(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電磁石部、該電磁石部により作動する作動部及び該作動部により開閉動作する接点部を保持する第1のハウジング部材と、前記第1のハウジング部材に接合部を介して取り付けられる第2のハウジング部材とを有するハウジングを備えた電磁継電器であって、
前記第1のハウジング部材は、前記電磁石部、前記作動部及び前記接点部を収容する凹部を画定する第1の端壁と周壁とを有し、
前記第2のハウジング部材は、前記第1のハウジング部材の前記周壁に前記接合部が接合されて前記凹部を閉塞する第2の端壁を有し、前記第2の端壁の、前記凹部とは反対側の外面に、前記第2の端壁を介在させて前記接点部に対向する永久磁石が設けられており、
前記第2の端壁の内面が前記接点部に向かって突出しており、
前記内面の突出した部分において、前記第2の端壁の外面から前記接点部に向かって窪んでいて前記永久磁石を収容する収容部が形成される、電磁継電器。
前記第1のハウジング部材に設けられた前記第2の永久磁石と、前記第2のハウジング部材に設けられた前記永久磁石とに接続されて、前記ハウジングの外側部を通って延在する断面コ字形状のヨークが設けられる、請求項4又は5に記載の電磁継電器。
前記ヨークが、当該電磁継電器によって導通状態と非導通状態とが切り替えられる一対の外部端子を通る電流経路の間に延在する、請求項3、6又は7に記載の電磁継電器。
前記接点部が可動ばねと固定ばねとから構成されており、前記可動ばねに対して並置される平編線をさらに具備し、平板状に溶融された溶融部が貫通孔とともに前記平編線の両端に形成される、請求項1から8のいずれか1項に記載の電磁継電器。
前記ハウジングが、当該電磁継電器を固定する固定手段を受容可能な少なくとも1対の受容部を備えており、前記少なくとも1対の受容部の一方の受容部が他方の受容部とは反対側を向いて設けられる、請求項1から9のいずれか1項に記載の電磁継電器。
一端が前記電磁石部に電気的に接続されていて、他端が外部電力供給手段に電気的に接続されるコイル端子が、タブ端子の形態の先端部分を有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の電磁継電器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高電圧、大電流の通電及び遮断を可能にする電磁継電器において、より簡易な構成を有し、安価に製造可能とすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の
1番目の態様によると、電磁石部、該電磁石部により作動する作動部及び該作動部により開閉動作する接点部を保持する第1のハウジング部材と、前記第1のハウジング部材に接合部を介して取り付けられる第2のハウジング部材とを有するハウジングを備えた電磁継電器であって、前記第1のハウジング部材は、前記電磁石部、前記作動部及び前記接点部を収容する凹部を画定する第1の端壁と周壁とを有し、前記第2のハウジング部材は、前記第1のハウジング部材の前記周壁に前記接合部が接合されて前記凹部を閉塞する第2の端壁を有し、前記第2の端壁の、前記凹部とは反対側の外面に、前記第2の端壁を介在させて前記接点部に対向する永久磁石が設けられ
ており、前記第2の端壁の内面が前記接点部に向かって突出しており、前記内面の突出した部分において、前記第2の端壁の外面から前記接点部に向かって窪んでいて前記永久磁石を収容する収容部が形成される、電磁継電器が提供される。
【0008】
上記態様においては、接点部に対向するように配置された永久磁石が、接点間に発生したアークを引き伸ばしてこれを切断する、いわゆるアークの吹き消し効果を有する。また、各構成部品が収容される凹部を閉塞する第2のハウジング部材に永久磁石が設けられるため、第1のハウジング部材と第2のハウジング部材とを接着して凹部を閉塞する工程と、第2のハウジングの外面に設けられた永久磁石を接着又は封止する工程とを一連の工程として連続ないし同時に行うことができる。これによって製造工程が簡略化されるため、安価な電磁継電器が提供される。
【0009】
