特許第5777584号(P5777584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777584
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/46 20060101AFI20150820BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20150820BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   H04N1/46 Z
   H04N1/40 D
   G06T1/00 510
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-184579(P2012-184579)
(22)【出願日】2012年8月23日
(65)【公開番号】特開2014-42217(P2014-42217A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2014年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】田尾 幸三
【審査官】 畑中 高行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−042688(JP,A)
【文献】 特開2002−262115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N1/40−1/64
G06T1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを伝送するためのバスと、
複数色に対応する複数の画像形成ユニットを用いるカラー印刷動作及び黒色に対応する前記画像形成ユニットのみを用いるモノクロ印刷動作を実行可能な画像形成手段と、
原稿データがカラー画像データ及びモノクロ画像データを含む混在原稿である場合に前記カラー印刷動作及び前記モノクロ印刷動作のいずれかを選択して前記画像形成手段に実行させる制御部と、
前記原稿データが前記混在原稿であって処理対象前記モノクロ画像データである場合に、前記モノクロ画像データの一部分に相当する予め定められた処理単位量分の複数色のダミー画像データを前記モノクロ画像データに付加したカラー画像データを前記バスに出力する付加手段と、
前記処理単位量以下のデータごとに画像処理を施して前記バスに出力する画像処理手段と、
前記バスから取得した前記画像処理後の前記カラー画像データに含まれる複数色の画像データを前記複数色の画像データにそれぞれ対応して入力される同期信号に従って前記画像形成手段に出力する出力手段と、
前記モノクロ印刷動作が実行される場合に、前記複数色の画像データのうち黒色を除く色の画像データを同時に出力させるための前記同期信号を前記出力手段に入力し、所定時間経過後に前記複数色の画像データのうち黒色に対応する前記画像データを出力させるための前記同期信号を前記出力手段に入力する同期信号入力手段と、
を備えてなる画像処理装置。
【請求項2】
前記処理単位量が、1ライン、1バンド、又は1サブバンドである請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理手段が、前記バスから取得したカラー画像データに対して前記処理単位量以下のデータごとに画像処理を施すものである請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理手段が、1バンドのデータごとに回転処理を施す回転処理手段を含んでなり、
前記ダミー画像データ各々についての前記回転処理手段による回転を無効にする回転無効手段を更に備えてなる請求項1〜のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記バスに接続された記憶手段を更に備えてなり、
前記付加手段が、前記カラー画像データを前記バスに出力して前記記憶手段に記憶させるものであり、
前記画像処理手段が、前記バスを介して前記記憶手段から前記カラー画像データを取得し、前記画像処理後の前記カラー画像データを前記バスに出力して前記記憶手段に記憶させるものであり、
前記出力手段が、前記バスを介して前記記憶手段から取得した前記複数色の画像データを前記バスから出力するものである請求項1〜のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
原稿から画像データを読み取る画像読取手段と、前記画像読取手段により読み取られた画像データに画像処理を施して前記バスに出力する読取画像処理手段と、を更に備えてなる請求項1〜のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記同期信号入力手段が、
前記カラー印刷動作が実行される場合は、時間差を設けて前記複数色の画像データを出力させるための前記同期信号を前記出力手段に入力するものであり、
連続して前記カラー画像データが出力される場合に、前記複数色の画像データのうち黒色の画像データと次の前記カラー画像データにおける前記複数色の画像データのうち黒色を除く画像データとの出力タイミングが重なるように前記同期信号を出力するものである請求項1〜6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部が、印刷時間が短くなるように前記モノクロ印刷動作及び前記カラー印刷動作のいずれかを選択する請求項1〜7のいずれかに記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像データ及びモノクロ画像データに各種の画像処理を施す画像処理装置及び画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラー印刷対応のプリンター及び複合機などの画像処理装置は、印刷処理対象である原稿の画像データ(以下、「原稿データ」という)として入力されたモノクロ画像データ又はカラー画像データに基づいて用紙にモノクロ画像又はカラー画像を印刷する。この種の画像処理装置として、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色に対応する感光体ドラムが並設された所謂タンデム型の画像形成部を有する構成が知られている(例えば特許文献1参照)。なお、CMYK各々に対応する前記感光体ドラムに形成された各種のトナー像は、中間転写ベルトに重ねて転写された後、その中間転写ベルトから用紙に転写される。
