(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、遠心圧縮機等の回転機械に用いられるインペラ81は、ディスク82、ブレード83及びカバー84によって構成されている。
このインペラ81におけるディスク82は、回転軸に外嵌される円筒部82aと、該円筒部82aの外周面における軸線O方向一方側(
図6における右側)の部分から径方向外側に張り出す環状円盤部82bとが一体成形されることで構成されている。上記ブレード83は、環状円盤部82bの軸線O方向他方側(
図6における左側)を向く面に周方向に間隔をあけて複数配置されており、これらブレード83を軸線O方向他方側から覆うようにしてカバー84が一体に取り付けられている。
【0003】
このようなインペラ81は、ディスク82の円筒部82aの内周面における軸線O方向他方側の部分が回転軸に焼き嵌めされることによって当該回転軸に一体に固定される。このように円筒部82aの内周面の一部のみが焼き嵌めされることによって、インペラ81の回転軸への取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。また、焼き嵌め箇所がインペラ81の重心から離間することになるため回転時の遠心力によりインペラ81が回転軸から外れてしまうことを回避できる。
【0004】
上記インペラ81の製造方法としては、ディスク82、ブレード83及びカバー84をそれぞれ別個に成形した後、これら部材を溶接にて一体化させる手法が知られているが、溶接ひずみや溶接不良等の問題が発生する場合がある。
これに対して、母材としてのインペラ材に加工工具90を用いた切削加工を施すことにより、ディスク82、ブレード83及びカバー84を一体成形する製造方法が提案されている。
【0005】
また、例えば特許文献1には、ブレード間の流路を形成した内周側部品と外周側部品とをこれらの流路が互いに接続されるように拡散接合することによってインペラを製造する方法が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
図7に示すインペラ81を一体成形する場合には、加工時間の短縮化を図るべくインペラ材におけるブレード83間の流路となる箇所に加工工具90が容易にアクセス可能であることが好ましい。ところが、
図6のインペラ81では、加工工具90がインペラ材におけるディスク82の円筒部82aやカバー84となる部分に干渉して所望の形状に加工することが困難であるため、加工に多くの時間と労力とがかかってしまい、製造コストの増加を招いてしまう。
【0008】
これに対して、流路への加工工具90のアクセス性を向上すべく、例えば
図8に示すように、ディスク82の円筒部82aを環状円盤部82bから軸線方向一方側に延びるように成形し、当該円筒部82aの内周面における軸線方向一方側の部分を焼き嵌め箇所とすることも考えられる。しかしながら、この場合、遠心力によって焼き嵌め箇所が浮き上がってしまうおそれがある。焼き嵌め箇所の浮き上がりが生じれば、インペラ81と回転軸とのすべりにより取り付け状態の変化が生じる。その結果、ロータ全体としての重心バランスが変化し、許容値を超える振動が発生するおそれがある。この対策としては、当該焼き嵌め箇所の径方向の厚みを遠心力に耐えられるだけ厚くすることが考えられるが、コストの上昇を招いてしまうため好ましくない。
【0009】
一方、特許文献1に記載のインペラは、内周側部品、外周側部品ともに加工工具のアクセス性は高いものの、これら内周側部品と外周側部品との両方に流路を形成する他、これらの流路が互いに連通するように拡散接合を施す必要があるため、製造コストの高騰を招いてしまうという問題がある。また、内周側部品、外周側部品を拡散接合のみによって両者を一体化させているため、継続して稼動させた場合には強度が低下し、高速回転時の遠心力により内周側部品から外周側部品が外れてしまうおそれがある。
【0010】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、製造コストを低く抑えることができるとともに遠心力に対して高い強度を有するインペラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提供している。
即ち、本発明に係るインペラは、内周側部品と外周側部品とからなるインペラであって、前記内周側部品は、軸線を中心とした円筒状をなしており、前記外周側部品は、前記内周側部品の外周面における前記軸線方向一方側に外嵌される環状円盤と、該環状円盤の前記軸線方向他方側を向く面に周方向に間隔をあけて複数設けられ、径方向に向かって延びる流路を形成するブレードと、前記複数のブレードを前記軸線方向他方側から覆い、前記内周側部品が径方向に間隔をあけて前記軸線方向に挿通する挿通孔を有するカバーと、が一体成形されてなり、前記内周側部品は、その外周側に径方向内側を向く第一当接面を有し、前記環状円盤は、その内周側に径方向外側を向く第二当接面を有し、前記内周側部品に前記外周側部品が外嵌される際に、前記第一当接面と前記第二当接面とが互いに当接
