特許第5777538号(P5777538)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777538
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   A63F7/02 311C
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-33419(P2012-33419)
(22)【出願日】2012年2月17日
(65)【公開番号】特開2013-169253(P2013-169253A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】池田 貴史
【審査官】 藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−244763(JP,A)
【文献】 特開平11−128480(JP,A)
【文献】 特開2010−259620(JP,A)
【文献】 特開2007−236842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体枠に配設され、前面に遊技領域が画成された遊技盤と、
遊技球が通過し得るよう前記遊技盤に設けられ、該遊技盤の下から前記遊技領域に繋がる発射通路と、
前記遊技盤の下方へ開口する前記発射通路の開口部の下側に繋がるよう前記本体枠に設けられ、該本体枠の前面に配設された球皿に向けて遊技球を案内する球回収通路と、
前記本体枠における前記球回収通路の側方で傾斜方向に延在すると共に、該球回収通路の側部に発射端が臨むように設けられ、打球機構によって打ち出された遊技球を前記開口部に向けて案内する発射レールとを備え、
前記発射端から前記球回収通路の上部を通るように前記開口部に向けて打ち出された遊技球のうち前記遊技領域に到達しなかったファール球を、該球回収通路を介して前記球皿に回収するよう構成された遊技機において、
前記球回収通路は、
前記発射端よりも下方に設けられ、前記発射レール側から離間する側方へ向かうにつれて下方傾斜する転動壁部と、
前記転動壁部の傾斜下端から遊技球1個の通過を許容する幅で離間するよう設けられ、上下方向に延在する第1縦壁部と、
前記発射レール側から離間する側方に向かうにつれて上方傾斜するように設けられ、前記転動壁部の傾斜下端よりも上方に位置する傾斜下端が前記第1縦壁部の上端に連なる段壁部と、
前記開口部と前記段壁部の傾斜上端との間に設けられ、前記第1縦壁部よりも前記発射端から離間する第2縦壁部とを備え
前記発射レールの上方位置に、当該発射レールに対向して該発射レールの傾斜に沿うよう発射案内壁部が設けられると共に、前記発射端の上方位置に、遊技球を減勢する緩衝部材が設けられ、当該緩衝部材の下面が前記発射案内壁部の延長上に連なるよう構成され
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記緩衝部材は、前記発射通路の前記開口部と繋がる前記球回収通路の入口から下方に延在するよう側面が位置して、当該側面により前記球回収通路の側部を画成するよう配設された請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
本体枠に配設され、前面に遊技領域が画成された遊技盤と、
遊技球が通過し得るよう前記遊技盤に設けられ、該遊技盤の下端から前記遊技領域に繋がる発射通路と、
前記遊技盤の下方へ開口する前記発射通路の開口部の下側に繋がるよう前記本体枠に設けられ、該本体枠の前面に配設された球皿部に向けて遊技球を案内する球回収通路と、
前記本体枠における前記球回収通路の側方に、該球回収通路の側部に発射端が臨むように設けられ、打球機構によって打ち出された遊技球を前記開口部に向けて案内する発射レールとを備え、
前記発射端から前記球回収通路の上部を通るように前記開口部に向けて打ち出された遊技球のうち前記遊技領域に到達しなかったファール球を、該球回収通路を介して前記球皿部に回収するよう構成された遊技機において、
前記球回収通路は、
前記発射端よりも下方に設けられ、前記発射レール側から離間する側方へ向かうにつれて下方傾斜する転動壁部と、
前記転動壁部の傾斜下端から遊技球1個の通過を許容する幅で離間するよう設けられ、上下方向に延在する第1縦壁部と、
前記発射レール側から離間する側方に向かうにつれて上方傾斜するように設けられ、前記転動壁部の傾斜下端よりも上方に位置する傾斜下端が前記第1縦壁部の上端に連なる段壁部と、
前記開口部と前記段壁部の傾斜上端との間に設けられ、前記第1縦壁部よりも前記発射端から離間する第2縦壁部と、
記転動壁部の下方において前記発射レール側に向かうにつれて下方傾斜するよう延在し、第1縦壁部および転動壁部の傾斜下端間を通過した遊技球を該転動壁部の下方に案内する案内壁部を備え
前記案内壁部の傾斜上端は、遊技球の直径より小さな隙間を介して前記第1縦壁部の下端に連なるよう形成されて、該隙間が前記転動壁部の延長線方向に位置するよう構成され
ことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
前記球回収通路は、前記転動壁部の下方において前記発射レール側に向かうにつれて下方傾斜するよう延在し、第1縦壁部および転動壁部の傾斜下端間を通過した遊技球を該転動壁部の下方に案内する案内壁部を備え、
前記転動壁部の下面から前記案内壁部へ向けて下方に延出する規制部が設けられると共に、該規制部の延出端と前記案内壁部の上面との間に、1個の遊技球の通過を許容し得る幅に設定された球通路が左右に延在するよう形成された請求項1〜3の何れか一項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファール球を回収案内する球回収通路を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、外郭をなす外枠に対して、遊技盤を保持する中枠が開閉可能に組み付けられると共に、該中枠の前面側に、遊技盤を透視保護するガラス板を設けた前枠や、パチンコ球を貯留する球皿部材が組み付けられている。また、遊技盤には、略円形の遊技領域が画成されると共に、該遊技領域内および遊技盤の下方から遊技領域に通じる発射通路を画成する案内レールが設けられている。そして、パチンコ機は、球皿部材に貯留したパチンコ球を中枠に配設した打球発射装置の作動により案内レールの発射通路へ向けて打ち出し、発射通路を通過したパチンコ球が遊技領域に発射されるようになっている。
【0003】
前記打球発射装置は、遊技盤の下方において開口する発射通路の入口へ向けて上方傾斜する発射レールと、該発射レール上のパチンコ球を打ち出す打球機構と、操作ハンドルの操作に応じて球皿部材に貯留したパチンコ球を発射レール上の打球発射位置に送り出す球送出装置とを備え、操作ハンドルの操作に応じてパチンコ球を発射通路へ向けて1球ずつ打ち出すよう構成される(例えば特許文献1参照)。また、中枠において発射通路の入口の下方に対応する位置には、球皿部材へ連通する球回収通路が形成されており、遊技領域に発射されることなく発射通路を流下したパチンコ球(所謂ファール球)を、この球回収通路を介して球皿部材に案内するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−120811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記打球発射装置は、中枠において球回収通路の右側方に配設され、発射レールにおける発射口となる傾斜上端が球回収通路の右側上部に臨み、発射レールに案内されたパチンコ球が球回収通路の上部を斜めに横切って発射通路に打ち出される。発射レールから発射されたパチンコ球の勢いが弱い場合には、発射されたパチンコ球が球回収通路において発射レールの発射口に対向する左壁にぶつかり、この左壁で弾かれたパチンコ球が発射レールに戻ってしまうことがある。また、球回収通路は、出口が球皿部材に開口すると共に、入口が遊技盤に繋がっているので、該球回収通路を介して針金等の不正具を遊技盤へ侵入させる不正行為に使われることがある。このため、左壁で弾いたパチンコ球の発射レールへの戻りを防止するために、球回収通路全体を単純に幅広にすることはできない。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、発射レールへの球戻りを防止できる球回収通路を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の遊技機は、
本体枠(13)に配設され、前面に遊技領域(20a)が画成された遊技盤(20)と、
遊技球が通過し得るよう前記遊技盤(20)に設けられ、該遊技盤(20)の下から前記遊技領域(20a)に繋がる発射通路(28)と、
前記遊技盤(20)の下方へ開口する前記発射通路(28)の開口部(28a)の下側に繋がるよう前記本体枠(13)に設けられ、該本体枠(13)の前面に配設された球皿(17)に向けて遊技球を案内する球回収通路(64)と、
前記本体枠(13)における前記球回収通路(64)の側方で傾斜方向に延在すると共に、該球回収通路(64)の側部に発射端(66a)が臨むように設けられ、打球機構(67,68)によって打ち出された遊技球を前記開口部(28a)に向けて案内する発射レール(66)とを備え、
前記発射端(66a)から前記球回収通路(64)の上部を通るように前記開口部(28a)に向けて打ち出された遊技球のうち前記遊技領域(20a)に到達しなかったファール球を、該球回収通路(64)を介して前記球皿(17)に回収するよう構成された遊技機において、
前記球回収通路(64)は、
前記発射端(66a)よりも下方に設けられ、前記発射レール(66)側から離間する側方へ向かうにつれて下方傾斜する転動壁部(80)と、
前記転動壁部(80)の傾斜下端から遊技球1個の通過を許容する幅で離間するよう設けられ、上下方向に延在する第1縦壁部(81)と、
前記発射レール(66)側から離間する側方に向かうにつれて上方傾斜するように設けられ、前記転動壁部(80)の傾斜下端よりも上方に位置する傾斜下端が前記第1縦壁部(81)の上端に連なる段壁部(82)と、
