(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777626
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】電離放射線を制御可能に発生する装置
(51)【国際特許分類】
G01V 5/12 20060101AFI20150820BHJP
G21K 5/02 20060101ALI20150820BHJP
H05G 1/00 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
G01V5/12
G21K5/02 X
H05G1/00 C
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-530835(P2012-530835)
(86)(22)【出願日】2010年10月20日
(65)【公表番号】特表2013-506250(P2013-506250A)
(43)【公表日】2013年2月21日
(86)【国際出願番号】NO2010000372
(87)【国際公開番号】WO2011049463
(87)【国際公開日】20110428
【審査請求日】2012年3月27日
【審判番号】不服2013-25101(P2013-25101/J1)
【審判請求日】2013年12月20日
(31)【優先権主張番号】20093204
(32)【優先日】2009年10月23日
(33)【優先権主張国】NO
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513137260
【氏名又は名称】ビスレイ テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テアグ フィル
【合議体】
【審判長】
森林 克郎
【審判官】
渡戸 正義
【審判官】
平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−45761(JP,A)
【文献】
特開平5−315088(JP,A)
【文献】
特表2004−504710(JP,A)
【文献】
特開2002−324697(JP,A)
【文献】
実開平2−44882(JP,U)
【文献】
特開昭57−28572(JP,A)
【文献】
特開昭47−15632(JP,A)
【文献】
実公昭36−20813(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V5/00-5/14
H05G1/00-2/00
G21K5/00-5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レプトンとして電子を発生するレプトン発生手段(11)が電気的に絶縁された真空容器(9)の第1端部(7a)に配置され、レプトンターゲット(6)が前記電気的に絶縁された真空容器(9)の第2端部(7b)に配置され、200keVを越える電離放射線(12)を制御可能に発生させる装置であって、
前記レプトン発生手段(11)は一連の直列接続された複数の負電位増加要素(141,142,143,144)の最終段に接続され、
前記複数の負電位増加要素(141,142,143,144)の各構成単位は、印加された直流電位(δV0,δV1,δV1+2,・・・,δV1+2+3+4)を、印加された交流の駆動電圧(VAC)を変換することで増加させ、増加された負の直流電位(δV1,δV1+2,・・・,δV1+2+3+4)を前記複数の負電位増加要素(141,142,143,144)の次の構成単位へ最終段まで送るとともに、当該構成単位における前記交流の駆動電圧(VAC)を、変圧器コイルを利用して前記複数の負電位増加要素(141,142,143,144)の次の構成単位へ最終段まで送るように構成され、最終段の負電位増加要素(144)からの負電位が前記レプトン発生手段(11)に供給されるとともに、
前記複数の負電位増加要素(141,142,143,144)は、電気的に接地された筒状の筐体(1)の中央に軸方向に並んで配置され、かつ絶縁抵抗を持ち回転対称である保持構造によって前記筒状筐体(1)に保持される、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記レプトンターゲット(6)は回転対称形に形成されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記レプトンターゲット(6)は円錐形に形成されることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記レプトンターゲット(6)は一連の直列接続された複数の正電位増加要素(171,172,173,174)の最終段に接続され、
