(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
チャンネル(116)の長さは、ピストン(102)がシール(103)に対して遠位方向に変位するときに増大する、請求項1〜4の何れかに記載の薬物送達デバイス(100)。
用量の投与中にシール(103)を通して案内されるように意図されるピストン(102)の少なくとも部分が、その縦軸に沿って一定の断面(106)を含んでなる、請求項1〜8の何れかに記載の薬物送達デバイス(100)。
ピストン(102)が剛性のコア(601)及び外側シェル(602)を含んでなり、ここで、外側シェル(602)がコア(601)よりも剛性でない、請求項1〜9の何れかに記載の薬物送達デバイス(100)。
変位体積を決める、変位部材の少なくとも一部を、液体薬物(104)内に導入する工程、を更に含んでなり:ここで、液体薬物(104)の投与体積が、変位部材の導入された部分によって囲まれる体積より少ないか又は等しい、請求項12に記載の方法。
液体薬物(104)を容器(101)から更に投与するために、液体薬物中に配置される変位部材の部分を増大させる工程;を更に含んでなる、請求項13に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】容器が満杯の第一の状態における実施態様による薬物送達デバイスを模式的に示す。
【
図1B】幾らかの薬物が既に送達された第二の状態における薬物送達デバイスを模式的に示す。
【
図2】更なる実施態様による薬物送達デバイスを模式的に示す。
【
図4】更なる実施態様によるピストンを模式的に示す。
【
図6】実施態様による外側シェルを有するピストンの断面図を模式的に示す。
【
図7】実施態様による中空部を有するピストンの断面図を模式的に示す。
【0028】
図1A及び1Bにおいて、薬物送達デバイス100の実施態様が模式的に示される。
【0029】
薬物送達デバイス100は容器101を含む。薬物104は容器101中に留められる。薬物104は、好ましくは、液体薬物である。容器101は、好ましくは、薬物104の複数の用量を含有する。薬物104は、例えば、インスリン、ヘパリン、成長ホルモンを含み得る。容器101は遠位端115で出口108を有する。薬物104は、出口を通して容器から投与され得る。デバイス100はペン型デバイス、特に、ペン型注射器であり得る。デバイス100は使い捨ての又は再使用可能なデバイスであり得る。デバイス100は薬物の固定された用量、又は変更可能な、好ましくは、使用者が設定できる用量を投与するように構成されたデバイスであり得る。デバイス100は針付きの、又は無針のデバイスであり得る。デバイス100は注射デバイスであり得る。
【0030】
薬物送達デバイス100又はその部品、特に、容器101の用語「遠位端」は、デバイス100の投与端に最も近いデバイス又は部品のその端部に関する。薬物送達デバイス100又はその部品の用語「近位端」は、デバイスの投与端から最も遠くに離れているデバイス又は部品のその端部に関する。
図1において、デバイス100の「遠位端」には参照符号115が割り振られ、そして「近位端」には参照符号107が割り振られた。
【0031】
ピストン102は容器101内に少なくとも部分的に留められる。ピストン102は容器に対して可動である。ピストン102は容器101に対して遠位方向に動き得る。そのような動きによって、デバイスの操作中に、薬物104が出口108を通して容器101から投与されることが引き起こされ得る。ピストン102は容器101内に配列される部分109を含む。ピストン102の更なる部分113は容器101の外側に配列される。
【0032】
シール103は容器の内部を近位でシールするために配置される。シールはピストン102に漏れのない連結を供することが可能である。ピストンとシールの間の境界は、好ましくは、液密である。都合がよいことに、投与操作中及び/又はデバイスが保存位置にあるとき、薬物はピストンとシールの間の境界を全く通過し得ない。シール103は、容器101に対して、特に、薬物の投与中に、好ましくは、非変位可能で、例えば、動かせない。ピストン102はシール107に対して変位可能である。ピストンは、投与操作中に、シールと摩擦接触状態にあり得る。
図1Aによる実施態様において、シールの遠位側に配置されるピストン102の部分は部分109である。シールの近位側に配置されるピストン102の部分は部分113である。
【0033】
シールはプラスチック材料を含み又はそれから成り得る。シールは、例えば、臭素化ブチルゴムのようなエラストマーを含み得る。ピストンは、例えば、ポリマー、好ましくは、医用グレードのポリマーのようなプラスチック材料、例えば、ステンレス鋼のような金属、ガラス又はセラミック材料を含み得るか又はそれから成り得る。ピストンは剛性であり得る。ピストンは低圧縮性の材料を含み得る。都合がよいことに、低圧縮性のその材料の圧縮性はピストンの圧縮性を支配する。低圧縮性の材料は、シールの圧縮性よりも小さい圧縮性を有し得る。好ましくは、ピストンは圧縮不可能である。