し、前記内周側部品は、その外周側に、径方向外側に向かって突出して周方向にわたって延在する第一フランジ部を有し、前記環状円盤は、その内周側に、径方向内側に向かって突出して周方向にわたって延在し、軸線方向から前記第一フランジ部に当接する第二フランジ部を有し、前記第一フランジ部における前記第二フランジ部と当接する面が、径方向外側に向かうに従って前記第二フランジ部側に向かって傾斜する前記第一当接面とされ、前記第二フランジ部における前記第一フランジ部と当接する面が、前記第一当接面と同様に傾斜する前記第二当接面とされていることを特徴とする。
【0012】
このような特徴のインペラでは、内周側部品は円筒状をなすため、切削加工によって容易に成形することができる。また、外周側部品においては、環状円盤の軸線方向他方側にブレードが設けられるとともにこれらブレードのさらに軸線方向他方側にカバーが設けられた構成のため、内周側部品に外嵌される前段階においてはブレード及び流路の径方向内側には何ら存在しない。したがって、ブレード及びこれらブレード間の形成された流路に対して加工工具を径方向内側から容易にアクセスすることができる。
そして、このような内周側部品に外周側部品の環状円盤を外嵌させることのみをもって、これら内周側部部品と環状円盤とによってディスクが構成され、当該ディスク、ブレード及びカバーを備えたインペラを得ることができる。
また、内周側部品に外周側部品が外嵌される際には、内周側部品における径方向内側を向く第一当接面と外周側部品における径方向外側を向く第二当接面が互いに当接するため、遠心力に対しての抗力を大きく得ることができる。
さらに、径方向内側を向く第一当接面と径方向外側を向く第二当接面とが互いに当接することで、径方向外側に向かって作用する遠心力に対しての抗力を確実に得ることができる。
【0013】
また、本発明に係るインペラにおいて、前記内周側部品は、その外周側に、径方向外側に向かって突出して周方向に間隔をあけて配置された複数の凸部を有し、前記環状円盤は、その内周側に、径方向外側に向かって凹み内周面に周方向に間隔をあけて配置されるとともに、それぞれ前記凸部に嵌合可能な複数の凹部を有し、前記凸部における周方向反対側を向く一対の面が、径方向外側に向かうに従って互いに離間するように傾斜する前記第一当接面とされ、前記凹部における周方向に対向する一対の面が、前記第一当接面と同様に傾斜する前記第二当接面とされていることを特徴とする。
【0014】
これにより、径方向外側に向かうに従って離間する一対の第一当接面に凹部における一対の第二当接面が当接することによって、即ち、径方向内側を向く第一当接面と径方向外側を向く第二当接面とが互いに当接することによって、遠心力に対しての抗力を確実に得ることができる。即ち、あり溝状の凹部に凸部が嵌合することになるため、径方向外側に向かって作用する遠心力に対しての抗力を確実に得ることができる。
【0017】
さらに、本発明に係るインペラは、内周側部品と外周側部品とからなるインペラであって、前記内周側部品は、軸線を中心とした円筒状をなしており、前記外周側部品は、前記内周側部品の外周面における前記軸線方向一方側に外嵌される環状円盤と、該環状円盤の前記軸線方向他方側を向く面に周方向に間隔をあけて複数設けられ、径方向に向かって延びる流路を形成するブレードと、前記複数のブレードを前記軸線方向他方側から覆い、前記内周側部品が径方向に間隔をあけて前記軸線方向に挿通する挿通孔を有するカバーと、が一体成形されてなり、前記内周側部品は、その外周側に径方向内側を向く第一当接面を有し、前記環状円盤は、その内周側に径方向外側を向く第二当接面を有し、前記内周側部品に前記外周側部品が外嵌される際に、前記第一当接面と前記第二当接面とが互いに当接し、前記内周側部品は、軸線を中心とした環状をなすように前記軸線方向に凹む環状凹部を有し、前記環状円盤は、前記環状凹部に対して前記軸線方向から嵌合可能な環状凸部を有し、前記環状凹部における径方向内側を向く面が、前記第一当接面とされ、前記環状凸部における径方向外側を向く面が、前記第二当接面とされていることを特徴とする。
【0018】
これによっても、上記同様、径方向内側を向く第一当接面と径方向外側を向く第二当接面とが互いに当接することで、径方向外側に向かって作用する遠心力に対しての抗力を確実に得ることができる。
【0019】
さらに、本発明に係るインペラは、前記内周側部品と前記環状円盤との間に圧入されたピン部材をさらに備えることが好ましい。
【0020】
これによって、内周側部品と外周側部品とが、例えば軸線方向に互いに外れてしまうことを回避することができる。
【0021】
また、本発明に係るインペラにおいて、前記内周側部品と前記環状円盤とを軸線方向に連結するボルト部材をさらに備えることが好ましい。
【0022】
これによっても、上記同様、内周側部品と外周側部品とが、例えば軸線方向に互いに外れてしまうことを回避することができ、これら内周側部品と外周側部品とを強固に固定一体化することができる。
【0023】
本発明に係るロータは、上記いずれかのインペラと、該インペラの前記内周側部品の内周面における軸線方向他方側の部分が外嵌される回転軸を備えることを特徴とする。
【0024】
これによって、内周側部品の内周面の一部のみを回転軸に外嵌することとしたため、インペラの回転軸への取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。
【0025】
