特許第5777573号(P5777573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777573
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】パンタグラフ支持装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 5/24 20060101AFI20150820BHJP
   B61F 5/22 20060101ALN20150820BHJP
【FI】
   B60L5/24 Z
   !B61F5/22 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-134097(P2012-134097)
(22)【出願日】2012年6月13日
(65)【公開番号】特開2013-258854(P2013-258854A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2014年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000163372
【氏名又は名称】近畿車輌株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米谷 弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 一哉
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−172902(JP,A)
【文献】 特開平08−268277(JP,A)
【文献】 特開平09−233613(JP,A)
【文献】 特開2011−213244(JP,A)
【文献】 実開昭59−095701(JP,U)
【文献】 実開平04−101201(JP,U)
【文献】 特開平05−115104(JP,A)
【文献】 特開平05−328511(JP,A)
【文献】 特開2000−308202(JP,A)
【文献】 特開2003−052101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 − 3/12、
5/00 − 5/42、
7/00 −13/00、
15/00 −15/42
B61F 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体の下部に鉛直方向に沿った軸を中心として回動可能に取り付けられた台車と、軌道の曲線部分において前記車体を前記台車に対して曲線内方へ傾斜させる車体傾斜装置と、前記車体の屋根上に設けられたパンタグラフとを有する鉄道車両における、前記パンタグラフを支持するパンタグラフ支持装置において、
前記屋根上において前記パンタグラフを支持する架台と、
前記屋根上に取り付けられ、且つ、前記架台が前記屋根に対して鉛直方向及び前記車体の進行方向の両方向に直交する直交方向に相対移動可能なように前記架台を支持する架台案内装置と、
前記台車と前記架台とを連結し、前記台車から前記車体の左右の側面に沿って前記架台まで配設された左右一対の連結部材と、
前記架台に取り付けられ、前記架台を前記台車に対して一定位置に保持するために必要な一定の張力を前記連結部材に与える張力付与装置と、
前記車体に取り付けられ、鉛直方向に関して前記連結部材が前記車体に対して相対移動可能なように前記連結部材を支持する支持部材とを備えており、
前記連結部材は、一端が前記張力付与装置に接続され前記車体の側面に沿って延在する第1部材と、前記第1部材の他端と接続された第1ジョイント部材と、一端が前記第1ジョイント部材と接続された第2部材と、前記台車の側梁に取り付けられ前記第2部材の他端と接続された第2ジョイント部材とを有しており、
前記支持部材は、前記第1部材及び前記1ジョイント部材のいずれかを支持しており、
前記第1及び第2ジョイント部材は、前記第2部材が前記第1部材に対して前記進行方向及び前記直交方向の2方向に揺動可能なように、構成されていることを特徴とするパンタグラフ支持装置。
【請求項2】
前記第1及び第2ジョイント部材は、球面ジョイント部材であることを特徴とする請求項1に記載のパンタグラフ支持装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記車体の下端部に取り付けられており、
前記第2ジョイント部材は、前記側梁の下端部に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパンタグラフ支持装置。
【請求項4】
前記支持部材は、基端が前記進行方向に沿った軸を中心として回転可能に前記車体に支持され且つ先端が前記第1ジョイント部材に取り付けられたアームを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンタグラフ支持装置。
【請求項5】
前記支持部材は、筒状のリニアブッシュを有しており、
前記第1部材は、前記リニアブッシュに挿通されたリニアシャフトを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のパンタグラフ支持装置。
