(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777660
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】樹脂成形装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20150820BHJP
H01L 27/14 20060101ALI20150820BHJP
H04N 5/335 20110101ALI20150820BHJP
B29C 33/68 20060101ALI20150820BHJP
B29C 33/00 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
H01L21/56 T
H01L27/14 D
H04N5/335
B29C33/68
B29C33/00
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-105195(P2013-105195)
(22)【出願日】2013年5月17日
(65)【公開番号】特開2014-225619(P2014-225619A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2013年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】501184434
【氏名又は名称】アサヒ・エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】石井 正明
【審査官】
原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/140750(WO,A1)
【文献】
特開平11−058435(JP,A)
【文献】
特開2010−153726(JP,A)
【文献】
特開2010−238868(JP,A)
【文献】
特開2006−086499(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0243667(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
B29C 33/00
B29C 33/68
H01L 27/14
H04N 5/335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各半導体装置(1)の保護領域(110a)を離型フィルム(112)で保護して複数の半導体装置を一括して樹脂成形するための装置であって、
前記複数の半導体装置及び前記離型フィルムが配置される成形金型(100)と、
前記成形金型内に設けられたキャビティ(103)と、
前記キャビティ内で前記半導体装置ごとに設けられて前記離型フィルムを押圧する複数の可動コア(104)と、
を備え、
前記離型フィルム(112)は、前記複数の可動コア(104)によって押圧される領域よりも広い領域にわたって前記成形金型(100)内に配置され、
前記成形金型(100)の型締め時に前記複数の半導体装置における最も高さが低い半導体装置(1)に対して前記離型フィルム(112)が密着するように前記複数の可動コア(104)の飛び出し量が設計されており、
各半導体装置(1)の可動コア(104)によって、前記離型フィルム(112)の前記半導体装置(1)への押圧力を調整可能であり、
前記複数の可動コア(104)は各半導体装置(1)の傾きに合わせて押圧面を傾かせることを特徴とする、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記可動コア(104)の前記半導体装置(1)に対する押圧力を調整可能に設けられた弾性体(105)を更に備える、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
前記弾性体(105)は、バネ、ゴム、または、バネとゴムの組み合わせの何れかである、装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の装置において、
前記半導体装置(1)は撮像素子を有し、前記保護領域(110a)は、前記撮像素子のアクティブ領域を覆うシールガラス(110)上に規定される領域である、装置。
【請求項5】
各半導体装置(1)の保護領域(110a)を離型フィルム(112)で保護して複数の半導体装置を一括して樹脂成形する半導体装置の製造方法であって、
複数の可動コア(104)によって押圧される領域よりも広い領域にわたって成形金型(100)内に前記離型フィルム(112)を配置し、
前記成形金型(100)の型締め時に前記複数の半導体装置における最も高さが低い半導体装置(1)に対して前記離型フィルム(112)が密着するように、キャビティ(103)内で半導体装置(1)ごとに設けられた複数の可動コア(104)の飛び出し量が設計されており、
