特許第5777578号(P5777578)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5777578画像読取装置、画像形成装置、画像読取プログラム、画像読取方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777578
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】画像読取装置、画像形成装置、画像読取プログラム、画像読取方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20150820BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20150820BHJP
   H04N 1/107 20060101ALI20150820BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20150820BHJP
   H04N 1/407 20060101ALI20150820BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20150820BHJP
   G03B 27/80 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   H04N1/04 106A
   H04N1/10
   G06T1/00 430J
   H04N1/40 101B
   H04N1/387
   G03B27/80
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-169234(P2012-169234)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-30078(P2014-30078A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2014年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】多川 博敏
【審査官】 豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−255024(JP,A)
【文献】 特開平11−004323(JP,A)
【文献】 特開平11−341230(JP,A)
【文献】 特開平06−326865(JP,A)
【文献】 米国特許第05805272(US,A)
【文献】 特開平09−149256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 − 1/20
H04N 1/38 − 1/393
H04N 1/40
G06T 1/00
G06T 1/60
G03B 27/72 −27/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台に載置された原稿から画像データを読み取る画像読取手段と、
前記画像データにおける副走査方向のいずれか一方又は両方の端部に含まれた主走査方向の線画像を検出する線画像検出手段と、
予め設定された数以上の前記線画像が前記線画像検出手段により検出された場合に前記原稿が2ページ分の原稿を含む見開き原稿であると判定する原稿判定手段と、
を備えてなる画像読取装置。
【請求項2】
前記線画像検出手段が、前記画像データにおける副走査方向の両方の端部に含まれた主走査方向の線画像を検出するものであって、
前記線画像検出手段により検出された前記線画像のうち副走査方向の最も内側に存在する2本の線画像の中間位置を前記見開き原稿におけるページの境界として特定する境界特定手段を更に備えてなる請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記境界特定手段により特定された前記見開き原稿におけるページごとの画像データに異なる画像処理を施す個別画像処理手段を更に備えてなる請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記画像処理は、裏写り除去処理及び下地除去処理のいずれか一方又は両方である請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記線画像検出手段が、
前記画像データの下地色を検出する下地色検出手段と、前記下地色検出手段により検出された前記画像データの下地色を第1の閾値として前記画像データを二値化する二値化手段と、前記二値化手段により二値化された二値化データを主走査方向ごとに平均化する平均化手段と、を備えてなり、
前記平均化手段により平均化された平均化データにおいて予め設定された第2の閾値より黒色に近いデータが副走査方向に連続する領域各々を前記線画像として検出するものである請求項1〜4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記原稿台に対して開閉可能に設けられたカバー部材の開閉状態を検知する開閉検知手段を更に備えてなり、
前記線画像検出手段及び前記原稿判定手段が、前記開閉検知手段により前記カバー部材が開いた状態であることが検知されている場合にのみ機能するものである請求項1〜5のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の画像読取装置を備えてなる画像形成装置。
【請求項8】