【0003】
また、前記画像処理装置には、装置全体を統括的に制御するメイン制御部と画像形成部の動作を制御するエンジン制御部とが設けられることがある。前記メイン制御部は、画像データに回転処理、ハーフトーン処理、及びサイズカット処理などの各種の画像処理を施す画像処理部を備えている。なお、前記メイン制御部はSDRAM等の記憶メモリーを作業領域として利用する。
一方、前記エンジン制御部は、原稿データがカラー画像データである場合にはCMYK各々の感光体ドラムを用いるカラー印刷動作を実行し、原稿データがモノクロ画像データである場合にはKの感光体ドラムのみを用いるモノクロ印刷動作を実行する。具体的に、前記モノクロ印刷動作時、前記エンジン制御部は、CMY各々の感光体ドラムを中間転写ベルトから離間させる。
【0004】
また、前記エンジン制御部は、原稿データがモノクロ画像データ及びカラー画像データが混在する混在原稿である場合、印刷時間が極力短くなるように前記モノクロ印刷動作及び前記カラー印刷動作のいずれかを選択的に実行する。即ち、原稿データがモノクロ画像データであっても、前記エンジン制御部によって前記カラー印刷動作が実行される場合がある。そのため、前記メイン制御部は、原稿データがモノクロ画像データである場合、モノクロ画像データにCMYのダミー画像データを付加したカラー画像データを生成する。これにより、前記エンジン制御部に入力される画像データが常にカラー画像データとなるため、前記エンジン制御部ではモノクロ印刷動作及びカラー印刷動作のいずれかを任意に実行することが可能である。
【0005】
ここに、図7は、原稿データがモノクロ画像データである場合の印刷動作を説明するための図であって、図7(A)は前記カラー印刷動作、図7(B)は前記モノクロ印刷動作が実行される場合におけるカラー画像データの出力タイミングを示している。前記カラー画像データは、前記メイン制御部によって生成され、前記メイン制御部のSDRAMに記憶されたものである。
まず、図7(A)に示すように、前記カラー印刷動作時、前記エンジン制御部は、CMYKの各色に対応する画像データをそれぞれに対応する感光体ドラムの配置間隔に応じて所定のタイミングで順に前記メイン制御部のSDRAMから読み出す。この場合は、原稿データがカラー画像データである場合と同様の印刷時間を要する。
一方、図7(B)に示すように、前記モノクロ印刷動作時、前記エンジン制御部は、CMYKの各色に対応する画像データを同時に前記メイン制御部のSDRAMから読み出す。この場合、CMYK各々の画像データが同時に出力されるため、前記カラー印刷動作に比べて短時間で印刷動作が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−282027公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図7(B)に示した前記モノクロ印刷動作ではCMYK各々に対応する画像データが前記メイン制御部のSDRAMから同時に出力されるため、前記SDRAMとの間でデータを伝送するためのバスの帯域が圧迫されるという問題が生じる。例えば、前記バスの帯域不足によりバッファアンダーラン等のエラーが生じる。特に、印刷機能の他に前記SDRAMを作業領域として使用するスキャナー機能やファクシミリ機能などを有する複合機では、前記バスの帯域不足に起因して、複数の機能を同時に使用することができないという問題が生じる。
従って、本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、モノクロ画像データをカラー画像データに変換して出力する際のバスの使用帯域を減少させることのできる画像処理装置及び画像処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明は、バス、付加手段、画像処理手段、及び出力手段を備えてなる画像処理装置である。前記バスは、データを伝送するために用いられるものである。前記付加手段は、処理対象の原稿データがモノクロ画像データである場合に、前記モノクロ画像データの一部分に相当する予め定められた処理単位量分の複数色のダミー画像データを前記モノクロ画像データに付加したカラー画像データを前記バスに出力するものである。前記画像処理手段は、前記処理単位量以下のデータごとに画像処理を施して前記バスに出力するものである。前記出力手段は、前記バスから取得した前記画像処理後の前記カラー画像データに含まれる複数色の画像データを前記複数色の画像データにそれぞれ対応して入力される同期信号に従って出力するものである。ここに、前記処理単位量は、例えば1ライン、1バンド、又は1サブバンドである。前記画像処理手段は、例えば前記バスから取得したカラー画像データに対して前記処理単位量以下のデータごとに画像処理を施すものである。
本発明によれば、前記ダミー画像データが前記モノクロ画像データの一部分に相当する前記処理単位量分のみのデータであるため、前記モノクロ画像データを前記カラー画像データに変換して出力する際のバスの使用帯域を減少させることができる。即ち、本発明によれば、前記ダミー画像データが1ページ分に相当するデータである場合に比べて、処理対象の原稿データが前記モノクロ画像データである場合における前記バスの使用帯域を減少させることができる。
【0009】
ここで、前記画像処理装置は、処理対象の原稿データが予め設定された条件を満たす場合に、少なくとも前記複数色のダミー画像データを同時に出力させるための前記同期信号を前記出力手段に入力する同期信号入力手段を更に備えてなることが考えられる。このように前記複数色のダミー画像データが同時に出力される場合でも、本発明によれば、前記ダミー画像データ各々が前記処理単位量分のみのデータであるため、前記バスの帯域を圧迫する期間を短くすることができる。
ところで、前記画像処理手段が、1バンドのデータごとに回転処理を施す回転処理手段を含んでなる構成が考えられる。この場合、前記画像処理装置は、前記ダミー画像データ各々についての前記回転処理手段による回転を無効にする回転無効手段を備えることが望ましい。これにより、1バンドの前記ダミー画像データは回転処理の対象とならないため、前記ダミー画像データの出力期間を一時期に集約することができる。
