(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明に係る電気掃除機について、図面を参照しながら説明する。ここでは、一例としてサイクロン分離式集塵装置を具備する電気掃除機について説明するが、この発明は、サイクロン分離式の電気掃除機に限定されるものでない。例えば、同じサイクロン分離式集塵装置であっても、垂直円筒型のサイクロン集塵部を有する電気掃除機、紙パック式の集塵部を有する電気掃除機などにも、この発明に係る技術を同様に適用することができる。
【0010】
実施の形態1.
[電気掃除機の構成]
図1はこの発明の実施の形態1に係る電気掃除機の外観斜視図である。
図1に示すように、電気掃除機100は、吸込具1と、延長パイプ2と、手元ホース3と、ホース4と、掃除機本体5とを備えている。吸込具1は、床面上等の塵埃を空気とともに吸い込む。床面やじゅうたん等の被掃除面の塵埃をかきあげる回転ブラシ(図示せず)と、この回転ブラシを駆動するブラシモータである電動機19を内蔵している。回転ブラシには被掃除面に接触し塵埃をかきあげる植毛(図示せず)がある。回転ブラシはベルトなどを介して、電動機19により駆動される。
【0011】
吸込具1の出口側にはまっすぐな円筒状の延長パイプ2の一端が接続されている。延長パイプ2の他端には、電気掃除機100の運転を制御する操作スイッチ8が設置された取手が設けられた手元ホース3の一端が接続されている。操作スイッチ8は、電動送風機9の吸引風の強弱と停止を切り替えるスイッチである。手元ホース3の他端には、可撓性を有する蛇腹状のホース4の一端が接続されている。さらに、ホース4の他端には掃除機本体5が接続されている。
【0012】
掃除機本体5の後部には車輪6を備えており、掃除機本体5の前方下面に備えた前キャスター(図示せず)と車輪6とにより、掃除機本体5は移動可能になっている。また、掃除機本体5には電源コード7が接続されており、電源コード7が外部電源に接続されることで通電し、電動送風機9(
図3参照)が駆動されて吸引動作を行う。吸込具1、延長パイプ2、手元ホース3及びホース4は、塵埃を含む空気である含塵空気を掃除機本体5の外から内部に流入させるための吸引経路の一部を構成する。
【0013】
操作スイッチ8を操作し、電動送風機9及び電動機19を駆動させることで、吸込具1により被掃除面の塵埃はかきあげられ、延長パイプ2、ホース4および掃除機本体5へと搬送され、掃除機本体5に内蔵された集塵部20に集塵される。そして、吸引風は掃除機本体5より排出される。
【0014】
図2は、この発明の実施の形態1に係る電気掃除機の掃除機本体から集塵部20を取り外した状態の斜視図である。また、
図3は、この発明の実施の形態1に係る電気掃除機の掃除機本体から集塵部を取り外した状態の断面図である。
図2、
図3に示すように、掃除機本体5は、本体ケース10と、集塵部20とを備えている。
【0015】
掃除機本体5の外殻を構成する本体ケース10は、上部を開口し電動送風機9や各種制御基板(図示せず)を収容する下ケース11と、下ケースの開口部を覆う上ケース12と、ホース4を接続可能なホース接続口13とを備えている。このホース接続口13は、掃除機本体5に吸引される空気の入口である。上ケース12の上面は、集塵部20を載置可能な形状に構成されている。
【0016】
本体パイプ14は各種樹脂で構成されていて、ホース4が接続されるホース接続口13と集塵部20とを接続する機能を有する。また、本体パイプ14は、ほぼ筒形状の集塵部20の長手方向に沿うようにして本体ケース10の上に載置されている。本体パイプ14の集塵部20と接続される方の端部には、集塵部接続口15が開口している。
【0017】
排気孔16は、電動送風機9からの排気を外部に排出するために設けられた多数の孔で構成され、集塵部20を中心に本体パイプ14と左右ほぼ対称の位置に配置されている。
【0018】