前記複数の正電位増加要素(171,172,173,174)の各構成単位は、印加された直流電位(δV0,δV1,δV1+2,・・・,δV1+2+3)を、印加された交流の駆動電圧(VAC)を変換することによって増加させ、増加された正の直流電位(δV1,δV1+2,・・・,δV1+2+3+4)を前記複数の正電位増加要素(171,172,173,174)の次の構成単位へ最終段まで送るとともに、当該構成単位における前記交流の駆動電圧(VAC)を、変圧器コイルを利用して前記複数の正電位増加要素(171,172,173,174)の次の構成単位へ最終段まで送るように構成され、最終段の正電位増加要素(174)からの正電位が前記レプトンターゲット(6)に供給される装置。
【請求項5】
請求項1又は4に記載の装置であって、前記交流の駆動電圧(VAC)は、周波数が60Hzを越える高周波数の交流電流であることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、発生した前記電離放射線(12)から低エネルギ放射線部分を除去するようにスペクトルハードニングフィルタ(18)が配置されることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記スペクトルハードニングフィルタ(18)は、銅、ロジウム、ジルコニウム、銀及びアルミニウムからなる群より選ばれた物質、合金又は混合物で形成されることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、方向的に制御された放射線(19)を発生させるように単数又は複数の開口部が設けられたビームシールド(20)が前記レプトンターゲット(6)に配置されることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記筺体(1)は、気体状の電気的に絶縁された物質(15)によって加圧されるように構成されたことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、前記電気的に絶縁された物質(15)は六フッ化硫黄であることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置であって、前記筺体(1)は横断寸法が101ミリ(4インチ)以下であることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電離放射線を制御可能
に発生する装置について記述する。
【0002】
ダウンホールにおける物質構成に関する孔内検層(borehole logging)とデータ取得において、今日では放射性同位体が多くの場合使用される。従来技術では、掘削孔内等での検層作業に使用する従来の放射性同位体からの放射エネルギに代わる光子エネルギを発生させることが可能な非放射性システム、つまり200keVを越えるX線・ガンマ線放射量有し、直径4インチ(101ミリ)の筺体内に配置される装置を用いることは不可能であった。今日では、検層装置を収容する筺体の一般的な最大直径は、約3 5/8インチ(92ミリ)以下である。
【0003】
同位体の放射率、つまり強度は、放射能半減期と関連する。検出する二次光子の統計的に信頼できる量を記録するために必要な時間を削減するためには、同位体はそれに応じて半減期が短い必要があり、より多くの量の物質を使用し出力を高めなければならない場合がある。このことは、費用と安全のバランスを難しくする。検層作業が長くなると、インフラ関連のコスト(掘削リグ時間など)が高くなり、生産性が落ちる。検層作業が短くなると、使用する同位体に伴う危険が高まり、同位体を扱う際により徹底した安全対策が必要となる。
【0004】
本発明は、従来技術の欠点を少なくとも1つ是正するか軽減させるか又は少なくとも従来技術に代わる役立つ代替えを提供することを目的とする。
【0005】
この目的は、下記の説明と続く請求項で明確に述べられる特徴事項によって達成される。
【0006】
