特許 5777528 タイロッド

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】5777528

(24)【登録日】2015年7月17日

(45)【発行日】2015年9月9日

(54)【発明の名称】タイロッド

(51)【国際特許分類】

   B62D 7/08 20060101AFI20150820BHJP

   F16B 7/18 20060101ALI20150820BHJP

【ＦＩ】

   B62D7/08 Z

   F16B7/18 A

【請求項の数】17

【全頁数】15

(21)【出願番号】特願2011-553282(P2011-553282)

(86)(22)【出願日】2010年3月11日

(65)【公表番号】特表2012-520195(P2012-520195A)

(43)【公表日】2012年9月6日

(86)【国際出願番号】DE2010050009

(87)【国際公開番号】WO2010102617

(87)【国際公開日】20100916

【審査請求日】2013年2月12日

(31)【優先権主張番号】102009001535.3

(32)【優先日】2009年3月13日

(33)【優先権主張国】DE

【前置審査】

(73)【特許権者】

【識別番号】500045121

【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト

【氏名又は名称原語表記】ＺＦ ＦＲＩＥＤＲＩＣＨＳＨＡＦＥＮ ＡＧ

(74)【代理人】

【識別番号】100069556

【弁理士】

【氏名又は名称】江崎 光史

(74)【代理人】

【識別番号】100111486

【弁理士】

【氏名又は名称】鍛冶澤 實

(74)【代理人】

【識別番号】100173521

【弁理士】

【氏名又は名称】篠原 淳司

(74)【代理人】

【識別番号】100153419

【弁理士】

【氏名又は名称】清田 栄章

(72)【発明者】

【氏名】ルンプ シュテファン

(72)【発明者】

【氏名】ローゼンガルテン アンドレアス

(72)【発明者】

【氏名】ゾコリース ディルク

【審査官】 田々井 正吾

(56)【参考文献】

【文献】 特開２０００−１９９５０７（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０００−１９９５０６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 国際公開第２００８／０２７４７６（ＷＯ，Ａ１）

【文献】 特開２００７−２４５８４３（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００４−２３０９３７（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００１−３５４１５３（ＪＰ，Ａ）

【文献】 登録実用新案第３０２６５６４（ＪＰ，Ｕ）

【文献】 米国特許第０６１３１４９４（ＵＳ，Ａ）

【文献】 英国特許第０１１４６３１５（ＧＢ，Ｂ）

【文献】 独国特許出願公開第１９９００２６４（ＤＥ，Ａ１）

【文献】 米国特許第０６９０２３４２（ＵＳ，Ｂ１）

【文献】 米国特許第０４１９８１７４（ＵＳ，Ａ）

【文献】 独国実用新案第７７３２２５０（ＤＥ，Ｕ１）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｂ６２Ｄ ７／０８

Ｆ１６Ｂ ７／１８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

少なくとも片側に第１の回転方向に可動の内ネジ（１）を備えるチューブ（２）を有し、このチューブ内に、終端側からネジ付きスリーブ（３）がねじ込まれており、このネジ付きスリーブ（３）が、第１の回転方向とは反対に可動の内ネジ（４）を備え、この内ネジに、ボールジョイントケース（１７）のシャフト（５）がねじ込まれている、自動車用のタイロッドにおいて、
ネジ付きスリーブ（３）が、完全に、チューブ（２）の終端部分に収容されており、タイロッドの長さ調整後、ネジ付きスリーブ（３）にねじ込まれた、ボールジョイントケース（１７）のシャフト（５）に対するチューブ（２）の直接的な固定が、ボールジョイントケース（１７）とチューブ（２）の終端部分の開口との間でシャフト（５）上に配設されたかつチューブ（２）の終端部分の開口を閉鎖する輪郭付きナット（１１）によるネジ固定だけによって行なわれることを特徴とする自動車用のタイロッド。

【請求項2】

シャフト（５）をリング状に包囲する、チューブ（２）の終端部分の開口が、輪郭付きナット（１１）によって、直接又は閉鎖要素を介して閉鎖されていることを特徴とする請求項１に記載の自動車用のタイロッド。

【請求項3】

ネジ付きスリーブ（３）が、チューブ（２）の開口側に、連結用輪郭（６）を備えることを特徴とする請求項１又は２に記載の自動車用のタイロッド。

【請求項4】

ネジ付きスリーブ（３）の連結用輪郭（６）が、工具作用面又は工具係合面を構成することを特徴とする請求項３に記載の自動車用のタイロッド。

【請求項5】

ネジ付きスリーブ（３）の連結用輪郭（６）が、アダプタ（７）とネジ付きスリーブ（３）を互いに噛合い係合させるための輪郭であることを特徴とする請求項４に記載の自動車用のタイロッド。

【請求項6】

ネジ付きスリーブ（３）が、連結用輪郭（６）として、少なくとも１つのスリット状の切欠き（８）及び／又はネジ付きスリーブ（３）に形成された少なくとも１つのピン（９）及び／又は多角形輪郭（１０）を有する部分を備えることを特徴とする請求項４又は５に記載の自動車用のタイロッド。

