【実施例】
【0221】
(実施例1)
2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)の合成
DLin−K−DMAは、以下の概略図に示し、以下で述べる通りに合成した。
【0222】
【化21】
臭化リノレイル(II)の合成
無水エーテル(300mL)中のメタンスルホン酸リノレイル(6.2g、18mmol)と臭化マグネシウムエーテラート(magnesium bromide etherate)(17g、55mmol)の混合物を、アルゴン下で終夜(21時間)攪拌した。得られる懸濁液を300mLの冷水中に注いだ。振盪した後、その有機相を分離した。その水相をエーテル(2×150mL)で抽出した。エーテル相を合わせて水(2×150mL)、ブライン(150mL)で洗浄し、無水のNa
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、6.5gの無色の油状物を得た。粗生成物をシリカゲル(230〜400メッシュ、300mL)でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサンで溶出した。これにより、6.2g(約100%)の臭化リノレイル(II)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.27−5.45 (4H, m, 2 x CH=CH), 3.42 (2H, t, CH2Br), 2.79 (2H, t, C=C−CH2−C=C), 2.06 (4H, q, 2 x アリル型 CH2), 1.87 (2H, 五重線, CH2), 1.2−1.5 (16H, m), 0.90 (3H, t, CH3) ppm。
【0223】
ジリノレイルメタノール(III)の合成
無水エーテル200mL中のMg旋削くず(turning)(0.45g、18.7mmol)とヨウ素結晶1個の懸濁液に、窒素下、無水エーテル50mL中の臭化リノレイル(II)溶液を室温で加えた。得られる混合物を窒素下で終夜還流させた。その混合物を室温に冷却した。窒素下でその濁った混合物に、無水エーテル30mL中のギ酸エチル(0.65g、18.7mmol)溶液を室温で滴下添加した。添加後、その混合物を室温で終夜(20時間)攪拌した。そのエーテル層を10%のH
2SO
4水溶液(100mL)、水(2×100mL)、ブライン(150mL)で洗浄し、次いで無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、5.0gの淡色の油状物を得た。ヘキサン中0〜7%の勾配のエーテル溶液を溶離液として用いてシリカゲル(230〜400メッシュ、300mL)でのカラムクロマトグラフィーにかけ、ジリノレイルメタノール(2.0g、III)とジリノレイルメチルホルメート(1.4g、IV)の2種の生成物を得た。ジリノレイルメチルホルメート (IV)についての1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 8.10 (1H, s, CHO), 5.27−5.45 (8H, m, 4 x CH=CH), 4.99 (1H, 五重線, OCH), 2.78 (4H, t, 2 x C=C−CH2−C=C), 2.06 (8H, q, 4 x アリル型 CH2), 1.5−1.6 (4H, m, 2 x CH2), 1.2−1.5 (32H, m), 0.90 (6H, t, 2 x CH3) ppm。
【0224】
ジリノレイルメチルホルメート(IV、1.4g)およびKOH(0.2g)を、85%のEtOH中、窒素下、室温で終夜攪拌した。反応が完了した後、その溶媒の半分を蒸発させた。得られる混合物を150mLの5%HCL溶液中に注いだ。その水相をエーテル(3×100mL)で抽出した。エーテル抽出物を合わせて水(2×100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させ、1.0gのジリノレイルメタノール(III)を無色の油状物として得た。全体で3.0g(60%)のジリノレイルメタノール(III)を得た。ジリノレイルメタノール (III)についての1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: ppm。
【0225】
ジリノレイルケトン(V)の合成
CH2Cl2 100mL中のジリノレイルメタノール(2.0g、3.8mmol)および無水炭酸ナトリウム(0.2g)の混合物に、クロロクロム酸ピリジニウム(pydimium chlorochromate)(PCC、2.0g、9.5mmol)を加えた。得られる懸濁液を室温で60分間攪拌した。次いでその混合物にエーテル(300mL)を加え、得られる褐色の懸濁液をシリカゲルパッドを通して濾過した(300mL)。そのシリカゲルパッドをエーテル(3×200mL)でさらに洗浄した。エーテル濾液および洗液を合わせた。その溶媒を蒸発させ、3.0gの油性残留物を粗生成物として得た。その粗生成物を、ヘキサン中0〜3%のエーテルを用いて溶出することによるシリカゲル(230〜400メッシュ、250mL)でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。これにより、1.8g(90%)のジリノレイルケトン(V)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.25−5.45 (8H, m, 4 x CH=CH), 2.78 (4H, t, 2 x C=C−CH2−C=C), 2.39 (4H, t, 2 x COCH2), 2.05 (8H, q, 4 x アリル型 CH2), 1.45−1.7 (4H, m), 1.2−1.45 (32H, m), 0.90 (6H, t, 2 x CH3) ppm。
【0226】
2,2−ジリノレイル−4−ブロモメチル−[1,3]−ジオキソラン(VI)の合成
トルエン 200mL中のジリノレイルメタノール(V、1.3g、2.5mmol)、3−ブロモ−1,2−プロパンジオール(1.5g、9.7mmol)、およびp−トルエンスルホン酸水和物(p−toluene sulonic acid hydrate)(0.16g、0.84mmol)の混合物を、窒素下、Dean−Stark管を用いて3日間還流させて、水を除去した。得られる混合物を室温に冷却した。その有機相を水(2×50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させ、黄色がかった油性残留物を得た。ヘキサン中0〜6%の勾配のエーテルを溶離液として用いてシリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)のカラムクロマトグラフィーを行い、0.1gの純粋なVI、およびVIと出発材料の混合物1.3gを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.27−5.45 (8H, m, 4 x CH=CH), 4.28−4.38 (1H, m, OCH), 4.15 (1H, dd, OCH), 3.80 (1H, dd, OCH), 3.47 (1H, dd, CHBr), 3.30 (1H, dd, CHBr), 2.78 (4H, t, 2 x C=C−CH2−C=C), 2.06 (8H, q, 4 x アリル型 CH2), 1.52−1.68 (4H, m, 2 x CH2), 1.22−1.45 (32H, m), 0.86−0.94 (6H, m, 2 x CH3) ppm。
【0227】
2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)の合成
2,2−ジリノレイル−4−ブロモメチル−[1,3]−ジオキソラン(VI)とジリノレイルケトン(V)の混合物1.3gを含有する無水THF溶液(100mL)中に、無水ジメチルアミンを0℃で10分間バブリングした(bubbled)。次いで反応フラスコを密閉し、その混合物を室温で6日間攪拌した。その溶媒を蒸発させて、1.5gの残留物を得た。粗生成物を、シリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ジクロロメタン中0〜5%の勾配のメタノールで溶出した。これにより、0.8gの所望の生成物DLin−K−DMAを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.25−5.45 (8, m, 4x CH=CH), 4.28−4.4 (1H, m, OCH), 4.1 (1H, dd, OCH), 3.53 (1H, t OCH), 2.78 (4H, t, 2 x C=C−CH2−C=C), 2.5−2.65 (2H, m, NCH2), 2.41 (6H, s, 2 x NCH3), 2.06 (8H, q, 4 x アリル型 CH2), 1.56−1.68 (4H, m, 2 x CH2), 1.22−1.45 (32H, m), 0.90 (6H, t, 2 x CH3) ppm。
【0228】
(実施例2)
1,2−ジリノレイルオキシ−N,N−ジメチル−3−アミノプロパン(DLinDMA)の合成
DLinDMAは、以下で述べる通りに合成した。
【0229】
【化22】
無水ベンゼン 120mL中のNaH(95%、5.2g、0.206mol)懸濁液に、無水ベンゼン 40mL中のN,N−ジメチル−3−アミノプロパン−1,2−ジオール(2.8g、0.0235mol)をアルゴン下で滴下添加した。添加後、得られる混合物を室温で15分間攪拌した。前記混合物に、無水ベンゼン 75mL中のメタンスルホン酸リノレイル(99%、20g、0.058mol)を、アルゴン下にて室温で滴下添加した。室温で30分間攪拌した後、その混合物をアルゴン下で終夜還流させた。冷却した後、得られる懸濁液を、250mLの1:1(V:V)エタノール−ベンゼン溶液の滴下によって処理した。その有機相を水(150mL)、ブライン(2×200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。真空下でその溶媒を蒸発させて、17.9gのさらりとした(light)油状物を粗生成物として得た。その粗生成物を、塩化メチレン中0〜5%の勾配のメタノールを使用するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって2回精製して、10.4gの純粋なDLinDMAを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 5.35 (8H, m, CH=CH), 3.5 (7H, m, OCH), 2.75 (4H, t, 2 x CH2), 2.42 (2H, m, NCH2), 2.28 (6H, s, 2 x NCH3), 2.05 (8H, q, ビニル CH2), 1.56 (4H, m, 2 x CH2), 1.28 (32H, m, 16 x CH2), 0.88 (6H, t, 2 x CH3) ppm。
【0230】
(実施例3)
2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C2−DMA)の合成
DLin−K−C2−DMAは、以下の概略図および記述において示す通りに合成した。
【0231】
2,2−ジリノレイル−4−(2−ヒドロキシエチル)−[1,3]−ジオキソラン(II)の合成
トルエン 50mL中のジリノレイルケトン(I、実施例1に記載の通りに予め調製したもの、527mg、1.0mmol)、1,3,4−ブタントリオール(工業グレード(technical grade)、約90%、236mg、2mmol)、およびp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(50mg、0.2mmol)の混合物を、窒素下にて、Dean−Stark管を用いて終夜還流させて、水を除去した。得られる混合物を室温に冷却した。その有機相を水(2×30mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、黄色がかった油性残留物(0.6g)を得た。その粗生成物を、ジクロロメタンを溶離液に用いたシリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。これにより、0.5gの純粋なIIを無色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 5.25−5.48 (8H, m, 4 x CH=CH), 4.18−4.22 (1H, m, OCH), 4.08 (1H, dd, OCH), 3.82 (2H, t, OCH
2), 3.53 (1H, t, OCH), 2.78 (4H, t, 2 x C=C−CH
2−C=C), 2.06 (8H, q, 4 x アリル型 CH
2), 1.77−1.93 (2H, m, CH
2), 1.52−1.68 (4H, m, 2 x CH
2), 1.22−1.45 (32H, m), 0.86−0.94 (6H, t, 2 x CH
3) ppm。
【0232】
【化23】
2,2−ジリノレイル−4−(2−メタンスルホニルエチル)−[1,3]−ジオキソラン(III)の合成
無水CH
2Cl