本発明の2番目の態様によると、電磁石部、該電磁石部により作動する作動部及び該作動部により開閉動作する接点部を保持する第1のハウジング部材と、前記第1のハウジング部材に接合部を介して取り付けられる第2のハウジング部材とを有するハウジングを備えた電磁継電器であって、前記第1のハウジング部材は、前記電磁石部、前記作動部及び前記接点部を収容する凹部を画定する第1の端壁と周壁とを有し、前記第2のハウジング部材は、前記第1のハウジング部材の前記周壁に前記接合部が接合されて前記凹部を閉塞する第2の端壁を有し、前記第2の端壁の、前記凹部とは反対側の外面に、前記第2の端壁を介在させて前記接点部に対向する永久磁石が設けられており、前記永久磁石から前記ハウジングの外側部を通って前記第2のハウジング部材まで延在する、断面コ字形状のヨークが設けられており、前記ヨークが、当該電磁継電器によって導通状態と非導通状態とが切り替えられる一対の外部端子を通る電流経路の間を通って、かつ前記一対の外部端子に対して平行に延在するように設けられる、電磁継電器が提供される。
【0010】
前記永久磁石から前記ハウジングの外側部を通って前記第2のハウジング部材まで延在する、断面コ字形状のヨークが設けられる構成とすることができる。
【0011】
前記第1の端壁の、前記凹部とは反対側の外面に、前記接点部に対向する第2の永久磁石が別個設けられる構成とすることができる。
【0012】
前記第1の端壁の前記外面に、前記接点部に向かって窪んだ第2の収容部を有し、前記第2の収容部に前記第2の永久磁石が設けられる構成とすることができる。
【0013】
前記第1のハウジング部材に設けられた前記第2の永久磁石と、前記第2のハウジング部材に設けられた前記永久磁石とに接続されて、前記ハウジングの外側部を通って延在する、断面コ字形状のヨークが設けられる構成とすることができる。
【0014】
前記第1の端壁及び前記第2の端壁のうちの少なくともいずれか一方において、前記ヨークを受容する溝が形成される構成とすることができる。
【0015】
前記ヨークが、当該電磁継電器によって導通状態と非導通状態とが切り替えられる一対の外部端子を通る電流経路の間に延在する構成とすることができる。
【0016】
前記接点部が可動ばねと固定ばねとから構成されており、前記可動ばねに対して並置される平編線をさらに具備し、平板状に溶融された溶融部が貫通孔とともに前記平編線の両端に形成される構成とすることができる。
【0017】
前記ハウジングが、当該電磁継電器を固定する固定手段を受容可能な少なくとも1対の受容部を備えており、前記少なくとも1対の受容部の一方の受容部が他方の受容部とは反対側を向いて設けられる構成とすることができる。
【0018】
一端が前記電磁石部に電気的に接続されていて、他端が外部電力供給手段に電気的に接続されるコイル端子が、タブ端子の形態の先端部分を有する構成とすることができる。
【0019】
本発明の他の態様によると、上記態様による電磁継電器を製造する製造方法であって、前記第2の端壁の前記外面に前記永久磁石を配置し、前記第1のハウジング部材と、前記第2のハウジング部材の前記接合部とを接着する接着工程と、前記永久磁石を接着する接着工程とを前記第2の端壁に対する接着工程として同時又は連続して行うことを含む、電磁継電器の製造方法が提供される。
上記態様においては、第1のハウジング部材と第2のハウジング部材との間の接着工程と、永久磁石の接着工程とが一連の工程として同時又は連続して行われるため、製造工程が簡略化され、製造コストが削減される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によると、安価に製造可能でありながら、大電流の通電及び遮断を可能とする電磁継電器が提供される。また本発明の他の態様によると、大電流の通電及び遮断を可能とする電磁継電器を安価に製造する製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。複数の図面又は複数の実施形態にわたって共通して用いられる同一の部材には、同一の参照符号が付与されている。図面の視認性を高めるため、各部材間の縮尺は適宜変更されている場合がある。また、以下の説明において、構成部品などの位置関係又は方向性を特定して記載することがあるが、これら記載は、特別に言及される場合を除き、図示された位置関係を基準にして単に便宜上用いられるにすぎず、実際の使用態様及び各部品の組付けの態様などを何ら限定するものではない。
【0023】
まず、本発明の第1の実施形態に係る電磁継電器10について、この電磁継電器10を概略的に示す
図1〜
図5を参照して以下に説明する。
図1は電磁継電器10の主な構成部品を示す分解斜視図、
図2はベース12に組み付けられた各構成部品の配置を示す平面図、
図3は電磁継電器10をカバー14側から見た斜視図、
図4は電磁継電器10をベース12側から見た斜視図、
図5は
図3における線V−Vに沿って見た電磁継電器10の断面図である。