【請求項7】

アダプタ（７）が、シャフト（５）とチューブ（２）間を軸方向に移動可能であり、ネジと係合していないことを特徴とする請求項５又は６に記載の自動車用のタイロッド。

【請求項8】

アダプタ（７）の外寸が、少なくとも部分的にチューブ（２）の内ネジ（１）の内径よりも小さく、アダプタ（７）の内寸が、その全長にわたって、シャフト（５）の外ネジの外径よりも大きいことを特徴とする請求項５〜７のいずれか１つに記載の自動車用のタイロッド。

【請求項9】

アダプタ（７）が、チューブ（２）の外ネジにねじ込まれたスリーブ（３１）と不動に結合されており、このスリーブが、その外周面に、工具装着面（３２）を備えることを特徴とする請求項５〜７のいずれか１つに記載の自動車用のタイロッド。

【請求項10】

アダプタもしくはチューブ（２）とシャフト（５）間の部品結合装置が、輪郭付きナット（１１）によって固定可能であることを特徴とする請求項５〜９のいずれか１つに記載の自動車用のタイロッド。

【請求項11】

輪郭付きナット（１１）が、セルフロック式であるか、固定要素を備えていることを特徴とする請求項１０に記載の自動車用のタイロッド。

【請求項12】

チューブ（２）の外周面に、工具装着面（１２）が形成されていることを特徴とする請求項１〜１１のいずれか１つに記載の自動車用のタイロッド。

【請求項13】

チューブ（２）の外周面に、タイロッドの長さ調整をするための、目盛を構成するマーキングが存在することを特徴とする請求項１〜１２のいずれか１つに記載の自動車用のタイロッド。

【請求項14】

ネジ付きスリーブ（３）の軸方向の移動距離を制限するために、チューブ（２）の内ネジが、限定された長さを備えることを特徴とする請求項１〜１３のいずれか１つに記載の自動車用のタイロッド。

【請求項15】

ネジ付きスリーブ（３）が、シャフト（５）が係合するロック要素（１３）を備え、このロック要素が、シャフト（５）の外周面に存在する溝（１４）内に、限定的に軸方向に移動可能に収容され、ネジ付きスリーブ（３）の内周面（１５）に形成された溝（１６）に挿入されていることを特徴とする請求項１〜１４のいずれか１つに記載の自動車用のタイロッド。

【請求項16】

溝（１４，１６）が、シャフト（５）の外周面もしくはネジ付きスリーブ（３）の内周面に沿って環状に形成されていることを特徴とする請求項１５に記載の自動車用のタイロッド。

【請求項17】

シャフト（５）とチューブ（２）が、ネジ付きスリーブ（３）の回転によって、チューブ（２）内を反対方向に移動され、ネジ付きスリーブ（３）の連結用輪郭（６）が、工具（１８）又はアダプタ（１７）を介してネジ付きスリーブ（３）の回転運動のために必要なトルクを導入するために使用されることを特徴とする、請求項１〜１６のいずれか１つに記載の構造ユニットを使用するための方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、請求項１の上位概念に記載のタイロッドに関する。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、自動車用のタイロッドの例で、少なくとも片側に第１の回転方向に可動の内ネジを備えたチューブを有し、このチューブ内に終端側からネジ付きスリーブがねじ込まれており、このネジ付きスリーブが、対応する外ネジを有する、構造ユニットが記載されている。このネジ付きスリーブに、ボールジョイントのシャフトがねじ込まれている。このため、シャフトは、第１の回転方向とは反対に可動の外ネジを有し、この外ネジが、ネジ付きスリーブの内ネジに対応する。チューブの開放した終端部から突出する、工具を装着するためのスパナ面を移動のために備えるネジ付きスリーブの移動によって、チューブとシャフトは、軸方向に互いに相対的に移動することができる。これは、ネジ付きスリーブの回転によってチューブとシャフトが互いに近づいたり、互いに離れたりすることを意味する。この状況は、反対方向に整向されたネジの推移によってもたらされる。この変位の可能性によって、構造ユニットは、長さ調整を受け、これは、特に、特許文献１に図示された自動車用のタイロッドの例の場合、車両の進行方向を調整するために重要である。しかしながら、特許文献１による解決策の場合、ネジ付きスリーブがチューブの開放した終端部から突出するとの欠点も示す。少なくともこの部分において、特に自動車で使用する場合には、構造ユニットが損傷を受けることによって又は構造ユニットの長さ調整時の不適切な取扱いのために、ネジ付きスリーブの自由端に腐食が生じるとの危険がある。従って、基本的に、この腐食が隣接する部品に拡大し、これにより、構造ユニットが全体的に気密性を失うか、できるだけ長期的に使用する可能性を失うとの危険もある。

【0003】

特許文献２には、前記タイロッドと同様に構成された構造ユニットが記載されている。この構造ユニットは、同様に、ネジ付きスリーブの調整を、このために存在するスパナ面を介して可能にするので、シャフトとチューブは、軸方向に互いに相対的に移動することができる。