キャビティ(103)内で半導体装置(1)ごとに設けられた可動コア(104)によって、前記離型フィルム(112)の前記半導体装置(1)への押圧力を調整し、
前記複数の可動コア(104)の押圧面を各半導体装置(1)の傾きに合わせて傾かせることを特徴とする、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置の製造方法において、
前記可動コア(104)を付勢する弾性体(105)によって、前記可動コア(104)の前記半導体装置(1)に対する押圧力を調整する、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
前記弾性体(105)は、バネ、ゴム、または、バネとゴムの組み合わせの何れかである、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体装置(1)は撮像素子を有し、前記保護領域(110a)は、前記撮像素子のアクティブ領域を覆うシールガラス(110)上に規定される領域である、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置、特に、各半導体装置の保護領域を離型フィルムで保護して複数の半導体装置を一括して樹脂成形する装置に関する。
本発明は、半導体装置の製造方法、特に、各半導体装置の保護領域を離型フィルムで保護して複数の半導体装置を一括して樹脂成形する半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高機能化や軽薄短小化の要求に伴って、電子部品の高密度集積化や高密度実装化が進み、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の従来比較的大型のパッケージを用いていた電子部品においても、CSP(チップサイズパッケージ)化が進められている。特に、センサチップのアクティブ面側にリブ材やスペーサを用いてシールガラスを直接積層し中空構造を形成したチップサイズパッケージが用いられるようになってきている。
【0003】
センサ装置の樹脂封止工程において、シールガラスに樹脂の薄バリが発生するのを防止するため、離型フィルムを用いたフィルムモールド成形が採用されているが、フィルムモールド成形によっても、薄バリの発生を完全に防ぐことは困難である。センサ装置は、サブストレート(配線基板)、センサチップ、リブ材(スペーサ)、シールガラスを積層してなり、それぞれは厚みのバラツキを持って、積層物の厚みのバラツキを発生させる。そして積層物の厚みのバラツキが、各センサ装置においてフィルムとシールガラスとの密着性にバラツキを発生させる。その密着性のバラツキが薄バリを発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/140750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、複数の半導体装置を一括して樹脂成形する際に、各半導体装置と離型フィルムとの間の密着性を向上させ、薄バリの発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態では、各半導体装置(1)の保護領域(110a)を離型フィルム(112)で保護して複数の半導体装置を一括して樹脂成形するための装置であって、前記複数の半導体装置及び前記離型フィルムが配置される
成形金型(100)と、
前記成形金型内に設けられたキャビティ(103)と、前記キャビティ内で前記半導体装置ごとに前記金型内に設けられ
て前記離型フィルムを押圧する複数の可動コア(104)と、を備え、
前記離型フィルム(112)は、前記複数の可動コア(104)によって押圧される領域よりも広い領域にわたって前記成形金型(100)内に配置され、前記成形金型(100)の型締め時に前記複数の半導体装置における最も高さが低い半導体装置(1)に対して前記離型フィルム(112)が密着するように前記複数の可動コア(104)の飛び出し量が設計されており、各半導体装置(1)の可動コア(104)によって、前記離型フィルム(112)の前記半導体装置(1)への押圧力を調整可能であ
り、前記複数の可動コア(104)は各半導体装置(1)の傾きに合わせて押圧面を傾かせることを特徴とする。この装置では、複数の半導体装置の半導体装置ごとに可動コアによって離型フィルムの押圧力が調整されるので、半導体装置の高さのバラツキや傾きがあったとしても、最も高さが低い半導体装置に離型フィルムが密着するように
成形金型を型締めすれば、他の半導体装置では離型フィルムからの押圧力が過度になることなく、離型フィルムと密着する。例えば、