【請求項6】
前記第1部材は、前記一端から前記車体の側面に沿って延在したワイヤーロープを有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のパンタグラフ支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両のパンタグラフを支持するパンタグラフ支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軌道の曲線部分を通過する際に、車体を台車に対して曲線内方へ傾斜させる車体傾斜装置を有する鉄道車両において、パンタグラフを台車の側梁から一定位置に保持するパンタグラフ支持装置について記載されている。このパンタグラフ支持装置は、パンタグラフ支持架台と、パンタグラフ支持架台案内装置と、パンタグラフ支持架台に設けられた張力付与装置と、一端が張力付与装置に接続され他端が台車の側梁に接続された一対のロープ(連結部材)とを有している。一対のロープは、車両の両側面に設けられた複数のローラを介して各側面に沿って配設されている。そして、張力付与装置によって各ロープに張力が付与され、車両が軌道の曲線部分を通過する際においても、パンタグラフ支持架台(すなわち、パンタグラフ)が、一定位置に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−115104号公報(図6図7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のパンタグラフ支持装置においては、ロープがローラの外周側面によって支持されている。ローラは、回転軸が車両の進行方向に平行に配置されている。車両が軌道の曲線部分を通過する際は、車体傾斜装置によって車体が台車に対して曲線内方に傾斜する。このとき、ローラは、ロープの鉛直方向への相対移動に伴って回転する。このため、ロープの局部摩耗が抑制される。
【0005】
しかしながら、車両が軌道の曲線部分を通過する際は、台車が車体に対して回動する。例えば、一対のロープの他端が、進行方向と直交する方向に関して、台車の中心を挟んで配置されていると、一方のロープの他端が進行方向前方に移動し、他方のロープの他端が進行方向後方に移動する。このようにロープの他端が前方及び後方に移動すると、ロープに局部摩耗が生じる。つまり、一方のロープと、車体の最も下方に配置されたローラとの接触部分には、ロープの他端が前方に引っ張られることによる局部摩耗が生じる。他方のロープと、ローラとの接触部分についても、ロープの他端が後方に引っ張られることによる局部摩耗が生じる。この結果、ロープが破断しやすくなる。
【0006】
また、特許文献1には、車両の両側面に沿って設けられたアウターケーシング内に、ロープが挿通されたパンタグラフ支持装置についても記載されている。この場合についても、車両が軌道の曲線部分を通過する際は、一対のロープの他端が前方及び後方に引っ張られる。すると、アウターケーシングの下端とそこから露出したロープとが接触し、局部摩耗が生じる。この結果、ロープが破断しやすくなる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、連結部材の局部摩耗を抑制することが可能なパンタグラフ支持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパンタグラフ支持装置は、車体と、前記車体の下部に鉛直方向に沿った軸を中心として回動可能に取り付けられた台車と、軌道の曲線部分において前記車体を前記台車に対して曲線内方へ傾斜させる車体傾斜装置と、前記車体の屋根上に設けられたパンタグラフとを有する鉄道車両における、前記パンタグラフを支持するパンタグラフ支持装置において、前記屋根上において前記パンタグラフを支持する架台と、前記屋根上に取り付けられ、且つ、前記架台が前記屋根に対して鉛直方向及び前記車体の進行方向の両方向に直交する直交方向に相対移動可能なように前記架台を支持する架台案内装置と、前記台車と前記架台とを連結し、前記台車から前記車体の左右の側面に沿って前記架台まで配設された左右一対の連結部材と、前記架台に取り付けられ、前記架台を前記台車に対して一定位置に保持するために必要な一定の張力を前記連結部材に与える張力付与装置と、前記車体に取り付けられ、鉛直方向に関して前記連結部材が前記車体に対して相対移動可能なように前記連結部材を支持する支持部材とを備えている。そして、前記連結部材は、一端が前記張力付与装置に接続され前記車体の側面に沿って延在する第1部材と、前記第1部材の他端と接続された第1ジョイント部材と、一端が前記第1ジョイント部材と接続された第2部材と、前記台車の側梁に取り付けられ前記第2部材の他端と接続された第2ジョイント部材とを有しており、前記支持部材は、前記第1部材及び前記1ジョイント部材のいずれかを支持しており、前記第1及び第2ジョイント部材は、前記第2部材が前記第1部材に対して前記進行方向及び前記直交方向の2方向に揺動可能なように、構成されている。
【0009】
これによると、鉄道車両が軌道の曲線部分を通過する際に、連結部材の第2部材が第1部材に対して2方向に揺動する。このため、連結部材の局部摩耗を抑制することが可能となり、連結部材が破損しにくくなる。