【0024】
電磁継電器10は、アマチュア16に永久磁石18が組み付けられた有極電磁継電器であり、1対のバスバー端子20,22を通って流れる電流の導通と遮断とを切り替えるために用いられる。電磁継電器10は、外部から電力供給を受けて磁界を発生する電磁石部24と、発生した磁界を受けて作動する作動部26と、作動部26の動きに連動して電流経路の開閉動作を行う接点部28とを備えている。これら電磁石部24、作動部26及び接点部28の各構成部品は、樹脂製のベース(第1のハウジング部材)12と樹脂製のカバー14(第2のハウジング部材)とから構成されるハウジングの内部空間に収容される。
【0025】
ベース12は、電磁石部24、作動部26及び接点部28を保持する第1のハウジング部材である。ベース12は、平面視で略L字の輪郭を有する板状の端壁30と、端壁30の外縁に沿って配置され、端壁30から一方向へ所定高さに突設される周壁32とを備えている。周壁32は、端壁30とは反対側で開口している。周壁32の一縁には、溝34,36が周壁32の高さ方向に沿って形成されている。周壁32及び端壁30は、電磁継電器10を機能させるために必要な構成部品(特に電磁部24、作動部26及び接点部28)を収容する断面略L字の凹部38を画定する。凹部38は、矩形領域と、矩形領域から側方へ延長される延長領域38aとを有している。ベース12は、周壁32の一部32bから凹部38の略中央まで延びる壁部40,42を有している。壁部40は、周壁32とは反対側に、バスバー端子22を受容する溝44を画定する断面略コ字の先端部40aを有している。
【0026】
ベース12は、1対の取付部46,48を周壁32の外側面に有している。取付部46,48は、周壁32の高さ方向に対して平行に貫通孔50,52が形成された円筒状の形態をそれぞれ有している。
図3と
図4を併せて参照すると、貫通孔50には、1対の受容部46a,46bが形成されており、これら受容部46a,46bのうちの一方の受容部が他方の受容部とは反対側を向いて設けられている。また、貫通孔52にも同様に、1対の受容部48a,48bが形成されており、これら受容部48a,48bのうちの一方の受容部が他方の受容部とは反対側を向いて設けられている。受容部46a,46b,48a,48bはいずれも同一形状を有し、電磁継電器10を固定するボルトなど公知の固定手段の一部(例えばボルトの頭部)を受容して支持できるようになっており、貫通孔50,52に挿入された固定手段により、電磁継電器10を基板その他所定の支持体に固定できるようになっている。取付部46,48の貫通孔50,52の両端いずれの方向からも所定の固定手段を受容できる構成を採用することによって、ベース12及びカバー14のいずれの方向を支持体に対面させた姿勢でも、電磁継電器10を支持体に取り付けることができるようになっている。
【0027】
カバー14は、ベース12(第1のハウジング部材)に接合部54を介して取り付けられる第2のハウジング部材である。カバー14は、凹部38の形状に対応した平面視で略L字の輪郭を有する板状の部材から構成される。カバー14は、その外周部に、ベース12の周壁32の開口端の内側面に沿って形成された係合部32aに接合される接合部54を有する。カバー14は、接合部54がベース12の周壁32の係合部32aに接合された状態で、ベース12の端壁30に略平行に対向して凹部38を閉塞する第2の端壁56を有している。より詳細に後述するが、カバー14の第2の端壁56の、凹部38とは反対側の外面には、第2の端壁56を介在させて接点部28に対向する永久磁石58を収容可能な収容部60が形成されている。カバー14の一縁には突起62,64が形成されている。これら突起62,64は、カバー14の接合部54をベース12の係合部32aに接合してハウジングを形成したときに、ベース12の周壁32の一縁に形成された溝34,36と協働してバスバー端子20,22の係合部20b,22b(後述する)を包囲する相補形状を有している。
【0028】
電磁石部24は、ベース12の壁部42と、壁部42に直交する周壁32の一部32bと、壁部42から離間して平行に延在する周壁32の一部32cとによって画定される空間に設けられている。電磁石部24は、樹脂製のボビン66と、電線を巻回して形成されるコイル68と、鉄心部材70と、ヨーク72とから主として構成される。
【0029】
