(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の装置であって、前記センサと注入セットとの組み合わせが、前記センサおよび注入カニューレを除いて前記挿入デバイスの前記開口部内に全体に嵌合することを特徴とする装置。
請求項11に記載の装置であって、前記ベース基板は、形状特徴部上に配設された電極の電気化学的反応表面積の表面積対体積比が平面上に配設されるときの電極の反応面の表面積対体積比よりも大きくなるように、前記ベース基板上に配設された電極上の電気化学的反応面の表面積を増大させるように選択された形状特徴部を含むことを特徴とする装置。
【発明を実施するための形態】
【0030】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、記号、および他の科学用語または専門用語は、本発明に関係する当業者に一般に理解される意味を有するものとする。場合によっては、一般に理解される意味を有する用語を、分かりやすくするためにかつ/または容易に参照されるように、本明細書で定義する。本明細書にこうした定義を含むことは、当技術分野で一般に理解されるものとの実質的な差を示すためであると必ずしも解釈すべきではない。本明細書で説明または参照した技法および手順の多くは、当業者にはよく理解されており、従来の方法で一般に用いられている。必要に応じて、市販のキットおよび試薬の使用に関する手順は、別段の記載がない限り、一般に、製造者が規定してプロトコルおよび/またはパラメータに従って実行される。いくつかの用語を以下に定義する。
【0031】
用語「検体」は、本明細書では、広義の用語であり、限定するものではないが、分析できる生体液(例えば、血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液、または尿)など、流体中の物質または化学物質を指すことが含まれる通常の意味で用いている。検体は、自然発生の物質、人工の物質、代謝物質、および/または反応生成物を含むことができる。一部の実施形態では、感知領域、デバイス、および方法による測定のための検体はグルコースである。しかし、限定するものではないが乳酸塩が含まれる他の検体も企図される。血液または間質液中に自然発生する塩、糖、タンパク質、脂肪、ビタミン、およびホルモンは、特定の実施形態では検体を構成することができる。検体は、例えば、代謝産物、ホルモン、抗原、抗体など、生体液に自然に存在するものでもよく、内因性のものでもよい。あるいは、例えば、撮像用の造影剤、放射性同位元素、化学薬品、フッ化炭化水素ベースの人工血液、または薬物、あるいは限定されるものではないがインスリンが含まれる医薬品組成物などの検体を体内に導入することができるか、または検体を外因性のものとすることもできる。薬物および医薬品組成物の代謝産物も検体であると企図される。
【0032】
用語「センサ」、本明細書では、広義の用語であり、限定されるものではないが、検体を検出する検体モニタリングデバイスの一部分または複数部分が含まれる通常の意味で用いている。一実施形態では、センサは、身体のある位置に電気化学的反応面を形成し身体の別の位置に電子的な接続部を形成する、センサ本体内を貫通しその内部に固定された、作用電極、基準電極、および任意選択で対電極を有する電気化学セルと、身体に取り付けられ電気化学的反応面をカバーする膜系とを含む。センサの動作中は、生物学的なサンプル(例えば、血液または間質液)、またはその一部分は、(直接または1つ以上の膜または領域を貫通した後に)酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)に接触し、生物学的なサンプル(またはその一部分)の反応により、反応生成物が形成されて、生物学的サンプル内の検体の値を判定することが可能になる。
【0033】
用語「電気化学セル」、本明細書では、広義の用語であり、限定されるものではないが、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するデバイスが含まれる通常の意味で用いている。こうしたセルは、典型的には、互いに分離し電解液と接触した状態に保持された2以上の電極から構成される。電極を直流電流の電源に接続することにより、電極の一方が負に帯電し、他方が正に帯電する。電解液の陽イオンが負の電極(カソード)に移動し、そこで1つ以上の電子と結合されて、電荷の一部または全てが失われ、電荷がより低い新しいイオン、または中性原子もしくは中性分子になり、同時に、陰イオンが正の電極(アノード)に移動し、1つ以上の電子をそれに移行させて、やはり新しいイオンまたは中性の粒子になる。2つの過程の全体の効果は、陰イオンから陽イオンへの電子の変化、つまり化学反応である。
【0034】
用語「電気化学的反応面」および「電気活性面」は、本明細書では、広義の用語であり、限定されるものではないが、電気化学反応が起こる電極の表面が含まれる通常の意味で用いている。一例では、作用電極が、電流を生成する反応が検出された検体の酵素触媒反応によって生じる過酸化水素を測定する(例えば、グルコースオキシダーゼを用いたグルコース検体の検出は、H
2O
2を副産物として生成し、H
2O
2は作用電極の表面と反応して、プロトン(2H
+)2つ、電子(2e
−)2つ、酸素分子(O
2)1つを生成し、それにより、検出される電子電流が生成される)。対電極の場合は、作用電極によって生成される電流の平衡を保つために、還元可能な種、例えば、O
2が、電極の表面で還元される。
【0035】
用語「感知領域」は、本明細書では、広義の用語であり、限定されるものではないが、モニタリングデバイスのうちの特定の検体の検出を担う領域が含まれる通常の意味で用いている。例示の実施形態では、感知領域は、身体上に電気化学的反応面を形成し身体上の別の位置に電子接続手段を形成する本体を貫通し本体内に固定された、非導電体、作用電極、基準電極、および対電極と、電気化学的反応面をカバーする1つ以上の層とを含むことができる。
【0036】
用語「電位(electrical potential)」および「ポテンシャル(potential)」は、本明細書では、広義の用語であり、限定されるものではないが、電流を流す回路内の2点間の電位差が含まれる通常の意味で用いている。用語「システムノイズ」、は、本明細書では、広義の用語であり、限定されるものではないが、例えばガウス、運動に関連したもの、フリッカ、運動、または他のホワイトノイズを含むことができる、望ましくない電子関連または拡散関連のノイズが含まれる通常の意味で用いている。
【0037】
用語「干渉物質(interferant)」および「干渉種(interfering specie)」は、本明細書では、広義の用語であり、限定されるものではないが、センサの対象となる検体の測定を干渉して検体の測定値を正確に提示しない信号を生成する作用および/または種が含まれる通常の意味で用いている。典型的には、「干渉物質」または「干渉種」は、対象の検体以外の電気活性の化合物であり、イオン導電性物質内に存在するときは、サンプリングシステムで測定する検体の濃度(または量)に関係のない反応をもたらし、したがって、物質中の検体の検出が干渉される。電気化学センサでは、干渉種は、測定する検体と重なる酸化電位を有する例えば化合物の可能性がある。
【0038】
用語「フェノール系防腐剤(phenolic preservative)」は、本明細書では、クロロクレゾール、m−クレゾール、フェノール、またはそれらの混合物などの治療用組成物に使用できる技術的に許容できるフェノール系防腐剤を指す。
【0039】
以下で詳細に論じるように、本発明の実施形態は、例えば、糖尿病患者の血糖値を皮下のまたは経皮的なモニタリングに使用するタイプのセンサ要素を含む装置を提供する。これらの装置は、さらに、例えば、インスリンを糖尿病患者に注入するのに使用するタイプのカニューレなどの注入要素を含む。特別な実施形態では、本発明は、身体から得られるグルコース濃度測定値に基づいて患者の体へのインスリンの注入速度を調整するためのシステムを提供する。こうした実施形態では、要素は、空間的に分離するように編制され、さらに、近位であるが分離した生体内の環境に挿入されるように設計されている。こうした編制は、予想以上のいくつかの利益をもたらし、例えば、注入要素を介して身体内に注入される治療用組成物内に存在する様々な化合物によって起こるセンサの干渉を阻止するように機能する。さらに、製造を単純化することも可能になり、これには製造中に使用する熱が少ないことやよりUVから保護されることが含まれる。当技術分野で知られているように、検体センサは、通常、製造中にUV接着硬化などのUVへの曝露から保護するために遮蔽しなければならない。本発明の実施形態を、限定されるものではないが、生物学的な植え込み環境が含まれる様々な注入環境で使用することができる。他の環境には、限定されるものではないが、体外注入デバイス、ポンプなどが含まれる。
【0040】
本発明の実施形態は、対象の検体の濃度もしくは濃度を示す物質、または流体内の検体の存在を測定する電気化学センサを含むことができる。一部の実施形態では、そのセンサは、持続デバイス、例えば、皮下の、経皮的な、または脈管内のデバイスである。本明細書で開示するセンサの実施形態は、侵襲性、最小侵襲性、および非侵襲性の感知技法を含む任意の既知の方法を用いて、対象の検体の濃度を示す出力信号を供給することができる。典型的には、センサは、生体内または生体外の検体の指標として酸素が存在する際に検体と酵素との酵素反応の生成物または反応物を感知するタイプのセンサである。こうしたセンサは、典型的には、以下で詳細に論じるように、複数の層を備える。典型的な実施形態では、センサは、検体の測定に、電流測定法、電量分析法、伝導性測定法、および/または電位差測定法を用いることができる。
【0041】
本発明の実施形態は、2重挿入セットを提供するようにセンサ要素ならびに注入要素を含む一群の要素を有する装置、すなわち、注入送達要素および生理的特徴センサ要素の両方に動作可能に結合されたベースを有する装置を含む。一部の実施形態では、2重挿入セットの注入要素は、薬剤、化学物質、酵素、抗原、ホルモン、ビタミンなどを含有する流体など、流体を患者の体に注入する。本発明の特別な実施形態では、2重挿入セットを体外注入デバイスに結合させることができる。その体外注入デバイスは、特に本願に引用して援用する「External Infusion Device with Remote Programming,Bolus Estimator and/or Vibration Alarm Capabilities」と題する米国特許第6,554,798号に記載されているような、RFプログラミング能力、炭水化物(またはボーラス)推定能力、および/または振動警告能力を含む。他の実施形態では、体外注入デバイスに結合されたAnimas IR−1250、Deltec Cozmo(登録商標)、Disetronic D−Tron(登録商標)plus、MiniMed Paradigm(登録商標)515/715、およびDana Diabecare(登録商標)など、他の注入ポンプに2重挿入セットを結合させることができる。その2重挿入セットはさらに、2重挿入セットを患者の体から全体的に取り外す必要なしに、患者が2重挿入セットを体外注入デバイスから簡単に取り外して、泳ぐことや、シャワーを浴びることなどを可能にする接続解除するケーブルを含むこともできる。特別な実施形態は、ヒトに使用することを対象としているが、代替的実施形態では、2重挿入セットを動物に使用することができる。
【0042】
特定の実施形態では、全て特に本願に引用して援用する「Injector For A Subcutaneous Infusion Set」と題する米国特許第5,851,197号、「Injector For A Subcutaneous Insertion Set」と題する米国特許第6,093,172号、および「Insertion Device For An Insertion Set And Method Of Using The Same」と題する米国特許第6,607,509号に記載されているような挿入ツールに2重挿入セットを嵌合するように適合することができる。2重挿入は、患者に対して低プロフィルであまり突出しない配置になるようにさらに適合することができる。他の実施形態では、2重挿入セットの形状は矩形、円形、正方形などでよい。
【0043】
2重挿入セットに含まれるセンサを皮下、真皮、真皮下、腹腔内、または腹膜組織の中かつ/またはそれを通して植え込むことができる。本発明のいくつかの実施形態では、センサをモニタに結合して、トランスミッタとモニタとの間のワイヤまたはケーブルを使用せずに、またはそれらを必要とせずに、患者の血液および/または体液中の血糖値を判定することができる。これらの実施形態では、センサは、血糖値を判定するためにグルコースオキシダーゼを利用する。他の実施形態では、センサは、血糖値を判定するために、光学材料、蛍光材料、または電気材料など、他の材料を使用することができる。ホルモン、コレステロール、薬剤濃度、pH、酸素飽和度、ウイルス量(例えば、HIV)など、他の作用物、特徴、または組成物の値を判定するためにさらに本発明の実施形態を使用することが理解されよう。他の実施形態では、センサは、遠隔測定の特徴モニタリングトランスミッタデバイスによって受信するデータを用いてプログラミングまたは較正する能力を含むこともでき、特に本願に引用して援用する「Telemetered Characteristic Monitor System And Method Of Using The Same」と題する米国特許第6,809,653号に記載されているようなモニタデバイス(またはレシーバ)で較正することもできる。遠隔測定の特徴モニタリングシステムを、本質的に皮下ヒト組織で使用するように適合することができる。しかし、他の実施形態を、筋肉、リンパ、臓器の組織、静脈、動脈など、他のタイプの組織に配置することもでき、動物の組織で使用することもできる。実施形態は、間欠的に、ほぼ持続的に、かつ/または持続的にセンサの示度を供給することができる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の装置は、全て特に本願に引用して援用する「Indwelling Catheter With A Stable Enzyme Coating」と題する米国特許第5,505,713号、「Subcutaneous Infusion Cannula」と題する米国特許第6,475,196号、「Polymer Compositions containing Bioactive Agents and Methods for Their Use」と題する米国特許第6,770,729号、「Anti−Inflammatory Biosensor For Reduced Biofouling And Enhanced Sensor Performance」と題する米国特許出願第20030199837号に記載されているような、感染を阻止し、かつ/または挿入部位の治癒を促進する、薬剤または他の作用物で被覆することができる。2重挿入セットの特別な実施形態は、2重挿入セットを皮下組織に経皮的に配置するためのものである。他の実施形態では、2重挿入のセンサ部分および注入部分を、患者の体内の異なる深さに配置することができる。
【0045】
本発明の2重挿入セットを使用して、患者の身体の特徴をモニタリングすることができる。一実施形態では、2重挿入セットのセンサ部分は、血糖値をモニタリングし、自動式のおよび/または半自動式の薬剤注入ポンプと併せて使用することができる。他の実施形態では、センサ部分を使用して、ホルモン、コレステロール、薬剤濃度、pH、酸素飽和度、ウイルス量(例えば、HIV)など、他の作用物、特徴、または組成物の値を判定することができる。2重挿入セットの注入部分を使用して、流体を患者の体に供給することができる。一実施形態では、注入部分は、インスリンを糖尿病患者に供給する。他の実施形態では、注入部分は、薬剤、化学物質、酵素、抗原、ホルモン、ビタミンなどを患者の体に供給する。
【0046】
以下で論じるように、本明細書で開示する本発明の実施形態は、センサ要素および注入要素、ならびに感知特性を最適化するように選択されたそれらの要素の配置または構成を含む。本開示はさらに、これらの要素の組み合わせを有する装置の作製方法および使用方法を提供する。本発明の一部の実施形態はグルコースセンサおよび/または乳酸塩センサに関するものであるが、本明細書で開示する様々な要素(例えば、注入された流体が植え込まれたセンサに接触するのを阻止するように機能する構造の編制構成を有する穿刺部材)を、当技術分野で知られた各種センサのうちのいずれか1つと共に使用されるように適合することができる。本明細書で開示する検体センサ要素、構造、ならびにこれらの要素を作製および使用する方法を使用して、様々な層のセンサの構成を確立することができる。本発明のセンサ要素と注入デバイス要素のこうした組み合わせは、例えば、各内容を本願に引用して援用する米国特許出願第20050115832号、米国特許第6,001,067号、第6,702,857号、第6,212,416号、第6,119,028号、第6,400,974号、第6,595,919号、第6,141,573号、第6,122,536号、第6,512,939号、第5,605,152号、第4,431,004号、第4,703,756号、第6,514,718号、第5,985,129号、第5,390,691号、第5,391,250号、第5,482,473号、第5,299,571号、第5,568,806号、第5,494,562号、第6,120,676号、第6,542,765号、ならびにPCT国際公開WO01/58348、WO04/021877、WO03/034902、WO03/035117、WO03/035891、WO03/023388、WO03/022128、WO03/022352、WO03/023708、WO03/036255、WO03/036310、およびWO03/074107、および欧州特許出願EP1153571に記載されているものを含む、これらの実施形態を各種の既知の注入およびセンサセットに適合させそれと共に実装できるようにする、驚くべき程度の可撓性および多様性、特徴を示す。
【0047】
本発明の固有の態様を以下の段落で詳細に論じる。
【0048】
I.本発明の典型的な要素、構成、および検体センサ
現在、インスリンポンプの着用者が皮下グルコースセンサの使用を望むときは、典型的には別々の2つの使い捨てのセット、つまりセンサ用のセットと注入カテーテル用のセットを挿入および装着する。本明細書で説明する装置の設計の実施形態により、センサおよび注入カテーテルを単一のセットに組み込むことが可能であり、そのような単一のセットにより、患者にとっての快適性および利便性が大幅に改善される。例えば、組み合わせグルコースセンサ/インスリン注入により、患者が体に着用しなければならないハードウェアの量も使用に必要な針を刺す回数も低減される。本発明の特定の実施形態では、装置上の要素の3D構造の構成は、患者の体内の注入カテーテルとセンサとの生体内の相対位置が正確に制御されて、カニューレによって注入される液体(例えば、フェノール系防腐剤を含む治療用インスリン組成物)が注入部位からセンサに流れる可能性が阻止されるように配置される。
【0049】
A.本発明の最適化された構成
本発明の様々な実施形態がある。図面に示すように、例えば、本明細書で開示する本発明の実施形態は、患者の体に流体(例えばインスリン)を供給すると共にその患者の身体の特徴(例えば血糖値)をモニタリングするように機能する装置(典型的には、2重挿入セット)で実現される。その装置は、通常、挿入中に皮膚を穿刺する、少なくとも1つの穿刺部材、典型的には2つの穿刺部材を含む。穿刺部材(複数可)は、直径が18ゲージ〜29ゲージなどまたはそれらの間の任意の範囲にある、金属の針、中空針、中実針、針を半分にしたもの(half needle)(または他の部分)などでよい。関連の実施形態では、穿刺部材(複数可)を、セラミック、プラスチック、複合材料、シリコンマイクロニードル、生分解性物質、親水性物質、身体および/または体液などに接触すると軟化および/または変化する物質など、他の材料から作製することができる。他の実施形態では、装置は、穿刺部材を少なくとも3以上、あるいは穿刺部材を1つだけを含むことができる。他の実施形態では、穿刺部材は、流体を送達するために体内に残るカニューレを含むことができ、かつ/またはそのカニューレと交換することでその代わりに用いることができる。他の実施形態は、穿刺部材を少なくとも2以上含む。少なくとも穿刺部材(複数可)は、ベースに結合されそこから延在して、少なくとも1つのカニューレおよび/または少なくとも1つのセンサの挿入が容易になる。
【0050】
本明細書で開示する本発明の実施形態は、検体センサの特殊性を含むいくつかのセンサの特徴を最適化するようにして、流体を患者に注入するように設計された要素を電気化学検体センサ要素と組み合わせる装置を含む。本発明の例示の実施形態は、患者の体に流体(例えばインスリン)を供給し患者の身体の特徴(例えば血糖)をモニタリングする装置である。その装置は、装置を患者の皮膚に固定するように適合されたベースと、ベースに結合されそこから延在する第1の穿刺部材であって、流体を注入部位に注入するための少なくとも1つのカニューレに動作可能に結合される第1の穿刺部材と、ベースに結合されそこから延在し、センサ配置部位で患者の少なくとも1つの身体の特徴を判定するセンサ電極を有する電気化学センサに動作可能に結合された第2の穿刺部材とを備える。本発明のこの実施形態では、第1および第2の穿刺部材は、第1および第2の穿刺部材がベースに動作可能に結合され患者に挿入されるときに、第1の穿刺部材によって作製される第1の貫通チャネル(すなわち、部材が組織に挿入されるときに穿刺部材によって作られる生体内のチャネル)が第2の穿刺部材によって作製される第2の貫通チャネルと動作可能に接触しないような配向でベースに結合される。このタイプの配向に配設された要素を有する装置を使用することによって、デバイスが身体に挿入されるときに、注入要素(複数可)によって作られた貫通チャネルおよびセンサ要素(複数可)によって作られた貫通チャネルは、分離しており、接触しておらず、したがって、そのうちの1つが干渉種を含む可能性がある注入要素(複数可)から注入される流体が、貫通チャネルを通って移動してセンサ要素にアクセスしセンサ要素を干渉する可能性が回避される構造である。別々のセンサ要素および注入要素がある場合は、センサ/注入セットの組み合わせの寿命を延ばすことが可能である。例えば、グルコースセンサは通常約3日間もつ。そのセットの注入部分が6日間など、さらに数日間もつことが可能になる。そのときは、センサをセットの使用中に1度交換し、したがって、センサ単独の場合の3日の寿命から使用期間が倍になる。