【0034】
部分109及び/又はピストン102は断面106を含む。ピストン102の断面106は、ピストン102の縦方向に対して本質的に直角である。部分109及び/又はシールを通して案内されることが意図される、特に、薬物内に案内されることが意図されるピストンの部分は、容器の孔から距離を開けて周囲に配置されるように適合される。ピストン102の断面は、好ましい実施態様において、その縦軸に沿って又は少なくとも部分的にその縦軸に沿って、好ましくは、シールを通して案内されることが意図されるピストンの部分に沿って一定である。部分109及び/又はピストン102の断面106は容器101の内部の断面118よりも小さい。断面118は容器101の内部断面である。容器101の断面118は容器101の広がりの主縦方向に本質的に直角である。
【0035】
断面106が断面118よりも小さいため、ピストン102の部分109の側表面111及び容器101の内面112は互いに対して距離を開けて配置される。表面111及び表面112は互いに対して周方向に距離を開けて配置される。流体チャンネル116は部分109と内面112の間に供される。流体チャンネル116は部分109を囲み得る。
【0036】
流体チャンネル116は薬物領域114と流体連通している。薬物104は容器101の薬物領域114において主として配置される。薬物領域114は容器101の内側の領域である。特に、薬物領域114は容器101の内側の遠位領域である。薬物は、薬物領域114から流体チャンネル116内に流れ得る。流体チャンネル116は薬物で充填される。薬物は、ピストン、シール及び/又は容器、特に、流体チャンネルの領域と直接の接触をし得る。ピストン、シール及び/又は容器は、薬物領域の側上で開いているチャンネルを限定し得る。
【0037】
以下の議論から明らかになるであろうように、チャンネル116の内側に配置される薬物が容器から投与されることが無い故に、部分109と内面112の間の距離は、できるだけ小さいことが好ましい。従って、チャンネル116は、好ましくは、特に、薬物領域の程度と比べて細い。チャンネル116の幅は、ピストン102と容器101の間の摩擦接触又はシール接触を避けるように、都合よく選択される。
【0038】
チャンネル116の近位端を形成するために、シール103は容器101に動かせないように連結される。シール103は、少なくとも部分的に、好ましくは、完全に、ピストン102を周囲上で囲む。シール103及びピストン102はシール可能なようにそして、好ましくは、摩擦的に連結される。薬物104はシールによって近位端107を介して容器101を去ることを防がれる。この目的のために、シール103は容器101に固定される。シール103は容器101に対して軸方向の動き及び回転運動に抗して固定される。チャンネル116の近位端で、薬物104はシール103と直接的に接触している。
【0039】
ピストン102をシール103及び容器101に対して遠位方向に軸方向に進めることによって、薬物は容器から移動されそして投与され得る。
【0040】
図1Bは、
図1Aにおいて示された状況と比べて、シール及び容器に対して遠位方向に移動されたピストン102を示す。薬物104の内側に配置されるピストン102の部分は、
図1Aにおけるよりも大きい。ピストン102の遠位端表面117からシール103への距離110は、
図1Aにおける対応する距離105よりも大きい。
【0041】
投与された薬物の量は、ピストン102を移動することによって薬物領域114内に新たに挿入されたピストン102の部分の体積に対応する。ピストンは、薬物の移動された体積が薬物の望まれる及び/又は設定された体積に等しくなるまで、薬物内に導入される。薬物領域114内に新たに挿入されたピストン102の体積は、シール103に対するピストン102の断面106及び軸方向の移動、例えば、距離105と距離110の間の差異によって求められる。投与された薬物の量の体積は、薬物104内に追加的に導入されるピストン102の部分の体積と本質的に等しい。
【0042】
規定された体積(変位体積)を薬物内に導入することによって、規定された体積に等しい薬物104の体積が投与され得る。ピストン102をシール103に対して遠位に移動することによって、薬物104中に配置されるピストン102の部分109が増大される。同時に、薬物104の外側に配置されるピストン102の部分113が減少される。そうすることによって、薬物104の内側に配置されるピストン102の体積は増大され得る。ピストン102の寸法は周知のものである故に、追加的に挿入される体積は周知のものである。シールの遠位側に配置されるピストンの体積を増加させることによって、薬物によって占められるために利用できる薬物領域の体積が減少される。
【0043】