2 50mL中の2,2−ジリノレイル−4−(2−ヒドロキシエチル)−[1,3]−ジオキソラン(II、500mg、0.81mmol)および無水(dry)トリエチルアミン(218mg、2.8mmol)の溶液に、窒素下でメタンスルホニル無水物(290mg、1.6mmol)を加えた。得られる混合物を室温で終夜攪拌した。その混合物を25mLのCH
2Cl
2で希釈した。その有機相を水(2×30mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、510mgの黄色がかった油状物を得た。その粗生成物をそれ以上精製せずに次の工程で使用した。
【0233】
2,2−ジリノレイル−4−(2−ジメチルアミノエチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C2−DMA)の合成
窒素下にある上記粗製材料(III)に、THF中の20mLのジメチルアミン(2.0M)を加えた。得られる混合物を室温で6日間攪拌した。その溶媒を蒸発させて油性残留物を得た。ジクロロメタン中0〜5%の勾配のメタノールを溶離液に用いたシリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)でのカラムクロマトグラフィーを行い、380mgの生成物DLin−K−C2−DMAを淡色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 5.27−5.49 (8, m, 4x CH=CH), 4.01−4.15 (2H, m, 2 x OCH), 3.49 (1H, t OCH), 2.78 (4H, t, 2 x C=C−CH
2−C=C), 2.34−2.54 (2H, m, NCH
2), 2.30 (6H, s, 2 x NCH
3), 2.06 (8H, q, 4 x アリル型 CH
2), 1.67−1.95 (2H, m, CH
2), 1.54−1.65 (4H, m, 2 x CH
2), 1.22−1.45 (32H, m), 0.90 (6H, t, 2 x CH
3) ppm。
【0234】
(実施例4)
2,2−ジリノレイル−4−(3−ジメチルアミノプロピル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C3−DMA)の合成
DLin−K−C3−DMAは、以下で述べ、以下の概略図に示す通りに合成した。
【0235】
【化24】
1,2,5−ペンタントリオールの合成
無水THF 80mL中のLiAlH
4(1.75g)懸濁液に、無水THF 20mL中の(R)−γ−ヒドロキシメチル−γ−ブタロラクトン(butarolactone)(0.50g、4mmol)溶液を、窒素下で滴下添加した。得られる懸濁液を窒素下にて室温で終夜攪拌した。氷水浴を使用して、この混合物に、5.5mLのNaCl飽和水溶液を極めてゆっくりと加えた。その混合物を窒素下にて終夜さらに攪拌した。その白色固体を濾過し、THF(2×20mL)で洗浄した。その濾液および洗液を合わせた。その溶媒を蒸発させて、0.25gの無色の油状物を粗生成物として得た。その粗生成物をそれ以上精製せずに次の工程で使用した。
【0236】
2,2−ジリノレイル−4−(3−ヒドロキシプロピル)−[1,3]−ジオキソラン(II)の合成
トルエン 150mL中のジリノレイルケトン(I、実施例1に記載の通りに予め調製したもの、1.0g、2mmol)、1,2,5−ペンタントリオール(粗製の、0.25g、2mmol)、およびp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(100mg、0.4mmol)混合物を、窒素下にて、Dean−Stark管を用いて終夜還流させて、水を除去した。得られる混合物を室温に冷却した。その有機相を水(3×40mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させ、黄色がかった油性残留物(1.1g)を得た。その粗生成物を、ジクロロメタン中0〜1%のメタノールを溶離液に用いたシリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。これにより、0.90gの純粋なIIを無色の油状物として得た。
【0237】
2,2−ジリノレイル−4−(3−メタンスルホニルプロピル)−[1,3]−ジオキソラン(III)の合成
無水CH
2Cl
2 100mL中の2,2−ジリノレイル−4−(3−ヒドロキシプロピル)−[1,3]−ジオキソラン(II、0.90g、1.4mmol)および無水トリエチルアミン(0.51g、5mmol)の溶液に、メタンスルホニル無水物(0.70g、4mmol)を窒素下で加えた。得られる混合物を室温で終夜攪拌した。有機相を水(2×40mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、1.0gの褐色がかった油状物を粗生成物として得た。粗生成物をそれ以上精製せずに次の工程で使用した。
【0238】
2,2−ジリノレイル−4−(3−ジメチルアミノプロピル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C3−DMA)の合成
上記粗製材料(III、1.0g)に、窒素下で、THF中ジメチルアミン40mL(2.0M)を加えた。得られる混合物を室温で8日間攪拌した。その固体を濾過した。その溶媒を蒸発させて、橙色の残留物を得た。ヘキサン中0〜40%の勾配の酢酸エチルを溶離液に用いた、シリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)でのカラムクロマトグラフィーを行い、510gの生成物DLin−K−C3−DMAを淡色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 5.22−5.50 (8, m, 4x CH=CH), 3.95−4.15 (2H, m, 2 x OCH), 3.35−3.55 (1H, m OCH), 2.78 (4H, t, 2 x C=C−CH
2−C=C), 2.45−2.55 (2H, m, NCH
2), 2.35 (6H, s, 2 x NCH
3), 2.05 (8H, q, 4 x アリル型 CH
2), 1.45−1.75 (6H, m, CH
2), 1.2−1.45 (32H, m), 0.90 (6H, t, 2 x CH
3) ppm。
【0239】
(実施例5)
2,2−ジリノレイル−4−(4−ジメチルアミノブチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C4−DMA)の合成
DLin−K−C4−DMAは、以下で記載し、以下の概略図に示す通りに合成した。
【0240】
2,2−ジリノレイル−4−(4−ヒドロキシブチル)−[1,3]−ジオキソラン(II)の合成
トルエン 150mL中のジリノレイルケトン(I、実施例1に記載の通りに予め調製したもの、1.05g、2.0mmol)、1,2,6−ヘキサントリオール(0.54g、4mmol)、およびp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(100mg、0.4mmol)の混合物を、窒素下にて、Dean−Stark管を用いて終夜還流させて、水を除去した。得られる混合物を室温に冷却した。その有機相を水(2×60mL)、ブライン(60mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、黄色がかった油性残留物(1.5g)を得た。粗生成物を、ジクロロメタン中0〜0.5%のメタノールを溶離液に用いたシリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。これにより、1.4gの純粋なIIを無色の油状物として得た。
【0241】
【化25】
2,2−ジリノレイル−4−(4−メタンスルホニルブチル)−[1,3]−ジオキソラン(III)の合成
無水CH
2Cl
2 150mL中の2,2−ジリノレイル−4−(4−ヒドロキシブチル)−[1,3]−ジオキソラン(II、1.4g、2mmol)および無水トリエチルアミン(0.73g、7.2mmol)溶液に、メタンスルホニル無水物(1.0g、5.7mmol)を窒素下で加えた。得られる混合物を室温で終夜攪拌した。その有機相を水(2×75mL)、ブライン(75mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、1.45gの淡色の油状物を粗生成物として得た。その粗生成物をそれ以上精製せずに次の工程で使用した。
【0242】
2,2−ジリノレイル−4−(4−ジメチルアミノブチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−C4−DMA)の合成
上記粗製材料(III、1.45g)に、窒素下で、THF中のジメチルアミン60mL(2.0M)を加えた。得られる混合物を室温で6日間攪拌した。その固体を濾過した。その溶媒を蒸発させて、油性残留物(1.2g)を得た。ジクロロメタン中0〜5%の勾配のメタノールを溶離液に用いた、シリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)でのカラムクロマトグラフィーにかけて、0.95gの生成物DLin−K−C4−DMAを淡色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 5.26−5.49 (8, m, 4x CH=CH), 3.97−4.15 (2H, m, 2 x OCH), 3.45 (1H, t OCH), 2.78 (4H, t, 2 x C=C−CH
2−C=C), 2.45−2.55 (2H, m, NCH
2), 2.40 (6H, s, 2 x NCH
3), 2.05 (8H, q, 4 x アリル型 CH
2), 1.45−1.75 (8H, m, CH
2), 1.2−1.45 (32H, m), 0.90 (6H, t, 2 x CH
3) ppm。
【0243】
(実施例6)
2,2−ジリノレイル−5−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキサン(DLin−K6−DMA)の合成
DLin−K6−DMAは、以下で述べ、以下の概略図に示す通りに合成した。
【0244】
2,2−ジリノレイル−5−ヒドロキシメチル)−[1,3]−ジオキサン(II)の合成
トルエン 150mL中のジリノレイルケトン(I、実施例1に記載の通りに予め調製したもの、1.05g、2.0mmol)、2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(475mg、4mmol)、およびp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(100mg、0.4mmol)の混合物を、窒素下にて、Dean−Stark管を用いて終夜還流させて、水を除去した。得られる混合物を室温に冷却した。その有機相を水(2×60mL)、ブライン(60mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、淡色の油状物(1.2g)を得た。その粗生成物を、ジクロロメタン中0〜1%の勾配のメタノールを溶離液に用いたシリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。これにより、1.0gの純粋なIIを無色の油状物として得た。
【0245】
【化26】
2,2−ジリノレイル−5−メタンスルホニルメチル−[1,3]−ジオキサン(III)の合成
無水CH
2Cl
2 120mL中の2,2−ジリノレイル−5−ヒドロキシメチル−[1,3]−ジオキサン(II、1.0g、1.6mmol)および無水トリエチルアミン(430mg、4.2mmol)の溶液に、メタンスルホニル無水物(600mg、3.3mmol)を窒素下で加えた。得られる混合物を室温で終夜攪拌した。その有機相を水(2×60mL)、ブライン(60mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、1.1gの淡色の油状物を得た。その粗生成物をそれ以上精製せずに次の工程で使用した。
【0246】
2,2−ジリノレイル−5−ジメチルアミノメチル)−[1,3]−ジオキサン(DLin−K6−DMA)の合成
上記粗製材料(III、1.1g)に、窒素下で、THF中のジメチルアミン20mL(2.0M)を加えた。得られる混合物を室温で7日間攪拌した。その溶媒を蒸発させて、油性残留物を得た。ヘキサン中0〜30%の勾配の酢酸エチルを溶離液に用いた、シリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)でのカラムクロマトグラフィーにかけて、260mgの生成物DLin−K
6−DMAを淡色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 5.24−5.51 (8, m, 4x CH=CH), 4.04 (2H, dd, 2 x OCH)), 3.75 (2H, dd OCH), 2.7−2.9 (2H, br, NCH
2), 2.78 (4H, t, 2 x C=C−CH
2−C=C), 2.57 (6H, s, 2 x NCH
