池発電システムにも適用可能である。
【0018】
図1に示されるように、本実施形態の燃料電池発電システム1は、内部に流体(燃料、空気又は水)が流れる複数の流路(配管など)を樹脂で一体に成型した樹脂ブロックモジュール(単に「樹脂モジュール」ともいう。)50を具備する。
【0019】
この樹脂ブロックモジュール50には、Oリングなどのシール部材を介して各種の機器が設置される。機器としては例えば複数の遮断弁10を搭載しており、各流路は例えば遮断弁用Oリング(大)11及び遮断弁用Oリング(小)12でそれぞれシールされている。
【0020】
流体は、ブロア(図示せず)を介して接続部51から樹脂ブロックモジュール50に供給される。燃料は樹脂配管部52で分岐後、遮断弁10に入り、各遮断弁の開閉制御により流れが決定され、必要に応じて接続部53もしくは接続部54より樹脂ブロックモジュール50外部の接続配管(図示せず)に導かれるようになっている。
【0021】
図2は、
図1中に示される遮断弁10および樹脂ブロックモジュール50を含む機器設置部周りの構成の一例を示す断面図である。なお、
図1と共通する要素には同一の符号を付している。
【0022】
樹脂で一体に成型した樹脂ブロックモジュール50は、流通部ボス(第1の凸構造部)60と複数のボス(第2の複数の凸構造部)55とを含んでいる。遮断弁10は、これらの流通部ボス60および複数のボス55を介して樹脂ブロックモジュール50に取り付けられる。流通部ボス60と遮断弁10との接触面には、前述の遮断弁用Oリング(大)11及び遮断弁用Oリング(小)12が配置されており、これらに区切られた各領域にそれぞれ異なる流体の導通口が設けられている。
【0023】
遮断弁10側の遮断弁ベース板14に大径穴13を設けるとともに、樹脂ブロックモジュール50側のボス55に下穴56を設け、固定ねじ40を大径穴13を通して下穴56にねじ込ませることにより、遮断弁10が樹脂ブロックモジュール50に固定される。
【0024】
遮断弁ベース板14と樹脂ブロックモジュール50とは、同一の材料で構成され、例えば材料としてPPS(ポリフェニレンサルファイド)が使用される。
【0025】
固定ねじ40としては、インサート部材(金属インサート等)が不要なタッピングねじを使用する。この場合、例えばノンサート(登録商標)と称されるねじを使用してもよい。固定ねじ40の個々のねじ山の角度は、20°〜35°の範囲内とし、望ましくは25°〜30°の範囲内とする。このようにすることで、ねじが樹脂にクラックを発生させずに、適度なトルクで樹脂に鋭く切れ込み、遮断弁10を樹脂ブロックモジュール50に確実に固定することができる。
【0026】
固定ねじ40がM3ねじの場合、大径穴13として例えば直径3.2mmの貫通穴、下穴56には例えば直径2.5mmの穴を設ける。これにより、固定ねじ40自らが下穴56の樹脂を適度にねじ切りし、遮断弁10が樹脂ブロックモジュール50に固定される。
【0027】
このように遮断弁10が樹脂ブロックモジュール50に固定されることにより、樹脂ブロックモジュール50側の流路57(A)、流路58(B)が遮断弁10側の流路15(C)と導通し、回路A−C−Bが形成される。また、遮断弁10内部の機構(図示しない)により、流れが制御される。
【0028】
図3は、機器設置部周りの樹脂ブロックモジュール50側の構造の一例を示す斜視図である。
【0029】
樹脂で一体に成型した樹脂ブロックモジュール50は、流通部ボス(第1の凸構造部)60および複数のボス(第2の複数の凸構造部)55のうちの少なくとも2つを連結する補強板(リブ)59もしくは補強板(リブ)61をさらに含むように構成されていてもよい。
図3の例では、隣接するボス55同士が補強板59で連結され、かつ、流通部ボス60とボス55とが補強板61で連結されている。このように構成することにより、遮断弁10の樹脂ブロックモジュール50との接触面における反り、歪み、しなりが抑制されるため、部材の損傷や折損を防ぐことができる。また、遮断弁10の設置が安定し、流路接合部における位置ずれや流体の漏れなどを防ぐことができる。
【0030】
本実施形態によれば、製造性を高めてコンパクト性を高めるともに、信頼性を高めた燃料電池発電システムおよびその製造方法を提供することができる。
【0031】
例えば、遮断弁10を固定する際に、Oリング(大)およびOリング(小)がねじの締結力により押圧されることでシール性が確保され、A−C−Bの回路が形成されると共に、遮断弁10の樹脂ブロックモジュール50との接触面にてA−Cの回路とC−Bの回路とが導通することを防ぐことができる。
【0032】
また、流路を流れる流体の温度は、燃料電池発電システムの運転状況により変化するが、この場合、機器側と樹脂ブロックモジュール50側でねじの固定部まわりの材料が異なると、線膨張係数の違いによって、相対すべりが発生し、長期的に緩みの原因になることがある。これに対し、前述のように同一材料を適用することによって、相対すべりが発生せず、温度変化による経年的な緩みの発生を防ぐことができる。
【0033】
また、温度変化などによってボスに荷重が加わると、根元部まわりに発生する応力が大きくなることがあるが、前述のように補強板を適用することによって、損傷や折損を防ぐことができる。また、成型時の樹脂の流れが向上するため、成型不良による樹脂強度の低下を防止することができる。
【0034】
図4は、フックにより遮断弁10を樹脂ブロックモジュール50に固定させる変形例を示す機器固定部周りの断面図である。
【0035】
樹脂で一体に成型した樹脂ブロックモジュール50は、前述のボス55を含んでおらず、代わりに、フック62を含んでいる。すなわち、前述の