原稿台に載置された原稿から画像データを読み取る画像読取工程と、
前記画像データにおける副走査方向のいずれか一方又は両方の端部に含まれた主走査方向の線画像を検出する線画像検出工程と、
予め設定された数以上の前記線画像が前記線画像検出工程により検出された場合に前記原稿が2ページ分の原稿を含む見開き原稿であると判定する原稿判定工程と、
をコンピューターに実行させるための画像読取プログラム。
【請求項9】
原稿台に載置された原稿から画像データを読み取る画像読取工程と、
前記画像データにおける副走査方向のいずれか一方又は両方の端部に含まれた主走査方向の線画像を検出する線画像検出工程と、
予め設定された数以上の前記線画像が前記線画像検出工程により検出された場合に前記原稿が2ページ分の原稿を含む見開き原稿であると判定する原稿判定工程と、
を実行する画像読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿台に載置された原稿から画像データを読み取る画像読取手段を備えてなる画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スキャナー、ファクシミリ装置、コピー機及び複合機などの画像読取装置は、原稿台に載置された原稿から画像データを読み取る画像読取手段を備えている。また、前記画像読取装置では、原稿から読み取られた画像データに対して、例えば裏写り除去処理又は下地除去処理などの各種の画像処理が施される。
ところで、複数ページが中央で綴じられた本などの原稿(以下「中綴じ原稿」という)から画像データを読み取る場合には、その中綴じ原稿が開かれた状態で原稿台に載置されるため、読み取られた画像データには2ページ分の原稿の画像データが含まれる。以下、このように2ページ分の原稿を含む中綴じ原稿を見開き原稿と称する。そして、前記見開き原稿では、ページごとに下地色が異なる場合があり、そのような場合に2ページ分の画像データに対して同様の画像処理を施すと、各ページに対する画像処理の補正精度が低下する。
一方、特許文献1には、中綴じ原稿から読み取られた画像データに基づいて、主走査方向のエッジが副走査方向において検出されなくなった箇所をページの境界として求める技術が開示されている。係る特許文献1の技術によれば、画像データにページの境界が存在する場合に読取対象が見開き原稿であると判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−341230公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に係る技術では、原稿台に載置された見開き原稿の中央部に浮き上がりが生じ、画像データにおける原稿のエッジに山型形状が現れることを利用してページの境界を求めている。そのため、枚数が少ない中綴じ原稿を読み取る場合のように原稿台に載置された見開き原稿に浮き上がりが生じない場合に前記特許文献1に係る技術を適用して見開き原稿であるか否かを判定することはできない。
従って、本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、枚数が少ない中綴じ原稿でも見開き原稿であるか否かを判定することのできる画像読取装置、画像形成装置、画像読取プログラム、及び画像読取方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために本発明は、原稿台に載置された原稿から画像データを読み取る画像読取手段と、前記画像データにおける副走査方向のいずれか一方又は両方の端部に含まれた主走査方向の線画像を検出する線画像検出手段と、予め設定された数以上の前記線画像が前記線画像検出手段により検出された場合に前記原稿が2ページ分の原稿を含む見開き原稿であると判定する原稿判定手段と、を備えてなる画像読取装置として構成される。
本発明によれば、前記原稿が比較的枚数が少ない中綴じ原稿であっても、前記画像データにおける副走査方向のいずれか一方又は両方の端部に含まれた前記線画像に基づいて前記原稿が見開き原稿であるか否かを判定することができる。
また、前記特許文献1に開示された技術では、原稿の主走査方向のエッジ部分を検出するために原稿の角部と原稿台の角部とが正確に位置決めされている必要がある。しかしながら、枚数の多い中綴じ原稿では、原稿台に面する原稿の角部を原稿台の角部に正確に位置決めすることは困難である。これに対し、本発明によれば、前記原稿の角部と前記原稿台の角部とが主走査方向又は副走査方向にずれている場合であっても、前記線画像を検出することができ、原稿が見開き原稿であるか否かを判定することが可能である。
さらに、前記線画像検出手段が、前記画像データにおける副走査方向の両方の端部に含まれた主走査方向の線画像を検出するものであれば、前記画像読取装置が、前記線画像検出手段により検出された前記線画像のうち副走査方向の最も内側に存在する2本の線画像の中間位置を前記見開き原稿におけるページの境界として特定する境界特定手段を更に備えてなることが考えられる。これにより、前記見開き原稿におけるページの境界を容易に特定することができる。
そして、前記画像読取装置が、前記境界特定手段により特定された前記見開き原稿におけるページごとの画像データに異なる画像処理を施す個別画像処理手段を更に備えてなることが考えられる。例えば、前記画像処理は、裏写り除去処理及び下地除去処理のいずれか一方又は両方である。係る構成によれば、前記見開き原稿に含まれた2ページの原稿について個別に適切な画像処理を施すことが可能となり、前記画像処理の結果について高い補正精度を得ることができる。
