特許第5777450号(P5777450)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社三井ハイテックの特許一覧

特許5777450永久磁石が樹脂封止された積層鉄心の製造方法
<>
  • 特許5777450-永久磁石が樹脂封止された積層鉄心の製造方法 図000002
  • 特許5777450-永久磁石が樹脂封止された積層鉄心の製造方法 図000003
  • 特許5777450-永久磁石が樹脂封止された積層鉄心の製造方法 図000004
  • 特許5777450-永久磁石が樹脂封止された積層鉄心の製造方法 図000005
  • 特許5777450-永久磁石が樹脂封止された積層鉄心の製造方法 図000006
  • 特許5777450-永久磁石が樹脂封止された積層鉄心の製造方法 図000007
  • 特許5777450-永久磁石が樹脂封止された積層鉄心の製造方法 図000008
  • 特許5777450-永久磁石が樹脂封止された積層鉄心の製造方法 図000009
  • 特許5777450-永久磁石が樹脂封止された積層鉄心の製造方法 図000010
  • 特許5777450-永久磁石が樹脂封止された積層鉄心の製造方法 図000011
  • 特許5777450-永久磁石が樹脂封止された積層鉄心の製造方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777450
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】永久磁石が樹脂封止された積層鉄心の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/03 20060101AFI20150820BHJP
   H02K 1/27 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   H02K15/03 Z
   H02K1/27 501D
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-187678(P2011-187678)
(22)【出願日】2011年8月30日
(65)【公開番号】特開2013-34357(P2013-34357A)
(43)【公開日】2013年2月14日
【審査請求日】2014年6月20日
(31)【優先権主張番号】特願2011-146264(P2011-146264)
(32)【優先日】2011年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】松林 敏
(72)【発明者】
【氏名】長井 亮
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−046857(JP,A)
【文献】 特開2010−158164(JP,A)
【文献】 特開2002−325402(JP,A)
【文献】 特開2009−131075(JP,A)
【文献】 特開2002−027712(JP,A)
【文献】 特開2010−206882(JP,A)
【文献】 特開平06−165447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/03
H02K 1/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の鉄心片が積層され、内側空間又は外側に開放される開口部を備えた磁石挿入孔を有する積層鉄心本体の前記磁石挿入孔に永久磁石を挿入して、前記開口部を閉塞部材で閉塞した状態で、前記永久磁石を前記磁石挿入孔に樹脂封止する積層鉄心の製造方法において、前記閉塞部材を形成する閉塞片部材を前記各鉄心片に形成し、該鉄心片を組み立てた前記積層鉄心本体の前記磁石挿入孔に前記永久磁石を樹脂封止した後、前記閉塞部材を除去し、しかも、前記開口部を塞ぐ前記閉塞片部材の各塞き止め片部は、前記開口部又は前記開口部の周辺の前記鉄心片に対して切り曲げ状態で接続され、該閉塞片部材が前記鉄心片に連結される他の部位は、縮幅したネック部又はVノッチによって連結されていることを特徴とする積層鉄心の製造方法。
【請求項2】
請求項記載の積層鉄心の製造方法において、前記閉塞片部材は、前記塞き止め片部が前記開口部から弾性的に後退可能な収縮部を有していることを特徴とする積層鉄心の製造方法。
【請求項3】