ボビン66は、筒部66a及びフランジ66b,66cから構成されている。筒部66aの周りに導線が巻回されることにより、コイル68が形成されている。貫通孔74が筒部66a及びフランジ66b,66cを連続して貫通するように形成されており、鉄心部材70の基端板部70aから略直角をなして延びる鉄心70bがこの貫通孔74に挿入されるようになっている。なお、図面の明瞭さを維持するために、コイル68を構成する導線は図示されないか、又は模式的にのみ表わされる。
【0030】
ヨーク72は、フランジ66bに並置される基端板部72aと、この基端板部72aから曲折してコイル68の一側に沿ってコイル68の軸線方向中間点を越える個所まで延在する中間板部72bと、中間板部72bから再び曲折して基端板部72aに対して平行に、かつ基端板部72aとは反対の方向へ延在する先端板部72cとを有している。基端板部72aには、ベース12の所定の位置に形成された凹所(図示せず)に圧入される突起76,78が形成されている。さらに基端板部72aには、鉄心70bの先端部が係合される係合孔80が形成されている。先端板部72cは、電磁石部24が組み立てられたときに、鉄心部材70の基端板部70aの一部分から離れて略平行に対向するように配置される。コイル68が励起されたときに、ヨーク72の先端板部72cと、鉄心部材70の基端板部70aとの間に、磁界が発生する。
【0031】
コイル68を形成する電線は、その末端でコイル端子86,88,90に接続される。図示した構成では、2本の電線がコイルを形成し、それら電線の末端82a,82b,84a,84bが3つのコイル端子86,88,90に接続されている(
図2)。コイル端子86,88,90は、上端に電線が巻き付けられることにより電磁石部24に電気的に接続される平板状の主部分86a,88a,90aと、主部分86a,88a,90aの下端において略直角に曲折されて水平方向に延在する先端部分86b,88b,90bとを有している。コイル端子86,88,90の上端は、フランジ66bから
図2で右側に延びている延長部66dに対して、圧入、接着その他公知の態様で取り付けられている。コイル端子86,88,90の先端部分86b,88b,90bは、電磁石部24をベース12に組み付けたときに、ベース12の一隅で端壁30と周壁32との間に形成された切欠部92を通ってベース12の外部に突出するようになっている。コイル端子86,88,90の先端部分86b,88b,90bは、平板状のいわゆるタブ端子の形態を有しており、タブ端子を受容する雌形の接続部品や圧着端子などに取付可能である。或いは、タブ端子を接続部品に半田付けなど他の公知の手段で接続してもよい。このようにコイル端子86,88,90にタブ端子状の構成を採用することによって、電磁石部24を種々の励磁電流供給手段(図示せず)に対して容易かつ確実に接続できる。しかしながら、コイル端子86,88,90としてタブ端子状のものではない他の公知の端子形状のものを用いてもよいし、用いられるコイル端子の数も特に限定されず、巻線構造に応じて例えば2つ又は4つ以上であってもよい。
【0032】
電磁継電器10の作動部26は、電磁石部24によって発生される磁力を受けて作動するアマチュア16と、アマチュア16を保持する作動部本体94と、作動部26の動きを接点部28に伝達するカード96とを有している。作動部本体94は平面視で略L字の輪郭を有していて、L字の一方の端部にシャフト98を有し、L字の他方の端部には互いに平行に鉛直方向に延在する細長の溝100,102が形成されている。シャフト98は、ベース12の凹部38の延長部38aの底部に形成される凹所(図示せず)に回動可能に挿入される。
【0033】
アマチュア16は、鉄等の磁性材料からなる2つの板部材104,106と、これら板部材104,106の間に挟まれて保持される永久磁石18とから構成される。板部材104,106は、幅狭の一部分104a,106a(
図1では右側部分)が作動部本体94の溝100,102に差し込まれ、幅広の他部分104b,106b(
図1では左側部分)が係合によって作動部本体94に組み付けられる。板部材104,106の幅広部分104b,106bの間に永久磁石18が配置されているため、各板部材104,106は永久磁石18の各極に接続され、離れて対向する板部材104,106の幅狭部分104a,106aの間に磁界が形成される。
【0034】
