【実施例】
【0015】
(パチンコ機)
実施例に係るパチンコ機Pは、
図1および
図2に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠Aの開口前面側に、遊技盤Dを着脱可能に保持する本体枠としての中枠Bが、開閉および着脱可能に組み付けられている。そして、遊技盤Dの裏側に、所定条件の成立(後述する第1始動入賞装置15の始動入賞口15Aまたは第2始動入賞装置16の始動入賞口16Aへのパチンコ球(遊技球)の入賞)を契機として演出用の図柄を変動表示させて図柄変動演出を行なう図柄表示装置Hが着脱可能に配設されている。また、中枠Bの前面側には、遊技盤Dを透視保護するガラス板や透明な合成樹脂材により形成された透視保護板22で前後に開口する窓部を覆うよう構成された装飾枠としての前枠Cが開閉可能に組み付けられると共に、該前枠Cの下部前側に、パチンコ球を貯留する上球皿Eおよび下球皿Fが組み付けられており、前枠Cの開閉に合わせて上球皿Eおよび下球皿Fも一体的に開閉するよう構成される。
【0016】
図1および
図2に示すように、前記前枠Cの右下方位置には、中枠Bに配設された打球発射装置Jを作動する操作ハンドルGが設けられており、該操作ハンドルGの操作により打球発射装置Jが作動されることで、上球皿Eに貯留されたパチンコ球が所定間隔で1球ずつ前記遊技盤Dに向けて連続的に発射されるようになっている。なお実施例では、図柄表示装置Hとして、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の表示装置も採用可能である。また、上球皿Eは、前枠Cと別体に形成して中枠Bに対して開閉可能に組み付けるようにしてもよい。
【0017】
(遊技盤)
前記遊技盤Dは、
図3〜
図5に示すように、アクリルやポリカーボネート等の光透過性の合成樹脂製板やベニア等の木製合板を材質とし、中枠Bに設けた遊技盤保持部B1の内縁形状に整合する外縁形成された略矩形の平板状に形成され、その前側には遊技領域10が設けられると共に、その後側には設置部材30が配設されている。遊技盤Dの前側には、左下部から右上部にかけて円弧状に延在する外レール11と、この外レール11の内側に中央下部から左上部にかけて並べて配置された内レール12と、外レール11の右上部から内レール12の下部までの間に右方へ凹む湾曲形状に構成された盤面飾り部材13等が配設されており、両レール11,12および盤面飾り部材13で囲まれた内側が遊技領域10として構成されている。これにより、打球発射装置から発射されたパチンコ球は、外レール11と内レール12との間を通って遊技領域10の左上部に打ち出された後、該遊技領域10内を流下する。なお、内レール12の延在長を大きく設定して、前記外レール11および該内レール12で遊技領域10を形成するように構成してもよい。
【0018】
前記遊技盤Dには、中央に大きな貫通口が形成され、
図3〜
図5に示すように、前後に開口して遊技演出領域とされる表示窓口20Aが形成された枠状装飾部材20が、該貫通口の開口縁に配設されている。この枠状装飾部材20には、設置部材30の後側に着脱可能に配設された図柄表示装置H(
図5では図示省略)の表示部H1で演出表示される遊技内容に合わせた装飾が施されている。そして、枠状装飾部材20の表示窓口20Aには、設置部材30に配設された図柄表示装置Hにおける表示部H1や、該設置部材30の前側に配設される後述の可動演出装置Mや、その他の可動演出装置および装飾部品等が臨んでいる。なお、枠状装飾部材20と盤面飾り部材13との間には、パチンコ球の流下が可能な流下経路14が形成されている。
【0019】
また、前記遊技盤Dは、貫通口の真下に第1始動入賞装置15が配設されると共に該貫通孔の右下縁部(枠状装飾部材20の右下部)に第2始動入賞装置16が配設され、枠状装飾部材20の右下部に特別入賞装置21が配設されると共に第1始動入賞装置15の左側に普通入賞具17が配設されている。すなわち特別入賞装置21は、枠状装飾部材20の右側に形成された流下経路14の下方に位置している。そして、遊技盤Dの遊技領域10内には、多数の球案内釘18および回転球案内具19等が配設されている。
【0020】
前記第1始動入賞装置15、第2始動入賞装置16、特別入賞装置21および普通入賞具17には、各々に入賞したパチンコ球を検知する球検知スイッチが個別に配設され、各球検知スイッチからの球検知信号は、設置部材30の後側に取り付けられて当該パチンコ機Pを総合的に制御する主制御装置(図示せず)に送出される。主制御装置は、第1始動入賞装置15の球検知スイッチまたは第2始動入賞装置16の球検知スイッチからの検出信号を受けると、大当り抽選を行なうと共に、設置部材30の後側に取り付けられた統括制御装置(図示せず)に制御信号を出力して図柄表示装置Hに図柄変動演出を行なわせると共に、中枠Bの後側に配設された払出制御装置(図示せず)に制御信号を出力して、球払出装置(図示せず)に所定数の賞球を払い出させる。そして、主制御装置における大当り抽選の結果として、特定条件である大当りが成立した場合には遊技者に有利な特別遊技が付与され、図柄表示装置Hの表示部H1での図柄変動演出の後に、該表示部H1に所定の図柄組合わせで図柄が停止表示されて、特別入賞装置21の開閉扉21Aが開放位置に姿勢変位して多数のパチンコ球の入賞が可能となる。また主制御装置は、特別入賞装置21の球検知スイッチからの検出信号を受けると、払出制御装置に制御信号を出力して球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。更に主制御装置は、普通入賞具17の球検知スイッチからの検出信号を受けると、払出制御装置に制御信号を出力して球払出装置に所定数の賞球を払い出させる。
【0021】
(設置部材)
前記設置部材30は、
図5および
図6に示すように、前方に開放する略矩形のバケット状に一体形成された合成樹脂製の部材であって、前側の開放端を遊技盤Dの後面に突き合わせて該遊技盤Dに取り付けられる。この設置部材30は、遊技盤Dの後面に対して後方から所要の間隔で対向して該遊技盤Dの後面を構成する設置壁部31と、該設置壁部31の周縁から前方へ延出形成された外周壁部32と、該外周壁部32の前端から外方に向けて屈曲形成された縁板部33等を備えている。すなわち設置部材30は、外周壁部32で囲われて遊技盤D側に開放する前部開口が矩形状に形成されると共に、縁板部33の外周縁が、遊技盤Dの外周縁より一回り小さい形状および大きさで形成されている。このような設置部材30は、縁板部33を遊技盤Dの後面にネジ止めすることで該遊技盤Dに固定され、遊技盤Dの後面から離間した設置壁部31の前側に、実施例の可動演出装置Mや、その他の可動演出装置、装飾部材および各種部材の配設を可能とする空間を画成する。
【0022】
前記設置部材30の設置壁部31には、
図5および
図6に示すように、前後に貫通する表示開口35が形成されており、該設置壁部31の後側には、前記表示部H1を臨ませた状態で図柄表示装置Hが着脱可能に取り付けられる(
図5および
図6では、図柄表示装置は図示省略してある)。図柄表示装置Hは、各種図柄を表示可能な表示部H1をなす液晶パネルが収容ケースに収容されたユニット部材であって、該収容ケースの後面には、該図柄表示装置Hの表示部H1の表示制御を行なう図示しない表示制御装置と、当該パチンコ機Pの遊技演出を統括的に制御する統括制御装置が配設される。統括制御装置には、設置壁部31の後側に配設した中継基板(図示せず)を介して図柄表示装置H、前枠Cに配設されたランプ装置や中枠Bに配設されたスピーカ等が電気的に接続されており、該統括制御装置から出力される制御信号に基づいて各装置が作動制御される。また統括制御装置には、中継基板を介して、設置壁部31の前側に配設された実施例の可動演出装置Mや、装飾部材に配設されたランプ装置等が電気的に接続されており、該統括制御装置から出力される制御信号に基づいて可動演出装置Mの作動制御や各ランプ装置の点灯制御が行なわれる。なお設置壁部31は、表示開口35の上側部分を上板部31Aと指称する。
【0023】
(可動演出装置)
次に、前記設置部材30の設置壁部31の上板部31Aの前面に固定され、枠状装飾部材20の表示窓口20A内の上方に位置するように配設された実施例の可動演出装置Mについて説明する。
【0024】
実施例の可動演出装置Mは、
図6〜
図11に示すように、第1初期位置(
図7、
図9)および第1下降位置(
図18、
図19)の間を昇降移動する第1可動体41と、第1可動体41の昇降移動に伴い第2初期位置(
図7、
図9)および第2下降位置(
図18、
図19)の間を昇降移動する第2可動体42と、第2可動体42の昇降移動に伴い第3初期位置(
図7、
図9)および第3下降位置(
図18、
図19)の間を昇降移動すると共に、該第2可動体42が第2下降位置に移動する前に第3下降位置に移動する第3可動体43とを備えている。第1可動体41、第2可動体42および第3可動体43は、設置部材30の上板部31Aにおける前面中央に固定されるベース部材40に直接または間接に配設されており、第1可動体41と第2可動体42とが係脱可能に係合され、第2可動体42と第3可動体43とが係脱可能に係合されていると共に、第2可動体42は、付勢手段としての引張りコイルバネ160により第2初期位置へ上昇移動するよう付勢されている。