【0010】
本発明において、前記第1及び第2ジョイント部材は、球面ジョイント部材であることが好ましい。これにより、第2部材の第1部材に対する揺動が滑らかになる。
【0011】
また、本発明において、前記支持部材は、前記車体の下端部に取り付けられており、前記第2ジョイント部材は、前記側梁の下端部に取り付けられていることが好ましい。これにより、第2部材が第1部材に対して揺動したときの角度が小さくなる。このため、各ジョイント部材にかかる横方向の力が小さくなる。
【0012】
また、本発明において、前記支持部材は、基端が前記進行方向に沿った軸を中心として回転可能に前記車体に支持され且つ先端が前記第1ジョイント部材に取り付けられたアームを有していることが好ましい。これにより、鉄道車両が軌道の曲線部分を通過する際に、連結部材が車体に対して鉛直方向に相対移動しても、支持部材と、第1部材又は第1ジョイント部材とが摺動しなくなる。このため、当該摺動部分における摩耗がなくなり、連結部材の寿命が延びる。
【0013】
また、本発明において、前記支持部材は、筒状のリニアブッシュを有しており、前記第1部材は、前記リニアブッシュに挿通されたリニアシャフトを有していることが好ましい。これにより、連結部材が車体に対して鉛直方向に相対移動した際に、支持部材と、第1部材とが摺動する部分には、リニアシャフトとリニアブッシュとが設けられている。このため、当該摺動部分における摩耗が効果的に抑制され、連結部材の寿命が延びる。
【0014】
また、本発明において、前記第1部材は、前記一端から前記車体の側面に沿って延在したワイヤーロープを有していることが好ましい。これにより、第1部材が車体に対して鉛直方向に相対移動した際に、当該第1部材が車体の側面に沿って追従する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のパンタグラフ支持装置によると、鉄道車両が軌道の曲線部分を通過する際に、連結部材の第2部材が第1部材に対して2方向に揺動する。このため、連結部材の局部摩耗を抑制することが可能となり、連結部材が破損しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態であるパンタグラフ支持装置を含む鉄道車両の概略平面図である。
図2図1に示すII−II線に沿った断面図である。
図3図1に示す鉄道車両が軌道の曲線部分を通過するときの状況図である。
図4図3に示すIV−IV線に沿った断面図である。
図5】(a)は図2に示す車両を右方から見たときの部分側面図であり、(b)は図4に示す車両を右方から見たときの部分側面図である。
図6】本発明の一実施形態であるパンタグラフ支持装置の第1部材及び支持部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本発明の一実施形態であるパンタグラフ支持装置1を含む鉄道車両100について、図1図5を参照し、以下に説明する。
【0019】
車両100は、図1に示すように、車体50及び2つの台車70を有する。車体50は、進行方向Aに長尺な直方体形状を有する。車体50には、図2に示すように、車体50の左右側面50a及び屋根を覆う車体カバー51が取り付けられている。台車70は、矩形平面形状を有し、車体50の進行方向Aの前方下部、及び、後方下部にそれぞれ取り付けられている。各台車70は、台車枠71と、4つの車輪72とを有し、車体50を下方から支持する。車輪72は、各車軸(不図示:進行方向Aに直交する方向(図2中左右方向)に平行な車軸)の両端にそれぞれ固定されており、車軸を介して、台車枠71にそれぞれ回転可能に支持されている。台車70は、図1に示すように、台車70の中心点Bを中心として、車体50に対して回動可能に取り付けられている。これにより、車両100が軌道の曲線部分を通過する際に、平面視において、台車70が車体50に対して、軌道の曲がり方向に回動する(図3参照)。
【0020】
車両100は、図2に示すように、車体傾斜装置80を有する。この車体傾斜装置80は、振り子はり81と、コロ装置82と、油圧シリンダ83とを有する。なお、車体傾斜装置80は、油圧シリンダ(アクチュエータ)の設置が異なるものの、特開平5−115104号公報に記載の車体傾斜装置とほぼ同様な構成である。
【0021】
振り子はり81は、2つの空気バネ90を介して車体50を支持している。コロ装置82は、台車枠71に固定されており、振り子はり81の下面湾曲部81aに沿って振り子はり81を移動可能に支持している。この下面湾曲部81aは、車体50の振り子点Cを中心とした半径Rの円弧状に形成されている。油圧シリンダ83は、一端が振り子はり81に回転可能に支持され、他端が台車枠71に回転可能に支持されている。そして、油圧シリンダ83は、車両100が軌道の曲線部分を通過する際に、車体50が台車70に対して曲線内方へ傾斜するように(図4参照)、車両100の制御装置によってそのストロークが制御される。このとき、車体50が、振り子点Cを中心として、所定角度だけ回動する。これにより、図4に示すように、軌道の曲線部分において、車両100がカントによって曲線内方に傾斜するとともに、車体50が、車体傾斜装置80によってさらに曲線内方に傾斜する。
【0022】