また、本発明に係るロータは、前記内周側部品が焼き嵌めによって前記回転軸に外嵌されることを特徴とする。
これにより、ロータをより強固に回転軸に対して取り付けることができる。
【0026】
さらに、本発明に係るインペラの製造方法は、内周側部品と外周側部品とからなるインペラの製造方法であって、軸線を中心とした円筒状をなす前記内周側部品を成形する工程と、前記内周側部品の外周面における軸線方向一方側の部分に外嵌可能な環状円盤と、該環状円盤の軸線方向他方側を向く面に周方向に間隔をあけて複数設けられ、径方向に向かって延びる流路を形成するブレードと、該複数のブレードを軸線方向他方側から覆い、前記内周側部品が径方向に間隔をあけて前記軸線方向に挿通する挿通孔を有するカバーとを有する前記外周側部品を一体成形する工程と、前記内周側部品における径方向内側を向く第一当接面と前記外周側部品における径方向外側を向く第二当接面とを互いに当接させるように、前記内周側部品における軸線方向他方側の部分に前記環状円盤を外嵌させることにより、前記内周側部品と前記外周側部品とを固定一体化する工程と、を備え
、前記内周側部品は、その外周側に、径方向外側に向かって突出して周方向にわたって延在する第一フランジ部を有し、前記環状円盤は、その内周側に、径方向内側に向かって突出して周方向にわたって延在し、軸線方向から前記第一フランジ部に当接する第二フランジ部を有し、前記第一フランジ部における前記第二フランジ部と当接する面が、径方向外側に向かうに従って前記第二フランジ部側に向かって傾斜する前記第一当接面とされ、前記第二フランジ部における前記第一フランジ部と当接する面が、前記第一当接面と同様に傾斜する前記第二当接面とされていることを特徴とする。
また、本発明に係るインペラの製造方法は、内周側部品と外周側部品とからなるインペラの製造方法であって、軸線を中心とした円筒状をなす前記内周側部品を成形する工程と、前記内周側部品の外周面における軸線方向一方側の部分に外嵌可能な環状円盤と、該環状円盤の軸線方向他方側を向く面に周方向に間隔をあけて複数設けられ、径方向に向かって延びる流路を形成するブレードと、該複数のブレードを軸線方向他方側から覆い、前記内周側部品が径方向に間隔をあけて前記軸線方向に挿通する挿通孔を有するカバーとを有する前記外周側部品を一体成形する工程と、前記内周側部品における径方向内側を向く第一当接面と前記外周側部品における径方向外側を向く第二当接面とを互いに当接させるように、前記内周側部品における軸線方向他方側の部分に前記環状円盤を外嵌させることにより、前記内周側部品と前記外周側部品とを固定一体化する工程と、を備え、前記内周側部品は、軸線を中心とした環状をなすように前記軸線方向に凹む環状凹部を有し、前記環状円盤は、前記環状凹部に対して前記軸線方向から嵌合可能な環状凸部を有し、前記環状凹部における径方向内側を向く面が、前記第一当接面とされ、前記環状凸部における径方向外側を向く面が、前記第二当接面とされていることを特徴とする。
【0027】
このような特徴のインペラの製造方法では、内周側部品が単純な形状のため容易に成形することができ、さらに、外周側部品におけるブレード及び流路に対して加工工具を容易にアクセスすることができる。また、外周側部品を内周側部品に外嵌させることのみをもって容易にインペラを得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、それぞれ容易に一体成形することができる内周側部品及び外周側部品を互いに嵌合させることでインペラを構成することができるため、製造時間の短縮化を図ることができ、製造コストを低く抑えることが可能となる。また、内周側部品に外周側部品が外嵌される際には、第一当接面と第二当接面とが互いに当接するため、遠心力に対して高い強度を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の第一実施形態に係るインペラ10A及びこれを備えたロータ1について図面を参照して説明する。
ロータ1は例えば圧縮機やタービン等の回転機械に用いられるものであって、
図1に示すように、軸線O方向に延びる円柱状をなして該軸線O回りに回転可能とされた回転軸2の外周面3にインペラ10Aが一体に取り付けられることによって構成されている。このインペラ10Aは、軸線O方向に流通する流体を径方向外側へと向かって送り出すものである。
以下では、流体の下流側となる
図1における右側を軸線O方向一方側と称し、流体の上流側となる
図1の左側を軸線O方向他方側と称することとする。
【0031】
インペラ10Aは、内周側部品20と外周側部品30との2つの部材から構成されている。
内周側部品20は、軸線Oを中心とした略円筒状をなしており、該内周側部品20の外周面21は、小径部22、拡径部23及び大径部24とから構成されている。
【0032】
小径部22は、内周側部品20の外周面21における軸線O方向他方側の端部を含む部分である。該小径部22の軸線O方向一方側には、該軸線O方向一方側に向かうに従って漸次拡径する拡径部23が連続している。また、この拡径部23の軸線O方向一方側には、内周側部品20の外周面21における軸線O方向一方側の端部を含む部分であって小径部22よりも一回り大径をなす大径部24が連続している。
小径部22及び大径部24はそれぞれ軸線Oを中心とした円筒面状をなしており、拡径部23は軸線Oを中心とした略円錐面状をなしている。