【0004】

しかしながら、この解決策の場合には、チューブも、このチューブ内にねじ込まれたネジ付きスリーブも、それぞれ少なくとも１つの長手方向スリットを備え、この長手方向スリットが、特に自動車においてこの構造ユニットを使用する場合に、湿気もしくは汚れを、構造ユニットの内部に浸入させることが欠点である。この場合、浸入した異物によるネジ領域の高い負荷が、完全には排除することができず、潜在的に、構造ユニットの予定より早い磨耗もしくは予定より早い老化が生じる危険が、従って少なくとも機能が限定される危険がある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】独国特許出願公開第１９９ ００ ２６４号明細書

【特許文献2】独国実用新案第７７ ３２ ２５０号明細書

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

本発明の根底にある課題は、ネジ付きスリーブの回転を介したチューブとシャフト間の長さ調整を可能にし、構造ユニットを、湿気及び汚れが浸入しないように確実に保護する、間にネジ付きスリーブが配設されるチューブとシャフトを有する構造ユニットを提供することにある。更に、このような構造ユニットを使用するための方法と、この方法を実施するための少なくとも１つの適切な工具を提供することも含む。更に、前記構造ユニットのために提起された課題を満足する以外に、チューブ、シャフト及びその間に配設されるネジ付きスリーブ間の一定で確実に再現可能な締結を保証する、自動車用の、特にユーティリティ車用のタイロッドを提供することも含む。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明は、提起されたこの課題を、それぞれの独立請求項の特徴によって解決する。

【0008】

更なる形成は、それぞれの従属請求項に記載されている。

【0009】

少なくとも片側に第１の回転方向に可動の内ネジを備えたチューブを有し、このチューブ内に、終端側からネジ付きスリーブがねじ込まれており、このネジ付きスリーブが、第１の回転方向とは反対に可動の内ネジを備え、この内ネジに、シャフトがねじ込まれている、構造ユニットは、本発明によって、ネジ付きスリーブが、完全に、チューブの終端部分に収容されており、ネジ付きスリーブが、チューブの開口側に連結用輪郭を備えるように、発展させられた。

【0010】

チューブの終端部分にネジ付きスリーブを完全に収容することにより、簡単な手段によって、汚れが浸入しないように、従って腐食しないように、確実に保護された構造ユニットが得られる。ネジ付きスリーブに存在する連結用輪郭を介して、ネジ付きスリーブを介した、シャフトと関係したチューブの調整可能な長さ調整が可能である。チューブの開口側の付加的なシール措置を、本発明による構造ユニットに設けることができる。しかしながら、これは、必ずしも必要ない。それは、ネジ付きスリーブが、いずれにしても保護された状態でチューブ内に収容されているからである。

【0011】

本発明の第１の実施形態では、ネジ付きスリーブの連結用輪郭が、工具作用面又は工具係合面を構成する。この簡単なやり方で、チューブの開口側から工具をネジ付きスリーブの連結用輪郭と連結し、チューブ内でネジ付きスリーブを回転させることが可能である。

【0012】

更に、ネジ付きスリーブの連結用輪郭が、アダプタとネジ付きスリーブを互いに噛合い係合させるための輪郭であることに、構造ユニット内でのネジ付きスリーブの回転を実現するとの有利な可能性がある。

【0013】

この場合、工具に依存した解決策の場合でも、アダプタによる構成の場合でも、工具及び／又はアダプタの構造ユニットへの長期的な固定を行なうことができる。しかしながら、構造ユニットの長さ調整を行なった後にアダプタ及び／又は工具を再び構造ユニットから分離するとの可能性もある。いずれにしても、それほどの労力をかけずに、本発明による構造ユニットの必要な又は所望の長さ調整を行なうことが可能である。

【0014】

ネジ付きスリーブの連結用輪郭の形成の多数の可能なバリエーションの内、ネジ付きスリーブが、連結用輪郭として、少なくとも１つのスリット状の切欠き及び／又はネジ付きスリーブに形成された少なくとも１つのピン及び／又は多角形輪郭を有する部分を備える場合が、特に有利であると分かった。選択した連結用輪郭に依存して、これに対応するように、ネジ付きスリーブをチューブ内で回転させ、これにより、本発明による構造ユニットの所望の長さ調整を行なうために、適当なアダプタもしくは相応に使用可能な工具を選択しなければならない。

【0015】

アダプタの特別な構成は、例えば、アダプタが、ネジに依存せずに、シャフトとチューブ間を移動可能である点にある。このようにして、アダプタは、例えば、構造ユニットの長さの調整が行なわれるネジ付きスリーブの対応する連結用輪郭に長期間装着することができる。更に、チューブ内及びチューブ外にアダプタを移動させるネジに依存した可能性により、アダプタを構造ユニットから完全に分離するとの、前段で既に述べた可能性がある。加えて、本発明による解決策の実施性にとって本質的に重要であるのは、しかしながら、アダプタが、互いに作用結合しているチューブのネジ付きスリーブのネジとシャフトのネジに依存せずに、使用できるとの状況である。

【0016】

本発明の前記形成の思想を発展させると、例えば、アダプタの外寸が、少なくとも部分的にチューブの内ネジの内径よりも小さく、アダプタの内寸が、その全長にわたって、シャフトの外ネジの外径よりも大きいことによって、アダプタが、シャフトとチューブ間を移動可能である。