本発明のより具体的な構成としては、前記バスに接続された記憶手段を更に備えてなることが考えられる。この場合、前記付加手段は、前記カラー画像データを前記バスに出力して前記記憶手段に記憶させるものである。また、前記画像処理手段は、前記バスを介して前記記憶手段から前記カラー画像データを取得し、前記画像処理後の前記カラー画像データを前記バスに出力して前記記憶手段に記憶させるものである。そして、前記出力手段が、前記バスを介して前記記憶手段から取得した前記複数色の画像データを前記バスから出力するものである。このように構成された前記画像処理装置では、処理対象の原稿データが前記モノクロ画像データである場合に、前記バスに接続された前記記憶手段を共用することが可能である。
例えば、前記画像処理装置が、原稿から画像データを読み取る画像読取手段と、前記画像読取手段により読み取られた画像データに画像処理を施して前記バスに出力する読取画像処理手段と、を更に備えてなることが考えられる。この場合、処理対象の原稿データが前記モノクロ画像データである場合に、並行して前記画像読取手段による画像データの読み取りを実行することができる。
また、前記画像処理装置は、前記出力手段により出力された前記カラー画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成手段を更に備えてなることが考えられる。即ち、前記画像処理装置は、プリンター、ファクシミリ装置、コピー機、複合機などの画像形成装置であることが考えられる。
ところで、本発明は、前記バス、前記画像処理手段、及び前記出力手段を備えてなる画像処理装置に設けられたコンピューターを前記付加手段として機能させるための画像処理プログラムとして捉えてもよい。即ち、前記コンピューターに、処理対象の原稿データがモノクロ画像データである場合に、前記モノクロ画像データの一部分に相当する予め定められた前記処理単位量分の複数色のダミー画像データを前記モノクロ画像データに付加したカラー画像データを前記バスに出力する付加工程を実行させるための画像処理プログラムとして捉えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モノクロ画像データをカラー画像データに変換して出力する際のバスの使用帯域を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る複合機の概略構成図。
図2】本発明の実施の形態に係る複合機のシステム構成を示す要部ブロック図。
図3】バンド及びサブバンドの概念を説明するための図。
図4】本発明の実施の形態に係る複合機で実行される画像形成処理の手順の一例を説明するためのフローチャート。
図5】原稿データがモノクロ画像データである場合の印刷動作の一例を説明するための図。
図6】原稿データがモノクロ画像データである場合の印刷動作の他の例を説明するための図。
図7】原稿データがモノクロ画像データである場合の印刷動作の従来例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0013】
まず、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る複合機Xの概略構成について説明する。なお、前記複合機Xは、本発明に係る画像処理装置の一例に過ぎず、本発明は、プリンター、ファクシミリ装置、スキャナー、及びコピー機などの画像処理装置にも適用可能である。
図1に示すように、前記複合機Xは、画像読取部1、ADF2、画像形成部3、給紙カセット4、メイン制御部5、操作表示部6、及びエンジン制御部7などを備えた画像形成装置である。前記操作表示部6は、前記制御部5からの制御指示に従って各種の情報を表示し、前記制御部5に対する各種の操作入力に用いられるタッチパネルなどである。また、前記複合機Xは、公衆回線、LAN、インターネットなどの通信網を介してデータ通信を実行する不図示の通信モデムなども有しており、前記メイン制御部5によって前記通信モデムを用いたファクシミリ機能又はデータ通信機能が具現される。
【0014】
前記画像読取部1は、コンタクトガラス11、読取ユニット12、ミラー13、14、光学レンズ15、及びCCD(Charge Coupled Device)16などを備えた画像読取手段である。前記コンタクトガラス11は、前記画像読取部1の上面に設けられており、前記複合機Xの画像読取対象となる原稿が載置される透明な原稿台である。そして、前記画像読取部1は、前記制御部5によって制御されることにより、前記コンタクトガラス11上に載置された原稿から画像データを読み取る。
前記読取ユニット12は、LED光源121及びミラー122を備えており、ステッピングモーター等の駆動モーターを用いた不図示の水平移動機構によって図1における左右方向(副走査方向)へ移動可能に構成されている。そして、前記駆動モーターにより前記読取ユニット12が副走査方向に移動されると、前記LED光源121から前記コンタクトガラス11上に照射される光が副走査方向に走査される。
前記LED光源121は、図1における奥行き方向(主走査方向)に沿って配列された多数の白色LEDを備えており、前記コンタクトガラス11上の読取位置12Aにある原稿に向けて1ライン分の白色光を照射する。なお、前記読取位置12Aは、前記読取ユニット12の副走査方向への移動に伴って副走査方向に移動する。
前記ミラー122は、前記LED光源121から前記読取位置12Aにある原稿に光を照射したときの反射光を前記ミラー13に向けて反射させる。そして、前記ミラー122で反射した光は、前記ミラー13、14によって前記光学レンズ15に導かれる。前記光学レンズ15は、入射した光を集光して前記CCD16に入射させる。
前記CCD16は、受光した光をその光量に応じた電気信号(電圧)に変換し、画像データとして出力する光電変換素子である。具体的に、前記CCD16は、前記LED光源121から光が照射されたときに前記原稿から反射した光に基づいて前記原稿の画像データを読み取る。前記CCD16で読み取られた画像データは前記制御部5に入力される。
【0015】
前記ADF2は、原稿セット部21、複数の搬送ローラー22、原稿押さえ23、及び排紙部24などを備えた自動原稿送り装置である。前記ADF2は、前記複合機Xの筐体によって前記コンタクトガラス11に対して開閉可能に支持されており、前記コンタクトガラス11のカバーを兼ねている。