【0025】
第1可動体41は第1演出部材S1を備え、第2可動体42は第2演出部材S2を備え、第3可動体43は第3演出部材S3を備えており、当該可動演出装置Mを設置部材30の上板部31Aの前面に取付けた際には、第1〜第3の各可動体41,42,43が昇降移動することで第1〜第3の各演出部材S1,S2,S3が図柄表示装置Hの表示部H1の上方において昇降移動するようになる。実施例の可動演出装置Mは、第1可動体41の動作による第1演出部材S1の昇降移動量と、第2可動体42の動作による第2演出部材S2の昇降移動量と、第3可動体43の動作による第3演出部材S3の昇降移動量とは同じではなく、第1演出部材S1の昇降移動量が最も大きく、第3演出部材S3の昇降移動量が最も小さく、第2演出部材S2の昇降移動量が第1演出部材S1の昇降移動量より小さく第3演出部材S3の昇降移動量より大きく設定されている。
【0026】
(ベース部材)
前記ベース部材40は、
図7〜
図12、
図15および
図18等に示すように、左右に長い板状部材であって、略矩形状に形成されて可動演出装置Mを構成する各種構成部材が配設される設置部50と、該設置部50の左側部および右側部に側外方へ延出するように形成され、ネジ挿通孔51Aが形成された取付部51,51とを備えている。ここで、実施例では、設置部50に、第1可動体41、第3可動体43、第1可動体41の第1移動体46を昇降移動させる第1作動機構44が配設されている。そしてベース部材40は、設置部材30の上板部31Aの前面に対して、ネジ挿通孔51Aに挿通させたネジを設置部材30の上板部31Aに設けられたネジ孔31Bに締結させることで、該上板部31Aの前面に前向きに固定される。また、右の取付部51には、第1可動体41が第1初期位置となると、該第1可動体41の第1移動体46に設けられた被検知部86を検知する検知センサ54が配設されている。なお、符号48は、当該可動演出装置Mと中継基板とを接続する配線が連結されるコネクタ基板であり、符号108は、ベース部材40の下部に取り付けられる装飾部材である。
【0027】
図12および
図15に示すように、前記ベース部材40の設置部50における前面左縁および前面右縁には、前方へ突出すると共に上下に延在する左台座部52および右台座部53が各々形成され、左右の各台座部52,53の前面には、第3可動体43を昇降移動可能に支持する一対の第3支持部材130,130(後述)が、左右に対向した状態で固定されている。設置部50の前面における左台座部52の右側には、第1可動体41における第1移動体46の左側部分を支持する第1ガイド部材(第1ガイド部)55が、上下に延在するよう固定されている。設置部50の前面における右台座部53の左側には、第1移動体46の右縁部分を後方から支持する後ガイド片56が、前方へ突出すると共に上下に延在するよう形成されている。また、右台座部53の前面には、後ガイド片56に対して前側から対向する前ガイド片58と、後述するラックギア90が形成された第1支持部材57が配設されている。前ガイド片58は後方へ突出すると共に上下に延在しており、該前ガイド片58と後ガイド片56との間には、
図7(b)および
図8に示すように、第1可動体41における第1移動体46の右縁部分が左方から差込まれる第1ガイド溝59が形成されており、昇降移動する該第1移動体46の右縁部分が、前ガイド片58および後ガイド片56により前後から支持されている。更に、設置部50の前面における左右方向の略中央には、第1作動機構44が配設されると共に、該設置部50の裏面における右上には、該第1作動機構44を構成する駆動手段としての駆動モータ60が配設されるモータ取付部64が形成されている。
【0028】
(第1ガイド部材)
前記第1ガイド部材55は、
図7(b)に示すように、3段引きタイプのスライドレールであって、所要長のアウタレール61と、該アウタレール61から下方へスライド可能に取付けられた中間レール63と、該中間レール63から下方へスライド可能に取付けられたインナレール62とから構成されている。第1ガイド部材55は、アウタレール61に中間レール63およびインナレール62が収容されて短くなった収容状態と、アウタレール61から中間レール63およびインナレール62が延出して長くなった引出し状態とに長さが変化するようになっている。そして、中間レール63は、アウタレール61に対してボールガイドによりがたつきなく支持されていると共に、インナレール62は、中間レール63に対してボールガイドによりがたつきなく支持されており、中間レール63およびインナレール62はアウタレール61から下方へ延出する際に左右方向および前後方向へ振れないように構成されている。また、アウタレール61は、ベース部材40の前面に対して垂直に延在する向きでネジにより強固に固定されていると共に、インナレール62は、第1可動体41の第1移動体46の左縁部分が上下に離間した複数箇所でネジにより強固に固定されている。従って、第1移動体46は、その右縁側がベース部材40に対して上下に変位したり前後に変位することなく適切な姿勢に保持されて、中間レール63およびインナレール62のスライド移動に伴ってベース部材40の前側をスムーズに昇降移動する。なお、
図10〜
図13、
図15および
図16では、アウタレール61とインナレール62とを分離すると共に中間レール63を省略した状態で図示してあるが、これはベース部材40および第1移動体46に対する第1ガイド部材55の固定位置を理解し易く示すためであり、該第1ガイド部材55は、実際にはアウタレール61、中間レール63およびインナレール62が分離不能にユニット化されている。
【0029】
(第1作動機構)
前記第1作動機構44は、
図10、
図12、
図15および
図26等に示すように、設置部50の後側に配設された駆動モータ60と、該駆動モータ60により回転する第1アーム部材(第1アーム)66と、第1可動体41の第1移動体46に設けられ、該第1アーム66に連結される第1連係孔79とを備えている。駆動モータ60と第1アーム部材66とは、該駆動モータ60の駆動軸に固定された駆動ギア65と、該第1アーム部材66に設けられた従動ギア68とにより連係されている。第1アーム部材66は、設置部50の前側に第1回転支軸(第1支軸)67により水平軸周りに回転自在に支持され、駆動ギア65より大径に形成された従動ギア68と、該従動ギア68の外周縁から径方向外方へ延出したアーム部69と、該アーム部69の先端前側に水平軸周りに回転自在に配設された第1連係ローラ70とを備え、従動ギア68およびアーム部69の前後方向の厚みが最小限に抑えられている。そして第1連係ローラ70は、第1移動体46に左右方向へ延在するよう設けた前記第1連係孔79にスライド移動可能に係合している(
図21(a)、
図23、
図25参照)。このような第1アーム部材66は、アーム部69が垂直上方より僅かに右側へ延出した第1初期回転位置(
図20、
図26(a)参照)と、駆動モータ60の駆動により該第1初期回転位置から約170度ほど左回転(反時計方向)して該アーム部69が垂直下方より左側へ延出した第1最大回転位置(
図25、
図26(b)参照)との間を回転するように配設されている。従って第1連係ローラ70は、第1アーム部材66の回転により、設置部50に対して左方へ凸となる円弧状に移動し、この際に第1連係孔79に対しては往復移動するようになる。
【0030】
駆動手段としての前記駆動モータ60は、
図7(b)、
図9および
図12等に示すように、ベース部材40の設置部50における右側上方に形成されたモータ取付部64の後側に、該モータ取付部64に形成した挿通孔64Aを介して駆動軸60Bを設置部50の前側に延出させた状態で固定されている。駆動モータ60は、例えば正逆回転が可能なステッピングモータ等の電動モータであり、減速用のギアボックス60Aを備え、前述した統括制御装置により駆動制御される。なお駆動手段としては、電動モータに限らず、流体を使用するアクチュエータや、ロータリーソレノイド等であってもよい。
【0031】
前記第1作動機構44は、第1アーム部材66の第1初期回転位置において、第1可動体41を第1初期位置(第1移動体46が第1基準位置)に停止保持するようになり(
図20)、該第1アーム部材66が第1初期回転位置から第1最大回転位置へ回転するに従い、第1可動体41を第1初期位置から第1下降位置に下降移動させる。そして、第1アーム部材66の第1最大回転位置においては、第1可動体41を第1下降位置(第1移動体46が第1移動位置)に停止する(
図25)。すなわち、
図26(b)に示すように、第1アーム部材66の第1初期回転位置における第1連係ローラ70の位置および第1最大回転位置における該第1連係ローラ70の位置の上下方向での距離L1が、第1移動体46の昇降移動量となる。
【0032】
なお、ベース部材40の設置部50の前面には、
図12および