3), 1.95−2.17 (9H, q, 4 x アリル型 CH
2およびCH), 1.67−1.95 (2H, m, CH
2), 1.54−1.65 (4H, m, 2 x CH
2), 1.22−1.45 (32H, m), 0.90 (6H, t, 2 x CH
3) ppm。
【0247】
(実施例7)
ジリノレイルメチル3−ジメチルアミノプロピオネート(DLin−M−K−DMA)の合成
DLin−M−K−DMAは、以下で述べ、以下の概略図に示す通りに合成した。
【0248】
【化27】
ジリノレイルメタノール(II)の合成
メタノール中のジリノレイルケトン(dilinoley ketone)(I、1.3g)の溶液(130mL)に、NaBH
4(0.7g)を加えた。得られる溶液を室温で60分間攪拌した。その混合物を300mLの氷水中に注いだ。その水相をエーテル(3×100mL)で抽出した。そのエーテル相を合わせて水(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、黄色がかった油性残留物(1.4g)を得た。その粗生成物を、ヘキサン中0〜5%の勾配の酢酸エチルを溶離液に用いたシリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。これにより、1.1gの純粋なIIを淡色の油状物として得た。
【0249】
ジリノレイルメチル3−ブロモプロピオネート(III)の合成
無水CH
2Cl
2 50mL中のジリノレイルメタノール(II、560mg、1mmol)および無水トリエチルアミン(0.44g、4.2mmol)の溶液に、窒素下で塩化3−ブロモプロピオニル(工業グレード、0.34mL)を滴下添加した。得られる混合物を室温で3日間攪拌した。その有機相を50mLのジクロロメタンで希釈し、水(3×50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、610mgの褐色がかった油状物を粗生成物として得た。その粗生成物を、ヘキサン中0〜3%の勾配の酢酸エチルを溶離液に用いたシリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。これにより、主生成物としてのIIIと副生成物の混合物540gを得た。その混合物をそれ以上精製せずに次の工程で使用した。
【0250】
ジリノレイルメチル3−ジメチルアミノプロピオネート(DLin−M−K−DMA)の合成
上記混合物(III、540mg)に、窒素下で、THF中のジメチルアミン15mL(2.0M)を加えた。得られる混合物を室温で8日間攪拌した。その固体を濾過した。その溶媒を蒸発させて、褐色がかった残留物を得た。ジクロロメタン中0〜3%のメタノールを溶離液として、シリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)でのカラムクロマトグラフィーを行い、430mgの生成物DLin−M−K−DMAを淡色の油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ: 5.25−5.50 (8, m, 4x CH=CH), 4.70−5.00 (1H, q, OCH), 2.8−3.0 (2H, m, NCH
2), 2.78 (4H, t, 2 x C=C−CH
2−C=C), 2.6−2.7 (2H, m, COCH
2), 2.45 (6H, s, 2 x NCH
3), 2.05 (8H, q, 4 x アリル型 CH
2), 1.45−1.75 (4H, m, CH
2), 1.2−1.45 (32H, m), 0.90 (6H, t, 2 x CH
3) ppm。
【0251】
(実施例8)
2,2−ジリノレイル−4−N−メチルピペラジノ(methylpepiazino)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−MPZ)の合成
DLin−K−MPZは、以下で述べ、以下の概略図に示す通りに合成した。
【0252】
【化28】
工程1
トルエン 25mL中のジリノレイルケトン(I、1.3gm、2.5mmol)、3−ブロモ1,2−プロパンジオール(1.5gm、9.7mmol)、およびPPTS(ピリジニウム−p−トルエンスルホネート)(100mg)の混合物を、窒素下にて、Dean−stark管を用いて終夜還流させて、水を除去した。得られる混合物を室温に冷却した。その有機相を水(2×50mL)および飽和NaHCO
3溶液で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、溶媒を蒸発させて、黄色がかった油性残留物を得た。ヘキサン中0〜5%のエーテルを溶離液に用いた、シリカ(230〜400メッシュ)でのカラムクロマトグラフィーを行い、750mgのケタールを得、これを以下のようにメチルピペラジン(methyl piperzine)とさらに反応させた。
【0253】
工程2
アセトニトリル 5mL中のD−Lin−ケタール(II、250mg、0.37mmol)およびK
2CO
3(138mg、1mmol)の混合物に、モルホリン(50mg、0.50mmol)を加えた。次いで、得られる溶液をアルゴン下にて終夜還流させた。得られる混合物を室温に冷却し、溶媒を蒸発させ、その有機相を水(2×50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、黄色がかった油性残留物を得た。シリカゲル(230〜400メッシュ、500mL)でのカラムクロマトグラフィーによって、25〜50%のヘキサンおよび酢酸エチルで溶出し、次いでジクロロメタン中0〜5%の勾配のメタノールで溶出した。これにより、225mgの所望の生成物D−Lin−K−N−メチルピペラジン(D−Lin−K−MPZ)を得た。
【0254】
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ: 5.27−5.46 (8H, m), 4.21−4.31 (1H, m), 4.06−4.09 (1H, t), 3.49−3.57 (1H, t) 3.49−3.55 (1H, t), 2.75−2.81 (4H, t) 2.42−2.62 (8H, m), 2.30 (3H, s), 2.02−2.09 (8H, m) 1.55−1.65 (4H, m), 1.2−1.47 (32 H, m), 0.87−0.90 (6H, t) ppm。
【0255】
(実施例9)
2,2−ジオレオイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DO−K−DMA)の合成
以下に示す構造を有するDO−K−DMAは、最初の出発材料を、メタンスルホン酸リノレイルに代えてメタンスルホン酸オレオイルとしたことを除き、D−Lin−K−DMAを生成する実施例1に記載の方法と同様の方法を使用して調製した。
【0256】
【化29】
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ: 5.32−5.40 (4H, m), 4.21−4.31 (1H, m), 4.06−4.10 (1H, t), 3.49−3.55 (1H, t), 2.5−2.6 (2H, m), 2.35 (6H, s), 1.90−2.00 (8H, m), 1.70−1.80 (2H, m), 1.55−1.65 (8H, m), 1.2−1.47 (40 H, m), 0.87−0.90 (6H, t) ppm。
【0257】
(実施例10)
2,2−ジステアロイル−4−ジメチルアミノメチル−[1,3]−ジオキソラン(DS−K−DMA)の合成
以下に示す構造を有するDS−K−DMAは、以下で述べる通りに合成した。
【0258】
【化30】
実施例8に記載の通りに調製したDO−K−DMA(250mg、0.4mmol)の溶液に、エタノール中のパラジウム炭(psllsdium charcoal)を加え、得られる混合物を水素雰囲気下で終夜攪拌した。その反応混合物をセライトを通して濾過し、その溶媒を蒸発させ、次いでその粗生成物を、シリカゲル(230〜400メッシュ、500mL)でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン中25〜50%の勾配の酢酸エチルで溶出した。これにより、白色の固体225mgの所望の生成物DS−K−DMAを得た。
【0259】
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ: 4.21−4.31 (1H, m), 4.06−4.09 (1H, t), 3.49−3.55 (1H, t), 2.5−2.6 (2H, m), 2.35 (6H, s), 1.55−1.65 (4H, m), 1.2−1.47 (40 H, m), 0.87−0.90 (6H, t) ppm。
【0260】
(実施例11)
2,2−ジリノレイル−4−N−モルホリノ−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−MA)の合成
以下に示す構造を有するDlin−K−MAは、以下で述べる通りに合成した。
【0261】
アセトニトリル 5mL中のD−Lin−ケタール(I、250mg、0.37mmol)およびK
2CO
3(138mg、1mmol)の混合物に、モルホリン(50mg、0.57mmol)を加えた。次いで、得られる溶液をアルゴン下で終夜還流させた。得られる混合物を室温に冷却し、溶媒を蒸発させ、その有機相を水(2×50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、黄色がかった油性残留物を得た。
【0262】
【化31】
シリカゲル(230〜400メッシュ、500mL)でのカラムクロマトグラフィーによって、25〜50%のヘキサンおよび酢酸エチルで溶出し、次いでジクロロメタン中0〜5%の勾配のメタノールで溶出した。これにより、225mgの所望の生成物DLin−K−MAを得た。
【0263】
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ: 5.27−5.46 (8H, m), 4.21−4.31 (1H, m), 4.06−4.09 (1H, t), 3.71−3.73 (4H, t) 3.49−3.55 (1H, t), 2.78 (4H, t) 2.42−2.62 (6H, m),2.02−2.09 (8H, m) 1.55−1.65 (4H, m), 1.2−1.47 (32 H, m), 0.87−0.90 (6H, t) ppm。
【0264】
(実施例12)
2,2−ジリノレイル−4−トリメチルアミノ−[1,3]−ジオキソラン塩化物(DLin−K−TMA.Cl)の合成
DLin−K−TMA.Clは、以下で述べ、以下の概略図に示す通りに合成した。
【0265】
【化32】
2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノ−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA)の合成
DLin−K−DMAは、実施例1に記載の通りに調製した。
【0266】
2,2−ジリノレイル−4−トリメチルアミノ−[1,3]−ジオキソラン塩化物(DLin−K−TMA.I)の合成
無水CH
2Cl
2 10mL中の2,2−ジリノレイル−4−ジメチルアミノ−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K−DMA、1.5g、2.4mmol)およびCH
3I(4.0mL、64mmol)の混合物を、窒素下にて室温で9日間攪拌した。その溶媒および過剰のヨードメタンを蒸発させて、20gの黄色のシロップを粗製DLin−K−TMA.Iとして得、これをそれ以上精製せずに次の工程で使用した。
【0267】
2,2−ジリノレイル−4−トリメチルアミノ−[1,3]−ジオキソラン塩化物(DLin−K−TMA.Cl)の調製
上記の粗製DLin−K−TMA.I(2.0g)を、分液漏斗中の100mLのCH
2Cl
2に溶解させた。30mLの1N HClメタノール溶液を加え、得られる溶液を十分に振盪した。その溶液に50mLのブラインを加え、その混合物を十分に振盪した。その有機相を分離した。その水相を10mLのCH
2Cl
2で抽出した。次いで有機相と抽出物を合わせた。これにより、イオン交換の最初の工程が完了した。そのイオン交換工程をもう4回繰り返した。その最終の有機相をブライン(2×75mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、2.0gの黄色がかった粘稠な油状物を得た。その生成物を、クロロホルム中0〜15%の勾配のメタノールで溶出するシリカゲル(230〜400メッシュ、100mL)でのカラムクロマトグラフィーによって精製した。これにより、1.2gの2,2−ジリノレイル−4−トリメチルアミノ−[1,3]−ジオキソラン塩化物(DLin−K−TMA.Cl)を、淡色の蝋様物質として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ: 5.25−5.45 (8H, m, 4 x CH=CH), 4.55−4.75 (2H, m, 2 x OCH), 4.26−4.38 (1H, dd, OCH), 3.48−3.57 (1H, dd, NCH), 3.51 (9H, s, 3 x NCH