前記ADF2は、前記搬送ローラー22各々を不図示のモーターで駆動させることにより、前記原稿セット部21にセットされた原稿を前記コンタクトガラス11上の読取位置12Aを通過させて前記排紙部24まで搬送させる。この際に、前記画像読取部1により前記読取位置12Aを通過する原稿から画像データが読み取られる。
前記原稿押さえ23は、前記コンタクトガラス11上の読取位置12Aの上方に原稿が通過できる間隔を隔てた位置に設けられている。前記原稿押さえ23は、主走査方向に長尺状を成しており、その下面(コンタクトガラス11側の面)には白色のシートが貼り付けられている。前記複合機Xでは、前記白色のシートの画像データが白色基準データとして読み取られる。そして、前記白色基準データは、周知のシェーディング補正などで用いられる。
【0016】
前記画像形成部3は、前記画像読取部1で読み取られた画像データ、又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された画像データに基づいて用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成手段である。
具体的に、前記画像形成部3は、複数の画像形成ユニット31〜34と、LSU35、中間転写ベルト36、二次転写ローラー37、定着装置38、及び排紙トレイ39などを備えている。なお、前記画像形成部3による印刷動作については後段で説明する。
前記画像形成ユニット31はC(シアン)、前記画像形成ユニット32はM(マゼンダ)、前記画像形成ユニット33はY(イエロー)、前記画像形成ユニット34はK(ブラック)に対応する電子写真方式の画像形成ユニットである。前記画像形成ユニット31〜34各々は、感光体ドラム311、帯電装置312、現像装置313、一次転写ローラー314、及びクリーニング装置315などを備えている。
また、前記LSU35は、画像データに基づくレーザー光を前記感光体ドラム311各々に照射することにより前記感光体ドラム311各々に画像データに基づく静電潜像を形成するものである。前記中間転写ベルト36は、前記感光体ドラム311各々に形成された各色のトナー像が中間転写される中間転写部材である。
さらに、前記画像形成部3は、複数の前記感光体ドラム311のうちKを除くCMY各々に対応する前記感光体ドラム311及び前記転写ローラー315を前記中間転写ベルト36に対して接触及び離間させる周知の離接機構(不図示)を備えている。前記離接機構(不図示)は、例えばステッピングモーター等の駆動手段によって駆動され、前記駆動手段は前記エンジン制御部7によって制御される。
【0017】
<システム構成>
続いて、図2のブロック図を参照しつつ、前記複合機Xのシステム構成について説明する。
図2に示すように、前記メイン制御部5は、バス50、CPU51、ROM52、RAM53、SDRAM54、メモリー制御部55、スキャン処理部56、回転処理部57、ハーフトーン処理部58、サイズカット処理部59、及びデータ出力処理部60などを備えている。前記バス50は、前記CPU51、前記メモリー制御部55、前記スキャン処理部56、前記回転処理部57、前記ハーフトーン処理部58、前記サイズカット処理部59、及び前記データ出力処理部60と前記SDRAM54との間でデータを伝送するために用いられる伝送経路である。
【0018】
前記CPU51は、前記ROM52に記憶された所定の制御プログラムを実行することにより前記複合機Xを統括的に制御する。具体的に、前記ROM52には、前記CPU51等のコンピューターに後述の画像形成処理(図3参照)を実行させるための画像処理プログラムが予め記憶されている。また、前記RAM53は揮発性の記憶手段であって、前記CPU51が実行する各種の処理の一時記憶手段として利用される。
なお、前記画像処理プログラムは、CD、DVD、半導体メモリー(フラッシュメモリー)などのコンピューターが読み取り可能な記録媒体に記録されており、前記記録媒体から前記複合機Xが備える不図示のハードディスク等の記憶手段にインストールされるものであってもよい。本発明は、前記画像処理プログラム、又は前記画像処理プログラムが記録されたコンピューター読み取り可能な記録媒体として捉えることができる。
【0019】
前記SDRAM54は、前記バス50に接続されたDDR−SDRAM(Double-Data-Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)などの揮発性の記憶手段であって、前記メイン制御部5における各種データの一時記憶手段(作業領域)として利用される。
前記メモリー制御部55、前記スキャン処理部56、前記回転処理部57、前記ハーフトーン処理部58、前記サイズカット処理部59、及び前記データ出力処理部60はASIC等の集積回路である。なお、前記メモリー制御部55、前記スキャン処理部56、前記回転処理部57、前記ハーフトーン処理部58、前記サイズカット処理部59、及び前記データ出力処理部60がCPU等の演算手段の処理によって具現される一部の機能であることも考えられる。
前記メモリー制御部55は、前記バス50を介して行われる前記SDRAM54に対するデータの読み書きを制御するDMAコントローラー等を有している。また、前記メモリー制御部55は、前記バス50の使用について優先度制御処理及び排他制御処理なども実行する。例えば、前記メモリー制御部55では、前記回転処理部57の優先度が他の前記スキャン処理部56、前記ハーフトーン処理部58、前記サイズカット処理部59、及び前記データ出力処理部60の優先度よりも低く設定されていることが考えられる。この場合、前記メモリー制御部55は、前記スキャン処理部56、前記ハーフトーン処理部58、前記サイズカット処理部59、及び前記データ出力処理部60による前記バス50の使用を優先し、前記バス50の使用帯域に余裕がある場合に前記回転処理部37による前記バス50の使用を許可する。
前記スキャン処理部56は、前記画像読取部1で読み取られて前記CCD16から出力される画像データを取得し、前記画像データにシェーディング補正及びガンマ補正などの各種の画像処理を施す読取画像処理手段の一例である。前記スキャン処理部56による画像処理後の画像データは前記SDRAM54に記憶される。
【0020】