図26に示すように、第1アーム部材66の第1初期回転位置においてアーム部69に右方から当接して該第1アーム部材66が初期位置から右方向へ過回転するのを防止する第1ストッパ71と、該第1アーム部材66の第1最大回転位置においてアーム部69に右方から当接して該第1アーム部材66が第1最大回転位置から右方向へ過回転するのを防止する第2ストッパ72とが形成されている。また、第1アーム部材66の第1初期回転位置におけるアーム部69の位置が、前述すると共に
図20および
図26(a)に示すように垂直より右方に設定されているから、駆動モータ60の非駆動状態において第1連係ローラ70に対して垂直下方への荷重が加わった際には、該アーム部69が第1ストッパ71に押付けられて第1最大回転位置側への回転が規制される。従って、第1アーム部材66の第1初期回転位置において駆動モータ60の非駆動状態においては、第1可動体41による荷重が第1連係ローラ70に対して上方から加わっても、該第1アーム部材66が第1最大回転位置側へ回転することが規制されるから、第1〜第3の各可動体41,42,43が自重により下降移動することが規制されるよう構成されている。
【0033】
(第1可動体)
前記第1可動体41は、
図10、
図11、
図13および
図16に示すように、ベース部材40の設置部50に配設された第1ガイド部材55に取付けられ、第1作動機構44の駆動モータ60に連係された第1移動体46と、該第1移動体46に配設された第2ガイド部材(第2ガイド部)80に昇降移動可能に支持され、第2作動機構45に連係された第2移動体47とを備えている。また、第1可動体41は、第2移動体47の前側に、円形上の第1演出部材S1を備えている。第1移動体46は、第1作動機構44の駆動モータ60の駆動により、ベース部材40の設置部50の前側に重なった第1基準位置(
図9、
図20)および該第1基準位置から下方へ移動した第1移動位置(
図24、
図25)の間を昇降移動可能であり、該第1移動体46は、第1可動体41の第1初期位置において第1基準位置となり、該第1可動体41の第1下降位置において第1移動位置となる。第2移動体47は、第1移動体46が第1基準位置および第1移動位置の間を昇降移動する際に作動する第2作動機構45により、第1移動体46の前側に重なった第2基準位置(
図9、
図20)および該第2基準位置から下方へ移動して第1移動体46の下方へ延出した第2移動位置(
図24、
図25)との間を昇降移動可能であり、該第2移動体47は、第1可動体41の第1初期位置において第2基準位置となり、該第1可動体41の第1下降位置において第2移動位置となる。
【0034】
(第1移動体)
前記第1移動体46は、
図7(b)、
図8、
図13および
図16に示すように、ベース部材40に設けられた左台座部52の右壁および右台座部53の左壁の左右方向での間隔と略同じ左右長で、設置部50の上下長と略同じ上下長に形成された板状部材である。第1移動体46の後部左端に、第1ガイド部材55のインナレール62が後面に固定するための第1ガイド取付部75が、上下方向に延在するように形成されている。第1移動体46の後部右端には、前述した第1ガイド溝59に左方から差込まれて、前ガイド片58および後ガイド片56により前後方向から支持されるスライド部材76が配設されている。このスライド部材76の右端には、前述した被検知部86が形成されている。また、第1移動体46における第1ガイド取付部75の右側には、後方へ凹んだ状態(後側へ突出した状態)で該第1ガイド取付部75と平行に上下に延在する第2ガイド取付部77が設けられている。この第2ガイド取付部77には、第1移動体46に対して第2移動体47を昇降移動可能に支持する第2ガイド部材80のブラケット81が固定され、該第2ガイド取付部77に固定された第2ガイド部材80は、第1ガイド取付部75に固定された第1ガイド部材55と平行になっている。
【0035】
なお、第1移動体46は、
図20に示すように、第2ガイド取付部77が形成された部分が、ベース部材40の設置部50に配設された第1アーム部材66の旋回領域の左方に位置して該第1アーム部材66と干渉しないようになっている。そして、第1移動体46は、第2ガイド取付部77の後側部分が設置部50の前面に近接して、該設置部50の前面との間に前記第1作動機構44が配設される空間を画成した状態でベース部材40に配設されている(
図7(b)参照)。
【0036】
第1移動体46の前面には、
図13、
図16、
図25および
図26に示すように、第1移動体46の昇降移動と連動して第2移動体47を昇降移動させる第2作動機構45が、該前面の右側に偏って配設されている。そして、第1移動体46の上縁部には、該第1移動体46の前後方向に開口する第1連係孔79が、左右方向に延在するように形成されている。この第1連係孔79には、ベース部材40の設置部50に配設した第1アーム部材66の第1連係ローラ70が、該第1連係孔79に沿って移動可能に係合されている。
【0037】
(第2ガイド部材)
前記第2ガイド部材80は、
図7(b)、
図10、
図13および
図16に示すように、第1移動体46の第2ガイド取付部77に取付けたブラケット81と、上端および下端が該ブラケット81に支持された2本のガイドバー(第1ガイドバー82、第2ガイドバー83)とから構成されている。ブラケット81は、例えばスチール製の金属部材であって、上下方向に延在する基体部81Aと、該基体部81Aの上縁から水平に延出する上支持部81Bと、該基体部81Aの下縁から水平に延出して上支持部81Bと上下に対向する下支持部81Cとを備え、基体部81Aの中間から右方へ延出する取付部81Dを利用して第1移動体46に固定される。第1ガイドバー82および第2ガイドバー83は、第1移動体46の昇降移動方向と交差する方向、すなわち前後方向に離間すると共に上下方向に延在した状態に配置され、各ガイドバー82,83の上端がブラケット81の上支持部81Bに支持されると共に各ガイドバー82,83の下端が該ブラケット81の下支持部81Cに支持され、該ブラケット81に強固に固定されている。
【0038】
図7(b)、
図10、
図11、
図13および
図16に示すように、第1移動体46の前方右側には、上下方向に延在する第2支持部材84が配設されている。第2支持部材84は、前後方向に開口する第1ガイド孔85が上下方向に延在するよう形成された支持部84Aと、該支持部84Aの後面から後方へ延出した複数(実施例では第1ガイド孔85の左右に3個)の取付ボス84Bとを備えている。そして、第2支持部材84は、各取付ボス84Bの後端を第1移動体46の前面に固定することで、支持部84Aが第1中間ギア91および第2中間ギア92の前側に位置している。第1ガイド孔85には、
図7(b)および
図25に示すように、第2移動体47の裏面右側に設けた第1ガイドローラ103がスライド移動可能に係合して、昇降移動する該第2移動体47の右縁部分を支持するようになっている。
【0039】
(第2作動機構)
前記第2作動機構45は、
図10、
図12、
図13、
図16および
図26等に示すように、ベース部材40に第2移動体47のスライド移動方向に沿う上下方向へ延在するよう第1支持部材57に設けられた前述のラックギア90と、第1移動体46の前側に第2回転支軸(第2支軸)94により水平軸周りに回転自在に支持され、該ラックギア90に連係された第2アーム部材93と、第1可動体41の第2移動体47に設けられ、該第2アーム部材93に連結される第2連係孔104とを備えている。ラックギア90と第2アーム部材93とは、第1移動体46に対して水平軸周りに回転自在に配設されてラックギア90に噛合した第1中間ギア91と、該第1移動体46に対して水平軸周りに回転自在に配設されて該第1中間ギア91に噛合する第2中間ギア92とにより連係されている。第2アーム部材93は、第1移動体46の前側に第2回転支軸(第2支軸)94により水平軸周りに回転自在に支持され、該第2中間ギア92に噛合した従動ギア95を備えている。第2作動機構45は、第1移動体46が第1ガイド部材55に沿って第1基準位置と第1移動位置との間をスライド移動するのに伴い、ラックギア90と噛合した第1中間ギア91および第2中間ギア92が回転して第2アーム部材93が回転することで、第2移動体47を第2ガイド部材80に沿って第2基準位置と第2移動位置との間をスライド移動させ得るようになっている。
【0040】
前記ラックギア90は、
図20および
図25等に示すように、ベース部材40の右台座部53に固定された第1支持部材57における左縁に、各歯が左方を指向した状態で上下に整列するように配置されている。ラックギア90の上下長さは、第1移動体46の昇降移動量より大きく設定されて、ベース部材40に配設された第1可動体41における第1移動体46の右縁部前側に各歯が臨んでいる。そしてラックギア90は、
図20および
図26に示すように、第1中間ギア91が常に噛合しており、第1移動体46の昇降移動中には該第1中間ギア91が回転するようになっている。
【0041】
前記第1中間ギア91は、第1移動体46の上方右側に回転支軸により水平軸周りでの回転が自在に配設されて、第1移動体46の右縁部前側に臨むラックギア90と常に噛合している。そして、第1中間ギア91は、第1移動体46の第1基準位置においてはラックギア90の上端近くに位置し(