前記開口部(28a)と前記段壁部(82)の傾斜上端との間に設けられ、前記第1縦壁部(81)よりも前記発射端(66a)から離間する第2縦壁部(83)とを備え
前記発射レール(66)の上方位置に、当該発射レール(66)に対向して該発射レール(66)の傾斜に沿うよう発射案内壁部(58)が設けられると共に、前記発射端(66a)の上方位置に、遊技球を減勢する緩衝部材(85)が設けられ、当該緩衝部材(85)の下面が前記発射案内壁部(58)の延長上に連なるよう構成されたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、発射レールから打ち出された遊技球があたる可能性が高い球回収通路の上部を画成する第2縦壁部が発射レールの発射端から離れているので、仮に遊技球が第2縦壁部に当たったとしても、発射レールに遊技球が戻ることを防止できる。また、球回収通路は、第2縦壁部が発射端より離間しているものの、下流側の第1縦壁部と転動壁部との間隔が最小限に抑えられているので、球皿部側から針金などの不正具を挿入する等の不正行為を防止できる。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記緩衝部材(85)は、前記発射通路(28)の前記開口部(28a)と繋がる前記球回収通路(64)の入口から下方に延在するよう側面が位置して、当該側面により前記球回収通路(64)の側部を画成するよう配設されたことを要旨とする
【0009】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項3に係る発明の遊技機は、
本体枠(13)に配設され、前面に遊技領域(20a)が画成された遊技盤(20)と、
遊技球が通過し得るよう前記遊技盤(20)に設けられ、該遊技盤(20)の下端から前記遊技領域(20a)に繋がる発射通路(28)と、
前記遊技盤(20)の下方へ開口する前記発射通路(28)の開口部(28a)の下側に繋がるよう前記本体枠(13)に設けられ、該本体枠(13)の前面に配設された球皿部(17)に向けて遊技球を案内する球回収通路(64)と、
前記本体枠(13)における前記球回収通路(64)の側方に、該球回収通路(64)の側部に発射端(66a)が臨むように設けられ、打球機構(67,68)によって打ち出された遊技球を前記開口部(28a)に向けて案内する発射レール(66)とを備え、
前記発射端(66a)から前記球回収通路(64)の上部を通るように前記開口部(28a)に向けて打ち出された遊技球のうち前記遊技領域(20a)に到達しなかったファール球を、該球回収通路(64)を介して前記球皿部(17)に回収するよう構成された遊技機において、
前記球回収通路(64)は、
前記発射端(66a)よりも下方に設けられ、前記発射レール(66)側から離間する側方へ向かうにつれて下方傾斜する転動壁部(80)と、
前記転動壁部(80)の傾斜下端から遊技球1個の通過を許容する幅で離間するよう設けられ、上下方向に延在する第1縦壁部(81)と、
前記発射レール(66)側から離間する側方に向かうにつれて上方傾斜するように設けられ、前記転動壁部(80)の傾斜下端よりも上方に位置する傾斜下端が前記第1縦壁部(81)の上端に連なる段壁部(82)と、
前記開口部(28a)と前記段壁部(82)の傾斜上端との間に設けられ、前記第1縦壁部(81)よりも前記発射端(66a)から離間する第2縦壁部(83)と、
記転動壁部(80)の下方において前記発射レール(66)側に向かうにつれて下方傾斜するよう延在し、第1縦壁部(81)および転動壁部(80)の傾斜下端間を通過した遊技球を該転動壁部(80)の下方に案内する案内壁部(88)を備え
前記第1縦壁部(81)の下端および前記案内壁部(88)の傾斜上端は、遊技球の直径より小さな隙間を介して前記第1縦壁部(81)の下端に連なるよう形成されて、該隙間が前記転動壁部(80)の延長線方向に位置するよう構成されたことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、発射レールから打ち出された遊技球があたる可能性が高い球回収通路の上部を画成する第2縦壁部が発射レールの発射端から離れているので、仮に遊技球が第2縦壁部に当たったとしても、発射レールに遊技球が戻ることを防止できる。また、球回収通路は、第2縦壁部が発射端より離間しているものの、下流側の第1縦壁部と転動壁部との間隔が最小限に抑えられているので、球皿部側から針金などの不正具を挿入する等の不正行為を防止できる。
また、案内壁部によって球回収通路の経路を曲げることができるので、不正具の侵入をより的確に防止できる。
【0010】
請求項4に係る発明では、
前記球回収通路(64)は、前記転動壁部(80)の下方において前記発射レール(66)側に向かうにつれて下方傾斜するよう延在し、第1縦壁部(81)および転動壁部(80)の傾斜下端間を通過した遊技球を該転動壁部(80)の下方に案内する案内壁部(88)を備え、
前記転動壁部(80)の下面から前記案内壁部(88)へ向けて下方に延出する規制部(93)が設けられると共に、該規制部(93)の延出端と前記案内壁部(88)の上面との間に、1個の遊技球の通過を許容し得る幅に設定された球通路が左右に延在するよう形成されたことを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、案内壁部によって球回収通路の経路を曲げることができるので、不正具の侵入をより的確に防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る遊技機によれば、発射レールに遊技球が戻ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例に係るパチンコ機を前側から示す概略斜視図である。
図2】実施例のパチンコ機を後側から示す概略斜視図である。
図3】実施例のパチンコ機を前側から示す概略斜視図であって、前枠を開放した状態を示す。
図4】実施例の前枠を示す背面図である。
図5】実施例のパチンコ機を示す正面図であって、前枠および通路カバーを取り外した状態を示す。
図6図1のAーA線で破断した要部断面図である。なお、図中の二点鎖線はパチンコ球を示す。
図7】実施例の中枠基体部を示す正面図であり、通路カバーを取り外した状態にある。なお、図中の二点鎖線はパチンコ球を示す。
図8】実施例の中枠基体部を前側から示す分解斜視図である。
図9】実施例のシャッタ機構を分解して示す概略斜視図であって、(a)は前側から視た状態であり、(b)は後側から視た状態である。
図10図6のB部に対応する部位を示す拡大図であって、(a)は前枠を中枠に対して閉鎖した状態を示し、(b)は前枠を中枠から開放した状態を示す。なお、図中の二点鎖線はパチンコ球を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、遊技球としてパチンコ球を用いて遊技を行うパチンコ機を例に挙げて説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、図1に示すようにパチンコ機を前側(矢印Xで示す遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例】
【0014】
(パチンコ機10の概略構成について)
図1または図2に示すように、実施例に係るパチンコ機10は、遊技店に設けられた図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11と、該外枠11に対して着脱および開閉可能に設けられ、各種制御装置等の遊技機構成部品が設置される本体枠としての中枠13と、該中枠13に着脱交換可能に取り付けられて所要の遊技領域20aが画成された遊技盤20と、該中枠13の前面側に着脱および開閉可能に設けられると共に遊技盤20を透視保護する装飾枠としての前枠14とを基本的に備えている。実施例のパチンコ機10では、パチンコ球を貯留可能な2つの球皿部材16,17が前枠14の下部に上下の関係で一体的に配設されており、前枠14の開閉動作に合わせて両球皿部材16,17が開閉するよう構成されている。すなわち、実施例のパチンコ機10では、前枠14が中枠13の前側で開閉可能な開閉体として機能すると共に、該前枠14が球皿部材16,17としても機能している。そして、パチンコ機10の前面側(実施例では前枠14)における右下部位置には、パチンコ球の発射を制御する発射・払出制御装置S1(図2参照)に電気的に接続された発射操作ハンドル18が配設されており、遊技者による発射操作ハンドル18の回動操作により球送り装置22および打球発射装置24(図3参照)が作動して、上側の上球皿部材16の上球受け皿16aに貯留されたパチンコ球が遊技盤20の遊技領域20aに向けて1球ずつ発射されるよう構成されている。
【0015】
(遊技盤20について)
図5に示すように、遊技盤20は、円弧状に湾曲する外レール26および内レール27が盤面(前面)に配設されて、該内外レール26,27の内側に画成される略円形の遊技領域20a内に、各種図柄の変動などの遊技演出が行われる図柄表示装置30や、入賞装置(図示せず)等の遊技用部品が配置されている。また、遊技盤20の左側部に位置する外レール26および内レール27は、パチンコ球が通過可能な距離だけ離間した状態で遊技領域20aの径方向に重なるよう構成されて、打球発射装置24から発射されたパチンコ球を遊技領域20aへ案内する発射通路28を画成している。発射通路28は、遊技盤20の下端左寄り位置で下方に開口すると共に、遊技盤20の左上部位置で遊技領域20a内に開口しており、打球発射装置24から発射通路28の下方に開口する始端開口部(開口部)28aに向けて発射されたパチンコ球が、発射通路28を介して遊技領域20aの上部位置に打ち出されるようになっている。そして、遊技領域20aを流下する過程で入賞装置の入賞口に入賞したパチンコ球を入賞検出センサが検出することで、中枠13に配設された賞球や貸球の払出しを制御する発射・払出制御装置S1(図2参照)に入賞検出信号が入力され、該入賞検出信号の入力に応じて球払出装置32(図2参照)が作動制御されて所定数の賞球が払い出されるようになっている。なお、実施例では、パチンコ球の発射制御および賞球や貸球の払出し制御を、1つの発射・払出制御装置S1で行うよう構成したが、別々の制御装置で行ってもよい。