図2および
図3の例では、ボス55や固定ねじ40を用いて遮断弁10を樹脂ブロックモジュール50に固定する場合を例示したが、この
図4の例では、ボス55や固定ねじ40は不要であり、代わりにフック62が用いられる。このフック62に遮断弁ベース板14を嵌合させることにより、遮断弁10を樹脂ブロックモジュール50に固定させる。
【0036】
フック62は
図4の下方への拘束力は有しないが、前述の遮断弁用Oリング(大)11や遮断弁用Oリング(小)12により、大径穴13近傍においても常に図上方への押し上げ力が発生しており、ねじによる固定と同等のシール性を有している。
【0037】
この変形例によれば、固定ねじ40などを用いないため、遮断弁10などの機器の設置、固定作業が容易になる。また、樹脂ブロックモジュール50と機器の材料が異なり線膨張係数の差によって相対変位が発生した際も、フック62は互いの変位を拘束せず、またねじとは異なり相対変位による緩みも発生しない。このため、製造性とねじ固定部の長期信頼性を高めた燃料電池発電システムおよびその製造方法を提供することができる。
【0038】
なお、第1の実施形態で説明した技術は、後述する各実施形態にも適用することが可能である。
【0039】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態の燃料電池発電システムを示す概略構成図である。なお、本明細書で開示された燃料電池発電システムを構成する各構成要件は文脈が別段に明確に示すのでなければ、単数でも複数でも構わない。
【0040】
本実施形態の燃料電池発電システム101は、燃料改質装置をパッケージング内部に有する固体高分子型燃料電池発電システムであり、例えば、家庭用燃料電池発電システムに適用されるものである。以下の説明では、家庭用燃料電池発電システムを例にあげて説明するが、本実施形態の燃料電池発電システム101は、家庭用燃料電池発電システム以外の燃料電池発電システムにも適用可能である。
【0041】
燃料電池発電システム101は、主に、燃料処理系(FPS;Fuel Processing System)と、電池本体(CSA;Cell Stack Assembly)102とから構成される。
【0042】
上記燃料処理系は、燃料103、脱硫器104、水蒸気発生器105、改質器106、COシフト反応器107、CO選択酸化器108、水蒸気分離器109、改質用燃焼器110、改質用水ポンプ111、排熱熱交換器112a,112b、燃料流量計141、及びタンク180を備えている。改質用燃焼器110は改質器106に設けられている。燃料103は、例えば、都市ガスやプロパン等の炭化水素系燃料である。
【0043】
一方、電池本体102は、アノード極113、カソード極114を備えている。アノード極113とカソード極114とは、固体高分子電解質膜を挟んで設けられる。電池本体102は、燃料と酸化剤を用いて電気化学反応による発電を行う燃料電池を含んでいる。また、電池本体102には、電池本体102を冷却するための冷却流路170が形成されている。
【0044】
固体高分子型燃料電池発電システムの発電原理を簡単に説明する。
【0045】
燃料に都市ガスを使用する場合、都市ガスから水素ガスへの改質は、上記燃料処理系で行われる。燃料103である都市ガスは脱硫器104を通過する。このとき、脱硫器104の内部で、例えば、活性炭やゼオライト吸着等によって、都市ガス中の硫黄分が取り除かれる。脱硫器104を通過した都市ガスは改質器6を通過する。
【0046】
一方、タンク180からフィルタ130を介して改質用水ポンプ111により供給された純水は、水蒸気発生器105で加熱されてガス化する。水蒸気発生器105から水蒸気分離器109に送られた気体から水蒸気のみが抽出され、水蒸気流量調節弁127を通過して、脱硫済の燃料ガスに合流する。水蒸気分離器109で分離された液体の水は、弁183を介してタンク180に送られる。改質器106の排気は、水蒸気発生器105に送られて水を加熱した後、タンク180に併設された排熱熱交換器112aに送られ、その後排気される。
【0047】
改質器106では、触媒により都市ガスと水蒸気との反応から水素が生成するが、同時にCOの生成も行われる。この水蒸気改質は吸熱反応のため、改質器106には改質用燃焼器110が含まれている。すなわち、改質用燃焼器110によって改質器106の内部は加熱されており、吸熱反応である水蒸気改質反応が維持されている。
【0048】
固体高分子型燃料電池は、電池本体102の電解質膜及び触媒層から構成されるMEA(Membrane Electrode Assembly)でのCO被毒が問題となるため、COはCO
2 へ酸化させる必要がある。このため、COシフト反応器107ではH
2 Oによるシフト反応を進める必要がある。また、CO選択酸化用空気ブロア118の空気供給により、CO選択酸化器108では、触媒によりCO被毒が発生しない程度に、酸化反応を進める必要がある。
【0049】
また、簡単化のため図示しなかったが、改質器106を含めたこれらの触媒反応温度はそれぞれ異なり、改質器106の数百度からCO選択酸化器108の百数十度と、改質ガスの上流と下流との温度差が大きいため、下流側温度を下げるための熱交換器を設けても構わない。
【0050】
次に、各触媒での主なプロセス反応を以下に示す。
【0051】
メタン成分が主体の都市ガス改質の場合、水蒸気改質反応は(1)式、COシフト反応は(2)式、CO選択酸化反応は(3)式のようになる。
【0052】
CH
4 +2H
2 O→CO