請求項記載の積層鉄心の製造方法において、前記収縮部は平面視してジグザグ状又は円弧状に折り曲げられて形成されていることを特徴とする積層鉄心の製造方法。
【請求項4】
複数枚の鉄心片が積層され、内側空間又は外側に開放される開口部を備えた磁石挿入孔を有する積層鉄心本体の前記磁石挿入孔に永久磁石を挿入して、前記開口部を閉塞部材で閉塞した状態で、前記永久磁石を前記磁石挿入孔に樹脂封止する積層鉄心の製造方法において、前記閉塞部材を形成する閉塞片部材を前記各鉄心片に形成し、該鉄心片を組み立てた前記積層鉄心本体の前記磁石挿入孔に前記永久磁石を樹脂封止した後、前記閉塞部材を除去し、前記開口部には、内側に対向する内向き掛止片部が設けられ、前記閉塞片部材は前記内向き掛止片部に掛合する外向き掛止片部が設けられた塞き止め片部を有し、前記閉塞片部材は打ち抜き及びこれに続く押し戻し処理によって前記鉄心片に摩擦係合していることを特徴とする積層鉄心の製造方法。
【請求項5】
請求項記載の積層鉄心の製造方法において、前記内向き掛止片部及び前記外向き掛止片部は平面視して三角形状となっていることを特徴とする積層鉄心の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石(未磁化のものも含む)を鉄心片を積層して形成された積層鉄心本体に樹脂によって固定する(「マグネットモールド工法」と称される)積層鉄心(回転子又は固定子をいう)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂封止によって永久磁石を積層鉄心本体に固定する方法としては、例えば、特許文献1記載の方法がある。この方法は、回転子の積層鉄心本体の半径方向外側領域に、複数の磁石挿入孔を設け、この磁石挿入孔に永久磁石を挿入して、下型及び上型で挟持し、上型に設けられた樹脂ポットから樹脂を磁石挿入孔に充填して、永久磁石を固定するものであった。
【0003】
一方、特許文献1記載の磁石挿入孔は平面視して長方形となって周囲が密閉されているので、樹脂が側方に漏れる心配はないが、断面長方形の閉空間に永久磁石を配置すると、永久磁石によって発生する磁束の漏洩が多いので、磁石挿入孔の一部を開口して永久磁石の磁束の漏洩を少なくすることが行われている。このような一部が側方に開口した部分(即ち、開口部)を有する磁石挿入孔に樹脂を充填する場合、開口部に適当な閉塞部材を配置して、磁石挿入孔を平面視して閉空間として樹脂封止を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−158164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、以上の技術においては、閉塞部材を別に用意する必要があり、更に、繰り返し使用できるとしても、樹脂封止された積層鉄心から閉塞部材を除去した後、閉塞部材のクリーニングが必要であり、手間のかかる作業が必要であった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、特別の閉塞部材を必要とすることなく、一部に開口部を有する磁石挿入孔を閉塞して永久磁石の樹脂封止を行う積層鉄心の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る積層鉄心の製造方法は、複数枚の鉄心片が積層され、内側空間又は外側に開放される開口部を備えた磁石挿入孔を有する積層鉄心本体の前記磁石挿入孔に永久磁石を挿入して、前記開口部を閉塞部材で閉塞した状態で、前記永久磁石を前記磁石挿入孔に樹脂封止する積層鉄心の製造方法において、前記閉塞部材を形成する閉塞片部材を前記各鉄心片に形成し、該鉄心片を組み立てた前記積層鉄心本体の前記磁石挿入孔に前記永久磁石を樹脂封止した後、前記閉塞部材を除去し、しかも、前記開口部を塞ぐ前記閉塞片部材の各塞き止め片部は、前記開口部又は前記開口部の周辺の前記鉄心片に対して切り曲げ状態で接続され、該閉塞片部材が前記鉄心片に連結される他の部位は、縮幅したネック部又はVノッチによって連結されている。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
の発明に係る積層鉄心の製造方法は、第の発明に係る積層鉄心の製造方法において、前記閉塞片部材は、前記塞き止め片部が前記開口部から弾性的に後退可能な収縮部を有している。
【0013】
の発明に係る積層鉄心の製造方法は、第の発明に係る積層鉄心の製造方法において、前記収縮部は平面視してジグザグ状又は円弧状に折り曲げられて形成されている。