成形金型の型締め時に最も高さが低い半導体装置に離型フィルムが密着するように可動コアの飛び出し量が設計される。また、半導体装置に傾きがある場合、可動コアの押圧面を半導体装置の傾きに合わせて傾かせることにより、半導体装置に過度の押圧力を加えることなく、可動コアを半導体装置に密着させることができる。よって、離型フィルムによる過度の押圧力によって半導体装置の信頼性を低下させることを抑制しつつ、各半導体装置と離型フィルムとの間の密着性を向上させることができる。その結果、半導体装置の保護領域に樹脂が入り込んで生じる薄バリの発生を抑制することができる。
【0007】
可動コア(104)の半導体装置(1)に対する押圧力を調整可能に設けられた弾性体(105)を更に備えることが可能である。可動コアを半導体装置に向けて弾性体で付勢するように構成すれば、半導体装置に対する可動コアの押圧力が所定値以上になった場合には、弾性体の付勢力に抗して可動コアが変位することで、半導体装置に対する可動コアの押圧力が過度に大きくなるのを防止することができる。
【0008】
弾性体は、例えば、バネ、ゴム、または、バネとゴムの組み合わせとすることが可能である。
【0009】
半導体装置(1)は撮像素子を有し、保護領域(110a)は、撮像素子のアクティブ領域を覆うシールガラス(110)上に規定される領域である。撮像素子のシールガラスに薄バリが生じることを抑制し、シールガラスを介した良好な光の透過を実現可能である。撮像素子は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサである。
【0010】
本発明の一実施形態では、各半導体装置(1)の保護領域(110a)を離型フィルム(112)で保護して複数の半導体装置を一括して樹脂成形する半導体装置の製造方法であって、
複数の可動コア(104)によって押圧される領域よりも広い領域にわたって成形金型(100)内に前記離型フィルム(112)を配置し、前記成形金型(100)の型締め時に前記複数の半導体装置における最も高さが低い半導体装置(1)に対して前記離型フィルム(112)が密着するように、キャビティ(103)内で半導体装置(1)ごとに設けられた複数の可動コア(104)の飛び出し量が設計されており、キャビティ(103)内で半導体装置(1)ごとに設けられた可動コア(104)によって、前記離型フィルム(112)の前記半導体装置(1)への押圧力を調整
し、前記複数の可動コア(104)の押圧面を各半導体装置(1)の傾きに合わせて傾かせることを特徴とする。この方法では、半導体装置ごとに可動コアによって離型フィルムの押圧力が調整されるので、半導体装置の高さのバラツキや傾きがあったとしても、最も高さの低い半導体装置に離型フィルムが密着するように
成形金型を型締めすれば、他の半導体装置では離型フィルムからの押圧力が過度になることなく、離型フィルムと密着する。よって、離型フィルムによる過度の押圧力によって半導体装置の信頼性を低下させることを抑制しつつ、各半導体装置と離型フィルムとの間の密着性を向上させることができる。その結果、半導体装置の保護領域に樹脂が入り込んで生じる薄バリの発生を抑制することができる。
【0011】
可動コア(104)を付勢する弾性体(105)によって、可動コア(104)の半導体装置(1)に対する押圧力を調整する。可動コアを半導体装置に向けて弾性体で付勢するように構成すれば、半導体装置に対する可動コアの押圧力が所定値以上になった場合には、弾性体の付勢力に抗して可動コアが変位することで、半導体装置に対する可動コアの押圧力が過度に大きくなるのを防止することができる。
【0012】
弾性体は、例えば、バネ、ゴム、または、バネとゴムの組み合わせとすることが可能である。
【0013】
半導体装置(1)は撮像素子を有し、保護領域(110a)は、撮像素子のアクティブ領域を覆うシールガラス(110)上に規定される領域である。撮像素子のシールガラスに薄バリが生じることを抑制し、シールガラスを介した良好な光の透過を実現可能である。撮像素子は、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法において、半導体装置を樹脂成形装置の成形金型に載置した状態の断面図である。
【
図2】
図1の成形金型を型締めした状態での断面図である。
【
図3】比較例に係る半導体装置の製造方法において、半導体装置を樹脂成形装置の成形金型に載置した状態の断面図である。
【
図4】
図3の成形金型を型締めした状態での断面図である。
【
図5】
図4の状態から更に型締めした状態での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法において、複数の半導体装置1を樹脂成形装置の成形金型100に載置した状態の断面図である。
図2は、
図1の成形金型100を型締めした状態を示す。
図1及び
図2では、2つの半導体装置1を図示しているが、半導体装置の数は3つ以上であってもよい。
【0016】