2 +4H
2 …(1)
CO+H
2 O→CO
2 +H
2 …(2)
2CO+O
2 →2CO
2 …(3)
CO選択酸化器108を通過した改質ガスは、主に水素、炭酸ガス及び余った水蒸気等を含んでいる。これらのガスはアノード極113に送り込まれる。
【0053】
アノード極113に送り込まれた水素ガスは、MEAの触媒層を経てプロトンH
+ が電解質膜を通過し、カソード極用空気ブロア115によってカソード極114を通過する空気中の酸素及び電子と結びついて水が生成される。
【0054】
したがって、アノード極113は−極、カソード極114は+極となり、電位を持って直流電圧を発電する。この電位間に電気負荷が接続されれば、本システムは電源としての機能を持つことになる。
【0055】
発電に使われずに残ったアノード極113の出口ガスは、水蒸気発生器105及び改質器106の加熱用燃料ガスとして使われる。また、カソード極114の出口中の水蒸気及び燃焼排気ガス中の水蒸気は、排熱熱交換器112aにより水分を回収し、システムでの水自立を図る。
【0056】
一方、電池本体102の排熱は、冷却流路170を通過する電池冷却水ポンプ129の循環ラインに配置された排熱熱交換器112bによって熱回収される。
【0057】
温水循環ポンプ133の運転により、排熱熱交換器112a及び112bで熱交換して暖められた温水は、蓄熱装置136内の貯湯槽138に蓄熱され、給湯やお風呂の温水として使われる。貯等槽138には、必要に応じて水道管184を介して水道水が供給される。
【0058】
貯湯槽138の熱が使われずに、タンク180の下部まで高温の温水が貯まった状態では、燃料電池発電システム101に戻る循環水温度が上昇する。その場合、温水が使われるまでシステムの運転を停止するか、若しくは、放熱器137を通じて大気に放熱するようにする。
【0059】
続いて、本実施形態の燃料電池発電システムの起動時の運転方法について説明する。
【0060】
運転起動の指令が始まると、燃焼空気切替弁125が開いた状態で燃焼用空気ブロア126が起動し、改質器106内の燃焼室を空気パージする。この場合、燃焼用空気は燃焼用空気ブロア126より、起動燃料の予混合空気としてだけでなく、拡散空気としても燃焼室内に供給される。空気パージが完了すると、起動燃料の着火のための例えば点火プラグからの火花を燃焼室内で発生させる。
【0061】
メイン燃料遮断弁122を閉じ、脱気用遮断弁123を開いた状態で、燃料入口遮断弁120及び起動用燃料遮断弁121を開くと、燃料入口遮断弁120及び起動用燃料遮断弁121を通過した起動燃料が、燃料昇圧ブロア131で昇圧され、燃焼室内で着火されることにより、火炎が形成される。脱硫器104から燃料昇圧ブロア131に送られる燃料の流量は、燃料流量計141で計測される。
【0062】
燃焼室内で使用されるバーナは、起動用と発電用とを兼ねた一体型バーナである。メタン主体の起動燃料は発電時のオフガス燃料である水素主体の燃料より燃焼速度が遅く、吹き消えし易い。そのため、本実施形態では、予混合燃焼させて燃焼性を向上させる。
【0063】
燃焼が継続し、燃焼ガスの加熱によって改質器106や、図示はしていないが電気ヒータ等で加熱されたCOシフト反応器107、CO選択酸化器108、水蒸気分離器109等が所定の温度になると、改質用水ポンプ111により水蒸気分離器109に供給された改質水はそこで蒸気となり、水蒸気流量調節弁127が開き、燃料改質ラインに供給された後、同時にメイン燃料遮断弁122が開いて供給される燃料と共に、燃料処理系内に供給され改質反応が始まる。このタイミングで、起動用燃料遮断弁121、脱気用遮断弁123及び燃焼空気切替弁125は閉じる。
【0064】
改質反応が始まった後、CO選択酸化用空気ブロア118の空気で酸化され、CO選択酸化器108の出口から出た改質ガスは、主として水素、炭酸ガス、水蒸気等の成分からなり、電池本体102のアノード極113に供給される。
【0065】
アノード極113の出口から出るオフガスは、オフガス逆止弁124を通過した後、改質用燃焼器110に供給される。改質用燃焼器110に供給されたオフガス燃料は着火して、メイン燃料用空気と安定した拡散燃焼を開始する。
【0066】
その後、カソード極用空気ブロア115から電池本体102のカソード極114に空気が供給され、インバータ(図示せず)が起動すると、燃料電池発電システム101の発電が開始する。発電に寄与しないまま残ったアノード極113の出口から出るオフガスは、改質用燃焼器110に供給され続ける。
【0067】
本実施形態の燃料電池発電システム101は、樹脂ブロックモジュールを具備している。この樹脂ブロックモジュールは内部に流体(燃料、空気又は水)が流れる流路を備えている。この流路を規定する内壁は樹脂で形成されている。このような樹脂ブロックモジュールは、例えば、樹脂成形を用いて形成される。
【0068】
本実施形態では、
図5において破線で囲まれた部分を樹脂ブロックモジュール(樹脂モジュール)140としている。
図6に、樹脂ブロックモジュール140のより具体的な構成図を示す。
図7に、
図6の樹脂ブロックモジュール140の平面図(設置時の正面図)を示す。また、
図8に、
図6の樹脂ブロックモジュール140の正面図を示す。
【0069】