図20、
図26(a))、第1移動体46が第1基準位置から第1延出位置の間を昇降移動する際にはラックギア90に噛合しながら回転支軸を中心として回転し、第1移動体46の第1延出位置においてはラックギア90の下端近くに位置する(
図25、
図26(b))。第2中間ギア92は、第1中間ギア91の左下方に回転支軸により水平軸周りでの回転が自在に配設されて、該第1中間ギア91と常に噛合していることで、第1中間ギア91が回転すると回転支軸を中心として該第1中間ギア91と反対方向へ回転する。
【0042】
前記第2アーム部材93は、
図13、
図16および
図26に示すように、外周に第1中間ギア91および第2中間ギア92より大径に形成された従動ギア95と、該従動ギア95の前端面から径方向外方へ延出したアーム部96と、該アーム部96の先端前側に水平軸周りに回転自在に配設された第2連係ローラ97とを備えている。第2連係ローラ97は、
図21(a)、
図23および
図25に示すように、第2移動体47に設けた第2連係孔104にスライド移動可能に係合している。このような第2アーム部材93は、アーム部96が略垂直上方へ延出した第2初期回転位置(
図20、
図26(a)参照)と、第2中間ギア92の回転により該第2初期位置から約180度左回転(反時計方向)してアーム部96が略垂直下方へ延出した第2最大回転位置(
図25、
図26(b)参照)との間を回転するように配設されている。従って第2連係ローラ97は、第2アーム部材93の回転により、第1移動体46に対して左方へ凸となる半円弧状に移動し、この際に第2連係孔104に沿って往復移動するようになる。
【0043】
前記第2作動機構45は、第2アーム部材93の第2初期回転位置において、第1可動体41を第1初期位置(第2移動体47が第2基準位置)に停止保持するようになり(
図20)、該第1アーム部材66が第1初期回転位置から第1最大回転位置に向けて回転するに従って第1移動体46が第1基準位置から第1移動位置へ下降移動すると共に、第2アーム部材93が第2基準回転位置から第2最大回転位置に向けて回転するに従って第1可動体41を第1初期位置から第1下降位置に下降移動させる。そして、第2アーム部材93の第2最大回転位置においては、第1可動体41が第1下降位置(第2移動体47が第2移動位置)に停止する(
図25)。すなわち、
図26(b)に示すように、第2アーム部材93の第2初期回転位置における第2連係ローラ97の位置および第2最大回転位置における該第2連係ローラ97の位置の上下方向での距離L2が、第2移動体47の昇降移動量となるように設定されている。
【0044】
(第2移動体)
前記第2移動体47は、
図7(b)、
図13および
図16に示すように、第1移動体46に配設された第2ガイド部材80およびガイド部81Aの左右方向での配設間隔より左右に長い連結支持部100と、該連結支持部100の左右略中央から下方へ延出形成した取付部101とから構成されている。連結支持部100の後面左側には、スライド部102が後方へ突出した状態に設けられ、このスライド部102は、第1ガイドバー82および第2ガイドバー83が上下に挿通して、両ガイドバー82,83に摺動可能に支持されている。また、連結支持部100の後面右側には、前述した第1ガイド孔85に前側から係合する第1ガイドローラ103が、水平軸周りに回転自在に配設されている。更に、連結支持部100の左右中央には、第2移動体47の前後方向に開口する第2連係孔104が、左右方向に延在するように形成されている。この第2連係孔104には、第1移動体46に配設した第2アーム部材93の第2連係ローラ97が、左右方向へ移動可能に係合されている。
【0045】
また、
図10および
図11に示すように、連結支持部100の左端縁および右端縁には、第2可動体42の昇降支持体140の側面に当接する案内支持面105,105が形成されており、該昇降支持体140,140を側方から保持可能となっている(
図25)。更に、連結支持部100の左下端および右下端には、第1係合手段としての当接部106,106が設けられている。各当接部106,106は、
図21(b)に示すように、第2可動体42に設けられた被当接部143,143に、上方から係脱可能に係合するようになっている。
【0046】
前記取付部101は、
図13に示すように、前側から見て略矩形状に形成され、前面左下角部および前面右下角部には、
図13、
図22および
図24に示すように、前方へ延出した固定支持部(取付部)107,107が形成されている。これら固定取付部107,107の先端には、第1演出部材S1が取付けられる。
【0047】
(第1演出部材)
前記第1演出部材S1は、
図6〜
図9、
図13および
図16に示すように、第2移動体47の前側に取付けられる基体110と、該基体110に回転可能に支持された回転軸111の前部に取付けられた回転体112と、該基体110の後側に取付けられ、回転体112にギアを介して連係された作動モータ113と、基体110の前側に回転体112に覆蓋された状態で配設された照明基板114等を備えている。基体110の後側下部には、作動モータ113を固定するモータ取付け部115が設けられると共に、第2移動体47の取付部101にネジ固定される棒状の取付支持部材116,116が後方へ突出するように固定され、該取付支持部材116,116の後部を取付部101に固定することで、当該第1演出部材S1が第2移動体47の前側に固定される。また回転体112は、前面の一部が開口が形成されると共に、光透過可能な透明または半透明な部材で形成された光透過部材117で該開口が内側から塞がれており、該回転体112の開口を除く前面および外周面は所要の意匠形状に形成されると共にメッキ等の表面処理が施されている。そして回転体112は、作動モータ113の駆動により回転すると共に、照明基板114の発光部が点灯または点滅制御されることで開口に臨む光透過部材117が裏側から照射されて明輝するよう構成されている。
【0048】
(第3支持部材)
前記左右の第3支持部材130,130は、
図9、
図10、
図12および
図15に示すように、若干の形状の違いはあるが基本的な構成は同じで左右対称に構成されている。すなわち、各第3支持部材130,130は、台座部52,53の前面に平行に対向し、後面から後方へ延出する2つの取付ボス131Aが形成された取付部131と、該取付部131の設置部50側の端縁から前方へ延出し、左右方向に開口する第3ガイド孔133が上下方向に延在するよう形成された支持部132とを備えている。各第3支持部材130,130は、取付ボス131Aを台座部52,53の前面に当接させた状態で、ベース部材40にネジにより固定されている。左の第3支持部材130の第3ガイド孔133には、
図9(b)および
図20に示すように、第3可動体43の左側板部123から左方へ延出した2本のガイドピン126,126がスライド移動可能に係合すると共に、右の第3支持部材130の第3ガイド孔133には、
図9(a)、
図20および
図24に示すように、第3可動体43の右側板部124から右方へ延出した2本のガイドピン127,127がスライド移動可能に係合しており、第3可動体43が左右両側から支持されている。
【0049】
(第3可動体)
次に、第2可動体42を昇降移動可能に支持する前記第3可動体43について説明する。第3可動体43は、
図10、
図11、
図14および
図17に示すように、第3支持部材130,130を介してベース部材40に昇降移動可能に支持された支持部材120と、該支持部材120の前側に取付けられた第3演出部材S3とを備えている。支持部材120は、上端が直線状で下端の左右中央部分が上方へ切り欠かれた形状に形成された板状の取付板部121と、該取付板部121の左縁および右縁に上下に延在するように設けられ、第2可動体42の昇降支持体140,140を昇降移動可能に支持する昇降支持部122,122と、左の昇降支持部122の左縁から後方へ延出した左側板部123および右の昇降支持部122の右側から後方へ延出した右側板部124とを備えている。第3可動体43は、左側板部123の外面から右側板部124の外面までの左右長が、左の第3支持部材130の支持部132および右の第3支持部材130の支持部132の間に左右間隔より僅かに小さく設定されている。取付板部121の前面には、複数(実施例では2個)の固定ボス125が前方へ突出して形成されており、第3演出部材S3を支持部材120の前側に固定するネジが該固定ボス125の先端に締結されるようになっている。
【0050】
左右の各昇降支持部122,122は、取付板部121の前面から後方へ凹んで、前方および上下に開口する溝状に形成され、第2可動体42の各昇降支持体140,140が上下方向に移動可能となっている。ここで、各昇降支持部122,122の前面と取付板部121の前面との前後方向での段差は、第2可動体42の昇降支持体140,140の前後幅と同じに形成されている。また、各昇降支持部122,122には、前後に開口する第2ガイド孔128が、上下に延在するように形成されている。各第2ガイド孔128,128には、