【0051】
本明細書で開示するように、穿刺部材の先端は異なる長さとすることができる。本発明の特定の実施形態では、第1および第2の穿刺部材(例えば、金属製の針)は、流体が第1の深さおよび/または第1の生体内の環境でカニューレを出る位置(例えば、表皮層など、第1の組織層)に注入部位を配設するように設計された配向でベースに結合され、センサは、第2の深さおよび/または別の生体内の環境で(例えば、真皮層など、第2の組織層)結合される。例えば、本発明の一実施形態では、第1および第2の穿刺部材は、第1および第2の穿刺部材が患者に挿入されるときに、注入部位が表皮層内に配設されセンサ電極が真皮層内に配設されるような配向でベースに結合される。本発明の関連の実施形態では、第1および第2の穿刺部材は、注入部位を配設するように設計された配向でベースに結合され、その際、センサが配設された生体内の位置から特定の距離に配置された第1の生体内の位置のカニューレから流体が出る。この距離は、センサ要素にアクセスできるようになる前に注入部位において注入された流体が周りの組織によって吸収されるように十分遠くに注入部位およびセンサ部位が離れるように選択される。この文脈では、実験によれば、本発明の特定の実施形態では、7ミリメートルの距離は、センサ要素にアクセスできるようになる前に注入部位において注入された流体が周りの組織によって吸収できるようにするのに十分な距離である。他の実施形態では、1.5〜3ミリメートルの距離は、インスリン用カニューレおよびセンサが互いに向かって湾曲してない場合に十分な距離である。
【0052】
注入部位とセンサ要素との間の最適な距離は、例えば、装置が配置される位置に応じて変えることができる。それぞれ固有の状況で注入した組成物中の干渉種の存在によって生じるセンサの干渉を回避または阻止するのに十分な注入部位とセンサ要素との間の距離を、本明細書で開示する例示の方法および装置を使用して試験することができる。例示の試験によれば、7ミリメートルの組織の分離が、治療用組成物の注入に使用する典型的な条件下では十分である。例えば、干渉化合物を含有するある体積の流体は、センサの機能が干渉物質との接触によって損なわれることなく、電気化学センサの電極から7ミリメートルの組織だけ分離した部位で約5〜15分間にわたって注入することができる。正確な距離は、注入される流体の量、注入速度(例えば、注入速度が遅いと、注入された組成物がその部位で吸収され、近位のセンサと接触しないようにすることが可能である)、および組成物が注入される組織を含む要因に応じて変えることができる。この文脈では、本発明の一部の実施形態では、第1および第2の穿刺部材は、第1および第2の穿刺部材が患者に挿入されるときに、注入部位およびセンサ電極が少なくとも3、4、5、6、または7、8、または9ミリメートルの組織だけ分離されるような配向でベースに結合される。他の実施形態では、注入部位およびセンサ電極は、1.5ミリメートルの組織だけ分離される。注入部位およびセンサ電極がより短い距離の組織だけ分離される実施形態では、センサおよび注入カニューレが互いに向かって湾曲するように構成されることが好ましい。例えば、注入カニューレおよび任意のセンサカテーテルを、湾曲を回避する材料から作製することができる。センサカテーテルおよび注入カニューレが湾曲を回避する材料から作製されていない場合は、注入部位およびセンサ電極が少なくとも3ミリメートルの組織だけ分離されることが好ましい。他の実施形態では、注入カニューレの一部分は、カテーテルがセンサから離れる方に湾曲するように影響するようにコーティングされて、注入カニューレとセンサとの間の距離を短くすることが可能である。あるいは、またはさらに、以下で論じるように、針(複数可)/穿刺部材(複数可)の挿入先端部は、注入カニューレが挿入中に湾曲するように案内するように変形することができる。
【0053】
本発明のさらに別の実施形態では、第1および第2の穿刺部材は、カニューレおよびセンサ電極が患者に配設されるときに、カニューレおよびセンサ電極が装置を患者の皮膚にアンカ留めし、それにより、例えば、センサが検体を感知している環境でセンサの移動を阻止することによってセンサの示度が安定するような配向でベースに結合される。具体的には、注入カテーテルおよびセンサ電極を装置が皮膚に固定されるように互いに対して組織内に配設することによって、このアンカ留め構成は、センサが検体を感知する環境でセンサの移動を阻止し、それにより、(センサの移動のせいでずれた環境ではなく)前のサンプルが得られたのと同じ生体内の環境から試験するサンプルを繰り返し得ることによって、センサの示度を安定させるように機能する。
【0054】
本発明の特定の実施形態は、複数の効果を示すように設計された装置を使用する方法を含む。例えば、本発明のこうした一実施形態は、患者の身体の特徴をモニタリングする電気化学センサの干渉を阻止する方法であり、その干渉は、流体を患者の体に供給する装置によって注入された注入剤中に存在する干渉物質によって生じる。この方法は、装置を使用して流体を患者の体に供給することを含み、その装置が、装置を患者の皮膚に固定するように適合されたベースと、ベースに結合されそこから延在する第1の穿刺部材であって、流体を注入部位に注入するための少なくとも1つのカニューレを備える第1の穿刺部材と、ベースに結合されそこから延在し、センサ配置部位で患者の少なくとも1つの身体の特徴を判定するためのセンサ電極を有する電気化学センサを含む第2の穿刺部材とを備える。本発明のこの実施形態では、第1および第2の穿刺部材は、(1)第1および第2の穿刺部材が患者に挿入されるときに、第1の穿刺部材によって作製された第1の貫通チャネルが第2の穿刺部材によって作製された第2の貫通チャネルと動作可能に接触せず、そのため、注入部位に注入された流体が第1の貫通チャネルまたは第2の貫通チャネルを通ってセンサに流れることができず、(2)注入部位が表皮層内に配設されセンサ電極が真皮層内に配設され、(3)注入部位およびセンサ電極が少なくとも4、5、6、または7ミリメートルの組織だけ分離されるような配向でベースに結合されるように選択された要素の編制を有する装置を使用することによって干渉が阻止される。任意選択で、こうした方法は、第1および第2の穿刺部材が、カニューレおよびセンサ電極が患者に配設されるときに、カニューレおよびセンサ電極が装置を患者の皮膚にアンカ留めし、それにより、センサの示度が安定するような配向でベースに結合されることを含む。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態では、装置は、カニューレおよびセンサを装置の他の構成部品とは関係なく交換できるモジュール方式の構成である。さらに、本明細書で開示する装置は、第1および第2の穿刺部材が、ベースに動作可能に係合および係合解除できるハブに配設される実施形態を含む。ハブを有する本発明の特定の実施形態では、ハブは、ハブがベースから係合解除されたときにハブを把持できるようにするつまみ部材を備える。本発明のいくつかの実施形態では、装置上の第1の穿刺部材は第2の穿刺部材よりも短い。本発明の特定の実施形態では、装置は、流体を注入部位に注入するマイクロニードルアレイを含む。本発明の特定の実施形態は、追加の要素、例えば、カニューレに接続されるように適合された注入セット配管を含む。本発明の他の実施形態はさらに、注入セット配管に接続されるように適合された薬剤注入ポンプを備えることができる。
【0056】
本発明の特定の実施形態は、特定のセンサ構成と共に使用されるように設計されている。例えば、治療用インスリン組成物中に存在するフェノール系防腐剤によって起こると考えられる干渉が、本明細書で詳細に論じる電気化学センサで確認される。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、装置のセンサ部分は複数の層を備え、それらの層のうちの少なくとも1つが、電極がその上に配設されるベース基板であって、形状特徴部上に配設された電極の電気化学的反応表面積の表面積対体積比が平面上に配設されるときの電極の反応面の表面積対体積比よりも大きくなるように、そのベース基板上に配設された電極上の電気化学的反応面の表面積を増大させるように選択された形状特徴部を含むベース基板、または検体が存在するときに電極の電流を検出可能に変える検体感知層、またはセンサの1つ以上の層の間の接着を促進する接着促進層、またはそれを通る検体の拡散を調整する検体調整層、または血糖に対して不透過性でありアパーチャを含むカバー層を備える。本発明の特定の実施形態は、本明細書で詳細に論じる電気化学センサ内で確認される、治療用インスリン組成物中に存在するフェノール系防腐剤によって生じると考えられる干渉を回避することまたは阻止することを対象としているが、本明細書で開示する装置および方法を利用して、様々なセンサで確認され各種の化合物によって生じる干渉を回避することができる。
【0057】
本発明の別の異なる実施形態は、流体を患者の体に供給し患者の身体の特徴をモニタリングする装置であり、この装置は、装置を患者の皮膚に固定するように適合されたベースと、ベースに結合されそこから延在し第1および第2の管腔を有する穿刺部材とを備え、第1の管腔は、流体を注入部位に注入するように適合された出口を備え、第2の管腔は、内部に配設された電気化学センサを備え、電気化学センサは、センサ配置部位で患者の少なくとも1つの身体の特徴を判定するためのセンサ電極と、患者の体に対してセンサを露出する窓とを備え、第1の管腔の出口および第2の管腔の窓は、穿刺部材がベースに動作可能に結合され患者に挿入されときに、注入剤が第2の管腔の窓から少なくとも7ミリメートルの部位にあるオリフィスから注入されるような配向で配置される。こうした実施形態では、任意選択で、第1の管腔の出口および第2の管腔の窓は、第2の管腔の窓が第1の管腔の出口よりもベースに近くなるような配向で配置される。典型的な実施形態では、穿刺部材は金属針であり、カテーテルに動作可能に結合され、そのカテーテルは、流体薬剤を流体リザーバから第1の管腔の出口を通して注入部位に送達する。さらに、特定の実施形態はさらに、カニューレに接続されるように適合された注入セット配管および/または注入セット配管に接続されるように適合された薬剤注入ポンプを備える。
【0058】
本発明の一実施形態は、流体を患者の体に供給し患者の身体の特徴をモニタリングする2重挿入セットを備えた装置である。2重挿入セットは、ベースと、注入部分と、センサ部分とを含む。ベースを使用して、2重挿入セットを患者の皮膚に固定することができる。注入部分は、典型的には、流体を注入配置部位に供給する少なくとも1つのカニューレを有し、そのカニューレはベースに結合されそこから延在する。少なくとも1つのカニューレは、配置部位と流体連絡する遠位端を有する少なくとも1つの管腔を有し、さらに、少なくとも1つの管腔のうちの遠位端の反対側にある別の端部の近傍に形成された少なくとも1つのポート構造を含むことができる。センサ部分は、少なくとも1つのセンサを有し、そのセンサは、基板上に形成された少なくとも1つのセンサ電極を有するベースに結合されそこから延在する。少なくとも1つのセンサは、センサ配置部位における患者の少なくとも1つの身体の特徴を判定するためのものである。本発明の特定の実施形態は、互いに所定の距離だけ離して(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、または9ミリメートル以上離して)離間された注入部分およびセンサ部分を有する。他の実施形態は、少なくとも1つのカニューレおよび少なくとも1つのセンサを患者の体に挿入するために、少なくとも2つの別々の穿刺部材を含む。他の実施形態は、注入部分とセンサ部分の長さが互いに等しい。他の実施形態は、センサ部分の長さが注入部分の長さと比較して短くなるようにサイズ設定されている。他の実施形態は、注入部分の長さがセンサ部分の長さと比較して短くなるようにサイズ設定されている。
図14に示すように、センサ1501はインスリン用カニューレ1502よりも長い。センサをインスリン用カニューレよりも短くすることも、センサと注入カニューレとを同じ長さにすることも可能である。左のグラフでは、センサとカニューレとの高さの差は0.010インチであった。右のグラフでは、センサとカニューレとの高さの差は0.041インチであった。理解できるように、高さの差が小さいほど、センサおよびカニューレを挿入するのに必要な最大の力は大きくなる。したがって、特別な実施形態では、2つの長さの差は約0.041インチを超える。特別な実施形態は金属針を穿刺部材として設ける。
【0059】
本発明の特定の実施形態は、流体を供給する外側管腔およびセンサ部分を収容する内側管腔を含むカニューレを提供する。外側管腔は、その遠位端をシールすることができ、内側管腔は、少なくとも1つのセンサが内側管腔から突出できるように開くことができる。代替の実施形態では、外側管腔はセンサ部分を収容することができ、内側管腔は流体を供給することができる。他の実施形態では、カニューレは、並列の管腔を含むことができる。少なくとも1つのカニューレは、典型的には、流体を患者の体に注入するための少なくとも1つの開口部を含む。さらに、1つの穿刺部材を使用して、2重挿入セットを患者の体に挿入することができる。他の実施形態は、少なくとも1つの内部電源を含むセンサを提供することができる。内部電源はさらに、漏出検出システムを駆動することができる。特別な実施形態は、注入される流体としてインスリンを提供する。特定の実施形態では、モニタリングされる身体の特徴を血糖とすることができる。
【0060】
本発明の一実施形態は、ベースと、注入部分と、センサ部分と、少なくとも2つの穿刺部材とを含む、流体を患者の体に供給し患者の身体の特徴をモニタリングする2重挿入セットである。ベースは、2重挿入セットを患者の皮膚に固定するために使用される。注入部分は、流体を注入配置部位に供給するための少なくとも1つのカニューレを含み、そのカニューレは、ベースに結合されそこから延在する。少なくとも1つのカニューレは、配置部位と流体連絡するための遠位端を有する少なくとも1つの管腔と、少なくとも1つの管腔のうちの遠位端の反対側にある別の端部の近傍に形成された少なくとも1つのポート構造とを有する。センサ部分は、基板上に形成された少なくとも1つのセンサ電極を有する少なくとも1つのセンサを含む。少なくとも1つのセンサは、センサ配置部位における患者の少なくとも1つの身体の特徴を判定するためのものである。穿刺部材は、少なくとも1つのカニューレおよび少なくとも1つのセンサの挿入を容易にするようにベースに結合されそこから延在する。少なくとも1つのカニューレは、流体を患者の体に注入するための少なくとも1つの開口部を含むこともできる。本発明の装置上の穿刺部材構造、形状、および配向を、装置のカニューレによって注入される液体が身体によって吸収され注入部位から装置のセンサに流れないように正確に制御することができる。一部の実施形態では、穿刺部材は金属針であり、注入される流体はインスリンである。他の実施形態では、モニタリングされる少なくとも1つの身体の特徴は血糖である。他の実施形態は、少なくとも1つのセンサのための内部電源を含むことができる。他の実施形態では、内部電源は、漏出検出システムを駆動させることができる。
【0061】
本発明の代替的実施形態は、ベースと、注入部分と、センサ部分と、穿刺部材とを含む、2重挿入セットを使用することによって、注入剤(例えば、フェノール系防腐剤)中に存在する干渉種によって生じるセンサの干渉を回避、阻止、または低減し、流体を患者の体に供給し、患者の身体の特徴をモニタリングする方法である。ベースは、2重挿入セットを患者の皮膚に固定するために使用される。通常、デバイスの往復運動を回避するように挿入部位が実質的に平坦な構造を有することが好ましい。ベースのサイズを最小限に抑えると、やはりカテーテルの脱落の防止が助けられる。注入部分は、患者の皮膚を穿刺し流体を配置部位に供給する穿刺部材を含む。穿刺部材は、ベースに結合されそこから延在する。さらに、穿刺部材は、注入配置部位と流体連絡するための遠位端を有する少なくとも1つの管腔と、少なくとも1つの管腔のうちの遠位端の反対側にある別の端部の近傍に形成された少なくとも1つのポート構造とを有する。センサ部分は、少なくとも1つのセンサを含み、そのセンサは、基板上に形成された少なくとも1つのセンサ電極を有するベースの穿刺部材に結合されそこから延在する。少なくとも1つのセンサは、センサ配置部位における患者の少なくとも1つの身体の特徴を判定するためのものである。この方法は、カニューレによって注入される液体が身体によって吸収され注入部位からセンサに流れないように穿刺部材の相対的な位置および配向が正確に制御される装置を使用する。このようにして、この方法でこうした装置を使用すると、注入剤中に存在する干渉種によって生じるセンサの干渉を回避することができる。例示の一実施形態では、干渉種は、医薬品組成物(例えばインスリン)中に存在するフェノール系防腐剤であり、センサは、以下で詳細に論じる複数層の電気化学センサである。
【0062】
次に図を参照すると、
図3に示すように、本発明のある実施形態による2重挿入セット10を備える装置が、センサ部分20、注入部分30、ベース40、センサ22、カニューレ33、ならびに穿刺部材24および34を含む。2重挿入セット10のセンサ部分20および注入部分30の両方が、ベース40に固定される。注入部分30は、一端部において配管50に接続され、その配管50は体外注入デバイス、ポンプなどに接続される。センサ部分20は、両方とも特に本願に引用して援用する「Method of Fabricating Thin Film Sensors」と題する米国特許第5,391,250号および「Electrochemical Analyte Sensor」と題する米国特許第6,484,046号に記載されているように、センサ、すなわち、患者の病状を表す特定の血液パラメータをモニタリングするために使用されるタイプの可撓性の薄型フィルムの電気化学センサの正確な配置を容易にするように特別に設計されている。一部の実施形態では、センサ部分20は、全て特に本願に引用して援用する「Transcutaneous Sensor Insertion Set」と題する米国特許第5,390,671号、第5,568,806号、および第5,586,553号に記載されているように、糖尿病患者の血糖値をモニタリングするために使用される。針は、両方とも、ベースから同じ角度、例えば、45または90度をなすことができる。注入部分およびカニューレを適切な注入および間質液検体の感知を行うのに十分にユーザに対して深くできる限り、約30から90度の間の他の角度にすることもできる。
【0063】
センサおよび注入カニューレがベース上に別々に配設された他の実施形態では、センサと注入カニューレとの間の距離を例えば10または11ミリメートルまで長くすることができる。他の実施形態では、センサ電極は、カテーテルの湾曲による干渉を防止するために注入カテーテルから離れる配向に配設される。このようにして、センサは、インスリンまたは注入された他の流体の多くを取り上げる可能性が低くなり、そのため、その流体からの不正確なセンサの示度が低減される。
【0064】
図に示すように、本明細書で開示する装置の実施形態を、様々な要素と共に使用されるように適合することができる。例えば
図4に示す実施形態は、ベースまたはハウジング100と、センサと注入針120の組み合わせまたはカニューレと注入針130の組み合わせを備える要素と、挿入針を有する(ハブがベースから係合解除されたときにハブを把持できるようにするつまみ部材を有する)ハブ140と、センサトランスミッタ150と、注入カテーテル160などの要素を含む。例えば
図5に示す実施形態は、注入カテーテルポート170、マイクロニードルアレイ180、および様々なシール190などの要素を含む。例えば
図6に示す実施形態は、2重管腔チューブ185、センサ電極窓195、注入管腔200、センサ管腔210、センサ注入窓220、およびOリングシール230などの要素を含む。例えば
図7に示す実施形態は、カテーテルポート240、内側チューブ260、外側チューブ250、およびセンサを保護するポッティングまたはオーバーモールディング270などの要素を含む。例えば
図8に示す実施形態は、C字形の断面を有する針280および縮径要素を有するセンサ290などの要素を含む。
【0065】
この装置の実施形態は、単一のハウジング内に皮下センサおよび薬物注入カテーテルを備える装置を含むが、それらを空間的に分離され、かつ/または生体内で所定の3D構成で配設されるように皮膚に挿入することが可能である。このような分離および/または構成は、注入剤中の干渉種がセンサ自体に与える恐れがある干渉の影響を低減するように設計されている。さらに、こうした構成は、注入剤によって生じる局部的な生理的(または代謝の)影響に対するセンサの応答を低減することもできる。本発明のいくつかの実施形態では、センサおよびカテーテルは、固定の距離だけ離れた位置において、例えば、注入部位が電気化学センサのセンサ電極から少なくとも3、4、5、6、または7ミリメートルの位置において皮下組織に挿入される。分離された部位を2つ有すると、注入剤(例えば、センサの性能に干渉する可能性がある化合物を含有する注入剤)とセンサ電極との接触を阻止するのに加えて、例えば、皮膚から脱落するのを阻止することによって皮下組織内のデバイスの配置の安定性も改善される。他の実施形態では、注入部位およびセンサ電極は、1.5ミリメートルの組織しか分離していない。注入部位およびセンサ電極がより短い距離の組織しか分離していない実施形態では、センサおよび注入カニューレは、好ましくは、互いに向かって湾曲しないように構成される。センサおよび注入カニューレが湾曲を回避する材料から作製されていない場合は、注入部位およびセンサ電極が少なくとも3ミリメートルの組織だけ分離していることが好ましい。
【0066】