【0017】

この特別なやり方で、アダプタは、往復移動することができ、アダプタが、このために、存在するネジに従うことはない。即ち、例えば、構造ユニットのチューブの横断面が円形の終端部を想定した場合、アダプタの外径は、少なくとも、本質的な部分で、チューブの内ネジの内径よりも小さい。ある部分へのアダプタの寸法の制限は、構造ユニットの調整距離は制限可能であるべきとの状況に基づく。逆に、アダプタの内径は、シャフトの外ネジの外径よりも大きい。しかしながら、この場合、アダプタの内径は、シャフトに対して距離に依存しない自由な移動を可能にするために、全長にわたって大きくなければならない。

【0018】

本発明の他の提案によれば、アダプタが、チューブの外ネジにねじ込まれたスリーブと不動に結合されており、このスリーブが、アダプタをスリーブを介して間接的に移動させ、これにより、回転運動をネジ付きスリーブに伝達するために、その外周面に、工具装着面を備える。しかしながら、構造を極僅かにしか使用しないこのバリエーションは、非常に簡単に取扱い可能であり、従って有利である。

【0019】

構造ユニットを必要な長さに調節した後、各部品をそれぞれの位置に互いに固定することが必要である。

【0020】

このため、従来技術では、異なった解決の可能性が考えられる。特に簡単な構成のバリエーションは、アダプタもしくはチューブとシャフト間の部品結合装置が、輪郭付きナットによって固定される点にある。この場合、この輪郭付きナットは、シャフトの外ネジに直接ねじ込むことができる。輪郭付きナットの使用は、別の利点を有する。これにより、同時に、シール作用を得ることができる。輪郭付きナットによって構造ユニットを固定することにより、チューブの開放した終端部が閉鎖されるので、これにより、簡単に、湿気及び汚れの浸入を防止することができる。

【0021】

これらの措置は、本発明の発展的な提案により、輪郭付きナットとして、セルフロック式の輪郭付きナットを使用する場合に、何倍にも高めることができる。セルフロック作用は、大抵は、ナットのネジ内の合成樹脂コーティングから成るので、このような輪郭付きナットによる固定により、付加的なシール作用を得ることができる。

【0022】

輪郭付きナットは、本発明の意味において、チューブの終端部を直接的又は間接的にシールするために役立つ。例えば、輪郭付きナットとチューブ終端部間にアダプタが設けられる場合に、間接的なシールが行なわれる。輪郭付きナットによる直接的なシールが行なわれる場合は、輪郭付きナットが、チューブの終端部の開口に直接当接する。

【0023】

この場で、本発明による解決策の別の非常に本質的な利点が分かる。有利なことに、ここで話題にしている構造ユニットは、従来技術の説明と関係して既に述べたように、例えば、特に自動車におけるタイロッドに使用するために適している。この場合、個々の部品を互いに固定するため、著しく力を使用してねじ止めされ、従って部品を互いに締め付けるように固定する、現在は外側からチューブの終端部に取り付けられるクランプが役立つ。弾性を高め、このような締付けを可能にするため、公知の解決策は、少なくとも１つのスリットを、チューブの終端部と、チューブから突出するネジ付きスリーブとに備える。しかしながら、冒頭で既に説明したように、まさにこられスリットにより、構造ユニットの内部への汚れ及び湿気の浸入をほとんど防ぐことができなくなる。この状況は、本発明による解決策によって考慮される。ネジ付きスリーブが完全にチューブの終端部内に収容されており、輪郭付きナットによる個々の部品の固定が行なわれるので、このやり方で、構造ユニットの部品が互いに締付け及び固定をされ、これにより、チューブの外周の付加的なクランプは、もはや必要ない。しかしながら、これにより、言及したスリットを回避することもできるが、これは、必要な部品の数を減少させる以外に、本発明による構造ユニットのための製造費用の低減も意味し、加えて、シール作用の明らかな改善も意味する。従って、シールは、全体的に簡素化され、構造ユニットの部品の固定と結び付けられた。

【0024】

ネジ付きスリーブの調整移動の間に半力をチューブに生じさせることができるように、本発明の別の提案は、チューブの外周面に、工具装着面が形成されている点にある。これは、最も簡単な場合では、スパナを装着するために役立つスパナ面である。

【0025】

構造ユニットの長さ調整は、通常手で行なわれるので、そのために委託されたユーザのためにチューブの外周面に目盛を設けることが有効である。これは、マーキングによって構成することができる。即ち、特に、チューブの外周面に、調整距離の大きさを明確にする複数のマーキングが形成される。従って、自動車用のタイロッドの例から離れなければ、例えば、両側を正確に同じ長さ値に調整することができる。

【0026】

本発明による構造ユニットの誤った操作によって、例えばネジ付きスリーブを奥にまでチューブ内にねじ込み、これにより、各部品が互いに分離することを防止するため、本発明の有効な形成では、ネジ付きスリーブの軸方向の移動距離を縮小するために、チューブの内ネジが、限定された長さを備える。この簡単な措置により、ネジ付きスリーブの奥までのネジ操作を回避することができる。遅くともチューブの内ネジの終端部において、ネジ付きスリーブは、ストッパ作用を受け、それ以上移動することができない。従って、ネジ付きスリーブの分離が回避可能である。更に、操作員は、生じた誤りに気付き、ネジ付きスリーブを再びチューブから回し外すことができる。