上ケース12の上面であって電動送風機9のほぼ真上の位置には、本体流入口17が開口している。集塵部20から流出した空気は、本体流入口17を通り、本体ケース10に内蔵された電動送風機9に吸引される。
【0019】
集塵部20は、電動送風機9の吸引力により吸引された空気に含まれる塵埃を捕集するものであり、掃除機本体5への吸引空気の入口であるホース接続口13から電動送風機9へ至る吸引経路の一部を構成している。集塵部20の集塵方式は、サイクロン方式あるいは紙パック方式のいずれでもよい。集塵部20は全体として外殻がほぼ筒状の箱体であり、その内部にはサイクロン方式により集塵するための旋回室及び集塵室が設けられている。集塵部20には、集塵部20への空気の入口として集塵部流入口21が、集塵部20からの空気の出口として集塵部流出口22がそれぞれ開口している。また、集塵部20を本体ケース10に着脱可能に取り付けるための集塵部固定部23が設けられている。集塵部固定部23は、例えば鉤状に形成されており、この鉤状部分を本体ケース10に形成された集塵部固定穴18に係合させることにより、集塵部20を本体ケース10に取り付けることができる。
【0020】
本体ケース10内であって、本体流入口17から電動送風機9へ至る経路上には、1次フィルター41と2次フィルター42が設けられている。1次フィルター41と2次フィルター42は、集塵部20から排出された空気に含まれる微細な塵埃を捕集するためのものである。掃除機本体5に吸引された空気に含まれる塵埃は、基本的には集塵部20に捕集されるが、この集塵部20で捕集しきれなかった微細な塵埃を電動送風機9に吸引させないために、1次フィルター41と2次フィルター42を設けている。1次フィルター41及び2次フィルター42は、例えばハニカム形状、コルゲート形状、プリーツ形状、平板形状に形成された不織布で構成されている。2次フィルター42の方が1次フィルター41よりもフィルターの目が細かく、1次フィルター41を通過した微細な塵埃を2次フィルター42で捕集する。
【0021】
[掃除状態検出センサ32の構成]
次に、掃除状態検出センサ32について
図4から
図8を用いて説明する。
図4はこの発明の実施の形態1に係る手元ホース3を示す外観斜視図である。また、
図5はこの発明の実施の形態1に係る手元ホース3の縦断面図である。手元ホース3は、接続管51と、握り部52と、蓋部53から成っている。接続管51は、ホース4が接続されるホース接続部51aと、延長パイプ2が接続される延長パイプ接続部51bから成り、54は縦割りに2分割されたホースカバーである。掃除状態検出センサ32は、手元ホース3に内蔵される。
【0022】
図6は、手元ホースの掃除状態検出基板の支持方法を説明する要部拡大図である。また、
図7は
図6のI−I線断面図である。
図5、
図6、
図7に示すように、掃除状態検出センサ32が搭載された掃除状態検出基板58は、掃除状態検出センサ32が搭載される面の反対側(裏面)に、支持壁59(ダンパー手段の一部)と紙面と直交する方向(Z方向)に摺動可能に当接する。また、掃除状態検出基板58は、下端を接続管51から蓋部53側に突出した下押さえリブ55(ダンパー手段の一部、案内壁)の段部下面55a及び段部側面55bとZ方向に摺動可能に当接し、上端をたとえばウレタンなどの弾性体を材料とした上押さえ保持具56(弾性体)によって支持されている。下押さえリブ55及び支持壁59は、掃除状態検出基板58に対し、掃除状態検出基板58の動く速度に比例した摩擦力が生じ、掃除状態検出基板58の動きを抑制するダンパー手段である。上押さえ保持具56は、手元ホース3の筐体の一部を構成する蓋部53から接続管51側に突出した上押さえリブ57によって(上押さえリブ57を介して)支持されている。上押さえ保持具56は掃除状態検出基板58または上押さえリブ57のどちらか一方あるいは両方と両面テープなどによって粘着しても良い。
【0023】
図8は、この発明の実施の形態1に係る掃除状態検出基板58に設けられた掃除状態検出センサ32の内部構造を説明する断面図である。