【0016】
(外枠11について)
図3に示すように、外枠11は、前後に開口する矩形枠状に形成されており、該外枠11の左上部位置および左下部位置に、当該外枠11と中枠13とを開閉可能に連結する外枠側ヒンジ部11aが取り付けられている。実施例では、外枠11は上縁を構成する上外枠部12aと、下縁を構成する下外枠部12bと、左縁を構成する左外枠部12cと、右縁を構成する右外枠部12dとから基本的に構成されて、上下の外枠部12a,12bが木製の板部材で形成されると共に、左右の外枠部12c,12dがアルミ等の金属部材で形成されている。また、下外枠部12bの前端部には、左右方向の全長に亘って上方へ延出する輿板12eが備えられており、上外枠部12aおよび左右の外枠部12c,12dと、下外枠部12bの輿板12eとにより、前後に開口した開口部が画成され、この開口部に中枠13が臨むようになっている。なお、輿板12eの高さは、遊技店において別途準備される球箱の高さよりも大きな寸法に設定されて、前枠14に設けられた下球皿部材17の下方に位置するように球箱を輿板12eの前側に設置し得るよう構成されている。
【0017】
(前枠14について)
図1,3および図4に示すように、前枠14は、外枠11の開口形状に略整合する矩形状に形成された前枠基体部15に、前後に貫通する窓口15aが開口する枠状に形成されており、該前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で、遊技盤20に形成された遊技領域20aが窓口15aを介して前方に露出するよう構成されている。そして、前枠基体部15の後面側には、窓口15aの開設位置に対応してガラス板等の透明な透視保護板34が着脱可能に配設されており、パチンコ機10の前側から遊技盤20を視認可能な状態で透視保護している。なお、図4では、前枠14に取り付けられる透視保護板34の図示を省略してある。また、前枠14(前枠基体部15)の左上部位置および左下部位置には、当該前枠14を中枠13に設けられた中枠側ヒンジ部13a(図5参照)に対して開閉可能に連結する前枠側ヒンジ部14a(図4参照)が設けられており、該前枠14を中枠13に対して閉鎖した際に、中枠13の前面全体が前枠14で被覆されるよう構成されている。なお、前枠基体部15の前面には、窓口15aの周囲を囲繞するよう各種の飾り部材14bやランプ装置等が配設されて、パチンコ機10の前面を装飾している。
【0018】
(上球皿部材16について)
図1に示すように、前枠14(前枠基体部15)の前面側には、上方へ開口する上球受け皿16aを備えた上球皿部材16が窓口15aの下方位置に取り付けられており、該上球受け皿16a内に所定数のパチンコ球を一時的に貯留し得るようになっている。また、前枠14(前枠基体部15)の後面側には、前記発射・払出制御装置S1に電気的に接続する球送り装置22(図4参照)が上球受け皿16aの下流端部に連通するよう設置されている。そして、発射操作ハンドル18の回動操作に基づいて球送り装置22が作動して、上球受け皿16aに貯留されたパチンコ球を、中枠13に配設された打球発射装置24に1球ずつ送り出すよう構成されている。また、前枠14(前枠基体部15)の左側部には、前後に貫通する上皿連絡通路36が形成され(図4参照)、この上皿連絡通路36の下流端の上皿給出口36a(図1参照)が上球受け皿16aの左端部側で開口している。前枠14の後面に臨む上皿連絡通路36の上流端は、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で、中枠13に形成された中枠連絡口55に連通接続するよう構成され、上皿連絡通路36を介してパチンコ球(賞球や貸球)が上球受け皿16aへ給出されるようになっている。
【0019】
(下球皿部材17について)
図1に示すように、前枠14(前枠基体部15)の前面側には、上方へ開口する下球受け皿17aを備えた下球皿部材17が上球皿部材16の下方位置に取り付けられており、該下球受け皿17a内に所定数のパチンコ球を一時的に貯留し得るようになっている。なお、実施例では、前枠14(前枠基体部15)における下球皿部材17の右側方に、前記発射操作ハンドル18が設置されている。また、前枠14(前枠基体部15)の下側略中央部には、前後に貫通する下皿連絡通路37が形成され(図4参照)、この下皿連絡通路37の下流端の下皿給出口37a(図1参照)が下球受け皿17aの略中央部に開口している。前枠14の後面に臨む下皿連絡通路37の上流端は、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で、中枠13に形成された案内通路62に連通接続するよう構成され、上球受け皿16aからオーバーフローしたパチンコ球や後述の球回収通路64で回収されたパチンコ球(ファール球)が、案内通路62を介して下皿給出口37aから下球受け皿17aへ給出されるようになっている。実施例の下球皿部材17には、下球受け皿17aの内部(例えば底面)で開口すると共に該下球皿部材17の下面に開口する球抜き路38が形成されている。球抜き路38の下球受け皿17a側の開口は、下球皿部材17に配設された球抜き操作レバー39(図1参照)の操作に応じて開閉する扉部材39aにより閉鎖されており、該球抜き操作レバー39を操作して扉部材39aを開閉動作させることで、下球受け皿17aに貯留されたパチンコ球を下球皿部材17の下方に設置した球箱に直接抜き出し得るようになっている。
【0020】
このように、実施例のパチンコ機10は、パチンコ球を貯留する球受け皿16a,17aを前面側に上下2つ備えた所謂「二枚皿タイプ」として構成されている。また、上球皿部材16の上面右側には、貸球操作ボタン40(図1参照)が設けられており、該貸球操作ボタン40を遊技者が押下することで、発射・払出制御装置S1に貸球払出し信号が入力され、中枠13に設けられた球払出装置32が作動されて所定数の貸球が上球受け皿16aに払い出されるようになっている。また、上球皿部材16の上面中央部には、遊技者が操作可能な操作ボタン42aを備えた演出操作ユニット(操作手段)42が設けられ、操作ボタン42aの操作に応じて図柄表示装置30や可動役物などによる遊技演出を切り替え得るようになっている。
【0021】
(中枠13について)
図2および図3に示すように、中枠13は、外枠11の開口形状に略整合すると共に上方側に偏った位置で前後に開口する矩形枠状に形成されており、該中枠13の左上部位置および左下部位置に、当該中枠13と外枠11とを開閉可能に連結すると共に中枠13と前枠14とを開閉可能に連結する中枠側ヒンジ部13a(図5参照)が設けられている。すなわち、中枠13は、外枠側ヒンジ部11aと中枠側ヒンジ部13aとを連結することで、中枠13の左側部が外枠11に対して開閉可能に軸支され、中枠側ヒンジ部13aと前枠側ヒンジ部14aとを連結することで、中枠13および前枠14の左側部が相対的に開閉可能に軸支される。このように、実施例における外枠11、中枠13および前枠14の夫々は、各ヒンジ部11a,13a,14aに相対的に設けられた支持軸および軸孔の軸支構造により開閉可能に連結されるようになっている。
【0022】
図5に示すように、中枠13は、前記遊技機構成部品が設置される設置部として機能する中枠基体部44と、この中枠基体部44の左右側部に設けられて中枠13の左右側縁をなす左右の横中枠部45,46と、該左右の横中枠部45,46の上端部に設けられて中枠13の上縁をなす上中枠部47とから構成されて、これら各部材44〜47を組み付けた際に、全体が外枠11の開口形状に整合する大きさの枠体状に形成される。そして、中枠基体部44と各中枠部45〜47とを組み付けた際に画成される開口部(以下、遊技盤設置部48という)の開口内側に、遊技盤20が着脱可能に設置されている。なお、中枠13を構成する中枠基体部44と各中枠部45〜47は独立した部材である必要はなく、中枠基体部44および各中枠部45〜47のうちの複数または全てを樹脂等で一体成形することも可能である。
【0023】
図2に示すように、中枠13(上中枠部47)の後側上方位置には、遊技店に設けられた図示しない球供給設備から供給されるパチンコ球を貯留する球タンク49が配置されると共に、該球タンク49に貯留されたパチンコ球を所定列数に整列して流下させるタンクレール50が設けられている。また、中枠13における遊技盤設置部48の下方には、中枠基体部44の左側上部に前後に開口するよう形成されて上球受け皿16aに連通する中枠連絡口55およびこの中枠連絡口55の下方に前後に開口するように形成された中枠溢れ口56の両方に連通する分岐通路ユニット51が配設されている。そして、タンクレール50の下部およびこのタンクレール50の下方に離間配置された分岐通路ユニット51との間に架け渡された球払出しユニット(球払出経路部)52を介して、該タンクレール50と分岐通路ユニット51とを連通接続するよう構成されて、球タンク49に貯留されたパチンコ球がタンクレール50、球払出ユニット52、分岐通路ユニット51、中枠連絡口55および上皿連絡通路36を介して上球受け皿16aに供給されるようになっている。なお、実施例では、球タンク49およびタンクレール50が上中枠部47と一体形成され、中枠基体部44の後側に分岐通路ユニット51が着脱可能に取り付けられている。
【0024】
図2に示すように、球払出ユニット52は、タンクレール50に連通する上流側通路53と、分岐通路ユニット51に連通する下流側通路54と、該上流側通路53の下流端および下流側通路54の上流端を連通して、発射・払出制御装置S1からの制御信号に基づいて作動する球払出装置32とを備えている。すなわち、球払出装置32が停止した状態においては前記設置枠台に設けられた球供給設備から球タンク49に供給されたパチンコ球が上流側通路53に充填された状態で貯留され、発射・払出制御装置S1からの賞球または貸球の払出し信号に基づいて作動した球払出装置32により、該上流側通路53に貯留されたパチンコ球が下流側通路54に案内されることで、最終的に賞球または貸球として上球受け皿16aに給出されるよう構成されている。