【0027】

更に、本発明の発展形では、ネジ付きスリーブが、シャフトが係合するロック要素を備え、このロック要素が、シャフトの外周面に存在する溝内に、限定的に軸方向に移動可能に収容され、ネジ付きスリーブの内周面に形成された溝に挿入されている。この場合、溝が、シャフトの外周面とネジ付きスリーブの内周面に沿って環状に形成されていると好ましい。

【0028】

即ち、このバリエーションは、特に簡単な製造の可能性である。従って、ネジ付きスリーブは、ロック要素と共に予め製造された構造ユニットとして製造することができる。組立は、全体的に簡素化されている。ロック要素は、軸方向の遊びなく、しかしながら自由空間をもって、半径方向にネジ付きスリーブの内周面の溝内に導入される。ロック要素を収容するための溝内の半径方向の遊びは、構造ユニットの組立にとって重要な、ロック要素自身の弾性の利用を可能にする。ロック要素のこの組立を簡素化するため、シャフトは、キノコの頭状の終端部分を備え、この終端部分の外部寸法は、ロック要素の係合用開口の内法の広さよりも大きい。構造ユニットを組み立てる時、シャフトは、その終端部分をロック要素の係合用開口に導入され、その結果、このロック要素は、ロック要素自身の弾性に基づいて、ネジ付きスリーブの溝内で半径方向に広がり、シャフトの終端部分を介して案内することができる。シャフトの終端部分を超えた後、ロック要素は、ロック要素は、ロック要素自身の弾性に基づいて収縮するので、ロック要素は、ほぼ、シャフト内の溝の外周面の周囲に相当する係合開口を備える。従って、ロック要素は、シャフトの溝内で溝の表面に直接当接する。シャフトの溝が、軸方向の調整距離を制限する２つの横の当接フランジを有するのは好ましい。この場合、これら当接フランジは、ロック要素のためのストッパとして役立つ。

【0029】

この解決策により、同様に、構造ユニットの個々の部品の望ましくない解離を、確実に確かに回避することができる。各部品の互いに相対的な、使用可能な限定的な軸方向の調整距離は、この構成により、簡単なやり方で決定されている。

【0030】

シャフトがロック要素に係合するとの状況に基づいて、ロック要素は、構造ユニット内に配設され得る。その結果、ロック要素は、機械的又は熱的もしくは化学的な影響を受けないように保護された状態で、構造ユニットの全寿命を超えて保証された確実な固定装置となっている。しかしながら、この解決策は、更に別の利点を備えるが、その利点は、例えば構造ユニットの不適切な調整移動の回避又は簡単な構造にある。

【0031】

本発明による構造ユニットの使用の可能性は、構造ユニットが、自動車のためのタイロッドの構成要素であり、シャフトが、終端側に、ボールジョイントケースを備える点にある。

【0032】

構造ユニットを使用するための本発明による方法は、シャフトとチューブが、ネジ付きスリーブの回転によって、チューブ内を反対方向に移動され、ネジ付きスリーブの連結用輪郭が、工具又はアダプタを介してネジ付きスリーブの回転運動のために必要なトルクを導入するために使用される点にある。アダプタ又は工具は、ネジ付きスリーブがチューブの終端部にねじ込まれているので、方法のためにいずれにしても必要になる。

【0033】

方法を使用するための第１の工具は、提案によれば、工具が、グリップと、シャフトの外ネジに取り付けるためのサイクロイド型の、例えば最大で半円形の、切欠きを有するスパナ面と、スパナ面から垂直に突出する、連結用輪郭に対して相補的な少なくとも１つのピンとを備えることを特徴とする。手で操作すべきこの工具は、輪郭付きナットを完全に取り外した後、サイクロイド型の切欠きによってシャフトの外ネジに取り付けられる。工具のスパナ面に存在する少なくとも１つのピンは、次いで、ネジ付きスリーブの連結用輪郭に係合する。しかしながら、導入される力の良好な調整を得るために、複数のピンを設けることが好ましい。工具を連結用輪郭に装着した後、工具は、シャフトのネジに支持されて、シャフトに存在するグリップによって回転させることができるので、工具は、ぴんと連結用輪郭を介してネジ付きスリーブを共に移動させる。

【0034】

更に、本発明のために適した工具を形成するために別の可能性がある。他の提案は、工具が、シャフトの外ネジに取り付けるための内側のサイクロイド型の、最大で半円形の、切欠きと、外部輪郭の工具装着面と、切欠きの周囲に対して垂直に突出する、連結用輪郭に対して相補的な少なくとも１つのピンとを備える点にある。従って、この工具は、手によって操作されるのではなく、サイクロイド型の切欠きによってシャフトの外ネジに取り付けられ、次いで、軸方向にシャフトに沿ってネジ付きスリーブの連結用輪郭に向かって移動され、これにより、工具に存在するピンと連結用輪郭が互いに係合する。これに続き、工具の外部輪郭に存在する工具装着面に、別の工具を装着され、これにより、ネジ付きスリーブを調整することができる。最も簡単な場合には、六角ナットを模して形成された工具装着面が設けられるので、スパナを工具の外周面に装着し、これにより、ネジ付きスリーブを調整するとの可能性がある。この解決策により、手によって操作すべき工具による場合よりも大きい力を伝達することができる。