本実施形態の樹脂ブロックモジュール140は、起動用燃料遮断弁(電磁弁)121、メイン燃料遮断弁(電磁弁)122及び燃料流量計141を搭載(設置)している。樹脂ブロックモジュール140に搭載する機器は、電磁弁121,122および燃料流量計141には限定されず、例えば、電磁弁、流量計及びオリフィスを含む複数の機器の少なくとも一つを搭載(設置)する構成であればよい。同様に、本実施形態では、電磁弁121,122及び流量計41はOリングを介して搭載(設置)する構成とするが、これには限定されず、例えば、Oリングを介して搭載(設置)する機器は、電磁弁、流量計及びオリフィスを含む複数の機器の少なくとも一つとする構成であればよい。
【0070】
また、樹脂ブロックモジュール140は、
図6〜
図8に示すように、樹脂で成形された樹脂配管部(流路体)149,150,154を備え、さらに、
図7に示すように、樹脂配管部(流路体)150,154をシールするための燃料流量計用Oリング142、遮断弁用Oリング(大)143及び遮断弁用Oリング(小)144を備えている。各Oリングを介して樹脂ブロックモジュール140と各機器121,122,141とは図示しないネジにより固定される。
【0071】
さらに、樹脂ブロックモジュール140の外部には、
図7に示すように、例えば、中継コネクタ基板(子基板)145や、熱交、空気フィルタの他機器を止める複数の支持部146がある。
【0072】
中継コネクタ基板145とは、回転機等の電力を必要とする機器の配線、例えば、燃料昇圧ブロア131用の電力及び制御信号の中継線を繋ぐための基板を意味している。
【0073】
なお、樹脂ブロックモジュール140のパッケージング内部への設置は例えば脚部147にねじ止めするがこれに限ったものではない。
【0074】
燃料入口遮断弁120が開き、脱硫器104を通過した燃料は、燃料流量計入口接続部148から樹脂ブロックモジュール140の内部に供給される。なお、燃料入口遮断弁120は実際には2連の遮断弁であるが、図では簡略化して一つの弁として示してある。
【0075】
燃料は燃料流量計141を通過した後、樹脂配管部150に入り、そして、燃料は樹脂配管部150と比較して断面積が大きいバッファタンク部(バッファ部)151を経てバッファタンク出口接続部(出口接続部)152から一旦樹脂ブロックモジュール140の外部に出る。
【0076】
燃料は、燃料昇圧ブロア131を介して、燃料遮断弁入口接続部(入口接続部)153から再び樹脂ブロックモジュール140の内部に供給される。
【0077】
各燃料は樹脂配管部154で分岐後、起動用燃料遮断弁121、メイン燃料遮断弁122に入り、各遮断弁の開閉制御により流れが決定され、起動時は起動用燃料遮断弁出口接続部(出口接続部)155、定常時はメイン燃料遮断弁出口接続部(出口接続部)156から樹脂ブロックモジュール140の外部の接続配管(図示せず)に導かれる。
【0078】
ここで、樹脂ブロックモジュール140の各外部配管接続部である、燃料流量計入口接続部148、バッファタンク出口接続部152、燃料遮断弁入口接続部153、起動用燃料遮断弁出口接続部155及びメイン燃料遮断弁出口接続部156は、全てメス型のクイックファスナ継手(クイックファスナ構造)となっており、相手方のオス型継手とOリングシールされて外部の接続配管と連結される。クイックファスナ継手とは、SUSバネ板の特性を生かしたパイプ継ぎ手金具のことである。
【0079】
ただし、本実施形態のように必ずしも樹脂ブロックモジュール側をメス構造にする必要は無く、相手方継手の都合に合わせて一部又は全部がオス型であっても構わない。
【0080】
樹脂ブロックモジュール140の蓋溶着部は、バッファタンク溶着蓋157、起動用燃料遮断弁溶着蓋158、メイン燃料用遮断弁溶着蓋159、樹脂配管部蓋(図示せず)を備えている。バッファタンク溶着蓋157は側面からの振動溶着により形成され、起動用燃料遮断弁溶着蓋158とメイン燃料用遮断弁溶着蓋159は表面からの振動溶着により形成され、樹脂配管部蓋は裏面からの振動溶着により形成される。すなわち、一実施形態の燃料電池発電システムの製造方法は、燃料と酸化剤を用いて電気化学反応による発電を行う燃料電池と、燃料、空気又は水が流れる流路を内部に備え、前記流路を規定する内壁が樹脂で形成された樹脂モジュールとを具備してなることを特徴とする燃料電池発電システムにおいて、前記樹脂モジュールと溶着部材を振動溶着により溶着させることを特徴とする。
【0081】
起動用燃料遮断弁121はOリング143,144を介して図示しないネジにより起動用燃料遮断弁溶着蓋158に固定される。同様に、メイン燃料遮断弁122はOリング143,144を介して図示しないネジによりメイン燃料用遮断弁溶着蓋159に固定される。
【0082】
図9は、
図7の丸で囲んだ部分Aの拡大図である。
図9において、161は樹脂ブロックモジュール140と溶着蓋158/159との溶着面を示している。溶着面161は、溶着蓋158/159側の振動による摩擦熱により溶着蓋158/159が樹脂ブロックモジュール140に溶着することにより(振動溶着により)形成される。この時の振動溶着により磨耗粉が発生する。
図9に示すように、本実施形態の場合、溶着面161の隣接部に、磨耗粉を封じ込める磨耗粉封止部としての、ブロック内側閉込め部(空間)162とブロック外側閉込め部(空間)163とが設けられている。そのため、振動溶着により発生した磨耗粉は、閉込め部162,163の内部に捕獲され、封止される。これにより、流路内部への磨耗粉への流出を十分に抑制できるようになる。
【0083】
なお、ブロック外側での磨耗粉の発生は上記のリスク(流路内部への磨耗粉の流出)が無いため、ブロック外側閉込め部163は省略することが可能である。
【0084】
また、本実施形態においては、燃料入口部を対象とした1台の樹脂ブロックモジュールの例を示したが、空気系や水系の配管においても応用可能であり、1台のシステムが複数の同様な樹脂ブロックモジュールで構成されていても構わない。