【0014】
の発明に係る積層鉄心の製造方法は、複数枚の鉄心片が積層され、内側空間又は外側に開放される開口部を備えた磁石挿入孔を有する積層鉄心本体の前記磁石挿入孔に永久磁石を挿入して、前記開口部を閉塞部材で閉塞した状態で、前記永久磁石を前記磁石挿入孔に樹脂封止する積層鉄心の製造方法において、前記閉塞部材を形成する閉塞片部材を前記各鉄心片に形成し、該鉄心片を組み立てた前記積層鉄心本体の前記磁石挿入孔に前記永久磁石を樹脂封止した後、前記閉塞部材を除去し、前記開口部には、内側に対向する内向き掛止片部が設けられ、前記閉塞片部材は前記内向き掛止片部に掛合する外向き掛止片部が設けられた塞き止め片部を有し、前記閉塞片部材は打ち抜き及びこれに続く押し戻し処理によって前記鉄心片に摩擦係合している。
【0015】
の発明に係る積層鉄心の製造方法は、第の発明に係る積層鉄心の製造方法において、前記内向き掛止片部及び前記外向き掛止片部は平面視して三角形状となっている。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る積層鉄心の製造方法は以上のように構成されているので、磁石挿入孔の開口部を閉塞するのに、従来のような高精度の閉塞部材を用意する必要がない。そして、本発明においては、鉄心片の材料の一部を用いて閉塞部材を形成しているので、閉塞部材が使い捨てとなり、しかも積層鉄心の形状に応じて自由に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(A)は本発明の第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法を適用した積層鉄心の平面図、(B)は同正面図である。
図2】(A)〜(C)はそれぞれ同積層鉄心に用いる鉄心片の一部拡大図である。
図3】(A)〜(F)は閉塞片部材と周囲の鉄心片を仮連結する手段の説明図である。
図4】(A)、(B)は本発明の第2の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法の説明図である。
図5】同積層鉄心の製造方法に用いる鉄心片を部分拡大した説明図である。
図6】本発明の第3の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法の説明図である。
図7】同積層鉄心の製造方法の作用効果の説明図である。
図8】本発明の第4の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法の説明図である。
図9】本発明の第5の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法の説明図である。
図10】本発明の第6の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法の説明図であって、(A)は平面図、(B)は裏側斜視図、(C)は断面図である。
図11】本発明の第7の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法の説明図であって、(A)は平面図、(B)は裏側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施の形態について説明する。まず、本発明の第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法によって製造された積層鉄心10を、図1(A)、(B)を参照しながら説明する。
【0024】
図1(A)、(B)に示すように、積層鉄心10は回転子に使用されるもので、複数枚の環状の鉄心片11がかしめ積層されて形成された積層鉄心本体10aは、内側に軸孔12を有し、半径方向外側領域には、複数(この実施の形態では4)の対となる磁石挿入孔13、14を有している。対となる磁石挿入孔13、14の間には、内側空間15を備え、内側空間15と磁石挿入孔13、14とは開口部17、18を介して連通している。なお、積層鉄心本体10aは鉄心片11をかしめ積層して構成され、磁石挿入孔13、14に永久磁石20、21が樹脂封止されていないものをいう。また、磁石挿入孔13、14と開口部17、18との間には永久磁石20、21の横動きを止めるストッパー(内側突出部)が形成されている。このストッパーは永久磁石20、21が所定の位置に収まる場合は省略することもできる。
【0025】