干渉を減少させるために使用できる他の方法は、センサの上のみコーティングされた干渉拒絶膜を使用すること、または安定化を迅速にするような初期設定で使用されるようなインスリンを感知するパルス検出電圧を使用することを含む。注入される干渉の量がいつでも少なくなるようにインスリン送達速度を調節することも可能である。干渉に対処する別の可能性のある方法は、干渉応答の期間にユーザをデータからブロックすることである。ユーザをブロックする時間は、ユーザへのデータ提供を再開するためにボーラス注入からの所定の時間または最適な時間を計算するアルゴリズムもしくは他の方法に基づくこともできる。本発明の実施形態で有用な干渉拒絶膜は、例えば、その内容を引用して援用する米国特許出願第12/572,087号に記載されている。一部の実施形態では、干渉拒絶膜は、架橋メタクリル酸ポリマーまたは架橋第一アミンポリマーを含む。本発明の実施形態に有用なIRMの一例は、分子量が100から1000キロダルトンのメタクリル酸ポリマーを含むポリマー組成物を含み、メタクリル酸ポリマーは、有機官能性ダイポーダル(dipodal)アルコキシシランなど、親水性の架橋剤によって架橋される。本発明の別のIRMの実施形態は、分子量が4,000ダルトンから500キロダルトンの第一アミンポリマーを含むポリマー組成物であり、第一アミンポリマーは、グルタルアルデヒドなど、親水性の架橋剤で架橋される。
【0067】
本発明の特定の実施形態では、注入部位およびセンサそれぞれの最適な深さは、独立に選択され、それらの要素の構成はそれに従って配置される。例えば、装置の一実施形態は、センサ電極を真皮層のより深い位置に配設しながら、表面の皮下層に注入部位を配設するように設計された要素の配置を含む。動物実験では、
図10に示すように、注射部位が皮内(深さ0.5〜1mm)であると皮下(深さ5〜8mm)部位に比べてインスリンボーラスの吸収が速くなると判定されている。
図10の上のグラフでは、ピークのインスリン濃度はより高く、ピークまでの平均時間は、皮内のボーラスインスリン注射は皮下のボーラスインスリン注射に対して速かった(225.2±58.3対133.0±32.6μU/ml;23.0±3.8対44.0±8.0分;両方ともP<0.05)、一方、曲線の下の総面積は同様であり(16842±1862および15754±3657μU/ml×分、P=0.39)、これは、皮内部位が、インスリンの全利用可能率は変わらず、吸収が速かったことを示す。下側のグラフによれば、インスリンボーラス注射後に正常な血糖値(すなわち、正常血糖)を維持するのに必要なグルコース注入速度(GIR)は、皮内注射と皮下注射とではあまり違いがなく、これは、皮内注射および皮下注射によって生じる異なるインスリン吸収プロフィルが、異なるグルコダイナミック効果の原因とならないことを意味する。
【0068】
具体的には、皮膚は、異なる3つの層を含み、上層が表皮、中間層が真皮、底層が皮下層と呼ばれている。表皮は、厚さ約60から120μm(ミクロン)であり、角質層と呼ばれる10から20μmの外側の層を含み、その後に透明層および顆粒層、有棘層および胚芽層(「基底層」とも呼ばれる)が続く、いくつかの層を備える。角質層は、細胞外の脂肪マトリックスによって囲まれた架橋ケラチンおよびケラトヒアリンの束で満たされた細胞を含む。内側の層は、集合的に生存可能な表皮と呼ばれ、全体の厚さが約50から100μmの範囲である。本発明の特定の実施形態では、装置は、注入部位および/またはセンサがこれらの層のうちの1つに配置するような構成を有するように設計されている。
【0069】
表皮の底部には基底膜があり、その基底膜は、表皮を下の層、すなわち真皮にしっかりとしかし堅くなく取り付けている。真皮は、表皮よりもずっと厚く、厚さが約2,000から3,000μmの範囲である。真皮層は、通常、コラーゲン繊維を含む結合組織の稠密な基底部と、これらの繊維全体にわたって分散される間質液とからなる。真皮は、構造的に、2つの領域、つまり乳頭領域と呼ばれる、表皮に隣接した表面領域と、細網領域として知られるより厚い深部領域に分割される。乳頭領域は、ゆるい疎性結合組織から構成される。表皮に向かって延びる乳頭突起と呼ばれる指様の突起に関して名づけられている。細網領域は、乳頭領域の深部にあり、通常、ずっと厚い。これは、交織結合組織から構成され、密度の高いコラーゲン繊維、弾性繊維、および細網繊維が全体に編み込まれることから名前が付けられている。これらのタンパク繊維により、真皮の特性に強度、伸長性、および弾力性が与えられる。本発明の特定の実施形態では、装置は、注入部位および/またはセンサがこれらの層または領域のうちの1つに位置することになる構成を有するように設計されている。
【0070】
本発明の装置の例示的な一実施形態を
図4に示す。この実施形態では、センサおよびセンサコネクタは、アセンブリの1つの縁部に向かって構築され、カニューレは、中心に向かって位置決めされ、両方とも皮膚表面に対して90度の角度である。挿入に関しては、2本の針が取り付けられたハブは、アセンブリと係合する(例えば
図4A参照)。それらの針を、ベベル(すなわち、先端部の傾斜部分)が互いから離れる方にまたは互いに向かうように配向することができるが、注入針のベベルが内向きであることで挿入時に注入針の内側への湾曲を防止するのを助けるように同じ方向に配向することができる。
図13Aまたは
図13Bに針を2本有するハブ1301を示す。
図13Aでは、センサ用の針1310は、注入カニューレ用の針1320から離れる方に向いたベベル1315を有する。第2の針1320のベベル1325は、第1の針1310から離れる方に向いている。したがって、ベベル1315および1325は、互いから離れる方に、約180度異なる方向に配向される。場合によっては、この配向では注入カニューレ針1320が挿入中にセンサ部位に向かって湾曲することになるように思われる。
図13Bに、第1の針1310に向かうように第2の針1320のベベル1325が配向された改善型の構成を示す。したがって、ベベル1315および1325は、概して同じ方向を向いている。この配向は、センサ部位に向かう針1320の湾曲を回避し、その結果、注入剤による干渉が低減されることを示している。
【0071】
次いで、このセットを手でまたは自動挿入デバイスで皮下組織に挿入する。次いで、針を有するハブを取り外して廃棄する(例えば、
図4B参照)。次いで、注入カテーテルを取り付けることができ、センサをケーブルまたはトランスミッタに差し込む(例えば、
図4Cおよび
図4D参照)。代替的実施形態は、例えば、注入カニューレ(複数可)がステンレス鋼などの剛体材料から作製され、別個の挿入針が必要なくなる変更形態;2以上の注入カニューレを使用してさらに干渉または局所化組織による影響が低減できる変更形態(例えば、
図4E参照);針およびカニューレ(複数可)がセットにある角度で組み込まれる変更形態を含むことができる。
図4Fに、
図4A〜
図4Dに示す実施形態とは異なる別々の注入カニューレ420およびセンサ430があり、それらのセンサおよび注入カニューレがベースおよび皮膚表面に対して45度の角度をなす変更形態を示す。注入が快適で効果的になるように皮膚表面下で十分い深い限り、およびセンサが間質液中の検体を正確に測定するように皮膚表面下で十分に深い限り、他の角度を用いることもできる。例示的な皮膚表面からの角度およびさらにベースからの角度は、約30度から約90度であり、限定されるものではないが、45度、60度、および90度が含まれる。他の実施形態では、センサおよび注入カニューレが検体を正確に感知し流体を注入するのに十分に深い限り、その角度をより小さくすることもできる。それらの角度は、注入カニューレおよびセンサに関して同じにすることもでき、異なるようにすることもできる。他の実施形態では、そのセットのセンサ構成部品および注入構成部品は、いずれかをもう一方とは独立に取り外し交換できるようにモジュール方式に設計されている。
【0072】
図9に、センサ応答の比較によるグラフを示す。上のグラフは、センサおよびアクティブなインスリンポンプを有する
図4Fに示すセンサの実施形態に関するものであり、センサと注入カニューレ先端部の間の距離が約7ミリメートルである。中間のグラフに、
図4Fに示すセンサの実施形態を示し、感知のためにセンサが単独で使用され(すなわち、注入カニューレがアクティブでない)、インスリン注入がセンサから約10センチメートル離れた位置で行われる。最後のグラフは、当技術分野で知られた制御用センサに関するグラフであり、その制御用センサは、インスリンを注入する
図4Fに示すセンサの実施形態から約10センチメートル離れている。理解できるように、
図4Fに示す実施形態の上のグラフは、較正係数および全体の性能が他の2つのグラフのセンサよりも安定している(較正係数は血糖(mg/d)とセンサ信号(nA)の比である)。各グラフにおいて、700はセンサの電流Isig(単位:nA)であり(左のY軸に示す)、710は血糖値(単位:mg/dl)であり(右の軸に示す)、720はインスリンボーラスが与えられたときを示す線である。
【0073】
本発明の別の実施形態では、皮下センサが、単一の使い捨てのセット内の薬物注入のためのマイクロニードルアレイと組み合わされる。センサと注入セットの組み合わせのこの実施形態は、注入のためのマイクロニードルアレイと共に皮下センサを利用する。こうした配置により、センサ電極と注入剤との間の分離が良好になって、干渉または局部的組織の影響が防止される。このデバイスの一応用例は、グルコースセンサ/インスリン注入セットの組み合わせであるが、こうしたデバイスが有用であることを証明する他の治療法がある。このタイプのデバイスのある実施形態を
図5A〜
図5Hに示す。この構成では、マイクロニードルアレイは、デバイスの底面においてセンサがセットを出る点に隣接して位置決めされる。センサを挿入するために、「C」字形の断面を形成するように研削された一側面を有する針が使用される。挿入針は縮径領域を介してセンサと係合する。それにより、針を引き抜くことを可能にしながらも、針が挿入中にセンサを保護することが可能になる。挿入後には、針は引き抜かれ廃棄される。このデバイスを手でまたは自動挿入デバイスで挿入することができる。
【0074】
本発明と共に使用できる挿入デバイスを、例えば、
図11、
図12A、および
図12Bに示す。図示の実施形態では、自動挿入デバイス800は、針のハブ900およびセンサセット700が接続されるときに、それらを覆って着座するように接続するよう適合されている。挿入デバイス800は、注入カニューレおよびセンサを患者の皮膚に挿入するように適合されている。挿入デバイス800は、センサセット700の少なくとも一部分を受容およびカバーするためのハウジング810およびハウジングの開口部820を含む。他の実施形態では、センサセット700は、センサ750および注入カニューレ760のみが開口部から突出するように、ほぼ全体が開口部820に嵌合する。あるいは、センサセット700は、ユーザが上または横から挿入デバイスを見るときにセンサセットが目に見えないように、全体が開口部に嵌合することができる。この構成では、挿入デバイスは、作動時にセンサセットが皮膚に押し付けられるように皮膚の上に直接配置され、そのため、(
図11、
図12A、および
図12Bに開示した実施形態に示す針の助けがあっても、なくても)センサおよび注入カニューレが皮膚に入る。
【0075】
挿入デバイス800はさらに、針のハブ900を受容するように開口部820中にハブ凹所830を含む。挿入デバイスはさらに、センサおよび注入カニューレの挿入を開始するために、ボタン840などの機構を含む。
図11、
図12A、および
図12Bに示す実施形態では、ボタン840が押されると、針910および920をセンサセット700と共に患者の皮膚に押し込むのに十分な力が針のハブに加えられる。
【0076】
図11、
図12A、および
図12Bに示すセンサセット700の特別な実施形態は、センサと流体注入デバイスの組み合わせである。その実施形態は、デバイスを患者の皮膚に固定するように適合されたベース710と、ベース710に結合されそこから延在する、インスリンなどの流体を注入部位に注入するための注入カニューレ720とを含む。それはさらに、センサ配置部位において血糖値など、患者の少なくとも1つの身体の特徴を判定するためのセンサ電極を有するセンサ730を含み、そのセンサは、ベース710に結合されそこから延在する。可能性のあるセンサセットの属性および構成を本明細書でさらに論じる。針のハブまたは穿刺デバイス900を、両方ともハブ930に接続されている第1の針910および第2の針920と共に示す。針は、センサおよび注入カニューレを皮膚に配置するのを助けることができる他の穿刺部材でもよい。使用できる穿刺デバイスを本明細書でさらに検討する。第1の針910は、ハブ930に接続され、注入カニューレ720に動作可能に結合される。第2の針920は、ハブ930に接続され、センサ730に動作可能に結合される。ハブ930は、その凹所に動作可能に結合されるように挿入デバイスのハブ凹所830に嵌合し、挿入デバイスで押して針を患者の皮膚に挿入することができる。
【0077】
ユーザが購入するときにセンサセットおよび針のハブが自動挿入デバイス内に存在するように、3つの部品全てを一緒に販売することができる。あるいは、自動挿入デバイスを別個に販売することができる。ユーザは、自動挿入デバイスを身体の挿入位置に配置し、挿入ボタン850を押して、針(複数可)を身体に押し込む。自動挿入デバイスを、身体から持ち上げられたときに針のハブを把持しそれを取り外すように構成することができる。あるいは、自動挿入デバイスを、針のハブが身体に残り別々に取り外されるように構成することができる。他の実施形態では、自動挿入デバイスは針および針のハブを収容する。インスリン用カニューレおよびセンサの挿入後に自動挿入デバイスがセンサセットから分離されるときは、針(複数可)の一方または両方を、廃棄を容易にするために自動挿入デバイス中に後退させることができる。
【0078】
自動挿入デバイスを、可撓性を増大させるようにして製造することができる。例えば、様々なセンサセットおよび針のハブと接続できるようにするいくつかのインサートがあってもよい。挿入を行うボタンを含む一般的な外観を製造することができる。次いで、インサートは、使用するセンサセットに基づいて選択されることになる。他の実施形態では、ユーザが購入し、使用するセンサセットに適切なインサートを適位置に配置できるように外観およびインサートを別々に販売することもできる。
【0079】
本発明の針のハブは、針の長さが異なる状態で使用することができる。例えば、長さ6ミリメートルおよび9ミリメートルを使用することができる。針が2つある実施形態では、両方の針が9ミリメートルでもよく、両方の針が6ミリメートルでもよく、それぞれ1つずつ(すなわち、一方が6ミリメートルの針で、一方が9ミリメートルの針)でもよい。針または他の穿刺部材は、直径が18ゲージ〜29ゲージなどまたはそれらの間の任意の範囲にある、金属針、中空の針、中実の針、針を半分にしたもの(または他の部分)などでよい。関連の実施形態では、穿刺部材(複数可)を、セラミック、プラスチック、複合材料、シリコンマイクロニードル、生分解性物質、親水性物質、身体および/または体液などに接触すると軟化および/または変化する物質など、他の材料から作製することができる。針が2つの実施形態では、それらの針は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0080】
本発明のさらに別の実施形態は、2重管腔チューブを使用した皮下センサと注入セットの組み合わせである。本発明のこの実施形態は、独立した2つの管腔に配管を組み込んで、センサおよび注入カテーテルを1箇所で共有することが可能になる。センサは、配管の1つの管腔内に収容され、第2の管腔は注入のために使用することができる。これにより、注入する薬物とセンサが直接接触しないように孤立させることができる。典型的には、そのセットは、センサを注入カテーテルと組み合わせ、第2の管腔を通る薬物注入用のチャネルを設けながらセンサを1つの管腔に収容する2重管腔チューブを含む。そのセットを単一の針で挿入することができる。センサおよび薬物用の出口にアクセスさせる窓の相対位置は、所望の特性、例えば、注入剤に存在する可能性のある干渉種とセンサの接触を阻止すること、すなわち、注入剤の流れの経路からセンサ電極を分離できる構成に応じて最適化される。例えば、センサ電極用のアクセス窓は、所与の用途の最適な相対位置に応じて、注入用管腔窓の近くにまたはさらに離れる方に配置することができる。このデバイスの一応用例は、グルコースセンサ/インスリン注入セットの組み合わせであるが、こうしたデバイスが有用になる他の治療用状況がある。
【0081】
このタイプの装置の様々な構成の実施形態を
図6〜
図9に示す。
図6A〜
図6Fに、外部の針を有する2重管腔チューブを有する本発明のある実施形態を示す。この実施形態では、針は、「C」字形の断面を形成するように研削された一側面を有し、2重管腔チューブの外にある。デバイスを挿入し、次いで引き抜き廃棄するのにこの針が使用される。次いで、注入カテーテルをアセンブリに差し込むことができる。内部の針を有する2重管腔チューブを備えるある実施形態を
図7A〜
図7Fに示す。この実施形態では、針は、2重管腔チューブの注入用管腔の内側にある。デバイスを挿入し、次いで引き抜き廃棄するのにこの針が使用される。次いで、注入カテーテルをアセンブリに差し込むことができる。内部の針を有する同心のチューブを備えるある実施形態を
図8A〜
図8Cに示す。この実施形態では、センサは、同心の2つのチューブの壁の間にある。内側チューブの内径は、挿入針を収容し、さらに注入用管腔として働く。デバイスを挿入し、次いで引き抜き廃棄するのにこの針が使用される。次いで、注入カテーテルをアセンブリに差し込むことができる。
【0082】
本発明の実施形態は、装置およびこれらの装置を専用の方法で使用する方法の両方を含み、その装置は、例えば、注入剤に存在する干渉物質によって生じるセンサの干渉を阻止/回避するように設計されている。本発明のこうした一実施形態は、患者の身体の特徴をモニタリングする電気化学センサの干渉を阻止する方法であって、その干渉は、流体を患者の体に供給する装置によって注入された注入剤(例えば、フェノール系防腐剤)中に存在する干渉物質によって生じ、この方法が、装置を使用して流体を患者の体に供給することを含み、この装置が、装置を患者の皮膚に固定するように適合されたベースと、ベースに結合されそこから延在する第1の穿刺部材であって、流体を注入部位に注入するための少なくとも1つのカニューレを備える第1の穿刺部材と、ベースに結合されそこから延在し、センサ配置部位で患者の少なくとも1つの身体の特徴を判定するためのセンサ電極を有する電気化学センサを含む第2の穿刺部材とを備え、第1および第2の穿刺部材が、第1および第2の穿刺部材が患者に挿入されるときに、第1の穿刺部材によって作製される第1の貫通チャネルが第2の穿刺部材によって作製される第2の貫通チャネルと動作可能に接触せず、そのため、注入部位に注入された流体が第1の貫通チャネルまたは第2の貫通チャネルを通ってセンサに流動できず、その結果、干渉が阻止されるような配向に配向でベースに結合される方法がある。
【0083】
本発明の実施形態はさらに、他のおよび/または複数の方法による機能を有する装置を含む。例えば、干渉を阻止することに加えて、本発明の特定の実施形態はさらに、装置を患者に固定することによってその装置を安定化させるように設計されている。本発明のこうした一実施形態は、第1および第2の穿刺部材が、カニューレおよびセンサ電極が患者に配設されるときにそれらが装置を患者の皮膚にアンカ留めするように機能するような配向でベースに結合される装置を使用する。本発明の実施形態は、特定のセンサの実施形態と共に使用するように設計された装置も含む。こうした一実施形態では、その方法は、センサ内で認められる干渉を阻止するように設計されており、そのセンサは複数の層を備え、それらの層のうちの少なくとも1つが、電極がその上に配設されるベース基板であって、形状特徴部上に配設された電極の電気化学的反応表面積の表面積対体積比が平面上に配設されるときの電極の反応面の表面積対体積比よりも大きくなるように、そのベース基板上に配設された電極上の電気化学的反応面の表面積を増大させるように選択された形状特徴部を含むベース基板、または検体が存在するときに電極の電流を検出可能に変える検体感知層、またはセンサの1つ以上の層の間の接着を促進する接着促進層、またはそれを通る検体の拡散を調整する検体調整層、または血糖に対して不透過性でありアパーチャを含むカバー層を備える。
【0084】
本発明のさらに別の実施形態は、哺乳類の体内に植え込むための2重注入セット装置を作製する方法であって、ベース層を設けるステップと、次いで、ベース上に注入要素(または一群の注入要素)を配設するステップと、次いで、装置が作製されたベース上にセンサ要素(または一群のセンサ要素)をさらに配設するステップとを含む方法である。典型的には、これらの要素の3D構成は、結果として生じる生体内での要素の配置が正確に制御されるように製造中に制御される。任意選択で、センサ要素の作製は、作用電極を含む導電層をベース層上に形成し;検体が存在する際に導電層の作用電極において電流を変えることができる組成物を含む検体感知層を導電層上に形成し;任意選択でタンパク質層を検体感知層上に形成し;接着促進層を検体感知層上にまたは任意選択のタンパク質層上に形成し;検体調整層を通る検体の拡散を調整する組成物を含む接着促進層上に配設される検体調整層を形成し、次いで、検体調整層の少なくとも一部分を覆うようにさらにアパーチャを含む、検体調整層の少なくとも一部分上に配設されるカバー層を形成することによって行うことができる。
【0085】
B.典型的なセンサ構成の概略図
図2に、本発明の典型的なセンサ構造100の断面図を示す。そのセンサは、典型的には、センサ構造を作製する本発明の方法に従って互いに配設される、層の形態をした様々な導電性および非導電性の構成要素である複数の構成部品から形成される。センサの構成部品は、典型的には、例えば、
図2に示すセンサ構造の手軽な特徴づけが可能になるので、層であることを特徴とする。しかし、当業者には理解されるように、本発明の特定の実施形態では、センサ構成要素は、複数の構成要素が1つ以上の異質な層を形成するように組み合わされる。この文脈では、当業者には理解されるように、層状の構成要素の順序は様々な本発明の実施形態において変更することができる。
【0086】
図2に示す実施形態は、センサ100を支持するベース層102を含む。ベース層102を、金属および/またはセラミックおよび/またはポリマー基板などの材料から作製することができ、ベース層102は自己支持型でもよく、さらに当技術分野で知られた別の材料によって支持されてもよい。本発明の実施形態は導電層104を含み、その導電層104は、ベース層102上に配設され、かつ/またはベース層102と組み合わされる。特定の実施形態では、ベース層102および/または導電層104を、電気化学的反応面が平坦な面に配設される場合よりも大きくなるように電極の電気化学的反応面が形状特徴部上に配設される構成の電極を作製するように構築することができる。