作動部26がシャフト98周りに回動する運動は、カード96を介して、接点部28の可動接点108,110(後述する)に伝達される。カード96は、作動部本体94に向かって突出する互いに平行に離間した2つの上方突片112a,114aと、それら上方突片112a,114aに直交して互いに平行に離間して下方へ延在する2つの鉛直片112,114とを有する。一方の鉛直片112の下端部には、鉛直片112に直交して作動部本体94に向かって延在する下方突片112bが設けられている。カード96は、作動部本体94に向けられた上方突片112a,114a及び下方突片112bを、対応する作動部本体94の係合穴116,118,120に挿入することによって、作動部本体94に組み付けられる。このようにして、作動部本体94とカード96とが一体化されて互いに連動するようになっている。カード96の2つの鉛直片112,114は互いに向かって突出した突出部112c,114cをそれぞれ有しており、接点部28の可動ばね122(後述する)の一部分が、鉛直片112,114の間の間隙に配置されて、これら突出部112c,114cによって両側から挟持されるようになっている。このように、可動ばね122はカード96によって保持されるため、可動ばね122もまた作動部26の動きに従って動作するようになっている。
【0035】
可動接点108,110及び固定接点124,126を備えた接点部28について、以下に説明する。接点部28は、1対のバスバー端子20,22と、一方のバスバー端子20に取り付けられた可動ばね122と、可動ばね122に並設された平編線128とを備えている。図示された接点部28は、2対の開閉自在の接点を有するいわゆる双接点のタイプである。固定接点124,126はリベットの形態を有し、バスバー端子22に形成された上下1対の貫通孔130,132に固着されてバスバー端子22に取り付けられている。バスバー端子22は、全体として、ベース12の凹部38内において壁部40に沿って位置決めされ、その基端(
図1で左側)に、壁部40の先端を折り返して形成された溝44に圧入されて保持される基端平板部22aを有している。バスバー端子22は、ベース12の周壁32の一縁に形成された溝36に係合する中間の係合部22bと、係合部22bから基端平板部22aとは反対側に延長され、ベース12から延出する末端平板部22cと、末端平板部22cの下端で略直角に曲折して略水平方向に延在する取付平板部22dとをさらに有している。取付平板部22dの中央部に貫通孔23が形成されており、この貫通孔23を介して例えばボルトなど公知の取付手段を固着することで、電磁継電器10を基板など任意の支持体に取り付けることができる。
【0036】
同じくリベットの形態を有する可動接点108,110は、可動ばね122の一端に形成された上下1対の貫通孔134,136及び平編線128の上下1対の貫通孔138,140に固着されて可動ばね122及び平編線128に取り付けられており、前述した固定接点124,126に対向して配置されている。可動ばね122の、貫通孔134,136とは反対側の端部には、取付孔142,144が形成されている。同様に、平編線128の、貫通孔138,140とは反対側の端部には、取付孔146,148が形成されている。リベット150,152は、これら取付孔142,144及び取付孔146,148と、バスバー端子20の末端平板部20aに形成された取付孔154,156とを貫通して固着される。すなわち、可動ばね122及び平編線128は、バスバー端子20に固定される基端側に位置する固定端と、可動接点108,110が設けられる他端における自由端とをそれぞれ有している。このように可動ばね122と平編線128とはそれぞれの両端において互いに連結されている。これは、可動ばね122がその中間部分で前述したようにカード96の1対の鉛直片112,114の間に受容され、平編線128がその中間部分で、可動ばね122から離れて、作動部本体94及びカード96の外側(
図1における奥側)を通って延びるように構成するためである(
図2参照)。
【0037】
電気容量が大きい平編線128を可動ばね122に対して並列に配置した構成によれば、可動ばね122の断面積を小さく維持しながらも可動接点108,110側の回路の電気抵抗を顕著に低減できるようになるので、特に大電流が電磁継電器10に流れる場合に接点部28の発熱を抑える効果がある。また、このようなバイパス経路として、板ばねよりも可撓性の高い平編線128を用いることによって、より小さな力で確実に接点部28の開閉が可能になる。
【0038】
図6を参照して、本発明において用いられる好適な一例の平編線128をより詳細に説明する。