図8(a)は、掃除状態検出センサ32の姿勢が垂直(Y方向)に保持された場合、
図8(b)は、掃除状態検出センサ32の姿勢が水平に保持された場合の可動接片40の状態を示す。
図9は、この発明の実施の形態1に係る電気掃除機の掃除状態検出センサ32を掃除状態検出基板58に取り付ける方法を説明する図である。
【0024】
掃除状態検出センサ32は、略円形の電極平面部37c、38cと、電極平面部37c、38cの外縁を起立させた電極側面部37a、37b、38a、38bからなる略凹型状の2つの電極37、38と、導電性を有する、たとえば球状の可動接片(可動体)40とで構成され、略凹型状の2つの電極37、38は、間隙を隔てて略平行となるように凹側で対向している。2つの電極37、38の外部は、モールド39により固定される。可動接片40は、略凹型状の2つの電極37、38によって作られる略円柱上の動作空間64内で転動又は摺動可能に配設されている。略凹型状の2つの電極37、38の電極側面部37a及び38a又は37b及び38bが可動接片40を介して導通したときに掃除状態検出センサ32の信号が出力される。この信号の出力方法は後述する。このように、電気掃除機100の掃除動作中における手元ホース3の動く方向に基づいて変位する可動接片40を有する掃除状態検出センサ32を備えたので、簡単な構成で掃除状態検出センサ32の振動を検出できる。
【0025】
掃除状態検出センサ32を
図8(a)のように配設すると、電気掃除機100の掃除動作中における手元ホース3の動く方向(Z方向)に対し、可動接片40は主にZ方向に移動する。電極側面部37a、37b、38a、38bの周囲が円形であり、可動接片40はYZ面内を移動する。この移動の際、可動接片40は電極37または38から離間することがあり、この瞬間に電極37と38間の導通が切れる。一方、掃除状態検出センサ32を
図8(b)のように配設すると、この場合も、電気掃除機100の掃除動作中における手元ホース3の動く方向(Z方向)に対し、可動接片40は、電極平面部37cの面上を主にZ方向に移動する。しかし、可動接片40の直径は電極平面部37c、38cの距離よりも小さいので、可動接片40の移動の際に、可動接片40を介して電極37と38を導通しにくい。したがって、掃除状態検出センサ32を
図8(a)のように配設すると、手元ホース3の動く方向に対する振動を検出しやすい。
【0026】
掃除状態検出センサ32は、手元ホース3を、蓋部53が上側になるようにした場合(
図8(a)、
図9の場合)、電極平面部37c、38cが鉛直方向(Y方向)に平行であり、電極37、38が対向する方向(X方向)が、利用者が掃除中に握り部52を持って手元ホース3を往復移動させる前後方向(Z方向)に直交する方向となるように、掃除状態検出基板58に取り付けられている。電極37の電極側面部37a、37b、及び、電極38の電極側面部38a、38bにはそれぞれリード線37d、38dが接続される。リード線37d、38dと掃除状態検出基板58とをはんだ付けすることより、掃除状態検出センサ32が掃除状態検出基板58に取り付けられる。モールド39を、掃除状態検出基板58にねじなどで固定することにより、掃除状態検出センサ32を掃除状態検出基板58に取り付けてもよい。
【0027】
掃除状態検出センサ32の電極37、38の対向する方向(X方向)と掃除状態検出基板58の実装面の法線方向(X方向)とが一致するように、掃除状態検出センサ32を掃除状態検出基板58に取り付けた場合、掃除状態検出基板58の実装面の法線方向が、手元ホース3を往復移動させる前後方向に直交する左右方向となるように、掃除状態検出基板58が手元ホース3の内部に支持される。このように掃除状態検出基板58及び掃除状態検出センサ32を配設することにより、掃除中の利用者の手元ホース3の往復移動方向である前後方向(Z方向)の移動に対し、掃除状態検出センサ32の可動接片40が動作空間64の中で前後方向(Z方向)を中心にYZ面内で揺動される。すなわち、可動接片40は、電気掃除機100の掃除動作中における手元ホース3の動く方向に基づいて、動作空間64内で変位する。
