特許第5777652号(P5777652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777652
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】アンプ装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/193 20060101AFI20150820BHJP
   H03F 1/26 20060101ALI20150820BHJP
   H04B 1/16 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   H03F3/193
   H03F1/26
   H04B1/16 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-28179(P2013-28179)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-158179(P2014-158179A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2014年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165848
【氏名又は名称】原田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124257
【弁理士】
【氏名又は名称】生井 和平
(72)【発明者】
【氏名】橋本 洋延
【審査官】 緒方 寿彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−167205(JP,A)
【文献】 特開2001−060887(JP,A)
【文献】 特開平04−280125(JP,A)
【文献】 特開平08−084025(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/024598(WO,A1)
【文献】 実開昭59−081116(JP,U)
【文献】 米国特許第4380828(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/193
H03F 1/26
H04B 1/16 − 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低背型アンテナからの受信信号を増幅するアンプ装置であって、該アンプ装置は、
低背型アンテナからの受信信号が入力されFM帯の信号を透過するための入力フィルタ回路と、
前記入力フィルタ回路の出力信号を増幅するソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路と、
前記ソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路の出力信号が入力されFM帯の信号を透過するための出力フィルタ回路と、
前記ソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路と出力フィルタ回路の間に挿入され、容量が100pF未満であるDCカット用コンデンサと、
を具備することを特徴とするアンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアンプ装置において、前記入力フィルタ回路及び出力フィルタ回路は、DCカット用コンデンサを含めてインピーダンス調整されることを特徴とするアンプ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のアンプ装置において、前記DCカット用コンデンサは、その容量がソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路の出力から見たインピーダンスにより決定されることを特徴とするアンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナからの受信信号を増幅するアンプ装置であって、特に、NF(Noise Figure:雑音指数)特性を改善したアンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近来、特に車載アンテナのアンテナ長やアンテナ高の縮小化の要求が増々高まってきている。物理的にアンテナ長を短くした結果、受信感度等のアンテナ特性が劣化するが、これを補うために一般的に増幅回路が用いられている。例えば特許文献1や特許文献2には、増幅回路を用いたアンテナ用のアンプ装置が開示されている。これらでは、増幅回路の入力側には、アンテナからの受信信号から必要な帯域の信号だけを選択するためのフィルタ回路が設けられている。そして、増幅回路の出力側には、不要な帯域の周波数成分が入らないようにするためのフィルタ回路が設けられている。また、増幅回路の出力側のフィルタ回路と増幅回路との間には、DCカット用のコンデンサが設けられている。DCカット用のコンデンサは、通常、FM帯域では1000pF程度の容量のものが用いられる。通常、直流から低周波成分までをカットする必要はなく、使用帯域、例えばFM帯域において十分小さなインピーダンスとなれば良いので、1000pF以上の大きな容量を用いており、小さくする必要がないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−84025号公報
【特許文献2】国際公開公報第2011/024598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンテナ長の短いアンテナでは、ターゲット周波数帯となる帯域内における虚部のインピーダンス変動が大きい。このため、全帯域内で増幅回路とのインピーダンス調整を行うことは難しい。したがって、マッチング回路を用いてインピーダンス調整を行ったとしても、帯域中心のNF特性は改善されるが帯域両端のNF特性は悪化してしまう場合や、帯域両端のNF特性は改善されるが帯域中心のNF特性が悪化し、さらに感度も低下する場合もあった。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、感度やNF特性を改善したアンプ装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明によるアンプ装置は、アンテナからの受信信号が入力されFM帯の信号を透過するための入力フィルタ回路と、入力フィルタ回路の出力信号を増幅するソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路と、ソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路の出力信号が入力されFM帯の信号を透過するための出力フィルタ回路と、ソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路と出力フィルタ回路の間に挿入され、容量が100pF未満であるDCカット用コンデンサと、を具備するものである。