車両100には、図2に示すように、パンタグラフ支持装置1が設けられている。パンタグラフ支持装置1は、架台5と、架台案内装置10と、張力付与装置15と、一対の連結部材30と、支持部材40と、複数のローラ48とを有する。複数のローラ48は、図2に示すように、車体50の屋根及び左右の側面50aに設けられており、連結部材30のそれぞれが車体50の屋根から左右の側面50aに沿って配設される。なお、本実施形態のパンタグラフ支持装置1の架台5、架台案内装置10及び張力付与装置15は、特開平5−115104号公報に記載のパンタグラフ支持架台、パンタグラフ支持架台案内装置、及び、張力付与装置とほぼ同様なものである。
【0023】
架台5は、図2に示すように、その上面において、車両100のパンタグラフ21を支持する。架台案内装置10は、ガイド11と、スライダ12とを有する。ガイド11は、車体50の屋根上に固定されている。また、ガイド11は、振り子点Cを中心とした半径Rの円弧状に形成されている。スライダ12は、ガイド11に沿って架台5を円滑に移動させるベアリングを内蔵している。この構成により、架台案内装置10は、車両100の進行方向Aに直交する方向に、架台5を車体屋根に対して相対移動可能にする。
【0024】
張力付与装置15は、架台5の下面中央に取り付けられている。張力付与装置15は、車両100の進行方向に平行な回転軸を有するドラム16を含んでいる。このドラム16には、各連結部材30の一端が接続され、当該連結部材30の一端側の一部が巻かれている。ドラム16の回転軸と同軸上には、渦巻きバネ(不図示)が設けられている。この渦巻きバネは、各連結部材30を一定の張力でドラム16に巻き取る方向に設定される。この構成により、張力付与装置15は、空気バネ90に支持された車体50の上下動・左右動によって連結部材30に無理な引っ張りやたわみが生じないようにすると共に、常に、架台5を台車70に対して一定位置に保持する。
【0025】
この架台5を一定位置に保持するとは、各連結部材30の台車枠71の左右の側梁71aから張力付与装置15のドラム16までの距離を一定に保ち、パンタグラフ21を車体50が軌道の曲線部分で傾斜する前の中立位置(パンタグラフ21の中心が軌道中心に垂直に立てた線上にある位置)に保持することである。つまり、車体50が車体傾斜装置80によって傾斜すると、パンタグラフ集電舟22も曲線内方に大きく傾き、架線23から外れようとする。しかしながら、張力付与装置15によって、パンタグラフ21が中立位置に保持される。このため、パンタグラフ集電舟22が架線23から外れるのを防ぐことが可能となる。
【0026】
一対の連結部材30は、図1に示すように、進行方向Aに直交する方向に関して車体50(中心点B)を挟む位置に配置されている。また、一対の連結部材30は、図2に示すように、車体50の左右側面50aに沿って配設されている。
【0027】
各連結部材30は、第1部材31、第2部材32、第1ジョイント部材33、及び、第2ジョイント部材34を有している。第1及び第2部材31,32は、ワイヤーロープからなる。第1部材31は、一端(上端)がドラム16に他端(下端)が第1ジョイント部材33に接続され、車体50の屋根から側面50aに沿って延在する。また、第1部材31は、ローラ48によって支持されている。これにより、車体50の傾斜(回動)によって、鉛直方向に関して、第1部材31と車体50とが相対移動しても、第1部材31の摩耗が抑制される。第2部材32は、一端(上端)が第1ジョイント部材33に他端(下端)が第2ジョイント部材34に接続され、台車70の側面に沿って延在する。
【0028】
第1及び第2ジョイント部材33,34は、公知の球面ジョイント部材が採用される。これにより、第2部材32が、その両端において、360°回転可能となる。このため、第2部材32の第1部材31に対する揺動が滑らかになる。第2ジョイント部材34は、側梁71aの側面下端に固定されている。
【0029】
支持部材40は、図2及び図5に示すように、一対のフランジ41と、アーム42とを有している。一対のフランジ41は、車体50の下面に固定されている。また、一対のフランジ41は、アーム42が進行方向Aに直交する平面内で揺動可能に、アーム42の基端を支持している。アーム42は、その先端において、第1ジョイント部材33を支持している。これにより、第1ジョイント部材33の鉛直方向の距離を変化させることが可能となる。このため、図4に示すように、車体50が車体傾斜装置80によって傾斜し、第1部材31が車体50に対して鉛直方向に相対移動して各第1ジョイント部材33と車体50との鉛直方向の距離(相対位置関係)が変化しても、アーム42が回動して距離の変化を吸収することが可能となる。つまり、支持部材40と第1部材31又は第1ジョイント部材33とが摺動しない。このため、当該摺動による摩耗がなくなり、連結部材30の寿命が延びる。
【0030】