図25に示すように、第2可動体42の昇降支持体140に設けられた2個の取付ピン145(145A,145B)が昇降移動可能に係合されている。
【0051】
第3可動体43の左側板部123の左外面には、左の第3支持部材130に設けられた第3ガイド孔133に右方から突入してスライド移動可能に係合する2つのガイドピン126が、左方へ突出すると共に上下に並んで配設されていると共に、右側板部124の右外面には、右の第3支持部材130に設けた第3ガイド孔133に左方から突入してスライド移動可能に係合する2つのガイドピン127が、右方へ突出すると共に上下に並んで配設されている。これにより第3可動体43は、左右の各ガイドピン126,127が左右の第3ガイド孔133,133に各々係合して、左右の第3支持部材130,130により左右から支持された状態で昇降移動する。そして、左右の各ガイドピン126,127において上側に位置するガイドピン(以降「上ガイドピン126A,127A」という)が対応の第3ガイド孔133の上端133Aに当接する位置が、第3可動体43の第3初期位置となり、左右の各ガイドピン126,127において下側に位置するガイドピン(以降「下ガイドピン126B,127B」という)が対応の第3ガイド孔133の下端133Bに当接する位置が、該第3可動体43の第3下降位置となる。なお、各ガイドピン126,127の先端には、対応の第3ガイド孔133の短手方向の開口幅より大径のワッシャが取付けられ、該ガイドピン126,127の抜け防止が図られている。
【0052】
(第3演出部材)
前記第3演出部材S3は、
図10、
図14、
図17および
図18に示すように、横長で所定の意匠形状をなしていると共に、外面にメッキ等の表面処理が施された演出用のプレート状部材である。第3演出部材S3における上縁の中央左側および下縁の中央右側には、支持部材120の取付板部121に設けた固定ボス125に整合するネジ挿通孔137が形成されており、前側から該ネジ挿通孔137を介して該固定ボス125にネジを締結することで、当該第3演出部材S3が支持部材120の前側に固定される。なお、第3演出部材S3の下縁における左右中央には、上方へ切り欠いた凹み138が形成されている。
【0053】
なお、前記第3可動体43は、支持部材120および第3演出部材S3の自重により、左右の第3支持部材130,130に支持されながら下降移動するようになっている。また、第3可動体43は、第2可動体42に掛止された引張りコイルバネ160の付勢により該第2可動体42が上方へ移動することで、該第2可動体42に下方から押されて上昇移動するようになっている。
【0054】
(第2可動体)
前記第2可動体42は、
図10、
図11、
図14および
図17に示すように、第3可動体43の各昇降支持部122,122に昇降移動可能に配設される左右一対の昇降支持体140,140と、両昇降支持体140,140の前側に取付けられる第3演出部材S3とを備えている。左右の各昇降支持体140,140は、部分的に形状が異なるものの基本構成は同じであって、上下に細長い本体部141と、該本体部141の下部前側に設けられた取付部142と、第1可動体41に設けられた当接部106が上方から係脱可能に係合する第1係合手段としての被当接部143と、上掛止部135に上端が掛止された引張りコイルバネ160の下端が係止される下掛止部144とを備えている。なお、ここでは、左の昇降支持体140を指示しながら説明し、右の昇降支持体140については、同一部分、部位に同一の符号を付して説明は省略する。
【0055】
昇降支持体140の本体部141は、
図14および
図17に示すように、前後に組付けられた上下に細長い前本体部材140Aおよび後本体部材140Bを前後に組付けて構成されている。前本体部材140Aは、第3可動体43の支持部材120における昇降支持部122の前側に位置し、後本体部材140Bは、該昇降支持部122の後側に位置して、昇降支持部122を前後から挟んだ状態で昇降移動可能に配設されている。後本体部材140Bの前面には、前方へ突出した複数(実施例では3個)の取付ピン145が上下方向に離間して形成されており、各取付ピン145の前端を前本体部材140Aの後面に当接させたもとで、該前本体部材140Aの前側からネジを該取付ピン145A,145Bに締結することで、前本体部材140Aの後面と後本体部材140Bの前面との間に該取付ピン145の突出長さに相当する前後幅の隙間が画成され、昇降支持部122を前後から挟み得るようになっている。
【0056】
そして、各昇降支持体140における3つの取付ピン145において、最上部に位置する取付ピン(以降「上取付ピン145A」という)および上から2番目に位置する取付ピン(以降「中取付ピン145B」という)は、昇降支持部122に設けられた第2ガイド孔128に前後に挿通されており、上取付ピン145Aおよび中取付ピン145Bは、該第2ガイド孔128の上端128Aまたは下端128Bに当接して第2可動体42の昇降移動量を規定する規制部材として機能するようになっている。すなわち、上取付ピン145Aは、昇降支持部122に対して昇降支持体140が上昇移動した際に第2ガイド孔128の上端128Aに当接し、中取付ピン145Bは、第3可動体43に対して第2可動体42が下降移動した際に該第2ガイド孔128の下端128Bに当接するようになっている。従って、第2可動体42は、上取付ピン145Aが上端128Aに当接した位置および中取付ピン145Bが下端128Bに当接した位置の間において、第3可動体43の支持部材120に対して昇降移動が可能となっている。
【0057】
前記取付部142は、本体部141から左右に延出して、第2演出部材S2の後面から後方へ突出した取付ボス153の後端に締結されるネジが挿通するネジ挿通孔142Aが形成されて、該ネジ挿通孔142Aを介して後側からネジを取付ボス153に締結することで、両昇降支持体140,140の前側に第2演出部材S2が取付けられる。そして、各昇降支持体140,140が第3可動体43の支持部材120に対して昇降移動することで、第2可動体42が該第3可動体43に対して昇降移動するようになる。
【0058】
第1係合手段としての被当接部143は、本体部141の下端から側方(左の昇降支持体140では右方、左の昇降支持体140では左方)へ突出した状態に形成され(
図14参照)、その上面に、第1可動体41の第1移動体46に設けた当接部106が上方から当接するようになっている。従って、各昇降支持体140,140は、
図21(b)に示すように、第1可動体41の当接部106が上方から被当接部143に当接することで、該第1可動体41の下降移動に伴って下方へ押されると共に、引張りコイルバネ160の付勢による上昇移動が規制されるようになっている。
【0059】
(第2演出部材)
前記第2演出部材S2は、
図10、
図11、
図14および
図17に示すように、各昇降支持体140,140の前側に固定される基材150と、該基材150の前側に取付けられる装飾カバー部材151と、該装飾カバー部材151に覆蓋された状態で該基材150の前側に配設された照明基板152とを備えている。基材150の後側には、各昇降支持体140,140の取付部142に前側から当接する取付ボス153,153が後方へ突設され、取付部142に後から挿通したネジを該取付ボス153,153に締結することで、第3演出部材S3が各昇降支持体140,140に固定される。装飾カバー部材151は、透明な合成樹脂の成形部材であり、前面が、光の透過が可能な透光領域151Aおよび光の透過が不可能な不透光領域151Bに分けられ、透光領域151Aは、外面を所要の意匠形状に形成すると共に凹凸形状に形成して光拡散機能が付与され、不透光領域151Bは、外面がメッキ等の表面処理が施されている。従って、第2演出部材S2は、照明基板152の発光部が点灯または点滅制御されると、装飾カバー部材151の透光領域151Aが明輝して、演出効果を高めるように構成されている。また、装飾カバー部材151の下部には、上方へ凹んで前後および下方へ開口した凹み部155が形成されている。この凹み部155は、第2初期位置において、第1可動体41に設けられた前述の取付支持部材116,116との干渉を回避するためのものである。なお、装飾カバー部材151は、前述した第1演出装置S1のように、透光領域151Aを開口した部材として、光透過可能な別の部材で該透光領域151Aを構成するようにしてもよい。
【0060】
(引張りコイルバネ)
前記上掛止部135および下掛止部144に掛止され、上下に延在するよう架設された左右の各引張りコイルバネ160,160は、第2可動体42が第2初期位置においても自然状態より適宜伸びた状態となる長さに設定されており、第2可動体42を、第2初期位置に向け付勢して該第2初期位置に保持すると共に、第3可動体43を、第2可動体42を介して第3初期位置に向け間接的に付勢して該第2初期位置に保持し得る付勢力が発現される。すなわち、各引張りコイルバネ160,160は、第3可動体43の重さおよび第2可動体42の重さが加わっても、該第3可動体43および第2可動体42を、第2初期位置および第3初期位置に向け昇降移動すると共に、該第2初期位置および第3初期位置の各々に保持し得るようになっている。また、各引張りコイルバネ160,160は、第2可動体42が第2下降位置まで下降移動する際に弾力的に伸びて、該第2可動体42が第2下降位置まで下降移動することを許容するようになっている。