【0033】
そして、上記大径部24には、詳しくは
図2に示すように、内周側部品20の外周側の部分に位置するようにして、径方向外側に向かって突出して周方向に一定の間隔をあけて配置された複数の凸部100が形成されている。この凸部100における径方向外側を向く面、即ち、凸部外周面101は、軸線Oを中心とした円筒面状をなしている。
【0034】
また、各凸部100における周方向反対側を向く一対の面、即ち、一の凸部外周面101に接続され互いに周方向の反対側を向く一対の面は、該凸部外周面101の両端から径方向内側に向かうに従って互いに漸次近接するように傾斜して大径部24に接続された第一当接面102とされている。
換言すれば、これら一対の第一当接面102は、大径部24から径方向外側に向かうに従って互いに漸次離間するように傾斜して、凸部外周面101の両端に接続されている。即ち、これら第一当接面102は、互いに周方向反対側を向き、かつ、径方向内側を向く面とされている。
【0035】
さらに、
図1に示すように、複数の凸部100における軸線O方向他方側の部分、即ち、拡径部23側の部分は、凸部外周面101から径方向外側に延出する延出部103が形成されている。この延出部103における径方向外側を向く面は、軸線Oを中心とした円筒面状をなす延出部外周面104とされている。そして、延出部103における該延出部外周面104と凸部外周面101との間に位置し、軸線O方向一方側を向く面は、延出部当接面105とされている。
【0036】
一方、内周側部品20の内周面25は、第一内周面26と第二内周面27とから構成されている。第一内周面26は、内周側部品20の内周面25における軸線O方向他方側の端部を含む部分、即ち、上記外周面21の小径部22に対応する部分であって、該第一内周面26の内径は、回転軸2の外周面3の外径よりも僅かに小さく設定されている。また、第二内周面27は、内周側部品20の内周面25における第一内周面26の軸線O方向一方側に連続し、該内周面25の軸線O方向一方側の端部を含む部分であって、回転軸2が挿通可能な内径に設定されている。
【0037】
外周側部品30は、一体成形された環状円盤31、ブレード40及びカバー50を有する部材である。
環状円盤31は、軸線Oを中心として形成された円盤状をなす部材であって、その中央には軸線O方向に貫通する嵌合孔32が形成されている。この嵌合孔32の内径は、上記内周側部品20の大径部24の外径と同一か僅かに小さい程度に形成されている。なお、嵌合孔32の軸線O方向の寸法は、上記内周側部品20の大径部24の軸線O方向の寸法と略同一とされている。
【0038】
そして、上記嵌合孔32には、詳しくは
図2に示すように、外周側部品30の内周側の部分に位置するようにして、径方向外側に向かって凹み周方向に一定の間隔をあけて配置された複数の凹部110が形成されている。これら凹部110はそれぞれ内周側部品20の凸部100に嵌合可能とされており、即ち、凹部110は凸部100と同数が形成され、該凸部100と一対一の関係で嵌合するようになっている。
【0039】
この凹部110における径方向内側を向く面、即ち、凹部内周面111は軸線Oを中心とした円筒面状をなしており、凸部外周面101と同一の曲率をなしている。この凹部内周面111は、凹部110に対して凸部100が嵌合した際に、周方向及び軸線O方向にわたって当接するようになっている。
【0040】
また、各凹部110における周方向に対抗する一対の面、即ち、一の凹部内周面111に接続された一対の面は、該凹部内周面111の両端から径方向内側に向かうに従って互いに漸次近接するように傾斜して嵌合孔32に接続された第二当接面112とされている。
換言すれば、これら一対の第二当接面112は、嵌合孔32から径方向外側に向かうに従って互いに漸次離間するように傾斜して、凹部内周面111の両端に接続されている。即ち、第二当接面112は、互いに周方向の反対側を向き、かつ、径方向内側を向く面とされている。
そして、これら第二当接面112は、凹部110に凸部100が嵌合した際に、その全域にわたって第一当接面102と当接可能とされており、即ち、第二当接面112は、第一当接面102と同様の傾斜角度で傾斜している。
【0041】
さらに、
図1に示すように、上記複数の凹部110における軸線O方向他方側の部分、即ち、拡径部23側の部分は、凹部内周面111から径方向外側に凹む溝部113が形成されている。この溝部113における径方向内側を向く面は、軸線Oを中心とした円筒面状をなす溝部内周面114とされている。そして、溝部113における該溝部内周面114と凹部内周面111との間に位置し、軸線O方向他方側を向く面は溝部当接面115とされている。
【0042】
このような溝部113は、凹部110に凸部100が嵌合した際に、該凸部100に形成された延出部103が該溝部113に嵌合可能な構成とされている。この際、溝部113の溝部内周面114に延出部103の延出部外周面104が当接する。さらに、溝部113の溝部当接面115に、延出部103の延出部当接面105が軸線O方向から当接する。
【0043】
また、環状円盤31における軸線O方向他方側を向く面は、径方向内側から外側に向かうに従って軸線O方向一方側に緩やかに後退する湾曲面33とされている。
【0044】