また、前記線画像検出手段が、前記画像データの下地色を検出する下地色検出手段と、前記下地色検出手段により検出された前記画像データの下地色を第1の閾値として前記画像データを二値化する二値化手段と、前記二値化手段により二値化された二値化データを主走査方向ごとに平均化する平均化手段と、を備えてなることが考えられる。この場合、前記線画像検出手段は、前記平均化手段により平均化された平均化データにおいて予め設定された第2の閾値より黒色に近いデータが副走査方向に連続する領域各々を前記線画像として検出することが可能である。
さらに、前記画像読取装置が、前記原稿台に対して開閉可能に設けられたカバー部材の開閉状態を検知する開閉検知手段を更に備えてなることが考えられる。この場合、前記線画像検出手段及び前記原稿判定手段が、前記開閉検知手段により前記カバー部材が開いた状態であることが検知されている場合にのみ機能するものであることが考えられる。これにより、前記カバー部材が開いており、前記見開き原稿である可能性が高い場合にのみ前記線画像検出手段及び前記原稿判定手段を機能させることができ、通常の原稿の画像読み取り時における処理負担を軽減することができる。
また、本発明は、前記画像読取装置を備えてなる画像形成装置の発明として捉えてもよい。即ち、本発明は、原稿台に載置された原稿から画像データを読み取る画像読取手段と、前記画像データにおける副走査方向のいずれか一方又は両方の端部に含まれた主走査方向の線画像を検出する線画像検出手段と、予め設定された数以上の前記線画像が前記線画像検出手段により検出された場合に前記原稿が2ページ分の原稿を含む見開き原稿であると判定する原稿判定手段と、を備えてなる画像形成装置として捉えることができる。
ところで、本発明は、コンピューターを前記各手段として機能させるための画像読取プログラムとして捉えてもよい。即ち、本発明は、原稿台に載置された原稿から画像データを読み取る画像読取工程と、前記画像データにおける副走査方向のいずれか一方又は両方の端部に含まれた主走査方向の線画像を検出する線画像検出工程と、予め設定された数以上の前記線画像が前記線画像検出工程により検出された場合に前記原稿が2ページ分の原稿を含む見開き原稿であると判定する原稿判定工程と、をコンピューターに実行させるための画像読取プログラムとして捉えることができる。
また、本発明は、原稿台に載置された原稿から画像データを読み取る画像読取工程と、前記画像データにおける副走査方向のいずれか一方又は両方の端部に含まれた主走査方向の線画像を検出する線画像検出工程と、予め設定された数以上の前記線画像が前記線画像検出工程により検出された場合に前記原稿が2ページ分の原稿を含む見開き原稿であると判定する原稿判定工程と、を実行する画像読取方法として捉えてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、枚数が少ない中綴じ原稿でも見開き原稿であるか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る複合機Xの概略構成図。
図2】見開き原稿の読み取り状態の一例を示す図。
図3】複合機Xで実行される画像読取処理の手順の一例を説明するためのフローチャート。
図4】読み取られた画像データの一例を示す図。
図5】読み取られた画像データを二値化した結果の一例を示す図。
図6】読み取られた画像データを二値化した結果の一例を示す図。
図7】複合機Xで実行される画像読取処理の手順の他の例を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0009】
<複合機Xの概略構成>
まず、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る複合機Xの概略構成について説明する。なお、図1(A)は、前記複合機Xの模式断面図、図1(B)は、図1(A)におけるA−A矢視模式図である。
前記複合機Xは、画像読取部1、ADF(自動原稿送り装置)2、画像形成部3、給紙カセット4、制御部5、及び操作表示部6などを備えた画像形成装置である。前記操作表示部6は、前記制御部5からの制御指示に従って各種の情報を表示し、前記制御部5に対して各種の情報を入力するタッチパネルなどである。なお、前記複合機Xは、本発明に係る画像読取装置の一例に過ぎない。例えば、前記画像読取部1及び前記制御部5を備えるスキャナー、ファクシミリ装置、及びコピー機なども本発明に係る画像読取装置又は画像形成装置に該当する。
【0010】
前記画像読取部1は、コンタクトガラス51、読取ユニット52、ミラー53、54、光学レンズ55、CCD(Charge Coupled Device)56、センサー群57、及び開閉センサー58などを備えた画像読取手段である。前記コンタクトガラス51は、前記画像読取部1の上面に設けられており、前記複合機Xの画像読取対象となる原稿Pが載置される透明な原稿台である。そして、前記画像読取部1は、前記制御部5によって制御されることにより、前記コンタクトガラス51上に載置された原稿Pから画像データを読み取る。
前記読取ユニット52は、LED光源521及びミラー522を備えており、ステッピングモーター等の駆動モーターを用いた不図示の移動機構によって図1(A)における左右方向(副走査方向)へ移動可能に構成されている。そして、前記駆動モーターにより前記読取ユニット52が副走査方向に移動されると、前記LED光源521から前記コンタクトガラス51上に照射される光が副走査方向に走査される。