この内側空間15は回転子(即ち、積層鉄心10)の重量を軽減し、更には、磁石挿入孔13、14と連通して磁石挿入孔13、14に埋設された永久磁石20、21の回転子に対する磁気的特性を向上するためのものである。この積層鉄心10の製造の中間段階においては、この内側空間15に最終的に除去可能な閉塞部材23が設けられ、対向している開口部17、18を閉塞している。この閉塞部材23は平面視して略四角形の内側空間15の半径方向内外に形成された蟻溝25、24(掛止凹部の一例)に嵌入する突出部27、26(掛止突起の一例)を有している。そして、閉塞部材23の円周方向側部29、30は、開口部17、18を完全に閉塞し樹脂漏れを防止している。
【0026】
続いて、この積層鉄心10を製造する本発明の第1の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法について説明する。なお、以下の説明において、永久磁石20、21を除く平面視した状態の積層鉄心本体10aと鉄心片11の形状は同一であるので、特に明記する場合を除いて、同一の名称及び符号を用いる。
鉄心片11は、図示しない一定幅の磁性材からなる薄板条材を金型装置によって打ち抜き加工して形成される。打ち抜きの順序は任意ではあるが、例えば、1)中央の軸孔12の形成、2)磁石挿入孔13、14とこれに続く開口部17、18の形成、3)閉塞部材23を形成する閉塞片部材32を形成する抜き孔33〜36の形成(図2参照)、4)上下の鉄心片11を接合する周知のかしめ部(図示せず)の形成、5)閉塞片部材32を内側空間15から落下しないように、内側空間15の一部に仮連結する加工を行って、鉄心片11を薄板条材から抜き落とす外形抜きを行って、ダイ内に鉄心片11をかしめ積層することになる。
【0027】
1)中央の軸孔12の形成、2)磁石挿入孔13、14とこれに続く開口部17、18の形成、3)閉塞部材23を形成する閉塞片部材32を形成する抜き孔33〜36の形成、については、パンチとダイを用いて薄板条材に貫通孔を形成する周知の方法によって行うので詳しい説明は省略する。
閉塞片部材32を蟻溝24、25を含む内側空間15から落下しないように、内側空間15の一部に仮連結する加工については以下に詳細に説明する。
【0028】
(1)閉塞片部材32を内側空間15に仮連結する第1の方法
蟻溝24、25に嵌入する突出部26、27を含む閉塞片部材32に対して、図3(A)、(B)に示すように、パンチ38とダイ39による打ち抜き加工を行って完全に材料を切り離し(場合によっては半抜き加工でもよい)、図3(C)に示すように、平パンチ40、41を使って元の位置に押し戻す。これによって、閉塞片部材32と内側空間15は摩擦保持されて繋がるので、そのままの状態で鉄心片11に保持され、最終的に閉塞片部材32が積層された閉塞部材23を構成する。
この後、積層鉄心本体10aの磁石挿入孔13、14に永久磁石20、21を入れて、積層鉄心本体10aの樹脂封止を行う。この場合、開口部17、18は閉塞部材23で閉じているので、封止された樹脂が漏れることはない。なお、磁石挿入孔13、14の樹脂封止が完了した後は、閉塞部材23に上又は下からパンチ等で押圧力を与えると内側空間15から除去(打ち抜き除去)される。蟻溝24、25は閉塞片部材32を内側空間15に保持し、閉塞片部材32がずれるのを防止できる。この第1の方法において、蟻溝24、25は必須の要件ではなく、図2(B)、(C)に示すように蟻溝24、25を無くすこともできる。
【0029】
(2)閉塞片部材32を内側空間15に仮連結する第2の方法
突出部26、27の先部を蟻溝24、25内に入れるが、この部分は完全に切り離し、閉塞片部材32の円周方向側部29、30が開口部17、18の半径方向内側及び外側の鉄心片11と連結する部分43〜46に、図3(D)に示すようなVノッチ47(即ち、Vノッチ状の溝)を入れる。このVノッチ47はVパンチによって形成され、板厚t1は0.05〜0.1mm程度となっている。また、Vノッチ47の角度は鋭角が好ましいが、Vノッチ47の摩耗を考慮して、90度としてもよい。
【0030】
突出部26、27の先部を蟻溝24、25内で切り離す方法としては、図3(E)に示すように板材a(即ち、突出部26、27となる)を所定形状で片側を曲げ切り、図3(F)に示すように再度平パンチで押し戻し、又は平坦なダイに板材aを押し付け、平面状となす。これによって、閉塞片部材32は内側空間15の周囲とVノッチ47が形成された部分43〜46で連結しているので、積層された閉塞片部材32が閉塞部材23となって、開口部17、18を塞ぎ樹脂封止が安定して行える。樹脂封止の完了後は、閉塞部材23を抜き落とすことになる。なお、この例においても、蟻溝24、25は必須の要件ではないので、図2(B)、(C)のように省略できる。