高放射能化学同位体を使用せずに、掘削孔内などにおいてオンデマンドで高エネルギ放射をX線・ガンマ線の形式で発生する機能は、石油・ガス産業における、密度検層、掘削時の検層、掘削時の測定、坑井作業の検層時において非常に効果的である。
【0007】
以下の説明では「レプトン」という用語を使用する。レプトンは、「小さい」や「薄い」を意味するギリシャ語の「λεπτσν」に由来する。物理学では、スピン1/2、色荷なしの粒子をレプトンと呼ぶ。レプトンは、素粒子群を形成する。12種類のレプトンが知られ、その内、3種類は物質の粒子(電子、ミュー粒子、タウレプトン)、3種類はニュートリノ、6種類は各反粒子である。知られているすべての電荷レプトンは単一の負電荷又は正電荷であって(粒子か反粒子かによる)、ニュートリノ及び反ニュートリノは電気的に中性である。一般的には、同種類のレプトンの数(電子と電子ニュートリノ、ミュー粒子とミュー粒子ニュートリノ、タウオンとタウオンニュートリノ)は、粒子が相互作用する際に同一のままである。これはレプトン数の保存として知られる。
【0008】
石油・ガス産業における放射性同位体に伴う現在の管理、ロジスティックス、取り扱い及び安全対策には、高いコストがかかる。放射性化学同位体を使用せずにオンデマンドで同等の放射線を発生できるシステムは、同位体の取り扱いに伴う管理及びロジスティックス費用を大幅に削減する。
【0009】
対テロ警戒の導入によって、高放射性化学同位体の保管、使用、移動に対してより徹底した管理が行なわれた結果、産業内では日常的に使用される数多くの同位体物質に伴う安全とロジスティックスに関する費用が急激に増加した。
【0010】
本発明は、スペクトル分布がコンプトン範囲内
(コンプトン効果により生成される電磁波の範囲)であるX線・ガンマ線放射を発生する装置と方法を提供する。放射性出力は、逆の極性を有する高電位の2つの電極の間でレプトンを加速することによって発生させる。各電極は、複数の電位増加段を含むシステムによって制御可能な電位に保持される。各段は、電気的に接地され、好ましくは断面寸法が4インチ(101ミリ)未満の筒状の筺体内で、非常に高い電圧(100,000V以上)を発生させ、制御するように構成される。結果的に、システムの出力はガンマ放射性同位体よりも何倍も高くなり、そのため検層作業中に十分な量のデータを記録するために必要な時間の大幅な削減となるので、全体的な消費時間と費用の両方を削減する。本システムは高放射性同位体を使用しないので、放射性同位体に伴う管理、取り扱い及び安全に伴う必要な作業を省く。
【0011】
本装置は、例えばコバルト60やセシウム137等の高放射性化学同位体を使用せずに掘削孔内環境下で必要時に電離放射線を発生するように構成された要素を備える。
【0012】
本装置は、下記の主要要素を含む。
・接地され、好ましくは直径が比較的小さな筒状である、筺体内で正及び負の両方の高い電位を発生させ制御するモジュラシステム。
・高電位側と接地側とを電気的に分離して保つシステムであって、フィールド制御構造、加圧された気体状の電気的に絶縁された物質及び漏れ防止サポート構造(creepage−inhibiting support geometry)を伴う。
・レプトンをレプトンターゲットに向けて加速するため両極性電位によって形成される電界を利用するシステム。
・装置の縦軸に対して回転対称である放射状の放射となる電離放射を発生させるターゲット及びレプトン流構造(geometry)。
【0013】
本発明は、より具体的には電離放射線を制御可能
に発生させる装置であって、下記を含むことを特徴とする装置に関する。
特に、ダウンホールの検層に利用される。
・少なくとも
レプトン発生手段である熱イオン発生器を含む。熱イオン発生器は、電気的に絶縁された真空容器の第1端部に配置される。
・電気的に絶縁された真空容器の第2端部に
はレプトンターゲットが配置される。
熱イオン発生器は一連の直列接続された負電位増加要素に接続され、
各電位増加要素は印加された
交流の駆動電圧の直流電位
を増加させ、増加した負の直流電位
を持つ駆動電圧
を次の構成単位に送り、
電離放射線
のエネルギは、200keVを越え、
電磁放射線のスペクトル分布の主要部分はコンプトン
レンジ(コンプトン効果によって発生する電磁放射線の波長範囲)である。
【0014】
真空容器は、真空管でもよい。これによって真空容器の放射抵抗が大幅に削減される。
【0015】
レプトンターゲットは回転対称な形に形成してもよい。これによって装置からの放射分布をすべての方向において改善できる。