3), 3.11−3.22 (1H, dd, NCH), 2.77 (4H, t, 2 x C=C−CH
2−C=C), 2.05 (8H, q, 4 x アリル型 CH
2), 1.49−1.7 (4H, m, 2 x CH
2), 1.2−1.45 (30H, m), 0.89 (6H, t, 2 x CH
3) ppm。
【0268】
(実施例13)
2,2−ジリノレイル−4,5−ビス(ジメチルアミノメチル)−[1,3]−ジオキソラン(DLin−K
2−DMA)の合成
DLin−K
2−DMAは、以下で述べ、以下の概略図に示す通りに合成した。
【0269】
D−Lin−K−ジエチルタルタレート(II)の合成
【0270】
【化33】
トルエン 25mL中のD−Lin−ケトン(I、1gram、1.9mmol)、ジエチル−D−タルタレート(412mg、2mmol)、およびp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(pyridinium p−tolene sulfonate)(250mg、1mmol)の混合物を、窒素下にて、Dean−stark管を用いて2日間還流させて、水を除去した。得られる混合物を室温に冷却した。その有機相を水、NaHCO
3、およびブライン(2×50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、黄色がかった油性残留物を得た。ヘキサン中0〜10%の勾配のエーテルを溶離液に用いた、シリカゲル(230〜400メッシュ、500mL)でのカラムクロマトグラフィーにかけて、400mgの純粋なD−Lin−ジエチルタルタレート(II)を得た。
【0271】
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ: 5.27−5.46 (8H, m), 4.67 (2H, s), 4.20−4.30 (1H, t), 2.75 (4H, t), 2.02−2.09 (8H, m) 1.62−1.72 (4H, m), 1.2−1.47 (32 H, m), 0.87−0.90 (6H, t) ppm。
【0272】
D−Lin−K−ジエチルジオール(III)の合成
無水THF中の水素化リチウムアルミニウム(lithiumaluminiumhydride)(32mg、1mmol)の溶液に、無水THF中のD−Lin−K−ジエチルタルタレート(II、600mg、0.85mmol)の溶液を、アルゴン雰囲気下にて0℃で加え、次いでその反応物液を室温で4時間攪拌した。その反応混合物を氷冷水でクエンチし、次いでセライトを通して濾過し、溶媒を蒸発させて、粗製の還元アルコールを得た。シリカゲル(230〜400メッシュ、500mL)でのカラムクロマトグラフィーによって、ヘキサン中10〜40%の勾配の酢酸エチルを用いて溶出して、350mgの純粋なD−Lin−ジエチルタルタレート(III)を得た。
【0273】
【化34】
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ: 5.27−5.46 (8H, m), 3.95 (2H, t), 3.65−3.85 (4H, dd), 2.75 (4H, t), 2.02−2.09 (8H, m) 1.62−1.72 (4H, m), 1.2−1.47 (32 H, m), 0.87−0.90 (6H, t) ppm。
【0274】
D−Lin−K−ジエチルジメシレート(IV)の合成
無水ジクロロメタン中のD−Lin−K−ジエチルタルタレート(III)アルコール(570mg、0.95mmol)の混合物に、ピリジン(275mg、3.85mmol)および4−(ジメチルアミノ)ピリジン(122mg、1mmol)をアルゴン雰囲気下で加え、この溶液に、塩化メタンスルホニル(500mg、2.5mmol)の溶液をゆっくりと加え、終夜攪拌した。
【0275】
【化35】
その有機相を水およびブライン(2×50mL)で洗浄し、次いでその溶媒を蒸発させて、黄色がかった油状物残留物を得た。シリカゲル(230〜400メッシュ、500mL)でのカラムクロマトグラフィーで精製し、ヘキサン中10〜40%の勾配の酢酸エチルを溶離液として用いて溶出し、300mgの純粋なD−Lin−ジエチルタルタレート(IV)を得た。
【0276】
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ: 5.27−5.46 (8H, m), 4.35 (4H, d), 4.12−4.17 (2H, t), 3.08(6H, s), 2.75 (4H, t), 2.02−2.09 (8H, m) 1.62−1.72 (4H, m), 1.2−1.47 (32 H, m), 0.87−0.90 (6H, t) ppm。
【0277】
D−Lin−K
2−DMAの合成
(300mg)のD−Lin−ジエチルタルタレート(IV)を含有する反応容器に、THF中の無水ジメチルアミンの溶液を室温で5分間かけて加えた。次いでその反応フラスコを密閉し、その混合物を室温で6日間攪拌した。その溶媒を蒸発させて、300mgの残留物を得た。その粗生成物を、シリカゲル(230〜400メッシュ、500mL)でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、クロロホルム中0〜10%の勾配のメタノールを溶離液として用いて溶出し、50mgの純粋なD−Lin−K
2−DMAを得た。
【0278】
【化36】
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ: 5.27−5.46 (8H, m), 3.72−3.80 (2H, t), 2.75 (4H, t), 2.49 (4H, d), 2.30 (12H, s), 2.02−2.09 (8H, m) 1.62−1.72 (4H, m), 1.2−1.47 (32 H, m), 0.87−0.90 (6H, t) ppm。
【0279】
(実施例14)
D−Lin−K−N−メチルピペルジン(methylpiperzine)の合成
以下の構造を有するD−Lin−K−N−メチルピペルジンは、以下に記載の通りに合成した。
【0280】
アセトニトリル 5mL中のD−Lin−ケタール(I、250mg、0.37mmol)およびK
2CO
3(138mg、1mmol)の混合物に、モルホリン(50mg、0.50mmol)を加えた。次いで、得られる溶液をアルゴン下で終夜還流させた。得られる混合物を室温に冷却し、溶媒を蒸発させ、その有機相を水(2×50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。その溶媒を蒸発させて、黄色がかった油性残留物を得た。シリカゲル(230〜400メッシュ、500mL)でのカラムクロマトグラフィーによって、25〜50%のヘキサンおよび酢酸エチルで溶出し、次いでジクロロメタン中0〜5%の勾配のメタノールで溶出した。これにより、225mgの所望の生成物D−Lin−K−N−メチルピペルジンを得た。
【0281】
【化37】
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ: 5.27−5.46 (8H, m), 4.21−4.31 (1H, m), 4.06−4.09 (1H, t), 3.49−3.57 (1H, t) 3.49−3.55 (1H, t), 2.75−2.81 (4H, t) 2.42−2.62 (8H, m), 2.30 (3H, s), 2.02−2.09 (8H, m) 1.55−1.65 (4H, m), 1.2−1.47 (32 H, m), 0.87−0.90 (6H, t) ppm。
【0282】
(実施例15)
mPEG2000−1,2−ジ−O−アルキル−sn3−カルボモイルグリセリド(carbomoylglyceride)(PEG−C−DOMG)の合成
mPEG2000−1,2−ジ−O−アルキル−sn3−カルボモイルグリセリド(PEG−C−DOMG)などのPEG−脂質は、以下の概略図に示し、以下で記載する通りに合成した。
【0283】
【化38】
IVaの合成
1,2−ジ−O−テトラデシル−sn−グリセリドIa(30g、61.80mmol)およびN,N’−スクシンイミジルカルボネート(succinimidylcarboante)(DSC、23.76g、1.5当量)をジクロロメタン(DCM、500mL)に入れ、氷水混合物上で攪拌した。その攪拌している溶液にトリエチルアミン(TEA、25.30mL、3当量)を加え、引き続いてその反応混合物を周囲温度で終夜攪拌した。その反応の進行をTLCによってモニターした。その反応混合物をDCM(400mL)で希釈し、その有機層を水(2×500mL)、NaHCO
3水溶液(500mL)で洗浄した後、標準の仕上げ(work−up)を行った。得られた残留物を、高真空下にて周囲温度で終夜乾燥させた。乾燥させた後、そうして得られた粗製カーボネートIIaをジクロロメタン(500mL)に溶解させ、氷浴上で攪拌した。その攪拌している溶液に、mPEG
2000−NH
2(III、103.00g、47.20mmol、日油株式会社(日本)から購入)および無水ピリジン(Py、80mL、過剰)をアルゴン下で加えた。一部の実施形態では、化合物IIIのxは、45〜49、好ましくは47〜49、より好ましくは49の値を有する。次いでその反応混合物を周囲温度で終夜攪拌した。真空下で溶媒および揮発性物質を除去し、その残留物をDCM(200mL)に溶解させ、酢酸エチル中に充填されたシリカゲルのカラムにかけた。そのカラムを、最初は酢酸エチルで、引き続いてジクロロメタン中5〜10%の勾配のメタノールで溶出して、所望のPEG−脂質IVaを白色の固体(105.30g、83%)として得た。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ= 5.20−5.12(m, 1H), 4.18−4.01(m, 2H), 3.80−3.70(m, 2H), 3.70−3.20(m, −O−CH
2−CH
2−O−, PEG−CH
2), 2.10−2.01(m, 2H), 1.70−1.60 (m, 2H), 1.56−1.45(m, 4H), 1.31−1.15(m, 48H), 0.84(t, J= 6.5Hz, 6H)。
MS範囲実測値:2660−2836。
【0284】
IVbの合成
1,2−ジ−O−ヘキサデシル−sn−グリセリドIb(1.00g、1.848mmol)およびDSC(0.710g、1.5当量)をジクロロメタン(20mL)中に一緒に入れ、氷水混合物中にて0℃に冷却した。トリエチルアミン(1.00mL、3当量)を加え、その反応物を終夜攪拌した。その反応物をTLCによって追跡し、DCMで希釈し、水(2回)、NaHCO
3溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。その溶媒を減圧下で除去し、得られるIIbの残留物を終夜高真空下に置いておいた。この化合物をそれ以上精製せずに次の反応にそのまま使用した。MPEG
2000−NH
2 III(1.50g、0.687mmol、日油株式会社(日本)から購入)およびIIb(0.702g、1.5当量)を、アルゴン下でジクロロメタン(20mL)中に溶解させた。一部の実施形態では、化合物IIIのxは、45〜49、好ましくは47〜49、より好ましくは49の値を有する。その反応物を0℃に冷却した。ピリジン(1mL、過剰)を加え、その反応物を終夜攪拌した。その反応物をTLCによってモニターした。真空下で溶媒および揮発性物質を除去し、その残留物を、クロマトグラフィー(最初に酢酸エチル、続いて勾配溶出として5〜10%のMeOH/DCM)によって精製して、所望の化合物IVbを白色の固体(1.46g、76%)として得た。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ= 5.17(t, J= 5.5Hz, 1H), 4.13(dd, J= 4.00Hz, 11.00 Hz, 1H), 4.05(dd, J= 5.00Hz, 11.00 Hz, 1H), 3.82−3.75(m, 2H), 3.70−3.20(m, −O−CH
2−CH
2−O−, PEG−CH
2), 2.05−1.90(m, 2H), 1.80−1.70 (m, 2H), 1.61−1.45(m, 6H), 1.35−1.17(m, 56H), 0.85(t, J= 6.5Hz, 6H)。
MS範囲実測値:2716−2892。
【0285】
IVcの合成
1,2−ジ−O−オクタデシル−sn−グリセリドIc(4.00g、6.70mmol)およびDSC(2.58g、1.5当量)をジクロロメタン(60mL)中に一緒に入れ、氷水混合物中にて0℃に冷却した。トリエチルアミン(2.75mL、3当量)を加え、その反応物を終夜攪拌した。その反応物をTLCによって追跡し、DCMで希釈し、水(2回)、NaHCO
3溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下でその溶媒を除去し、その残留物を終夜高真空下に置いておいた。この化合物をそれ以上精製せずに次の反応にそのまま使用した。MPEG
2000−NH