【0035】

実施のバリエーションが前記構造ユニットと関係がある自動車用のタイロッドが保護されている。これは、少なくとも片側に第１の回転方向に可動の内ネジを備えるチューブを有し、このチューブ内に、終端側からネジ付きスリーブがねじ込まれており、このネジ付きスリーブが、第１の回転方向とは反対に可動の内ネジを備え、この内ネジに、ボールジョイントケースのシャフトがねじ込まれている、自動車用の、特にユーティリティ車用の、タイロッドである。この場合、ネジ付きスリーブが、完全に、チューブの終端部分に収容されており、ネジ付きスリーブにねじ込まれた、ボールジョイントケースのシャフトに対するチューブの固定が、輪郭付きナットによる軸方向の固定だけによって行なわれる。

【0036】

部品の軸方向の固定により、一連の利点が得られる。従来技術によるチューブ、ネジ付きスリーブ及びシャフトの固定は、ボールジョイントケースのシャフトの調整後、締付けネジによって締め付けられるクランプによってスリットの入ったチューブとスリットの入ったネジ付きスリーブを半径方向に圧縮することによって行なわれる。この場合、クランプは、組立状態で、スリットの入ったチューブ、スリットの入ったネジ付きスリーブ及びボールジョイントケースのシャフトを把持する。

【0037】

クランプを取り付けるために、チューブ終端部は、当初の直径から先細るように形成しなければならず、これは、追加費用となる。

【0038】

加えて、従来技術による構成の場合、量産に移す時に、部分的に、締付け作用に大きい違いが生じる。

【0039】

この違いは、特に、材料の厚さと、接合相手と接触している表面の粗さと、機能寸法のその他の変動因子とに偏差を有する誤差のあるクランプを使用することに、その根拠がある。締付け作用の別の違いは、量産においてその特性が変動することがある締付けネジに、その原因がある。更に、まさに締付けネジを何度も再締付けする場合、締付け力は、正確に同じ高さに再現可能でない。

【0040】

更に、締付け力の変動は、締付けネジの嵌め込み方によって生じることもある。試験により、ナットと締付けネジのネジボルトの同じトルクによる締付けが、異なった締付け力を生じさせることが分かった。

【0041】

全体として、チューブ、ネジ付きスリーブ及びシャフトの軸方向の固定によって、従来技術によりクランプを使用したときよりも一定で確実な締付け作用が得られた。これは、軸方向に固定する際に少ない部品もしくは接合相手しか協働せず、これにより、部品を結合する接合力への影響の可能性が低減されることに、本質的にその根拠がある。

【0042】

本発明を、以下で、添付図に基づいて詳細に説明する。示した実施例は、図示したバリエーションへの限定ではなく、本発明の原理の説明に使用されるに過ぎない。本発明の機能方式を説明することができるようにするために、各図では、著しく簡単にした原理表現だけが示されているが、これら表現では、発明にとって重要でない部品が省略されている。しかしながら、これは、このような部品が本発明による解決策において存在しないことを意味するものではない。

