(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777631
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】内燃機関における未制御燃焼を識別する方法および装置
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20150820BHJP
F02D 35/00 20060101ALI20150820BHJP
F02D 35/02 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
F02D45/00 368C
F02D45/00 368B
F02D45/00 368S
F02D45/00 364A
F02D35/00 368A
F02D35/02
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-540338(P2012-540338)
(86)(22)【出願日】2010年10月13日
(65)【公表番号】特表2013-511660(P2013-511660A)
(43)【公表日】2013年4月4日
(86)【国際出願番号】EP2010065342
(87)【国際公開番号】WO2011061014
(87)【国際公開日】20110526
【審査請求日】2012年5月23日
【審判番号】不服2014-15520(P2014-15520/J1)
【審判請求日】2014年8月6日
(31)【優先権主張番号】102009046961.3
(32)【優先日】2009年11月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(72)【発明者】
【氏名】ハリス ハメドヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】カルステン クルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー ヘミング
【合議体】
【審判長】
伊藤 元人
【審判官】
中村 達之
【審判官】
佐々木 訓
(56)【参考文献】
【文献】
特開平2−136566(JP,A)
【文献】
特開平4−109062(JP,A)
【文献】
特開平9−273436(JP,A)
【文献】
特開平8−261129(JP,A)
【文献】
特開2009−108760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D41/00-41/40
F02D43/00-45/00
F02P5/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
点火プラグによる点火とは無関係に発生する、内燃機関における未制御燃焼を識別する方法であって、
前記燃焼によってトリガされる、燃焼室における圧力振動を検出して評価する、方法において、
点火プラグによる点火の前、および/または通常の燃焼の開始の前に、未制御燃焼を確認するため、あらかじめ定めた点火時点に対し、前記圧力振動によって影響を受けた、前記内燃機関(1)のクランクシャフト(10)の回転数(n)を評価し、
当該回転数の評価により、燃焼の結果によって生じる燃焼室における圧力振動により前記クランクシャフト(10)に作用するガストルク(Tind)、または、変更した燃焼位置(POS)を求め、
求めた当該ガストルク(Tind)または求めた前記燃焼位置(POS)と、制御された燃焼において点火プラグによる点火の結果として求めた基準値(PosRef,TindRef)とを比較し、
当該比較の際には、点火角(δ)の実際の調整量として負荷(C)および前記回転数(n)を考慮することを特徴とする、
内燃機関における未制御燃焼を識別する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記ガストルク(Tind)と、対応する基準(TindRef)とに、または前記燃焼位置(POS)と、対応する基準値(PosRef)とに偏差がある場合に未制御燃焼が存在することを推定することを特徴とする
方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記燃焼位置(POS)を求める場合には、前記実際の調整量(δ,C)を含む少なくとも1つの特性マップを用いる、および/または、前記実際の調整量(δ,C)を含む、物理学的なベースを有する数学モデルを用いることを特徴とする
方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法において、