薬物の投与された量は、ピストンの追加的に挿入される体積に対応する。薬物の投与された量は容器101の形とは無関係である。特に、薬物の投与された量の体積的な精度は、容器の形、特に、内部断面の変化、例えば、直径の変化に起因する不規則性からは分離され、保護され及び/又は独立し得る。通常、容器101の内面112は一定ではなく、著しい不規則性を含む。容器の形の変化は加工の許容誤差からもたらされ得る。現在、投与された薬物の量はピストンの寸法、特に、薬物内に新たに挿入されたピストンの体積のみに依存し得る故に、容器の形は薬物の投与の精度には無関係であり得る。薬物の投与体積と薬物の設定された用量の体積の相違は5パーセント又はそれ以下であり得る。別の実施態様において、その相違は2パーセント又はそれ以下、1パーセント又はそれ以下又は0.5パーセント又はそれ以下でさえある。容器における製造欠陥は、有利なことに、薬物内に新たに導入されるピストンのその部分の体積によって定められ得る薬物の投与された量に影響を及ぼさない。もし、それとは対照的に、容器と周囲で即座に接触し、そしてその結果、「シール」として同時に役立つピストンが使用されるとすれば、投与された量は容器の直径における変化に著しく依存する。
【0044】
薬物を投与するために、シール103及び容器101に対して遠位にピストン102を移動するとき、薬物104上に圧力がかけられる。薬物送達デバイスの最初の使用中に、ピストンの移動によって、薬物が薬物領域114から移動され得て、そして移動された薬物がチャンネル116内に押し付けられる。最初の使用の前に、薬物領域114及び/又はチャンネル116は空気で少なくとも部分的に充填され得る。空気はデバイスの最初の投与操作によって、例えば、プライミング操作によって容器から除去され得る。または、チャンネルは、最初の操作が始められる前に薬物で充填され得る。薬物で既に充填された又は充填されるチャンネル116中の薬物は、薬物の投与中にシール103上に圧力をかける。シール103上に薬物によってかけられた圧力は、薬物の投与中に薬物104上にピストン102によってかけられた圧力に等しい。
【0045】
容器10でのシール103の取り付けによって、用量を投与するときに、薬物104によってかけられる圧力に抵抗できる。容器の内側の圧力は、容器101の出口を通して薬物が投与されるまでピストン102の移動中に増大する。容器101及びシール103は、かけられた圧力が容器の出口を通って薬物を投与することによって開放され得るように、形成される。ピストン102は、薬物の投与中の圧力下でさえ、その体積を保持する。ピストン102は、ピストン102が、薬物の投与中にピストン上に作用する圧力下でさえ、変形しないか又は著しく変形しないほどに、好ましくは、剛性である。容器及びシールは、薬物の投与中にかけられた圧力によって実質的に変形されない。
【0046】
図1A及び1Bによる実施態様とは対照的に、
図2の実施態様による薬物送達デバイスは、容器101の近位端107に配置されたシール103を含まない。
【0047】
むしろ、
図2の実施態様において、シール121は容器101の内側に配置される。シール121の外表面は容器の内面に取り付けられ得て、好ましくは、恒久的に取り付けられ得る。
図2による実施態様はニードルデバイス119を含む。
図2による実施態様は駆動機構120を更に含む。
【0048】
ニードルデバイス119は、容器の遠位端115で容器101に取り付けられる。ニードルデバイス119は薬物領域114及び容器の出口108と流体連通している。薬物はニードルデバイス119を通して容器から投与され得る。薬物は、使用者によってニードルデバイスを通して皮下注射的に投与され得る。
【0049】
駆動機構120は、投与されるべき用量を設定するための手段を含み得る。駆動機構120は薬物送達デバイスを通して/その内に、好ましくは作動手段からピストン102に、軸方向の動きを移すための手段を更に含み得る。駆動機構は、ピストンを遠位方向に駆動するように適合される(明らかには示されていない)ピストンロッドを含み得る。ピストンロッドの遠位端面はピストンの近位端面を駆動し、好ましくは、隣接するように配置され得る。駆動機構はピストンと開放可能に連結され得る。駆動機構は歯車及び/又は電気的作動器を含み得る。
【0050】
容器は、薬物で事前に充填され得るカートリッジであり得る。または、容器はシリンジ型容器であり得る。
【0051】
薬物送達デバイス100の操作中に、使用者は容器101から投与されるべき薬物104の望まれる用量を設定し得る。用量の設定は、投与されるべき薬物の用量体積の設定を含み得る。薬物の用量体積を投与するために、使用者は、例えば、駆動機構120上に、例えば、駆動機構の(明確には示されていない)用量ボタン上に手動で力をかけることによって、薬物送達デバイスの駆動機構を作動し得る。この力は、例えば、ピストンロッドによってピストン102に移される。力はピストン102に直接的に、又は電気的作動器及び/又は歯車を介して移され得る。
【0052】