前記LED光源521は、図1(A)における奥行き方向(主走査方向)に沿って配列された多数の白色LEDを備えており、前記コンタクトガラス51上の読取位置52Aにある原稿Pに向けて1ライン分の白色光を照射する。なお、前記読取位置52Aは、前記読取ユニット52の副走査方向への移動に伴って副走査方向に移動する。
前記ミラー522は、前記LED光源521から前記読取位置52Aにある原稿Pに光を照射したときの反射光を前記ミラー53に向けて反射させる。そして、前記ミラー522で反射した光は、前記ミラー53、54によって前記光学レンズ55に導かれる。前記光学レンズ55は、入射した光を集光して前記CCD56に入射させる。
前記CCD56は、受光した光をその光量に応じた電気信号(電圧)に変換し、画像データとして出力する光電変換素子である。具体的に、前記CCD56は、前記LED光源521から光が照射されたときに前記原稿Pから反射した光に基づいて前記原稿Pの画像データを読み取る。前記CCD56で読み取られた画像データは前記制御部5に入力される。
【0011】
また、前記センサー群57は、図1(B)に示すように、前記コンタクトガラス51の下方に設けられた複数の光学センサー57A〜57Fを備えている。前記光学センサー57A〜57Fは、前記コンタクトガラス51に載置された原稿Pの副走査方向(図1(B)における左右方向)の長さを検出するために設けられた反射式の光学センサーである。例えば、前記光学センサー57A、57B,57C、57D、57E、57Fは、B5縦、A4縦、B5横、A4横、B4横、A3横のそれぞれのサイズに対応する位置に配置されている。そして、前記光学センサー群57による検出結果は前記制御部5に入力される。これにより、前記制御部5では、前記光学センサー群57による検出結果に基づいて、前記コンタクトガラス51に載置された原稿Pの副走査方向の長さ(以下、「用紙長さ」という)を検出することができる。
一方、前記制御部5は、前記画像読取部1による画像読取処理を開始する際に、前記LED光源521を点灯させ、前記CCD56に入射する光に基づいて、前記コンタクトガラス51に載置された原稿Pの主走査方向の幅(以下、「用紙幅」という)を検出する。
そして、前記制御部5は、前記画像読取部1を制御することにより、前記コンタクトガラス51に載置された原稿Pから前記用紙長さ及び前記用紙幅の画像データを読み取る。なお、前記コンタクトガラス51に載置された原稿Pの用紙長さ及び用紙幅の検出手法はこれに限らず各種の従来技術を採用してもよい。
また、前記開閉センサー58は、前記ADF2の開閉を検知する開閉検知手段であり、検出結果を前記制御部5に入力する。例えば、前記開閉センサー58は、前記ADF2の開閉を光学的に検出する反射式の光学センサー、或いは前記ADF2の開閉を機械的に検出するリミットスイッチなどである。なお、前記開閉センサー58は、前記ADF2に設けられていてもよい。
【0012】
前記ADF2は、原稿セット部21、複数の搬送ローラー22、原稿押さえ23、及び排紙部24などを備えている。
前記ADF2は、前記搬送ローラー22各々を不図示のモーターで駆動させることにより、前記原稿セット部21にセットされた原稿Pを前記コンタクトガラス51上の読取位置52Aを通過させて前記排紙部24まで搬送させる。この際に、前記画像読取部1により前記読取位置52Aを通過する原稿Pから画像データが読み取られる。
前記原稿押さえ23は、前記コンタクトガラス51上の読取位置52Aの上方に原稿Pが通過できる間隔を隔てた位置に設けられている。前記原稿押さえ23は、主走査方向に長尺状を成しており、その下面(コンタクトガラス51側の面)には白色のシートが貼り付けられている。前記複合機Xでは、前記白色のシートの画像データが白色基準データとして読み取られる。そして、前記白色基準データは、周知のシェーディング補正などで用いられる。
また、前記ADF2の下面には前記コンタクトガラス51を覆う白色のプラテンカバーが設けられており、前記ADF2は前記コンタクトガラス51のカバー部材を兼ねている。そして、前記ADF2は、前記複合機Xの筐体により、前記コンタクトガラス51に対して開閉可能に支持されている。なお、前記ADF2に代えて、前記コンタクトガラス51の対向位置に白色のプラテンカバーを有するカバー部材が設けられることも他の実施形態として考えられる。この場合、前記開閉センサー58は、前記カバー部材の開閉を検知する。
【0013】
前記画像形成部3は、前記画像読取部1で読み取られた画像データ、又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて画像形成処理(印刷処理)を実行する電子写真方式の画像形成手段である。
具体的に、前記画像形成部3は、感光体ドラム31、帯電装置32、現像装置33、トナーコンテナ34、転写ローラー35、除電装置36、定着ローラー37、加圧ローラー38などを備えている。そして、前記画像形成部3では、前記給紙カセット4から供給される用紙に以下の手順で画像が形成される。
まず、前記帯電装置32によって前記感光体ドラム31が所定の電位に一様に帯電される。次に、不図示のレーザスキャナユニット(LSU)により前記感光体ドラム31の表面に画像データに基づく光が照射される。これにより、前記感光体ドラム31の表面に静電潜像が形成される。そして、前記感光体ドラム31上の静電潜像は前記現像装置33によってトナー像として現像(可視像化)される。なお、前記現像装置33には、前記トナーコンテナ34からトナー(現像剤)が補給される。続いて、前記感光体ドラム31に形成されたトナー像は前記転写ローラー35によって用紙に転写される。その後、用紙に転写されたトナー像は、その用紙が前記定着ローラー37及び前記加圧ローラー38の間を通過して排出される際に前記定着ローラー37で加熱されて溶融定着する。なお、前記感光体ドラム31の電位は前記除電装置36で除電される。