前記ガストルク(Tind)を求める場合には、前記燃焼の結果として生じる燃焼室における圧力振動により、前記クランクシャフト(10)に発生する前記ガストルク(Tind)を交番トルクとして求めることを特徴とする
方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
振動質量体および/または前記交番トルクの経過および/または検出器ホイール誤差について前記交番トルクを補正することを特徴とする
方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記交番トルク(Tind)の前記経過を、所定の領域においてシリンダ(2,3,4,5)毎にそれぞれ積分最終値に累算し、
当該積分最終値から前記内燃機関(1)のシリンダ(2,3,4,5)毎にシリンダ個別のガストルクを推定することを特徴とする
方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法において、
交番トルク(Tind)の前記経過を少なくとも2つの領域に分割し、
領域毎に積分最終値を計算し、
各積分最終値と基準積分最終値とを比較するか、または2つの積分最終値を互いに比較し、
偏差が発生した場合、未制御燃焼を推定することを特徴とする
方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
少なくとも2つの前記領域は、前記点火角(δ)および/または前記内燃機関(1)の動作点に依存することを特徴とする
方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法において、
前記回転数(n)の前記評価を、前記クランクシャフト(10)に取り付けられた検出器ホイールの歯の時間に基づいて行うことを特徴とする
方法。
【請求項10】
内燃機関における未制御燃焼を識別する装置であって、
燃焼によってトリガされる燃焼室の圧力振動を評価する、装置において、
点火プラグによる点火の前の未制御燃焼を確認するため、前記圧力振動によって影響を受ける、前記内燃機関(1)のクランクシャフト(10)の回転数(n)を評価し、
当該回転数の評価により、燃焼の結果によって生じる燃焼室における圧力振動により前記クランクシャフト(10)に作用するガストルク(Tind)、または、変更した燃焼位置(POS)を求め、
求めた当該ガストルク(Tind)または求めた前記燃焼位置(POS)と、制御された燃焼において点火プラグによる点火の結果として求めた基準値(PosRef,TindRef)とを比較し、
当該比較の際には、点火角(δ)の実際値として負荷(C)および前記回転数(n)を考慮する手段(16)が設けられていることを特徴とする、
内燃機関における未制御燃焼を識別する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来の技術
本発明は、殊に点火プラグによる点火とは無関係に発生する、内燃機関における未制御燃焼を識別する方法に関する。ここでは燃焼によってトリガされる、燃焼室における圧力振動を検出して評価する。また本発明は、この方法を実行する装置に関する。
【0002】
ガソリン機関では、供給される空燃混合気の燃焼により、車両は走行モードにされるか、ないしは走行モードに維持される。ここでは空燃混合気の燃焼は、点火プラグの火花によって開始される。火炎最前面が燃焼室に広がる間、末端ガス領域では高い圧力および温度によって自己点火が発生する。この場合に急峻に進行する燃焼により、ガソリン機関の燃焼室において圧力が大きく増大し、この圧力増大により、圧力波が形成され、この圧力波が伝搬して燃焼室の壁に衝突し、ここで高周波の振動が固体伝搬音に変換される。この振動は、ノッキングセンサ(固定伝搬音センサ)によって検出され、またガソリン機関を駆動制御する際にはノッキング制御によって考慮されて機関の損傷が阻止される。ガソリン機関はつねにノッキング限界の近傍において最適な効率で駆動され、これによってノッキングによるガソリン機関の損傷が回避される。
【0003】
しかしながら上記のノッキングを伴う燃焼の他に自己着火が発生する。この自己着火は、空燃混合気における高温の残存ガスゾーン、オイル液滴または燃焼室の高温の個所が原因で発生する。このような自己着火は、火花が発生する前の前着火として、また火花が発生した後の後着火として発生し得る。自己着火の特徴は、圧力振幅を有する燃焼圧であり、圧力振幅は、機関の損傷に極めて迅速に結び付き得るのである。
【0004】
EP 1 715 179 A2によれば、ノッキングセンサにより、予定より早く行われる燃焼が求められる。しかしながらこのような自己着火は、周波数の高い圧力成分によるノッキングを伴う燃焼を限定的にしか発生させないため、燃焼室壁の固定伝送音に影響を及ぼさない主に低い周波数の圧力経過を有する自己着火は、ノッキングセンサによって識別することはできない。