かけられた力のせいで、ピストン102はシール121に対して移動される。ピストン102は、それが薬物内に動かされるように、シール121に対して移動される。ピストン102は、投与されるべき薬物の用量に対応する距離だけ遠位方向に動かされる。ピストンは、ピストンの変位体積が薬物内に挿入されるように移動される。変位体積は、その後に投入される薬物の量の体積と実質的に等しい。もし、薬物送達デバイスが複数用量の送達デバイスであるならば、ピストンは薬物の更なる体積を置き換えるために、そして薬物の更なる体積を容器から投与するために、シールに対して遠位方向に数回動かされ得る。
【0053】
各々分離した用量の投与操作中に、薬物内に新たに導入されたピストンの部分の体積は、固定された用量が、各用量の投与操作中に薬物送達デバイスによって送達されるように固定され得る。実施態様において、薬物送達デバイスは固定された用量のデバイスである。
【0054】
別の実施態様において、各用量の投与操作中に、薬物104中に挿入されるピストン102の部分の体積は変り得て、そして用量設定手段を介して使用者によって設定された用量に対応し得る。実施態様において、薬物送達デバイスは変更可能な用量デバイスである。
【0055】
デバイスは如何なる形、例えば、コンパクトな又はペン型のものでもあり得る。更に、該デバイスは無針でもあり得る。特に、薬物送達デバイスは複数の事前に規定された用量を供する、使い捨ての針付きペン型デバイスであり得る。薬物送達デバイスは正式な医療訓練を受けていない人々による使用のために設計される。
【0056】
デバイスは(示されていない)更なるエレメント、例えば、センサ及び/又は電子回路を含み得る。デバイスは、使用者に情報を供するための表示を含み得る。この情報は、残っている薬物の用量数及び/又はある容器から投与された用量数についての情報を含み得る。
【0057】
用語「ピストンロッド」は、好ましくは、ハウジングを通して/その内で操作するように適合された、薬物送達デバイスを通して/その内で軸方向の動きを、好ましくは、駆動部材からピストンに、好ましくは、注射できる製品を排出する/投与する目的で移すように設計された部品を意味するものとする。ピストンロッドは可撓性であり得るか又はあり得ない。それは単純なロッド、親ねじ、ラックピニオンシステム、ウオーム歯車システムなどであり得る。用語「ピストンロッド」は、好ましくは、円形の又は非円形の断面を有する部品を更に意味するもととする。それは単体の物又は複数部品構造でもあり得る。
【0058】
薬物送達デバイスは更なるエレメント、例えば、ハウジングを含み得る。用語「ハウジング」は、好ましくは、特定の部品の近位運動を防ぐための一方向性軸連結を有し得る如何なる外部ハウジング(「主ハウジング」、「本体」、「シェル」)又は内部ハウジング(「挿入物」、「内部本体」)をも意味するものとする。ハウジングは、薬物送達デバイス又はその如何なる機構の安全で正確でそして快適な取り扱いを可能にするように設計され得る。それは、液体、粉塵、ごみなどのような汚染物質への暴露を制限することによって、薬物送達デバイスの如何なる内部部品(例えば、シール、容器、ピストン)をも収容し、固定し、保護し、案内し及び/又は係合するように設計され得る。一般に、ハウジングは、チューブ状又は非チューブ状の単一の又は複数の部分の部品であり得る。通常、外部ハウジングは、そこから医薬品の多数の用量が投与され得る容器を収容するために役立つ。
【0059】
薬物は、インスリン、例えば速効作用、短期作用、中期作用又は長期作用のインスリン、成長ホルモン、低分子量ヘパリン及び/又はそれらの類似体及び/又は誘導体などを含み得る。用語「インスリン」は、ヒトインスリン又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体を含む、インスリン、インスリン類似体、インスリン誘導体又はそれらの混合物を意味するものとする。インスリンの類似体の例には、制限することなく、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位置のプロリンがAsp、Lys、Leu、Val又はAlaによって置換され、そしてここでB29位置のLysがProによって置換され得るヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン又はDes(B30)ヒトインスリンが挙げられる。インスリン誘導体の例には、制限することなく、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンが挙げられる。
【0060】
更に、デバイスは針を含み得るか又は無針であり得る。特に、薬物送達デバイスは、子供及び大人を含む患者のような正式な医療訓練を受けていない人々による使用のために設計される、機械的な及び手動の用量設定機構及び用量送達機構を有する、複数の事前に規定された用量を供する、使い捨ての針付き、ペン型デバイスであり得る。デバイスは、電気的な用量設定機構及び用量送達機構を含み得る。好ましくは、薬物送達デバイスは注射器型のものである。
【0061】