【0007】
ここで、入力フィルタ回路及び出力フィルタ回路は、DCカット用コンデンサを含めてインピーダンス調整されれば良い。
【0008】
また、DCカット用コンデンサは、その容量がソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路の出力から見たインピーダンスにより決定されれば良い。
【0009】
また、アンプ装置は、低背型アンテナからの受信信号を増幅するものであれば良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンプ装置には、感度やNF特性を改善可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明のアンプ装置を説明するためのブロック図である。
図2図2は、本発明のアンプ装置のソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路を説明するための回路図である。
図3図3は、本発明のアンプ装置のFM帯域に対するNF特性である。
図4図4は、本発明のアンプ装置のDCカット用コンデンサの容量に対する感度特性及びNF特性である。
図5図5は、本発明のアンプ装置のDCカット用コンデンサの容量に対する感度特性及びNF特性の他の例である。
図6図6は、本発明のアンプ装置のDCカット用コンデンサの容量に対する感度特性及びNF特性のさらに他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明のアンプ装置を説明するためのブロック図である。本発明のアンプ装置は、車載アンテナ等のアンテナ1からの受信信号を増幅するために用いられるものである。図示の通り、本発明のアンプ装置は、入力フィルタ回路10と、増幅回路20と、出力フィルタ回路30と、DCカット用コンデンサ40とから主に構成されている。なお、アンテナ1は、FMアンテナであれば良く、さらに、例えばアンテナ長を極端に短くしたもの等、理想的なアンテナと比べてアンテナ特性が十分に得られないものであっても良い。特に、低背型アンテナからの受信信号を増幅するのに適したものである。
【0013】
入力フィルタ回路10は、アンテナ1からの受信信号が入力されFM帯の信号を透過するものである。通常、アンテナ1からの受信信号には、所望の周波数帯域以外の信号も含まれてしまっているため、入力フィルタ回路10を介して増幅回路20に受信信号が入力される。入力フィルタ回路10は、例えばLC回路によるバンドパスフィルタや整合回路が含まれるものであれば良い。また、入力フィルタ回路10は、後述のDCカット用コンデンサ40を含めてインピーダンス調整されれば良い。
【0014】
増幅回路20は、ソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路であり、入力フィルタ回路10の出力信号を増幅するものである。図2は、本発明のアンプ装置のソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路を説明するための回路図である。図示の通り、本発明のアンプ装置のソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路20は、デュアルゲートMOSFET21をソース接地で用いるものである。デュアルゲートMOSFET21のソースSは、抵抗R1及びコンデンサC1の並列回路を介して接地されている。ゲートG1は抵抗R2を介して接地されると共に、入力フィルタ回路10からの信号が入力される。また、抵抗R3を介してドレインDに接続されている。ゲートG2は、抵抗R4を介して電源に接続されると共に、抵抗R5とコンデンサC2の並列回路を介して接地されている。ドレインDは、DCカット用コンデンサ40への出力となると共に、抵抗R6とコイルLを介して電源に接続されている。なお、図示例はあくまでも一般的なソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路の一例であり、本発明はこれに限定されず、ソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路であれば、如何なる回路構成であっても構わない。また、バイポーラトランジスタによるエミッタ接地型やベース接地型の増幅回路を用いた場合には、本発明の効果は得られなかった。
【0015】
出力フィルタ回路30は、ソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路20の出力信号が入力され、FM帯の信号を透過するものである。これは、増幅回路等において混入するノイズ成分を除去するために用いられる。出力フィルタ回路30も、例えばLC回路によるバンドパスフィルタや整合回路が含まれるものであれば良い。また、出力フィルタ回路30も、後述のDCカット用コンデンサ40を含めてインピーダンス調整されれば良い。
【0016】
そして、DCカット用コンデンサ40は、ソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路20と出力フィルタ回路30の間に挿入されるものである。これは、ソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路20から出力フィルタ回路30へ直流成分が流れるのを防止するためのものである。本願のアンプ装置のDCカット用コンデンサ40は、容量が100pF未満である。これは、通常のDCカット用コンデンサの容量に比べて非常に小さいものである。上述の背景技術の欄でも説明したが、DCカット用のコンデンサは、通常、FM帯域では1000pF程度の容量のものが用いられる。一般的には、直流から低周波成分までをカットする必要はなく、使用帯域、例えばFM帯域において十分小さなインピーダンスとなれば良いので、1000pF以上の大きな容量を用いており、小さくする必要がないものであった。しかしながら、本願発明者はこのDCカット用コンデンサに着目し、容量を可変してみたところ感度やNF特性に改善が見られたので、今回の発明に至った。