【図面の簡単な説明】

【0043】

【図1】本発明による構造ユニットの第１の実施バリエーションの断面図を示す。

【図2】単独の部品としてアダプタを斜視図で示す。

【図3】本発明による構造ユニットの第２のバリエーションを断面図で示す。

【図4】単独の部品として図３のバリエーションのために適したアダプタを斜視図で示す。

【図5】本発明による構造ユニットの別の実施バリエーションの断面図を示す。

【図6】図５の切断線ＶＩ−ＶＩによる断面図を示す。

【図7】本発明による構造ユニットのための第４の可能性を断面図で示す。

【図8】本発明による構造ユニットの別のバリエーションを断面図で示す。

【図9】図８の切断線ＩＸ−ＩＸによる断面図を示す。

【図10】単独の部品として第１の工具を斜視図で示す。

【図11】単独の部品として第２の工具を斜視図で示す。

【図12】シャフトの終端領域を通る部分的な断面図を示す。

【発明を実施するための形態】

【0044】

図１には、自動車用のタイロッドの終端部分の例で、第１の実施バリエーションの本発明による構造ユニットが断面図で概略的に示されている。構造ユニットは、第１の回転方向に可動の内ネジ１を備えたチューブ２を備え、このチューブ内に、終端側からネジ付きスリーブ３がねじ込まれている。ネジ付きスリーブ３自体は、第１の回転方向とは反対に可動の内ネジ４を有する。この内ネジ４内に、シャフト５がねじ込まれており、このシャフトの外側に位置する自由端は、ボールジョイントケース１７によって構成される。シャフト５は、ネジ付きスリーブ３を完全に貫通する。従って、図１の右側の部分に、更に、ネジ付きスリーブ３から突出するシャフト５の終端部分が確認可能である。チューブ２の開口に向いた側に、ネジ付きスリーブ３は、連結用輪郭６を有し、この連結用輪郭は、チューブ２とシャフト５間で行なわれる調整移動の方向に延在するスリット状のきり欠き８を備える。ネジ付きスリーブ３のスリット状の切欠き８に、アダプタ７のアーム２８が係合し、このアーム２８は、ネジ付きスリーブ３のスリット状の切欠き８内で、容易に可動で摺動するように移動可能である。従って、アダプタ７の構成要素であるアーム２８は、ネジ付きスリーブ３の連結用輪郭６に噛合い係合する。更に、アダプタ７の特徴は、アダプタが、全体的にシャフト５に沿ってネジに依存せずに移動可能であるような寸法で形成されている点にある。アダプタ７のフランジ状に形成された部分に、アダプタは、工具装着面２７を有するように形成されているので、アダプタは、構造ユニットの外側から、これに適した工具によって移動させることができる。この回転運動に対する反力を提供することができるように、チューブ２も、その外周面に工具装着面１２を有する。示した例で、工具装着面１２及び２７は、スパナを装着する可能性がそれぞれ得られるように形成されている。更に、構造ユニット全体は、輪郭付きナット１１によって固定されている。この場合、輪郭付きナット１１は、アダプタ７と協働して、一方で、構造ユニットを、特にチューブ２の開放した終端部を、汚れ及び湿気が浸入しないようにシールするとの課題を有する。更に、輪郭付きナットは、互いに相対的に移動可能な部品を、一度調整した位置に固定する。

【0045】

図２には、図１による構造ユニットで使用可能であるようなアダプタ７が示されている。このアダプタ７は、フランジ状に形成された部分に工具装着面２７を有する。更に、この面に対してほぼ垂直に２つのアーム２８が突出する。図２で確認可能なように、アダプタ７のアーム２８の内表面と貫通孔３４の直径は、平滑な表面を備えるので、アダプタ７は、シャフト５の外ネジ上を摺動する状態にある。

【0046】

図３には、その基本的構造が図１に図示した構造ユニットと同様のバリエーションが示されている。この場合、本質的な違いは、ネジ付きスリーブ３の連結用輪郭６とそのアダプタ７との結合部に見られる。ネジ付きスリーブ３は、チューブ２の開口の方向に向くようにピン９を備え、このピンは、アダプタ７のスリット３０に入り込む。アダプタ７のこのスリット３０は、アダプタ７の周面２９に入っている。図３に示したアダプタ７も、フランジ状の拡大部を有し、この拡大部の外周に工具装着面２７が形成されている。

【0047】

図３からよりも良好に、アダプタ７は、図４から読み取り可能である。これから、アダプタ７の構造が分かるが、このアダプタは、直径上で互いに向い合う２つのスリット３０を、形の横断面を有するそれ以外は閉じた周面として形成された周面２９内に備える。アダプタ７のフランジ状の部分には、既に述べた工具装着面２７が存在する。

【0048】

本発明による構造ユニットの別の形成は、図５に断面図で示されている。このバリエーションの特徴は、ネジ付きスリーブ３がチューブ２の終端部側に多角形輪郭１０を備える点にある。これに対応するように、アダプタ７も、その周面２９の内側に相補的な多角形輪郭を有する。この例の場合もチューブ２をシールするために役立つアダプタ７のフランジ状の拡大部は、同様に前記の工具装着面２７を有する。

【0049】

図５に示した実施形は、アダプタの使用以外に、ネジ付きスリーブ３の多角形輪郭１０に装着可能な特別なスパナ工具の使用も可能にする。但し、多角形輪郭１０と接触させるために、スパナ工具は、チューブ２の開放端に導入しなければならない。これは、ここに示したアダプタ７を用いずにすませるべき実施バリエーションのために考慮している。

【0050】

図５の切断線ＶＩ−ＶＩによる断面図が、図６に示されている。これから、更にまた個々の構造要素の係合が分かる。この場合、シャフト５に、ネジ付きスリーブ３が、その内ネジによってねじ込まれている。ネジ付きスリーブ３は、多角形輪郭１０を備える。多角形輪郭１０は、アダプタ７の対応する周面２９によって包囲されるので、アダプタ７の移動を意味する長手方向の移動は、多角形輪郭１０上で可能である。この移動の可能性は、この場合もネジに依存しない。アダプタ７のフランジ状の拡大部には、外表面に、工具装着面２７が存在する。

【0051】

本発明による構造ユニットの別の例は、図７から分かる。この場合、チューブ２内にねじ込まれたネジ付きスリーブ３は、チューブ２の終端部側に、スリット状の切欠き８を有する連結用輪郭６を有する。ネジ付きスリーブ３のこのスリット状の切欠き８に、摺動するようにアダプタ７のアーム２８が係合する。図７に示した解決策における特徴は、アダプタ７のフランジ３３として形成された部分が、チューブ２の外周面にねじ込まれたスリーブ３１と不動に結合されており、このため、チューブ２が、その外周面の一部分に沿って、スリーブ３１に対応するネジを備える点にある。フランジ３３とスリーブ３１間の結合は、母材の結合でもよいし、プレス嵌めによって行なってもよい。従って、チューブ２の外周でのスリーブ３１の調整を介して、アダプタ７、従ってネジ付きスリーブ３は、チューブ２の内部で調整することができる。各部品を互いに固定するため、ここでも、輪郭付きナット１１が役立ち、この輪郭付きナットは、更に、汚れが浸入しないように構造ユニットをシールする課題を有する。更に、スリーブ３１の外周面には工具装着面３２が存在する。