【0014】
前記制御部5は、CPU、ROM、RAM、EEPROMなどの制御機器を有している。そして、前記制御部5は、前記ROMに記憶された所定の制御プログラムを前記CPUで実行することにより、前記複合機Xを統括的に制御する。また、前記RAMは揮発性の記憶手段、前記EEPROMは不揮発性の記憶手段であって、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリとして使用される。なお、前記制御部5は、集積回路(ASIC、DSP)などの電子回路で構成されたものであってもよく、前記複合機Xを統括的に制御するメイン制御部と別に設けられた制御部であってもよい。
また、前記制御部5のROMには、前記制御部5のCPU等のコンピューターに後述の画像読取処理(図3のフローチャート参照)を実行させるための画像読取プログラムが予め記憶されている。なお、前記画像読取プログラムは、CD、DVD、フラッシュメモリなどの記録メディアに記録されており、前記記録メディアから前記制御部5の前記EEPROM等の記憶手段にインストールされるものであってもよい。
さらに、前記制御部5は、前記画像読取処理において、原稿から読み取った画像データに対して、裏写り除去処理又は下地除去処理などの画像処理を施す。前記裏写り除去処理とは、原稿から読み取った画像データから、原稿の表面に現れた裏面の文字又は画像を除去するための処理である。また、前記下地除去処理とは、原稿から読み取った画像データから、原稿の表面の下地色を除去するための処理である。従来から、これらの画像処理の補正精度を高めるためには原稿の下地色を正確に検出する必要があることが知られている。
【0015】
ところで、前記複合機Xでは、中綴じ原稿が開かれた状態で前記コンタクトガラス51に載置され、その隣接する2ページ分の原稿から同時に前記画像読取部1で画像データが読み取られる場合がある。ここに、図2は、中綴じ原稿P1が開かれた状態で前記コンタクトガラス51に載置された状態を示す図である。なお、図2(A)は、前記中綴じ原稿P1を図1(B)におけるB−B矢視方向に見た図であり、図2(B)は図2(A)の前記中綴じ原稿P1を下方から見た図(コンタクトガラス51から見た図)である。
図2に示すように、前記コンタクトガラス51上には、前記中綴じ原稿P1の左側のページP11及び右側のページP12が載置されている。従って、前記複合機Xにおいて、前記画像読取処理が実行されると、前記左側のページP11及び前記右側のページP12を含む画像データが前記画像読取部1で読み取られることになる。このとき、前記左側のページP11及び前記右側のページP12は異なるページであるため、裏写りの内容及び下地色などが異なることが考えられる。そのため、前記左側のページP11及び前記右側のページP12に対して施される裏写り除去処理及び下地除去処理などの画像処理について高い補正精度を得るためには、ページごとに適した画像処理を個別に施す必要がある。
そこで、前記複合機Xでは、前記制御部5が、後述の画像読取処理を実行することにより、原稿Pから読み取った画像データに基づいて、前記原稿Pが見開き原稿であるか否かを判定し、見開き原稿である場合はページごとに異なる画像処理を施す。これにより、読取対象の原稿Pが見開き原稿である場合に、2ページ分の原稿の画像データそれぞれに対して施される裏写り除去処理及び下地除去処理などの画像データの補正処理について高い補正精度を得ることができる。
【0016】
<画像読取処理>
以下、図3を参照しつつ、前記制御部5によって実行される画像読取処理の手順の一例について説明する。ここに、ステップS11、S12、・・・は前記制御部5により実行される処理手順(ステップ)の識別番号を表している。なお、本発明は、前記複合機Xにおいて前記画像読取処理の各処理手順を実行する方法、前記制御部5に前記画像読取処理の各処理手順を実行させるためのプログラム、又は前記プログラムが記録されたコンピューター読み取り可能な記録媒体として捉えてもよい。
当該画像読取処理は、前記コンタクトガラス51上に原稿Pが載置された状態で、前記操作表示部6に対する開始操作が行われた場合、又はパソコンなどの情報処理装置から画像読取処理の開始要求を受信した場合に前記制御部5によって実行される。
【0017】
[ステップS11]
まず、ステップS11において、前記制御部5は、前記コンタクトガラス51上に載置された原稿Pのサイズを検出する。具体的に、前記制御部5は、前述したように、前記センサー群57による検出結果に基づいて原稿Pの用紙長さを検出し、前記LED光源521を点灯させたときの前記CCD56への入射光に基づいて原稿Pの用紙幅を検出する。
【0018】
[ステップS12]
次に、ステップS12において、前記制御部5は、前記画像読取部1を制御することにより、前記コンタクトガラス51に載置された原稿Pから前記ステップS11で検出された用紙長さ及び用紙幅の原稿サイズの画像データを読み取る。ここに、係る処理工程が画像読取工程に相当する。
【0019】
[ステップS13]
そして、ステップS13において、前記制御部5は、前記ステップS12で読み取られた画像データのうち予め定められた範囲の画像データに基づいて、前記原稿Pの下地色を検出する。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部5が下地色検出手段に相当する。