【0028】
[電気回路の構成]
図10はこの発明の実施の形態1に係る電気掃除機の電気回路の構成を示す図である。本実施の形態の電気掃除機における電気回路は、掃除機本体5、手元ホース3及びホース4、延長パイプ2、吸込具1の4つのブロックで構成されているものとする。
【0029】
図10に示すように、本実施の形態の電気掃除機は商用交流電源24から電力供給を受ける。15A電流ヒューズ25は、例えば電動送風機9がロック等になった場合、回路短絡にて異常となった場合等における保護装置である。また、4A電流ヒューズ26は、電動機19がロック等になった場合、回路短絡にて異常となった場合等における保護装置である。
【0030】
掃除機本体5のブロックにおいて、直流電源装置27は、入力側が電解コンデンサC1に接続され、出力側から所定の直流電圧を出力する。ダイオードD1は、商用交流電源24の出力を整流するために設けている。定電圧電源28は、入力側が電解コンデンサC2に接続され、出力側から所定の定電圧を出力する。電解コンデンサC2は定電圧電源28の発振を押さえるために設けている。電解コンデンサC3は定電圧電源28の出力を安定化させるために設けている。そして、定電圧電源28は、マイクロコンピュータ(制御手段)29、操作スイッチ8、掃除状態検出センサ部31、掃除状態検出手段33等を5Vの電圧で電力供給する。電動送風機駆動用トライアック(双方向サイリスタ)34は、掃除機本体5に内蔵された電動送風機9を駆動させるためのものである。また、電動機駆動用トライアック35は、電動機19を駆動させるためのものである。安全スイッチ36は、吸込具1が空中に持ち上げられた場合に回転ブラシ(図示せず)を停止させるためのスイッチである。
【0031】
ホース4+手元ホース3のブロックには、操作スイッチ8と掃除状態検出センサ部31が含まれている。ホース4には3本のピアノ線が内蔵されており、信号線を兼ねている。
【0032】
操作スイッチ8には、スイッチSW1〜SW4と抵抗R6〜R10が内蔵されている。スイッチSW1は、電動機19の切、入を行う。スイッチSW2は、この発明に係る掃除動作の中断状態、掃除動作の再開状態を検出して、掃除動作中断中に不要な電力供給を抑制するように電動送風機9と電動機19を制御するECOモード動作スイッチである。ECOモード動作スイッチには、ECO強モードとECO弱モードがあり、スイッチの押下により切り替え可能である。ECO強モードは、掃除動作時は約1000Wの出力で運転し、掃除動作中断を検出すると、約100Wに出力をパワーダウンするとともに電動機19を停止させる。また、掃除動作中断検出状態(出力約100W)から掃除動作再開状態を検出すると、出力を約1000Wにパワーアップするとともに、電動機19を回転させる。スイッチSW3は、この発明の掃除動作の中断状態、掃除動作の再開状態を検出しないで、電動送風機9と電動機19を制御する標準モード動作スイッチである。標準モード動作スイッチには、標準強モードと標準弱モードがあり、スイッチの押下により切り替え可能である。標準強モードは、出力を約1000W一定で運転し、電動機19を回転させる。標準強モードは、出力を約500W一定で運転し、電動機19を回転させる。スイッチSW4は、電動送風機9と電動機19の停止を行うスイッチである。
【0033】
スイッチSW1、SW2、SW3、SW4は、それぞれ押下(ON)したときに、それぞれのスイッチと直列に接続される抵抗R7、R8、R9、R10との回路を閉じる。一方、押圧を開放すると、スイッチSW1、SW2、SW3、SW4は、それぞれのスイッチと直列に接続される抵抗R7、R8、R9、R10との回路を開く。したがって、スイッチSW1、SW2、SW3、SW4を押圧していない状態(OFFの状態)では、抵抗R6の回路のみが閉じている。