【0005】
発明の開示
請求項1の特徴部分に記載した特徴的構成を有する、内燃機関における未制御燃焼を識別する本発明の方法は、点火プラグの火花によってトリガされない自己着火がつねに確実に検出できるという利点を有しており、ここでこの自己着火は、周波数の低い圧力経過を伴い、オプションで周波数の高い圧力部分を有する。点火プラグによる点火の前および/または通常の燃焼の開始の前に未制御燃焼を確認するため、あらかじめ定めた点火時点に対し、圧力振動によって影響を受けた、内燃機関のクランクシャフトの回転数を評価することにより、評価のためにノッキングセンサが不要となる。上記の未制御燃焼の識別は、クランクシャフトの回転数経過の評価だけに基づいている。クランクシャフトの回転数は、機関を制御および/または調整するために測定されるため、上記の回転数を測定するための付加的なハードウェアコストは不要である。
【0006】
ここでは有利にはクランクシャフトの回転数が求められ、
求めたこの回転数に依存して、燃焼を特徴付けるパラメタが求められ、このパラメタと、相応するパラメタとが比較される。このパラメタは、点火プラグの点火による制御された燃焼時に求めたものであり、上記のパラメタと、基準パラメタとが偏差する場合に未制御燃焼が存在すると推定する。このような手法は殊に有利には、高い出力密度によって特徴付けられる、殊にダウンサイジングコンセプトによって特徴付けられる機関コンセプトに使用可能である。自己着火は、燃焼圧成分の変化に起因して燃焼室における圧力経過のシフトさせるため、このことは、クランクシャフトの回転数信号を評価することによって簡単に検出することができる。
【0007】
1つの実施形態において、回転数に依存するパラメタはガストルクであり、このガストルクは、燃焼の結果として生じる燃焼室における圧力振動により、クランクシャフトに作用する。上記の圧力経過によってガソリン機関のピストンの連接棒に作用する力は、クランクシャフトの速度を変化させるため、これにより、ガソリン機関のシリンダの圧縮状態においてクランクシャフトの速度が低下し、その一方で燃焼時にはクランクシャフトの速度が高くなる。上記のガストルクによって生じるこのような速度変化は、この速度変化によって変化する回転数によって良好に表すことができる。
【0008】
1つの発展形態において、上記の回転数に依存するパラメタは、燃焼位置の変化である。
【0009】
有利には上記の所定のガストルクおよび/または所定の燃焼位置と基準値とを比較する。ここでこの基準値は、点火プラグによる点火によって発生した制御された燃焼の際に求めた基準値であり、上記の比較時には実際の調整量および内燃機関の動作点を考慮する。この基準値がそれぞれ内燃機関の実際状態に関連して選択されることにより、上記の回転数から導出したパラメタとの比較は極めて信頼性が高い。それは、上記のパラメタを求める時点にこの内燃機関に生じている実際の動作条件が一緒に考慮されるからである。
【0010】
1つの変形実施形態において、上記の燃焼によって得られる燃焼位置と、点火プラグによる点火によって生じた制御された燃焼から得られる位置との比較の際に、点火角の実際の調整量として上記の負荷および回転数が考慮される。
【0011】
1つの実施形態では、実際の調整量を含む少なくとも1つの特性マップを用いて、および/または実際の調整量を含む、物理学的なベースを有する数学モデルを用いて、上記の燃焼によって得られる燃焼位置を求める。特性マップは測定の開始の前に、内燃機関の考えられ得るすべての動作状態に対して簡単に求めることができ、したがって上記の比較の際には、実際に生じている燃焼位置を迅速に求めることができる。
【0012】
別の1つの発展形態では、燃焼の結果として生じる燃焼室における圧力振動により、クランクシャフトに発生する上記のガストルクは、交番トルクとして求められる。この交番トルクは、上記の回転数の経過から簡単に求めることができる。それはこの交番トルクが、クランクシャフトの減速または加速が原因で発生するからである。
【0013】
上記の交番トルクは、有利には振動質量体、および/または交番トルクの経過、および/または検出器ホイール誤差について補正される。これらの振動質量体は、主に内燃機関のシリンダのピストンによって形成され、このように応用に対して交番トルクの経過に不利に影響するため、それらの成分は、計算によって交番トルクから除去される。これにより、未制御燃焼を求める際に一層正確な結果が得られる。
【0014】
1つの変形実施形態において、この交番トルクの経過はそれぞれ、シリンダ毎に適当な領域において、適当なクランクシャフト窓における1つずつの積分最終値に累算され、これらからそれぞれ、内燃機関のシリンダ毎にシリンダ個別のガストルクが推定される。