【0025】
前記分岐通路ユニット51は、球払出ユニット52の下流側通路54、中枠連絡口55および中枠溢れ口56の夫々に連通する箱状体であって、下流側通路54から流下したパチンコ球を中枠連絡口55に主に案内するようになっている。また、分岐通路ユニット51には、中枠連絡口55と中枠溢れ口56とを連通するように流路が形成されて、上球受け皿16aから中枠連絡口55を介して該分岐通路ユニット51に流入したパチンコ球や、上球受け皿16aに入りきらなかった下流側通路54から流下したパチンコ球が、分岐通路ユニット51の内側を通って中枠溢れ口56に案内される。そして、中枠溢れ口56は、中枠基体部44の前面に設けられた案内通路62の上流端部に位置し、該案内通路62を介して下球受け皿17aにパチンコ球が流下するようになっている。
【0026】
(中枠基体部44について)
図3および図5に示すように、中枠基体部44の前面右側には、スピーカ57が配設され、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で、スピーカ57が前枠14の後側に形成されたスピーカ口14cに面するようになっている。また、中枠基体部44の前面左側には、上球受け皿16aに入らなかったパチンコ球を下球受け皿17aに案内する案内通路62と、前記発射通路28の始端開口部28aの下側に繋がる球回収通路64とを有する通路形成ユニット60が配設されている。そして、中枠基体部44の前面には、通路形成ユニット60の右側方(一側方)に、該通路形成ユニット60とスピーカ57との間に位置して、遊技盤20の遊技領域20aに向けてパチンコ球を打ち出す打球発射装置24が配設されている。
【0027】
(打球発射装置24について)
前記中枠基体部44の前面には、遊技盤設置部48に設置された遊技盤20の盤面(前面)と略同一平面上に位置する発射装置設置部44a(図8参照)が形成されており、発射操作ハンドル18の操作により作動してパチンコ球を発射通路28に向けて発射する打球発射装置24が発射装置設置部44aに設置されている。図7および図8に示すように、打球発射装置24は、右側方(一側方)から左側方(他側方)に向かうにつれて上方傾斜する傾斜姿勢で配設されると共に球送り装置19から送出されるパチンコ球を発射待機位置に保持する発射レール66と、発射操作ハンドル18の操作に応じて作動するロータリーソレノイド(打球機構)67と、該ロータリーソレノイド67の回転軸に接続され、ロータリーソレノイド67の作動に伴って回動される打球杆(打球機構)68とを備えており、発射レール66における発射待機位置に保持されたパチンコ球を打球杆68の回動によって打ち出すようになっている。打球発射装置24は、発射レール66が金属製の発射設置板69の後面に設置されると共に、ロータリーソレノイド67が発射設置板69の前面に設置され、発射設置板69を発射装置設置部44aに取り付けるようになっている。なお、図7では、発射設置板69が図示省略されている。発射レール66は、発射設置板69を発射装置設置部44aに取り付けることで、該発射レール66の後側に対応して設けられた発射ガイド片70と発射設置板69との間に挟まれ、発射設置板69および発射ガイド片70によって発射レール66で案内されるパチンコ球の前後が位置規制される。なお、発射ガイド片70の前面には、発射レール66の傾斜に沿って延在する複数の凸筋が形成されている。
【0028】
前記発射レール66は、前後方向の中央部が下方に凹んだ断面略「V」字状に形成されており、この凹みによってパチンコ球が案内されるようになっている。図7に示すように、発射通路28の始端開口部28aを指向する発射レール66の傾斜上端(以下、発射端という)66aは、球回収通路64の右側部に臨んでいる。ここで、中枠基体部44の上端部には、発射レール66の延長線上に、発射通路28の始端開口部28aと繋がる球回収通路64の入口64aが設けられており、発射レール66に沿って発射されたパチンコ球が球回収通路64の上部を斜めに通って該入口64aを介して発射通路28へ移動し得るよう構成されている。そして、発射通路28に発射されたパチンコ球が、外レール26に沿って遊技領域20aへ向けて案内される。ロータリーソレノイド67は、発射設置板69の前面から本体部分が前方に突出すると共に前記回転軸が発射設置板69の後方に突出し、発射設置板69の後側に打球杆68が配設されている。なお、発射設置板69の前面に配設されたロータリーソレノイド67の本体部分は、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で、前枠14(前枠基体部15)の後面に前方に凹設された収容凹部15bに収容される。
【0029】
(通路形成ユニット60について)
図7および図8に示すように、通路形成ユニット60は、中枠基体部44の前面左側に位置する通路ユニット設置部44bに取り付けられる。通路形成ユニット60は、案内通路62および球回収通路64の後側を区画する通路ベース72と、この通路ベース72の前側を覆う通路カバー74とから基本的に構成されている(図7参照)。通路形成ユニット60には、案内通路62の下流端に位置して前方に開口するよう流出口63が形成され、通路形成ユニット60を通路ユニット設置部44bに設置した状態で、流出口63が中枠基体部44の左右方向中央部下側に配置される。流出口63は、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で、前枠14に設けられた下皿連絡通路(球皿側通路)37の後端部の入口部37aと接続するようになっている。そして、案内通路62を流下したパチンコ球が、下皿連絡通路37を通って該下皿連絡通路37の前端の下皿給出口37aから下球受け皿17aに流れ込むようになっている。また、通路形成ユニット60には、中枠連絡口55の前方に対応して前後に開口する払出口65が後述の通路ベース72および通路カバー74に形成され、通路形成ユニット60を通路ユニット設置部44bに設置した状態で、払出口65が中枠基体部44の左側上部に配置される。払出口65は、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で、前枠14に前後に連通するように設けられた上皿連絡通路36の後端開口と接続するようになっている。なお、払出口65の後端開口は、通路形成ユニット60を通路ユニット設置部44bに設置した状態で、中枠連絡口55の前端開口に連通接続される。
【0030】
図7に示すように、通路形成ユニット60には、下球受け皿17aに繋がる流出口63を開閉可能なシャッタ本体102を備えた第1シャッタ機構(シャッタ機構)100が設けられ、前枠14を中枠13から開放した際にシャッタ本体102によってパチンコ球を流下規制して、流出口63からパチンコ球がこぼれ落ちないようになっている。また、通路形成ユニット60には、上球受け皿16aに繋がる上皿連絡通路36の出口(払出口65)を開閉可能なシャッタ板112を備えた第2シャッタ機構110が設けられ、前枠14を中枠13から開放した際にシャッタ板112によってパチンコ球を流下規制して、上皿連絡通路36の出口からパチンコ球がこぼれ落ちないようになっている。
【0031】
図8に示すように、通路ベース72は、案内通路62および球回収通路64を画成する壁部76,77,79〜83,86〜91が前方へ向けて立設された略箱状に形成される一方、通路カバー74は、略板状に形成されている。すなわち、案内通路62および球回収通路64は、通路ベース72の後側板部72aによって後側が画成されると共に、該後側板部72aの前面から前方に立設する壁部76,77,79〜83,86〜91によって上下または左右が画成されている。また、案内通路62および球回収通路64は、通路ベース72の前側を塞ぐ通路カバー74によって前側が画成されている。ここで、通路カバー74は、球回収通路64に対応する部位(カバー後段部74a)が案内通路62に対応する部位(カバー前段部74b)と比べて後方に位置する段状に形成されており、通路ベース72の後側板部72aとカバー後段部74aとの間がパチンコ球1個の通過を許容する寸法になっている。すなわち、球回収通路64は、前後寸法がパチンコ球1個の通過を許容する寸法で設定されるのに対して、球回収通路64よりもパチンコ球が多く流下する案内通路62の前後寸法が球回収通路64より広く設定されている。通路カバー74は、周縁に後方へ向けて延出形成された枠状の取付片75を備え、この取付片75を通路ベース72の周壁外面に突設された取付突起73に引っ掛けることで、通路カバー74が通路ベース72に取り付けられる。
【0032】
(案内通路62について)
図7に示すように、案内通路62は、中枠基体部44の左側上部にある中枠連絡口55の下方において開口する中枠溢れ口56から該中枠溢れ口56の右下に位置する前述した流出口63まで結ぶように形成されている。案内通路62は、通路ベース72の後側板部72aに対向形成された第1画壁部76および第2画壁部77によって上流側が画成され、第1画壁部76および第2画壁部77の下流側に連なる対向する壁片を備えた下流側画壁部79によって下流側が画成されている。そして、案内通路62は、中枠溢れ口56が臨む中枠基体部44の左側から中央部側に向かうにつれて全体として下方傾斜するよう形成されている。実施例の案内通路62は、中枠溢れ口56から斜め下側に横引きした上流側横案内部62aと、この上流側横案内部62aの下流端から下方に縦引きした縦案内部62bと、この縦案内部62bの下流端から斜め下側に横引きした下流側横案内部62cとからなり、これらの案内部62a,62b,62cによりクランク状に屈曲している。ここで、案内通路62は、第1画壁部76および第2画壁部77の間と、下流側画壁部79の対向する壁片79a,79bの間との夫々が、パチンコ球2個以上の通過を許容する幅に設定されると共に、前述の如く前後寸法も球回収通路64よりも広く設定され、中枠溢れ口56から流出口63に向けて多量のパチンコ球の流下を許容するようになっている。なお、案内通路62には、縦案内部62bの下流端に臨ませた球検知片78a(図7参照)の変位によって、案内通路62(下球受け皿17a)にパチンコ球が滞留しているか否かを検知する満量検知手段78が配設されている。