図3は、本開示による薬物送達デバイスにおいて使用され得るピストン301の例示的実施態様を模式的に示す。ピストン301は第一のエッジ303及び第二のエッジ304を含む表面302を含む。第二のエッジ304は、第一のエッジ303に本質的に直角である。第三のエッジ305は第一のエッジ及び第二のエッジに本質的に直角である。ピストン301は直方体形を基本的に含む。ピストンの体積は、三つのエッジ303、304、305の長さによって定められる。ピストンの軸方向はピストンの最長エッジに沿って、例えば、エッジ305に沿って伸び得る。ピストンは中空体であり得て、又は中身のある本体であり得る。
【0062】
ピストンの変位体積は、エッジ305に沿って伸び、そして薬物内に導入されるピストン301の部分並びに、第一のエッジ303の長さ及び第二のエッジ304の長さによって定められる。
【0063】
図4は、本開示による薬物送達デバイスにおいて使用され得るピストン401の更なる例示的実施態様を示す。ピストンは本質的に円筒状の形を含み、その体積は直径403及び長さ404によって定められる。ピストンは中空体であり得て、又は中身のある本体であり得る。表面402はピストンの縦軸に直角に走行する。
【0064】
ピストン401の変位体積は長さ404に沿って伸び、そして薬物内に導入されるピストン401の部分並びに直径403によって定められる。
【0065】
図5Aは、
図1Bにおいて示される線A−A'に沿った薬物送達デバイ100の断面図を模式的に示す。ピストン102はシール103の開口部122中に配置される。ピストン102の断面及び開口部122の断面は、ピストン及びシールが共通の接触エリア123を含むように互いに対して適合される。ピストン102の断面及び開口部122の断面は、ピストン及びシールが互いに接触するように互いに対して適合される。シールは、示された断面図においてピストンを全体的に囲む。ピストンは円筒状の断面を含み、そしてシールはリング状の形を含む。ピストン及びシールは、共通の接触エリア123で薬物が連結を全く通過できないように連結される。共通の接触エリア123でのピストン及びシールの連結は、漏れがない。
【0066】
図5Bは、
図1Bにおいて示される線B−B'に沿った薬物送達デバイ100の断面図を模式的に示す。容器101は、容器とピストンの間でチャンネル116が形成されるようにピストン102を囲む。チャンネルは、薬物送達デバイスの操作中に、薬物で充填され得るか又はデバイスがプライミングされる前に薬物で既に充填され得る。チャンネルはシールによって近位で制限される。ピストンの形は、容器とピストンの間にチャンネルが形成され得るように容器の形に適合される。ピストンの断面及び容器の内部の断面の互いに対する適合のために、チャンネルは、できる限り小さいことが好ましい。このように、最後の用量を投与した後、薬物の最小の量がチャンネル中に及び容器中に残る。
【0067】
図6は、更なる実施態様によるピストンの断面図を模式的に示す。
【0068】
ピストン600はコア601、及びコア601を囲んでいる外側シェル602を含む。外側シェル602は、コアが含む材料とは異なる材料を含み得る。外側シェルの材料はコア601によって含まれる材料よりも可撓性及び弾性であり得る。しかしながら、ピストンの圧縮性はやはり剛性のコアによって支配され得る。外側シェルは、容器を近位でシールする為のシールトピストンの間の連結の緊密性を改善し得る。外側シェルは、例えば、1ミリメータ又はそれ以下、0.5ミリメータ又はそれ以下、0.2ミリメータ又はそれ以下、又は0.1ミリメータ又はそれ以下の厚みを有する薄いフィルムであり得る。コア601は、若し、異なるピストンが使用されても薬物の投与中に生じ得る変形に抗するほど十分に剛性でありそして非可撓性である。コア601は、薬物の投与中に影響され得る圧力に抗するほど十分に剛性でありそして非可撓性である。
【0069】
操作中に、外側シェル602は、
図1A、1B、2又は5Aに関連して述べられた通り、薬物容器に固定されるシールと接触している。シール及び外側シェルの接触は非常にきつくそして高度に耐漏れ性がある。従って、ピストン600とシールの連結は非常に耐漏れ性がある。用量の精度が増大され得るように、硬いコアのせいで、薬物の投与中にピストン600は殆ど変形されない。ピストン600は、薬物の投与中でさえ、その元の形及び/又は体積を保持する。操作中に、薬物内に導入されるピストンの追加の体積と実質的に等しい薬物の体積が容器から投与されるであろう。追加的に導入されるピストン600の体積は外側シェル602によって囲まれた体積によって定められ得る。
【0070】
外側シェル602は、コア601を、好ましくは、少なくとも周囲上を囲み、又はコア601の表面のより多くの部分、特に、薬物の内部に既に配置された又は配置され得るその部分を覆い得る。外側シェルは、コアの材料よりも、薬物と直接的に接触することになるためにより適する材料で作られ得る。
図6において、ピストン600の断面は矩形であるように示される。別の実施態様において、ピストンの断面は異なる設計を含み得る。ピストンの断面は、例えば、リング状の外側シェルによって囲まれた円形のコアを含み得る。