【0015】
このようなシリンダ個別のガストルクから出発して、この内燃機関のどのシリンダにおいて未制御燃焼が発生しているかを求めることができる。それは上記の積分は、シリンダ毎に別々に行われるからである。
【0016】
択一的には交番トルクの上記の経過を少なくとも2つの領域に分割し、領域毎に積分最終値を計算し、各積分最終値と基準積分最終値とを比較するか、または2つの積分最終値を互い比較し、偏差が発生した場合、未制御燃焼を推定する。これらの2つの領域を有利にはつぎのように設計する。すなわち、第1領域から求められる積分値が、点火プラグの火花によってトリガされる燃焼を感知するのに対し、第2領域により、燃焼位置が異常に早い燃焼が表されるように設計するのである。ここでこれらの領域は、少なくとも機関の動作点および点火角に依存する。
1つの実施形態では、未制御燃焼の有無を決定するため、先行する燃焼位置の値から求めた基準値を使用する。これにより、この基準値によって表される機関固有のデータが具体化され、ここでこれらのデータは、点火プラグの点火火花によってトリガされた、制御された燃焼中の実際の燃焼位置についてのデータである。これらの基準値は、調査すべきでありかつ回転数に依存する燃焼位置との比較時に、未制御でトリガされる燃焼を求める際の精度を高めるのに寄与する。
【0017】
1つの発展形態において上記の回転数の評価は、クランクシャフトに取り付けられた検出器ホイールの歯の時間に基づいて行われる。したがってガソリン機関における未制御燃焼を求めるこの方法において、一般的によく使用されている回転数を求める方法を使用するのである。択一的には複数の歯の時間を含むセグメントを使用することも可能である。
【0018】
本発明の別の1つの発展形態は、点火プラグによる点火とは無関係に発生する、内燃機関における未制御燃焼を識別する装置に関しており、ここでは燃焼によってトリガされる燃焼室における圧力振動が評価される。点火プラグの点火火花によってトリガされたのでは自己着火をいつでも確実に検出できるようにするため、手段が設けられており、この手段により、上記の圧力振動によって影響を受けた内燃機関のクランクシャフトの回転数が評価されて、点火プラグによる点火の前の未制御燃焼が確認される。したがって本発明による方法の評価のためにノッキングセンサは不要である。それは、上記の識別は、クランクシャフトの回転数の評価に基づいており、このクランクシャフトの回転数は、そのようなものとして機関制御および噴射の別の目的用にすでに測定されるからである。上記の使用される手段により、周波数の低い圧力経過を有しかつオプションで周波数の高い圧力成分も有し得る燃焼が検出される。
【0019】
本発明では多くの実施形態が可能である。図面に示した図に基づいてそのうちの1つを詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ガソリン機関における未制御燃焼を求める装置を示す図である。
【
図2】未制御燃焼と、通常の燃焼との比較を示す線図である。
【
図4】未制御燃焼を求めるアルゴリムの実施例を示す図である。
【0021】
図1には、ガソリン機関1における燃焼を測定する装置が示されている。この実施例においてガソリン機関1は4つのシリンダ2,3,4,5を有しており、シリンダ2,3,4,5内で運動する詳しく図示していないピストンは、1つずつの連接棒6,7,8,9を介してクランクシャフト10に接続されており、これらは燃焼によって発生する圧力変化によってクランクシャフトを駆動する。シリンダ2,3,4,5はインテークパイプ11に接続されており、このインテークパイプは、スロットルバルブ12により、エアインテークパイプ13に対して閉じられる。エアインテーク
パイプ13には燃料を噴射するためのノズル14が突き出ており、これによって空燃混合気が形成される。択一的にガソリン機関1は、殊にダウンサイジング機関は、直接噴射部を具備することができ、この直接噴射部は、インジェクタによって燃料をシリンダ毎に別個に噴射する。さらにここでは過給器に重要な特徴があり、この過給器はふつう、詳しく説明しない1つのターボチャージャからなるが2段式とすることも可能である。
【0022】
クランクシャフト10には回転数センサ15が配置されており、この回転数センサは、クランクシャフト10の回転数を検出して制御装置16に転送する。この制御装置は、求めた回転数に基づいて燃焼を分類する。さらに制御装置16は、スロットルバルブ12および燃焼噴射ノズル14に接続されている。
【0023】