【0034】
スイッチSW1〜SW4のON状態の組み合わせにより、マイクロコンピュータ29の入力電圧が変化する。例えばスイッチSW1〜SW4がすべてOFFのときは、掃除機本体5側の回路に内蔵された抵抗R4と抵抗R6との分圧となる。また、スイッチSW1〜SW4のいずれかがONのときは、抵抗R6と抵抗R7、R8、R9、R10との並列抵抗と抵抗R4との分圧となる。マイクロコンピュータ29はこの入力電圧に応じて運転モードを判断する。そして、操作スイッチ8のスイッチSW1〜SW4のON状態に応じて、電動送風機9への供給電力と電動機19の制御を行う。
【0035】
掃除状態検出センサ部31は、掃除状態検出センサ32を備えている。操作スイッチ8の各抵抗R6〜R10と掃除状態検出センサ32に接続される抵抗R5とは並列に接続されており、掃除機本体5側に設けられるコンパレータCPのマイナス端子とマイクロコンピュータ29へ接続される。ホース4内の1本の配線に操作スイッチ8の出力と掃除状態検出センサ32の出力を重畳させて、コンパレータCPのマイナス端子に入力させる。掃除状態検出手段33は、操作スイッチ8の出力と掃除状態検出センサ32の出力を重畳させた信号電圧を掃除状態検出センサ32の出力のみにする回路である。分圧抵抗R1はプルアップ抵抗、R2はR3はコンパレータCPの基準電圧をつくるために設けている。
【0036】
図11は掃除状態検出センサ32の検出信号の発生方法を説明する図である。掃除状態検出センサ32の二つの電極37、38が可動接片40を介して接続されると、掃除状態検出センサ32に直列に接続される抵抗R5と操作スイッチ8側の並列抵抗とが並列に接続される。そして、これらの並列合成抵抗と掃除機本体5側に設けられる抵抗R4とで、定電圧電源28が供給する直流電圧を分圧した電圧がコンパレータCPとマイクロコンピュータ29に印加される。
【0037】
一方、掃除状態検出センサ32の可動接片40が二つの電極37、38のうち少なくとも一方の電極と接触しないと、二つの電極37、38の間の導通が切れ、抵抗R5の回路が開く。その結果、操作スイッチ8側の並列抵抗と掃除機本体5側に設けられる抵抗R4とで、定電圧電源28が供給する直流電圧を分圧した電圧がコンパレータCPとするマイクロコンピュータ29に印加される。この電圧は可動接片40が二つの電極37、38の間を導通した場合の電圧と異なる。
【0038】
次に、動作について説明する。電気掃除機100を使用する際には、集塵部接続口15と集塵部流入口21とを接続するとともに、本体流入口17と集塵部流出口22とを接続するようにして集塵部20を本体ケース10の上面に載置し、集塵部固定部23と集塵部固定穴18とにより集塵部20を本体ケース10に固定する。そして、操作スイッチ8を操作して本体ケース10内に収容された電動送風機9を駆動させると、電動送風機9の吸引力により吸引された含塵空気は、ホース接続口13を経て本体パイプ14に侵入し、集塵部接続口15と集塵部流入口21を経て集塵部20に取り込まれる。集塵部20に取り込まれた空気に含まれる塵埃は、集塵部20に捕集される。集塵部20で塵埃を捕集された後の空気は、集塵部流出口22と本体流入口17を通って本体ケース10内に侵入し、1次フィルター41及び2次フィルター42を通過する。このとき、空気に含まれる微細な塵埃が1次フィルター41及び2次フィルター42に捕集される。1次フィルター41及び2次フィルター42を通過した空気は、電動送風機9に達し、さらに図示しない内部通路を経て排気孔16から排気される。集塵部20に塵埃が溜まった場合、利用者は集塵部20を本体ケース10から取り外して溜まった塵埃を廃棄する。
【0039】
手元ホース3および掃除状態検出センサ32では、導電性を有する可動接片40が対向する電極37、38を跨っている状態となっており、外部からの振動が加わらない限り電気的に閉じた回路を形成する。一方、掃除状態検出センサ32に外部からの振動が加わると、可動接片40は電極37、38のどちらか一方又は両方と遊離し、瞬間的に回路が開放されるが、すぐさま電極37、38を跨って接触し、回路を閉じる状態が繰り返される。