【0071】
図7はピストン700を示す。ピストン700は中空部701を有する。開口部702が備わっている。開口部702は中空部701へのアクセスを供する。開口部702はピストン700の近位端703に供され得る。中空部701は都合よく近位開口部702を通してのみ近づける。特に、中空部701は、好ましくは、ピストン700の遠位端704から近づけない。薬物はこのように、中空部に進入すること、そして開口部702を介して意図せずに容器及びピストンを去ることを防がれる。中空部701内に、駆動手段705、例えば、雄ねじ又は雌ねじ、好ましくは、ラセンねじが供される。
【0072】
駆動部材706、例えば、ピストンロッドは中空部701内に配置される。駆動部材706は、好ましくは、薬物送達デバイスの駆動機構の部分、例えば、前述された駆動機構120の部分である。駆動部材706は、都合よく、駆動手段705と相互作用するために、特に、力をピストンに移すために供され、その結果、ピストンを(
図7においては明確には示されていない)対応するシールに対して前進させる。駆動部材及び駆動手段は係合するように及び/又は隣接するように設計され得る。駆動部材706はピストン700とねじで係合され得る。この目的のために、雄ねじ又は雌ねじジ、好ましくは、ラセンねじであり得るねじ707は駆動部材706中に、特に、中空部701の内壁上に供され得る。
【0073】
本明細書で使用する用語、薬物は、好ましくは少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン、若しくはオリゴヌクレオチド、又は上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチの治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の治療、及び/又は、予防のための、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3又はエキセンジン−4、若しくはエキセンジン−3又はエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0074】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B28位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0075】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0076】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH
2配列のペプチドを意味する。
【0077】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH
2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と連結してもよく;
【0078】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
又は前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0079】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0080】
多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体などのグルコアミノグリカン、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0081】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na
+、又は、K
+、又は、Ca
2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN
+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1−C6アルキル基;場合により置換されるC2−C6アルケニル基;場合により置換されるC6−C10アリール基、又は場合により置換されるC6−C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark
Publishing社,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0082】
薬学的に許容可能な溶媒和物としては、例えば、水和物がある。
【0083】
本発明の保護範囲は上述の実施例に限定されない。本発明は、各新規特性及び特性の各組合せにおいて具体化され、それは、もし、特長又は特長の組合せが請求の範囲又は実施例において明確に述べられていないとしても、請求の範囲において述べられている如何なるこの特長のあらゆるこの組合せをも特に含む。