図6の(a)は平編線128を単体で表した側面図、(b)は平面図である。可動ばね122に並置される平編線128は、前述したようにその中間部分で作動部本体94の外側を通って可動端子108,110との取付位置まで延在するため、その長手方向に離間した複数の箇所で曲折されることになる。平編線128には、平板状に溶融された溶融部158,160が、貫通孔138,140及び取付孔146,148とともに平編線128の両端に形成されている。平編線は通常、編組され集束された導線から構成されるが、溶融部158,160は平編線の両端を加熱溶融して略平板状に成形した部分である。このように、もともと単体に編組された平編線自体に平板状の溶融部158,160を成形することによって、別個の平板状部材(例えば圧着板材)を平編線に取り付ける必要がなくなる。さらに、これら溶融部158,160の領域において、貫通孔138,140及び取付孔146,148がプレス成形により形成されている。このような構成を採用することによって、部品点数を削減できるとともに平編線128を小形化できる。また、溶融部158,160の間の部位は本来の平編線の形態を維持しているため、平編線を設けたことによる前述した効果はそのまま維持される。
【0039】
バスバー端子20は、取付孔154,156が形成された基端平板部20aと、ベース12の周壁32の一縁に形成された溝34に係合する中間の係合部20bと、係合部20bから基端平板部20aとは反対側に延長され、ベース12から延出する末端平板部20cと、末端平板部20cの下端で略直角に曲折して略水平方向に延在する取付平板部20dとを有している。バスバー端子20は、ベース12の溝34に係合部20bを圧入することによりベース12に固定される。取付平板部20dには、バスバー端子22の取付平板部22dと同様にボルトなどの公知の固定手段を受容する貫通孔21が形成されており、基板など任意の支持体に取付可能になっている。
【0040】
電磁継電器10を高電圧ないし大電流の開閉に用いる場合、可動接点108,110を固定接点124,126から離間させてバスバー端子20,22間を電気的に遮断しようとするときに、接点間にアークが発生することがある。また、離間している接点どうしを、導通のために接近させようとするときも、同様にアークが発生することがある。この問題を解決するために、本実施形態においては接点部28、より具体的には可動接点108,110及び固定接点124,126に対向する位置に、永久磁石58が配置されている。永久磁石58の磁束が、可動接点108,110と固定接点124,126との間の間隙を横断するように、永久磁石58を配置することにより、接点間に発生しようとするアークが永久磁石58に向かって引き延ばされ、結果的に接点間のアークが吹き消されるようになる。
【0041】
カバー14の端壁56の、凹部38とは反対側の外面には、接点部28に向かって窪んだ収容部60が設けられている。永久磁石58を、カバー14と一体に形成されたこの収容部60に圧入して固定することにより、接点部28に対して永久磁石58を所定位置に容易に位置決めできる。より具体的に述べると、永久磁石58は、可動接点108,110と固定接点124,126とが接触している状態(
図5)から、可動接点108,110が
図5の右側に変位することにより接点間に形成される間隙よりも長い距離にわたって延在し、かつこの間隙の最短距離を結ぶ直線に略平行に配置されている。また、永久磁石58は、その磁化方向が収容部60の深さ方向に一致するように、収容部60に配置されている。この構成により、可動接点108,110の変位方向に対して直交する磁界が発生するので、効果的にアークを吹き消すことができる。収容部60は、カバー14の端壁56の外面から接点部28の近傍まで到達する深さを有する有底の窪みである(
図5)。したがって、図示された実施形態においては、永久磁石58がカバー14の一部を介在させて接点部28の近位に配置されているため、接点間に発生するアークの吹き消し効果が増大する。永久磁石58を収容部60内において確実に固着させるため、封止樹脂を収容部60内に注入するようにしてもよい。このようにした場合においても、封止樹脂が端壁56の外面よりも外方に突出しないように、収容部60の深さを十分に大きく形成すれば、電磁継電器10の移送、保管、基板への取付け等種々の取扱いが容易になるので好ましい。
【0042】
永久磁石58は、別の態様により収容部60内に位置決めされうる。例えば、永久磁石56を収容部60に配置した後に、別個の部材(図示せず)を収容部60において永久磁石58に当接するように圧入し、その部材により永久磁石58を固定してもよい。永久磁石58を収容部60に圧入することのみを以て永久磁石58の脱離を防ぐのに十分であるようにして、永久磁石58を所定位置に固定する追加の工程を省略してもよい。
【0043】