【0052】

図８には、断面図で、ネジ付きスリーブ３のチューブ２の開口側に多角形輪郭１０が形成された構成が示されている。この多角形輪郭１０と、アダプタ７の相補的に形成された内部輪郭が対応する。従って、アダプタ７は、調整移動中にネジ付きスリーブ３の多角形輪郭１０の長手方向の広がりに沿って摺動し、同様に回転運動をこの多角形輪郭１０を介して伝達する。アダプタ７は、この解決策のバリエーションでも、チューブ２の外周面にねじ込まれたスリーブ３１と不動に結合されたフランジ３３を備える。スリーブ３１とチューブ２は、更にまた、前記のように工具装着面１２及び３２を備える。各部品のシール及び固定をするため、シャフト５の外ネジ上の輪郭付きナット１１が役立つ。

【0053】

図８の切断線ＩＸ−ＩＸによる断面図が図９に示されている。これから、ネジ付きスリーブ３がシャフト５にねじ込まれ、その多角形輪郭１０が、アダプタ７の内周面の対応する輪郭と協働することが分かる。この場合、アダプタ７のフランジ３３は、スリーブ３１と不動に結合されている。

【0054】

図１０には、模範的に、本発明による構造ユニットの手による操作及び調整をするための工具が図示されている。全体を１８で示したこの工具は、スパナ面２０に移行するグリップ１９を有する。スパナ面２０は、中央に、サイクロイド型の、ここでは半円形の切欠き２１を備える。直角にスパナ面２０から突出するように、工具１８は、２つのピン２２を有し、これらピンは、ネジ付きスリーブの連結用輪郭と係合可能であるが、半円形の切欠き２１は、摺動するようにシャフトの外ネジに装着される。工具１８のグリップ１９は、手による操作のために役立つ。

【0055】

本発明による方法を使用するための別の工具が、図１１に示されている。二部材のこの工具２３は、各半体に、同様にサイクロイド型の、この場合は半円形の切欠き２４を備え、この切欠きは、前段で説明した例でのように、シャフト５のネジに装着され、ネジ上で摺動するように案内することができる。工具２３の外周面は、工具装着面２５を有し、この工具装着面は、ここでは全体的に六角ナットを模して形成されており、この六角ナットは、両工具半体がシャフト５に装着された場合に生じるので、スパナを工具に装着することができる。工具２３の表面から垂直に、２つのピン２６が突出し、これらピンは、ネジ付きスリーブ３の対応する連結用輪郭６に係合することができる。

【0056】

図１２には、模範的に、どのように調整距離の制限装置が本発明による構造ユニットに統合され得るかの可能性が図示されている。従って、しかしながらまた、各部品が不適切な取扱いによって互いに分離されることを防止する可能性も得られている。このため、シャフト５の終端部分が特別なやり方で形成されている。先ず、この終端部分は、キノコの頭状の外部輪郭を備える。キノコの頭状のこの拡大部は、シャフト５の溝１４を取り囲む。溝１４の表面に沿って、ここではリング状に形成されたロック要素１３が摺動する。従って、溝１４も、シャフト５のチューブ内側の終端部に環状に形成されている。ロック要素１３は、溝１４の向かい側で、ネジ付きスリーブ３の別の溝１６内に挿入されている。ここで、溝１６は、ロック要素１３が極僅かな軸方向の遊び、即ち構造ユニットの長手方向の遊びを備えるように形成されている。しかしながら、ロック要素１３は、溝１６内に十分な半径方向の遊びを有する。この半径方向の遊びは、最初に取り付けるときに限定的に弾性的に形成されたロック要素１３をシャフト５の終端部分のキノコの頭状の拡大部を超えるように移動するために必要であるので、シャフト終端部のキノコの頭状の拡大部を克服した後、ロック要素１３は、シャフト５の溝１４に嵌まり込む。その弾性に基づいて、ロック要素は、再び収縮する。溝１４は、シャフト終端部５において、軸方向の広がりをシャフト５の長手方向に備えるので、構造ユニット内でのネジ付きスリーブ３の必要な調整距離が保証されている。

【符号の説明】

【0057】

１ 内ネジ（チューブ）
２ チューブ
３ ネジ付きスリーブ
４ 内ネジ（ネジ付きスリーブ）
５ シャフト
６ 連結用輪郭
７ アダプタ
８ スリット状の切欠き
９ ピン
１０ 多角形輪郭
１１ 輪郭付きナット
１２ 工具装着面
１３ ロック要素
１４ 溝（ネジ付きスリーブ）
１５ 内周面
１６ 溝（ネジ付きスリーブ）
１７ ボールジョイントケース
１８ 工具
１９ グリップ
２０ スパナ面
２１ 半円形の切欠き
２２ ピン
２３ 工具
２４ 切欠き
２５ 工具装着面
２６ ピン
２７ 工具装着面
２８ アーム
２９ 周面
３０ スリット
３１ スリーブ
３２ 工具装着面
３３ フランジ
３４ 貫通孔

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】