【0033】
(球回収通路64について)
図7に示すように、球回収通路64は、通路形成ユニット60を通路ユニット設置部44bに取り付けた状態で、遊技盤20の下方で開口する発射通路28の始端開口部28aの下側に繋がるように設けられ、該球回収通路64の下流端が案内通路62の縦案内部62bに合流するよう形成されている。球回収通路64は、該中枠基体部44の中央部下側に延在する案内通路62の下流側横案内部62cの上方に形成され、案内通路62の上流側横案内部62aおよび縦案内部62bと打球発射装置24との間に位置している。そして、パチンコ機10は、発射レール66の発射端66aから球回収通路64の上部を通るように発射通路28の始端開口部28aに向けて打ち出されたパチンコ球のうち遊技領域20aに到達しなかったファール球を、球回収通路64および案内通路62を介して下球受け皿17aに回収するよう構成されている。
【0034】
図7に示すように、球回収通路64は、通路ベース72の後側板部72aから前方に突出形成された壁部80〜83,86〜91によって、ファール球の流下経路が画成されている。球回収通路64は、発射レール66の発射端66aよりも下方に設けられ、発射レール66側(右側方)から離間する左側方(他側方)へ向かうにつれて下方傾斜する転動壁部80を備え、この転動壁部80が発射通路28の始端開口部28aの下方に位置して、該始端開口部28aの右側領域に対向するように延在している。また、球回収通路64は、転動壁部80の傾斜下端の左側方に離間して設けられ、上下方向に延在する第1縦壁部81と、発射レール66側から離間する左側方に向かうにつれて上方傾斜するように設けられ、転動壁部80の傾斜下端よりも上方に位置する傾斜下端が第1縦壁部81の上端に連なる段壁部82と、始端開口部28aと段壁部82の傾斜上端との間に設けられ、第1縦壁部81よりも発射レール66の発射端66aから離間する第2縦壁部83とを備えている。すなわち、発射レール66からのパチンコ球発射方向前側となる球回収通路64の上部左側は、第1縦壁部81、段壁部82および第2縦壁部83によって段状に画成されている。ここで、転動壁部80の傾斜下端と第1縦壁部81とは、パチンコ球1個の通過を許容する幅で離間しており、球回収通路64は、発射通路28の始端開口部28aに応じて幅広に設定された該球回収通路64の入口部分から前記段壁部82によって左右幅が狭められ、転動壁部80の傾斜下端と第1縦壁部81との間の中間通過口84によって更に左右幅が狭められる。そして、球回収通路64では、転動壁部80、第1縦壁部81、段壁部82および第2縦壁部83によって中間通過口84に案内されたファール球が、該中間通過口84から1個ずつ流下するようになっている。なお実施例では、第1縦壁部81の下端が転動壁部80の傾斜下端の左側方に位置している。
【0035】
図7に示すように、段壁部82の傾斜下端は、転動壁部80の傾斜下端よりもパチンコ球1個分以上上方に位置しており、段壁部82と転動壁部80との間に落差が設けられている。また、段壁部82は、パチンコ球1個分以上の左右幅に設定されており、第2縦壁部83は、第1縦壁部81よりも発射レール66の発射端66aからパチンコ球1個分以上離れている。このように、ファール球となるパチンコ球が当たる可能性が高い第2縦壁部83は、発射レール66の発射端66aから離れるだけでなく、傾斜上端が発射レール66側に連なっている転動壁部80からも離してある。第2縦壁部83の上部は、段壁部82に連なる下端よりも発射レール66の発射端66aから離れるように形成されている。実施例の第2縦壁部83は、段壁部82の傾斜上端に下端が連なって上下方向に延在する下側部分と、段壁部82よりも左右幅が狭小に設定された段部分を介して該下側部分の上側に連なる上側部分とを有し、段状に形成することで下側部分よりも上側部分が左側に位置している。なお、第2縦壁部83の上側部分および下側部分は、パチンコ球1個分以上の高さを夫々有し、段壁部82の傾斜上端が球回収通路64の入口64aからパチンコ球2個分以上下方へ離間している。また、段壁部82の傾斜下端は、発射レール66の発射端66aよりも僅かに上方に位置している。
【0036】
図7に示すように、球回収通路64の上部右側は、発射レール66の発射端66aの上方位置に通路ベース72に配設された緩衝部材85によって画成される。発射通路28は、始端開口部28aに連なる下部が、左側から右側に向かうつれて下方傾斜しているので、右斜め下方に向けて発射通路28から流下するファール球は、球回収通路64の上部右側に当たり易い。このため、球回収通路64の上部右側に設けられる緩衝部材85は、ゴム等の弾力性を有する材料が採用され、緩衝部材85に当たったファール球を減勢するようになっている。また、緩衝部材85は、上面が右から左に向かうにつれて下方傾斜すると共に、下面が右から左に向かうにつれて上方傾斜する発射レール66の傾斜に沿って延在している。なお、緩衝部材85の下面は、発射レール66の上方に対向して該発射レール66の傾斜に沿って中枠基体部44に設けられた発射案内壁部58の延長上に連なっている。緩衝部材85の下方には、右から左に向かうにつれて上方傾斜する発射レール66の傾斜に沿って延在する補助壁部86が設けられ、補助壁部86と緩衝部材85との間に発射レール66の発射端66aが臨み、発射レール66から打ち出されたパチンコ球が補助壁部86と緩衝部材85の下面との間を通過するようになっている。なお、補助壁部86は、発射レール66の底面の延長上よりも僅かに下方に配置されて、補助壁部86と発射レール66の発射端66a底面との間に発射レール66側が上段になるように段差を設けてある。これにより、仮に補助壁部86によってファール球が発射レール66側に案内されたとしても、前記段差によって発射レール66に流入し難くなっている。
【0037】
図7に示すように、球回収通路64は、転動壁部80の傾斜上端と補助壁部86の傾斜上端(発射レール66の発射端66a)との間に、転動壁部80の傾斜上端側から補助壁部86の傾斜上端(発射レール66の発射端66a)側に向かうにつれて上方傾斜するよう延在する規制壁部87を備えている。規制壁部87は、転動壁部80の傾斜上端に傾斜下端が接続されると共に、転動壁部80の傾斜上端よりも上方に位置する補助壁部86の傾斜上端に傾斜上端が接続されている。ここで、規制壁部87は、転動壁部80と同様に右側方から左側方に向かうにつれて下方傾斜するように形成されているが、規制壁部87は、転動壁部80の上面よりも急勾配に形成されている。すなわち、規制壁部87は、転動壁部80を介してパチンコ球が発射レール66に流入するのを防ぐ壁として設けられている。また、規制壁部87の傾斜上端と転動壁部80の傾斜上端との間は、パチンコ球の半径以上の段差が形成されるように設定されている。規制壁部87の傾斜上端は、緩衝部材85の左側面よりも僅かに左側方に位置しており、緩衝部材85に当たったパチンコ球が発射レール66に戻り難くなっている。
【0038】
図7に示すように、球回収通路64は、第1縦壁部81の下端に連なると共に、転動壁部80の下方において発射レール66側(左側方から右側方)に向かうにつれて下方傾斜するよう延在する第1案内壁部(案内壁部)88を備えている。第1案内壁部88は、第1縦壁部81および転動壁部80の傾斜下端間の中間通過口84を通過したパチンコ球を転動壁部80の下方に案内するようになっている。第1案内壁部88の上端は、第1縦壁部81の下端から下方へパチンコ球の流下に支障がない僅かな隙間をあけて配置されており、第1案内壁部88は、中間通過口84の下方から転動壁部80の下方にかけて延在している。また、球回収通路64は、規制壁部87の傾斜下端(転動壁部80の傾斜上端)の下方に連なる第2案内壁部89を備えている。第2案内壁部89は、上端が規制壁部87に連ねて上下方向に延在するよう形成され、第1案内壁部88の傾斜下端の右側方に離間配置されている。第1案内壁部88の傾斜下端と第2案内壁部89とは、パチンコ球1個の通過を許容する幅で離間するよう配置されている。また、第1案内壁部88の傾斜下端よりも下方位置には、第2案内壁部89から右側方に向けて延在するよう第3案内壁部90が形成されている。ここで、第3案内壁部90は、第1案内壁部88の下方において発射レール66側から左側方へ向かうにつれて下方傾斜するよう形成され、該第3案内壁部90の下流端が案内通路62を画成する第2画壁部77に連なっている。球回収通路64は、第1案内壁部88によって左側方から右側方へ向けて流下するように案内されたパチンコ球を第2案内壁部89で向きを変え、第2案内壁部89と第1案内壁部88の傾斜下端との間の変向通過口92を通過したパチンコ球を第3案内壁部90によって第1案内壁部88の下方に案内するようになっている。第3案内壁部90の下流端部の上方には、右側方から左側方に向かうにつれて第3案内壁部90に沿って下方傾斜する第4案内壁部91が形成され、第4案内壁部91は、傾斜上端が第1案内壁部88の中央部下面に連なると共に、下流端が第2画壁部77に接続されている。なお、第3案内壁部90と第4案内壁部91とは、パチンコ球1個の通過を許容する幅で離間配置されている。
【0039】
このように、球回収通路64の下部には、第1〜第4案内壁部88〜91によってパチンコ球を左側方から右側方へ案内した後に向きを変えて右側方から左側方へ案内して、下流端(接続口)64bが案内通路62の縦案内部62bに合流する蛇行した経路が形成されている。ここで、第3案内壁部90の下流端と第4案内壁部91の下流端とで規定される球回収通路64の流出端は、左側方へ向けて開口している。すなわち、下球受け皿17aの下皿給出口37aを介して針金等の不正具を外方から侵入させた場合、該不正具は案内通路62の下流側横案内部62cに沿って右側方から左側方へ進むことになり、左側方へ向けて開口する球回収通路64の流出端に対して不正具を侵入させるのは非常に困難にし得る。
【0040】