【0085】
本実施形態によれば、従来の家庭用燃料電池発電システムに比べて以下の効果が得られる。
【0086】
燃料電池発電システムの内部に、複数の流路(配管)を集合させた樹脂ブロックモジュールを少なくとも1台以上配置することにより(サブアセンブリ化することにより)、システム全体を軽量、コンパクト化できる。例えば、金属配管等を備えた従来システムに比べて2割程度サイズを小さくできる。これにより、燃料電池発電システムの据付性が向上し、CO
2 が削減し地球環境に優しい燃料電池発電システムの普及拡大につながる。
【0087】
また、樹脂ブロックモジュールの外部配管との接続構造をOリングシールによるクイックファスナ継手構造にすることにより、樹脂ブロックの製造性のみならずシステム全体の製造性が向上する。
【0088】
この樹脂ブロックモジュールを実現させるための技術として、樹脂材料にPPS(ポリフェニレンサルファイド)を採用し、本体と蓋部の溶着を振動溶着する場合、PPSは難燃性、非溶出性、耐熱温度が各高いため、燃料ラインへの適用のみならす、他の配管系への応用も十分可能である。例えば、非溶出性を有することにより、流路内を流れる水に樹脂成分が溶け出すという汚染を防止でき、水の配管系への応用が容易になる。また、透明性が低いPPSを用いれば、低透光性の樹脂ブロックモジュールを実現できる。これにより、樹脂ブロックモジュールの流路を流れる流体(例えば燃料)は光の影響を受けずに済む。
【0089】
振動溶着時に課題となる生成磨耗粉の処理は、溶着面に隣接する閉込め部に磨耗粉を捕獲できるため、ブロック内部の樹脂配管部への磨耗粉流出リスクを回避できる。
【0090】
また、振動溶着は溶着面を任意に広くすることができるため、他の例えば超音波溶着方法等に比べて配管としての内圧強度を高めることができる。
【0091】
本実施形態の樹脂ブロックモジュール140の場合、燃料の流路中に燃料昇圧ブロア131が介在している。燃料昇圧ブロア131は脈動を起こす。この脈動は燃料流量計141の指示値に誤差を与える原因となる。このような燃料流量計141の指示値の誤差は、樹脂ブロックモジュール140の内部に設けたバッファタンク部151により十分に小さくできる。
【0092】
また、従来技術の場合、指示値の誤差の問題を解消するために、燃料電池発電システムとは別置きのバッファタンクが必要であったが、本実施形態の場合、上記の通りに、バッファタンク部151は樹脂ブロックモジュール140の内部に設けられているので、別置きのバッファタンクは不要となり、コストアップを抑制できる。
【0093】
樹脂ブロックモジュール140の外部には、熱交換器等の外部機器を保持(設置)するための複数の支持部146があり、それにより、中継コネクタ基板145を設置、固定できるため、システムのパッケージング集積度を高めることができる。
【0094】
したがって、本実施形態の構成によれば、大幅に製造性とコンパクト性を高めた燃料電池発電システムの設置が可能となり、省スペース、省エネで経済性が大きい、イニシャルコストを極力抑えた家庭用燃料電池発電システムを提供することができるようになる。
【0095】
ところで、都市ガスなど炭化水素系燃料から水素を得て発電を行う燃料電池発電システムでは、水素を得るための化学反応処理のために多くの機器、計器が必要とされる。また、それに伴い、それらを連結する多数の配管が存在する。
現在、パッケージサイズが大きいのは、機器及び計器自身のサイズや数量による所もさることながら、多数の配管が存在することも一因である。また、システム価格が下がらないのは、配管点数が多いこと、及びそれらの組立のために多くの費用がかかっていることにある。
【0096】
図20(A),(B)は従来技術による配管の構成を示し、
図20(A)は平面図、
図20(B)は
図20(A)の側面図を示す。
流れとしては、
図20の左側から入った流体は配管201で分岐され、遮断弁202a,202bのラインに夫々流れるようになっている。ここで、配管201の材料として金属を用いる場合、配管201には夫々継手203が溶接で取り付けられる。また、分岐を行うために配管同士で溶接が行われ、あるいは機器の設置位置に合わせるために配管の曲げ加工が行われる。
【0097】
そうした配管同士の溶接、曲げ加工には、溶接を行うための配管長さが必要となり、また、配管を曲げるには配管径に応じた曲げRが必要となる。これにより、配管のために多くのスペースが必要となってしまっている。また、配管を製作するための溶接工数、部品点数が多くなることによる部品費の増加、及びそれらを組立てる組立費が多くかかってしまっている状況である。
【0098】
そこで、以下の第3〜第9の実施形態では、配管のためのスペースを大幅に削減可能な燃料電池発電システムの例について説明する。
【0099】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る燃料電池発電システムついて、
図10、
図11(A),(B)、
図12(A),(B)及び
図13を参照して説明する。ここで、
図10は第3の実施形態に係る燃料電池発電システムの全体のブロック図を示す。
図11は集積配管の説明図であり、
図11(A)は平面図、
図11(B)は側面図を示す。
図12は集積配管の流路の構成図であり、
図12(A)は平面図、
図12(B)は側面図を示す。
図13は、第6の集積配管の具体的な構成例を示す。
【0100】