【0016】
レプトンターゲットは円錐形に形成してもよい。これによって得られる効果は、熱イオン放射が不規則に広まることによって、装置の周辺全体に放射が均一に分布する。
【0017】
レプトンターゲットは、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタニウム、モリブデン、銅及び原子番号が55より高い元素の非放射性同位体からなる群から選ばれる物質、合金、混合物によって実質的に構成される。これによって、放射スペクトルの望ましい範囲内におけるより高い出力が得られる。
【0018】
レプトンターゲットは、一連の直列接続された正電位増加要素に接続してもよい。各電位増加要素は、印加された直流電位を印加された高周波駆動電圧を変換することによって増加させ、増加した正の直流電位と交流電圧を一連の直列接続された要素の次の構成単位へ送る。これによって電圧電界形状(voltage field geometry)の制御を改善する。
【0019】
駆動電圧は、周波数が60Hzより高い交流電圧でもよい。それによって、通電部品に対して必要となる容量を低く抑えて所定のエネルギを発生させることができる。
【0020】
スペクトルハードニングフィルタを配置して、発生した電離放射線から低エネルギ部分を除去してもよい。このようなフィルタリングによって放射性出力からノイズを除去する。
【0021】
スペクトルハードニングフィルタは、銅、ロジウム、ジルコニウム、銀及びアルミニウムからなる群から選ばれる物質、合金又は混合物によって形成してもよい。それによってスペクトルの望ましい範囲内における放射を発生する。
【0022】
レプトンターゲットにビームシールドを配置し、単数又は複数の開口部を設けて方向を制御した放射を発生するように構成してもよい。望ましければ、放射線はこのように方向を制御できる。
【0023】
装置は、気体状の電気的絶縁物質によって加圧されるように構成された筺体を含んでもよい。これによって、スパークと電気フラッシュオーバの危険を軽減できる。
【0024】
電気的絶縁物質は六フッ化硫黄でもよい。六フッ化硫黄は非常に優れた絶縁性を持つ。
【0025】
筺体は、断面寸法が101ミリ(4インチ)以下であってもよい。これによって装置はあらゆるダウンホール検層環境に良好に適する。
【0026】
各電位増加要素は、その要素の入力電位と同じ入力電位を次の電位増加要素に与えるように構成された手段を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
次に添付の図に視覚的に示された好適な実施形態例を説明する。
【
図1】本発明に係る装置の両極性を有する第1実施形態例の縦方向断面図を示す図であって、一連の電位増加要素の各要素に接続された熱イオン発生器とレプトンターゲットと、一連の増加要素の各段での電位を示すグラフを示す図である。
【
図2a】セシウム137化学同位体の典型的な放射スペクトルを示す図である。
【
図2b】熱イオン発生器に−350,000Vの電流電位を印加し、レプトンターゲットに+350,000Vの電流電位を印加した場合の本発明に係る装置の典型的な出力を示す図である。
【
図2c】
図2bと同事項の結果を示すが、純銅のスペクトルフィルタを使用した場合を示す図である。
【
図2d】銅、ロジウム及びジルコニウムの混合物で構成されたスペクトルフィルタの効果を示す図である。
【
図3】本発明に係る装置の変形例の縦断面図を
図1よりも大きな縮尺で示し、方向を制御した放射を発生する開口部を有するビームシールドがレプトンターゲットの周囲に配置されていることを示す図である。
【
図4】本発明に係る装置の単極性を有する第2実施形態例の縦方向断面図であって、熱イオン発生器は一連の電位増加要素に接続され、接地された真空容器内の接地された円錐型レプトンターゲットから電離放射線を放射状に発生させることを示す図である。
【
図5】本発明に係る装置の単極性を有する第3実施形態例の縦方向断面図であって、熱イオン発生器は一連の電位増加要素に接続され、接地された真空容器内のレプトンターゲットから電離放射線を軸方向に発生させることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図中、参照符号1は、外径が4インチ(101ミリ)以下である流体密封型筒状筺体を示す。筺体1は縦軸に対して回転対称であって、電気的に接地されるように構成される。筺体1は好適には気体状の電気的絶縁物質15(1つの実施形態では六フッ化硫黄)で加圧されるように構成される。熱イオン発生器11とレプトンターゲット6は筒型真空容器9内に配置される。筒状真空容器9は管7cの閉じられた端部を形成する2つの電気的絶縁キャップ7a,7bを備える。管7cは外筺体1に電気接続される。このため容器9は、電界集束管に加えて電気的に接地された支持構造も形成する。