ブレード40は、上記環状円盤31の湾曲面33から軸線O方向他方側に立ち上がるようにして複数が設けられている。各ブレード40は、環状円盤31の径方向全域にわたるように延在しており、具体的には、径方向内側から外側に向かうにしたがって周方向一方向に湾曲するように延在している。このようなブレード40は、周方向に間隔をあけて複数が設けられていおり、互いに周方向に隣り合うブレード40の間の空間が、流体が流通する流路Rとされている。
【0045】
カバー50は、上記複数のブレード40を軸線O方向他方側から覆うようにこれらブレード40と一体に設けられた部材である。このカバー50は、軸線Oを中心として形成された円盤状をなして中央に軸線O方向に貫通する挿通孔53が形成されたカバー本体51と、該カバー本体51の径方向内側から上記挿通孔53を軸線O方向一方側に延在させるようにして当該軸線O方向一方側に円筒状に立ち上がる縁部52とを有している。挿通孔53の内径は、内周側部品20の外周面3の外径よりも大きく形成されている。
【0046】
このような環状円盤31、ブレード40及びカバー50からなる外周側部品30においては、上記ブレード40の径方向内側の端部及びこれらブレード40間に形成された流路Rの径方向内側の端部のさらに径方向内側には、他の構成要素が存在しない。したがって、これらブレード40及び流路Rは、それぞれ軸線Oを臨んだ状態とされている。
【0047】
そして、上述した内周側部品20に外周側部品30が外嵌され、これら内周側部品20及び外周側部品30が互いに嵌合することによってインペラ10Aが構成されている。具体的には、内周側部品20と凸部100と外周側部品30の凹部110とが嵌合し、この際、凸部外周面101と凹部内周面111とが当接するとともに第一当接面102と第二当接面112とが互いに当接する。さらに、内周側部品20の延出部103が溝部113と嵌合し、これによって、延出部外周面104と溝部内周面114とが当接するとともに、延出部当接面105と溝部当接面115とが当接する。
【0048】
このように内周側部品20と外周側部品30とが嵌合することによって、内周側部品20と外周側部品30の環状円盤31とが固定一体化されてインペラ10Aにおけるディスク61が形成されている。また、内周側部品20の外周面21の小径部22及び拡径部23と外周側部品30のカバー50における挿通孔53との間には、ブレード40間の流路Rに流体を導くための導入部62が画成されている。
【0049】
また、インペラ10Aは、内周側部品20の内周面25における第一内周面26が回転軸2の外周面3に外嵌されている。特に本実施形態では、当該第一内周面26が回転軸2の外周面3に焼き嵌めされることによって、内周側部品20を有するインペラ10Aと回転軸2とが強固に固定一体化されてロータ1が構成されている。
【0050】
そして、本実施形態においては、内周側部品20と外周側部品30との嵌合をより強固なものとすべく、これらの間に複数のピン部材120が設けられている。即ち、内周側部品20の各凸部外周面101と外周側部品30の各凹部内周面111との間のそれぞれには、これら凸部外周面101及び凹部内周面111から凹むようにして画成されて軸線O方向一方側に開口するピン挿入孔121が形成されている。このピン挿入孔121は軸線Oに直交する断面形状が例えば円形とされている。
【0051】
そして、このピン挿入孔121に、軸線O方向に延びる断面円形の棒状をなすピン部材120が軸線O方向一方側から圧入されている。即ち、このピン部材120の外径はピン挿入孔121の内径と同一か僅かに大きい程度に設定されており、このようなピン部材120がピン挿入孔121に挿入されることで、ピン部材120がピン挿入孔121に圧入されている。
【0052】
次に上記インペラ10Aの製造方法について説明する。
まず、内周側部品20を成形する。この内周側部品20は、炭素鋼からなる細長い円柱形状のブルーム材を切断することに円盤状部材を作製し、当該円盤状部材に対して加工工具により切削加工を施すことによって成形する。
また、この内周側部品20の成形とは別個に、外周側部品30を成形する。この外周側部品30も内周側部品20同様、円盤状部材に対して加工工具による切削加工を施すことによって成形する。
【0053】
次いで、外周側部品30を内周側部品20に対して嵌合させることで両者を固定一体化させる。具体的には、外周側部品30の各凹部110に内周側部品20の各凸部100を嵌合させるとともに外周側部品30の溝部113に内周側部品20の延出部103を嵌合させる。これにより、第一当接面102と第二当接面112とが当接する。なお、この際、内周側部品20と外周側部品30とは、焼き嵌めによって嵌合されることが好ましい。即ち、例えば外周側部品30の嵌合孔32を加熱させることで当該嵌合孔32を拡径させ、この状態で嵌合孔32内に内周側部品20を配置する。そして、嵌合孔32を冷却して縮径させ、該嵌合孔32を外周側部品30の大径部24に密着させることによって、これら外周側部品30と内周側部品20とを一体に固着させる。そして、その後、内周側部品20の凸部外周面101と外周側部品30の凹部内周面111との間のピン挿入孔121にピン部材120を圧入することで、内周側部品20と外周側部品30とを強固に固定一体化させる。このようにして、本実施形態のインペラ10Aを得ることができる。