また、図示しない代替的な実施態様においては、カバー14の端壁56の外面から外方に延在する突出部に永久磁石58を収容してもよい。この構成は、ハウジング内部空間の制約が厳しく永久磁石58を接点部28に十分に近づけられない場合において有効である。
【0044】
以上で説明した実施形態においては、接点部28と永久磁石58との間にはカバー14の単壁56が介在しているため、アークが永久磁石58に直接到達しないようになっている。また、端壁56を介在させることで、金属製構成部品に対する磁気的引力の影響を受けることなく永久磁石58を容易に組み付けることができる。さらに、収納部60に樹脂を充填して永久磁石58を封止する実施形態においては、永久磁石58に対する機械的な損傷も防止できる。
【0045】
本実施形態に係る電磁継電器10は、以下のようにして簡単に組み立てることができる。まず、電磁石部24、作動部26及び接点部28の各構成部品を、ベース12の所定位置に圧入、接着その他公知の方法により組み付ける(
図2)。そして、カバー14を周壁32の開口端に載置して位置決めし、接合部54を係合部32aに係合させて凹部38を閉塞する。カバー14の収容部(窪み)60に永久磁石58を配置する。この際に永久磁石58を圧入することにより、収容部60から容易には脱離しないように仮留めしてもよい。また、永久磁石58に当接して押さえつけるように別個の部材を圧入して永久磁石58を仮留めしてもよい。なお、カバー14をベース12に組み付ける前に永久磁石58を収容部60に予め配置しておいてもよい。
【0046】
次いで、収容部60に配置された永久磁石58の上方から樹脂を注入して永久磁石58を封止する。このとき、同時にカバー14の外周の接合部54とベース12の周壁32の係合部32aとの間にも封着樹脂を注入し、カバー14をベース12に封着してハウジングを形成する。或いは、ベース12とカバー14との封着工程と、永久磁石58の封着工程とのうちのいずれか一方を先に行い、その後遅滞なく連続して他方の工程を行ってもよい。このようにすることによって、ベース12と、カバー14の接合部54とを接着する工程と、永久磁石58を接着する接着工程とを、いずれもカバー14の側において実施される端壁56に対する接着工程として同時ないし連続して行えるため、樹脂注入ノズルの移動やハウジングの姿勢変更等に要する工程を省略でき、以て製造コストを削減できる。
【0047】
以上のとおり、図示された実施形態によると、高電圧又は大電流の開閉動作を安価な電磁継電器を用いて容易かつ確実に行えるようになる。
【0048】
次に、本発明の第2の実施形態について
図7及び
図8を参照して説明する。以下の代替的な実施形態の説明において、第1の実施形態に関連して既に説明した重複する事項については適宜省略する。
【0049】
図7はベース212側から見た電磁継電器210の斜視図、
図8は
図7の線VIII−VIIIに沿って見た断面図である。カバー214側から見た斜視図は
図3と同様であるため図示するのを省略する。
【0050】
本実施形態においては、カバー214に設けられた永久磁石216に加えて、ベース212の端壁30の凹部38とは反対側の外面にも接点部28に対向する永久磁石218が別個設けられている。すなわち、
図8からより良く分かるようにベース212の端壁220の凹部38とは反対側の外面には、接点部224に向かって窪んだ収容部222が形成されていて、この収容部222に永久磁石218が設けられている。永久磁石216,218は、可動接点226,228が変位して固定接点230,232との間に形成される間隙よりも長い距離にわたってそれぞれ延在し、かつこの間隙の最短距離を結ぶ直線に略平行にそれぞれ配置されている。永久磁石218は収容部222に圧入されてもよいし、樹脂で封着されてもよい。なお、本実施形態においては、ベース212の端壁220の肉厚が第1の実施形態よりも大きく形成されている。こうすることによって、永久磁石218をベース212に収容する構成としてもこの収容部222が端壁220の外面から突出しないようになる。したがって、電磁継電器210の移送、保管、基板への取付け等種々の取扱いが容易になる。
【0051】
本実施形態では、永久磁石216,218が接点部224の両側に設けられているため、接点部224に対して直交する磁束が増大している。その結果、アークを吹き消す効果が、カバー214側のみに永久磁石216を設けた場合よりも増大する。
【0052】
図9〜
図12を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
図9は電磁継電器310の部分分解図、