スロットルバルブ12が開くと、空燃混合気はインテークパイプ11に流れ、ひいてはシリンダ2,3,4,5に流れる。詳しく図示しない点火プラグによってトリガされた火花により、シリンダ2,3,4,5に順次に燃焼がトリガされ、この燃焼により、シリンダの圧力がトリガされ、この圧力上昇が、ピストンおよび連接棒6,7,8,9を介してクランクシャフト10に伝達されてこれを運動させる。
【0024】
制御された通常の燃焼において発生する、クランクシャフト角の変化による圧力は、
図2において曲線Aで示されている。
【0025】
この制御された燃焼の他に、極めて早い燃焼開始を有する燃焼、ないしは点火プラグの点火時点の前にある燃焼位置を有する燃焼が発生する。
これらの燃焼は、スーパーノッキングと称される。このようなスーパーノッキングは、
図2の曲線Bに示されており、この曲線Bからわかるのは、スーパーノッキングにより、通常の燃焼に比べて、ガソリン機関1を損傷させる格段に高い圧力が形成されることである。
【0026】
制御装置16は、通常燃焼およびスーパーノッキングの燃焼を分類するため、
図3に示したようなアルゴリズ
ムを有する。このアルゴリズムには入力量としてクランクシャフト10の回転数nが使用される。どの圧力がシリンダ2,3,4,5の連接棒6,7,8,9およびピストンに作用するのかに応じて、クランクシャフト10を駆動する力が変化する。ここでクランクシャフト10は加速されるか、またはクランクシャフト10の運動が遅くなる。シリンダ2,3,4,5が圧縮行程にある場合、すなわちピストンが上死点に向かって運動すると、クランクシャフト10の速度が遅くなる。シリンダ2,3,4,5が燃焼行程にある場合、ピストンは、発生する爆発性の燃焼により、上死点から離れて運動し、これによってクランクシャフト10の速度が上昇する。これは、複数の振動質量体によって発生する振動により、回転数nに重ね合わされる。クランクシャフト10の回転数の評価を、ガソリン機関の実際の動作状況に意図的に調整するため、動作パラメタとしてガソリン機関1の点火角δおよび動作点Cを考慮して、スーパーノッキングが発生しているか否かを確認することができる。
【0027】
未制御燃焼を決定するアルゴリズムの例を
図4に基づいて説明する。まずブロック100において、回転数センサ15によって求めたクランクシャフト10の回転数nをクランク角φに依存して角速度に換算する。ブロック101では、主にシリンダ2,3,4,5のピストンによって発生する複数の振動質量体の作用が補償される。さらにこのブロック101では、いわゆる歯の誤差によって生じる角速度の誤差が補正される。歯の誤差は、例えば検出器ホイールの不正確な取り付けおよび製造によって発生し、また従来技術から公知の方法によって求めることができる。これにより、補正された角速度ωkoorが得られ、これは、ブロック102においてまずクランクシャフト角度φによって微分され、続いてクランクシャフト10の全体慣性モーメントと乗算される。ここからガソリン機関1の燃焼動作のガス回転トルク経過T(φ)が得られる。
【0028】
これと並行してブロック103では過給圧p22および周囲圧力p0の測定値から、また実際のクランクシャフト角φからスラストガストルクTSchub(φ)が求められる。ここでは、例えば機関温度および/また冷却水温度などの周囲パラメタの変化も補正によって考慮される。
【0029】
スラストガストルクTSchub(φ)は、ガス回転トルクT(φ)から減算され、ここから燃焼のガストルク経過T Diff(φ)が得られる。これによって引きずり動作および過給圧の作用が考慮される。ブロック104におけるフィルタリングの後、シリンダ個別の特徴が得られる。ブロック105では、第1の特徴として燃焼位置POSが計算されるのに対し、ブロック106では、平均指示ガストルクTindが求められる。ここではフィルタリングした差分ガストルク経過Tdiff(φ)が、クランクシャフト角φのφ1からφ2の角度領域にわたって積分される。
【0030】
引き続いて燃焼位置POSと、ブロック107において特性マップから得られる基準値PosRefとの比較が行われる。この特性マップには、通常燃焼の燃焼位置、すなわち点火プラグの点火火花によってトリガされた燃焼の燃焼位置が、回転数nおよび全体燃料量qに依存して記憶されている。
【0031】
上記の求めた平均指示トルクTindも基準値TindRefと比較される。この基準値も同様にクランクシャフト10の回転数nおよび燃料量qに依存して特性曲線に記憶されている(ブロック108)。燃焼位置POSにおいて、または平均指示ガストルクTindにおいて、または両方においてそれぞれ求めた基準値PosRefまたはTindRefとの違いが生じた場合、制御装置16により、この比較の結果Eとしてスーパーノッキングが識別される。すなわち、速すぎる燃焼位置を有する燃焼のスーパーノッキングが識別されるのである。