2 III(1.50g、0.687mmol、日油株式会社(日本)から購入)およびIIc(0.760g、1.5当量)を、アルゴン下でジクロロメタン(20mL)に溶解させた。一部の実施形態では、化合物IIIのxは、45〜49、好ましくは47〜49、より好ましくは49の値を有する。その反応物を0℃に冷却した。ピリジン(1mL、過剰)を加え、その反応物を終夜攪拌した。その反応物をTLCによってモニターした。真空下で溶媒および揮発性物質を除去し、その残留物を、クロマトグラフィー(酢酸エチル、続いて勾配溶出として5〜10%のMeOH/DCM)によって精製して、所望の化合物IVcを白色の固体(0.92g、48%)として得た。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ= 5.22−5.15(m, 1H), 4.16(dd, J= 4.00Hz, 11.00 Hz, 1H), 4.06(dd, J= 5.00Hz, 11.00 Hz, 1H), 3.81−3.75(m, 2H), 3.70−3.20(m, −O−CH
2−CH
2−O−, PEG−CH
2), 1.80−1.70 (m, 2H), 1.60−1.48(m, 4H), 1.31−1.15(m, 64H), 0.85(t, J= 6.5Hz, 6H)。
MS範囲実測値:2774−2948。
【0286】
(実施例16)
in vivoの遺伝子サイレンシングに関するカチオン性脂質の影響
特定の肝細胞タンパク質のin vivoのRNAiサイレンシングが、細胞内送達のために設計された選定ナノ粒子内にカプセル化された、または細胞内送達のために設計された選定ナノ粒子に伴われるsiRNAの静脈内(i.v.)投与に続いて達成できることは十分確立されている。これらのうち最も活性であり、十分特徴付けられている1つが、カチオン性脂質、1,2−ジリノレイルオキシ−3−ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)を含有する、安定な核酸脂質粒子(SNALP)である。この実施例では、in vivoのスクリーニングと組み合わせた合理的設計を適用してDLinDMAの構造を組織的に改良し、カチオン性脂質の効力を増強または減少させる分子の特徴を特定した。30種を超える脂質を合成し、核酸−脂質粒子、すなわち、血清中で容易に測定される、肝細胞により合成および分泌される血液凝固成分の第VII因子(FVII)を標的とするsiRNA(LN−siRNA)をカプセル化する脂質ナノ粒子(LN)内に組み込んだ。LN−siRNA系を、同じ方法、脂質のモル比および粒径を使用して調製し、カチオン性脂質以外の製剤特徴に起因する、活性に対する作用を最小化した。個々の製剤を、24時間後にFVIIの血清タンパク質濃度が50%減少するために必要なsiRNA用量(ED
50)の予測を可能にする用量範囲にわたって、単回ボーラス注入として投与した。
【0287】
本明細書に記載した研究を、以下の材料および方法を使用して実施した。
【0288】
材料および方法
脂質
カチオン性脂質を、先の実施例に記載のように合成した。ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)は、Northern Lipids(Vancouver、Canada)から購入した。コレステロールは、Sigma Chemical Company(St.Louis、Missouri、USA)からまたはSolvay Pharmaceuticals(Weesp、The Netherlands)から購入した。
【0289】
N−[(メトキシポリ(エチレングリコール)
2000)カルバミル]−1,2−ジミリスチルオキシプロピル(dimyristyloxlpropyl)−3−アミン(PEG−C−DMA)およびN−[(メトキシポリ(エチレングリコール)
2000)スクシンイミジル]−1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−アミン(PEG−S−DMA)を、Hayesら、J. Control Release112巻:280〜290頁(2006年)に記載のように合成した。R−3−[(ω−メトキシ−ポリ(エチレングリコール)2000)カルバモイル)]−1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−アミン(PEG−C−DOMG)を、本明細書およびAkincら、Nat. Biotechnol.26巻:561〜56頁(2008年)に記載のように合成した。これら3種のPEG−脂質は、製剤中で活性に影響することなく相互に交換可能であった(データ非掲載)。したがって、本文全体を通して、これら3種のPEG−脂質は、明確にするために全般にPEG−脂質と称される。
【0290】
siRNAの合成
全siRNAおよび2’−OMeオリゴリボヌクレオチドは、Johnら、(Nature advance online publication、2007年9月26日(DOI:10.1038/nature06179))に記載のようにAlnylamによって合成された。オリゴヌクレオチドを、エレクトロスプレー質量分析法およびアニオン交換HPLCにより特徴付けた。
【0291】
これらの研究に使用されたsiRNAの配列は以下の通りであった:
【0292】
【化39】
小文字は2’−O−Me−改変ヌクレオチドを表し、アンダーラインを引いた文字は、2’−F−改変ヌクレオチドを表す。全siRNAは、個々の鎖の3’末端の2つのチミジン(T)間のホスホロチオエート結合を含有した。
【0293】
核酸−脂質粒子を処方するためのプリフォームドベシクル法
核酸−脂質粒子を、Maurerら(Biophys J.、2001年)に基本的に記載のように、プリフォームドベシクル(PFV)法を使用して作製した。カチオン性脂質、DSPC、コレステロールおよびPEG−脂質を、それぞれ、40/10/40/10のモル比でエタノール中において可溶化した。その脂質混合物を、最終的濃度がそれぞれ30%(vol/vol)および6.1mg/mLのエタノールおよび脂質と混合して水性バッファー(50mMのシトレート、pH4)に加え、押し出し前に、室温で2分間平衡化させた。水和した脂質を、22℃において、Lipex Extruder(Hope, M.J.ら、Biochim. Biopys. Acta 812巻:55〜65頁(1985年))を使用し、Nicomp分析による測定で直径70〜90nmのベシクルが得られるまで、2つ重ねた80nmの孔径のフィルター(Nuclepore)を介して押し出した。これは、通常1〜3回の通過を必要とした。FVII siRNA(30%エタノールを含有する50mMのシトレート、pH4の水溶液中で可溶化)を、予め平衡化した(35℃)ベシクルに、約5mL/分の速度で混合しながら加えた。標的siRNA/脂質の最終割合0.06(wt/wt)を達成後、その混合物を35℃においてさらに30分間インキュベートし、ベシクルの再構成およびFVII siRNAのカプセル化を可能にした。その後、エタノールを除去し、外部バッファーをPBS(155mMのNaCl、3mMのNa2HPO4、1mMのKH
2PO
4、pH7.5)に、透析またはタンジェンシャルフローダイアフィルトレーション(tangential flow diafiltration)のどちらかにより置き換えた。
【0294】
粒径分析
リポソームsiRNA製剤のサイズ分布を、NICOMP Model 380サブミクロン粒径分析計(PSS NICOMP、Particle Sizing Systems、Santa Barbara、CA)を使用して決定した。平均粒子直径は、使用する脂質組成物に依存して、一般的に50〜120nmの範囲内であった。リポソームsiRNA製剤は一般に均質であり、使用する脂質組成物および製剤化条件に依存して、20〜50nmの(平均粒径からの)標準偏差を有した。
【0295】
イオン交換クロマトグラフィーによる遊離siRNAの測定
DEAE Sepharoseカラムまたは市販の遠心分離器(Vivapure D Miniカラム)のどちらかを使用するアニオン交換クロマトグラフィーを使用して、試料中の遊離siRNAの量を測定した。DEAE Sepharoseカラムに関しては、siRNA含有製剤を、HBS(145mMのNaCl、20mMのHEPES、pH7.5)を用いて平衡化されたカラム(充填の高さ約2.5cm、直径1.5cm)を介して溶出した。初期試料および溶出試料のアリコートを、脂質およびsiRNAの含有量に関して、それぞれHPLCおよびA260によりアッセイした。カプセル化のパーセントは、カラムを通す前後の試料の間のsiRNA対脂質の比の変化に基づいて計算した。Vivapure遠心分離器のために、siRNA含有製剤のアリコート(0.4mL、<1.5mg/mL siRNA)が、遠心分離(2000×g、5分間)により正に荷電した膜を通って溶出された。カラムを通す前後の試料のアリコートを上記のように分析し、試料中の遊離siRNAの量を決定した。
【0296】
siRNA濃度の決定
siRNA濃度を、上記脂質の可溶化後に260nmにおいて吸光度を測定することによって決定した。上記脂質を、BlighおよびDyer(Blighら、Can. J. Biochem. Physiol.37巻:911〜917頁(1959年)により要約された手順に従って可溶化した。簡潔に言うと、リポソームsiRNA製剤の試料を、クロロホルム/メタノールと、1:2.1:1の体積比(水性試料:メタノール:クロロホルム)で混合した。混合後にその溶液が完全に透明(すなわち、単一の透明相)でない場合、さらに50〜100ml(体積を記録)のメタノールを加え、その試料を再混合した。透明な単相が得られたら、その試料を、分光光度計を使用して260nmにおいてアッセイした。siRNA濃度を、およそ45μg/mL=1.0ODの換算係数を使用して、光路長1.0cmで、A260の測定値から決定した。クロロホルム/メタノール/水の単相中の換算係数は個々の脂質組成物に関して変動し(35〜50μg/mL=1.0OD)、既知の量のsiRNAを使用する個々の新規な脂質製剤に関して実験的に決定する。
【0297】
脂質の濃度および比率の決定
コレステロール、DSPC、PEG−脂質および様々なカチオン性脂質を、Alliance 2695 Separations Module(オートサンプラー、HPLCポンプおよびカラムヒーター)、Waters 2424 Evaporative Light Scattering Detector(ELSD)およびWaters Empower HPLCソフトウェア(バージョン5.00.00.00、ビルド番号1154;Waters Corporation、Milford、MA、USA)からなるWaters Alliance HPLCシステムを使用して、参照基準に対して測定した。90%エタノール中0.8mg/mLの総脂質を含有する試料(15μL)を、2.5μmパッキング、2.1mm×50mmの逆相XBridge C18カラム(Waters Corporation、Milford、MA、USA)に注入し、55℃に加熱し、0.5mL/分の一定の流速における勾配溶出でクロマトグラフィーを行なった。移動相の組成を、10mMのNH
4HCO
3:メタノール(20:80)からTHF:10mMのNH
4HCO
3:メタノール(16:4:80)に16分にわたって変更した。ELSDにおけるガス圧は25psiに設定し、一方、噴霧器ヒーター−クーラーの設定点およびドリフトチューブの温度の設定点は、それぞれ100%および85℃であった。測定した脂質濃度(mg/mL)をモル濃度に変換し、相対的な脂質比をその製剤中の総脂質のmol%で表した。
【0298】
カプセル化の効率の決定
捕捉効率を、タンジェンシャルフローダイアフィルトレーションまたはアニオン交換クロマトグラフィーにより、外部siRNAの除去後に決定した。siRNAおよび脂質の濃度を、初期製剤インキュベーション混合物において、およびタンジェンシャルフローダイアフィルトレーション後に(上記のように)決定した。上記siRNA対脂質比(wt/wt)は、本法の両方の点で決定し、そのカプセル化の効率は、最終および初期のsiRNA対脂質比の比を求め、パーセントを得るためにその結果に100をかけて決定した。
【0299】
FVII活性のためのカチオン性脂質のIn vivoのスクリーニング
FVII活性を、C57BL/6マウスにおいて静脈内(ボーラス)注入24時間後、またはSDラットにおいて静脈内(ボーラス)注入48時間に、FVII siRNA処置動物において評価した。6から8週齢の雌のC57Bl/6マウスは、Charles River Laboratoriesから入手し、研究に使用する前に1週間順化させた。動物を、病原体のない環境に保ち、動物に関するすべての手順を、Canadian Council on Animal Careにより確立されたガイドラインに従って実施した。
【0300】
第VII因子siRNAを含有するLN−siRNA系を、使用直前に滅菌リン酸緩衝生理食塩水で適切な濃度に希釈し、その製剤を、外側尾静脈を介して、全体積10ml/kgで静脈内に投与した。24時間後、ケタミン/キシラジンを用いて動物に麻酔をかけ、心臓穿刺により血液を採取し、血清に処理した(Microtainer Serum Separator Tubes;Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ、USA)。血清を、迅速に試験するかまたは血清中第VII因子レベルに関する後の分析のために−70℃において保存した。