【0087】
典型的には、導電層104は電極を1つ以上含む。作動センサ100は、典型的には、作用電極、対電極、および基準電極などの電極を複数含む。他の実施形態は、複数の機能を実行する電極、例えば、基準電極および対電極の両方の機能を果たす電極を含むこともできる。他の実施形態は、センサ上には形成されていない別個の基準要素を利用することができる。典型的には、これらの電極は、互いに近接するように配置されているが、互いに電気的に絶縁されている。
【0088】
以下で詳細に論じるように、ベース層102および/または導電層104を、多くの既知の技法および材料を用いて生成することができる。本発明の特定の実施形態では、センサの電気回路は、配設された導電層104を所望のパターンの導電路になるようにエッチングすることによって画定される。センサ100の典型的な電気回路は、近位端に接触パッドを形成する領域、および遠位端にセンサ電極を形成する領域を有する、隣接する2以上の導電路を備える。ポリマーコーティングなどの電気的に絶縁するカバー層106が、任意選択で、センサ100の一部分に配設される。絶縁性保護カバー層106として使用するのに許容されるポリマーコーティングには、限定されるものではないが、シリコン化合物、ポリイミド、生体適合性ハンダマスク、エポキシアクリレート共重合体など、無毒の生体適合性ポリマーが含まれてよい。本発明のセンサでは、カバー層106を通る1つ以上の露出領域またはアパーチャ108を作製して、導電層104を外部環境に対して開き、例えば、グルコースなどの検体をセンサの層を透過し感知要素によって感知することができる。レーザアブレーション、テープマスキング、ケミカルミリング、またはエッチング、またはフォトリソグラフィ現像などを含むいくつかの技法によってアパーチャ108を形成することができる。本発明の特定の実施形態では、製造中に、第2のフォトレジストを保護層106に塗布して、アパーチャ(複数可)108を形成するために保護層のうちの除去すべき領域を画定することもできる。露出した電極および/または接触パッドは、他のめっき処理など、第2の処理を(例えば、アパーチャ108を通して)行って、表面を調製しかつ/または導電性領域を強化することもできる。
【0089】
図2に示すセンサ構成では、検体感知層110(これは、典型的には、センサ化学層であり、この層の材料が化学反応を受けて、導電層が感知できる信号を生成することを意味する)が、導電層104の1つ以上の露出電極上に配設される。典型的には、センサ化学層110は酵素層である。最も典型的には、センサ化学層110は、酸素および/または過酸化水素を生成および/または利用できる酵素、例えば、酵素グルコースオキシダーゼを含む。任意選択で、センサ化学層内の酵素は、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなど、第2の担体タンパク質と組み合わされる。例示の実施形態では、センサ化学層110内のグルコースオキシダーゼなどの酵素は、グルコースと反応して、過酸化水素、つまり電極で電流を調整する化合物が生成される。こうした電流の調整が過酸化水素の濃度に応じて変わり、過酸化水素の濃度がグルコース濃度に関連するので、電流のこうした調整をモニタリングすることによってグルコース濃度を判定することができる。本発明の固有の実施形態では、過酸化水素は、アノードである作用電極(本明細書ではアノード作用電極とも呼ばれる)で酸化され、結果として生じる電流が過酸化水素濃度に比例する。過酸化水素濃度を変化させることとで生じる電流のこうした調整を、汎用のセンサ電流測定のバイオセンサ検出器など、様々なセンサ検出器装置のいずれか1つ、またはMedtronic MiniMedによって製造されたグルコースモニタリングデバイスなど、当技術分野で知られた他の様々な同様のデバイスのうちの1つによってモニタリングすることができる。
【0090】
導電層の一部にわたってまたは導電層の全体にわたって検体感知層110を貼付することができる。典型的には、検体感知層110は、アノードまたはカソードとすることができる作用電極上に配設される。任意選択で、検体感知層110も、対電極および/または基準電極上に配設される。検体感知層110の厚さを最大約1000ミクロン(μm)にすることができるが、典型的には、検体感知層は、当技術分野で前に説明したセンサに見られるものと比べて比較的薄く、例えば、典型的には、厚さ1、0.5、0.25、または0.1ミクロン未満である。以下で詳細に論じるように、薄い検体感知層110を生成する方法の一部は、スピンコーティング法、浸漬乾燥法、低シェアスプレ法(low shear spraying processes)、インクジェットプリント法、シルクスクリーンプロセスなどを含む。最も典型的には、スピンコーティング法を用いて薄い検体感知層110を施す。
【0091】
典型的には、検体感知層110は1つ以上の他の層でコーティングされる。任意選択で、1つ以上の他の層は、検体感知層110上に配設されたタンパク質層116を含む。典型的には、タンパク質層116は、アルブミンなどのタンパク質を含む。典型的には、タンパク質層116はヒト血清アルブミンを含む。本発明のいくつかの実施形態では、他の層は検体調整層112を含み、その検体調整層112は、検体感知層110の上方に配設されて、検体感知層110との検体の接触を調整する。例えば、検体調整膜層112はグルコース制限膜を含むことができ、そのグルコース制限膜は、検体感知層中に存在するグルコースオキシダーゼなどの酵素に接触するグルコースの量を調整する。こうしたグルコース制限膜は、こうした目的に適していることが知られた各種の材料、例えば、ポリジメチルシロキサンなどのシリコン化合物、ポリウレタン、ポリ尿素酢酸セルロース、ナフィオン、ポリエステルスルホン酸(例えば、Kodak AQ)、ヒドロゲル、または当業者に知られた他の任意の適切な親水性の膜から作製することができる。典型的には、検体調整層は、中央鎖と、中央鎖に結合された複数の側鎖とを有する親水性櫛型共重合体を含み、少なくとも1つの側鎖はシリコン部分を含む。本発明のいくつかの実施形態では、検体調整層は、その内容を引用して援用する米国特許出願第12/643,790号で開示される、直鎖ポリウレタン/ポリ尿素ポリマーと分岐アクリラートポリマーとをブレンドした混合物を含むように形成されている。典型的には、これらのポリマーは、ジイソシアナートを含む混合物から形成されたポリウレタン/ポリ尿素ポリマー;親水性ジオールまたは親水性ジアミンを含む親水性ポリマー;およびアミノ酸、ヒドロキシ酸、またはカルボン酸官能基を末端に有するシロキサン;およびアクリル酸ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸エチル、またはアクリル酸メチルを含む混合物から形成された分岐アクリラートポリマー;アミノ−アクリラート;シロキサン−アクリラート;およびポリ(エチレンオキシド)−アクリラートと、重量%で1:1から1:20の比で一緒にブレンドされる。一部の実施形態では、検体調整層は、摂氏22から40度の範囲で摂氏1度当たり2%未満変化するグルコースに対する透過性を有するように形成される。
【0092】
本発明の典型的な実施形態では、接触および/または接着を容易にするために、
図2に示すように検体調整層112と検体感知層110との間に接着促進層114が配設される。本発明の固有の実施形態では、接触および/または接着を容易にするために、
図2に示すように検体調整層112とタンパク質層116との間に接着促進層114が配設される。接着促進層114を、こうした層の間の結合を容易にする、当技術分野で知られた各種の材料のいずれか1つから作製することができる。典型的には、接着促進層114はシラン化合物を含む。代替的実施形態では、検体感知層110内のタンパク質または同様の分子は、接着促進層114が存在しない検体感知層110と直接接触するように検体調整膜層112を配設できるように、十分に架橋するか、または別法で調製することができる。
【0093】
C.典型的な検体センサの構成要素
以下の開示は、本発明のセンサで使用される典型的な要素/構成要素の例を提示する。これらの要素を個々のユニット(例えば、層)として説明できるが、当業者には理解されるように、以下で論じる要素/構成要素の材料特性および/または機能の一部または全ての組み合わせを有する要素(例えば、支持ベース構成要素および/または導電性構成要素および/または検体感知構成要素のマトリックスとして働き、さらにセンサの電極として機能する要素)を含むようにセンサを設計することができる。
【0094】
ベース構成要素
本発明のセンサは、典型的には、ベース構成要素を含む(例えば、
図2の要素102参照)。用語「ベース構成要素」は、本明細書では、技術的に容認された技術用語に従っており、典型的には、互いの上に積層され機能センサを含む複数の構成要素に支持マトリックスを与える装置の構成要素を指す。一形態では、ベース構成要素は、絶縁性(例えば電気絶縁性および/または水不透過性の)材料の薄い材料シートを含む。このベース構成要素を、水不透過性および気密性など、所望の性質を有する各種材料から作製することができる。一部の材料は、金属製のセラミックおよびポリマー基板などを含む。特定の実施形態では、電気化学的反応面積が平面に配設された場合よりも大きくなるように電極の電気化学的反応面領域が形状特徴部上に配設される構成の電極を生成するように、ベース構成要素および/または導電性構成要素を構築することができる。
【0095】
ベース構成要素は、自己支持型でもよく、さらに、当技術分野で知られた別の材料で支持されてもよい。
図2に示すセンサ構成の一実施形態では、ベース構成要素102はセラミックを含む。例示の実施形態では、セラミックベースは、大部分(例えば、96%)がAl
2O
3の組成物を含む。植え込み可能なデバイスと共に使用される絶縁ベース構成要素としてアルミナを使用することは、本願に引用して援用する米国特許第4,940,858号、第4,678,868号、および第6,472,122号に記載されている。本発明のベース構成要素はさらに、当技術分野で知られた他の要素、例えば、密閉されたバイア(例えばWO03/023388参照)を含むことができる。固有のセンサの設計に応じて、ベース構成要素を、比較的厚い(例えば、25ミクロンよりも厚い)構成要素とすることができる。あるいは、薄い構成要素、例えば、約25ミクロン未満の構成要素にアルミナなどの非導電性セラミックを利用することができる。
【0096】
本明細書で開示する本発明の実施形態は、上記に開示した2つのセンサクラスそれぞれに見られる独自の利点の組み合わせを有する個々の要素およびセンサを提供する。例えば、本発明の第1の実施形態は、センサの電極として機能する厚い(1〜1,000ミクロンの)多孔質基板上に酵素を固定化する。この文脈では、多孔質電極は、例えば、等しいサイズの隣接する球体の格子から構築することによって表面積を増加させるように設計されている。例示の一実施形態では、グルコースオキシダーゼが、厚い(1〜1,000ミクロンの)多孔質の金属基板上に固定化され、その金属基板は、等しいサイズの隣接した球体の格子から製造され、過酸化水素消費電極として機能する。
【0097】
本明細書で開示する本発明の別の実施形態では、典型的には様々な検体センサで使用されるヒドロゲルの代わりに本質的に剛直で非膨張性の多孔質酵素ポリマーマトリックスが用いられる。この実施形態では、バイオセンシング酵素を、共有結合することによって、任意選択で特定の形状にモールド成形された剛直なマクロ多孔質ポリマーに安定的に固定化することができる。この文脈では、マクロ多孔質ポリマーのモールド成形された連続ロッドが、クロマトグラフ分離媒体として使用するために開発された(例えば米国特許第5,453,185号およびWO93/07945参照)。適切なポリマーは、本質的に非圧縮性であり、溶媒環境での変化に応答して全体のサイズを変えることはない。さらに、重合化条件を調節して孔の形態を制御することができる。したがって、1〜100nmおよび100〜3,000nm(すなわち、それぞれ20%および80%)の範囲の孔の体積率が非常に高い高多孔質(50〜70%)ポリマーを作り出すことができる。このタイプの孔の構造を有するポリマーは、比表面積が非常に高く(すなわち185m
2/g)、酵素固定密度を高く(1〜100mg/ml)することが可能であると予想される。
【0098】
上記の多孔質マトリックスならびにこうしたマトリックスを組み込む検体センサを作製および使用する様々な方法および組成物をさらに本明細書で説明する。
【0099】
導電性構成要素
本発明の電気化学センサは、典型的には、ベース構成要素上に配設された導電性構成要素を含み、その導電性構成要素は、アッセイすべき検体またはその副産物(例えば酸素および/または過酸化水素)に接触する少なくとも1つの電極を含む(例えば、
図2の要素104参照)。用語「導電性構成要素」は、本明細書では、技術的に容認された技術用語に従って使用され、検出可能な信号を測定しそれを検出装置に伝えることができる電極などの導電性センサ要素を指す。その一例は、検体が検体感知構成要素110内に存在する組成物(例えば、酵素グルコースオキシダーゼ)と相互作用するときに使用される共反応物(例えば、酸素)またはこの相互作用の反応生成物(例えば、過酸化水素)の検体の濃度の変化を受けない基準電極と比較して検体またはその副産物の濃度の変化などの刺激への曝露に応答する電流の増減を測定できる導電性構成要素である。こうした要素の例には、過酸化水素または酸素などの分子の濃度が変わりやすいときに可変の検出可能な信号を生成できる電極が含まれる。典型的には、導電性構成要素のこれらの電極のうちの1つは作用電極であり、耐食性金属またはカーボンから作製することができる。カーボン製の作用電極は、ガラス状または黒鉛状でよく、固体またはペーストから作製することができる。金属製の作用電極は、パラジウムもしくは金を含む白金族金属、または二酸化ルテニウムなどの耐食性金属の導電性酸化物から作製することができる。あるいは、電極は、銀/塩化銀の電極組成物を含むことができる。作用電極は、ワイヤ、または例えば、コーティングもしくはプリンティングによって基板に貼付される薄い導電性フィルムでよい。典型的には、金属製またはカーボンの導体の一部分のみが検体を含む溶液と電気的に接触する。その部分は、電極の作用面と呼ばれる。電極の残りの面は、典型的には、電気絶縁カバー構成要素106によって溶液から絶縁される。こうした保護カバー構成要素106を生成する有用な材料の例には、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレンなどのポリマー、およびポリシロキサンなどのシリコンなどが含まれる。
【0100】
本発明の検体センサは、作用電極の他に、典型的には、基準電極または基準電極と対電極組み合わせ(準基準電極または対/基準電極とも呼ばれる)を含む。センサが対/基準電極を有しない場合は、別個の対電極を含むことができ、その対電極は作用電極と同じまたは異なる材料から作製することができる。本発明の典型的なセンサは、1つ以上の作用電極および1つ以上の対電極、基準電極、および/または対/基準電極を有する。本発明のセンサの一実施形態は、2、3、または4以上の作用電極を有する。センサのこれらの作用電極を、一体に接続してもよく、別々に維持してもよい。
【0101】
典型的には、本発明の検体センサを生体内で使用するには、血液など、哺乳類の体液と直接接触するように哺乳類の皮膚の下に植え込む。あるいは、センサを、腹腔内の空間など、哺乳類の体内の他の領域に植え込むことができる。複数の作用電極を使用するときは、それらを体内で一緒にまたは異なる位置に植え込むことができる。対電極、基準電極、および/または対/基準電極を、哺乳類の体内で作用電極(複数可)に近接して、または他の位置に植え込むこともできる。
【0102】
干渉拒絶構成要素
本発明の電気化学センサは、任意選択で、電極面とアッセイすべき環境との間に配設される干渉拒絶構成要素を含む。具体的には、あるセンサの実施形態は、一定の電位が与えられた作用電極の表面上の酵素反応によって生成される酸化および/または過酸化水素の減少に依存する。過酸化水素の直接の酸化に基づく電流測定の検出には比較的高い酸化電位が必要なので、こうした検出手法を用いるセンサは、アスコルビン酸、尿酸、およびアセトアミノフェンなど、生体液中に存在する被酸化種から干渉を受けることがある。この文脈では、用語「干渉拒絶構成要素」は、本明細書では技術的に容認された技術用語に従って使用され、感知する検体によって生成される信号の検出を干渉するこうした被酸化種によって生成される擬似信号を阻止する機能を果たすセンサ内のコーティングまたは膜を指す。干渉拒絶構成要素の例には、親水性ポリウレタン、(ポリ(エチレングリコール)などの作用物を組み込んだ酢酸セルロースを含む)酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ペルフルオロ化イオノマーナフィオン(商標)、ポリフェニレンジアミン、エポキシなどの化合物の1つ以上の層またはコーティングが含まれる。こうした干渉拒絶構成要素の例示の論述が、例えば、本願に引用して援用するウォード(Ward)らのBiosensors and Bioelectronics17(2002)181〜189、およびチョイ(Choi)らのAnalytical Chimica Acta461(2002)251〜260に見られる。
【0103】
検体感知構成要素
本発明の電気化学センサは、センサの電極上に配設される検体感知構成要素を含む(例えば、
図2の要素110参照)。用語「検体感知構成要素」は、本明細書では技術的に容認された技術用語に従って使用され、検体センサ装置によってその存在を検出すべき検体を認知しまたはそれと反応することができる材料を含む構成要素を指す。典型的には、検体感知構成要素内のその材料は、典型的には導電性構成要素の電極を介して、感知される検体と相互作用した後に検出可能な信号を生成する。それに関連して、検体感知構成要素および導電性構成要素の電極は、組み合わせられて、検体センサに関連する装置によって読み取られる電気信号を生成するように働く。典型的には、検体感知構成要素は、導電性構成要素の電極の電流の変化の測定によってその濃度変化を測定できる分子(例えば酸素および/または過酸化水素)と反応しかつ/またはそれを生成できる酵素、例えば酵素グルコースオキシダーゼなどを含む。過酸化水素などの分子を生成できる酵素を、当技術分野で知られたいくつかのプロセスに従って電極上に配設することができる。検体感知構成要素は、センサの様々な電極の全てまたは一部分をコーティングすることができる。この文脈では、検体感知構成要素は、電極を同じ程度にコーティングすることができる。あるいは、検体感知構成要素は、異なる電極を異なる程度にコーティングすることができ、例えば、作用電極のコーティングされた面が、対電極および/または基準電極のコーティングされた面よりも大きくなるようにすることができる。
【0104】
本発明のこうした要素の典型的なセンサの実施形態は、酵素(例えばグルコースオキシダーゼ)を利用する。その酵素は、(例えば、典型的には、グルコースオキシダーゼ安定化特性にとって最適化された)固定比率で第2のタンパク質(例えばアルブミン)と組み合わせられ、次いで、薄い酵素構成要素が形成されるように電極面に施される。典型的な実施形態では、検体感知構成要素はGOxとHSAの混合物を含む。GOxを有する検体感知構成要素の典型的な実施形態では、GOxは、感知環境(例えば、哺乳類の体内)にあるグルコースと反応し、
図1に示す反応に従って過酸化水素を生成し、そのように生成された過酸化水素は、導電性構成要素の作用電極においてアノードで検出される。例えば、(本願に引用して援用する)米国特許出願第10/273,767で論じられるように、極めて薄いセンサ化学構成要素が典型的であり、スピンコーティングなど、当技術分野で知られたプロセスによって電極マトリックス表面に施される。例示の実施形態では、グルコースオキシダーゼ/アルブミンは、アルブミンが約0.5%〜10重量%の範囲で存在する生理溶液(例えば、中性pHのリン酸緩衝生理食塩水)で調製される。任意選択で、検体感知構成要素に形成される安定化されたグルコースオキシダーゼ構成要素は、例えば、厚さ2、1、0.5、0.25、または0.1ミクロンなど、以前に説明した当技術分野のものと比較して非常に薄い。本発明の例示の一実施形態は、安定化されたグルコースオキシダーゼ構成要素を電極の表面のコーティングに利用し、グルコースオキシダーゼは、構成要素内において固定比率で担体タンパク質と混合され、グルコースオキシダーゼおよび担体タンパク質が、構成要素全体に実質的に均一に分散される。典型的には、構成要素の厚さは2ミクロン未満である。明確にするために、これは検体感知構成要素が多孔質電極上に配設される本発明の特定の実施形態には適用できないことに留意されたい。例えば、GOxで充填された3ミクロンの大きさの孔を有する厚さ100ミクロンの多孔質電極では、酵素層を2ミクロンより厚くすることができる。
【0105】
驚くべきことに、これらの極めて薄い検体感知構成要素を有するセンサは、寿命、直線性、規則性の強化、ならびに信号対雑音比の改善を含む、より厚いコーティング材料特性を有するセンサを超える。特定の科学理論に制約されるものではないが、極めて薄い検体感知構成要素を有するセンサではより厚い構成要素と比べて驚くほど特徴が強化されていると考えられる。というのは、より厚い酵素構成要素では、構成要素内の反応酵素の一部しか感知すべき検体にアクセスできないからである。グルコースオキシダーゼを利用するセンサでは、電着によって生成する厚いコーティングは、厚い酵素構成要素の反応界面で生成される過酸化水素がセンサ表面と接触し、それにより、信号を生成する可能性を妨げることがある。
【0106】
上記で述べたように、酵素および第2のタンパク質は、典型的には、(例えば、架橋剤をタンパク質混合物に加えることによって)架橋マトリックスを形成するように処理される。当技術分野で知られているように、架橋条件を操作して、酵素の保持される生物活性、その機械的および/または動作的安定性などの因子を調整することができる。例示の架橋手順が、本願に引用して援用する米国特許出願第10/335,506号およびPCT公開WO03/035891に記載されている。例えば、限定されるものではないが、グルタルアルデヒドなどのアミン架橋試薬をタンパク質混合物に加えることができる。架橋試薬をタンパク質混合物に加えることでタンパク質ペーストが作られる。加える架橋試薬の濃度は、タンパク質混合物の濃度に応じて変えてもよい。グルタルアルデヒドは例示の架橋試薬であるが、限定されるものではないが、スベリン酸ジサクシンイミジル(DSS)のアミン反応性でホモ官能性の架橋試薬が含まれる他の架橋試薬を使用することもでき、グルタルアルデヒドの代わりに使用することもできる。別の例は、ゼロ長架橋剤の1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)である。EDCは、カルボン酸とアミン基との間にアミド結合を形成する。当業者には明らかなように、他の適切な架橋剤を使用することもできる。