図7に示すように、転動壁部80の下面には、下方に向けて延出する上部規制リブ93が複数(実施例では3本)設けられている。複数の上部規制リブ93は、パチンコ球が間に入らない間隔で左右に並べて配置され、上部規制リブ93は、右側方に位置するもの程、転動壁部80の下面から下方への延出寸法が大きくなるように形成されている。そして、第1案内壁部88の上方に位置する上部規制リブ93の延出端と第1案内壁部88の上面との上下間隔は、パチンコ球1個の通過を許容する幅に設定されている。すなわち、第1案内壁部88は、左側方から右側方へ向かうにつれて下方傾斜するよう形成されているので、第1案内壁部88の上面は下流側に向かうにつれて転動壁部80の下面から離れることになるが、延出寸法を変えた複数の上部規制リブ93によって、実質的な上下の通路幅としてはパチンコ球1個が通過可能な幅となっている。第1案内壁部88と第2案内壁部89との間の変向通過口92の上方位置には、最も右側にある上部規制リブ93(区別する場合は屈曲上部規制リブ93Aという)が配置されており、屈曲上部規制リブ93Aは、下方へ向けて延出した後に右側方へ屈曲するよう形成されている。このように、屈曲上部規制リブ93Aは、延出端側が左側方から右側方へ向かうにつれて下方傾斜しており、第1案内壁部88に沿って流下したパチンコ球を該延出端側の傾斜によって、変向通過口92へ向けて案内するようになっている。
【0041】
図7に示すように、第1案内壁部88の下面には、下方に向けて延出する下部規制リブ94が複数(実施例では2本)設けられている。複数の下部規制リブ94は、パチンコ球が間に入らない間隔で左右に並べて配置され、下部規制リブ94は、左側方に位置するもの程、第1案内壁部88の下面から下方への延出寸法が大きくなるように形成されている。そして、第3案内壁部90の上方に位置する下部規制リブ94の延出端と第3案内壁部90の上面との上下間隔は、パチンコ球1個の通過を許容する幅に設定されている。すなわち、第3案内壁部90は、右側方から左側方へ向かうにつれて下方傾斜するよう形成されているので、第3案内壁部90の上面は下流側に向かうにつれて第1案内壁部88の下面から離れることになるが、延出寸法を変えた複数の下部規制リブ94によって、実質的な上下の通路幅としてはパチンコ球1個が通過可能な幅となっている。このように、球回収通路64は、上部規制リブ93および下部規制リブ94によって下球受け皿17aから接続口64bを介した針金等の不正具の侵入防止が図られている。
【0042】
(第1シャッタ機構100について)
図5および図7に示すように、通路ベース72には、中枠13に対する前枠14(球皿部材側)の開閉状態に応じて案内通路62の流出口63を開閉し得る第1シャッタ機構(シャッタ機構)100が配設されている。第1シャッタ機構100は、通路ベース72において流出口63の底面を画成する第1画壁部76の下流端の下側にあるシャッタ機構設置部72b(図8参照)に設置されている。図9に示すように、第1シャッタ機構100は、前記シャッタ機構設置部72bにネジ止めして取り付けられるシャッタベース101と、このシャッタベース101にスライド変位可能に配設され、流出口63を開閉するシャッタ本体102と、流出口63を閉じる方向へシャッタ本体102を付勢する弾性部材106と、シャッタ本体102の前面に設けられ、前枠14(球皿部材側)に設けられた押圧部120との当接によりシャッタ本体102を開く方向へ変位させるガイド部108を備えている。ここで、通路カバー74の前面には、流出口63の上および左右を囲うように前方へ延出する庇片95aを備えた補助カバー95が取り付けられ、この庇片95aの外周は金属製の補強枠96が取り付けられている。このように、庇片95aの外周を補強枠96で補強することで、庇片95aを壊して不正具を遊技盤20側へ侵入させる不正行為の防止が図られている。
【0043】
図9および図10に示すように、シャッタベース101は、板状本体部の上下の縁部に前方へ向けて延出する一対のベース延出片101a,101a有し、両ベース延出片101a,101aの間にシャフト105が上下方向に架設されている。シャッタベース101は、上側のベース延出片101aの左右幅がシャッタ本体102の左右幅に合わせて形成される一方、下側のベース延出片101aの左右幅がシャッタ本体102の左右幅よりも狭小に形成されている。なお、実施例のシャッタベース101およびシャフト105は、金属製である。
【0044】
図9に示すように、シャッタ本体102は、矩形板状の開閉板部103と、この開閉板部103の後側の下寄りに設けられた保持部104とを備え、シャッタ本体102は、保持部104を介してシャッタ本体102のスライド変位方向に延在するシャフト105にスライド変位可能に保持されている。開閉板部103は、流出口63の左右幅に合わせた左右幅で形成されている。保持部104は、開閉板部103の後面から後方へ延出するよう形成された板状部分であって、左右方向中央部に上下に貫通する保持孔104aが形成されている。シャッタ本体102は、保持孔104aに挿通したシャフト105に保持され、シャフト105によって前後左右方向の変位が規制される一方、シャフト105に沿った上下方向のスライド変位が許容される。なお、保持部104の下面には、保持孔104aを囲んで下方へ突出する保持ボス104bが設けられ、保持ボス104bによって保持孔104a周りを補強している。そして、シャッタ本体102は、開閉板部103が流出口63の前方に位置して該流出口63からのパチンコ球の流出を規制する規制位置(図10(b)参照)と、開閉板部103が流出口63の開口外側方向(実施例では下方)へ退避して該流出口63からのパチンコ球の流出を許容する許容位置(図10(a)参照)との間でスライド変位するようになっている。
【0045】
図9に示すように、弾性部材106は、コイルばねが用いられる。弾性部材106は、シャフト105を囲んで保持部104の下面と下側のベース延出片101aの上面との間に設置され、保持部104(シャッタ本体102)を許容位置から規制位置へ向けた上方へ弾力的に押すようになっている。弾性部材106に弾力的に付勢されたシャッタ本体102は、前記ガイド部108に前枠14の押圧部120が当接していない自由状態で、上側のベース延出片101aによって保持部104が上方への移動規制されて、前記規制位置で保持される(図10(b)参照)。ここで、シャッタ本体102は、前記規制位置において、流出口63の底面よりも開閉板部103の上端がパチンコ球1個分以上上方に位置し、流出口63の上縁と開閉板部103の上端との間の隙間がパチンコ球の直径よりも狭小になっている。そして、シャッタ本体102は、前記許容位置において、流出口63の底面よりも開閉板部103の上端が下方に位置している(図10(a)参照)。
【0046】
図9および図10に示すように、シャッタ本体102における開閉板部103の前面には、前記規制位置側(実施例では上方)から前記許容位置側(実施例では下方)に向かうにつれて前方へ突出するように傾斜する当接面108aを備えたガイド部108が形成されている。ガイド部108は、左右方向に並ぶ複数の板状片で構成され、側面視において各板状片は斜辺が前方に指向する略直角三角形状に形成されている。なお、ガイド部108の上端は、開閉板部103の上端よりも下方に位置している。また、ガイド部108において隣り合う板状片の間は、左右方向に延在する連結片108bで繋がれて補強されている。ガイド部108は、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で、前枠14の押圧部120が当接面108aの上部に当接して、該押圧部120によってガイド部108の上方(規制位置側)への変位が阻まれる。ガイド部108は、前枠14を中枠13から開放した状態で押圧部120が離間し、これにより弾性部材106の付勢によるシャッタ本体102の上方変位につれて流出口63の前方に重なるように変位している。ガイド部108は、前枠14を中枠13に対して閉鎖する際に、当接面108aの中腹に当接した押圧部120によって後方へ押圧されると、当接面108a自体の傾斜によって弾性部材106の付勢に抗して下方へ逃げるように変位し、これに伴いシャッタ本体102を許容位置に向けて下方へ変位させるようになっている。
【0047】
図3および図4に示すように、前枠14には、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で案内通路62の流出口63に対応した位置に、前後方向に連通する下皿連絡通路(球皿側通路)37が設けられ、この下皿連絡通路37の下流端となる下皿給出口37aが下球受け皿17aに開口している。そして、下皿連絡通路37の上流側となる入口部37bは、前枠基体部15の後面から後方へ延出形成され、この入口部37bで画成される後方開口は、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態でシャッタ本体102が退避して開放された流出口63に繋がり、流出口63を通過したパチンコ球が下皿連絡通路37を介して下球受け皿17aに案内されるようになっている。ここで、下皿連絡通路37の後方開口は、流出口63に略合わせた形状および大きさで形成され、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で流出口63と後方開口とが整合するようになっている。下皿連絡通路37の後方開口の底面は、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で、流出口63の底面と同一高さかあるいは僅かに低くなっており(図10(a)参照)、流出口63の底面と後方開口との底面との間に後方開口側が高くなる段差が少なくとも生じないようにしてある。下皿連絡通路37の入口部37bは、流出口63を囲う前記補助カバー95の庇片95aの内側に挿入される。また、入口部37bの外周には、金属製の補強部材124が取り付けられている。このように、入口部37bの外周を補強部材124で補強することで、入口部37bを壊して不正具を遊技盤20側へ侵入させる不正行為の防止が図られている。下皿連絡通路37の入口部37b(押圧部120)の下方には、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で、第1シャッタ機構100のガイド部108の下部を収容するガイド収容部123が前方へ向けて凹設されている。