【0061】
(第1〜第3の各可動体の相互関係について)
実施例の可動演出装置Mは、第1可動体41に設けられた当接部106および第2可動体42に設けられた被当接部143は、第1係合手段として、第1可動体41の昇降移動に伴い係脱可能に係合するように構成されている。すなわち、
図20に示す第1初期位置にある第1可動体41の当接部106は、第2初期位置にある第2可動体42の被当接部143に対して上方へ離間し、当接部106と被当接部143の係合が解除されるようになっている。これにより第1可動体41は、駆動モータ60の停止により第1初期位置に停止保持され、第1移動体46が第1基準位置に停止保持されると共に第2移動体47が第2基準位置に停止保持される。また、第1可動体41が第1初期位置に停止保持されている場合は、各引張りコイルバネ160,160の付勢により、第3可動体43は第2初期位置に停止保持されると共に第2可動体42は第3初期位置に保持されるようになっている。
【0062】
そして、駆動モータ60の駆動により、第1可動体41が第1初期位置から第1下降位置に向けて下降移動する中途、すなわち
図21および
図22に示す中途位置まで下降すると、第2初期位置に停止していた第2可動体42の被当接部143に当接部106が上方から当接して、当接部106と被当接部143とが係合状態となるように設定されている。すなわち、当接部106と被当接部143とは、第1可動体41が
図21に示す中途位置から
図25に示す第1下降位置までの間にある場合に係合状態が保持される。そして、当接部106および被当接部143の係合状態においては、第1可動体41の昇降移動に伴い、第2可動体42が第2初期位置および第2下降位置の間で昇降移動するように構成されている。
【0063】
また、第3可動体43に設けられた各第2ガイド孔128,128の上端128Aおよび第2可動体42に設けられた上取付ピン145Aは、第2係合手段として、該上端128Aと上取付ピン145Aとの係合状態において、該第2可動体42の昇降移動に伴い、第3可動体43を第3初期位置および第3下降位置の間で昇降移動させるよう機能する。すなわち、第2可動体42が
図20に示す第2初期位置においては、第2ガイド孔128の上端128Aが上取付ピン145Aに上方から当接することで、第3可動体43は第3初期位置に保持される。そして、第2可動体42が、第1可動体41により上方から押圧されて下降移動すると、第3可動体43は、上端128Aと上取付ピン145Aとの係合が維持されたもとで、自重により第3初期位置から第3下降位置に向けて下降移動するようになっている。
【0064】
また、第3可動体43が、
図23および
図24に示す第3下降位置に保持されたもとで、第2移動体47が第2下降位置から上昇移動すると、上取付ピン145Aが上端128Aに下方から当接するようになる。これにより第3可動体43は、上取付ピン145Aと上端128Aとが係合保持された状態で、第2可動体42の上昇移動に追従しながら上昇移動し、該第2可動体42が第2初期位置に到達すると該第3可動体43は第3初期位置に到達するようになっている。
【0065】
更に、前記ベース部材40に配設された各第3支持部材130,130の第3ガイド孔133,133の各下端133B,133Bと、第3可動体43に設けられた下ガイドピン126B,127Bとは、第3係合手段として、第2可動体42が第2初期位置から第2下降位置へ移動する中途位置で係合して(
図24参照)、この係合状態において、当該第3可動体43の下降移動を規制して第3下降位置に保持するよう機能する。また、第2可動体42が第2下降位置から第2初期位置に向けて上昇移動する中途位置において、該第2可動体42の上取付ピン145Aと第3可動体43の上端128Aとが係合して該第3可動体43が下方から押されると、各第3ガイド孔133の下端133Bと下ガイドピン126B,127Bとの係合が解除され、第3可動体43は、第2可動体42に追従して、第3下降位置から第3初期位置に向けて上昇移動するようになる。
【0066】
(第1ガイド部材および電気モータの配置について)
前記第1作動機構44は、
図10、
図11、
図18および
図26に示すように、ベース部材40の設置部50に対し、第1移動体46のスライド移動方向である上下方向と交差する左右方向において該第1移動体46の一端側である右端側に偏らせて配設されると共に、第1ガイド部材55は、該第1移動体46の右端と反対の左端側に配設されている。すなわち第1ガイド部材55は、該第1移動体46の左端部に設けた第1ガイド取付部75において、剛性のある第1ガイド部材55に対し強固に固定されて該第1ガイド部材55に支持されているから、ベース部材40に対して安定的に昇降移動し得るようになっている。そして、第1移動体46の左端側が第1ガイド部材55に強固に支持されているから、該第1移動体46の右端側が前ガイド片58および後ガイド片56により前後から支持する簡素化された支持構造とすることができ、これにより第1作動機構44を該第1移動体46の右端側へ偏らせて配設することができる。
【0067】
(第1アーム部材と第1移動体との係合について)
図20、
図25および
図26に示すように、前記第1アーム部材66は、駆動モータ60よりも第1ガイド部材55側において、第1回転支軸67によりベース部材40の設置部50に回転可能に支持されると共に、該第1回転支軸67より第1ガイド部材55側で第1移動体46の第1連係孔79に第1連係ローラ70が係合した状態で、該第1アーム部材66と第1移動体46とが連結されている。すなわち、第1アーム部材66は、前述したように、第1回転支軸67より第1ガイド部材55に近い方を円弧状に移動する際に、第1連係ローラ70が第1連係孔79に沿って移動するようになっている。これにより、第1アーム部材66の回転により第1移動体46に対して作用する力は、該第1移動体46を支持する第1ガイド部材55に近い部位に加わるようになるから、該第1移動体46は傾きや変形が規制されてスムースかつ安定的に昇降移動する。
【0068】
(第2ガイド部材および第2作動機構の配置について)
前記第2作動機構45は、
図20、
図25および
図26に示すように、第1可動体41の第1移動体46の前面に対し、第2移動体47のスライド移動方向である上下方向と交差する左右方向において該第2移動体47の一端側である右端側に偏らせて配設されると共に、第2ガイド部材80は、該第2移動体47の右端と反対の左端側に配設されている。すなわち第2ガイド部材80は、第2移動体47の左端後側に設けられたスライド部102において、剛性を有する第2ガイド部材80の第1ガイドバー82および第2ガイドバー83に対し強固に支持されているから、ベース部材40に対して安定的に昇降移動し得るようになっている。そして、第2移動体47の左端側が第2ガイド部材80の第1ガイドバー82および第2ガイドバー83により強固に支持されているから、該第2移動体47の右端側が第1ガイド孔85および第1ガイドローラ103による支持構造とすることができ、これにより第2作動機構45を該第2移動体47の右端側へ偏らせて配設することができる。
【0069】
(第2アーム部材と第2移動体との係合について)
図20、
図25および
図26に示すように、前記第2アーム部材93は、第2中間ギア92よりも第2ガイド部材80側において、第2回転支軸94により第1移動体46に回転可能に支持されると共に、該第2回転支軸94より第2ガイド部材80側で第2移動体47の第2連係孔104に第2連係ローラ97が係合した状態で、該第2アーム部材93と第2移動体47とが連結されている。すなわち、第2アーム部材93は、前述したように、第2回転支軸94より第2ガイド部材80に近い方を円弧状に移動しながら、第2連係ローラ97が第2連係孔104に沿って左右へ移動するようになっている。これにより、第2アーム部材93の回転により第2移動体47に対して作用する力は、該第2移動体47を支持する第2ガイド部材80に近い部位に加わるよう構成され、該第2移動体47は傾きや変形が規制されてスムースかつ安定的に昇降移動する。
【0070】
(取付部について)
前記第1可動体41の取付部101に第1演出部材S1を取付けるための各固定支持部107,107および各取付支持部材116,116は、
図9(a)および