【0107】
GOxおよび/または担体タンパク質の濃度を本発明の様々な実施形態に対して変えることができる。例えば、GOx濃度は、約50mg/ml(約10,000U/ml)から約700mg/ml(約150,000U/ml)の範囲内でもよい。典型的には、GOxの濃度は約115mg/ml(約22,000U/ml)である。こうした実施形態では、HSA濃度はGOx濃度に応じて約0.5%〜30%(w/v)の間で変動してもよい。典型的には、HSA濃度は約1〜10%w/vであり、最も典型的には約5%w/vである。本発明の代替的実施形態では、この文脈で使用されるコラーゲン、またはBSA、または他の構造タンパク質を、HSAの代わりにまたはそれに加えて使用することができる。GOxを検体感知構成要素の例示の酵素として論じているが、限定されるものではないが、グルコースデヒドロゲナーゼまたはヘキソキナーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼなどが含まれる他のタンパク質および/または酵素を使用することもでき、GOxの代わりに使用することもできる。当業者には明らかであるように、他のタンパク質および/または酵素を使用することもできる。さらに、HSAが例示の実施形態で用いられるが、BSA、コラーゲンなど、他の構造タンパク質をHSAの代わりにまたはそれに加えて使用することもできる。
【0108】
GOx以外の酵素を用いる実施形態の場合は、本明細書で論じた以外の濃度を使用することができる。例えば、用いられる酵素に応じて、重量比で約10%から70%の濃度が適切な場合がある。使用する特定の酵素だけでなく、結果として生じるタンパク質マトリックスの所望の特性に応じて、濃度を変えることができる。例えば、タンパク質マトリックスを診断能力で使用すべき場合は一定の濃度を利用することができるが、一定の構造特性が望ましい場合は異なる濃度を使用すべきである。当業者には理解されるように、使用する濃度を実験によって変更して、(どの酵素またはタンパク質の)どの濃度が所望の結果をもたらすことができるかを判定することができる。
【0109】
上記で述べたように、本発明のいくつかの実施形態では、検体感知構成要素は、導電性要素(例えば、酸素濃度および/または過酸化水素濃度の変化を感知する電極)によって感知できる信号(例えば、酸素濃度および/または過酸化水素濃度の変化の変化)を生成できる組成物(例えばグルコースオキシダーゼ)を含む。しかし、他の有用な検体感知構成要素を、存在を検出すべき目標検体との相互作用の後に導電性要素によって感知できる検出可能な信号を生成できる任意の組成物から形成することができる。一部の実施形態では、組成物は、感知すべき検体との反応の際に過酸化水素濃度を調整する酵素を含む。あるいは、組成物は、感知すべき検体との反応の際に酸素濃度を調整する酵素を含む。この文脈では、生理的検体との反応の際に過酸化水素および/または酸素を使用または生成する各種の酵素が当技術分野で知られており、これらの酵素を検体感知構成要素の組成物に簡単に組み込むことができる。当技術分野で知られた他の様々な酵素は、本明細書で説明するセンサの設計に組み込まれる電極などの導電性要素によってその調整を検出できる化合物を生成および/または利用することができる。こうした酵素には、例えば、内容全体を本願に引用して援用するProtein Immobilization:Fundamentals and Applications (Bioprocess Technology、Vol14) by リチャードF.テイラー(Richard F.Taylor)(Editor)Publisher:Marcel Dekker;(1991年1月7日)の表1、15〜29頁および/または表18、111〜112頁に具体的に記載されている酵素が含まれる。
【0110】
他の有用な検体感知構成要素は、その存在を検出すべき目標検体との相互作用の後で導電性要素によって感知できる検出可能な信号を生成できる目標検体と相互作用する抗体を含むように形成することができる。例えば、(本願に引用して援用する)米国特許第5,427,912号には、サンプル中の検体の濃度を電気化学的に判定するための抗体に基づく装置が記載されている。このデバイスでは、試験すべきサンプル、酵素受容体ポリペプチド、検体類似物に結合した酵素ドナーポリペプチド(酵素ドナーポリペプチド結合体)、標識基質、および測定すべき検体固有の抗体を含む混合物が形成される。検体および酵素ドナーポリペプチド結合体は、抗体に競合的に結合される。酵素ドナーポリペプチド結合体は、抗体に結合しない場合は酵素受容体ポリペプチドと自発的に組み合わされて、活性酵素複合体を形成する。次いで、活性酵素が標識基質を加水分解し、その結果、電気活性標識が生成され、次いで、電極面でその電気活性標識を酸化することができる。電気活性化合物の酸化から得られる電流を測定し、サンプル中の検体の濃度と相関させることができる。(本願に引用して援用する)米国特許第5,149,630号には、配位子(例えば、抗原、ハプテン、または抗体)の電気化学的な特異結合のアッセイが記載されており、成分の少なくとも1つが酵素標識であり、基板の反応に関連する酵素基板と電極との間の電子の移動が錯体の形成または非結合酵素標識成分に対する任意の配位子錯体の変位によって乱れる程度を判定するステップを含む。電子の移動は、酵素から電子を受けそれを電極に与え、もしくはその逆も行うことができる電子移動媒介物質(例えば、フェロセン)によって、またはそれ自体が形式電荷を受けずに酵素を電極に非常に近接して保持する電子移動促進物質によって促進される。(本願に引用して援用する)米国特許第5,147,781号には、酵素乳酸デヒドロゲナーゼ−5(LDH5)の判定についてのアッセイ、およびこうした定量判定のためのバイオセンサが記載されている。このアッセイは、基質の乳酸およびニコチン−アミンアデニンジヌクレオチド(NAD)とこうした酵素との、ピルビン酸およびNADの還元生成物を生成する相互作用に基づくものである。抗LDH5抗体は、適切なガラス状炭素電極に結合され、それが、LDH5を含む基板に接触し、洗浄され、NAD溶液に挿入され、電流測定システムに接続され、乳酸の濃度が異なるときに電流の変化が測定され、それにより、LDH−5の量が示される。(本願に引用して援用する)米国特許第6,410,251号には、感知表面積を有する酸素微小電極が使用される、標識を検出するための酸化還元反応と併せて抗原と抗体との結合など固有の結合を利用することによって、固有の結合対中の1つの構成部材、例えば、抗原/抗体対中の抗原を検出またはアッセイするための装置および方法が記載されている。さらに、(本願に引用して援用する)米国特許第4,402,819号には、予め選択した陽イオンの透過性に影響するイオン担体をそれに結合した抗原が組み込まれた不溶性の膜を用いて、希釈した液体の血清サンプル中の(検体としての)抗体の定量的に判定するための抗体選択性の電位差測定電極が記載されている。その透過性は、分析における固有の抗体濃度および対応する分析方法に関連するものである。関連の開示については、その内容を本願に引用して援用する米国特許第6,703,210号、第5,981,203号、第5,705,399号、および第4,894,253号も参照されたい。
【0111】
酵素および抗体の他に、本明細書で開示するセンサの検体感知構成要素で使用する他の例示的材料には、固有のタイプの細胞または細胞成分(例えば、ポリペプチド、炭水化物など)を結合するポリマー;一本鎖DNA;抗原などが含まれる。検出可能な信号は、例えば、色の変化など光学的に検出可能な変化または所望の検体(例えば、細胞)の目に見える蓄積とすることができる。本質的に非反応性(すなわち、対照)の材料から感知要素を形成することもできる。上記の代替的センサ要素は、有益には、例えば、細胞選別アッセイ、およびウイルス(HIV、C型肝炎など)、細菌、原生動物などの病原体の存在に関するアッセイで使用されるセンサに含まれる。
【0112】
外部環境に存在し、それ自体に電極の電流の測定可能な変化を起こすことができる検体を測定する検体センサも企図される。こうした検体を測定するセンサでは、検体感知構成要素を任意に選択することができる。
【0113】
タンパク質構成要素
本発明の電気化学センサは、任意選択で、検体感知構成要素と検体調整構成要素との間に配設されたタンパク質構成要素を含む(例えば、
図2の要素116参照)。用語「タンパク質構成要素」は、本明細書では技術的に容認された技術用語に従って使用され、検体感知構成要素および/または検体調整構成要素と親和性があるように選択された担体タンパク質などを含む構成要素を指す。典型的な実施形態では、タンパク質構成要素は、ヒト血清アルブミンなどのアルブミンを含む。HSA濃度は、約0.5%〜30%(w/v)の間で変化してよい。典型的には、HSA濃度は約1〜10%w/vであり、最も典型的には、約5%w/vである。本発明の代替的実施形態では、この文脈で使用されるコラーゲンもしくはBSAまたは他の構造タンパク質は、HSAの代わりにまたはそれに加えて使用することができる。この構成要素は、典型的には、技術に容認されるプロトコルに従って検体感知構成要素上に架橋される。
【0114】
接着促進構成要素
本発明の電気化学センサは、1つ以上の接着促進(AP)構成要素を含むことができる(例えば、
図2の要素114参照)。用語「接着促進構成要素」は、本明細書では技術的に容認された技術用語に従って使用され、センサ内の隣接する構成要素の間の接着を促進できるように選択された材料を含む構成要素を指す。典型的には、接着促進構成要素は、検体感知構成要素と検体調整構成要素との間に配設される。典型的には、接着促進構成要素は、任意選択のタンパク質構成要素と検体調整構成要素との間に配設される。接着促進構成要素を、こうした構成要素間の結合を促進するように、当技術分野で知られた各種の材料のうちのいずれか1つから作製することができ、当技術分野で知られた各種の方法のうちのいずれか1つによって施すことができる。典型的には、接着促進構成要素は、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン化合物を含む。
【0115】
接着を促進するためにシランカップリング試薬、特に式R’Si(OR)3の試薬を使用することが当技術分野で知られている(例えば、本願に引用して援用する米国特許第5,212,050号参照)。上式では、R’は典型的には末端アミンを有する脂肪族基であり、Rは低級アルキル基である。例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのシランおよびグルタルアルデヒドが、ウシ血清アルブミン(BSA)およびグルコースオキシダーゼ(GOX)を電極面に付着および共架橋する段階的な家庭で使用された化学的に変形された電極が、当技術分野で周知である(例えば、ヤオ.T(Yao,T.)Analytica Chim.Acta 1983、148、27〜33参照)。
【0116】
本発明の特定の実施形態では、接着促進構成要素はさらに、グルコースなどの検体が検体調整構成要素を通って拡散するのを制限する働きをするポリジメチルシロキサン(PDMS)化合物など、隣接する構成要素中に存在することもできる1つ以上の化合物を含む。例示の実施形態では、調合物は、PDMSを0.5〜20%、典型的には、PDMSを5〜15%、最も典型的にはPDMSを10%含む。本発明の特定の実施形態では、接着促進構成要素は、検体調整構成要素などの近位の構成要素中に存在するシロキサン部分を架橋できるように選択された作用物を含む。本発明の密接に関連する実施形態では、接着促進構成要素は、検体感知構成要素および/またはタンパク質構成要素など、近位の構成要素中に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシル部分を架橋できるように選択された作用物を含む。
【0117】
検体調整構成要素
本発明の電気化学センサは、センサ上に配設された検体調整構成要素を含む(例えば、
図2の要素112参照)。用語「検体調整構成要素」は、本明細書では技術的に容認された技術用語に従って使用され、典型的には、構成要素を通るグルコースなど1つ以上の検体の拡散を調整するように動作する、センサ上の膜を形成する構成要素を指す。本発明の特定の実施形態では、検体調整構成要素は、構成要素を通るグルコースなど、1つ以上の検体の拡散防止または制限するように動作する検体制限膜である。本発明の他の実施形態では、検体調整構成要素は、構成要素を通る1つ以上の検体の拡散を促進するように動作する。任意選択で、構成要素を通る1つのタイプの分子(例えばグルコース)の拡散を防止または制限し、同時に構成要素を通る他のタイプの分子(例えば、O
2)の拡散を可能にするかもしくはさらに促進するようにこうした検体調整構成要素を形成することができる。
【0118】
グルコースセンサに関して、既知の酵素電極では、血液からのグルコースおよび酸素、ならびにアスコルビン酸および尿酸など、なんらかの干渉物質が、センサの第1の膜を通って拡散する。グルコース、酸素、および干渉物質が検体感知構成要素に到達すると、グルコースオキシダーゼなどの酵素は、過酸化水素およびグルコノラクトンへのグルコースの転換を触媒する。過酸化水素は、検体調整構成要素を通って拡散して戻ることもでき、電極まで拡散することもでき、その電極で反応して酸素およびプロトンを形成してグルコース濃度と比例する電流を生成することができる。センサ膜アセンブリは、グルコースが膜を通ること選択できに可能にすることを含むいくつかの機能を果たす。この文脈では、例示の検体調整構成要素は、水、酸素、および少なくとも1つの選択的な検体が通過可能であり、水を吸収することができる半透過膜であり、膜は水溶性、親水性のポリマーを有する。
【0119】
様々な例示の検体調整組成物が、当技術分野で知られており、例えば、それぞれの開示を本願に引用して援用する米国特許第6,319,540号、第5,882,494号、第5,786,439号、第5,777,060号、第5,771,868号、および第5,391,250号に記載されている。それらの文献に記載されたヒドロゲルは、周囲の水の構成要素を供給することが有利な様々な植え込み可能なデバイスに特に有用である。本発明のいくつかの実施形態では、検体調整組成物はPDMSを含む。本発明の特定の実施形態では、検体調整構成要素は、近位の構成要素中に存在するシロキサン部分を架橋できるように選択された作用物を含む。本発明の密接に関連する実施形態では、接着促進構成要素は、近位の構成要素中に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシル部分を架橋できるように選択された作用物を含む。
【0120】
本明細書で詳細に説明したように、本発明の特定の実施形態では、検体調整構成要素は、中央鎖と、中央鎖に結合された複数の側鎖とを有する親水性櫛型共重合体を含み、少なくとも1つの側鎖はシリコン部分を含む。
【0121】
カバー構成要素
本発明の電気化学センサは、典型的には、保護構成要素を電気的に絶縁する1つ以上のカバー構成要素を含む(例えば、
図2の要素106参照)。典型的には、こうしたカバー構成要素は、検体調整構成要素の少なくとも一部分の上に配設される。絶縁性保護カバー構成要素として使用するのに許容されるポリマーコーティングには、限定されるものではないが、シリコン化合物、ポリイミド、生体適合性ハンダマスク、エポキシアクリレート共重合体など、無毒の生体適合性ポリマーが含まれてよい。さらに、これらのコーティングは、導電性構成要素を通るアパーチャをフォトリソグラフィで形成することを容易にする感光性のものとすることができる。典型的なカバー構成要素がスピンオンシリコン(spun on silicone)を含む。当技術分野で知られているように、こうした構成要素は、市販のRTV(室温硫化)シリコン組成物とすることができる。典型的な化学物質は、この文脈では、ポリジメチルシロキサン(アセトキシベース)である。
【0122】
本発明の様々な例示の実施形態およびその特徴を、以下の段落で詳細に論じる。
【0123】
D.検体センサ装置の例示の実施形態および関連の特徴
注入要素および検体センサ要素の両方を含む装置は、本明細書で開示するように、いくつかの実施形態を有する。本発明の一般の実施形態は、哺乳類の体内に植え込まれる装置である。その装置は典型的には哺乳類の体内に植え込み可能であるように設計されているが、センサは、どの特定の環境にも限定されず、その代わりに、全血、リンパ、血漿、血清、唾液、尿、便、汗、粘液、涙、髄液、鼻の分泌液、子宮頚部または膣の分泌物、精液、胸膜液、羊水、腹水、中耳液、滑液、胃吸引液などの生体液を含む液体サンプルのほとんどを分析する各種の状況で使用することができる。さらに、固体のまたは乾燥したサンプルを適切な溶媒に溶解して、分析に適切な液体混合物を得ることができる。
【0124】
上記で述べたように、1つ以上の生理的環境の対象の検体を感知するために、本明細書で開示する本発明の実施形態を使用することができる。特定の実施形態では、例えば、センサは、典型的には皮下センサの場合に起こるように、間質液と直接接触することができる。本発明のセンサは、間質性グルコースが皮膚を通して抜き取られセンサに接触するようになる皮膚表面系の一部でもよい(例えば、本願に引用して援用する米国特許第6,155,992号および第6,706,159号参照)。他の実施形態では、センサは、典型的には例えば静脈内センサの場合に起こるように、血液と直接接触することができる。本発明のセンサの実施形態はさらに、様々な状況で使用されるように適合されたセンサを含む。特定の実施形態では、例えば、センサを、歩行可能なユーザが使用するなど、移動状況で使用されるように設計することができる。あるいは、センサを、臨床の場で使用するように適合されたものなど、静止状況で使用するように設計することができる。こうしたセンサの実施形態には、例えば、入院患者の1つ以上の生理的環境中に存在する1つ以上の検体をモニタリングするために使用されるセンサが含まれる。
【0125】
本発明の実施形態を当技術分野で知られた各種の医療システムに組み込むこともできる。本発明のセンサは、例えば、薬剤をユーザの体内に注入する速度を制御するように設計された閉ループ注入システムにおいて使用することができる。こうした閉ループ注入システムは、センサと関連のメータを含むことができ、そのメータはコントローラへの入力を生成し、コントローラは送達システム(例えば、薬剤注入ポンプで送達する投与量を計算するシステム)を動作させる。こうした文脈では、センサに関連するメータは、送達システムにコマンドを送ることもでき、そのメータを、送達システムを遠隔制御するために使用することもできる。典型的には、センサは、ユーザの体内のグルコース濃度をモニタリングするために間質液に接触する皮下センサであり、送達システムによってユーザの体内に注入される液体は、インスリンを含む。例示のシステムは、例えば、全て本願に引用して援用する米国特許第6,558,351号および第6,551,276号、PCT出願US99/21703およびUS99/22993、ならびにWO2004/008956およびWO2004/009161に開示されている。
【0126】
一般に、検体センサ装置の構造は、ベース層と、そのベース層上に配設された導電層(例えば、多孔質マトリックス)とを備え、1つ以上の電極として機能する。例えば、導電層は、作用電極、基準電極および/または対電極を含むことができる。これらの電極は、固有の設計に従って、近接するように配置することもでき、あるいは遠位に離れるように配置することもできる。センサ装置の設計は、センサ装置内に感知する検体を含有する溶液に特定の電極(例えば、作用電極)を(例えば、アパーチャを介して)曝露できるようになっている。センサ装置の設計は、センサ装置内で感知する検体を含有する溶液に特定の電極(例えば、基準電極)を曝露しないようになっている。
【0127】
本発明の一実施形態は、バイオセンサで使用する組成物である。こうした組成物は、典型的には、哺乳類の体内に植え込み可能になるように設計され、固定化酵素、例えば、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼ、または乳酸デヒドロゲナーゼで表面がコーティングされた多孔質マトリックスを備える。典型的には、固定化酵素でコーティングされた多孔質マトリックスは、電気化学センサの電極として働くことができる。任意選択で、電気化学センサの電極は過酸化水素を消費する。
【0128】
本発明のバイオセンサの様々な実施形態で使用されるマトリックスを、様々な材料から生成することができ、様々な組成物の構成になるように適合することができる。本発明のいくつかの実施形態では、マトリックスは、多孔質であり、セラミック材料および/または金属および/またはマクロ多孔質ポリマーを含む。任意選択で、多孔質マトリックスは格子状の粒子を含む。典型的には、それらの粒子は球体である。本発明の典型的な実施形態では、多孔質マトリックスの表面積は、同じ寸法の非多孔質マトリックスの表面積の少なくとも2、4、6、8、10、12、14、16、または18倍である。本発明の特定の実施形態では、多孔質マトリックスは、厚さが少なくとも1、10、100、または1000ミクロンである。本発明の特定の実施形態では、多孔質マトリックスの有孔率の範囲は、任意選択で、約5〜99.9%であり、典型的には、約40〜99%である。これらのマトリックスの有孔率は、典型的には、水銀または気体のポロシメータ、サイズの様々なマーカ分子および分子量(例えば、アセトン、規定のサイズの様々な球状タンパク質、ブルーデキストラン)を用いたサイズ排除クロマトグラフィ、ならびにサイクリックボルタンメトリなどの当技術分野で使用されるプロトコルのうちの1つによって測定することができる。
【0129】
典型的には、検体センサ装置は、典型的には、作用電極の一部分または全てをカバーする、センサの導電層上に配設された検体感知層を含む。この検体感知層は、感知する検体が存在するときに導電層の作用電極において電流を検出可能に変える。本明細書で開示するように、この検体感知層は、典型的には、作用電極の電流を調整できる分子濃度を変えるようにして対象の検体と反応する酵素または抗体分子などを含む(例えば、