【0048】
図3および図4に示すように、下皿連絡通路37の入口部37bは、前枠14(前枠基体部15)の後面から後方へ突出する筒状に形成されており、押圧部120は該入口部37bの外周下部に設けられている。ここで、押圧部120は、下皿連絡通路37の底面を画成する底壁部分121の後端縁と、該底壁部分の下側に設けられたガイド受部122とから構成されている。ガイド受部122は、底壁部分121の下側に該底壁部分121に沿って左右に延在する下延部122aと、この下延部122aの左右両端および底壁部分121の間を繋ぐように上下に延在する左右の側延部122b,122bとから構成されている(図4参照)。すなわち、実施例の押圧部120は、底壁部分121およびガイド受部122によって枠状に形成されている。また、押圧部120は、ガイド受部122の後端面が上方(規制位置側)から下方(許容位置側)へ向かうにつれて前方へ偏倚するように傾斜しており、このガイド受部122の後端面の傾斜は、ガイド部108の当接面108aの傾斜に合わせて形成されている。このように、押圧部120は、ガイド受部122が底壁部分121の後端面より前方に凹んでおり、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で、ガイド部108の上端部がガイド受部122に収まると共に底壁部分121の後端面が開閉板部103の上縁前面に当接し、ガイド受部122の後端面とガイド部108の当接面108aとの当接によってガイド部108(シャッタ本体102)の上方への移動を規制している(図10(a)参照)。
【0049】
図7に示すように、通路ベース72のシャッタ機構設置部72bには、シャッタ本体102を挟む左右両側に、シャッタ本体102のスライド変位方向である上下方向に延在する一対の誘導片97,97が設けられている。両誘導片97,97は、通路ベース72の後側板部72aの前面から前方へ突出するように形成されており、シャッタ本体102の開閉板部103の側方に位置して、シャッタ本体102の側方への変位を規制するようになっている。また、各誘導片97の上方には、通路カバー74における流出口63の側部開口縁が連なっており、該側部開口縁が規制位置側にスライド変位したシャッタ本体102の側方に位置して、シャッタ本体102の側方への変位を規制するようになっている。ここで、シャッタ本体102の開閉板部103は、上部の左右角部が面取りされており、規制位置と許容位置との間のシャッタ本体102のスライド移動に際して、誘導片97,97に開閉板部103が引っ掛かり難くなっている。第1シャッタ機構100は、シャッタ機構設置部72bに設置した状態で、上側のベース延出片101aの前端が流出口63の底面を画成する第1画壁部76の前端と前後位置が揃い、シャッタ本体102の開閉板部103の後面が第1画壁部76の前端および上側のベース延出片101aの前端で支持される。また、シャッタ本体102には、開閉板部103の後面両側縁から後方へ延出すると共に保持部104の下面に繋がる一対の支持片109,109が形成され、この支持片109の後端と保持部104の後端との前後位置が揃っている。そして、シャッタ本体102は、開閉板部103の後面が第1画壁部76の前端および上側のベース延出片101aの前端に支持されると共に、両支持片109の後端がシャッタベース101の前面に当接することで、前後方向の変位が規制される。
【0050】
図8に示すように、通路カバー74には、中枠連絡口55の前方開口に対応して払出口65が形成されており、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で、前枠14(前枠基体部15)の後面に後方へ突出するように形成された上皿連絡通路36の後端部が払出口65に挿入されて、中枠連絡口55と上皿連絡通路36とが繋がるようになっている。ここで、通路カバー74には、中枠13に対する前枠14(球皿部材側)の開閉状態に応じて中枠連絡口55の前方開口を開閉し得るシャッタ板112を有する第2シャッタ機構110が払出口65に配設されている。
【0051】
(第2シャッタ機構110について)
図8に示すように、第2シャッタ機構110は、払出口65の上縁にシャッタ支持軸111で上部が軸支されたシャッタ板112を有している。シャッタ板112は、自重により垂下して払出口65(中枠連絡口55の前方開口)をパチンコ球の通過を阻むように塞ぐ閉成姿勢と、この閉成姿勢から後方へ退避して払出口65をパチンコ球の通過を許容するように開放する開放姿勢との間で回動するようになっている。シャッタ板112の上部には、前方に突出する回動規制片(図示せず)が設けられており、この回動規制片が払出口65の上縁に当接することで、シャッタ板112の閉成姿勢から前方への回動を規制するようになっている。第2シャッタ機構110は、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態で、払出口65に挿入された上皿連絡通路36の後端部によってシャッタ板112が開放姿勢に保持される。また、第2シャッタ機構110は、前枠14を中枠13から開放した状態で、上皿連絡通路36の後端部が払出口65から退避することにより、シャッタ板112が自重により閉成姿勢となり、この際、回動規制片によってシャッタ板112の前方への回動が規制されているので、中枠連絡口55からのパチンコ球の流下が阻まれる。そして、第2シャッタ機構110は、前枠14を中枠13に対して閉鎖する際に、払出口65に挿入される上皿連絡通路36の後端部によってシャッタ板112が後方へ回動される。なお、上皿連絡通路36の後端部は、前枠基体部15の後面から後方に突出形成された筒状部分であって、左側部を軸とした前枠14の中枠13に対する開閉に際して、払出口65に干渉しないよう、該後端部の右側縁が前方へ凹むように切り欠かれている。
【0052】
(実施例の作用)
実施例のパチンコ機10は、発射操作ハンドル18を回動操作すると、打球発射装置24のロータリーソレノイド67で回動された打球杆68により、発射レール66の発射待機位置にあるパチンコ球が打ち出される。発射レール66に案内されたパチンコ球は、球回収通路64の上部を右側から斜め左上側に向けて通過し、球回収通路64の上方に繋がる始端開口部28aを介して遊技盤20の発射通路28に入り、発射通路28を通って遊技領域20aに打ち出される。ここで、パチンコ球の発射の勢いが弱い場合には、発射通路28に至ったものの遊技領域まで到達しなかったり、または発射通路28に到達しない、ファール球が発生することがあるが、このようなファール球は球回収通路64に回収される。例えば発射通路28を左上から右下に向けて流下するパチンコ球は、球回収通路64の右側上部に配置された緩衝部材85に主にぶつかって落下し、転動壁部80の上面の傾斜や段壁部82の上面の傾斜などによって案内されて、転動壁部80の傾斜下端と第1縦壁部81との間の中間通過口84に集められる。
【0053】
前記パチンコ球の発射の勢いが弱く発射通路28に至らないファール球の多くは、発射レール66の発射端66aと反対側に位置する球回収通路64の左側上部にぶつかり、該左側上部によって発射レール66側の右側方に向けて弾き返される。ここで、球回収通路64の左側上部は、左側方に向けて凹むように形成され、発射レール66から打ち出されたファール球があたる可能性が高い球回収通路64の左側上部を画成する第2縦壁部83が発射レール66の発射端66aから離れているので、仮にファール球が第2縦壁部83に当たったとしても、発射レール66にファール球が戻ることを防止できる。また、第2縦壁部83の上部は、段壁部82に連なる下端よりも左側方へ凹むように段状に形成されているから、第2縦壁部83の下部にぶつかるファール球よりも勢いがあるファール球がぶつかる可能性が高い第2縦壁部83の上部を、発射レール66側からより離すことができ、球回収通路64の左側上部にぶつかったファール球が、発射レール66に戻ることをより確実に防止できる。更に、球回収通路64の左側上部に弾き返されたり、発射通路28から流下したファール球が、転動壁部80の上面を逆流するように転動したしたとしても、転動壁部80の傾斜上端に連なる該転動壁部80よりも急勾配の規制壁部87によってファール球の逆流が阻まれるので、発射レール66にパチンコ球が戻ることをより確実に防止できる。
【0054】
前記球回収通路64において中間通過口84に集められたファール球は、転動壁部80および第1案内壁部88の間を左側から右側へ案内された後、第2案内壁部89で変向されて、第1案内壁部88および第3案内壁部90との間、更には第4案内壁部91および第3案内壁部90の間を左側から右側に案内される。このように、ファール球は、中間通過口84から第1〜4案内壁部88〜91によって形成された蛇行した経路を通って案内通路62の縦案内部62bに流下する。ここで、球回収通路64の下流側では、中間通過口84、転動壁部80の下面に設けた上部規制リブ93と第1案内壁部88との間、第1案内壁部88の傾斜下端と第2案内壁部89との間の変向通過口92、第1案内壁部88の下面に設けた下部規制リブ94と第3案内壁部90との間、第3案内壁部90と第4案内壁部91の間の夫々が、パチンコ球1個の通過を許容する幅であると共に、通路ベース72の後側板部72aと通路カバー74のカバー後段部74aとの前後間隔が、パチンコ球1個の通過を許容する幅になっている。このように、球回収通路64の下流側は、ダール球が1個ずつ流下し得る最小限の幅になっているので、下皿給出口37aを介して球回収通路64の下流側に針金等の不正具を侵入させることが難しく、また球回収通路64の下流側で経路が蛇行しているので、不正具を上流側へ進行させることも難しい。
【0055】