【0040】
図12は、
図10で示すA点とB点とにおける電圧信号の波形を示す図である。
図12では、ホース4が掃除機本体5に接続されていて、操作スイッチ8は押下されていない状態を示す。A点の電圧信号波形は、操作スイッチ8の信号電圧と掃除状態検出センサ32の信号電圧とが重畳されたものである。
【0041】
掃除状態検出センサ32がON、OFF状態を繰り返すと、1.01Vから1.53Vの信号電圧が出力される。その出力波形を掃除状態検出手段33に出力する。掃除状態検出手段33は、コンパレータCPのON、OFF判定閾値(1.25V)を基準に、B点の電圧波形をコンパレータCPが出力する。このON、OFF判定閾値は定電圧電源28の直流電圧をR2とR3とで分圧した電圧である。コンパレータCPのON、OFF判定閾値(1.25V)より高い電圧が発生したときはコンパレータCPの出力は0Vになり、コンパレータCPのON、OFF判定閾値(1.25V)より低い電圧が発生したときは、コンパレータCPの出力は5Vになる。
【0042】
このように、操作スイッチ8の信号電圧と掃除状態検出センサ32の信号電圧を重畳して手元ホース3から掃除機本体5側へ信号を送るので、信号線は2本となる。1本は共通電位の信号線であり、
図10におけるホース4+手元ホース3のブロックの、操作スイッチ8の抵抗側に接続される線である。もう1本は、操作スイッチ8のスイッチSW1〜SW4側に接続される線で、この線に信号電圧が重畳される。したがって、信号線を1本減らすことができ、安価な電気掃除機を得ることができる。
【0043】
次に、掃除状態検出センサ部31の信号電圧の検出方法について説明する。マイクロコンピュータ(制御手段)29は、信号電圧の立下りエッジを検出する度に変数をインクリメント(増加)してパルス数を計数(カウント)し、所定時間(例えば100ms)毎に計数した信号電圧(パルス)数をマイクロコンピュータ29が有するメモリー(記憶手段。図示せず)に格納する。
【0044】
図13は、絨毯で掃除動作をしたときの、パルス数の分布を示したものである。前述の通り、掃除状態検出センサ32の可動接片40は、掃除中の利用者による手元ホース3の往復移動方向である前後方向の移動に連動して、動作空間64の中で前後方向を中心に揺動する。その際、手元ホース3の前後方向が反転する時に、可動接片40に加わる加速度が最大となるため、出力パルス数が最も多く発生することになる。
従って掃除動作時において、手元ホース3を所定時間α毎に往復動作させた場合、掃除状態検出センサ部31から出力されるパルス数の分布は、掃除動作時の手元ホース3の反転動作に連動して増加と減少を繰り返す分布となる。そこで、例えばマイクロコンピュータ29においては、パルス数の極大点間の時間を測定することにより、掃除動作1ストロークにかかる時間となる所要時間αを判断することができる。この所要時間αと予め設定してある複数の基準時間とを比較することにより、掃除動作に対応した回転数となるように、電動送風機9、回転ブラシ駆動用の電動機19を制御する。
【0045】
図14は、絨毯で掃除した場合の掃除動作の1ストロークにかかる所要時間と電動送風機9、回転ブラシ駆動用の電動機19の入力制御対応の例を表として示した図である。本実施の形態のマイクロコンピュータ(制御手段)29は、掃除動作1ストロークにかかる時間である所要時間αと予め設定してある複数の基準時間とを比較し、所要時間αが小さいほど電動送風機9への入力(電力供給)、回転ブラシ用の電動機19への入力を大きくするように制御する。1ストローク時間が短いほど、吸込具1と床面との接触時間が短くなる。そこで、接触時間に対応して、電動送風機9、回転ブラシ駆動用の電動機19への入力を高く設定し、単位面積あたりの吸込具1と床面との接触時間、吸引量を一定にするようにする。このため、様々な利用者の掃除動作に対して、効率良くしかも安定して塵埃を吸い込むことが可能となる。