図1の反応方式に示す酸素および/または過酸化水素参照)。例示の検体感知層は、(例えば、グルコースセンサで使用される)グルコースオキシダーゼまたは(例えば、乳酸塩センサで使用される)乳酸オキシダーゼなどの酵素を含む。本発明のいくつかの実施形態では、検体感知層は、多孔質金属および/またはセラミックおよび/またはポリマーのマトリックスの上に配設され、こうした組み合わせの要素がセンサの電極として機能する。
【0130】
典型的には、検体感知層はさらに、検体感知化合物(例えば、酵素)に対して実質的に固定比率で担体タンパク質を含み、その検体感知化合物および担体タンパク質は、検体感知層に実質的に均一に分散される。典型的には、検体感知層は、非常に薄く、例えば、厚さ1、0.5、0.25、または0.1ミクロン未満である。特定の科学理論に制約されるものではないが、このように薄い検体感知層を有するセンサは典型的には電着によって生成されるより厚い層と比べて驚くほど特徴が強化されていると考えられている。というのは、電着により厚さ3〜5ミクロンの酵素層が生成され、そこではコーティング層内の反応性酵素の一部しか感知する検体にアクセスできないからである。電着プロトコルによって生成されたこのようなより厚いグルコースオキシダーゼのペレットはさらに、機械的安定性が低いこと(例えば、クラックの傾向)が確認されており、さらに、実際の使用のための調製に時間がかかり、典型的には、植え込みできるようになるには数週間かかる。本明細書で説明する薄い層の酵素コーティングについてはこれらの問題は確認されないので、これらの薄いコーティングは本発明の典型的な実施形態である。
【0131】
グルコースオキシダーゼを用いるセンサでは、例えば、電着によって生成された厚いコーティングは、厚さ3〜5ミクロンの酵素層の反応界面で生成される過酸化水素がセンサ表面と接触して信号を生成できないようにする可能性がある。さらに、このようにコーティングが厚いせいでセンサ表面に到達できない過酸化水素は、センサが配置された環境にセンサから拡散し、それにより、こうしたセンサの感度および/または生体適合性を低減する可能性がある。さらに、特定の科学理論に制約されるものではないが、検体感知層が薄いセンサは、スピンコーティングなどのプロセスによりグルコースオキシダーゼと(酵素層中のグルコースオキシダーゼを安定させる担体タンパク質として使用される)アルブミンの酵素コーティングの比を正確に制御できることから得られる予想以上の有利な特性を有すると考えられる。具体的には、グルコースオキシダーゼおよびアルブミンの等電点が異なるので、電着法により、表面コーティングは酵素と担体タンパク質の最適に決定された比が電着法で不利に変更され、さらに、グルコースオキシダーゼおよび担体タンパク質は、配設された酵素層にわたって実質的に均一に分配されなくなる。さらに、検体感知層がこのように薄いセンサは、応答時間が予想以上に速くなる。特定の科学理論に制約されるものではないが、これらの驚くべき有利な特性は、薄い酵素層によって作用電極面へのアクセスが改善され、多くの割合の電極の電流を調整する分子が電極面にアクセスできるようになるという認識によるものと考えられる。この文脈では、本発明のセンサの特定の実施形態では、哺乳類の体内に存在する検体への曝露に応答した電流の変化を電流計によって検体が検体センサに接触して15、10、5、または2分以内に検出することができる。
【0132】
検体感知層は、任意選択で、その上に配設されたタンパク質層を有し、そのタンパク質層は、典型的には、この検体感知層と検体調整層との間にある。タンパク質層内のタンパク質は、ウシ血清アルブミンおよびヒト血清アルブミンからなる群から選択されるアルブミンである。典型的には、このタンパク質は架橋される。特定の科学理論に制約されるものではないが、こうした別個のタンパク質層によりセンサの機能が強化され、センサノイズ(例えば、擬似バックグラウンド信号)を減少させる一種のコンデンサとして働くことによって驚くほどの機能上の利益がもたらされると考えられる。例えば、本発明のセンサでは、センサの検体調整膜層の下に若干の水分が形成されることがあり、その層は検体感知層の酵素と接触できる検体の量を調整する。こうした水分は、センサを使用する患者が動くときに、センサ内でずれる圧縮可能な層を作り出すことがある。このように層がセンサ内でずれることにより、実際の生理的検体濃度とは関係なしに、グルコースなどの検体が検体感知層と通って移動する経路を変えることがあり、それにより、ノイズが発生する。この文脈では、タンパク質層は、GOxなどの酵素を水分層に接触しないように保護することによってコンデンサとして働くことができる。こうしたタンパク質層は、検体感知層と検体調整膜層との間の接着を促進するなど、いくつかの他の利点を与えることができる。あるいは、こうした層が存在することで、過酸化水素などの分子のためのより大きい拡散経路がもたらされ、それにより、分子を電極感知要素に集中させ、センサの感度の強化に貢献する。
【0133】
典型的には、検体感知層上に配設された検体感知層および/またはタンパク質層には、その上に接着促進層が配設される。こうした接着促進層は、検体感知層と近位の層、典型的には検体調整層との間の接着を促進する。こうした接着促進層は、典型的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン化合物を含み、これらの化合物は、様々なセンサ層間の接着を最適化させ、センサを安定させるように機能できるように選択される。興味深いことに、接着促進層を含むこうしたシランを有するセンサは、全体の安定性の向上を含む予想以上の特性を示す。さらに、シランを含有する接着促進層は、センサの安定性を向上できることの他にいくつかの有利な特徴をもたらし、例えば、干渉の拒絶ならびに1つ以上の所望の検体の質量伝達の制御という有益な役割を果たすことができる。
【0134】
本発明の特定の実施形態では、接着促進層はさらに、検体調整層を通るグルコースなどの検体の拡散を制限するように働く、ポリジメチルシロキサン(PDMS)化合物など、隣接する層内に存在することもできる1つ以上の化合物を含む。AP層にPDMSを追加すると、例えば、センサが製造されるときにAP層内に孔または隙間が生じる可能性を低減させる場合に有利である。
【0135】
典型的には、接着促進層には、その上に検体調整層が配設され、それを通る検体の拡散を調整するように機能する。一実施形態では、検体調整層は、センサ層を通る検体(例えば、酸素)の拡散を強化するように働き、したがって、検体感知層内の検体の濃度を上昇させるように機能する(例えば、ポリマーなどの)組成物を含む。あるいは、検体調整層は、センサ層を通る検体(例えば、グルコース)の拡散を制限するように働き、したがって、検体感知層内の検体の濃度を制限するように機能する組成物を含む。その一例は、ポリジメチルシロキサンなどのポリマーを含む親水性のグルコース制限膜である(すなわち、グルコース制限膜を通るグルコースの拡散を制限するように機能する)。本発明の特定の実施形態では、検体調整層は、中央鎖と、中央鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性の櫛型共重合体を含み、少なくとも1つの側鎖はシリコン部分を含む。
【0136】
典型的には、検体調整層はさらに、センサ装置の少なくとも一部分上に配設される(例えば、検体調整層をカバーする)典型的には、電気絶縁保護層である1つ以上のカバー層を含む。絶縁性保護カバー層としての使用に許容されるポリマーコーティングには、限定されるものではないが、シリコン化合物、ポリイミド、生体適合性ハンダマスク、エポキシアクリレート共重合体など、無毒の生体適合性ポリマーが含まれてよい。例示のカバー層がスピンオンシリコンを含む。典型的には、カバー層はさらに、センサ層(例えば、検体調整層)の少なくとも一部分を感知する検体を含む溶液に曝露するアパーチャを含む。
【0137】
本明細書で説明する検体センサは、カソード分極して、例えば、
図1に示すようにグルコースがグルコースオキシダーゼと相互作用するときに生じる作用カソードに近位の酸素濃度の変化による作用カソードの電流の変化を検出することができる。あるいは、本明細書で説明する検体センサは、アノード分極して、例えば、
図1に示すようにグルコースがグルコースオキシダーゼと相互作用するときに生じる作用アノードに近位の過酸化水素濃度の変化による作用アノードの電流の変化を検出することができる。本発明の典型的な実施形態では、作用電極(複数可)の電流は、基準電極(複数可)(対照)の電流と比較され、それらの測定値の差により、測定する検体の濃度に関係付けることができる値が提供される。これらの2重電極での電流の比較による測定値を得ることで電流値を得る検体センサの設計は、一般に、例えば、2重酸素センサと呼ばれる。
【0138】
本発明のいくつかの実施形態では、検体センサ装置は、検体センサ装置の導電層のアノード作用電極において電流の変化が検出されるようにアノード分極によって機能するように設計されている。アノード分極に関連付けることができる構造設計の特性は、アノードである作用電極、カソードである対電極、および基準電極を備える適切なセンサ構成を設計し、次いで、こうした設計構成内のアノード表面の適切な部分に適切な検体感知層を選択的に配設することを含む。このアノード分極の構造設計は、任意選択で、表面積が異なるアノード、カソード、および/または作用電極を含む。例えば、この構造設計は、作用電極(アノード)および/または作用電極のコーティングされた面が対電極(カソード)および/または対電極のコーティングされた面よりも大きくなるという特性を含む。この文脈では、次いで、アノード作用電極で検出できる電流の変化は、検体の濃度と関係付けられる。本発明のこの実施形態特定の例では、作用電極は、酸化反応(例えば、
図1参照)に過酸化水素を測定および利用し、その過酸化水素はそれぞれグルコースまたは乳酸塩と反応するときにグルコースオキシダーゼまたは乳酸オキシダーゼなどの酵素によって精製される。こうした過酸化水素を再利用できる電気化学グルコースおよび/または乳酸塩センサに関連するこうした本発明の実施形態は、この分子の再利用により、センサからセンサが配置された環境に逃げることができる過酸化水素の量を減少させるので特に興味深い。この文脈では、過酸化水素などの組織の刺激源の放出を低減するように設計された植え込み可能なセンサでは、生体適合性の特徴が改善される。さらに、過酸化水素がグルコースオキシダーゼなどの酵素と反応し生物学的な機能を損なう恐れがあると確認されているので、こうしたセンサは、その現象を回避するため望ましい。検体調整層(例えば、グルコース制限層)は、任意選択で、センサが配置された環境に出て行く過酸化水素の拡散を阻止する組成物を含むことができる。したがって、本発明のこうした実施形態は、本明細書で開示する過酸化水素を再利用する要素を組む込むことによって、過酸化水素を生成する酵素を組み込むセンサの生体適合性を改善する。
【0139】
ベース層、導電層、検体感知層、任意選択のタンパク質層、接着促進層、検体調整層、およびカバー層を備える本発明の検体センサの特定の実施形態は、予想以上の特性をいくつか示す。例えば、カソード分極によって機能するように構成されたセンサに対してアノード分極によって機能するように構成されたセンサでは、検体感知層ならびに電極面の電気化学反応の差により、異なる化学成分が生成および/または消費され、それにより、様々なセンサ要素が異なる極性で機能する化学環境が変えられる。この文脈では、本明細書で開示するセンサ構造により、様々な異なる化学物質および/または電気化学条件下で予想を超える程度の安定性で機能することを示す驚くほど応用のきくデバイスが提供される。
【0140】
本明細書で開示する本発明の特定の実施形態(例えば、過酸化水素を再利用できる実施形態)では、センサ層は、作用電極(例えば、アノード)および対電極(例えば、カソード)を含む電極を複数有し、それらの両方の電極がグルコースオキシダーゼまたは乳酸オキシダーゼなどの酵素を含む検体感知層でコーティングされている。こうしたセンサの設計は、感度の改善を含む驚くほどの特性を有する。特定の理論に制約されるものではないが、この特性は、グルコース感知反応(例えば、
図1参照)で使用できる追加の酸素を精製する作用電極または対電極の表面における過酸化水素の酸化の強化から得ることができる。したがって、この再利用効果は、本明細書で開示する特定のセンサの実施形態の酸素依存による制約を低減することができる。さらに、この設計により、使用可能な過酸化水素を簡単に減少させ、したがって、低い電極電位を有する作用電極を有するセンサを得ることができる。より低い電極電位を有して機能するように設計されたセンサは、このタイプのセンサの電極電位が高いとガスを生成する加水分解反応が起き、それにより(加水分解反応によって発生する気泡によりセンサ層が破壊されるため)センサが不安定になる恐れがあるので、本発明の典型的な実施形態である。さらに、グルコースオキシダーゼまたは乳酸オキシダーゼなどの酵素を含む非常に薄い層の検体感知層で対電極がコーティングされるように設計されたセンサの実施形態では、酵素反応で生じる過酸化水素は対電極の反応面に非常に近い。それにより、例えば、反応面がより小さい対電極を含むコンパクトなセンサ設計の生産が可能になるように、センサの全体の効率を上げることができる。
【0141】
E.検体センサ装置および要素の置換
上記で述べたように、本明細書で開示する本発明は、要素群にセンサを含む装置など、いくつかの実施形態を有する。本発明のこうした実施形態により、当業者が本明細書で開示する装置の様々な置換を行うことができる。上記で述べたように、本明細書で開示する装置の例示の一般の実施形態では、センサ要素は、ベース層と、カバー層と、ベース層とカバー層との間に配設された電極などのセンサ要素を有する少なくとも1つの層とを含む。典型的には、1つ以上のセンサ要素(例えば、作用電極、対電極、基準電極など)の露出部分は、適切な電極化学物質を有する材料の非常に薄い層でコーティングされる。例えば、乳酸オキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、またはヘキソキナーゼなどの酵素を、センサ要素の露出部分のうちのカバー層に画定された開口部またはアパーチャ内に配設することができる。
図2に、本発明の典型的なセンサ構造100の断面図を示す。そのセンサは、センサ構造100を生産する本発明の方法に従って配設される様々な導電性および非導電性の構成要素の複数の層から形成される。
【0142】
上記で述べたように、本発明のセンサでは、センサの様々な層(例えば、検体感知層)に、1つ以上の生物活性物質および/または不活性物質を組み込むことができる。用語「組み込まれる(incorporated)」は、本明細書では、組み込まれた材料がその層の固相または支持マトリックスの外面上またはその中に保持される状態または状況を示すものである。したがって、その「組み込まれた」材料を、例えば、固定化し、物理的に閉じ込め、マトリックス層(複数可)の官能基に共有結合することができる。さらに、前記材料の「組み込み」を促進するプロセス、試薬、添加物、または分子リンカ剤を、これらの追加のステップまたは作用物が本発明の目的に不利益ではなく、その目的と一致する場合に用いることができる。当然、この定義は、生物活性分子(例えば、グルコースオキシダーゼなどの酵素)が「組み込まれる」本発明のどの実施形態にも適用される。例えば、本明細書で開示するセンサの特定の層は、架橋可能なマトリックスとして働くアルブミンなどのタンパク質様の物質を含む。本明細書では、タンパク質様の物質は、実際の物質が天然タンパク質、不活化タンパク質、変性タンパク質、加水分解種、またはその変性生成物のいずれであっても、一般にタンパク質から派生する物質を含むものである。適切なタンパク質様の材料の例には、限定されるものではないが、グルコースオキシダーゼおよび乳酸オキシダーゼなどの酵素、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなど)、カゼイン、ガンマ−グロブリン、コラーゲン、およびコラーゲン由来の生成物(例えば、フィッシュゼラチン、フィッシュフルー、動物ゼラチン、および動物グルー)が含まれる。
【0143】
本発明のセンサ要素の例示の実施形態を
図2に示す。この実施形態は、センサ100を支持する電気絶縁ベース層102を含む。電気絶縁層ベース102は、セラミック基板などの材料から作製することができ、自己支持型でもよく、さらに当技術分野で知られた別の材料によって支持されてもよい。代替的実施形態では、電気絶縁層102は、ポリイミド基板、例えば、リールから送出されるポリイミドテープを備える。この形態で層102を設けると、清潔で高密度の大量生産を容易にすることができる。さらに、ポリイミドテープを用いた一部の生産プロセスでは、センサ100をテープの両面に作製することができる。
【0144】
本発明の典型的な実施形態は、ベース層102上に配設された検体感知層を含む。
図2に示す例示の実施形態では、検体感知層は、絶縁ベース層102上に配設された導電層104を備える。導電層104は、典型的には、1つ以上の電極を備える。本明細書で以下に説明する多くの既知の技法および材料を用いて導電層104を貼付することができるが、センサ100の電気回路は、典型的には、配設された導電層104を所望のパターンの導電路になるようにエッチングすることによって画定される。センサ100の典型的な電気回路は、近位端に接触パッドを形成する領域、および遠位端にセンサ電極を形成する領域を有する、隣接する2以上の導電路を備える。ポリマーコーティングなど、電気絶縁保護カバー層106は、典型的には、導電層104の一部分に配設される。絶縁性保護層106として使用するのに許容されるポリマーコーティングには、限定されるものではないが、ポリイミド、生体適合性ハンダマスク、エポキシアクリレート共重合体など、無毒の生体適合性ポリマーが含まれてよい。さらに、これらのコーティングを、導電層104を通るアパーチャ108を形成するフォトリソグラフィを容易にするように感光性にすることができる。本発明の特定の実施形態では、多孔質金属および/またはセラミックおよび/またはポリマーのマトリックス上に検体感知層が配設され、こうした組み合わせの要素がセンサの電極として機能する。
【0145】
本発明のセンサでは、1つ以上の曝露領域またはアパーチャ108を、保護層106を通って導電層104まで作製して、センサ100の接触パッドおよび電極を画定することができるフォトリソグラフィ現像の他に、レーザアブレーション、ケミカルミリング、またはエッチングなどを含むいくつかの技法によってアパーチャ108を形成することができる。第2のフォトレジストをカバー層106に塗布して、アパーチャ108を形成するために保護層のうちの除去すべき領域を画定することもできる。作動センサ100は、典型的には、作用電極対電極などの電極を複数含み、これらの電極は、互いに近接するように配置されているが、互いに電気的に絶縁されている。他の実施形態は基準電極を含むこともできる。他の実施形態は、センサ上に形成されていない別個の基準要素を利用することができる。露出した電極および/または接触パッドは、アパーチャ108を通して他のめっき処理などの第2の処理を行って、表面を調製しかつ/または導電性領域を強化することもできる。
【0146】
検体感知層110は、典型的には、アパーチャ108を通して導電層104の1つ以上の露出電極上に配設される。検体感知層110は、典型的には、センサ化学層であり、最も典型的には、酵素層である。検体感知層110は、典型的には、酵素グルコースオキシダーゼまたは酵素乳酸オキシダーゼを含む。こうした実施形態では、検体感知層110は、グルコースと反応して、電極への電流を調整する過酸化水素が生成され、その電極をグルコースの存在する量を測定するためにモニタリングすることができる。導電層の一部または導電層の全領域にわたってセンサ化学層110を加えることができる。センサ化学層110は、典型的には、作用電極および対電極のうちの導電層を備える部分に配設される。薄いセンサ化学層110を生成する一部の方法には、スピンコーティング法、浸漬乾燥法、低シェアスプレ法、インクジェットプリント法、シルクスクリーンプロセスなどが含まれる。最も典型的には、スピンコーティング法を用いてその薄いセンサ化学層110を加える。
【0147】
検体感知層110は、典型的には、1つ以上のコーティング層でコーティングされる。本発明のいくつかの実施形態では、そうしたコーティング層は、検体感知層の酵素に接触できる検体の量を調整できる膜を含む。例えば、コーティング層は、グルコース制限膜などの検体調整膜層を備えることができ、そのグルコース制限膜は、電極のグルコースオキシダーゼ酵素層に接触するグルコースの量を調整する。こうしたグルコース制限膜を、その目的に適切であると知られた各種の材料、例えば、シリコン、ポリウレタン、ポリ尿素酢酸セルロース、ナフィオン、ポリエステルスルホン酸(Kodak AQ)、ヒドロゲル、または他の任意の当業者に知られた膜から作製することができる。本発明の特定の実施形態では、検体調整層は、中央鎖と中央鎖に結合された複数の側鎖を有する親水性の櫛型共重合体を含み、少なくとも1つの側鎖はシリコン部分を含む。
【0148】
本発明のいくつかの実施形態では、コーティング層は、センサ化学層110の上に配設されるグルコース制限膜層112であり、センサ化学層110とのグルコースの接触を調整する。本発明のいくつかの実施形態では、接着促進層114は、接触および/または接着を容易にするために、
図2に示すように膜層112とセンサ化学層110との間に配設される。接着促進層114を、こうした層の間の結合を容易にする当技術分野で知られた各種の材料のうちいずれか1つから作製することができる。接着促進層114は、典型的には、シラン化合物を含む。代替的実施形態では、センサ化学層110中のタンパク質または同様の分子は、接着促進層114が存在しない検体感知層110と直接接触するように検体調整膜層112を配設できるように、十分に架橋するか、または別法で調製することができる。
【0149】
上記で述べたように、本発明の実施形態は、1つ以上の機能性コーティング層を含むことができる。本明細書では、用語「機能性コーティング層(functional coating)」は、センサの少なくとも1つの面の少なくとも一部分を、より典型的には、センサ表面の実質的に全てをコーティングすると共に、センサが配設される環境の化合物、細胞、およびそれらの一部分など、1つ以上の検体と相互作用できる層を指す。機能性コーティング層の非限定的な例には、センサ化学層(例えば、酵素層)、検体制限層、生体適合性層;センサを滑りやすくする層;センサへの細胞付着を促進する層;センサへの細胞付着を低減する層などが含まれる。典型的には、検体調整層は、グルコースなど1つ以上の検体が層を通って拡散するのを防止または制限するように動作する。任意選択で、層を通る1つのタイプの分子(例えば、グルコース)の拡散を防止または制限し、同時に層を通る他のタイプの分子(例えばO