前記下皿給出口37aから不正具を球回収通路64の下流側に侵入させる場合、不正具の先端を案内壁部88〜91に沿わして進行させることになるが、第1案内壁部88と第3案内壁部90との間では第1案内壁部88の下面に設けた下部規制リブ94に引っ掛かけて不正具の上流側への進行を阻むことができる。また、転動壁部80と第1案内壁部88との間では、転動壁部80の下面に設けた上部規制リブ93によって不正具の上流側への進行を阻むことができる。ここで、変向通過口92の上方に設けた屈曲上部規制リブ93Aは、球回収通路下流側に屈曲した延出端が忍び返しのように機能するので、不正具の進行をより的確に阻むことができる。
【0056】
実施例の球回収通路64は、発射レール66へのファール球の戻りを防止するために、第2縦壁部83を発射レール66の発射端66aから離間して該発射端66aが臨む上流側を幅広に形成してあるが、該第2縦壁部83の下流側に位置する第1縦壁部81と転動壁部80の傾斜下端との間隔が最小限に抑えられているので、下球受け皿17a側から針金などの不正具を挿入する不正行為を防止できる。また、第1縦壁部81と転動壁部80の傾斜下端との間の中間通過口84に連なる経路は、中間通過口84の下方に直線的に繋がるのではなく、第1案内壁部88によって曲げられるので、不正具の侵入をより的確に防止することができる。このように、実施例の球回収通路64によれば、発射レール66へのファール球の戻り防止と該球回収通路64を介した不正行為防止とを両立し得る。
【0057】
前記パチンコ機10は、前枠14が中枠13に対して閉鎖された状態で、前枠14の押圧部120との当接によりガイド部108の上方への変位が規制されてシャッタ本体102が流出口63の下方へ退避した許容位置に保持されることで、案内通路62の流出口63と下皿連絡通路37とが繋がり、案内通路62を介して流下したパチンコ球(賞球、貸し球やファール球)が下皿連絡通路37を通って下球受け皿17aに給出される。前枠14を中枠13から開放する際には、前枠14の押圧部120が中枠13側から離れるにつれて、弾性部材106の付勢によりシャッタ本体102が徐々に上方へスライド変位し、流出口63の下方に退避していたシャッタ本体102が流出口63の前方に次第に重なり、押圧部120がガイド部108から離れた前記許容状態では、シャッタ本体102によって流出口63からのパチンコ球の流下が規制される。これにより、前枠14を中枠13から開放した状態では、案内通路62と下皿連絡通路37との連通状態が解除されて流出口63の前側が開放されるが、シャッタ本体102によって流出口を塞いでいるので、流出口63からのこぼれ球を防止できる。
【0058】
例えば上縁を回動可能に軸支した板材で流出口63を塞ぐ場合には、流出口63を介して案内通路62と下皿連絡通路37との間にパチンコ球が並んだ状態にあると、パチンコ球に阻まれて板材が回動できないおそれがあり、また板材の回動途中でパチンコ球が板材と通路との間に挟まることもある。これに対して、実施例のシャッタ本体102は、流出口63からのパチンコ球の流通方向と交差するようにスライド変位する構成であるので、シャッタ本体102の変位経路上にパチンコ球があったとしても、シャッタ本体102の開閉板部103の上縁でパチンコ球を押しのけて 許容位置から規制位置に向けてスライド変位させることができる。しかも、許容位置から規制位置に向けてスライド変位するシャッタ本体102によって押されたパチンコ球は、案内通路62側または下皿連絡通路37側の何れかに移動するから、シャッタ本体102と案内通路62との間にパチンコ球が噛み込むことを防止し得る。このように、実施例の第1シャッタ機構100によれば、前枠14を中枠13から開放した状態で、流出口63からのこぼれ球を的確に防止し得る。
【0059】
前記前枠14を中枠13に対して閉鎖する際には、前枠14の押圧部120がガイド部108の当接面108aにおける中腹部に当接し、前枠14が中枠13側に近づくにつれて押圧部120によってガイド部108が後方へ押され、傾斜した当接面108aによってガイド部108に押圧部120の押圧経路上から逃げる方向に力が加わることで、弾性部材106の付勢に抗してシャッタ本体102が規制位置から許容位置に向けて次第にスライド変位する。そして、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態では、押圧部120の底壁部分121がシャッタ本体102の開閉板部103の上縁に当接すると共に、該底壁部分121より前方に凹んだガイド受部122と開閉板部103との間にガイド部108の上端部が収まって、ガイド受部122によって弾性部材106で上方へ付勢されたガイド部108のスライド変位が規制されることで、シャッタ本体102が流出口63の外側に退避した許容位置で保持される。このように、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態では、ガイド部108の一部が押圧部120の凹部分であるガイド受部122に収まるので、案内通路62と下皿連絡通路37との接続に際してガイド部108が邪魔にならない。また、ガイド受部122を前方へ凹ませることで、流出口63の底面を画成する下流側画壁部79の底壁片79aの前端と下皿連絡通路37の底面を画成する押圧部120の底壁部分121とを近付けて隙間を抑えることができ、案内通路62から下皿連絡通路37にスムーズにパチンコ球を流下させることができる。そして、前枠14を中枠13に対して閉鎖した状態において、流出口63の底面を画成する底壁片79aの前端と下皿連絡通路37の底面を画成する押圧部120の底壁部分121とを揃うように構成することで、案内通路62から下皿連絡通路37によりスムーズにパチンコ球を流下させることができる。
【0060】
前記前枠14は中枠13に対して左側部を軸として回動するので、前枠14の後面からの押圧部120の突出量が大きくなれば、前枠14の中枠13に対する開閉時に中枠13側の部材と押圧部120とが干渉する可能性が高くなるので、押圧部120や前枠14の開閉に伴う押圧部120の回動軌跡上にある中枠13側の部材の設計自由度が低くなる。実施例の第1シャッタ機構100によれば、シャッタ本体102の前側に突出形成されたガイド部108と前枠14の押圧部120との当接によってシャッタ本体102をスライド変位させるので、後方へ向けた押圧部120の突出量を最小限に抑えることができる。すなわち、コンパクトな構成で、前枠14を中枠13から開放した際に案内通路62の流出口63からのパチンコ球の流出を適切に規制し得る。
【0061】
前記第1シャッタ機構100は、一対の誘導片97,97によってシャッタ本体102の側縁を案内し得るので、シャッタ本体102のスライド変位に際して両誘導片97,97の対向方向へのガタツキを防止し得る。また、シャッタ本体102は、シャフト105によって規制位置と許容位置との上下方向のスライド変位が許容される一方、前後左右の変位が規制されているので、シャッタ本体102のスライド変位に際してガタツキを防止し得る。このように、第1シャッタ機構100は、両誘導片97,97およびシャフト105によってシャフト本体102の傾きや捩れなどの意図しない姿勢を抑えているので、シャフト本体102の規制位置と許容位置とのスライド変位を円滑に行い得ると共に、シャフト本体102が周辺の部材に引っ掛かって作動不良するような事態も回避し得る。すなわち、実施例の第1シャッタ機構100によれば、前枠14を中枠13から開放した際に案内通路62の流出口63からのパチンコ球の流出を適切に規制し得ると共に、前枠14を中枠13に対して閉鎖した際に流出口63におけるパチンコ球の通過を邪魔しない。
【0062】
(変更例)
なお、遊技機の構成としては、実施例のものに限らず、種々の変更が可能である。
(1)実施例では、遊技機としてパチンコ機を例示して説明したが、これに限られるものではなく、アレンジボール機やピンボール機、スロットマシン機等の各種遊技機を採用し得る。
(2)実施例では、前枠と一体形成された球皿部材を例に挙げたが、上下の球皿部材の一方または両方を前枠と別体に形成してもよい。また、球皿部材は、前枠または中枠に対して回動可能に軸支して、軸支対象に対して球皿部材を開閉し得る構成であってもよい。
(3)実施例では、上下2つの球皿部材を備えた所謂「二枚皿タイプ」を例示したが、1つの球皿部材だけを備えた所謂「一枚皿タイプ」であってもよい。
【0063】
(4)案内通路および球回収通路を画成する壁部は、隙間なく連続して延在する構成に限られず、パチンコ球の流下を妨げない隙間があってもよい。
(5)球回収通路の下流端を案内通路に合流させたが、発射通路の始端開口部から球受け皿に繋がる球回収通路を設け、この球回収通路に案内通路の下流端を合流させてもよい。球回収通路と案内通路との合流位置は、中途部位に限られず、下流部であってもよい。
(6)球回収通路の第1縦壁部および第2縦壁部は、上下に延在する構成に限られず、傾いていてもよい。
【0064】
(7)第2シャッタ機構に代えて、前枠(球皿部材側)の中枠に対する開閉に応じて、第1シャッタ機構と同様の構成で払出口(中枠連絡口)を開閉してもよい。
(8)シャッタ本体は、流出口の上方に位置する許容位置と規制位置との間を上下方向にスライド変位したり、流出口の横側に位置する許容位置と規制位置との間を左右方向にスライド変位する構成であってもよい。
(9)シャッタ本体を付勢する弾性部材は、コイルばねに限定されず、トーションばね等のその他のばねやゴムなどのシャッタ本体に対して付勢力を与えることができるものであればよい。
(10)押圧部は、シャッタ機構のガイド部に当接してシャッタ本体を作動できれば、下皿連絡通路(球皿部材側通路)の外周から離れていてもよい。
【符号の説明】
【0065】
13 中枠(本体枠)
17 下球皿部材(球皿部)
20 遊技盤
20a 遊技領域
28 発射通路
28a 始端開口部(開口部)
58 発射案内壁部
64 球回収通路
66 発射レール
66a 発射端
67 ロータリーソレノイド(打球機構)
68 打球杆(打球機構)
80 転動壁部
81 第1縦壁部
82 段壁部
83 第2縦壁
85 緩衝部材
8 第1案内壁部(案内壁部)
93 規制リブ(規制部)
図1
図2
図3
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図7
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図9
図10