【0031】
(3)閉塞片部材32を内側空間15に仮連結する第3の方法
図2(B)、(C)に示すように、十字状の閉塞片部材49の突出部50〜53と内側空間15の周囲とは図3(D)に示すようにVノッチ47によって連結されている。これによって、積層鉄心本体10aに樹脂封止後、閉塞片部材49を積層した閉塞部材23の除去が容易となる。
【0032】
以上の実施の形態において、閉塞片部材32、49にかしめ部を形成し、上下に隣り合う閉塞片部材32、49をかしめ積層することもできる。この場合、Vノッチ47は、最上下に位置する閉塞片部材32、49のみに形成してその間にある閉塞片部材32、49は周囲と分離し、これら全部の閉塞片部材32、49をかしめ積層するのが好ましい。これによって、閉塞部材23が安定して内側空間15に保持されると共に、その除去が容易となる。また、Vノッチ47が形成される部分43〜46(図2(A)、(B)、(C)参照)の幅は、0.5〜2mmの範囲にあって、幅が狭い程除去が容易になり、更に永久磁石20、21を樹脂封止する際に、閉塞片部材32、49の熱膨張による積層鉄心10の変形が防げられる。また、磁石挿入孔13、14の開口部17、18を小さく形成することで、閉塞部材23と接する樹脂の量を減らすことができ、閉塞部材23の除去が容易となる。
【0033】
続いて、図4図5を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法について説明する。
図4(A)、(B)、図5には、積層鉄心本体55の一部を示しているが、全体は図1(A)、(B)と同様で、中央に軸孔をその周囲に対となる磁石挿入孔56、57を有している。この磁石挿入孔56、57は最終製品では開口部58、59によって、積層鉄心本体55の半径方向外側に連通される(即ち、外側に開放される)外側空間部60に連通されている。
【0034】
そして、永久磁石を入れた磁石挿入孔56、57が樹脂封止される前では、外側空間部60に閉塞部材61が配置され、樹脂封止完了後閉塞部材61は除去される。
この閉塞部材61を構成する閉塞片部材62は周囲の鉄心片63と仮連結された状態で、鉄心片63は外形抜きされてダイ内に積層される。積層された閉塞片部材62は閉塞部材61となり、磁石挿入孔56、57の開口部58、59を閉塞する。
【0035】
閉塞片部材62と鉄心片63が仮連結される所は、中央連結部64、側部連結部65、66の3箇所であるので、この部分を仮連結することになる。仮連結の方法は、1)中央連結部64、側部連結部65、66の全てに図3(D)に示すようなVノッチ47を入れる方法、2)閉塞片部材62全体に図3(A)に示すような打ち抜き加工を行なう方法、3)中央連結部64、側部連結部65、66のいずれか1又は2を図3(E)に示すような切り曲げ及び押し戻し加工を行って切断し、残りの部分にVノッチ47を入れる方、4)最上下に位置する閉塞片部材62のみにVノッチ47を形成し、閉塞片部材62をかしめ積層する方法、5)以上の1)〜4)の方法に加えて、蟻溝等の掛止凹部と掛止突起を設ける方法等がある。
【0036】
次に、図6図7を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法の主要部分について説明する。
図6に示すように、この実施の形態において、積層鉄心本体は両側の磁石挿入孔13、14にそれぞれ開口部68、69を介して連通する内側空間70を有し、この内側空間70には開口部68、69を塞ぐ閉塞部材71が設けられている。
【0037】
閉塞部材71を形成する閉塞片部材71aは水平に配置された(即ち、積層鉄心の円周方向に沿って)塞き止め片部72、73及び収縮部76、77とこれらに直交する(即ち、積層鉄心の半径方向に沿って設けられた)垂直片部(他の部位の一例)74、75とを備え、平面視して十字状となっている。塞き止め片部72、73は開口部68、69を塞ぐようにして形成され、しかも、開口部68、69又は開口部68、69の周辺の鉄心片11に対して塞き止め片部72、73の端部は切り曲げ切断によって分離した状態で接合(当接)している。更に、塞き止め片部72、73の基側には平面視してジグザグ状に折り曲げられて形成された収縮部76、77が設けられ、塞き止め片部72、73の先端が開口部68、69に充填された樹脂によって軸方向に押圧されたときには、収縮部76、77が弾性的に縮むように(即ち、後退可能に)なっている。