2)の拡散を可能にするかもしくはさらに促進するようにこうした層を形成することができる。例示の機能性コーティング層は、各開示を本願に引用して援用する米国特許第5,786,439号および第5,391,250号に記載のヒドロゲルなどのヒドロゲルである。それらに記載されたヒドロゲルは、周囲の水の層を設けることが有利な様々な植え込み可能なデバイスに特に有用である。
【0150】
本明細書で開示するセンサの実施形態は、UV吸収ポリマーを有する層を含むことができる。本発明の一態様によれば、UV吸収ポリマーを含む少なくとも1つの機能性コーティング層を含むセンサが提供される。一部の実施形態では、UV吸収ポリマーはポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素共重合体である。より典型的には、選択されたUV吸収ポリマーは、ジイソシアナート、少なくとも1つのジオール、ジアミンまたはその混合物、および多官能UV吸収モノマーを含む反応混合物から形成される。
【0151】
UV吸収ポリマーは、全体を本願に引用して援用する「Transcutaneous Sensor Insertion Set」と題する、ロード(Lord)らに付与された米国特許第5,390,671号、「Implantable Glucose Sensor」と題するウィルソン(Wilson)らに付与された第5,165,407号、および「Two−Dimensional Diffusion Glucose Substrate Sensing Electrode」と題するゴフ(Gough)に付与された米国特許第4,890,620号に記載されているような様々なセンサ製作方法において有利に使用される。しかし、センサ要素の上または下にUV吸収ポリマー層を形成するステップを含むどのセンサ生産方法も、本発明の範囲内に包含されると見なされる。具体的には、本発明の方法は、薄型フィルムの製作方法に限定されるものではなく、UVレーザ切断を利用する他のセンサ製作方法と共に機能することができる。いくつかの実施形態は、厚いフィルム、平坦または円筒形のセンサなど、およびレーザ切断を必要とする他のセンサの形状と共に機能することができる。
【0152】
本明細書で開示するように、本発明のセンサは、糖尿病患者の血糖値をモニタリングする皮下のまたは経皮的なグルコースセンサとして使用するように特に設計されている。典型的には、センサはそれぞれ、複数のセンサ要素、例えば、下の絶縁性の薄型フィルムベース層と上にある絶縁性の薄型フィルムカバー層との間に形成された細長い薄型フィルム導体などの導電性要素を備える。
【0153】
所望の場合は、複数の異なるセンサ要素を単一のセンサに含むことができる。例えば、導電性センサ要素および反応性センサ要素の両方を1つのセンサに組み込むことができ、各センサ要素は、任意選択で、ベース層の異なる部分に配設される。1つ以上の制御要素を設けることもできる。こうした実施形態では、センサは、そのカバー層に複数の開口部またはアパーチャを画定することができる。センサが配設される環境内の1つ以上の検体とベース層を相互作用させるために、1つ以上の開口部を直接カバー層内のベース層の一部分に画定することもできる。ベース層およびカバー層を、様々な材料、典型的には、ポリマーから構成することができる。より固有の実施形態では、ベース層およびカバー層は、ポリイミドなどの絶縁性材料から構成することができる。開口部は、典型的には、遠位端の電極および近位端の接触パッドを曝露するようにカバー層内に形成される。グルコースをモニタリングする用途では、例えば、遠位端の電極が患者血液または細胞外の流体に直接接触し、接触パッドがモニタリングデバイスへの接続に便利になるように外部に配設されるように、センサを経皮的に配置することができる。
【0154】
本発明のセンサは、所望の任意の構成、例えば、平面または円筒形の構成を有することができる。ベース層102は、剛体のポリマー層などの自己支持型または可撓性のフィルムなどの非自己支持型とすることができる。後者の実施形態は、例えば、連続して供給されその上にセンサ要素およびコーティング層が連続して塗布されるロール状ポリマーフィルムを用いてセンサを連続して製造することが可能であるという点で望ましい。
【0155】
本発明の一般的な実施形態は、体内に植え込み可能になるように設計されたセンサを含み、そのセンサは、ベース層と、複数のセンサ要素を含む、ベース層上に配設された検体感知層と、導電層上の複数の感知要素の全て、および1つ以上のコーティング層をコーティングする、検体感知層上に配設された(典型的には、厚さが2ミクロン未満の)酵素層とを備える。典型的には、酵素層は、グルコースオキシダーゼを含み、典型的には、担体タンパク質に対して実質的に固定の比率で含む。固有の実施形態では、グルコースオキシダーゼおよび担体タンパク質は、配設された酵素層全体に実質的に均一に分配される。典型的には、担体タンパク質は、典型的には、約5重量%の量のアルブミンを含む。本明細書では、「アルブミン」は、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミンなど、典型的には、ポリペプチド組成物を安定化させるために当業者によって使用されるアルブミンタンパク質を指す。本発明のいくつかの実施形態では、コーティング層は、酵素層と接触できる検体の量を調整するようにセンサ上に配設された検体接触層である。他の実施形態では、センサは、酵素層と検体接触層との間に配設された接着促進層を含み、酵素層の厚さは、1、0.5、0.25、または0.1ミクロン未満である。
【0156】
本発明の実施形態は、検体感知層が多孔質金属製のおよび/またはセラミックおよび/またはポリマーのマトリックスの上に配設された設計を含み、こうした組み合わせの要素がセンサの電極として機能する。本発明の関連の実施形態は、電気化学検体センサであり、その電気化学検体センサは、ベース層と、少なくとも1つの作用電極および少なくとも1つの対電極を含む、ベース層の上に配設された導電層と、導電層の上に配設された厚さ2ミクロン未満の検体感知層と、典型的には、層を通して拡散でき検体感知層に接触できる検体の量を制限することによって、酵素層に接触する検体の量を調整する検体調整層とを含む。本発明の特定の実施形態では、検体調整層は、中央鎖と、中央鎖に結合された複数の側鎖とを有する親水性の櫛型共重合体を含み、少なくとも1つの側鎖はシリコン部分を含む。本発明の任意選択の実施形態では、作用電極および/または作用電極のコーティング面は、対電極および/または対電極のコーティング面よりも大きい。一部の実施形態では、酵素層は、固定比率で担体タンパク質と組み合わせられた作用電極および対電極上にそれをコーティングすることによって安定化されるグルコースオキシダーゼを含む。一実施形態では、このグルコースオキシダーゼ酵素層は、実質的に、導電層をカバーする。導電層全体にわたる均一なコーティング中にグルコースオキシダーゼ酵素層が配設された実施形態が典型的である。というのは、異なる材料特性を有する異なるコーティングの局部的な層間剥離など、センサが異なる複数のコーティングを単一の層上に有することに関連する問題を回避することができるからである。典型的には、センサは、酵素層と検体調整層との間に配設された接着促進層を含む。
【0157】
本発明の関連の実施形態は、電気化学検体センサを含み、その電気化学検体センサは、ベース層と、少なくとも1つの作用電極、少なくとも1つの基準電極、および少なくとも1つの対電極を含む、ベース層上に配設された導電層と、導電層上に配設された酵素層と、酵素層と接触する検体の量を調整する検体調整カバー層とを有する。一部の実施形態では、酵素層の厚さは2ミクロン未満であり、作用電極、基準電極、および対電極の少なくとも一部分の上にコーティングされる。例示の実施形態では、酵素層は、実質的に、作用電極、基準電極、および対電極をカバーする。任意選択で、酵素層は、担体タンパク質(例えばアルブミン)と固定比率で組み合わせたグルコースオキシダーゼを含む。典型的には、センサは、酵素層と検体調整層との間に配設された接着促進層を含む。
【0158】
本発明のさらに別の実施形態は、体内に植え込み可能なグルコースセンサを含む2重注入セットを備え、そのグルコースセンサは、ベース層と、ベース層上に配設された導電層と、導電層上に配設された、グルコースオキシダーゼを含む検体感知層と、グルコース制限層を通って拡散するグルコースの量を調整しグルコースオキシダーゼ層に接触するグルコース制限層とを含む。グルコースオキシダーゼは、アルブミンと規定の比率で組み合わせることによって安定化され、さらに、グルコースオキシダーゼおよびアルブミンは、配設された層全体にわたって実質的に均一に分配される。一部の実施形態では、導電層は、少なくとも1つの作用電極および少なくとも1つの対電極を含む複数のセンサ要素を含む。
【0159】
F.検体センサ装置の構成
臨床の場では、グルコース値および/または乳酸塩値などの検体の判定を、電気化学センサを用いて血液サンプルから正確かつ比較的速く行うことができる。従来のセンサは、修理可能な部品を多く備える大型のセンサか、または平面タイプの小型のセンサになるように製作されており、小型の方が多くの状況でより便利な場合がある。用語「平面(planar)」は、本明細書では、例えば、周知の厚膜法または薄膜法を用いて、比較的薄型の材料から作られた層を備える実質的に平面の構造を製作する周知の手法を指す。例えば、両方とも本願に引用して援用するリュー(Liu)らの米国特許第4,571,292号、およびパパダキス(Papadakis)らの米国特許第4,536,274号参照。以下で言及するように、本明細書で開示する本発明の実施形態は、当技術分野の現行のセンサよりも広い範囲の形状構成(例えば、平面)を有する。さらに、本発明の特定の実施形態は、薬剤注入ポンプなど、別の装置に結合された、本明細書で開示する1つ以上のセンサを含む。
【0160】
図2に、本発明の典型的な検体センサ構成の概略図を提示する。特定のセンサ構成は、検体センサ装置を有するように作製できる比較的平坦な「リボン」タイプの構成のものである。こうした「リボン」タイプの構成は、グルコースオキシダーゼなどの感知酵素のスピンコーティング、ならびに非常に可撓性のあるセンサ形状の設計および生産を可能にする極めて薄い酵素コーティングを生成する製造ステップによって生じる、本明細書で開示するセンサの利点を示す。こうした薄型の酵素でコーティングしたセンサは、センサの感度を維持しながらセンサ領域を小さくすることを可能にするなど、さらなる利点を提供し、こうした利点は、植え込み可能なデバイスにとって非常に望ましい特性である(例えば、デバイスが小さいほど植え込みが容易である)。したがって、スピンコーティングなどのプロセスによって形成できる非常に薄い検体感知層を利用するセンサ本発明の実施形態は、電着などのプロセスで形成された酵素層を利用するセンサよりも広い範囲の構成(例えば、平面)を有することができる。
【0161】
特定のセンサ構成は、複数の作用電極、対電極、および基準電極など、複数の導電性要素を含む。こうした構成の利点には、表面積が増大してセンサの感度が高くなることが含まれる。例えば、1つのセンサ構成が第3のセンサを導入する。こうした構成の明らかな利点の1つは、3つのセンサの信号加算平均によりセンサの精度が高まることである。他の利点には、複数の検体を測定できることが含まれる。具体的には、この配置に電極を含む検体センサ構成(例えば、複数の作用電極、対電極、および基準電極)を、複数の検体センサに組み込むことができる。酸素、過酸化水素、グルコース、乳酸塩、カリウム、カルシウム、および他の任意の生理的に関連する物質/検体など、複数の検体の測定により、例えば、こうしたセンサが線形応答できること、ならびに較正および/または再較正が簡単なことなど、いくつかの利点がもたらされる。
【0162】
本発明の検体センサを、薬剤注入ポンプなど、他の医療デバイスと結合することができる。この方式の例示の変更形態では、本発明の置換可能な検体センサを、例えば、医療デバイスに結合されたポート(例えば、ロック式電気接続を用いる皮下ポート)を使って、薬剤注入ポンプなど、他の医療デバイスと結合することができる。
【0163】
I.本発明の装置のための例示の方法および材料
いくつかの論文、米国特許および特許出願に、本明細書で開示する一般的な方法および材料に関する現行の技術が記載されており、さらに、本明細書で開示するセンサ設計で使用できる様々な要素(およびその製造方法)が記載されている。それらには、例えば、各内容を本願に引用して援用する米国特許第6,413,393号、第6,368,274号、第5,786,439号、第5,777,060号、第5,391,250号、第5,390,671号、第5,165,407号、第4,890,620号、第5,390,671号、第5,390,691号、第5,391,250号、第5,482,473号、第5,299,571号、第5,568,806号、米国特許出願第20020090738号;ならびにPCT国際公開番号WO01/58348、WO03/034902、WO03/035117、WO03/035891、WO03/023388、WO03/022128、WO03/022352、WO03/023708、WO03/036255、WO03/036310、およびWO03/074107が含まれる。
【0164】
糖尿病患者のグルコース濃度をモニタリングする典型的なセンサは、さらに、シチリ(Shichiri)らの「In Vivo Characteristics of Needle−Type Glucose Sensor−Measurements of Subcutaneous Glucose Concentrations in Human Volunteers」、Horm.Metab.Res.、Suppl.Ser.20:17〜20(1988);ブルッケル(Bruckel)らの「In Vivo Measurement of Subcutaneous Glucose Concentrations with an Enzymatic Glucose Sensor and a Wick Method」、Klin.Wochenschr.67:491〜495(1989)、およびピックアップ(Pickup)らの「In Vivo Molecular Sensing in Diabetes Mellitus: An Implantable Glucose Sensor with Direct Electron Transfer」、Diabetologia32:213〜217(1989)に記載されている。他のセンサが、例えば、本願に引用して援用するリーチ(Reach)らのADVANCES IN IMPLANTABLE DEVICES、A.ターナー(A.Turner(編)、JAI Press、London、Chap.1(1993)に記載されている。
【0165】
A.一般的な方法
本明細書で開示する本発明の典型的な実施形態は、1つ以上の注入要素(例えば、カテーテル)、さらに、1つ以上のセンサ要素、ならびに穿刺部材など、これらの要素の生体内の配置を容易にする要素と、ベース層を組み合わせることによって、哺乳類の体内に植え込む2重注入セット装置を作製する方法である。任意選択で、センサは、ベース層を設けるステップと;そのベース層上に導電層を形成するステップであって、その導電層が、電極(典型的には、作用電極、基準電極、および対電極)を含む、ステップと;導電層上に検体感知層を形成するステップであって、その検体感知層が、検体が存在するときに導電層内の電極における電流を変化させることができる組成物を含む、ステップと;任意選択で、検体感知層上にタンパク質層を形成するステップ;検体感知層または任意選択のタンパク質層上に接着促進層を形成するステップと;接着促進層上に配設された検体調整層を形成するステップであって、検体調整層が、その層を通る検体の拡散を調整する組成物を含む、ステップと;検体調整層の少なくとも一部分の上に配設されたカバー層を形成するステップであって、カバー層がさらに、検体調整層の少なくとも一部分にアパーチャを含む、ステップからなるプロセスによって作製される。本発明の特定の実施形態では、検体調整層は、中央鎖と、中央鎖に結合された複数の側鎖とを有する親水性の櫛型共重合体を含み、少なくとも1つの側鎖はシリコン部分を含む。これらの方法の一部の実施形態では、検体センサ装置は、平面の形状構成に形成される。
【0166】
本明細書で開示するように、センサの様々な層を、センサの固有の設計に従って操作できる様々な異なる特徴を示すように製造することができる。例えば、接着促進層は、センサ構造全体を安定化させることが可能になるように選択された化合物、典型的には、シラン組成物を含む。本発明のいくつかの実施形態では、検体感知層は、スピンコーティング法によって形成され、厚さは高さ1、0.5、0.25、および0.1ミクロン未満からなる群から選択される。
【0167】
典型的には、センサを作製する方法は、検体感知層上にタンパク質層を形成するステップであって、タンパク質層内のタンパク質が、ウシ血清アルブミンおよびヒト血清アルブミンからなる群から選択されたアルブミンである、ステップを含む。典型的には、センサを作製する方法は、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼ、および乳酸デヒドロゲナーゼからなる群から選択させる酵素組成物を含む検体感知層を形成するステップを含む。こうした方法では、検体感知層は、典型的には、酵素に対して実質的に固定比率で担体タンパク質組成物を含み、酵素および担体タンパク質は、検体感知層にわたって実質的に均一に分配される。
【0168】
B.検体センサの製造に有用な典型的なプロトコルおよび材料
本明細書に提示される開示は、様々な周知技法の組み合わせを用いて作製できるセンサおよびセンサの設計を含む。この開示はさらに、これらのタイプのセンサならびにこうしたプロセスで作製したセンサに非常に薄い酵素コーティングを塗布する方法を提供する。この文脈では、本発明の一部の実施形態は、技術的に容認されるプロセスに従って基板上にこうしたセンサを作製する方法を含む。特定の実施形態では、基板は、フォトリソグラフィマスクおよびエッチングプロセスで使用するのに適切な剛体の平坦な構造を含む。この点において、基板は、典型的には、均一な平面度が高い上側表面を画定する。平滑な上側表面を画定するには、研磨したガラス板を用いることができる。代替の基板材料には、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、およびデルリンなどのプラスチック材料が含まれる。他の実施形態では、基板は、剛体ではなく、基板として使用される別の層のフィルムまたは絶縁体、例えば、ポリイミドなどのプラスチックとすることができる。
【0169】
本発明の方法の最初のステップは、典型的には、センサのベース層の形成を含む。ベース層は、任意の所望の手段によって、例えば、制御したスピンコーティングによって基板上に配設することができる。さらに、基板層とベース層との間に十分な接着剤がない場合は接着剤を使用することができる。絶縁性材料から作製されたベース層は、典型的には、ベース層材料を液体形態で基板に塗布し、その後、基板をスピニング加工して薄い、実質的に均一の厚さのベース層を作製することによって、基板上に形成される。これらのステップを繰り返して十分な厚さのベース層を構築し、その後、一連のフォトリソグラフィおよび/または化学マスク、ならびにエッチングステップを行って、以下で論じる導体を形成する。例示の形態では、ベース層は、セラミックまたはポリイミド基板など、薄型フィルムシート状の絶縁性材料を含む。ベース層は、アルミナ基板、ポリイミド基板、ガラスシート、制御された細孔ガラス、または平坦化したプラスチック液体結晶ポリマーを含むことができる。ベース層は、限定されるものではないが、カーボン、窒素、酸素、シリコン、サファイア、ダイヤモンド、アルミニウム、銅、ガリウム、ヒ素、ランタン、ネオジム、ストロンチウム、チタン、イットリウム、またはそれらの組み合わせが含まれる1つ以上の様々な要素を含む任意の材料から加工することができる。さらに、スピングラス、カルコゲニド、グラファイト、二酸化ケイ素、有機合成ポリマーなどの材料による化学蒸着法、物理蒸着法、またはスピンコーティングを含む当技術分野で周知の様々な方法によって、基板を固体の支持体に上にコーティングすることができる。
【0170】
本発明の方法はさらに、1つ以上の感知要素を有する導電層の生成を含む。典型的には、これらの感知要素は、活性電極の形状を画定するフォトレジスト、エッチング、および洗浄など、当技術分野で知られた様々な方法のうちの1つによって形成される電極である。次いで、例えば、作用電極および対電極には白金黒を、基準電極には銀、続いて塩化銀を電着することによって、電極を電気化学的に活性にすることができる。次いで、電気化学蒸着またはスピンコーティングに続く例えば、ジアルデヒド(グルタルアルデヒド)またはカルボジイミドとの蒸気架橋(vapor crosslinking)など、電気化学蒸着以外の方法によって、センサ化学酵素層などのセンサ層を感知層上に配設することができる。
【0171】