前記回転処理部57、前記ハーフトーン処理部58、及び前記サイズカット処理部59各々は、予め定められた後述のダミー画像データのデータ量(処理単位量)以下のデータごとに画像処理を施して前記バス50に出力する画像処理手段の一例である。例えば、前記回転処理部57、前記ハーフトーン処理部58、及び前記サイズカット処理部59各々は、前記SDRAM54に記憶されたカラー画像データに、後述のダミー画像データのデータ量以下のデータごとに画像処理を施す。なお、本実施の形態において、単にカラー画像データ又はモノクロ画像データと称する場合は1ページ分の画像データを示す。前記回転処理部57、前記ハーフトーン処理部58、及び前記サイズカット処理部59各々は、前記バス50を介して前記SDRAM54の予め定められた記憶領域を対象に画像データの書き込み及び読み出しを実行するDMAC等を有している。以下で説明する前記回転処理部57、前記ハーフトーン処理部58、及び前記サイズカット処理部59各々による前記SDRAM54に対する画像データの読み書きは前記DMA等によって実行される。
【0021】
前記回転処理部57は、1バンドのデータ(処理単位量以下のデータの一例)ごとに回転処理を施す回転処理手段の一例である。具体的に、前記回転処理部57は、前記CPU51からの制御指示に従って、前記SDRAM54に記憶されたカラー画像データのうち回転対象となるデータを前記バス50から取得する。そして、前記回転処理部57は、前記取得したデータに対して前記データに対応する画像の向きを90度又は−90度回転させる回転処理を施す。具体的に、前記回転処理部57は、原稿データがモノクロ画像データである場合にはKのみの画像データに対して回転処理を施し、原稿データがカラー画像データである場合にはCMYKの画像データ各々に対して回転処理を施す。その後、前記回転処理部57は、前記回転処理後のデータを前記バス50に出力して前記SDRAM54に記憶させる。なお、前記回転処理部57が、前記データについてサブバンド単位又はライン単位で回転処理を施すことも他の実施形態として考えられる。
ここに、図3は、画像データのバンド及びサブバンドの概念を説明するための図である。図3に示すように、前記複合機Xにおいて、画像データは、副走査方向の予め定められた複数ラインごとの部分領域B1に相当するバンド、又は前記部分領域B1各々を主走査方向に予め設定された範囲ごとに分割した部分領域B2に相当するサブバンドのいずれかの単位で処理される。
【0022】
前記ハーフトーン処理部58は、前記SDRAM54に記憶された前記回転処理後の前記カラー画像データをバンド単位で前記バス50から取得し、前記カラー画像データに対してハーフトーン処理を施す。その後、前記ハーフトーン処理部58は、前記ハーフトーン処理後の前記カラー画像データを前記バス50に出力して前記SDRAM54に記憶させる。なお、前記ハーフトーン処理部58が、前記カラー画像データについてサブバンド単位でハーフトーン処理を施すことも他の実施形態として考えられる。
前記サイズカット処理部59は、前記SDRAM54に記憶された前記ハーフトーン処理後の前記カラー画像データをバンド単位で前記バス50から取得し、前記カラー画像データに対して不要な画像データを削除するサイズカット処理を施す。その後、前記サイズカット処理部59は、前記サイズカット処理後の前記カラー画像データを前記バス50に出力して前記SDRAM54に記憶させる。なお、前記サイズカット処理部59が、前記カラー画像データについてサブバンド単位又はライン単位でサイズカット処理を施すことも他の実施形態として考えられる。
【0023】
前記データ出力処理部60は、前記エンジン制御部7に設けられた後述のビデオデータ処理部74に接続されている。そして、前記データ出力処理部60は、前記SDRAM54に記憶された前記サイズカット処理後の前記カラー画像データを前記バス50から取得し、前記ビデオデータ処理部74から入力される垂直同期信号に従って前記ビデオデータ処理部74に出力する。具体的に、前記データ出力処理部60は、前記カラー画像データに含まれたCMYK各々の画像データにそれぞれ対応して入力される垂直同期信号に従って、そのCMYK各々の画像データを1バンドごとに前記SDRAM54から前記バス50を介して読み出し、前記ビデオデータ処理部74に出力する。なお、前記データ出力処理部60は、前記カラー画像データを主走査方向に沿って順に出力する。ここに、前記データ出力処理部60が出力手段の一例である。
【0024】
一方、前記エンジン制御部7は、CPU71、ROM72、RAM73、及びビデオデータ処理部74などを備えている。前記CPU71は前記CPU51に接続されている。また、前記ビデオデータ処理部74は前記データ出力処理部60に接続されている。
前記ビデオデータ処理部74は、前記データ出力処理部60に対して前記垂直同期信号各々を入力することにより、前記データ出力処理部60から前記カラー画像データに含まれたCMYK各々の画像データを取得する。そして、前記ビデオデータ処理部74は、前記データ出力処理部60から入力されるCMYK各々の画像データに基づいてCMYK各色のプリントデータを前記画像形成部3の前記LSU35各々に出力する。これにより、前記LSU35各々では、前記プリントデータ各々に基づくレーザー光が前記画像形成部31〜34各々の前記感光体ドラム311に照射され、前記感光体ドラム311各々に前記カラー画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0025】
前記エンジン制御部7の前記CPU71は、前記ROM72に記憶された所定の制御プログラムを実行することにより前記画像形成部3を制御して前記画像形成部3に画像形成動作を実行させる。なお、前記RAM73は揮発性の記憶手段であって、前記CPU71が実行する各種の処理の一時記憶手段として利用される。そして、前記CPU71は、前記CPU51から印刷処理対象となる原稿の画像データ(以下、「原稿データ」という)の内容を示す原稿情報を取得し、前記原稿情報に基づいてカラー印刷動作又はモノクロ印刷動作を実行する。例えば、前記原稿データは、前記画像読取部1で読み取られた画像データ、外部のパーソナルコンピューター(情報処理装置)から入力される画像データ、及び前記複合機Xに設けられたハードディスクなどのデータ記憶手段に予め記憶された画像データなどである。また、前記原稿情報は、例えば前記原稿データに含まれたモノクロ画像データのページ数及びカラー画像データのページ数を示すものである。