【0054】
また、このインペラ10Aを回転軸2に焼き嵌めにより外嵌させてロータ1を得る際には、インペラ10Aの内周側部品20における第一内周面26を加熱することで当該挿通孔を拡径させ、この状態で第一内周面26及び第二内周面27に回転軸2を挿通させる。そして、第一内周面26を冷却して縮径させ、該第一内周面26を回転軸2の外周面3に密着させることによって、これらインペラ10Aと回転軸2とを一体に固着させる。このようにして、本実施形態のロータ1を得ることができる。
【0055】
以上のように、本実施形態のインペラ10Aにおいては、内周側部品20は円筒状をなしているため、円盤状部材に切削加工を施すことによって当該内周側部品20を容易に成形することができる。
【0056】
また、外周側部品30においては、環状円盤31の軸線O方向他方側にブレード40が設けられるとともにこれらブレード40のさらに軸線O方向他方側にカバー50が設けられた構成のため、内周側部品20に外嵌される前段階においてはブレード40及び流路Rの径方向内側には何も存在しない。したがって、ブレード40及びこれらブレード40間の形成された流路Rに対して加工工具を径方向内側から容易にアクセスすることができる。これにより、外周側部品30を例えば5軸の切削加工装置等により容易に一体成形することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のような内周側部品20と外周側部品30とを嵌合させることで、当該ディスク61、ブレード40及びカバー50を備えたインペラ10Aを得ることができるため、製造時間の短縮化を図ることができ、製造コストを低く抑えることが可能となる。
【0058】
そして、内周側部品20に外周側部品30が外嵌される際、即ち、内周側部品20と外周側部品30とが嵌合する際には、内周側部品20における径方向内側を向く第一当接面102と外周側部品30における径方向外側を向く第二当接面112が互いに当接するため、遠心力に対しての抗力を大きく得ることができる。
【0059】
特に本実施形態においては、径方向外側に向かうに従って離間する一対の第一当接面102に凹部110における一対の第二当接面112が当接する。これによって、ロータ1が回転することによりインペラ10Aに遠心力が作用した際には、内周側部品20の第一当接面102と外周側部品30の第二当接面112との密着により、遠心力に対しての抗力を確実に得ることができる。即ち、あり溝状の凹部110に凸部100が嵌合することになるため、径方向外側に向かって作用する遠心力に対しての抗力を確実に得ることができる。これにより、遠心力に対して高い強度を発揮することができ、内周側部品20と外周側部品30とが外れてしまうことを回避できる。
【0060】
また、外周側部品30と内周側部品20との嵌合を、焼き嵌めにより行った際には、当該嵌合をより強固なものとすることができる他、例えば拡散接合等に両者を接合より場合に比べてコストの低減を図ることができる。
【0061】
また、カバー50における縁部52と内周側部品20の外周面21とによって流路Rへの導入部62が画成されるため、当該インペラ10Aを例えば圧縮機に適用した際に流体を円滑にブレード40間の流路Rへと導くことができる。さらに、当該導入部62を形成するために別途部材等を設ける必要がないため、コストの上昇を抑えることができる。
【0062】
また、上記のようなインペラ10Aは、内周側部品20の内周面25の一部のみを回転軸2に外嵌することとしたため、インペラ10Aの回転軸2への取り付け及び取り外しを容易に行うことができる。さらに、特に回転軸2に外嵌される第一内周面26が内周側部品20の内周面25の軸線O方向一方側に配置されているため、インペラ10Aの重心位置から嵌合位置を離間させることができる。これによってロータ1回転時の遠心力による影響を低減させることができ、当該遠心力によりインペラ10Aが回転軸2から外れてしまうことを回避することが可能となる。
また、本実施形態では、インペラ10Aの内周側部品20を焼き嵌めによって回転軸2に外嵌させることとしたため、当該インペラ10Aをより強固に回転軸2に対して取り付けることができる。
【0063】
次に、本発明の第二実施形態に係るインペラ10B及びロータ1について、
図3及び
図4を参照して説明する。この第二実施形態においては、第一実施形態と同様の構成要素には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0064】
第二実施系形態のインペラ10Bの内周側部品20における大径部24には、内周側部品20の外周側の部分に位置するようにして、径方向外側に向かって突出し周方向にわたって延在する第一フランジ部131が形成されている。即ち、この第一フランジ部131は、大径部24から径方向外側に向かって張り出すように形成されており、該大径部24の軸線O方向他方側の部分に設けられている。
【0065】
この第一フランジ部131における径方向外側を向く面は、軸線Oを中心とする円筒面状をなす第一フランジ外周面132とされている。また、該第一フランジ部131における第一フランジ外周面132と大径部24との間に位置する軸線O方向一方側の面は、径方向外側に向かうに従って漸次軸線O方向一方側に向かって傾斜する第一当接面133とされている。即ち、第一当接面133は、径方向外側に向かうに従って後述する第二フランジ部140に向かうように傾斜している。この第一当接面133は、軸線Oを中心とした円錐面上をなしており、軸線O方向一方側を向き、かつ、径方向内側を向いている。