例えば、前記制御部5は、前記画像データにおいて副走査方向の先端から20mm分(例えば480ライン分)の画像データの度数分布を算出する。そして、前記制御部5は、前記度数分布において最も多い度数の濃度を下地色と判断する。例えば、前記複合機Xにおいて、黒色が濃度「0」、白色が濃度「255」で表される場合であって、前記原稿Pの下地色が白のとき、前記ステップS13において検出される下地色の濃度は「255」に近い値になる。なお、前記原稿Pの下地色の判定手法はこれに限らず各種の従来手法を採用してもよい。
【0020】
[ステップS14]
その後、ステップS14において、前記制御部5は、前記ステップS12で読み取られた画像データについて、副走査方向の先端から後端に向けて順に二値化処理及び平均化処理を開始する。
具体的に、前記二値化処理において、前記制御部5は、前記ステップS13で検出された原稿Pの下地色の濃度を第1の閾値として前記画像データを二値化する。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部5が二値化手段に相当する。具体的に、前記第1の閾値未満の濃度の画像データを黒色の画像データ、前記第1の閾値以上の濃度の画像データを白色の画像データに変換する。以下、前記画像データを二値化した後のデータを二値化データと称する。なお、前記二値化データの算出時には、前記画像データに含まれた主走査方向全域の画像データに限らず主走査方向における一部の領域のみを算出対象としてもよい。
そして、前記平均化処理において、前記制御部5は、前記二値化処理によって得られた二値化データを主走査方向に平均化する。具体的に、前記制御部5は、前記二値化データにおいて副走査方向の1画素ごとに主走査方向の複数画素の平均値を算出する。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部5が平均化手段に相当する。以下、前記二値化データを平均化した後のデータを平均化データと称する。
ここに、図4は、前記ステップS12で読み取られた画像データの一例を示す図である。また、図5は、図4に示す画像データに対して二値化処理を施した後の二値化データを示す図である。そして、図6は、図5に示す二値化データに対して平均化処理を施した平均化データを示す図である。なお、図4図6に示す画像データは、前記ステップS12で読み取られた画像データのうち主走査方向の先端から30画素分、副走査方向の先端から25画素分の画像データである。
【0021】
[ステップS15]
そして、ステップS15において、前記制御部5は、前記平均化データにおいて副走査方向に予め設定された第2の閾値以上の画素が予め設定された所定数以上連続したか否かを判断する。前記所定数は、前記画像データにおける副走査方向の先端に含まれた主走査方向の線画像の形成領域が終了したと判断するために予め設定される数値であって、例えば「10」である。また、前記第2の閾値は、前記線画像を検出するために予め設定された数値であって、例えば「128」である。なお、前記制御部5が、原稿Pの下地色と黒色との中間の濃度の値を算出し、その値を前記第2の閾値として設定することも考えられる。
ここで、前記制御部5は、前記平均化データにおいて副走査方向に前記第2の閾値以上の画素が前記所定数以上連続したと判断すると(S15のYes側)、処理をステップS16に移行させる。一方、前記制御部5は、前記平均化データにおいて副走査方向に前記第2の閾値以上の画素が前記所定数以上連続していなければ(S15のNo側)、処理を前記ステップS14に移行させる。即ち、前記ステップS14で開始された前記二値化処理及び前記平均化処理は、前記平均化データにおいて副走査方向に前記第2の閾値以上の画素が前記所定数以上連続するまで継続する。
【0022】
[ステップS16]
その後、ステップS16において、前記制御部5は、前記ステップS14で得られた前記平均化データに基づいて前記画像データの副走査方向の先端部分に含まれている主走査方向の線画像の数を検出する。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部5が線画像検出手段に相当する。また、係る処理工程が線画像検出工程に相当する。
具体的に、前記制御部5は、前記平均化データの副走査方向の先端部分において前記第2の閾値よりも黒色(濃度が「0」)に近いデータ(濃度)が副走査方向に連続する領域を1本分の前記線画像として検出する。例えば、図6に示すように、前記第2の閾値が「128」に設定されている場合、前記平均化データには前記第2の閾値「128」以下の領域R1、R2、R3が存在する。従って、前記制御部5は、前記原稿Pの先端部分には前記領域R1、R2、R3に対応する3本の線画像が存在すると判断する。
【0023】
[ステップS17]
そして、ステップS17において、前記制御部5は、前記ステップS16において検出された前記線画像の数が予め設定された所定数以上であるか否かを判断する。前記原稿Pが見開き原稿であれば、前記画像データの先端及び後端において重なったページの端部が複数の線画像として現れる。前記所定数は、前記原稿Pが見開き原稿であるか否かを判断するために予め設定された数値であって、例えば前記所定数は「3」に設定される。なお、前記所定数は「2」であっても、或いは「4」以上であってもよい。
ここで、前記制御部5は、前記線画像の数が前記所定数以上であると判断すると(S17のYes側)、前記原稿Pが見開き原稿であると判断し、処理をステップS18に移行させる。一方、前記制御部5は、前記線画像の数が前記所定数以上ではないと判断すると(S17のNo側)、前記原稿Pが見開き原稿ではないと判断し、処理をステップS171に移行させる。