そして、前記CPU71は、原稿データがカラー画像データである場合、前記画像形成ユニット31〜34を用いてカラー印刷動作を実行する。また、前記CPU71は、原稿データがモノクロ画像データである場合、前記画像形成ユニット34のみを用いてモノクロ印刷動作を実行する。さらに、前記CPU71は、原稿データがカラー画像データ及びモノクロ画像データが混在する混在原稿である場合、前記カラー印刷動作及び前記モノクロ印刷動作のうち印刷時間が短くなる方を選択して実行する。即ち、前記CPU71は、原稿データがモノクロ画像データあること、及び原稿データが前記混在原稿であって印刷時間が前記モノクロ印刷動作の方が短くなるものであることのいずれかの予め設定された条件を満たす場合に前記モノクロ印刷動作を実行する。
【0026】
<カラー印刷動作>
具体的に、前記カラー印刷動作では、前記CPU71により前記画像形成部3が制御され、以下の手順で印刷処理が実行される。このとき、前記CPU71は、前記画像形成ユニット31〜34の感光体ドラム311の配置間隔に対応する時間差を設けてCMYK各々に対応する前記垂直同期信号を前記データ出力処理部60に対して入力する。これにより、前記データ出力処理部60は、前記カラー画像データに含まれたCMYK各々の画像データに対応する前記垂直同期信号に従って、前記時間差を設けてCMYK各々の画像データを前記ビデオデータ処理部74に出力する。
一方、前記画像形成部3では、前記画像形成ユニット31〜34各々において前記帯電装置312により前記感光体ドラム311が所定の電位に一様に帯電される。次に、前記LSU35により前記感光体ドラム311各々の表面に前記ビデオデータ処理部74から入力されるCMYK各々のプリントデータに基づく光が照射される。これにより、前記感光体ドラム311各々の表面に静電潜像が形成される。そして、前記感光体ドラム311各々の静電潜像は前記現像装置313によって各色のトナー像として現像(可視像化)される。なお、前記現像装置313には、各色に対応する着脱可能なトナーコンテナ313Aからトナー(現像剤)が補給される。続いて、前記一次転写ローラー314により、図示する矢印方向に走行する前記中間転写ベルト36に、前記感光体ドラム311各々のトナー像が順に重ね合わせて転写されることにより前記中間転写ベルト36にカラー像が形成される。そして、前記中間転写ベルト36上のカラー像は、前記給紙カセット4から供給された用紙に前記二次転写ローラー37により転写される。その後、前記定着装置38により用紙上に形成されたカラー像が溶融定着され、その用紙は前記排紙部39に排出される。
【0027】
<モノクロ印刷動作>
また、前記モノクロ印刷動作では、前記CPU71により前記画像形成部3が制御され、以下の手順で印刷処理が実行される。このとき、前記CPU71は、前記ビデオデータ処理部74を制御することにより、CMY各々に対応する前記垂直同期信号を前記データ出力処理部60に対して同時に入力させ、所定時間経過後にKに対応する前記垂直同期信号を前記データ出力処理部60に入力させる。このように、前記CPU71は、原稿データが前記モノクロ印刷動作を実行するべきものである場合には、前記カラー画像データに含まれるCMYの画像データを同時に出力させるための前記垂直同期信号を前記データ出力処理部60に入力する。ここに、係る処理を実行するときの前記CPU71が同期信号入力手段に相当する。これにより、前記データ出力処理部60は、CMYK各々の画像データに対応する前記垂直同期信号に従って、CMY各々の画像データを同時に前記ビデオデータ処理部74に出力し、所定時間経過後にKの画像データを前記ビデオデータ処理部74に出力する。
一方、前記CPU71は、前記画像形成部3の前記離接機構(不図示)を駆動させることによりCMYに対応する前記画像形成ユニット31〜33の前記感光体ドラム311及び前記転写ローラー314を前記中間転写ベルト36から離間させる。
そして、前記画像形成部3では、残りの前記画像形成ユニット34において前記帯電装置312によって前記感光体ドラム311が所定の電位に一様に帯電される。次に、前記LSU35により前記画像形成ユニット34の前記感光体ドラム311の表面に画像データに基づく光が照射される。これにより、前記感光体ドラム311の表面に静電潜像が形成される。そして、前記画像形成ユニット34の前記感光体ドラム311上の静電潜像は前記現像装置313によってトナー像として現像(可視像化)される。続いて、前記一次転写ローラー314により、図示する矢印方向に走行する前記中間転写ベルト36に、前記感光体ドラム311のトナー像が転写されることにより前記中間転写ベルト36にブラックのトナー像が形成される。そして、前記中間転写ベルト36上のブラックのトナー像は、前記給紙カセット4から供給された用紙に前記二次転写ローラー37により転写される。その後、前記定着装置38により用紙上に形成されたカラー像が溶融定着され、その用紙は前記排紙部39に排出される。
【0028】
このように構成された前記複合機Xでは、原稿データがモノクロ画像データ及びカラー画像データが混在する混在原稿である場合、印刷時間が極力短くなるように前記モノクロ印刷動作及び前記カラー印刷動作のいずれかが前記CPU71によって選択される。即ち、原稿データがモノクロ画像データであっても、前記CPU71によって前記カラー印刷動作が実行される場合がある。
そのため、前記複合機Xでは、前記CPU51によって後述の画像形成処理が実行されることにより、原稿データがモノクロ画像データである場合には、前記モノクロ画像データはCMYのダミー画像データが付加されたカラー画像データに変換される。これにより、原稿データがモノクロ画像データである場合であっても前記エンジン制御部7には常にカラー画像データが入力されることになる。
【0029】
<画像形成処理>
以下、図4及び図5を参照しつつ、前記複合機Xにおいて前記CPU51により実行される画像形成処理について説明する。なお、前記CPU51によって実行される処理手順(ステップ)番号をステップS1、S2・・・という。
前記画像形成処理は、例えば外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から印刷要求を受信した場合に、前記CPU51によって実行される。なお、前記印刷要求には、原稿データとして、Kのみのモノクロ画像データ、又はCMYK各々に対応する画像データを含むカラー画像データが含まれる。なお、前記CPU51は、前記複合機Xにおいて、前記画像形成処理と共に、前記画像読取部1を用いたスキャン処理やファクシミリ送信処理などの各種のジョブを並行して実行する。
【0030】
(ステップS1)