【0301】
FVIIを、市販のキット(Biophen FVII Kit(商標);Aniara Corp.、Mason、OH)を使用して、製造業者の指示書に従って、マイクロプレート規模で測定した。FVIIの減少を、未処置の対照動物に対して決定し、その結果を残留FVIIの%として表した。5種類の用量レベル(0.1、0.3、0.5、1.0および3.0mg/kg)を、代表として使用した。
【0302】
薬物動態学的および肝臓の分析
蛍光標識したsiRNA(Cy−3標識ルシフェラーゼsiRNA、Alnylam Pharmaceuticals)を使用して、LN−siRNA系のiv投与後の血漿および肝臓におけるsiRNA含有量を測定した。その測定は、タンパク質含有生物学的マトリックスからCy3−siRNAをまず抽出し、次いで、蛍光により、その抽出液中のCy−3標識の量を分析した。2種の抽出法、血漿試料に関してクロロホルム/メタノール混合物および組織試料には市販のフェノール/クロロホルム混合物(Trizol(登録商標)試薬)を使用した。
【0303】
血漿のために、血液をEDTA含有Vacutainerチューブに回収し、1000×gで10分間、4〜8℃において遠心分離し、その血漿を単離した。血漿をエッペンドルフチューブに移し、迅速にアッセイするか、または−30℃のフリーザーにおいて保存するかのいずれかであった。その血漿のアリコート(最大100μl)を、PBS(145mMのNaCl、10mMリン酸塩、pH7.5)を用いて500μLに希釈し、メタノール(1.05mL)およびクロロホルム(0.5mL)を加え、その試料をボルテックスにかけ、透明な単相の溶液を得た。その後、水(0.5mL)およびクロロホルム(0.5mL)を加え、得られたエマルジョンを、最低でも3分間、定期的に混合することによって維持した。その混合物を、3000rpmにおいて20分間遠心分離にかけ、そのCy−3−標識を含有する最上部の水相を新しい試験チューブに移した。その溶液の蛍光を、SLM蛍光光度計を、励起波長550nm(バンド幅2nm)および発光波長600nm(バンド幅16nm)で使用して測定した。標準曲線を、Cy−3−siRNA含有製剤(0から15μg/mL)を用いて処置していない動物由来の血漿のアリコートをスパイクすることによって作成し、試料を上記のように処理した。
【0304】
肝臓に関しては、生理食塩水灌流動物由来の組織の切片(400〜500mg)を、正確に重量を量り、Fastprepチューブを使用して、1mLのTrizol中で均質化した。ホモジネート(典型的には、50mgの組織と同等物)のアリコートをエッペンドルフチューブに移し、さらなるTrizolを加え、最終的に1mLにした。クロロホルム(0.2mL)を加え、その溶液を混合し、2〜3分間インキュベートし、その後、12,000×gにおいて15分間遠心分離した。最上部のCy−3含有水性相のアリコート(0.5mL)を、0.5mLのPBSで希釈し、その試料の蛍光を上記のように測定した。
【0305】
血清中のFVIIタンパク質の測定
血清第VII因子レベルを、比色分析用Biophen VIIアッセイキット(Anaira、USA)を使用して決定した。簡潔に言うと、段階希釈し、プールした対照血清(200%〜3.125%)および処置動物由来の適切に希釈した血漿試料を、Biophen VIIキットを使用して、その製造業者の指示書に従って、96ウェルの平底非結合ポリスチレンアッセイプレート(Corning、Corning、NY)において分析し、吸光度を405nmにおいて測定した。較正曲線を、段階希釈対照血清を使用して作成し、処置動物由来の血清中第VII因子レベルを決定するために使用した。
【0306】
認容性の決定
空のDLin−K−C2−DMA脂質粒子(DLin−K−C2−DMA/DSPC/Chol/PEG−C−DOMG(40/10/40/10))認容性を、重量変化のモニタリング、ケージの傍での観察(cageside obsevation)、臨床化学および場合によっては、雌のSprague Dawleyラットおよび雌のC57BL/6マウスにおける血液学によって評価した。動物の体重を、処置前および様々な投与量による静脈内処置24時間後に記録した。データは、体重の変化%で記録した。体重測定に加えて、肝機能マーカーを含む臨床化学パネルを、FVII分析のために回収した血清のアリコートを使用して、注入24時間後に各用量レベルにおいて得た。試料を、分析のためにCentral Laboratory for Veterinarians(Langley、BC)に送った。場合によっては、追加の動物を処置群に含め、血液学的分析のために全血を回収させた。
【0307】
TNSを使用するpK
aのin situの決定
in situのpK
aの測定を、pH感受性蛍光プローブTNSを使用して、Bailey, A.L. およびCullis, P. R.、Biochemistry 33巻:12573〜12580頁(1994年)においてすでに公開された取り組みの改良を使用して実施した。
【0308】
結果
初期研究を、8から10週齢の、雌のC57BL/6マウスにおいて、2段階で実施した。第1の段階において、その基準(benchmark)脂質DLinDMAに関連する活性を、DLinDMAの改良型に関連する活性と比較した。この段階は、DLinDMAと比較して増加した活性を有するDLin−K−DMAの同定をもたらした。したがって、第2の段階において、DLinDMAの改良型の活性を、DLin−K−DMAの活性と比較した。用量反応曲線を使用して、各製剤に関するED
50を推定し、ED
50は、血清FVIIタンパク質の濃度を50%減少させるために必要なsiRNAの用量として定義され、DLinDMA基準製剤に関して約1.0mg/kgである。活性の乏しい製剤に関するED
50は、例えば、12〜25mg/kgの範囲で表し、血清FVIIタンパク質レベルの50%の減少が、これらのsiRNA用量の間で起こることを示す。製剤が優れた活性(ED
50<2mg/kg)を示した場合、そのときその用量反応をより狭い用量範囲にわたって繰り返し、より大きな比較精度でDLinDMAと付き合わせた。
【0309】
スクリーニング1a:DLinDMAに対する頭部基の改変およびin vivoのFVII活性
この研究の目的のために、DLinDMAを、頭部基、リンカーおよび炭化水素鎖を含む個別に改変された、3つの主要な構造ドメインに分けた。ジメチルアミノプロパン頭部基は親水性であり、見かけのpK
a(in situ)がpH6.4である第3級アミン機能を含有する。その結果、DLinDMAは、pH4において大部分が完全に荷電しており、このpHにおいてLN−siRNA系はsiRNAとの静電相互作用を介して形成される。pH7.4において、約5から10%のDLinDMA分子が荷電するが、したがって、循環においてこれらのナノ粒子の表面におけるカチオン電荷密度は、比較的低い。対照的に、エンドソームのpH(約pH5)において、その表面電荷密度は顕著に増加し、アニオン性リン脂質とのイオン対の形成を促進し、エンドソーム膜を破壊することが期待される(Hafez, I. M.およびCullis, P. R.、Adv. Drug Deliv. Rev. 4巻:139〜148頁(2001年)ならびにXu, Y.およびSzoka, F.C.、Biochemistry 35巻:5616〜5623頁(1996年))。
【0310】
DLinDMAに実施された頭部基の改変を表3に示し、最初の3つは、正電荷の特性を改変するために設計された。DLinTMAは、第4級アミノ基を含有し、永久的に荷電しており(permanently charged)、活性の減少を示し、ED
50は2〜5mg/kgの間であると推定される。活性の同様の低下が、ジメチルアミン機能をピペラジン部分と置き換えた場合(DLinMPZ、ED
50が2〜5mg/kg)に観察され、モルホリノ基と置換した場合(DLinMA、ED
50が12〜25mg/kg)に、より顕著に減少した。
【0311】
表3に示した残り2つの改良を実施するための1つの理論的根拠は、類似の頭部基構造を有するが、in vivoの代謝比率が異なる2種の脂質の活性を比較することであった。脂質分解は、本明細書でスクリーニングした脂質のいずれに関してもin vivoでは測定されなかったが、エトキシ基(DLin−EG−DMA)が、エステル基(DLinDAC)よりも酵素切断に対してより抵抗性であることが期待され(Martin, B.ら、Curr. Pharm. Des 11巻:375〜394頁(2005年))、それにもかかわらず、両方の脂質は類似の活性を示した。
【0312】
【表3】
スクリーニング1b:DLinDMAに対するリンカーの改変およびin vivoのFVII活性
DLinDMAは、2つのエトキシ結合を介してジメチルアミノプロパン頭部基に結合する2つの不飽和炭化水素鎖を有する。二重層構造において、そのリンカー領域は、その膜界面、その疎水性膜のコアおよび親水性頭部基表面の間の転移領域に存在する。DLinDMAのリンカーの改変に対する取り組みは、様々な比率の化学的または酵素的安定性を示すことが期待されるリンカー基の導入および親水性範囲のスパニングであった。エトキシ部分は、in vivoの他の型の化学結合の大部分より、分解に対してより抵抗性であると考えられ、このことが、これらの脂質が、例えば、エステル結合を有するカチオン性脂質ほど抵抗性でないことが発見されている理由と思われる(Martin,B.ら、Curr.Pharm.Des 11巻:375〜394頁(2005年))。表4に示したものを含む、様々なこれらの合理的に設計された脂質を作製し、特徴付け、試験した。
【0313】
【表4】
表4に載せた第1の改変はDLinDAPであり、DLinDMAのエステルをエトキシリンカーに置き換えてある。注目すべきことには、第VII因子siRNAを含み、DLinDAPを含有する核酸脂質粒子は、DLinDMAと非常によく似たその構造にもかかわらず、DLinDMAを含有する核酸−脂質粒子と比較してin vivo活性において顕著な減少を示した(ED
5012〜25mg/kg)。さらにDLin−2−DMAPに基づく核酸−脂質粒子、1つのエトキシ結合と1つのエステル結合を有する脂質は、DLinDAP−に基づく核酸−脂質粒子およびDLinDMA−に基づく核酸−脂質粒子の中間に位置する活性をもたらした。カルバメート(DLin−C−DAP)またはチオエーテル(DLin−S−DMA)結合を含有する脂質に基づく核酸−脂質粒子もまた、in vivoでの活性の劇的な減少をもたらした。
【0314】
最後の改変は、上記脂質分子に興味深い構造変化を導入する、ケタール環リンカーの挿入であった。第1に、そのケタールはエトキシリンカーより酸に不安定であることが公知であり(Martin, B.ら、Curr. Pharm. Des 11巻:375〜394頁(2005年))、エンドサイトーシス経路においてその半減期を減少させることがある。第2に、炭化水素鎖は、次に1個の炭素を介してそのリンカー基に結合する。興味深いことに、ケタール環リンカーのDLinDMAへの導入により、血清FVIIタンパク質レベルの減少において、DLinDMA基準と比較して約2.5倍より強力な核酸−脂質粒子がもたらされ、ED
50(すなわち、50%遺伝子サイレンシングを達成する用量)は、それぞれ約0.4mg/kg対1mg/kgである(
図2)。
【0315】
スクリーニング1c:DLinDMA炭化水素鎖の不飽和の減少、種々の改変およびin vivoのFVII活性
DLinDMAと比較した改変を含有する様々な他のカチオン性脂質を、第VII因子ノックダウン系において試験した。例えば、炭化水素鎖の不飽和が増えることにより、脂質分子が、非二重層の反転相をとる傾向があることは公知である(Cullis, P. R.ら、Chem. Phys. Lipids 40巻:127〜144頁(1986年))。これらの非二重層の相の形成は、エンドソームの崩壊およびsiRNAの細胞質への放出およびin vitroのSNALP活性もまた、不飽和が増えることにより増加するという観察と関係が有るという仮説を考慮すると(Heyes, J.ら、J. Control Release 107巻:276〜287頁(2005年))、2つのC18:2鎖を含有するDLinDMAを2つのC18:1鎖を有するDODMAによって置き換えた場合、in vivoでLN−siRNA効力に起こることを見ることは興味深かった。これらのカチオン性脂質およびこれらの実験の結果を表5に示す。
【0316】
【表5】
表5に示すように、DODMAは、さらに不飽和が多いDLinDMAより活性が1/2から1/5と低くなり、エステル(DODAP)の代わりにエーテル結合で置換することで、活性が1/25よりも低くなった。
【0317】
カルバメートとC18:1鎖との結合(DO−C−DAP)は、試験した最大用量の10mg/kgにおいて、不活性な組み合わせであった。DMDAPを合成し、より短いC14:1炭化水素鎖は、増強した脂質を介してエステルと結合した脂質をその標的エンドソーム膜と混合可能にできるかどうかを決定したが(Mui, B.ら、Biochim. Biophys. Acta 1467巻:281〜292頁(2000年))、しかし、最大用量10mg/kgまでにFVIIモデルにおいてDMDAP−LN−siRNAに関して活性はまったく観察されなかった。その後者の脂質は、トランスフェクションに最も一般的に使用されるカチオン性脂質の1つであるので、永久的に荷電した、エステル結合脂質のDLinTAPおよびDOTAPが対象であった。しかし、LN−siRNAモデルにおいて、これらのエステル結合脂質はどちらも、活性の兆候はまったく示さなかった(ED