【0024】
[ステップS171]
ステップS171では、前記制御部5は、前記原稿Pから読み取られた画像データについて通常の画像処理を施す。具体的に、前記制御部5は、前記原稿Pの画像データ全体に基づいて下地色を特定し、その下地色を用いて前記裏写り除去処理及び前記下地除去処理などの画像処理を実行する。この場合、前記原稿Pは見開き原稿ではなく、前記画像データに異なるページの画像データが含まれていないため、前記画像データ全体について同様の前記裏写り除去処理及び前記下地除去処理を施しても高い補正精度を得ることができる。
【0025】
[ステップS18]
一方、前記制御部5は、前記線画像の数が前記所定数以上であると判断すると(S17のYes側)、前記原稿Pが2ページ分の原稿を含む見開き原稿であると判定する(S18)。ここに、前記ステップS13〜S18において、前記原稿Pが見開き原稿であるか否かを判定するための処理を実行するときの前記制御部5が原稿判定手段に相当する。また、係る処理工程が原稿判定工程に相当する。
そして、前記原稿Pが見開き原稿である場合には、前記画像データに2ページ分の画像データが含まれるため、前記画像データ全体について同一の前記裏写り除去処理及び前記下地除去処理を施すと、これらの画像処理により高い補正精度を得ることができない。そこで、続くステップS19〜S23では、前記画像データに対してページごとに異なる画像処理を施すための処理が実行される。
【0026】
[ステップS19]
まず、ステップS19において、前記制御部5は、前記ステップS14と同様に、前記ステップS12で読み取られた画像データについて、副走査方向の後端から先端に向けて順に二値化処理及び平均化処理を開始する。これにより、前記画像データについて副走査方向の後端部分について前記平均化データが得られる。
なお、この場合、前記制御部5は、前記ステップS13で検出された下地色を前記第2の閾値として前記二値化処理を実行してもよい。一方、前記制御部5は、前記画像データの副走査方向の後端から20mm分などの予め定められた範囲の画像データに基づいて下地色を再度検出し、その下地色を前記第2の閾値として二値化処理を実行することも考えられる。これにより、前記原稿Pに含まれた2ページ分の原稿の下地色が異なる場合に前記二値化処理を高い精度で実行することができる。
【0027】
[ステップS20]
そして、ステップS20において、前記制御部5は、前記平均化データにおいて副走査方向に前記第2の閾値以上の画素が前記所定数以上連続したか否かを判断する。そして、前記制御部5は、前記平均化データにおいて副走査方向に前記第2の閾値以上の画素が前記所定数以上連続したと判断すると(S20のYes側)、処理をステップS21に移行させる。一方、前記制御部5は、前記平均化データにおいて副走査方向に前記第2の閾値以上の画素が前記所定数以上連続していなければ(S20のNo側)、処理を前記ステップS19に移行させる。即ち、前記ステップS14で開始された前記二値化処理及び前記平均化処理は、前記平均化データにおいて副走査方向に前記第2の閾値以上の画素が前記所定数以上連続するまで継続する。
【0028】
[ステップS21]
ステップS21において、前記制御部5は、前記ステップS14及び前記ステップS19で得られた前記平均化データに基づいて、前記画像データの副走査方向において最も内側に存在する2本の線画像の位置を検出する。例えば、図6に示す例では、前記画像データの副走査方向の先端部分において前記領域R3が最も後端側に存在する線画像であるため、前記領域R3の位置が最も内側に存在する線画像の一つの位置として検出される。そして、前記制御部5は、前記画像データの副走査方向の後端部分についても同様に最も内側(先端側)に存在する線画像の位置を検出する。
【0029】
[ステップS22]
続いて、前記制御部5は、ステップS22において、前記原稿Pの画像データに含まれた2ページ分の画像データの境界位置を特定する。具体的に、前記制御部5は、前記ステップS21で検出された前記線画像のうち副走査方向の最も内側に存在する2本の線画像の中間位置を見開き原稿である前記原稿Pにおけるページの境界として特定する。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部5が境界特定手段に相当する。
【0030】
[ステップS23]
そして、ステップS23において、前記制御部5は、前記ステップS12で読み取られた画像データに対して、前記画像データのうち前記境界位置よりも左側のページ、前記境界位置よりも右側のページに対してそれぞれ異なる画像処理を施す。例えば、図3に示した中綴じ原稿P1から画像データが読み取られる場合、前記左側のページP11及び前記右側のページP12に対して異なる画像処理が施されることになる。ここに、係る処理を実行するときの前記制御部5が個別画像処理手段に相当する。
具体的に、前記制御部5は、前記原稿Pの画像データのうち前記左側のページの画像データに基づいて前記左側のページの下地色を判定し、その下地色を用いて前記左側のページの画像データについて裏写り除去処理及び下地除去処理などの画像処理を実行する。
また、前記制御部5は、同様に、前記原稿Pの画像データのうち前記右側のページの画像データに基づいて前記右側のページの下地色を判定し、その下地色を用いて前記右側のページの画像データについて裏写り除去処理及び下地除去処理などの画像処理を実行する。