前記燃料電池発電システムは、燃料電池本体211と改質装置212とを備えている。燃料電池本体211は、アノード極211aとカソード極211bと電解質膜(図示せず)と、燃料電池本体211の発電による発熱を抑制するための冷却層211cを備えている。アノード極211aには水素リッチなガスを、且つカソード極211bには空気を供給することで電気エネルギーを発生する。また、アノード極211aには、微量の空気が改質ガスと共に供給される。
【0101】
前記改質装置212は、アノード極211aで必要な水素リッチなガスを都市ガスなどの原燃料から生成する改質部212aと、改質部212aで化学反応のために必要な熱を作るためのバーナ部212bとを備えている。改質装置212は、都市ガスなどの原燃料中に含まれる硫黄等の腐臭剤を除去するために脱硫剤(図示せず)を備え、同脱硫剤には改質部212aで生成された水素ガスの一部がリサイクルガスとして供給される。
【0102】
改質部212aは、一般には水蒸気改質などによる改質反応と一酸化炭素変性反応及び一酸化炭素選択反応が行われる。それぞれの化学反応式は次のとおりとなる。なお、選択酸化反応のために改質部212aに空気が供給される。
改質反応:CH
4+2H
2O→4H
2+CO
2,CH
4+H
2O→3H
2+CO
変性反応:CO+H
2O→H
2+CO
2
選択酸化反応:CO+(1/2)O
2→CO
2
前記燃料電池発電システムは、燃料電池本体211及び改質装置212の他、熱交換器213、貯湯槽214、冷却水タンク215、冷却水ポンプ216、改質水ポンプ217、イオン交換樹脂層218、カソード空気ブロワ219、選択酸化ブロワ220、バーナ空気ブロワ221、原燃料ブロワ222、及び燃料電池発電システムの各機器を連結する第1〜第9の集積配管223
1,223
2,223
3,223
4,223
5,223
6,223
7,223
8,223
9を備えている。
【0103】
カソード極211bからの排気及びバーナ部212bからの排気は熱交換器213で熱交換され、その熱は貯湯槽214に蓄えられ、給湯,暖房などに利用される。また、熱交換器213で熱交換が行われたカソード極211bからの排気及びバーナ部212bからの排気は、燃料電池パッケージ224の外に排出される。燃料電池本体211の冷却層211cには、冷却水ポンプ216より冷却水が循環される。冷却水タンク215は、熱交換器213と配管で連通され、熱交換器213で発生した凝縮水が蓄えられる。
【0104】
前記第1〜第9の集積配管223
1〜223
9の構成は、下記のとおりである。
第1の集積配管223
1は、改質装置212の改質部212a及びバーナ部212bに原燃料を供給する第1の流路225
1と、改質装置212から排出される改質ガスが流通する第2の流路225
2を備えている。第2の集積配管223
2は、燃料電池本体211のカソード極211bに空気を供給する第3の流路225
3と、改質装置212の改質部212aに空気を供給する第4の流路225
4と、改質装置212のバーナ212bに空気を供給する第5の流路225
5を備えている。
【0105】
第3の集積配管223
3は、バーナ部212bに原燃料と空気を供給する第6の流路225
6と、前記燃料電池本体211のアノード極211aから排出されるアノードオフガスが流通する第7の流路225
7を備えている。第4の集積配管223
4は、燃料電池本体211のカソード極211bに空気を供給する第8の流路225
8と、燃料電池本体211のカソード極211bから排出されるカソードオフガスが流通する第9の流路225
9を備えている。第5の集積配管223
5は、燃料電池本体211に改質ガスと空気が流通する第10の流路225
10と、アノード極211aからのアノードオフガスが流通する第11の流路225
11を備えている。
【0106】
第6の集積配管223
6は、改質装置212から排出される改質ガスが流通する第12の流路225
12と、改質部212a及びアノード極211aに供給する空気が流通する第13の流路225
13を備えている。第6の集積配管223
6は、
図13に示すように、遮断弁226a,226b、オリフィス227a,227b,227c、バッファタンク228及び流量計229を備えている。第12の流路225
12は途中で分岐し、一方の分岐管230に供給された改質ガスは遮断弁226a,オリフィス227aを経て第1の集積配管223
1へ排出されるようになっている。第2の集積配管223
2から選択酸化ブロワ220により第6の集積配管223
6に供給された空気は、バッファタンク228,オリフィス227b,流量計229,遮断弁226bを経た後に改質装置212の改質部212aに供給されるとともに、遮断弁226bを経た後にオリフィス227cを経て第5の集積配管223
5に供給される。
【0107】
第7の集積配管223
7は、改質装置212に冷却水を供給する第14の流路225
14を備えている。第8の集積配管223
8は、燃料電池本体211の冷却層211cに冷却水を供給する第15の流路225
15を備えている。第9の集積配管223
9は、燃料電池本体211の冷却層211cと改質装置212の改質部212aに冷却水を供給する第16の流路225
16と、前記燃料電池本体から排出された冷却水が流通する第17の流路225
17を備えている。
【0108】
前記集積配管例えば第1の集積配管223
1は、
図11(A),(B)に示すように、上部に遮断弁226a,226bが取り付けられている。集積配管例えば第1の集積配管223
1は、
図12(A),(B)に示すように、四角形状のブロック部分227の内部に流体の流路が構成されている。なお、
図12(B)中の矢印Xは遮断弁226aへの流体の入出口となる。