このような一対の連結部材30及び支持部材40において、車両100が軌道の曲線部分を通過すると、台車70が、図3中2点鎖線で示す位置(軌道の直線部分を通過しているときの位置)から実線で示す位置へと車体50に対して大きく回動する。すると、図3中上方(曲線部分の外側)にある第2ジョイント部材34が、回動前の2点鎖線で示す位置から進行方向Aの前方に移動し、図3中下方(曲線部分の内側)にある第2ジョイント部材34が、回動前の2点鎖線で示す位置から進行方向Aの後方に移動する。この第2ジョイント部材34は、図3の拡大部分に示すように、進行方向Aに平行な方向に距離T1、及び、進行方向Aに直交する方向に距離T2だけ移動する。このように第2ジョイント部材34が、進行方向Aに平行な方向、及び、進行方向Aに直交する方向に移動しても、第2部材32の両端には第1及び第2ジョイント部材34が設けられているため、第2部材32が第1部材31に対して揺動し、車体50に対する台車70の回動に追従する。
【0031】
また、このときの第2ジョイント部材34の移動によって、第2部材32を介して、第1部材32及び第1ジョイント部材33のそれぞれが下方に引っ張られる。このとき、第1部材31がドラム16から必要な長さだけ繰り出される。この場合でも、支持部材40のアーム42の回動によって、これら第1部材31及び第1ジョイント部材33を下方に追従させることが可能となる。このため、支持部材40と第1部材31又は第1ジョイント部材33とが摺動しなくなり、連結部材30の寿命が延びる。
【0032】
以上に述べたように、本実施形態のパンタグラフ支持装置1によると、第1ジョイント部材33及び第2ジョイント部材34が、第2部材32が第1部材31対して進行方向及びこれに直交する方向の少なくとも2方向に揺動可能に構成されている。このため、鉄道車両100が軌道の曲線部分を通過する際に、連結部材30の第2部材32が第1部材31に対して2方向に揺動する。このため、連結部材30の局部摩耗を抑制することが可能となり、連結部材30が破損しにくくなる。
【0033】
また、支持部材40が車体50の下面に取り付けられており、第2ジョイント部材34が側梁71aの下端に取り付けられている。これにより、アーム42の先端から第2ジョイント部材34までの距離が比較的長くなる。このため、第2部材32が第1部材31に対して揺動したときの角度が小さくなり、各ジョイント部材33,34にかかる横方向(水平方向)の力が小さくなる。また、第1部材31がワイヤーロープからなるため、第1部材31が車体50に対して鉛直方向に相対移動した際に、当該第1部材31が車体50の側面50aに沿って追従する。
【0034】
変形例として、第1及び第2ジョイント部材33,34は、第2部材32が第1部材31に対して、進行方向Aに平行な方向及び台車70の車軸方向(進行方向Aと直交する方向)に揺動可能なジョイント部材であれば、どのようなジョイント部材(例えば、2軸以上のユニバーサルジョイント)でも採用可能である。
【0035】
また、別の変形例として、図6に示すように、第1部材31がリニアシャフト131aとワイヤーロープ131bとを有する第1部材131から構成され、支持部材40が筒状のリニアブッシュ14aとこれを支持する固定部材14bとを有する支持部材14から構成されていてもよい。より具体的には、ワイヤーロープ131bは、その上端がドラム16に接続され下端がリニアシャフト131aに接続されている。リニアシャフト131aの下端には、第1ジョイント部材33が固定されている。リニアシャフト131aは、車体50の最も下方に配置されているローラ48から第2ジョイント部材34に向かう方向に沿って配置されている。固定部材14bは、車体50の下面に取り付けられており、リニアシャフト131aがリニアブッシュ14a内を摺動可能なように、リニアブッシュ14aを支持している。これにより、支持部材14は、鉛直方向に関して、リニアシャフト131aがリニアブッシュ14aに対して相対移動可能なように、リニアシャフト131aを支持する。リニアシャフト131aは、車体50が左右方向に最大限傾斜したときでも、リニアシャフト131aの端部がリニアブッシュ14a内に存在する長さを有している。なお、リニアシャフト131a及びリニアブッシュ141aは、公知のものが採用される。
【0036】
この構成においても、上述の実施形態と同様に、第1ジョイント部材33の鉛直方向の距離を変化させることが可能となる。この際(連結部材が車体50に対して鉛直方向に相対移動した際)に、支持部材14と、第1部材131とが摺動する部分には、リニアシャフト131aとリニアブッシュ14aとが設けられている。このため、当該摺動部分における摩耗が効果的に抑制され、連結部材の寿命が延びる。
【0037】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、第1部材が、ワイヤーロープ以外の可撓性を有するロープ状部材及び線状部材などから構成されていてもよい。第2部材32は、第1及び第2ジョイント部材33,34を繋ぐものであれば、ワイヤーロープ以外のどのような部材(例えば、金属棒)であってもよい。また、支持部材40は、第1部材31を支持していてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 パンタグラフ支持装置
5 架台
10 架台案内装置
15 張力付与装置
30 連結部材
31,131 第1部材
32 第2部材
33 第1ジョイント部材
34 第2ジョイント部材
40,14 支持部材
42 アーム
70 台車
71a 側梁
80 車体傾斜装置
131a リニアシャフト
141a リニアブッシュ
図1
図2
図3
図4
図5
図6