【0038】
一方、閉塞片部材71aの垂直片部74、75の先端は内側空間70を形成する鉄心片11に縮幅したネック部78、79を介して連結されている。ここで、ネック部78、79の幅は、垂直片部74、75の幅の例えば1/10〜1/2程度であるのが好ましい。このネック部78、79によって閉塞片部材71aを確実に内側空間70に保持できる。なお、ネック部78、79の代わりに、Vノッチであってもよい。
これによって、磁石挿入孔13、14に樹脂封止を行う場合、内側空間70に樹脂が流れず、しかも積層鉄心の樹脂封止後は、容易に閉塞片部材71aが積層された閉塞部材71を除去できる。
【0039】
また、塞き止め片部72、73の先端を鉄心片11から分離し、更に塞き止め片部72、73の基側に収縮部76、77を設けることによって以下に説明する利点がある。即ち、図7に示すように、一般に板材80をパンチ81とダイ82を用いて打ち抜き加工を行うと、打ち抜き片83の幅wが打ち抜き孔84の幅vより広くなる。この増大幅(w−v)は一定であるので、切り曲げ(又は打ち抜き及びこれに続く押し戻し)によって打ち抜き孔84内に打ち抜き片83を戻すと、打ち抜き片83が厚み方向に座屈を起こす(即ち、板が曲がる)。そこで、塞き止め片部72、73の基側に弾性的な収縮部76、77を設けると、この厚み方向の座屈力が収縮部76、77によって吸収されるので、閉塞片部材71aに厚み偏差を伴う座屈を起こさないという利点がある。なお、ここで切り曲げとは、切り曲げて押し戻すことによって平面状にすることをいう。
【0040】
続いて、図8に示す本発明の第4の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法の主要部分について説明する。
この実施の形態では、閉塞部材を構成する閉塞片部材86は、環状の収縮部87と、収縮部87の両側(即ち、積層鉄心に対して円周方向)に設けられた塞き止め片部89、90と、収縮部87の上下(即ち、積層鉄心に対して半径方向)に設けられた垂直片部91、92を有している。塞き止め片部89、90は切り曲げ加工によって形成され、塞き止め片部89、90の先端は開口部68、69を形成する鉄心片11とは完全に分離している。
【0041】
一方、垂直片部91、92は垂直片部91、92より幅狭のネック部93、94を介して、内側空間70を形成する鉄心片11と連結されている。ネック部93、94の幅は垂直片部91、92の幅の1/10〜1/2程度となっている。これによって、塞き止め片部89、90の先端が樹脂に押されても、またプレス加工よって塞き止め片部89、90の先端が鉄心片11と多少競っても、環状即ち平面視して円弧状に曲げられた収縮部87によって吸収できる。なお、ネック部93、94の代わりにVノッチとしてもよいし、ネック部93、94に更にVノッチを施してもよい。
【0042】
続いて、図9に示す本発明の第5の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法の主要部分について説明する。
図9に示すように、鉄心片11に形成される対となる磁石挿入孔13、14の開口部96、97には内側に対向する内向き掛止片部98、99が設けられ、開口部96、97を閉塞する閉塞部材を構成する閉塞片部材100は長板状となって、その両側には内向き掛止片部98、99に掛止する外向き掛止片部101、102が設けられている。そして、この外向き掛止片部101、102を含んで閉塞片部材100の両端に塞き止め片部103、104が形成されている。
【0043】
内向き掛止片部98、99と外向き掛止片部101、102はそれぞれ平面視して三角形状となって、打ち抜きかつ打ち抜き後の押し戻し処理によって完全に分離している。樹脂封止時は、内向き掛止片部98、99と外向き掛止片部101、102とが摩擦係合して噛み合うので、磁石挿入孔13、14の開口部96、97を塞き止め片部103、104で完全に塞ぐことができ、積層鉄心10の完成後は、上下方向に閉塞部材(即ち、積層した閉塞片部材100)を押し抜くことができる。
【0044】