本発明の電極を、当技術分野で知られた各種の材料から形成することができる。例えば、電極を、後期遷移貴金属(noble late transition metal)から作製することができる。金、白金、銀、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、またはオスミウムなどの金属は、様々な本発明の実施形態において適切である。カーボンまたは水銀など、他の組成物も特定のセンサの実施形態において有用なことがある。これらの金属のうちの銀、金、または白金は、典型的には、基準電極の金属として使用される。続いて塩素化処理される銀の電極は、典型的には、基準電極として使用される。上記に引用したプラズマ蒸着法を含む当技術分野で知られた任意の手段によって、または金属塩および還元剤を含む溶液に基板を浸漬するときに以前に金属化した領域への金属の蒸着を含むことができる無電解法によって、これらの金属を蒸着することができる。無電解法は、還元剤が電子を導電(金属化)面に供給するときに、同時に導電面で金属塩を還元しながら進行する。その結果、吸着金属層が得られる。(無電解法に関する他の論述については、ワイズE.M.(Wise,E.M.)のPalladium:Recovery,Properties,and Uses、Academic Press、New York、New York(1988年);ウォンK.(Wong,K.)らのPlating and Surface Finishing 1988年、75、70〜76;マツオカM.(Matsuoka,M.)ら、Ibid.1988年、75、102〜106;およびパールステインF.(Pearlstein,F.)「Electroless Plating」、Modern Electroplating、Lowenheim、F.A.、Ed.,Wiley、New York、N.Y.(1974)、Chapter31参照)。しかし、こうした金属蒸着法では、活性部分が高密度の触媒金属電極面が設けられるように、金属間の接着が良好であり表面の汚染が最小限に抑えられた構造が作製されるはずである。こうした高密度の活性部分は、過酸化水素などの電気活性の種の効率的な酸化還元変換に必要な特性である。
【0172】
本発明の例示的実施形態では、電極蒸着、表面スパッタリング、または他の適切なプロセスステップによって、最初にベース層を薄型フィルムの導電層でコーティングする。一実施形態では、この導電層は、ポリイミドのベース層への化学接着に適した最初のクロムベースの層に続いて、薄型フィルムの金ベースの層およびクロムベースの層を順に形成した層など、複数の薄型フィルムの導電層として設けることができる。代替的実施形態では、他の電極層の構成または材料を使用することもできる。次いで、導電層を、従来のフォトリソグラフィ技法に従って、選択したフォトレジストコーティングでカバーし、接触マスクを、適切な光画像形成のためのフォトレジストコーティング上に塗布することができる。接触マスクは、典型的には、フォトレジストコーティングの適切な露出のための1つ以上の導体トレースパターンを含み、それに続いて、エッチングステップを行い、その結果、ベース層上に複数の導電性センサのトレースパターンが得られる。皮下グルコースセンサとして使用するために設計した例示のセンサ構成では、センサトレースはそれぞれ、作用電極、対電極、および基準電極など、別々の3つの電極に対応する平行の3つのセンサ要素を含むことができる。
【0173】
導電性センサ層の一部分は、典型的には、絶縁性カバー層によってカバーされ、そのカバー層は、典型的には、シリコンポリマーおよび/またはポリイミドなどの材料から作られている。絶縁性カバー層を所望の様式で塗布することができる。例示的な手順では、絶縁性カバー層を液体層内でセンサトレース上に塗布し、その後、液体材料を薄型フィルムとして分布させるように基板をスピニング加工して、その液体材料がセンサトレース上を覆い、ベース層と密接してセンサトレースの周縁部を超えて延びる。次いで、この液体材料は、当技術分野で知られた1つ以上の適切な放射線ステップおよび/または化学ステップおよび/または熱硬化ステップを受けることができる。代替的実施形態では、液体材料を、スプレー法または他の任意の所望の塗布方法で塗布することができる。光画像形成可能なエポキシアクリラートなど、様々な絶縁層の材料を使用することができ、例示の材料には、West Paterson,N.J.OCG,Inc.から製品番号7020で入手可能な光画像形成可能なポリイミドが含まれる。製造中のガス抜けを用いて、必要に応じて揮発性物質を除去することができる。
【0174】
上記で述べたように、遠位端電極を画定する適切な電極化学物質を、任意選択で、開口部を通してセンサ先端部を露出した後で、センサ先端部に塗布することができる。グルコースセンサとして使用するための3つの電極を有する例示のセンサの実施形態では、酵素(典型的には、グルコースオキシダーゼ)は、開口部のうちの1つに供給され、したがって、センサ先端部のうちの1つがコーティングされて作用電極が画定される。他の電極のうちの一方または両方に作用電極として同じコーティングを施すことができる。あるいは、他の2つの電極を、他の酵素など、他の適切な化学物質をコーティングするか、コーティングしないか、または電気化学センサのための基準電極および対電極を画定する化学物質を施す。他の実施形態では、挿入力を調整するように設計された変形形態が存在することができ、それには、限定されるものではないが、こうした力のために特別に設計された(例えば、選択した力の抵抗特性を有する材料から作製された)カテーテル先端部、カテーテル先端部デュロメータ、ならびにこうした力のために特別に設計されたカテーテルおよび針形状が含まれる。
【0175】
本発明の極めて薄い酵素コーティングを作製する方法には、スピンコーティング法、浸漬乾燥法、低シェアスプレ法、インクジェットプリント法、シルクスクリーンプロセスなどが含まれる。その技術プロセスによって塗布された酵素コートの厚さは当業者には簡単に判定することができるので、本発明の極めて薄いコーティングを生成できるそれらの方法を簡単に特定することができる。典型的には、こうしたコーティングは、塗布後に蒸気架橋することができる。驚くべきことに、こうしたプロセスで生産したセンサは、寿命、線形性、規則性の強化、ならびに信号雑音比の改善を含む、電着によって生産されたコーティングを有するセンサの特性を超える材料特性を有する。さらに、こうしたプロセスで形成されたグルコースオキシダーゼコーティングを利用する本発明の実施形態は、過酸化水素を再利用し、こうしたセンサの生体適合性プロフィルを改善するように設計されている。
【0176】
スピンコーティング法などのプロセスで生産されたセンサは、電着中にセンサ上に配置された材料のストレスに関連する問題など、電着に関連する他の問題も回避する。具体的には、電着プロセスは、センサへの機械的ストレス、例えば、引っ張り力および/または圧縮力から生じる機械的ストレスを生み出すことが確認されている。状況によっては、こうした機械的ストレスにより、センサがクラックまたは層間剥離の傾向のあるコーティングを有する可能性がある。これは、スピンコーティングまたは他の低ストレスのプロセスによってセンサ上に配設されたコーティングには確認されない。したがって、本発明のさらに別の実施形態は、スピンコーティング法によってコーティングを塗布することを含む電着の影響を受けたセンサ上のコーティングのクラックおよび/または層間剥離を回避する方法である。
【0177】
センサ要素の処理後に、1つ以上の他の機能性コーティングまたはカバー層を、スプレー法、浸漬法など、当技術分野で知られた各種の方法のいずれか1つで塗布することができる。本発明の一部の実施形態は、酵素を含む層の上に蒸着された検体調整層を含む。活性センサ表面に接触する検体(複数可)の量を調整する際に使用するのに加えて、検体制限膜層を利用して、異物によるセンサの汚損の問題もなくなる。当技術分野で知られているように、検体調整膜層の厚さは、活性酵素に到達する検体の量に影響を与える可能性がある。したがって、典型的には、その適用は規定の処理条件下で実施され、その厚さは厳密に制御される。下の層の微細加工は、検体調整膜層の寸法制御に影響する因子であり、かつ検体制限膜層の材料自体の組成物を必要とすることがある。この点で、いくつかのタイプの共重合体、例えば、シロキサンと非シロキサン部分の共重合体が特に有用であることが分かっている。これらの材料をマイクロ分注(microdispensed)またはスピンコーティングして、制御した厚さにすることができる。それらの最終的な構造は、本明細書で説明する他の別々の構造に適合するように、パターン形成およびフォトリソグラフィ技法によって設計することもできる。これらの非シロキサン−シロキサンの共重合体の例には、限定されるものではないが、ジメチルシロキサン−アルケン酸化物、テトラメチルジシロキサン−ジビニルベンゼン、テトラメチルジシロキサン−エチレン、ジメチルシロキサン−シルフェニレン、ジメチルシロキサン−酸化シルフェニレン、ジメチルシロキサン−a−メチルスチレン、ジメチルシロキサン−ビスフェノールA炭酸共重合体(dimethylsiloxane−bisphenol A carbonate copolymers)、またはそれらの適切な組み合わせが含まれる。共重合体の非シロキサン成分の重量パーセントは、任意の有用な値から予め選択することができるが、典型的には、この割合は約40〜80重量%の範囲にある。上記に列挙した共重合体の中で、非シロキサン成分を50〜55重量%含むジメチルシロキサン−ビスフェノールA炭酸共重合体が典型的である。これらの材料は、Petrarch Systems、Bristol、Pa.(USA)から購入することができ、この会社の製品カタログに記載されている。検体制限膜層として働くことができる他の材料には、限定されるものではないが、ポリウレタン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、シリコンゴム、または適合性がある場合はシロキサン非シロキサン共重合体を含むそれらの材料の組み合わせが含まれる。
【0178】
本発明のいくつかの実施形態では、センサは、センサ層の酵素に接触できる検体の量を調整できる親水性の膜のコーティングを含む検体調整層を塗布する方法によって作製される。例えば、本発明のグルコースセンサに加えられるカバー層は、グルコース制限膜を含むことができ、そのグルコース制限膜は、電極のグルコースオキシダーゼ酵素層に接触するグルコースの量を調整する。こうしたグルコース制限膜を、こうした目的に適切であると知られた各種の材料、例えば、ポリジメチルシロキサンなどのシリコン、ポリウレタン、酢酸セルロース、ナフィオン、ポリエステルスルホン酸(例えば、Kodak AQ)、ヒドロゲル、またはこうした目的に適切であると当業者に知られた他の任意の膜から作製することができる。本発明の特定の実施形態では、検体調整層は、中央鎖と、中央鎖に結合された複数の側鎖とを有する親水性櫛型共重合体を含み、少なくとも1つの側鎖はシリコン部分を含む。過酸化水素を再利用できるセンサに関連する本発明のいくつかの実施形態では、グルコースオキシダーゼ酵素層上に配設された膜層は、センサが配置された環境への過酸化水素の放出を阻止し、過酸化水素分子と電極感知要素との接触を促進するように機能する。
【0179】
本発明の方法の一部の実施形態では、接着促進層は、互いの接触を促進するためにカバー層(例えば、検体調整膜層)とセンサ化学層との間に配設され、センサ装置の安定性を向上させることができるように選択される。本明細書に記載するように、接着促進層の組成物は、センサ安定性を向上できることの他にいくつかの所望の特徴をもたらすように選択される。例えば、接着促進層で使用される一部の組成物は、干渉を拒絶する役割を果たし、かつ所望の検体の質量伝達を制御するように選択される。接着促進層を、こうした層の間の結合を促進する、当技術分野で知られた各種の材料のうちのいずれか1つから作製することができ、当技術分野で知られた各種の方法のいずれか1つによって塗布することができる。典型的には、接着促進層は、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシラン化合物を含む。本発明の特定の実施形態では、接着促進層および/または検体調整層は、近位に存在するシロキサン部分を架橋できるように選択された作用物を含む。他の本発明の実施形態では、接着促進層および/または検体調整層は、近位の層に存在するタンパク質のアミンまたはカルボキシル部分架橋できるように選択された作用物を含む。任意選択の実施形態では、AP層はさらに、典型的には、グルコース制限膜などの検体調整層内に存在するポリジメチルシロキサン(PDMS)ポリマーを含む。例示の実施形態では、調合物は、PDMSを0.5〜20%、典型的には、PDMSを5〜15%、最も典型的には、PDMSを10%含む。AP層にPDMSを追加すると、センサが製造されるときにAP層内に孔または隙間が生じる可能性を低減させる場合に有利である場合がある。
【0180】
上記で述べたように、センサ層間の接着を促進するために一般に使用されるカップリング試薬は、γ−アミノプロピルトリメトキシシランである。シラン化合物は、通常、適切な溶媒と混合されて、液体混合物が形成される。次いで、液体混合物は、限定されるものではないが、スピンコーティング、浸漬コーディング、スプレーコーティング、およびマイクロ分注が含まれるいくつかの方法によって、ウェハまたは平面の感知デバイス上に塗布または構築することができる。マイクロ分注プロセスを、材料のマイクロスポットがデバイスのうちの予め選択された複数の領域に分注される自動のプロセスとして実行することができる。さらに、「リフトオフ(lift−off)」などまたはフォトレジストキャップを使用するフォトリソグラフィ技法を使用して、結果として生じる選択透過フィルム(すなわち、選択的透過性を有するフィルム)の形状を局在化および画定することができる。シラン混合物を形成するのに適した溶媒には、水性の有機溶媒、水溶性の有機溶媒、およびその混合物が含まれる。アルコール性水溶性有機溶媒はおよびその水性混合物は特に有用である。これらの溶媒混合物はさらに、例えば、約200から約6,000の範囲の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン系界面活性剤を含むことができる。混合物の濃度約0.005から約0.2g/dLでこれらの界面活性剤を液体混合物に加えると、結果として生じる薄型フィルムの平坦化が助けられる。さらに、シラン試薬を塗布する前にウェハ表面をプラズマ処理すると、改質された表面が提供され、より平坦な層の構築を促進することができる。不水溶性有機溶媒は、シラン化合物の溶液を調製する際に使用することができる。これらの有機溶媒の例には、限定されるものではないが、ジフェニルエーテル、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、またはそれらの混合物が含まれる。プロトン性溶媒またはその混合物を使用するときは、水は最終的にアルコキシ基を加水分解させて、(特にn=1のときに)有機珪素水酸化物を生み出し、それが凝縮してポリ(オルガノシロキサン)が形成される。これらの加水分解されたシラン試薬は、基板表面上に存在できるヒドロキシル基などの極性基で凝縮することもできる。プロトン性溶媒が使用されるときは、大気の水分は、シラン試薬に最初に存在するアルコキシ基を加水分解するのに十分である。シラン化合物のR’基(n=1または2の場合)は、後から塗布される追加の層と機能的に適合するように選択される。R’基は、通常、基板表面への酵素の共有結合的な付着に有用な末端アミン基を含む(グルタルアルデヒドなどの化合物は、例えば、ムラカミT(Murakami,T.)らのAnalytical Letters、1986年、19、1973〜86)に記載されている結合剤として使用することができる)。
【0181】
センサの他のコーティング層のように、接着促進層は、本技術分野で既知のような、放射線ステップおよび/または化学ステップおよび/または熱硬化ステップを受けることができる。代替的実施形態では、酵素層を十分に架橋するか、または別法で、接着促進層が存在しないセンサ化学層と膜カバー層が直接接触して配設できるように調製することができる。
【0182】
本発明の例示の実施形態は、ベース層を設けるステップと、ベース層上にセンサ層を形成するステップと、センサ層上に酵素層をスピンコーティングするステップと、次いで、センサ上に検体接触層(例えば、グルコース制限膜などの検体調整層)を形成するステップによる、センサを作製する方法であって、検体接触層が酵素層に接触できる検体の量を調整する、方法である。一部の方法では、酵素層はセンサ層上に蒸気架橋される。本発明の典型的な実施形態では、センサ層は、少なくとも1つの作用電極および少なくとも1つの対電極を含むように形成される。特定の実施形態では、酵素層は、作用電極の少なくとも一部分および対電極の少なくとも一部分の上に形成される。典型的には、センサ層上に形成された酵素層は、厚さ2、1、0.5、0.25、または0.1ミクロン未満である。典型的には、酵素層は、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、ヘキソキナーゼ、もしくは乳酸デヒドロゲナーゼおよび/または同様の酵素など、1つ以上の酵素を含む。固有の方法では、酵素層は、担体タンパク質を固定比率で組み合わせてセンサ層上にコーティングすることによって安定化されるグルコースオキシダーゼを含む。典型的には、担体タンパク質はアルブミンである。典型的には、こうした方法は、グルコースオキシダーゼ層と検体接触層との間に配設された接着促進層を形成するステップを含む。任意選択で、接着促進層は、検体接触層の形成前に硬化プロセスを受ける。
【0183】
こうしたプロセスによって生産された完成形のセンサは、典型的には、例えば、基板上の各センサを囲むラインに沿って切断することによって(使用されている場合は)支持基板から迅速かつ簡単に取り外される。切断ステップは、完成形のセンサの側方縁部をシールするのに十分に相互接続したベースおよびカバー層の材料が残るように、各センサを囲むかまたは囲繞するラインに沿って、典型的には、導電性要素から少なくともわずかに外側に離間して、ベース層およびカバー層ならびに機能性コーティング層を切断するのに使用されるUVレーザ切断デバイスを含む技術など、当技術で典型的に使用される方法を使用することができる。さらに、典型的にはセラミック基板を切断するのに使用されるダイシング技法を適切なセンサの実施形態に使用することができる。ベース層が典型的には下の支持基板に物理的に取り付けられていないか、または最小限にしか直接接着されていないので、さらなる大掛かりな加工ステップ、または取り付けられたセンサを支持基板から物理的に引っ張るかもしくは剥離させることによるストレスで損傷する可能性なしに、支持基板から迅速かつ簡単にセンサを持ち上げることができる。その後、支持基板を洗浄し再利用することができ、あるいは廃棄することができる。他のセンサ構成部品を支持基板から(例えば、切断することによって)取り外す前にも後にも、機能性コーティング層(複数可)を塗布することができる。
【0184】
I.本発明の検体センサ装置を使用する方法
本発明の関連の実施形態は、哺乳類の体内の検体を感知し、治療用組成物をその哺乳類注入する方法であり、その方法は、本明細書で開示する2重注入セットの実施形態を哺乳類の体内に植え込むステップと、次いで、流体を送達しかつ作用電極において電流の変化を感知するステップと、検体が感知されるように電流の変化を検体の存在と関連付けるステップとを含む。典型的には、検体センサは、電流の変化がアノードで感知される作用電極になるようにアノードに分極される。こうした一方法では、検体センサ装置は、哺乳類の体内のグルコースを感知する。代替の方法では、検体センサ装置は、哺乳類の体内の乳酸塩、カリウム、カルシウム、酸素、pH、および/または任意の生理的に関連する検体を感知する。
【0185】
上記で論じた構造を有する特定の検体センサは、哺乳類の体内の検体を感知する様々な方法を可能にする、いくつかの非常に望ましい特徴を有する。例えば、こうした方法では、哺乳類に植え込まれた検体センサ装置は、1、2、3、4、5、または6か月を超える期間にわたって哺乳類の体内の検体を感知するように機能する。典型的には、哺乳類にそのように植え込まれた検体センサ装置は、検体がセンサに接触して15、10、5、または2分以内に検体に応答した電流の変化を感知する。こうした方法では、哺乳類の体内のセンサを様々な位置に、例えば脈管内の空間にも非脈管内の空間にも、植え込むことができる。
【0186】
IV.本発明のキットおよびセンサセット
本発明の別の実施形態では、上記で説明したように検体を感知し治療用組成物を送達するのに有用なキットおよび/またはセンサセットが提供される。キットおよび/またはセンサセットは、典型的には、容器、ラベル、および上記で説明したような装置を備える。適切な容器は、例えば、金属フォイルなどの材料、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管から作製された開けやすい包装を含む。容器は、金属(例えば、フォイル)、紙製品、ガラス、またはプラスチックなど、様々な材料から形成することができる。容器上のまたはそれに関連するラベルは、センサが検体の選択のアッセイに使用されることを示している。一部の実施形態では、容器は、ベースと、インスリンを注入する注入要素と、血糖を感知する感知要素と、注入要素および感知要素を生体内に挿入する穿刺部材とを有する装置を保持する。キットは、穿刺部材を挿入するユーザ用の自動挿入機を含むことができる。キットはさらに、検体環境へのセンサの導入を容易にするように設計された要素またはデバイス、他の緩衝材、希釈剤、フィルタ、針、シリンジ、および使用説明書を有する包装挿入物を含む、商業上およびユーザの視点から望ましい他の材料を含むことができる。
【0187】
別個の注入カニューレを有する本発明のセンサセットを、本発明の実施形態に従って製造することができる。センサは、基板上にバッチ処理して上記で論じたように用意することができる。例えば、センサは16、20、24、30、または48個でよい。しかし、任意の妥当な数のセンサを単一の基板上に用意することもできる。次いで、作製されたセンサ基板をレーザ切断して、個別のセンサを取り外す。機械式の切断など、他の分離方法も利用することができる。個別のセンサは可撓性の配管内に配置される。その可撓性の配管には針ガイドが取り付けられて、センサセット用のカニューレが形成される。カニューレは、カニューレがベースの外に延在するようにベース中に挿入される。ベースとは別個のOリングまたはテープまたは他の製造要素をこの点で追加することができる。次に、センサのキャップおよびセンサをベース中に挿入する。インスリン用の針がインスリンの送達中に穿刺する自己密封隔壁だけでなく、インスリンチャネルを含むブロックを挿入する。次いで、インスリンキャップを追加する。センサおよびカニューレが今や患者の皮膚に接着されるように適合されたベースに組み付けられるように、接着剤パッチをベースの底面に配置することができる。他の実施形態では、任意選択で針をガードしながら、針のハブなどの穿刺デバイスを予め挿入することができる。インスリンチャネルをセンサベースに接続する領域からの漏出の可能性を低減するために、追加のUV接着剤を使用して、この領域にシールを行うことができる。
【0188】
本明細書を通して様々な公開引用文が参照されている。さらに、様々な本発明の実施形態をより明確に描写するために、関連技術から特定の文を本明細書に転載している。本明細書の引用文全ての開示は明白に本願に引用して援用する。