【0066】
また、第二実施形態のインペラ10Bの外周側部品30における嵌合孔32には、外周側部品30の内周側の部分に位置するようにして、径方向内側に向かって突出して周方向にわたって延在する第二フランジ部140が形成されている。即ち、この第一フランジ部131は、嵌合孔32から径方向内側に向かって張り出すように形成されており、該嵌合孔32の軸線O方向一方側の部分に設けられている。
【0067】
この第二フランジ部140における径方向内側を向く面は、軸線Oを中心とする円筒面状をなす第二フランジ内周面141とされている。また、該第二フランジ部140における第二フランジ内周面141と嵌合孔32との間に位置する軸線O方向他方側の面は、径方向外側に向かうに従って漸次軸線O方向一方側に向かって傾斜する第二当接面142とされている。換言すれば、第二当接面142は、径方向内側に向かうに従って漸次軸線O方向他方側に向かって傾斜している。この第二当接面142は、軸線Oを中心とした円錐面上をなしており、軸線O方向他方側を向き、かつ、径方向外側を向いている。
【0068】
そして、該第二当接面142は、内周側部品20と外周側部品30とが互いに嵌合した際に、その全域にわたって第一当接面133と当接可能とされており、即ち、第二当接面142は、第一当接面133と同様の傾斜角度で傾斜している。
【0069】
本実施形態のインペラ10Bも第一実施形態同様、内周側部品20に外周側部品30が外嵌され、これら内周側部品20及び外周側部品30が互いに嵌合することによって構成されている。具体的には、内周側部品20及び外周側部品30が互いに嵌合する際には、内周側部品20の第一フランジ部131における第一当接面133と外周側部品30の第二フランジ部140における第二当接面142とが互いに軸線O方向から当接する。さらに、内周側部品20の第一フランジ外周面132が外周側部品30の嵌合孔32に周方向にわたって当接するとともに、外周側部品30の第二フランジ内周面141が内周側部品20の大径部24に周方向にわたって当接する。
【0070】
このように内周側部品20と外周側部品30とが嵌合することによって、内周側部品20と外周側部品30の環状円盤31とが固定一体化されてインペラ10Bにおけるディスク61が形成されている。
【0071】
そして、本実施形態においては、内周側部品20と外周側部品30との嵌合をより強固なものとすべく、軸線O方向一方側から第二フランジ部140を貫いて第一フランジ部131に到達するボルト部材が設けられている。即ち、内周側部品20と外周側部品30の環状円盤31とは、上記ボルト部材155によって軸線O方向に連結されている。このようなボルト部材155は、周方向に等間隔をあけて複数が設けられている。
【0072】
なお、このような第二実施形態のインペラ10Bは、第一実施形態と同様の手順を踏むことによって製造される。特に、外周側部品30を内周側部品20に対して嵌合させることで両者を固定一体化させる際には、第一当接面133と第二当接面142とが互いに当接することになる。
【0073】
本実施形態のインペラ10Bにおいても、内周側部品20に外周側部品30が外嵌される際、即ち、内周側部品20と外周側部品30とが嵌合する際には、内周側部品20における径方向内側を向く第一当接面133と外周側部品30における径方向外側を向く第二当接面142が互いに当接するため、遠心力に対しての抗力を大きく得ることができる。
【0074】
特に本実施形態においては、第一フランジ部131における第一当接面133と第二フランジ部140における第二当接面142とが軸線O方向から互いに当接する。この際、第一当接面133と第二当接面142とは周方向全域にわたって、即ち、周方向360°にわたって当接するため、遠心力に対しての抗力をより一層確実に得ることができる。これにより、遠心力に対して高い強度を発揮することができ、内周側部品20と外周側部品30とが外れてしまうことを確実に回避できる。
【0075】
なお、本実施形態においては、第一フランジ部131を軸線O方向他方側に設け、第二フランジ部140を軸線O方向一方側に設けたが、この逆、即ち、第一フランジ部131を軸線O方向一方側に設け、第二フランジ部140を軸線O方向他方側に設けてもよい。この場合、第一フランジ部131の軸線O方向他方側の面が第一当接面133とされ、第二フランジ部140の軸線O方向一方側の面が第二当接面142とされる。この場合であっても、第一当接面133は、径方向外側に向かうに従って第二フランジ部140側に近接するように傾斜している。
これによっても、第二実施形態のインペラ10Bと同様、遠心力に対する抗力を確実に得ることができる。
【0076】
次に、本発明の第三実施形態に係るインペラ10C及びロータ1について、
図5及び
図6を参照して説明する。この第三実施形態においては、第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成要素には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0077】