【0029】
この好適な実施形態では、検層作業中にデータの取得を補助する目的の検出システムは装置に含まれていないが、望ましければ、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化セシウムを用いた遮蔽式粒子検出器や他のいかなる種類の単数又は複数の検出器を、高電位電界によって検出器の電気系統に影響を与えずに、接地された筒型筺体1の外径内に設けられた筒型真空容器9の周辺に備えてもよい。
【0030】
好適な実施形態では、レプトン8は、
レプトン発生手段である熱イオン発生器11を用いて発生させるが、無線周波数方式及び冷陰極方式を使用してもよい。
【0031】
熱イオン発生器11は、温かく、又、接地された筺体1に対して負の高電位を持つよう、直列接続された複数の負電位増加要素14
1-n(ここでは14
1-4の4つを示す)によって保持される。直列接続されたシステム内で最初の電位増加をもたらす最初の電位増加要素14
1は、電気制御装置2によって電力が供給される。電気制御装置2は、離れた場所にある電源(図示せず)から一般的には300〜400Vの直流又は交流電流を供給される。制御装置2は駆動交流電圧V
ACを60Hz(好適には65kHz以上)を越える周波数で出力する。負電位増加要素14
1〜14
4は、各段内の変圧器コイル系を使用し、外筺体1の接地電位に対して交流電流の負電位δV
1、δV
1+2、δV
1+2+3、δV
1+2+3+4を増加させるように構成される。これにより一連の負電位増加要素14
1〜14
4は全体のレベルが−100,000Vを越えるよう叙々に電位を上げる。
【0032】
各負電位増加要素14
1〜14
4は中央に配置され、電気的に接地された筺体1内の回転対称保持構造3によって保持される。回転対称保持構造3は高い絶縁抵抗性を持ち熱伝導性がよい物質又は混合物によって構成される。好適な実施形態では、ポリアリールエーテルエーテルケトンと窒化ホウ素の混合物が使用されるが、高い絶縁抵抗性の物質であればいかなる物質でもよい。回転対称保持構造3は、電気エネルギが負電位増加要素14
1〜14
4から接地された外筺体1まで、保持構造3の面上又は物質内を移動する必要がある間隔が負電位増加要素14
1〜14
4と筺体1との間の物理的な半径方向の距離よりもかなり長くなるように構成される。これにより電圧の大幅な差に伴う導体間の電気的なフラッシュオーバやスパークを防止できる。負電位増加要素14
1〜14
4の面上に渡って電位が必ず連続的に分布するようにし、それによってスパークやフラッシュオーバの原因となり得る乱れを防止するために、筒型電界制御装置4が各負電位増加要素14
1〜14
4の外側に配置され、各負電位増加要素14
1〜14
4と外筺体1との間の半径方向の電位が電位増加要素14
1〜14
4の軸全体にわたって必ず一定となるように構成される。これによって、特定の負電位増加要素14
1〜14
4の電位δV
1、δV
1+2、δV
1+2+3、δV
1+2+3+4に関わらず、接地に対する均一な電界を形成できる。単段のみの負電位増加要素を単数使用するよりも多段の負電位増加要素を複数使用する方が各段間の総電位を段ごとの制御可能な最低電位に減少し(
図1の電位差グラフを参照)、それによって各段内の部品間の電位差が通常の電気回路での短い距離に起因するスパークやフラッシュオーバを引き起こさないようにする。
【0033】
電気制御装置2からの出力は、負電位増加要素14
1〜14
4の出力の大きさを制御するため増加又は減少させてもよい。システム内の各段が総電位を増加させる装置を含むあらゆる構成は本発明の範囲内となる可能性がある。そのようなシステムには、例えば、ダイオード・コンデンサを主とした電圧増倍器、半波長直列増倍器又はグライナッヒャー(Greinacher)・ビラード(Villard)システム等が利用できる。
【0034】