なお、前記ステップS23で実行される前記画像処理は、前記裏写り除去処理及び前記下地除去処理のいずれか一方であってもよい。また、前記画像処理は、前記裏写り除去処理及び前記下地除去処理に限らず、ページごとに適切な補正内容が変化する各種の画像処理であってもよい。さらに、前記ステップS23において、前記制御部5が、前記原稿Pから読み取られた画像データのうち前記ステップS21で検出された最も内側の2本の線画像の外側の領域を原稿外領域として削除すること又は白色に置換することも他の実施形態として考えられる。
【0031】
以上説明したように、前記複合機Xでは、前記原稿Pが見開き原稿であるか否かが判断され、前記原稿Pが見開き原稿である場合には、前記原稿Pに含まれたページ各々について適切な画像処理が個別に施される。従って、前記原稿Pが見開き原稿である場合であっても、前記裏写り除去処理及び前記下地除去処理などの画像処理について高い補正精度を得ることができる。
また、前記中綴じ原稿P1は厚みがあるため、ユーザーはその原稿面の角部を前記コンタクトガラス51上の角部に合わせにくい。しかし、前記複合機Xでは、前記画像データに含まれた主走査方向の線画像の有無に応じて前記原稿Pが見開き原稿であるか否かを判定している。そのため、前記複合機Xでは、前記原稿Pが前記コンタクトガラス51において左上の角部から主走査方向にずれた位置であっても前記判定を行うことが可能である。
さらに、前記画像読取処理では、前記ADF2の開閉にかかわらず前記画像読取処理において前記原稿Pが見開き原稿であるか否かが判断される。そのため、前記原稿Pが枚数の少ない中綴じ原稿であり、前記開閉センサー58により前記ADF2が開いていると判断されない場合でも、前記原稿Pを見開き原稿と判定し、ページごとに適切な画像処理を施すことが可能である。
なお、前記画像読取処理では、前記ステップS14〜S18において、前記画像データの副走査方向の先端部分に含まれる線画像の数に基づいて前記原稿Pが見開き原稿であるか否かを判定する場合を例に挙げて説明した。一方、前記ステップS14〜S18において、前記制御部5が、前記画像データの副走査方向の先端部分に代えて後端部分の線画像の数に基づいて前記原稿Pが見開き原稿であるか否かを判定することも考えられる。また、前記ステップS14〜S18において、前記制御部5が、前記画像データの副走査方向の先端部分の線画像の数及び後端部分の線画像の数の両方に基づいて前記原稿Pが見開き原稿であるか否かを判定することも考えられる。
【0032】
<他の実施形態>
前記実施の形態では、前記画像読取処理(図3のフローチャート参照)において、前記ADF2の開閉にかかわらず前記原稿Pが見開き原稿であるか否かを判定する場合を例に挙げて説明した。
一方、前記原稿Pが用紙枚数の多い中綴じ原稿であって、その原稿Pが前記コンタクトガラス51に載置される場合には、前記ADF2が開いた状態で前記原稿Pの画像データの読み取りが開始される。即ち、前記原稿Pが見開き原稿である可能性がある中綴じ原稿である場合には前記ADF2が開いた状態となり、前記原稿Pが一枚のシートである場合には前記ADF2が閉じた状態となる。そこで、前記画像読取処理の他の実施形態として、前記ADF2が開いている場合にのみ、前記原稿Pが見開き原稿であるか否かの判定処理を実行し、前記原稿Pが見開き原稿である場合にページごとに異なる画像処理を施すことが考えられる。
ここに、図7は、前記画像読取処理の他の実施形態を説明するためのフローチャートである。なお、図3に示した前記画像読取処理と同様の処理手順には同じ符合を付している。
図7に示す画像読取処理では、前記制御部5は、前記ステップS12の後に、前記ADF2が開放しているか否かを判断するステップS121を実行する。具体的に、前記ステップS121において、前記制御部5は、前記開閉センサー58による検知結果に応じて前記ADF2の開閉状態を判断する。
ここで、前記制御部5は、前記ADF2が開いていると判断すると(S121のYes側)、処理を前記ステップS13に移行させるが、前記ADF2が閉じていると判断すると(S121のNo側)、処理を前記ステップS171に移行させる。これにより、前記ADF2が開いた状態で画像データの読み取りが行われる場合にのみ前記ステップS13以後における見開き原稿であるか否かの判定及びページごとに異なる画像処理が実行される。即ち、前記ADF2が開いた状態で画像データの読み取りが行われる場合にのみ、前記制御部5が前記線画像検出手段及び前記原稿判定手段として機能する。そして、前記ADF2が閉じた状態で画像データの読み取りが行われる場合には、それらの処理が実行されることなく前記ステップS171に移行して通常の画像処理が実行される。従って、当該構成によれば、前記原稿Pが見開き原稿である可能性が少ない場合における前記制御部5の処理負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 :画像読取部
2 :ADF
3 :画像形成部
31:感光体ドラム
32:帯電装置
33:現像装置
34:トナーコンテナ
35:転写ローラー
36:除電装置
37:定着ローラー
38:加圧ローラー
4 :給紙カセット
5 :制御部
51:コンタクトガラス
52:読取ユニット
53、54:ミラー
55:光学レンズ
56:CCD
6 :操作表示部
P :原稿
P1:中綴じ原稿
P11:左側のページ
P12:右側のページ
S11、S12、・・・S22:処理手順(ステップ)番号
X :複合機(画像読取装置、画像形成装置の一例)
図1
図3
図7
図2
図4
図5
図6