図20に示すように、該第1可動体41の第1初期位置において、第2初期位置にある第2可動体42および第3初期位置にある第3可動体43の直下に位置するようになっている。すなわち、固定支持部107および取付支持部材116は、第2可動体42が第2初期位置から第2下降位置に移動する移動領域と交差するよう位置すると共に、第3可動体43が第3初期位置から第3下降位置に移動する移動領域と交差するよう位置している。従って、第1可動体41が第1初期位置に停止した状態では、第2可動体42が第2下降位置へ下降移動することが固定支持部107および取付支持部材116で規制されると共に、第3可動体43が第3下降位置へ下降移動することも該固定支持部107および取付支持部材116で規制され、駆動モータ60が停止した状態では、第2可動体42および第3可動体43の下降移動が不能となっている。また、駆動モータ60の駆動により第1可動体41が第1初期位置から第1下降位置へ移動することで、第2可動体42が第2初期位置から第2下降位置へ下降移動することが許容されると共に、第3可動体43が第3初期位置から第3下降位置へ下降移動することが許容され、第1〜第3の各可動体41,42,43を規定の順序で動作させるようになっている。
【0071】
(実施例の作用)
前述のように構成された実施例のパチンコ機Pでは、遊技盤Dの遊技領域10へ打ち出されたパチンコ球が第1始動入賞装置15の始動入賞口15Aまたは第2始動入賞装置16の始動入賞口16Aに入賞して、該第1始動入賞装置15および第2始動入賞装置16に配設された球検知スイッチによる球検知信号を主制御装置が受けると、該主制御装置は、大当り抽選を行なうと共に、統括制御装置に制御信号を出力して図柄表示装置Hの表示部H1において図柄変動演出を行なわせる。そして主制御装置は、大当り抽選の結果として大当りが発生すると、統括制御装置を介して図柄表示装置Hの表示部H1に所定の図柄組合わせで図柄を停止表示させ、特別入賞装置21の開閉扉21Aを開放動作させて入賞口を開放させる。また、統括制御装置は、主制御装置からの制御信号に基づき、実施例の可動演出装置Mや、その方の演出装置および照明手段等を、図柄表示装置Hの表示部H1での遊技内容に合わせて総合的に作動制御する。
【0072】
(駆動モータ60の停止時おける第1〜第3の各可動体の態様)
可動演出部材Mは、駆動モータ60の停止状態では、
図7、
図9および
図20に示すように、第1作動機構44に連係した第1可動体41が第1初期位置に停止保持され、第2可動体42が引張りコイルバネ160の上方へ付勢されると共に、該第2可動体42の上ガイドピン126A,127Aが第3可動体43の第3ガイド孔133の上端133Aに係合することで、各々第2初期位置および第3初期位置に保持されている。また、第1可動体41と第2可動体42とは係合が解除されている。第1可動体41は、第1移動体46が第1基準位置に停止保持されると共に第2移動体47が第2基準位置に停止保持され、第1移動体46はベース部材40の前方に位置すると共に第2移動体47は該第1移動体46の前方に位置し、第1演出部材S1はベース部材40の前方に位置する。そして、第2初期位置に停止保持された第2可動体42の第2演出部材S2は、第1演出部材S1の後側に重なると共に、第3初期位置に停止保持された第3可動体43の第3演出部材S3は、第2演出部材S3の後側に重なっている。すなわち、第1〜第3の各演出部材S1〜S3は、
図3に示すように、図柄表示装置Hの表示部H1の前側から上方へ退避して、ベース部材40の前方において前側から第1演出部材S1、第2演出部材S2、第3演出部材S3の順に整列する。
【0073】
(駆動モータ60の駆動による第1〜第3の各可動体の下降態様)
第1作動機構44の駆動モータ60が駆動制御されると、第1アーム部材66が第1初期回転位置から第1最大回転位置に向けて回転を開始し、先ず第1可動体41だけが第1初期位置から第1下降位置に向けて下降移動を開始する。これにより第1可動体41は、第1アーム部材66に連係された第1移動体46が第1基準位置から第1延出位置に向けて下降移動すると共に、該第1移動体46が下降移動することで第2作動機構45が作動して第2アーム部材93が第2初期回転位置から第2最大回転位置に向けて回転を開始し、第2移動体47が第2基準位置から第2延出位置に向けて下降移動する。
【0074】
第1可動体41が、
図21および
図22に示す中途位置まで下降移動すると、第1移動体46に設けられた当接部106が第2可動体42に設けられた被当接部143に上方から当接する。当接部106と被当接部143とが係合状態となった以降は、第1可動体41の下降移動に伴い、第2可動体42が第2初期位置から第2下降位置に向けて下降移動を開始すると共に、第2可動体42の上取付ピン145A,145Aと第3可動体43の各第2ガイド孔128の上端128A,128Aとが係合した状態で、該第3可動体43も自重により第3初期位置から第3下降位置に向けて下降移動を開始する。従って、当接部106と被当接部143とが当接した直後は、第1〜第3の各可動体41,42,43の全てが同時に下降移動するようになる。
【0075】
そして、自重により下降移動した第3可動体43の下ガイドピン126B,127Bが各第3ガイド孔133,133の下端133Bに上方から当接すると(
図23、
図24参照)、該第3可動体43が第3下降位置で停止する。また、第2可動体42の上取付ピン145A,145Aと第3可動体43の第2ガイド孔128の上端128A,128Aとの係合が解除され、第1下降位置に向けて下降移動する第1可動体41により下方へ押された該第2可動体42は、該第1可動体41に追従して第2下降位置に向け更に下降移動する。従って、第3可動体43が第3下降位置に停止した後は、第1可動体41と第2可動体42とが同時に下降移動するようになる。
【0076】
図18および
図25に示すように、第1可動体41が第1下降位置まで下降移動すると、第1作動機構44の駆動モータ60が停止して該第1可動体41は第1下降位置に停止する。また、第1可動体41が第1下降位置に停止することで、第2可動体42は第2下降位置に停止する。そして、第1可動体41は、第1移動体46が第1延出位置まで下降移動してベース部材40の下方へ延出すると共に、第2移動体47が第2延出位置まで下降移動して第1移動体46の下方へ延出するようになる。
【0077】
第1〜第3の各可動体41,42,43が第1〜第3の下降位置に各々停止した状態では、
図18および
図19に示すように、第1可動体41の第1演出部材S1が最も下方に位置し、該第1演出部材S1の後ろ上方に第2可動体42の第2演出部材S2が位置し、該第2演出装置S2の後ろ上方に第3可動体43の第3演出部材S3が位置するようになる。これにより可動演出装置Mは、
図4に示すように、下方へ長く変化して図柄表示装置Hの表示部H1の前方に位置するようになる。
【0078】
(駆動モータ60の逆駆動による第1〜第3の各可動体の上昇態様)
一方、第1〜第3の各可動体41,42,43が各々第1〜第3の各下降位置にある状態において、第1作動機構44の駆動モータ60を逆に駆動すると、第1可動体41が第1初期位置に向けて上昇移動を開始する。これに伴い、第2可動体42は、第1可動体41の当接部106と第2可動体42の被当接部143とが係合した状態で、引張りコイルバネ160の付勢により、第1可動体41に追従して第2下降位置から第2初期位置に向けて上昇移動を開始する。すなわち、駆動モータ60を逆駆動した際には、先ず第1可動体41および第2可動体42が同時に上昇移動を開始する。
【0079】
第2可動体42が、
図23および
図24に示す位置まで上昇移動すると、該第2可動体42の上取付ピン145A,145Aと第3可動体43の第2ガイド孔128の上端128A,128Aとが係合するようになる。そして、第2可動体42が
図23および
図24に示す位置から上昇移動すると、第3可動体43の下ガイドピン126B,127Bと第3ガイド孔133の下端133B,133Bとの係合が各々解除されることで、第3可動体43は、上取付ピン145A,145Aと上端128A,128Aとの係合により、第2可動体42に追従して第3初期位置に向けて上昇移動するようになる。これにより、第1〜第3の各可動体41,42,43は、同時に上昇移動するようになる。
【0080】
そして、第3可動体43の上ガイドピン126A,127Aが第3ガイド孔133の上端133A,133Aに下方から係合すると、第3可動体43は第3初期位置で停止するようになり、また上取付ピン145A,145Aと第2ガイド孔128,128の上端128A,128Aとが各々係合しているので、第2可動体42は、第3可動体43の停止と同時に第2初期位置に停止するようになる。このとき、第1可動体41の当接部106と第2可動体42の被当接部143との係合が解除され、第1可動体41だけが第1初期位置に向けて上昇移動するようになる。そして、該第1可動体41が第1初期位置まで上昇して、前述した被検知部86が検知センサ54で検知されると、駆動モータ60が停止制御され、該第1可動体41は第1初期位置に停止する。
【0081】
従って、実施例のパチンコ機Pによれば、該パチンコ機Pを構成する可動演出装置Mが、1つの駆動モータ60により、第1可動体41が昇降移動する間に、第2可動体42および第3可動体43が一緒に昇降移動したり、第3可動体43が停止して第2可動体42が昇降移動したりする。すなわち、駆動モータ60が1つであっても、3つの各可動体が同時に昇降移動する時と、2つの可動体が同時に昇降移動する時と、1つの可動体だけが昇降移動する時とがあり、各可動体41,42,43が非同期的に動作するようになって高い演出効果を得ることができる。そして、1つの駆動モータ60により第1〜第3の各可動体41,42,43を作動させるよう構成したから、可動演出装置Mの外形サイズが小型に構成されて、パチンコ機Pの設置部材30における該可動演出装置Mの配設スペースを小さくすることができ、当該可動演出装置Mの近傍に配設される他の可動演出部材や装飾部材、その他機器の配設態様の自由度が高められる。