熱イオン発生器ドライバ5は、高い電位の交流電流を整流し、熱イオン発生器11へ整流された高圧電流を供給する。これによって、熱イオン発生器11を駆動し、熱イオン発生器11を−100,000V以上の電位差に保持する電流が供給される。この交流電圧の差は、負電位増加要素14
1〜14
4の直列接続されたシステムの各段内で変化せず、直流成分のみ変化する。
【0035】
好適な実施形態では、各変圧器コイルは、一次巻線に対して1:1比である三次巻線が誘導的に結合され、直流電圧レベルが増加したかどうかに関わらず、交流電流成分は、次の負電位増加要素14へ送られるので、段のいずれかの部品が故障しても直列接続されたシステムに渡る高電位の発生における出力障害とならないように構成される。
【0036】
熱イオン発生器ドライバ5へは、負電位増加要素14
1〜14
4の出力から整流された交流成分によって電力を供給できる。熱イオン発生器ドライバ5と負電気制御装置2aは、負電位増加要素14
1〜14
4の出力をこれら2つのドライバ2a,5の間に計器配線を必要とせずに確認可能できるよう無線形式で通信する。好適な実施形態では、無線通信が利用され、アンテナは熱イオン発生器ドライバ5と負電気制御ドライバ2aに設けられるが、直接通視線によって、一連の負電位増加要素14
1〜14
4における光学窓又は開口部を一直線上に並べてレーザを使用することも可能である。
【0037】
同様に、負電位増加要素14
1〜14
4と機能が同様で直列接続された正電位増加要素17
1〜17
4が配置される。正電位増加要素は、出力がレプトンターゲットドライバ16を介してレプトンターゲット6に接続され、各段が叙々に電位を増加し、正電位増加要素17
1〜17
4の直列接続されたシステムの出力から高い正の電位δV
1+2+3+4を供給するように構成される。レプトンターゲットドライバ16は、正電位増加要素17
1〜17
4の出力から正の交流電流を整流し、レプトンターゲット6を+100,000V以上の電位差に保持する。
【0038】
レプトンターゲットドライバ16と正電気制御ドライバ2bは、正電位増加要素17
1〜17
4の出力をこれら2つのドライバ2b,16の間に計器配線を必要とせずに確認できるよう無線形式で通信する。好適な実施形態では、無線通信が利用され、アンテナはレプトンターゲットドライバ16と正電気制御ドライバ2bに設けられるが、直接通視線によって、一連の正電位増加要素17
1〜17
4における光学窓又は開口部を一直線上に並べてレーザを使用することも可能である。
【0039】
熱イオン発生器11の高い負の電位とレプトンターゲット6の高い正の電位によって生成される強い双極電界内で加速されたレプトン8は、容器9の真空部10内を衰えずに流れ、レプトンターゲット6に高速で衝突する。熱イオン発生器11とレプトンターゲット6との間に発生し、電界内での加速によって増加するレプトン8の運動エネルギは、レプトンターゲット6との衝突の際に運動エネルギの突然の喪失によって電離放射線として放出される。レプトンターゲット6は高い正の電位を保持するので、レプトン8は、正電位増加要素17によってレプトンターゲット6から離れて正制御ドライバ2bへ向けて電気的に移動する。
【0040】
好適な一実施形態では、レプトンターゲット6はタングステンによって円錐形に形成されるが、高い原子番号(55より上)を持つあらゆる非放射性同位体に加えて、タングステン、タンタル、ハフニウム、チタニウム、モリブデン及び銅の合金及び混合物を使用できる。レプトンターゲット6は筒状、回転双曲面又は回転対称である任意の変形などの回転対称であるいかなる形に形成してもよい。
【0041】
レプトン8は本来の性質によって、熱イオン発生器11とレプトンターゲット6との間での移動中に分散するので、レプトンターゲット6でレプトン8が衝突する領域では円錐体の頂点の周りに環状の電界が形成される。レプトンターゲット6によって部分的に遮断される結果的に生じる主な電離放射線12は、一般的に偏球に似た形状の分布で拡散する。効果的には、電離放射線12は装置の縦軸に対して回転対称にすべての方向へ伸び、それによってすべての周囲の物質と掘削孔構造とを同時に照らす。電離放射線12の最大出力エネルギは、熱イオン発生器11とレプトンターゲット6との電位差に正比例する。熱イオン発生器11の電位が−331,000Vであって、電位が−331,000Vであるレプトンターゲット6と接続される場合、熱イオン発生器11とレプトンターゲット6との間の電位差は662,000となる。その結果生じる出力電離放射線12のピークエネルギは662,000eV程度となり、これは、地質学的密度検層作業によく利用されるセシウム137の主要出力エネルギに相当する。レプトン8とレプトンターゲット6との相互作用によって発生する熱エネルギは、電気非導電型熱導体構造13によって電気接地された外筺体1に導電される。電気非導電型熱導体構造13は、回転対称保持構造4に幾何学的にも機能的にも類似する。ただし好適な一実施形態では、熱伝導効率をより高めるため、窒化ホウ素がより高い容量パーセントで使用される。