第三実施系形態のインペラ10Cの内周側部品20における大径部24の軸線O方向一方側には、該大径部24よりも小径とされ軸線Oを中心とした円筒面状をなす第二外周面150が形成されている。また、大径部24と第二外周面150との間における軸線O方向一方側を向く面である段部151には、軸線Oを中心とした環状をなすように軸線O方向他方側に凹む環状凹部152が形成されている。本実施形態では、環状凹部152における径方向外側を向く面は、第二外周面150と面一とされており、即ち、第二外周面150の延長が環状凹部152における径方向外側を向く面とされている。
【0078】
また、環状凹部152の底面部153、即ち、環状凹部152における軸線O方向一方側を向く面は、軸線Oに直交する平坦面とされており、該軸線Oを中心とした環状をなしている。さらに、環状凹部152における径方向内側を向く面、即ち、第二外周面150と対向する面が、第一当接面154とされている。この第一当接面154は、軸線Oを中心とした円筒面状をなしている。
【0079】
また、第三実施形態のインペラ10Cの外周側部品30における嵌合孔32の軸線O方向一方側には、径方向内側に向かって突出して周方向にわたって延在する張り出し部160が形成されている。即ち、この張り出し部160は、嵌合孔32の軸線O方向一方側の部分の全周から径方向内側に張り出すように形成されている。この張り出し部160における径方向内側を向く面は、軸線Oを中心とした円筒面状をなして上記第二外周面150に当接可能とされた張り出し部内周面161とされている。また、この張り出し部160の軸線O方向他方側を向く面は、軸線Oに直交する平坦面状をなして上記段部151に当接可能とされた段部当接面162とされている。
【0080】
そして、この段部当接面162における径方向内側の部分には、軸線O方向他方側に向かって突出し周方向にわたって延在し、上記環状凹部152に周方向全域にわたって嵌合可能とされた環状凸部163が形成されている。この環状凸部163における径方向内側を向く面は、張り出し部内周面161と面一とされており、即ち、張り出し部内周面161の延長が環状凸部163における径方向内側を向く面とされている。
【0081】
また、環状凸部163における軸線O方向他方側を向く面は、軸線Oに直交する平坦状をなして、環状凹部152の底面部153に当接可能とされた先端部164とされている。そして、環状凸部163における径方向外側を向く面は、軸線Oを中心とした円筒面状をなして環状凹部152の第一当接面154に周方向にわたって当接可能とされた第二当接面165とされている。
【0082】
本実施形態のインペラ10Cも第一、第二実施形態同様、内周側部品20に外周側部品30が外嵌され、これら内周側部品20及び外周側部品30が互いに嵌合することによって構成されている。具体的には、内周側部品20及び外周側部品30が互いに嵌合する際には、内周側部品20の環状凹部152に外周側部品30の環状凸部163が挿入し互いに嵌合する。これによって、環状凹部152の第一当接面154と環状凸部163の第二当接面165とが互いに当接する。
【0083】
このように内周側部品20と外周側部品30とが嵌合することによって、内周側部品20と外周側部品30の環状円盤31とが固定一体化されてインペラ10Cにおけるディスク61が形成されている。
【0084】
そして、本実施形態においては、内周側部品20と外周側部品30との嵌合をより強固なものとすべく、軸線O方向一方側から他方側に向かって第二実施形態と同様のボルト部材155が設けられている。即ち、内周側部品20と外周側部品30の環状円盤31とは、上記ボルト部材155によって軸線O方向に連結されている。このようなボルト部材155は、第二実施形態同様、周方向に等間隔をあけて複数が設けられている。
【0085】
なお、このような第三実施形態のインペラ10Cは、第一実施形態と同様の手順を踏むことによって製造される。特に、外周側部品30を内周側部品20に対して嵌合させることで両者を固定一体化させる際には、第一当接面154と第二当接面165とが互いに当接することになる。
【0086】
本実施形態のインペラ10Cにおいては、内周側部品20に外周側部品30が外嵌される際、即ち、内周側部品20と外周側部品30とが嵌合する際には、環状凹部152に環状凸部163が挿入されることで内周側部品20における径方向内側を向く第一当接面154と外周側部品30における径方向外側を向く第二当接面165が周方向全域にわたって互いに当接する。これによって、遠心力に対しての抗力を確実に得ることができ、遠心力に対して高い強度を発揮することが可能となる。
【0087】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、実施形態では、内周側部品20を回転軸2に外嵌する構成について説明したが、内周側部品20が回転軸2と一体に形成されているものであってもよい。この場合は、回転軸2を切削加工により削り出す際に該回転軸2の外周面3に内周側部品20を形成することで、これら内周側部品20と回転軸2とを一体成形する。これによって、内周側部品20を回転軸2に固定する作業を行う必要がないため、ロータ1を構成する際の作業工程数を減らすことができる。