【0046】
ここで、本実施の形態の電気掃除機では、マイクロコンピュータ(制御手段)29は、掃除動作に応じて電動送風機9及び電動機19を同時に制御するようにしているが、掃除動作に応じて電動送風機または電動機のいずれか一方だけを制御するようにしてもよい。また、電動送風機9の入力を大きくする代わりに電動機19の入力を小さくする等して、掃除機全体の入力を一定に制御する等、様々な組み合わせで制御するようにしてもよい。
【0047】
以上のように、実施の形態1の電気掃除機によれば、掃除動作の1ストロークにかかる所要時間(利用者の掃除動作)に基づいて、マイクロコンピュータ29が電動送風機9、電動機19への入力を制御するようにしたので、吸込具1と床面との接触時間に応じた制御を行うようにしたので、利用者の掃除動作に合わせて効率的で、しかも安定して塵埃を吸引することが可能となる。
【0048】
実施の形態2.
図15はフローリングで掃除動作したときの掃除状態検出センサ部31からの所定時間当たりのパルス数の分布を示した図である。次に実施の形態2に係る床面種類判定手段について説明する。
【0049】
図15のフローリングにおけるパルス分布を、前述した
図13に示す、絨毯におけるパルス分布と比較すると、掃除動作の1ストロークにかかる所要時間が同じ場合、絨毯の方が全体的にパルス数が多い傾向となっている。これは掃除動作時の吸込具1の動きに対して、フローリングでは比較的に摩擦力が小さいため、掃除状態検出センサ部31に伝わる振動が小さい。一方、絨毯はフローリングに比べて摩擦力が大きく、掃除状態検出センサ部31に伝わる振動が大きくなるためである。
【0050】
このように、例えば掃除動作における1ストロークあたりの最大パルス数を比較することにより、床面と吸込具1との摩擦力が判別できる。このため、例えば
図13に示すように最大パルス数がB以上の場合は床面の種類が絨毯とし、A〜Bの場合はフローリングと判別できる。また、掃除動作1ストロークにかかる所要時間と、掃除状態検出センサ32の可動接片40に加わる加速度は相関が有り、1ストロークにかかる所要時間が短い程、可動接片40に加わる加速度が大きくなり、出力パルス数も多く発生する傾向があるため、予め実験的に求めた補正値をマイクロコンピュータ29に記憶させておくことにより、様々な掃除動作にも対応が可能となる。
【0051】
上述した方法により、掃除動作1ストロークにかかる所要時間がわかるだけでなく、更に掃除動作1ストローク間の最大パルス数の比較により床面の種類を判別することができる。このため、この掃除動作1ストロークにかかる所要時間と、床面の種類毎に予め設定してある基準時間とを比較することにより、床面の種類と掃除動作とに対応した回転数で電動送風機9、回転ブラシ駆動用の電動機19を制御する。
【0052】
床面が絨毯の場合とフローリングの場合との比較では、フローリングの方が小さい吸引力で塵埃を吸引することができる。そこで、掃除動作の1ストローク時間と電動送風機9、回転ブラシ駆動用の電動機19の制御としては、
図14における絨毯で掃除した場合の対応表に示した値に対して、30%程度低い入力値となるように制御すれば、絨毯とフローリングとにおいて同等の吸引性能を確保することができる。
【0053】
ここで、上記の制御においては、掃除動作1ストローク間の最大パルス数の比較によって床面の種類を判別するようにしたが、これに限定するものではない。例えば掃除動作1ストローク間に発生する累積パルス数を比較する等、パルスの発生分布を判別することができれば他の基準で判別を行うようにしてもよい。
【0054】
以上のように、実施の形態2の電気掃除機によれば、床面の種類と掃除動作に応じて電動送風機9、電動機19の制御を行うようにしたので、床面の種類と掃除動作に合わせて効率的で、しかも安定して塵埃を吸引することが可能となる。
【0055】
実施の形態3.