【0082】
そして、ベース部材40に配設した第1作動機構44の第1アーム部材66が駆動モータ60により第1初期回転位置から第1最大回転位置まで回転することで、該第1アーム部材66に連結した第1移動体46が第1ガイド部材55に沿って下降移動して、ベース部材40から下方へ延出する。また、第1移動体46の下降移動に伴い、該第1移動体46に配設した第2作動機構45の第2アーム部材93がラックギア90に噛合した第1中間ギア91および第2中間ギア92の回転により第2初期回転位置から第2最大回転位置まで回転することで、該第2アーム部材93に連結した第2移動体47が第2ガイド部材80に沿って下降移動して、第1移動体46から下方へ延出する。従って、第1可動体41の第1演出部材S1の下降移動量は、第1移動体46の下降移動量と第2移動体47の下降移動量とを合わせたものとなり、該第1演出部材S1の下降移動量が大きくなって演出効果を高めることができる。
【0083】
また、第1移動体46の昇降移動が第1アーム部材66の回転により発現すると共に、第2移動体47の昇降移動が第2アーム部材93の回転により発現するよう構成したから、第1アーム部材66が配設されたベース部材40は、該第1アーム部材66のアーム部69の回転領域を確保し得る上下サイズに形成すればよく、また第2アーム部材93が配設された第1移動体46は、該第2アーム部材93のアーム部96の回転領域を確保し得る上下サイズに形成すればよい。従って、第1アーム部材66のアーム部69および第2アーム部材93のアーム部96を長くすれば、各アーム部材66,93の回転変位量が小さくても第1演出部材S1の昇降移動量を大きく確保することができるから、この点においても可動演出装置Mを小型化してコンパクトに構成することが可能となる。
【0084】
そして、第1可動体41は、第1移動体46が、駆動モータ60および駆動ギア65が配設された右端側と反対の左端側が第1ガイド部材55で支持されているから、該左端側が該第1ガイド部材55で支持されながら安定的にスライド移動すると共に該第1移動体46の変形が抑制され、駆動ギア85や第1アーム部材66に負荷が掛かり難い。また第2移動体47は、ラックギア90や第1中間ギア91および第2中間ギア92が配設された右端側と反対の左端側が第2ガイド部材80で支持されているから、該左端側が該第2ガイド部材80で支持されながら安定的にスライド移動すると共に該第2移動体47の変形が抑制され、ラックギア90と第1中間ギア91との噛合状態、第1中間ギア91と第2中間ギア92との噛合状態、第2中間ギア92と第2アーム部材93の従動ギア95との噛合状態の各々が適切に維持され、各ギアに負荷が掛かり難い。
【0085】
しかも、第2ガイド部材80は、前後に離間して配置された第1ガイドバー82および第2ガイドバー83により左側が支持されているから、第2移動体47は右側が上下方向および前後方向へ変位し難くなっており、該第2移動体47の変形がより一層抑制される。従って、第2移動体47は、第2ガイド部材80の第1ガイドバー82および第2ガイドバー83に沿って昇降移動する際に姿勢が常に安定するから第2可動体42との位置関係が適正に保持され、第2移動体47に設けられた当接部106が第2可動体42に設けられた被当接部143に正確に当接して適切な係合状態を得ることができる。
【0086】
更に、第1可動体41の昇降移動時においては、第1アーム部材66の回転により第1連係ローラ70を介して第1移動体46に作用する力が、該第1移動体46を支持する第1ガイド部材55に近い部位に加わるよう構成されているから、該第1移動体46の傾きや変形が規制されてスムースかつ安定的な昇降移動が得られる。同様に、第2アーム部材93の回転により第2連係ローラ97を介して第2移動体47に作用する力は、該第2移動体47を支持する第2ガイド部材80に近い部位に加わるよう構成されているから、該第2移動体47の傾きや変形が規制されてスムースかつ安定的な昇降移動が得られる。
【0087】
また更に、第1可動体41に設けられた各取付支持部材116,116が、該第1可動体41の第1初期位置において、第2初期位置にある第2可動体42および第3初期位置にある第3可動体43の直下に位置して、該第2可動体42の移動領域および第3可動体43の移動領域に臨んでいるから、駆動モータ60により昇降移動する第1可動体41が下降移動して取付支持部材116が下方へ移動しなければ、第2可動体42および第3可動体43の下降移動が不能であり、第2可動体42および第3可動体43が第2下降位置および第3下降位置へ下降移動することを好適に規制し得る。また、駆動モータ60により第1可動体41が昇降移動する際には、第2可動体42および第3可動体43を規定の順序で動作させることができる。
【0088】
〔変更例〕
本発明に係る遊技機は、実施例に例示の形態に限らず種々の変更が可能である。
(1)実施例では、設置部材30の設置壁部31における上板部31Aの前側に配設して、図柄表示装置Hの表示部H1の前側に第1〜第3の各可動体41,42,43が上方から昇降移動するタイプの可動演出装置Mを例示したが、該可動演出装置Mの配設位置はこれに限定されない。例えば、設置壁部31における図柄表示装置Hの表示部H1の下方に位置する下板部に配設して、図柄表示装置Hの表示部H1の前側に、第1〜第3の各可動体41,42,43が下方から昇降移動するタイプであってもよい。また、設置壁部31における図柄表示装置Hの表示部H1の左方に位置する左板部または該表示部H1の右方に位置する右板部に配設して、図柄表示装置Hの表示部H1の前側に、第1〜第3の各可動体41,42,43が側方から往復移動するタイプであってもよい。(これは、No.1−2だけに記載します。)
(2)実施例では、可動演出装置Mを、設置部材30の設置壁部31に配設して、図柄表示装置Hの表示部H1の前側で昇降移動させる形態を例示したが、該可動演出装置Mは、遊技盤Dの遊技領域10内または遊技領域10外の盤面に配設したり、中枠Bや前枠Cに配設するものであってもよい。
(3)実施例の可動演出装置Mは、第1移動体46の昇降移動方向と交差する方向における左端側に第1ガイド部材55を配設すると共に、右端側に第1作動機構44の駆動モータ60等を配設するよう構成したが、第1ガイド部材55を第1移動体46の右側に配設すると共に駆動モータ60を左側に配設するようにしてもよい。また、第2移動体47の昇降移動方向と交差する方向における左側に第2ガイド部材80を配設すると共に、右側に第2作動機構44のラックギア90や各中間ギア91,92を配設するよう構成したが、第2ガイド部材80を第2移動体47の右端側に配設すると共にラックギア90および各中間ギア91,92を左端側に配設するようにしてもよい。
(4)第2移動体47に設けられた第2ガイド取付部77は、該第2ガイド取付部77に固定された第2ガイド部材80が前方へ突出しても差し支えない場合には、後方へ凹んだ形状としなくてもよい。また、第2ガイド取付部77は、第1ガイド取付部75と平行でなくてもよく、第1移動体46に対する第2移動体47の移動方向に合わせて配設向きや位置を適宜変更してもよい。
(5)実施例では、第1ガイド部55として、3段引きタイプのスライドレールを例示したが、該第1ガイド部55は、第1移動体46をがたつきなく支持すると共に安定的にスライド移動させ得るものであれば、2段引きタイプのスライドレールや、第2ガイド部80として例示した複数のガイドバーから構成されたもの等であってもよい。
(6)実施例では、第2ガイド部80として、2本のガイドバー(第1ガイドバー82および第2ガイドバー83)を備えたものを例示したが、該ガイドバーの配設数は3本以上であってもよい。また、第2ガイド部80は、第1ガイド部55として例示した3段引きタイプのスライドレール等であってもよい。
(7)実施例では、第1〜第3の各可動体41,42,43が平行にスライド移動するタイプの可動演出装置Mを例示したが、第1〜第3の各可動体41,42,43は、扇状に旋回移動するタイプであってもよい。
(8)第1係合手段における当接部106と被当接部143の形成位置や、第2係合手段における上取付ピン145Aと第2ガイド孔128の上端128Aとの形成位置や、第3係合手段における下ガイドピン126B,127Bと第3ガイド孔133の下端133Bとの形成位置を変更することで、第1可動体41が第1初期位置と第1下降位置との間を昇降移動する際における第1〜第3の各係合手段の係脱タイミングを様々に設定することが可能となり、第1〜第3の各演出部材S1〜S3の動作態様が様々に変更されて演出効果の多様化を図ることが可能である。
(9)実施例では、遊技機としてのパチンコ機を示したが、遊技機はパチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やスロットマシン等であってもよい。