50>25mg/kg)。その最後の脂質は、DLinDMAに対して基の(radical)構造変化を表し、そのジメチルプロパン頭部基は反転し、その炭化水素鎖はアミノ窒素に直接結合し、ジヒドロキシ頭部基が残っていたが、DLinAPは、ED
50が5〜12mg/kgの範囲内である低い活性を示した。
【0318】
要約すれば、DLinDMAに対する改変の増加は、同じin vivoモデルおよびLN−siRNAの処方においてつきあわせて(head−to−head)試験した場合、DLin−K−DMAを、DLinDMAより顕著に効力のあるカチオン性脂質として特定することに成功した。
【0319】
スクリーニング2a:DLin−K−DMAに対する頭部基の改変およびin vivoのFVII活性
上記脂質設計を導く作業仮説の機序における正電荷の重要性を考慮すると、アミンに基づく頭部基における構造変化の効果を、新規な基準脂質としてのDLin−K−DMAに関連して調査した。一連の頭部基の改変を実施し、特徴付け、試験し、サイズ選定の効果(the effect of size)、酸の解離定数およびイオン化できる基の数を調査した(表6)。
【0320】
【表6】
a 5mg/kgにおいて活性が観察されず、次の15mg/kgの用量で致死
DLin−K−DMAは、そのケタール環構造の4位にキラル炭素を含有する。したがって、2種の、場合によって純粋な(+)および(−)のエナンチオマーを合成し、それらの活性をラセミ混合物のそれと比較した。全3種の製剤は、識別できない用量反応を示し、それぞれのED
50は約0.3mg/kgであった。
【0321】
表6に載せた最初の3種の改変は、スクリーニング1においてDLinDMAに適用され、イオン化可能な正電荷の特性を改良するためのピペラジノ(DLin−K−MPZ)およびモルホリノ(DLin−K−MA)アミノ部分の導入ならびに第3級ジメチルアミンの、DLin−K−TMAの永久的に荷電した第4級アミンへのさらなる転換であった。これらの改変はすべて活性を顕著に減少させたが、ED
50が約1.5であるDLin−K−MPZはDLinDMAとほぼ同じくらいの活性であったが、DLin−K−DMAのおよそ1/5の活性であり、DLinDMAに対する同じ改変は、同様の因子によりその活性を減少させたことに注目することは重要である。さらに、そのモルホリノアミン官能基は、DLinMAと同様に、試験した最大用量(15mg/kg)においてDLin−K−MAを不活性にさせ、12〜25mg/kgのED
50を有する。別の観察で注目すべきは、DLin−K−TMA(永久正電荷)は毒性であるということである。5mg/kgにおいて活性はまったく観察されなかったが、動物は顕著に体重が減少し(データ非掲載)、次の15mg/kgの用量において生存しなかった。
【0322】
DLin−K
2−DMAと省略された改変は、2種のジメチルアミン部分の存在を表す。誤差の範囲内で、この脂質はより大きい頭部基にもかかわらず、DLin−K−DMAと同じ活性を有した。
【0323】
追加のパラメーターとして、そのジメチルアミノ基およびそのジオキソランリンカーの間の距離は、追加のメチレン基を導入することによって変動した。残りの3種の脂質は、構造において密接に関連しており、何が正電荷をそのジオキソラン環から遠ざけ、活性に影響をもたらしているのかを決定するために合成した。このパラメーターは、アミン頭部基のpK
aならびに脂質二重層の界面に対する電荷の提示の距離および柔軟性の両方に影響を与え得る。頭部基への追加の1個のメチレン基の挿入(DLin−K−C2−DMA)は、DLin−K−DMAと比較して効力の劇的な増加を生み出した。この脂質に関するED
50は約0.1mg/kgであり、FVIIモデルにおいてじかに比較した場合、DLin−K−DMAより4倍強力にし、DLinDMA基準より10倍強力にした(
図2A)。追加のメチレン基は活性を低下させ、DLin−K−C3−DMA(ED
50約0.6mg/kg)およびDLin−K−C4−DMA(ED
50>3mg/kg)の間に顕著な減少が起こった(
図2B)。
【0324】
スクリーニング2b:DLin−K−DMAの頭部基、リンカーおよび炭化水素鎖に対する改変ならびにin vivoのFVII活性
DLin−K−DMAに対して実施されたいくつかの追加の構造的改変を、表7に表す。そのシリーズの最初の3種により、in vivo活性のための炭化水素鎖の不飽和の重要性が確認された。約0.3から約1.0および約8.0mg/kgまでのED
50の漸進的減少が、それぞれ、DLin−K−DMA(C18:2)からDO−K−DMA(C18:1)およびDS−K−DMA(C18:0)までにおいて観察された。次の改変(DLin−K6−DMA)は、DLin−K−DMAの5員のケタール環が、活性を損なうことなく6員のジオキソラン環構造によって置換できることを実証した。表7に示した最終的な脂質は、より根本的な(radical)改良を表した。DLin−M−DMAはケタール環リンカーを有さないが、その炭化水素鎖は未だ1個の炭素に直接結合している。興味深いことに、この脂質は、比較的活性のままであり、ED
50は約0.7mg/kgであった。
【0325】
【表7】
マウスおよびラットにおける核酸−脂質製剤のin vivo活性の比較
様々なカチオン性脂質を含有する様々な核酸−脂質製剤の能力を、マウスおよびラットにおいてさらに探求した。個々の被検核酸−脂質製剤は、PEG−C−DOMGをPEG−脂質として使用して上記のように調製した。最初に試験した製剤(DLin−K−DMA、DLin−K−MPZ、DLin−K−C2−DMAまたはDLin−K−C4−DMAのどれかを含んだ)は、マウス(
図3)およびラット(
図4)の両方において残留FVIIレベルを減少させた。しかし、そのDLin−K−C2−DMA製剤は、マウスおよびラットの両方において、FVIIレベルを減少させる能力の著しい増強を示した。DLin−K−C2−DMA製剤の活性は、マウスにおいてDLin−K−DMA製剤よりおよそ2〜3倍大きく、ラットにおいてDLin−K−DMA製剤よりおよそ10〜20倍大きかった。DLin−K−DMA製剤またはDLin−K−C2−DMA製剤を使用する、マウスおよびラットにおけるFVIIの減少の比較を、
図5に示す。DLin−K−C4−DMAまたはDLin−K−MPZ(MPZ)をカチオン性脂質として有する製剤は、互いに、およびDLinDMA製剤と同様の活性を示した。
【0326】
DLin−K6−DMAをカチオン性脂質として有するリポソーム製剤を、DLin−K−C2−DMAおよびDLin−K−DMAに対する比較においてさらに試験した。
図6に示すように、DLin−K6−DMA製剤は、DLin−K−DMAと同様にマウスにおいてFVIIレベルを減少させた。
【0327】
カチオン性LN−siRNA製剤の薬物動態および肝臓蓄積
肝臓に送達されたsiRNAのレベルとFVIIの減少との間の相関を、表8に示したin vivo活性のスペクトルにわたって、LN−siRNA系の選択において、Cy−3標識siRNAをカプセル化することによって決定した。Cy−3の蛍光を、血漿および肝組織において注入0.5および3.0時間後に測定した。血漿データは、初期の時点で広範囲のクリアランス率を示したが、製剤の大部分に関しては、それらが高度に活性であろうがまたは低い活性を示そうが、注入したsiRNA用量の20〜50%が、0.5時間以内に肝臓に回収された。最も活性な製剤のDLinDMAおよびDLin−K−DMAは、0.5時間において肝臓中でそれぞれ50%および32%の比較的高いレベルのsiRNAを示した。すべての製剤は、肝臓において3時間後Cy−3レベルの低下を示し、これはおそらく代謝を反映したものである。この研究は、肝臓への全体的送達だけでは活性の差が説明されないことを示唆している。
【0328】
【表8】
DLin−K−C2−DMA含有LN−siRNA系の認容性
DLin−K−C2−DMAを含有するリポソーム製剤を投与したラットは、用量依存性の体重減少を示した。91mg/kgを投与したラットは、正常のように見え、正常な肝臓を有した。182mg/kgを投与したラットは、緩慢な動きおよび毛並みの悪さ(scruffy coat)を示した。それらの肝臓はわずかに青白く、3つの肝臓の1つはわずかな斑点形成を示した。364mg/kgを投与したラットのうち1匹は死亡し、それらは背中の湾曲(hunched)、緩慢な動き、斜視眼(quinting eye)、毛並みの悪さ、立毛、赤色/橙色の尿(uring)を示し、青白く、いくつか斑点形成された肝臓を有した。182mg/kg脂質という低濃度でも、ラットは、ALT/ASTの有意な増加を示した。
【0329】
91mg/kg(「5」mg/kg)を用いて処置したラットから得た肝臓の組織病理学的結果は正常であった。182mg/kg(「10」mg/kg)を用いて処置したラットの肝臓は、軽度から中程度の肝細胞壊死、小葉中心性壊死および肝細胞の空胞化を示した。364mg/kg(「20」mg/kg)を用いて処置した生存ラットの肝臓の1つは、中程度の肝細胞壊死、小葉中心性壊死を示し、他は、びまん性の、軽度から中程度の肝細胞壊死(小葉中心部領域に集中していなかった)で軽度の炎症を伴った。
【0330】
DLin−K−C2−DMAのリポソーム製剤を用いて処置したマウスもまた、用量依存性体重減少を示したが、死亡したマウスはいなかった。マウスはさらに、およそ1100mg/kgの脂質において、ALT−ASTが10倍を超える増加を示した。しかし、1300mg/kgを超えた場合の背中の湾曲、緩慢な動きおよび毛並みの悪さを除いて、マウスは明らかな臨床的兆候は示さなかった。
【0331】
ケタールリンカーの導入は、マウスにおいていかなる重大な毒性問題ももたらしたようではなく、実際、DLin−K−DMAを含有するLN系およびFVII siRNAのカプセル化は、マウスにおいて並外れて十分認容された。表9に提示したデータは、適切な用量範囲を決定するために設計された研究によるものであり、脂質およびsiRNAの極限の(extreme)単回用量を得た。測定した毒性基準は体重変化の%および肝臓酵素マーカーのALTおよびASTの血清中レベルであった。
【0332】
【表9】
セーライン対照と比較して、siRNA用量が10mg/kgまで、血液化学または体重において変化はまったく観察されず、10mg/kgは、この製剤に関してED
50用量より30倍を超えて多かった。
【0333】
大量のsiRNA用量である46mg/kg(ED
50より150倍多い)を投与し、その後、顕著な毒性の兆候を測定した。このsiRNA用量は、siRNA対脂質比が0.06(wt/wt)の場合、総脂質用量750mg/kgに換算された。これらのレベルにおいてさえ、血清ALTおよびASTにおける増加は比較的少なく(正常値の10倍より少ない)、siRNA用量が61mg/kgを超えるまで、激しい(>10倍)増加が観察されることはない。試験した最大用量は92mgのsiRNA/kgであり、1500mg総脂質/kgと同等であった。動物は6%体重が減少したが、試験したいずれの用量においても死亡は起こらなかった。
【0334】
核酸−脂質粒子の特徴付け
選択した核酸−脂質製剤の特徴を、表10に要約し、ここで、C2は、カチオン性脂質がDLin−K−C2−DMAであることを示し、C4は、カチオン性脂質がDLin−K−C4−DMAであることを示し、MPZは、カチオン性脂質がDLin−K−MPZであることを示す。以下に記載の個々の製剤は、PEG−脂質としてPEG−C−DOMGを含有した。
【0335】
【表10】
LN−siRNA製剤における、in situで測定した主要なカチオン性脂質の見かけのpK
a
脂質設計の根底にある2つの重要なパラメーターは、プロトン化した場合のイオン化可能なカチオン性脂質のpK
aおよびアニオン性脂質と混合した場合、非二重層(六方晶H
II)相構造を誘導するこれらの脂質の能力である。イオン化可能なカチオン性脂質のpK
aは、様々なpH条件下でLNP上の表面電荷を決定する。生理的pHにおける荷電状態(例えば、循環中)は、血漿タンパク質の吸着、血液クリアランスおよび組織分配挙動に影響を与えることができ(Semple, S. Cら、Adv. Drug Deliv Rev 32巻:3〜17頁(1998年))、一方酸性pHにおける荷電状態(例えば、エンドソーム内)は、内因性アニオン性脂質と結合して、エンドソーム溶解性非二重層構造を形成するLNPの能力に影響を与え得る(Hafez, I. M.ら、Gene Ther 8巻:1188〜1196頁(2001年))。その結果として、アニオン性脂質との混合物中にH
II 相構造を誘導するこれらの脂質の能力は、それらの二重層不安定化能力および相対的エンドソーム溶解性潜在力の尺度である。
【0336】
疎水性環境において蛍光の増加を示す、蛍光性プローブの2−(p−トルイジノ)−6−ナフタレンスルホン酸(TNS)を使用し、脂質二重層の表面電荷を評価できる。その後、pHに応じて表面電荷の滴定を使用して、構成脂質の見かけのpK
a(これ以降pK
aと称される)を決定できる(Cullis, P. R.ら、 Chem Phys Lipids 40巻:127〜144頁(1986年))。この取り組みを使用して、様々なカチオン性脂質を含有する核酸−脂質粒子についてのpK