【0109】
図12のような集積配管のブロック部分は、非金属系材料を用いて金型成型で行うのが製造コストの点から有効である。非金属系材料としては、例えばポリプロピレンやポリサルファイドが機能性、成形性、流通性及びコストの点から有効である。また、流路の形成手段としては、例えば、一般的な成形技術であるスライド工法や蓋構造を採用した上で振動溶着、超音波溶着が用いられる。
【0110】
第3の実施形態によれば、第1〜第9の集積配管223
1〜223
9を各部材の接続に使用した構成であるので、配管のためのスペースを大幅に削減することができる。具体的には、従来の配管(
図20)の横方向の長さL
1を1としたとき、集積配管を採用することにより、
図11の集積配管223
1の長さL
2を0.6の長さまで削減することができる。また、部品点数も従来3個の配管が必要となっていたところが、第3の実施形態では1個の配管で構成することができる。なお、
図11では集積配管を簡略化して示しているが、実際の燃料電池発電システムではより複雑な構成となっている。例えば、上述した
図13の第6の集積配管223
6のように、集積配管に付加される機能が多いほど、集積配管の効果は高い。このように、第3の実施形態によれば、配管のためのスペースを大幅に削減できるので、低コスト化が可能となる。また、従来のように、配管を機器と接合するための継手の溶接、配管同士の溶接、および配管の曲げ加工などの作業を省略できるので、作業性を向上できる。
【0111】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る燃料電池発電システムについて、
図14を参照して説明する。但し、
図10〜
図13と同部材は同符号を付して説明を省略する。
第4の実施形態に係る燃料電池発電システムは、
図10の燃料電池発電システムに対し、第6の集積配管と第7の集積配管を用いる代わりに、第6の集積配管と第7の集積配管との機能を兼ね備えた第10の集積配管241を具備することを特徴とする。即ち、第10の集積配管241は、改質装置212の改質部212aから排出される改質ガスが流通する第1の流路241
1と、改質部212a及びアノード極211aに供給する空気が流通する第2の流路241
2と、改質部212aに冷却水を供給する第3の流路241
3を備えている。
第4の実施形態によれば、第3の実施形態に比べ、集積配管を更に1つ削減できるので、いっそう配管のためのスペースを削減できる。
【0112】
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る燃料電池発電システムについて、
図15を参照して説明する。但し、
図10〜
図14と同部材は同符号を付して説明を省略する。
第5の実施形態に係る燃料電池発電システムは、
図14の燃料電池発電システムに対し、第8の集積配管を用いる代りに、第8の集積配管の機能を前記第4の集積配管223
4と前記第5の集積配管223
5を備えていることを特徴とする。即ち、第4の集積配管223
4は、燃料電池本体211のカソード極211bに空気を供給する第8の流路225
8と、燃料電池本体211のカソード極211bから排出されるカソードオフガスが流通する第9の流路225
9の他に、燃料電池本体211の冷却層211cに供給する冷却水が流通する流路242を備えている。第5の集積配管223
5は、燃料電池本体211に改質ガスと空気が流通する第10の流路225
10と、アノード極211aからのアノードオフガスが流通する第11の流路225
11の他に、冷却水が流通する流路243を備えている。
第5の実施形態によれば、第4の実施形態に比べ、集積配管を更に1つ削減できるので、いっそう配管のためのスペースを削減できる。
【0113】
(第6の実施形態)
第6の実施形態に係る燃料電池発電システムについて、
図16を参照して説明する。但し、
図10〜
図15と同部材は同符号を付して説明を省略する。
第6の実施形態に係る燃料電池発電システムは、
図15の燃料電池発電システムに対し、第1の集積配管と第3の集積配管を用いる代りに、第1の集積配管と第3の集積配管の機能を兼ね備えた第11の集積配管244を備えていることを特徴とする。
【0114】
即ち、第11の集積配管244は、改質装置212の改質部212a及びバーナ部212bに供給する原燃料を供給する第1の流路225
1と、改質装置212から排出される改質ガスが流通する第2の流路225
2と、バーナ部212bに原燃料と空気を供給する第6の流路225
6と、燃料電池本体211のアノード極211aから排出されるアノードオフガスが流通する第7の流路225
7を備えている。
第6の実施形態によれば、第5の実施形態に比べ、集積配管を更に1つ削減できるので、いっそう配管のためのスペースを削減できる。
【0115】
(第7の実施形態)
第7の実施形態に係る燃料電池発電システムについて、
図17を参照して説明する。但し、
図10〜
図16と同部材は同符号を付して説明を省略する。
第7の実施形態に係る燃料電池発電システムは、
図16の燃料電池発電システムに対し、第4の集積配管と第5の集積配管を用いる代わりに、第4の集積配管223
4と前記第5の集積配管223
5の機能を備えた第12の集積配管245を備えていることを特徴とする。また、第12の集積配管245は、
図10の燃料電池発電システムに対し、第4,第5,第8の集積配管の機能を有している。
【0116】
即ち、第12の集積配管245は、燃料電池本体211のカソード極211bに空気を供給する第8の流路225
8と、燃料電池本体211のカソード極211bから排出されるカソードオフガスが流通する第9の流路225