次に、図10(A)〜(C)に示す本発明の第6の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法について説明する。磁石挿入孔13、14の内側に開口部17、18をそれぞれ有していることは以上の実施の形態と同様であり、内側空間15に配置される閉塞片部材106が、平面視して十字形状となっている。そして、閉塞片部材106の半径方向端部107、108は周囲の鉄心片11とパンチとダイによる周知の半抜き加工が施されて、厚み半分で連結し、連結部(仮連結部)を構成している。一方、閉塞片部材106の円周方向端部109、110は、周囲の鉄心片11とは切り曲げ加工によって分断されている。そして、開口部17、18の両側に円周方向両端部109、110が分断状態で当接している。111〜114はその当接部を示す。なお、切り曲げ加工と半抜き加工はいずれを先に行ってもよい。
【0045】
このように、閉塞片部材106の半抜き加工を行うと、図10(C)に示すように、鉄心片11の表面に対して閉塞片部材106の表面116が半板厚下がった凹部117を形成し、閉塞片部材106の底面118が半板厚だけ突出した凸部119が形成される。
これによって、上下隣り合う鉄心片11において、閉塞片部材106の凹部117と凸部119を嵌合させて、上下隣り合う鉄心片11をかしめ結合することができる。また、積層された閉塞片部材106は樹脂止めとなり、磁石挿入孔13、14への樹脂封止が完了した後、積層された閉塞片部材106(即ち、閉塞部材)を抜き落とすことができる。
【0046】
図11(A)、(B)は、本発明の第7の実施の形態に係る積層鉄心の製造方法を示すが、この実施の形態においては、閉塞片部材121は平面視して長方形状となって、鉄心片11に対して半抜き構造となって、鉄心片11に円周方向端部109、110の一部が半抜き状態の連結部111a〜114aによって連結されている。
そして、閉塞片部材121は表面122に凹部を、底面123に凸部を有して、上下隣り合う閉塞片部材121の凹部と凸部が嵌合し、かしめ結合するようになっている。
【0047】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。例えば、前記実施の形態においては、Vノッチ、切り曲げ、打ち抜き及び押し戻し、打ち抜き加工、半抜き加工を行って、閉塞片部材を周囲の鉄心片と仮連結するようにしたが、その他の方法で、閉塞片部材を周囲の鉄心片と仮連結する方法であっても、最終的に閉塞片部材の積層体(即ち、閉塞部材)が除去できるものであれば適用可能である。
また、前記実施の形態において、閉塞片部材は環状又は十字状又は長方形状としたが、この形状に限定されるものではない。また、閉塞片部材が周囲の鉄心片と仮連結する位置も限定されず、任意である。
積層された閉塞片部材(閉塞部材)は、永久磁石の樹脂封止後、ピン部材で加圧し押し抜き除去することもできる。
また、本発明の要旨を変更しない範囲で、前記した実施の形態を組み合わせて閉塞部材を構成することもできる。
また、前記実施の形態においては、半抜きされた閉塞片部材の突出長さは厚みの0.5〜0.9倍(より好ましくは、0.6〜0.85倍)とするのが好ましい。
【符号の説明】
【0048】
10:積層鉄心、10a:積層鉄心本体、11:鉄心片、12:軸孔、13、14:磁石挿入孔、15:内側空間、17、18:開口部、20、21:永久磁石、23:閉塞部材、24、25:蟻溝、26、27:突出部、29、30:円周方向側部、32:閉塞片部材、33〜36:抜き孔、38:パンチ、39:ダイ、40、41:平パンチ、43〜46:連結する部分、47:Vノッチ、49:閉塞片部材、50〜53:突出部、55:積層鉄心本体、56、57:磁石挿入孔、58、59:開口部、60:外側空間部、61:閉塞部材、62:閉塞片部材、63:鉄心片、64:中央連結部、65、66:側部連結部、68、69:開口部、70:内側空間、71:閉塞部材、71a:閉塞片部材、72、73:塞き止め片部、74、75:垂直片部、76、77:収縮部、78、79:ネック部、80:板材、81:パンチ、82:ダイ、83:打ち抜き片、84:打ち抜き孔、86:閉塞片部材、87:収縮部、89、90:塞き止め片部、91、92:垂直片部、93、94:ネック部、96、97:開口部、98、99:内向き掛止片部、100:閉塞片部材、101、102:外向き掛止片部、103、104:塞き止め片部、106:閉塞片部材、107、108:半径方向端部、109、110:円周方向端部、111〜114:当接部、111a〜114a:連結部、116:表面、117:凹部、118:底面、119:凸部、121:閉塞片部材、122:表面、123:底面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11