まず、ステップS1において、前記CPU51は、前記印刷要求に含まれた原稿データがモノクロ画像データであるか否かを判断する。ここで、原稿データがモノクロ画像データであると判断すると(S1のYes側)、前記CPU51は処理をステップS2に移行させる。一方、原稿データがカラー画像データであると判断すると(S1のNo側)、前記CPU51は処理をステップS5に移行させる。なお、前記原稿データがモノクロ画像データ及びカラー画像データが混在する混在原稿である場合には、前記モノクロ画像データ各々についてのみ以下のステップS2〜S4の処理が実行される。
【0031】
(ステップS2)
ステップS2において、前記CPU51は、前記モノクロ画像データの一部分に相当する予め定められた1バンド(処理単位量の一例)分のCMY各々のダミー画像データを前記モノクロ画像データに付加し、前記モノクロ画像データをカラー画像データに変換する。そして、前記CPU51は、前記カラー画像データを前記バス50に出力して前記SDRAM54に記録させる。なお、前記ダミー画像データは、全ての画素の濃度が0のデータである。ここに、係る処理を実行するときの前記CPU51が付加手段に相当し、係る処理工程が付加工程に相当する。なお、前記ステップS2による処理は、ASICなどの集積回路によって実行されるものであってもよく、この場合、その集積回路が付加手段に相当する。
また、前記回転処理部56、前記ハーフトーン処理部57、前記サイズカット処理部58、及び前記データ出力処理部60がサブバンド単位でデータを処理する場合には、前記モノクロ画像データに1サブバンド分又は1バンド分のダミー画像データを付加すればよい。さらに、前記回転処理部56、前記ハーフトーン処理部57、前記サイズカット処理部58、及び前記データ出力処理部60各々が1ライン単位でデータを処理する場合には、前記モノクロ画像データに1ライン分、1サブバンド分、又は1バンド分(処理単位量の一例)のダミー画像データを付加すればよい。即ち、前記回転処理部56、前記ハーフトーン処理部57、及び前記サイズカット処理部58などの画像処理手段は、前記ダミー画像データのデータ量(処理単位量)以下のデータ量ごとに画像処理を施すものである。
【0032】
(ステップS3)
ステップS3において、前記CPU51は、前記モノクロ画像データに前記回転処理部57により回転処理を施す必要があるか否かを判断する。例えば、前記CPU51は、前記モノクロ画像データに対応する原稿の向きと指定された印刷用紙の向きとが異なる場合に前記回転処理を施す必要があると判断する。より具体的に、前記モノクロ画像データがA4横の画像データであって、指定された印刷用紙がA4縦である場合、前記CPU51は、前記回転処理を施す必要があると判断する。
ここで、前記回転処理が必要であると判断すると(S3のYes側)、前記CPU51は処理をステップS4に移行させる。一方、前記回転処理が不要であると判断すると(S3のNo側)、前記CPU51は処理をステップS5に移行させる。
【0033】
(ステップS4)
次に、ステップS4において、前記CPU51は、前記ステップS2において生成された前記カラー画像データのうちCMY各々の前記ダミー画像データについては前記回転処理部57による回転処理の角度を0度に設定する。即ち、前記CPU51は、前記ダミー画像データ各々の回転を無効に設定する。ここに、係る処理を実行するときの前記CPU51が回転無効手段に相当する。そして、前記CPU51は、前記回転処理部57に前記回転処理の有無の設定内容を通知する。これにより、前記回転処理部57では、Kの画像データのみが90度又は−90度回転され、CMY各々の前記ダミー画像データは回転されないことになる。具体的に、前記回転処理部57は、前記ダミー画像データが付加された前記カラー画像データのうちKの画像データのみを前記SDRAM54から読み出し、Kの画像データのみに対して回転処理を施して前記SDRAM54に記憶させる。また、前記CPU51が、原稿データとして入力されたモノクロ画像データを前記回転処理部57に入力させて回転処理を実行させた後、前記モノクロ画像データ及び前記ダミー画像データを含むカラー画像データを前記SDRAM54に記憶させるものであることも考えられる。なお、前記回転処理部57が、前記SDRAM54から前記カラー画像データを読み出し、前記モノクロ画像データのみに対して回転処理を施し、前記ダミー画像データ各々については回転処理を施さずに前記SDRAM54に再度記憶させることも考えられる。
【0034】
(ステップS5)
そして、ステップS5において、前記CPU51は、前記複合機Xにおいて印刷動作を開始させる。具体的に、前記CPU51は、前記回転処理部57、前記ハーフトーン処理部58、及び前記サイズカット処理部59を作動させることにより、前記SDRAM54に記憶された前記カラー画像データ各々について各種の画像処理を実行させる。
そして、前記CPU51は、前記エンジン制御部7の前記CPU71に前記原稿情報を送信すると共に印刷動作の開始を通知する。これにより、前記CPU71は、前述したように前記原稿情報に基づいて前記カラー印刷動作及び前記モノクロ印刷動作のいずれかを選択的に実行する。
【0035】
ここに、図5は原稿データがモノクロ画像データである場合の印刷動作の一例を説明するための図である。図5(A)は前記カラー印刷動作、図5(B)は前記モノクロ印刷動作が実行される場合における画像データの出力タイミングを示している。
【0036】
原稿データがモノクロ画像データであって、前記カラー印刷動作が実行される場合、前記エンジン制御部7の前記ビデオデータ処理部74は、CMYK各々の前記垂直同期信号を予め設定された所定間隔だけずらして前記データ出力処理部60に出力する。これにより、図5(A)に示すように、前記データ出力処理部60は、CMYK各々の画像データを前記垂直同期信号に従って、前記所定間隔ずれたタイミングで前記SDRAM54から読み出して前記ビデオデータ処理部74に出力する。ここで、前述したように、前記モノクロ画像データに付加されたCMY各々の前記ダミー画像データは1バンド分のデータである。そのため、図5(A)に示すように、前記カラー印刷動作では、一つの前記カラー画像データに含まれたKの画像データとCMY各々の前記ダミー画像データとの出力タイミングが重ならない。なお、連続して前記カラー画像データが出力される場合には、Kの画像データと次のCMY各々の前記ダミー画像データとの出力タイミングが重なる。しかしながら、CMY各々の前記ダミー画像データが1バンド分のデータのみであるため、前記モノクロ画像データにCMY各々の1ページ分のダミー画像データを付加する場合(図7(A)参照)に比べて前記前記バス50の使用帯域を減少させることができる。