9と、燃料電池本体211に改質ガスと空気が流通する第10の流路225
10と、アノード極211aからのアノードオフガスが流通する第11の流路225
11と、燃料電池本体211の冷却層211cに冷却水を供給する第15の流路225
15を備えている。
【0117】
第7の実施形態によれば、第6の実施形態に比べ、集積配管を更に1つ削減できるので、いっそう配管のためのスペースを削減できる。
【0118】
(第8の実施形態)
第8の実施形態に係る燃料電池発電システムについて、
図18を参照して説明する。但し、
図10〜
図17と同部材は同符号を付して説明を省略する。
第8の実施形態に係る燃料電池発電システムは、
図16の燃料電池発電システムに対し、第2の集積配管と第11の集積配管を用いる代わりに、第2の集積配管と第11の集積配管の機能を兼ね備えた第13の集積配管246を備えていることを特徴とする。また、第13の集積配管245は、
図10の燃料電池発電システムに対し、第1,第2,第3の集積配管の機能を有している。
【0119】
即ち、第13の集積配管246は、改質装置212の改質部212a及びバーナ部212bに供給する原燃料を供給する第1の流路225
1と、改質装置212から排出される改質ガスが流通する第2の流路225
2と、燃料電池本体211のカソード極211bに空気を供給する第3の流路225
3と、改質装置212に空気を供給する第4の流路225
4と、改質装置212のバーナ212bに原燃料と空気を供給する第5の流路225
5と、バーナ部212bに原燃料と空気を供給する第6の流路225
6と、燃料電池本体211のアノード極211aから排出されるアノードオフガスが流通する第7の流路225
7を備えている。
【0120】
第8の実施形態によれば、第7の実施形態に比べ、集積配管を更に1つ削減できるので、いっそう配管のためのスペースを削減できる。
【0121】
(第9の実施形態)
第9の実施形態に係る燃料電池発電システムについて、
図19を参照して説明する。但し、
図10と同部材は同符号を付して説明を省略する。本燃料電池発電システムは、改質装置を用いずに例えば純水素を原燃料として用いるタイプである。
第9の実施形態に係る燃料電池発電システムは、第14〜第16の集積配管251,252,253を備えている。第14の集積配管251は、燃料電池本体211に原燃料を供給する第18の流路225
18を備えている。第18の流路225
18には、原燃料の圧力を監視するセンサー254と、原燃料の供給を遮断する弁255a,255bが介装されている。
【0122】
第15の集積配管252は、燃料電池本体211のカソード極211bに空気を供給する第19の流路225
19と、カソード極211bから排出される空気が流通する第20の流路225
20と、カソード極211bをバイパスする空気が流通する第21の流路(バイパス流路)225
21を備えている。カソード電極211bの前後の第19の流路225
19、第20の流路225
20には、夫々燃料電池本体211の起動時に空気の流れを遮断する弁255c,255dが介装されている。第19の流路225
19には、空気ブロワ256より空気が供給される。第21の流路225
21には、発電時に空気の流れを遮断する弁255eと、起動時にカソード極211bをバイパスした空気を加熱するためのヒータ257が介装されている。第16の集積配管253は、燃料電池本体211に流通する冷却水の第22の流路225
22を備えている他、冷却水ポンプ216に供給する冷却水、冷却水ポンプ216から排出される冷却水、及び冷却水ポンプ216の呼び水が流通する流路を備えている。
【0123】
前記第15・第16の集積配管252,253間には、触媒燃焼器258、熱交換器259,260、冷却水タンク215が配置されている。触媒燃焼器258は、アノード極211aから排出される未反応ガスと、カソード電極211bから排出される未反応ガスの燃焼処理を行う。触媒燃焼器258からの排気は熱交換器259,260で熱交換が行われ、その熱は貯湯槽214に蓄えられ、給湯,暖房などに利用される。熱交換器260から排出されるガスは、燃料パッケージ224の外に排出されるとともに、凝縮した水は冷却水タンク215に蓄えられる。冷却水ポンプ216の入口には、冷却水ポンプ216の起動時に冷却水タンク215から呼び水を導入する流路が形成されている。
【0124】
第9の実施形態によれば、第14〜第16の集積配管251,252,253を採用することにより、配管ためのスペースを大幅に削減することができる。
以上説明した第3〜第9の実施形態によれば、配管のためのスペースを大幅に削減することができる。
【0125】
なお、上記第3〜第9の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、第3の実施形態で説明したように、集積配管を採用することの効果は集積配管に付加される機能が多いほど有効となる。従って、第8の実施形態で示した4個の集積配管を採用するのが理想であるが、機器の形状やメンテナンス性等を考慮して集積配管の数は選択される。さらには、一つの集積配管に流通される流体の種類は、上記実施形態で示したものだけでなく、様々な組合せに対して行うことが可能である。例えば、排熱回収系統などについても集積配管化が可能なことは言うまでもない。
【0126】
以上詳述したように、前述の各実施形態によれば、製造性を高めてコンパクト化を実現することができる。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。