【0017】
ここで、DCカット用コンデンサ40は、その容量はソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路20の出力から見て同一の容量であれば良い。即ち、図示例では1つのコンデンサで構成される例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば2つのコンデンサを並列接続や直列接続とし、その合計容量がソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路20の出力から見て100pF未満となるように構成されていれば良い。
【0018】
図3に、本発明のアンプ装置のFM帯域に対するNF特性を示す。本願発明のNF特性は■で示した。比較例として、従来技術のようにDCカット用コンデンサの容量が1000pFの場合で、入力フィルタ回路で帯域両端のマッチングを取らなかった場合を◆で表し、帯域両端のマッチングを取った場合を▲で表した。なお、同グラフの縦軸は最も低い感度、NFの値を0dBとして表している。また、アンテナ長は約60mmのものを用いた。図示の通り、従来技術では、帯域両端のマッチングを取らない場合には、帯域中心のNF特性は良いが、帯域両端のNF特性は悪化している。また、従来技術では、帯域両端のマッチングを取った場合であっても、帯域両端のNF特性は改善されるが帯域中心のNF特性が悪化してしまっている。しかしながら、本願発明のNF特性は、帯域中心のNF特性も悪くなく、さらに帯域両端のNF特性も改善されていることが分かる。
【0019】
次に、図4に、DCカット用コンデンサの容量に対する感度特性及びNF特性を示す。図4(a)が感度特性であり、図4(b)がNF特性である。このグラフは、DCカット用コンデンサの容量を従来技術のように1000pFから100pFよりも小さいものに下げていった場合の特性である。また、DCカット用コンデンサの容量が5pFのときにおいて入力フィルタ回路10及び出力フィルタ回路30のインピーダンス調整を行い、その状態からDCカット用コンデンサの容量を変化させたものである。図中、アンテナからの受信信号が88MHzの場合を◆で表し、98MHzの場合を■で表し、108MHzの場合を▲で表した。また、平均を×で表した。なお、同グラフの縦軸は最も低い感度、NFの値を0dBとして表している。
【0020】
図示の通り、DCカット用コンデンサの容量を100pF未満にすると、感度が急激に上がりだすことが分かる。また、NF特性についても、100pF未満から徐々に下がっていくことが分かる。なお、この傾向は、ソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路20に用いられるデュアルゲートMOSFET21を種々のメーカのものに変えても同様の傾向が見られた。
【0021】
このように、本発明のアンプ装置によれば、DCカット用コンデンサ40の容量を100pF未満とすることで、感度やNF特性を改善することが可能である。
【0022】
次に、図5に、DCカット用コンデンサの容量に対する感度特性及びNF特性の他の例を示す。図5(a)が感度特性であり、図5(b)がNF特性である。このグラフは、DCカット用コンデンサの容量を従来技術のように1000pFから100pFよりも小さいものに下げていった場合の特性であるが、図4に示された例との違いは、この例ではDCカット用コンデンサの容量を変える度にそれに合わせて入力フィルタ回路10及び出力フィルタ回路30のインピーダンス調整を行ったものである。即ち、感度変動が小さくなるように調整を行ったものである。図中、アンテナからの受信信号が88MHzの場合を◆で表し、98MHzの場合を■で表し、108MHzの場合を▲で表した。また、平均を×で表した。なお、同グラフの縦軸は最も低い感度、NFの値を0dBとして表している。
【0023】
図示の通り、DCカット用コンデンサの容量を100pF未満にすると、NF特性が急激に下がることが分かる。98MHzの場合には若干上昇している部分があるが、平均すると大きく下がっていることが分かる。また、感度特性については98MHzの場合に上昇していることも分かる。
【0024】
さらに、図6に、DCカット用コンデンサの容量に対する感度特性及びNF特性のさらに他の例を示す。図6(a)が感度特性であり、図6(b)がNF特性である。このグラフは、DCカット用コンデンサの容量を従来技術のように1000pFから100pFよりも小さいものに下げていった場合の特性であるが、図4に示された例との違いは、アンテナ長が長い(アンテナ感度良好な)場合、即ち、アンテナ長が約180mmの場合の特性である。図中、アンテナからの受信信号が88MHzの場合を◆で表し、98MHzの場合を■で表し、108MHzの場合を▲で表した。また、平均を×で表した。なお、同グラフの縦軸は最も低い感度、NFの値を0dBとして表している。
【0025】
図示の通り、DCカット用コンデンサの容量を100pF未満にすると感度が上がり、NF特性が急激に下がる傾向は、アンテナ長の長さに関わらず、図4と同様の傾向が見られることが分かる。
【0026】
したがって、本発明のアンプ装置は、使用されるアンテナ長の長さの影響も受けず長くても短くても適用可能であり、また、特定のデュアルゲートMOSFETにも依存せず、DCカット用コンデンサの容量を100pF未満にすることで、感度やNF特性が改善されることが分かる。
【0027】
なお、本発明のアンプ装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、上述の具体的な寸法や感度、NF特性等についても、あくまでも一例であり、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0028】
1 アンテナ
10 入力フィルタ回路
20 ソース接地型デュアルゲートMOSFET増幅回路
21 デュアルゲートMOSFET
30 出力フィルタ回路
40 DCカット用コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6