図16は実施の形態3に係る掃除機本体5に設けられた運転状態表示部80の表示内容を示した図である。掃除動作状態報知手段となる運転状態表示部80は、マイクロコンピュータ29からの信号に基づいて、電気掃除機の運転状態(電動送風機9の入力、電動機19の入力)に対して掃除動作1ストロークにかかる所要時間が速い、適正範囲又は遅いことを示すランプを点灯する。
【0056】
本実施の形態では予め通常運転時の電動送風機9の入力、回転ブラシ用の電動機19の入力に適した掃除動作1ストロークにかかる所要時間の範囲を基準時間とし、マイクロコンピュータ29は、基準時間のデータを有しておくようにする。そして、実際の掃除動作が行われる際、マイクロコンピュータ29は、パルス数の極大点間の時間から掃除動作1ストロークにかかる所要時間を導き出す。さらに所用時間を予め設定してある基準時間と比較し、掃除動作1ストロークの所用時間が適正範囲内であるか否かを判断する。
【0057】
そして、マイクロコンピュータ29が、適正範囲内と判断した場合は、運転状態表示部80の適正ランプを点灯させるようにする。逆に適正範囲外(早すぎる)と判断した場合は、運転状態表示部80の早すぎランプを一定時間点灯させ、適正範囲外(遅すぎる)と判断した場合は、運転状態表示部80の遅すぎランプを一定時間点灯させる。以上の表示により、利用者に対し、現在の運転状態において、塵埃を吸引するための掃除動作が早い、適切、遅いのいずれであるかを知らせる。ここでは、利用者に対して運転状態表示部80におけるランプ点灯等により現在の運転状態を知らせるようにしたが、音声等により運転状態を報知するようにしてもよい。
【0058】
以上のように、実施の形態3の電気掃除機によれば、運転状態に対し、最適な吸引を行うことができる適正な掃除動作であるか否かを運転状態表示部80により表示するようにしたので、利用者に対して効率の良い掃除動作を報知することができる。
【0059】
実施の形態4.
図17は実施の形態4に係る床面の種類と掃除動作1ストロークにかかる適正時間との関係を示す図である。上述した実施の形態2で説明したように、床面の種類により、掃除動作1ストロークにかかる所要時間には差がある。
【0060】
そこで、本実施の形態のマイクロコンピュータ29は、床面の種類毎に予め基準時間のデータを有しておくようにする。そして、掃除動作1ストロークにかかる所要時間と、判断した床面の種類における基準時間とを比較することにより、掃除動作1ストロークの所用時間が床面の種類に対して適正範囲内であるか否かを判断する。そして、実施の形態3と同様に、適正範囲内と判断した場合は、運転状態表示部80の適正ランプを点灯させ、適正範囲外(早すぎる又は遅すぎる)と判断した場合は、運転状態表示部80の早すぎランプ又は遅すぎランプを一定時間点灯させる。
【0061】
以上のように、実施の形態4の電気掃除機によれば、床面の種類と掃除動作に応じて適正な掃除動作であるか否かを運転状態表示部80により表示するようにしたので、利用者に対して床面の種類に応じた効率の良い掃除動作を報知することができる。
【0062】
実施の形態5.
上記の実施の形態1乃至4において、掃除状態検出手段は手元ホースの中に設けたが、吸込具1の中に設けてもよい。