【0037】
また、原稿データがモノクロ画像データであって、前記モノクロ印刷動作が実行される場合、前記エンジン制御部7の前記ビデオデータ処理部74は、CMY各々の前記垂直同期信号を同時に前記データ出力処理部60に出力し、所定時間経過後にKの前記垂直同期信号を前記データ出力処理部60に出力する。これにより、図5(B)に示すように、前記データ出力処理部60は、CMY各々の画像データを前記垂直同期信号に従って同時に前記ビデオデータ処理部74に出力し、前記所定時間経過後にKの画像データを前記ビデオデータ処理部74に出力する。ここで、前述したように、前記モノクロ画像データに付加されたCMY各々の前記ダミー画像データは1バンド分のデータである。そのため、図5(B)に示すように、前記モノクロ印刷動作では、最初の短期間の間にCMY各々の前記ダミー画像データが出力され、その後はKの画像データのみが出力される。従って、前記モノクロ画像データにCMY各々の1ページ分のダミー画像データを付加する場合(図7(B)参照)に比べて前記前記バス50の使用帯域を減少させることができる。特に、図5(B)では、CMY各々の前記ダミー画像データに対してKの画像データが前記所定時間だけ遅れて出力されているため、CMYKの全ての画像データの出力タイミングが重なることがない。そのため、前記所定時間は、少なくともCMY各々の1バンド分の前記ダミー画像データの出力に要する時間として予め設定された時間であることが望ましい。なお、前記ビデオデータ処理部74は、CMYKの全ての画像データを同時にさせるための前記垂直同期信号を前記データ出力処理部60に入力することも可能である。
さらに、前述した画像形成処理(図3参照)では、前記モノクロ画像データが回転処理を必要とする場合でもCMY各々の前記ダミー画像データについては回転処理が実行されない。そのため、前記ダミー画像データは前記データ出力処理部60によって最初の短期間で出力される。従って、前記ダミー画像データの出力による前記バス50の帯域の使用時間を短縮することができる。
【0038】
以上、説明したように、前記複合機Xによれば、前記ダミー画像データが1バンドのデータのみであるため、前記バス50を介して前記ダミー画像データを含む前記カラー画像データが出力される際の前記バス50の使用帯域を減少させることができる。従って、例えば、前記モノクロ印刷動作と前記画像読取装置1を用いて原稿から画像データを読み取るスキャン処理とを並行して実行する場合でも前記バス50の帯域不足を防止することができ、バッファアンダーラン等のエラーの発生を防止することができる。
特に、前記スキャン処理において、前記スキャン処理部56により原稿がカラー原稿かモノクロ原稿かを判定するACS判定処理が実行される場合がある。このACS判定処理では、原稿から読み取られた画像データがJPEG圧縮されて前記SDRAM54に記憶される。そして、前記画像データが前記SDRAM54から読み出されてACS判定が実行され、再度JPEG圧縮されて前記SDRAM54に記憶されるため、前記ACS判定処理が実行される場合には前記スキャン処理によって前記バス50の帯域が特に圧迫される。しかしながら、前記複合機Xでは、前記モノクロ印刷動作における前記バス50の使用帯域が削減されるため、前記モノクロ印刷動作と並行して前記ACS判定処理を伴う前記スキャン処理を正常に実行することが可能となる。
【0039】
<他の実施形態>
前記実施の形態では、モノクロ画像データが回転処理を要する場合に(S3のYes側)、CMY各々のダミー画像データの回転角度が0度に設定される(S4)場合を例に挙げて説明した。一方、前記ステップS3〜S4の処理は省略することも考えられる。
この場合、モノクロ画像データが回転処理を要する場合に、前記回転処理部57によりCMY各々のダミー画像データにも同様の回転処理が施される。ここに、図6は原稿データがモノクロ画像データである場合の印刷動作の他の例を説明するための図である。図6(A)は前記カラー印刷動作、図6(B)は前記モノクロ印刷動作が実行される場合における画像データの出力タイミングを示している。
図6(A)に示すように、CMY各々の前記ダミー画像データに回転処理が施されると、前記カラー印刷動作において、前記データ出力処理部60から主走査方向の最初又は最後で少しずつCMY各々の前記ダミー画像データが出力される。そのため、CMYK各々の画像データが同時に出力されるタイミングが発生する。しかしながら、前記ダミー画像データは1バンド分の画像データであるため、CMYK各々の画像データが同時に出力された場合でも、1ページ分のダミー画像データを付加する場合(図7(A)参照)に比べて前記前記バス50の使用帯域は減少する。
また、同じく図6(B)に示すように、CMY各々の前記ダミー画像データに回転処理が施されると、前記モノクロ印刷動作においては、前記データ出力処理部60から主走査方向の最初又は最後で少しずつCMY各々の前記ダミー画像データが出力される。そのため、CMYK各々の画像データが同時に出力されるタイミングが長期間発生する。しかしながら、前記ダミー画像データは1バンド分の画像データであるため、CMYK各々の画像データが同時に出力された場合でも、1ページ分のダミー画像データを付加する場合(図7(B)参照)に比べて前記前記バス50の使用帯域は減少する。
【符号の説明】
【0040】
1 :画像読取部(画像読取手段の一例)
11:コンタクトガラス
12:読取ユニット
121:LED光源
122:ミラー
13、14:ミラー
15:光学レンズ
16:CCD
2 :ADF
21:原稿セット部
22:搬送ローラー
23:原稿押さえ
24:排紙部
3 :画像形成部(画像形成手段の一例)
31〜34:画像形成ユニット
35:LSU
36:中間転写ベルト
37:二次転写装置
38:定着装置
39:排紙部
4 :給紙カセット
5 :メイン制御部
51:CPU
52:ROM
53:RAM
54:SDRAM(記憶手段の一例)
55:メモリー制御部
56:スキャン処理部
57:回転処理部
58:ハーフトーン処理部
59:サイズカット処理部
60:データ出力処理部
6 :操作表示部
7 :エンジン制御部
71:CPU
72:ROM
73:RAM
74:ビデオデータ処理部
X :複写機(画像処理装置の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7