a値を決定し、表11に要約する。特定のイオン化可能なカチオン性脂質のプロトン化型の、アニオン性脂質中にH
II相構造を誘導する相対的能力を、等モル混合物中で、ジステアロイルホスファチジルセリン(DSPS)をpH4.8において用いて、
31P NMR(Cullis, P.R.およびde Kruijff, B.、Biochim Biophys Acta 513巻:31〜42頁(1978年))および示差走査熱量測定(DSC)分析(Expand, R.M.ら、Biochemistry 28巻:9398〜9402頁(1989年))を使用して、二重層と六方晶H
IIの転移温度(T
BH)を測定することによって確定した。両方の技術により同様の結果が得られた。
【0337】
表11に提示したデータは、高度に活性な脂質DLin−K−C2−DMAが、siRNA送達系における使用に理論的に好ましいpK
a値およびT
BH値を有することを示す。6.4のpK
aは、DLin−KC2−DMAに基づくLNPが、循環中で限られた表面電荷を有するが、エンドソーム中で正に荷電するようになることを示す。さらに、DLin−K−C2−DMAに関するT
BHは、DLinDMAに関するT
BHより7℃低く、この脂質が、二重層不安定化能力を改善したことを示唆する。しかし、そのデータは、pK
aおよびT
BHが、LNP中に使用した脂質のin vivo活性を完全に説明するわけではないことを、さらに実証している。例えば、DLin−K−C3−DMAおよびDLin−K−C4−DMAは、同一のpK
a値およびT
BH値を有するが、それにもかかわらず、DLin−KC4−DMAは、in vivoで1/5よりも低い活性である。さらに、非常によく似たpK
a値およびT
BH値を有する、DLin−K−C2−DMAおよびDLin−K−C4−DMAは、in vivo活性において30倍を超える差を示す。したがって、pK
aおよびT
BHの生物物理学的パラメーターは、脂質設計の指針として有用であるが、表11に提示した結果は、非常によく似たpK
a値およびT
BH値を有するものであっても、リード脂質の変異体を試験する戦略を支持する。
【0338】
【表11】
上記のように、40モル%のDLin−K−C2−DMAを含有するLN−siRNA系の効力は、単回i.v.ボーラスとしてマウスに投与された約100ピコモルのカプセル化siRNAが、FVIIタンパク質の血清中濃度を、注入24時間以内に50%ノックダウンするために十分であったほどにわずかであった。
【0339】
この研究において、表面電荷におけるどのような差もカチオン性脂質のpK
aに帰され得るように、脂質成分およびsiRNA対脂質の比を、すべての製剤において一定に保った。活性のスクリーニングに使用したsiRNA対脂質比は0.06wt/wtであり、このことは、正電荷が負電荷より過剰であったことを意味する。40モル%の一塩基性カチオン性脂質を含有する製剤の電荷中和は、およそ0.17wt/wtの比において起こる。その結果、1種のカチオン性脂質が、siRNA主鎖上の個々の負電荷とイオン対を形成すると仮定すれば、その後、およそ35%の合計カチオン性脂質が、ナノ粒子の内側でsiRNAと結合し、したがって、表面電荷に寄与することはできない。興味深いことに、40/10/40/10製剤において、約0.08(wt/wt)を超えてsiRNA対脂質比が増加すると、LN−siRNA系の効力が低下した(データ非掲載)。同様の反応が、脂質様(lipidoid)ナノ粒子を使用する、in vivoで送達されたsiRNAに関して報告されており(A. Akinc, M.ら、Mol. Ther.(2009年))、遊離のカチオン性脂質(脂質がsiRNAと結合していない)および/または注入された合計カチオン性脂質用量の重要性を反映すると思われる。
【0340】
最も特筆すべき観察の1つは、炭化水素鎖の不飽和の程度に活性が依存することであった。DLinDMAおよびDLin−K−DMAの両方に関して、二重結合の数が下がる毎に効力に顕著な低下があった。理論に縛られることを望むものではないが、エンドソーム膜に挿入された(活性な)合成カチオン性脂質および内因性アニオン性リン脂質(ホスファチジルセリンなど)はイオン対を形成することが提唱されている(Hafez, I. M.ら、Gene Ther. 8巻:1188〜1196頁(2001年)ならびにXu, Y.および Szoka, F. C、Biochemistry 35巻:5616〜5623頁(1996年))。得られた電荷の中和は、結合した頭部基の断面積を有効に減少させ、このことは、それらの固有の曲率半径における実質的低下と一致する。脂質多形を記載するために用いられた分子形状議論(molecular shape argument)を適用すると、このことは、カチオン性脂質およびアニオン性脂質が、それらが単離においてとる円筒状形状から、中性イオン対により形成されるコーン型形状へ進むことを意味する。円筒状の形状の脂質は二重層構造に適合性であり、一方コーン形状の脂質は二重層構造に適合性ではなく、(Cullis, P. R.ら、Chem Phys. Lipids 40巻:127〜144頁(1986年)ならびにHafez, I. M. およびCullis, P.R., Adv. Drug Deliv. Rev. 47巻139〜148頁(2001年))、コーン形状の脂質は脂質相の反転、例えば、二重層構造を破壊する六方晶H
II相を採用することが好ましい。結論として、エンドソーム膜が溶解し、siRNAの細胞質への接近が可能になり、細胞質においてRISCに結合してFVII mRNAを切断することができる。
【0341】
本明細書に記載された結果は、上に導入された形状のコンセプトに一致し、cisの二重結合を所与の鎖長に付加することは、末端メチル基によって掃きだされた断面積を増加させるので、したがってコーン様幾何図形的配置を促進する。アニオン性リン脂質と対合した場合、非二重層構造をとる傾向もまた、ケタール含有脂質ファミリーが非常に活性である理由の妥当な論理的根拠である。両方の炭化水素鎖は、1個の炭素を介してケタール環リンカーに結合し、その四面体結合角は、都合のよいコーン形状から離れて鎖を広げる傾向があると思われる。
【0342】
(実施例17)
DLIN−K−C2−DMAのSNALP製剤の効力および認容性
DLin−K−C2−DMAを含む核酸脂質粒子の効力(efficacy)および認容性を、siRNAのin vivo送達のために製剤化された、KC2−SNALPと呼ばれる核酸−脂質粒子に関連してさらに検証した。これらの粒子は、実施例16に記載されたPFV−調製核酸−脂質粒子とは異なる比率の脂質を含む。
【0343】
siRNAを、Jeffsらにより記載された、調節された段階希釈方法のプロセスを使用して、SNALP中にカプセル化した(Pharm Res 22巻:362〜372頁(2005年))。KC2−SNALPの脂質構成成分は、DLin−KC2−DMA(カチオン性脂質)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC;Avanti Polar Lipids、Alabaster、AL)、合成コレステロール(Sigma、St.Louis、MO)およびPEG−C−DMAであり、それぞれ57.1:7.1:34.3:1.4のモル比で使用した。負荷された粒子の形成後、SNALPをPBSに対して透析し、使用前に0.2μmのフィルターを通して濾過滅菌した。平均粒径は、75〜85nmであり、90〜95%のsiRNAを脂質粒子内にカプセル化した。in vivo試験のために使用した製剤中の最終的な脂質対siRNA比は、およそ6.5:1(wt:wt)であった。
【0344】
KC2−SNALP製剤は、マウスFVIIモデルにおいて、実施例16に記載のDLin−K−C2−DMA製剤と比較して著しい効力(potency)の改善を示した。測定したED
50は、実施例16に記載されたDLin−K−C2−DMA核酸−脂質製剤に関する約0.1mg/kgから、KC2−SNALP製剤に関する約0.02mg/kgまで低下した(
図8A)。KC2−SNALPが、ラットにおいても同様の効力を示すことがさらに見出された(データ非掲載)。
【0345】
効力に加えて、認容性は、ヒトの使用のための適切な核酸−脂質粒子送達系の別の重要な属性であり、それ故、KC2−SNALPの単回投与の認容性をラットにおいて研究した。有効な用量レベルに近い用量が、非常に認容性良好である(データ非掲載)ことを見出し、したがって、単回用量漸増(single−dose escalation)研究を、その製剤の観察されたED
50より約50倍高い用量(1mg/kg)から開始して実施した。標的のサイレンシングから得られる任意の毒性または薬理学的効果が存在しない下で製剤の毒性を理解するために、これらの実験を、実施例16に記載されたルシフェラーゼに対して向けられた非標的化対照siRNA配列を使用して実施した。臨床的兆候を毎日観察し、体重、血清化学および血液学的パラメーターを投与後72時間に測定した。表12に示すように、KC2−SNALPは、試験した(観察されたED
50用量と比較して)高用量レベルにおいて非常に認容性良好であり、主要な血清化学または血液学的パラメーターにおいて用量依存性の臨床的に有意な変化はなかった。
【0346】
【表12】
(実施例18)
霊長類におけるKC2−SNALPのIN VIVOの効力および認容性
実施例17に記載された研究において、げっ歯類において観察された有望な活性および安全性プロファイルを考慮して、非ヒト霊長類において研究を実施し、高等種においてDLin−KC2−DMA活性の換算を調査した。これらの研究のために、高度治療被験体の肝臓遺伝子であるトランスサイレチン(TTR)を標的とした。
【0347】
カニクイザルを、siRNA用量が0.03、0.1、0.3および1mg/kgで、KC2−SNALP−製剤化siTTRの単回の15分静脈内注入により処置した。対照動物には、PBSまたはKC2−SNALP製剤化ApoB siRNA1mg/kgの用量の単回の15分静脈内注入で与えた。すべてのsiRNAは、Alnylamにより合成され、エレクトロスプレー質量分析およびアニオン交換HPLCにより特徴付けた。FVII、ApoBおよび対照のsiRNAのセンスおよびアンチセンス鎖に関する配列が報告されている(Akinc, A.ら、Nat. Biotechnol 26巻:561〜569頁(2008年))。TTR siRNAのセンスおよびアンチセンス鎖に関する配列は以下の通りであった:
【0348】
【化40】
2’−O−Me改変ヌクレオチドは小文字で示す。siRNAは、等モル量の相補性センスおよびアンチセンス鎖をアニーリングすることによって作製した。
【0349】
組織を投与後48時間で回収し、TTRの肝臓mRNAレベルを決定した。見かけのED
50の約0.3mg/kgにより明らかな用量反応が得られた(
図8B)。毒物学的分析は、試験した用量レベルにおいてこの処置が認容性良好であることを示し、処置に関連する変化は動物の外観または挙動に現れなかった。用量依存性の、主要な臨床化学または血液学的パラメーターにおいて臨床的に有意な変化は観察されなかった(表13)。
【0350】
【表13】
要約すれば、合理的設計の取り組みは、RNAi治療薬を送達する次世代のLNP系に使用するための新規な脂質の発見のために採用された。この取り組みを使用して、イオン化可能なカチオン性脂質の重要な構造−活性の考察を記載し、DLinDMA構造に基づく複数の脂質を設計し特徴付けた。最も実績のよかった(best performing)脂質(DLin−K−C2−DMA)のSNALP製剤はげっ歯類および非ヒト霊長類の両方において認容性良好であり、げっ歯類において0.01mg/kg程度の低いsiRNA用量におけるin vivo活性および非ヒト霊長類における治療的に重要な遺伝子(TTR)のサイレンシングを示した。注目すべきことに、そのTTRのサイレンシングは、この作業(ED
50約0.3mg/kg)において達成され、非ヒト霊長類におけるLNP−siRNA仲介サイレンシングの先の報告と比較して、活性の顕著な改善を表している。本発明者らの知る限りでは、この研究において観察された効力は、今日までに非ヒト霊長類において、RNAi治療薬に関して観察された効力の中で最も高いレベルを表しており、RNAiおよび送達技術の両方においてなされた、かなりの進歩を強調している。
【0351】
上記の様々な実施形態を組み合わせ、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書において参照した、および/または出願データシートに載せた、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物はすべて、それらの全体を参照により本発明に組み込む。様々な特許、出願および刊行物のコンセプトを採用し、さらなる実施形態を提供することが必要な場合、本実施形態の態様は改良してもよい。
【0352】
これらおよび他の変更は、上記の詳細な説明を考慮して本実施形態に対して実施可能である。一般に、下記の特許請求の範囲において、使用した用語は、本特許請求の範囲を、本明細書および本特許請求の範囲で開示した特定の実施形態に限定するものと解釈するべきではなく、権利を与えられるこのような特許請求の範囲の同等物の全範囲に加えて、実施形態のすべての可能性を含むと解釈するべきである。したがって、本特許請求の範囲は、本開示により限定されない。