【0042】
熱イオン発生器11とレプトンターゲット6の電位は、意図的に又は段の故障によって個別に変化する可能性がある。熱イオン発生器11とレプトンターゲット6との間の全体的な電位の差は、2つの電位の合計のままである。最も好適な実施形態では、装置はここで説明したように両極性に構成されるが、装置は単極でも利用可能であり、その場合、レプトンターゲット6を筒型外筺体1に接続することによって電気接地電位とし、レプトンターゲット6は、
図4及び5に示すように、装置の軸方向又は半径方向に放射線が実質的に向かうように構成される。
【0043】
化学同位体に通常伴う出力スペクトルによりよく似せるため、レプトンターゲット6の放射状出力を囲う筒型スペクトルハードニングフィルタ18を使用してもよい(
図3参照)。好適な一実施形態では、銅及びロジウムのスペクトルハードニングフィルタ18が使用されるが、銅、ロジウム、ジルコニウム、銀及びアルミニウム等、電離放射線をフィルタリングするあらゆる物質又はその混合物を使用してもよい。スペクトルハードニングフィルタ18は、レプトンターゲット6の放射性出力に伴う低エネルギ放射線と特性スペクトルを取り除き、全発光スペクトルの平均エネルギをより高い光子エネルギへと増加する。
図2a〜2dのグラフ参照。複数のフィルタ18を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
好適な一実施形態では、スペクトルハードニングフィルタ18は、可変スペクトルフィルタを実施するため、放射線の内又は外に移動できるように構成される。1つの固定フィルタ又は複数の固定フィルタを組み合わせて使用してもよい。
【0045】
レプトンターゲット6からの方向を制御された放射を得たい場合には、レプトンターゲット6の出力の周囲に単数又は複数の開口部が設けられた回転式又は固定式の筒型ビームシールド20を配置してもよい。それによって方向を制御された放射線19を発生できる(
図3参照)。
【0046】
本装置及び方法は、システムに印加される電位に応じて電離放射線を発生させる。結果的に、システムの出力は同位体の使用によって達成される出力の何倍も大きいので、検層作業中に十分な量のデータを記録するのに必要な時間を大幅に短縮することができ、消費時間とコストを低減する。
【0047】
システムの入力電位は変えられるので、主要放射線のエネルギをそれに応じて増加又は減少させることが可能となり、単に必要な特定の放射線に合わせて印加するエネルギを調整するだけで、同システムを特定の出力光子エネルギを有する幅広い種類の化学同位体の代わりに使用できる。
【0048】
本モジュール方式の電位エネルギ増加システムは、電離放射線を発生するために必要な高電圧を装置内で生成し制御するので、掘削孔内の装置には低電圧電流を供給することになる。
【0049】
本システムは、例えばコバルト60やセシウム137のような放射性化学同位体を利用しないので、放射性同位体の取り扱いに伴う管理、ロジスティックス、環境対策及び安全対策に関連するすべてのデメリットを解消できる。
【0050】
さらに、掘削孔技術では、削作業中に抗底アセンブリが欠落した場合を考え、抗底アセンブリ内に配置される放射性化学同位体を掘ドリルストリングから可能な限り容易に取り出せるようにしておく必要がある。このため、同位体はドリルビットから50メートル上、つまりドリルストリングが抗底アセンブリと接続される場所に配置する必要があるであろう。放射性物質を含まない装置の場合、結果的に遺棄することも可能で、回収することを考えて配置する必要がない。このため、放射線発生装置、つまり検出システムは、掘削孔内からのよりリアルタイムでのフィードバックのため、ドリルビットのより近くに配置することができる。
【0051】
可変放射源は、再調整のために掘削孔から引き上げずに異なるエネルギレベルでの検層作業を可能にするというメリットももたらし、大量データを作業員に短時間でもたらす。