図10は電磁継電器310をカバー312側から見た斜視図、
図11は電磁継電器310をベース314側から見た斜視図、
図12は永久磁石316,318とヨーク320との位置関係を説明するための概略的な断面図である。
図12においては、図面の視認性を考慮して本実施形態の説明に供しない構成部品は省略してある。
【0053】
本実施形態は、カバー314側及びベース312側の両方に永久磁石316,318を設けている。そしてカバー314及びベース312の外側部にヨーク320が組み付けられている。ヨーク320は、電磁継電器310によって導通状態と非導通状態とが切り替えられる外部端子である一対のバスバー端子322,324の間を通ってハウジングに嵌合され、バスバー端子322,324を通る電流経路の間にヨーク320が延在するようになっている。本実施形態においては、ヨーク320を配置するスペースを十分に付与するのに加えて、絶縁距離を確保するために、バスバー端子322,324の間の距離を、他の図示した実施形態よりも拡げている。ヨーク320は、
図12において最も明確に表されるように、カバー314に設けられた永久磁石316と、ベース312に設けられた永久磁石318とに接続されて、ハウジングの外側部を通って延在する断面コ字形状を有する。ベース312及びカバー314には、ヨーク320を受容する溝326,328が連続して形成されており、ヨーク320はこれら溝326,328に沿って取り付けられる。ヨーク320は、溝326,328に圧入その他公知の態様で組み付けることができる。図示された実施形態は、ヨーク320全体を受容するように溝326,328が形成されているが、例えばベース312の端壁又はカバー314の端壁のいずれか一方のみに溝が形成されていてもよい。溝326,328はそれぞれヨーク320の肉厚の大きさよりも深く形成されていて、ヨーク320を組み付けた状態でヨーク320がベース312及びカバー314の外表面から突出しないようになっている。この構成によれば、電磁継電器310の移送、保管、基板への取付け等種々の取扱いが容易になる。図示しないが、バスバー端子322,324間の距離が拡げられたのに従って、接点部330の可動ばね及び平網線の形状が変更され、他の実施形態と同様に接点の開閉ができるようになっている。
【0054】
本実施形態の構成によると、ヨーク320によって、離間して配置された永久磁石316,318間に磁路が形成され、永久磁石316,318から発生する磁束がヨーク320を通って伝達されるようになる。したがって、カバー314側及びベース312側に永久磁石316,318のみを配置した場合に比べて、接点部330に作用する磁力がより一層強大になって、アークの吹き消し効果が増大する。また、ヨーク320は、バスバー端子322,324の間にこれらに対して平行に設けられるので、ヨーク320と、バスバー端子322,324を通る電流とは互いに影響を受けないようになっている。
【0055】
第3の実施形態の変更例として、ベース312側の永久磁石318を省略してもよい。すなわちこの変形例においては、カバー314側に永久磁石316が設けられている。そして、永久磁石316からハウジングの外側部を通ってベース312まで延在する、断面コ字形状のヨーク320が設けられる。この変形例では、永久磁石316から、永久磁石316に対向する位置まで磁路が延長形成されるので、前述した第2の実施形態において、永久磁石216,218を接点部224にそれぞれ対向して設けた構成と略同等のアーク吹き消し効果を奏すると考えられる。
【0056】
以上の実施形態では、2つの接点を備えた、いわゆる双接点のタイプの電磁継電器を例として説明したが、アーク吹き消し効果を向上させた本発明によれば、接点を1つに減らした単接点のタイプであっても高電圧又は大電流の開閉を好適に行う電磁継電器が提供される。端接点に変更することによって接点の接触部に使用される高価な銀系の材料の使用量を削減できるのでより一層安価な電磁継電器を得ることができる。
【0057】
本発明にしたがってアークを吹き消すために設けられる永久磁石は、アークの発生方向に対して直交する磁界を形成すると説明したが、この直交する関係が厳密に要求されないことはいうまでもない。したがって、アークの吹き消し効果を奏するに足りる範囲内において、永久磁石の磁化方向がアークの発生方向に対して他の角度に傾斜していてもよい。
【0058】
取付部46,48の個数、形状及び配置は図示された実施形態に限定されない。受容部46a,48a,46b,48bの形態も種々の公知の取付手段の形態に対応するように適宜選定されうる。