半導体装置1は、サブストレート107と、半導体チップ108と、リブ材又はスペーサ109と、シールガラス110とを備える。樹脂成形の段階では、共通のサブストレート107上に複数の半導体チップ108が配置された状態であるが、樹脂成形後に、サブストレート107が半導体装置1ごとに分割される。半導体チップ108は、例えば、センサチップである。センサチップは、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子を含む。なお、シールガラス110の上面で離型フィルム112によって樹脂が入り込まないように保護される領域を保護領域110aとする。また、半導体装置1は、上記構成に限らず、樹脂成形部表面に内部(ヒートシンクやダイ)が露出している構成(樹脂からの保護領域)を有する半導体装置であれば良い。
【0017】
図1及び
図2の例では、右側の半導体装置1のサブストレート107を除いた高さ(半導体チップ108、リブ材又はスペーサ109及びシールガラス110の高さ)はH1、左側の半導体装置1のサブストレート107を除いた高さはH2(>H1)であり、両者の高さの差H2−H1をH3とする。以下の説明では、半導体装置1のサブストレート107を除いた高さH1,H2を単に半導体装置1の高さと称す。
【0018】
成形金型100は、下金型101と上金型102とから成り、上金型102の下面にはキャビティ103が形成されている。キャビティ103の底面には、開口部102aと、開口部102aの奥側で開口部102aより広い開口部102bとが形成されている。これらの開口部102a、102bに可動コア104が上下方向に摺動可能に配置されている。可動コア104の開口部102b側にはフランジ104aが設けられており、開口部102aと開口部102bとの段差部にフランジ104aが当接することで、可動コア104の下方への変位が規制されている。開口部102bの底面と可動コア104との間には、弾性体105が介装されており、可動コア104のフランジ104aが段差部に当接するように可動コア104を下方に付勢する。弾性体105は、例えば、バネ、ゴム、又はバネとゴムの組み合わせで構成できるが、これらに限定されない。バネは、例えばベルビルスプリング(皿バネ)とすることができる。ゴムは、耐熱性を有するゴム、例えばシリコンゴムとすることができる。弾性体105は、可動コア104を下方に付勢して離型フィルム102を半導体装置1のシールガラス111に密着させる機能を有する。可動コア104が弾性体105で付勢された構成により、カバーガラス110に傾きがある場合でも、可動コア104をカバーガラス110の傾きに合わせて傾けることが可能である。可動コア104の底面(押圧面)104bには、半導体装置1のシールガラス110内側の空洞111に対応する領域にフィルム逃げ用の窪み106が形成されている。このフィルム逃げ用の窪み106は、平面視において空洞111に対応する領域を有し、半導体装置1を上金型102及び下金型101でクランプしたときに離型フィルム(リリースフィルム)112が圧縮されて厚みを減少させる分、つまり圧縮代の大きさ以上の深さ(例えば、約0.3mmから約0.5mmの深さ)を有する。
【0019】
但し、フィルム逃げ用の窪み106の深さは、クランプ時に離型フィルム112が空洞111上方でシールガラス110に加える圧力が許容できる範囲(シールガラスが破損しない圧力の範囲)である限り圧縮代の大きさよりも小さくても良い。
【0020】
また、平面視におけるフィルム逃げ用の窪み106の領域は、空洞111の領域と対応させることが好ましいが、クランプ時に離型フィルム112が空洞111上方でシールガラス110に加える圧力が許容できる範囲である限り、空洞111の領域よりも小さくても良い。また、シールガラス111での薄バリ発生を防止できる限り、平面視におけるフィルム逃げ用の窪み106の領域は、リブ材又はスペーサ109の占める領域と重なっても良い。
【0021】
本実施形態では、半導体装置1は、半導体チップ108のアクティブ面側にリブ材やスペーサ109を用いてシールガラス110を直接積層し、中空構造を形成したチップサイズパッケージ(CSP)である。この半導体装置1は、配線板としてのサブストレート107と、サブストレート107上に固定される半導体チップ108と、センサチップ108上にリブ材又はスペーサ109に支持されて半導体チップ108と所定の間隔を維持して配置されたシールガラス110とを備えている。
【0022】
サブストレート107は、図示していないが、スルーホールを通じて互いに導通された内部導体パッド(上面側)及び外部導体パッド(下面側)を備え、内部導体パッドがボンティングワイヤを介して半導体チップ108と接続されている。半導体チップ108は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の素子が形成された受光領域を含むアクティブ面を有し、ボンディングワイヤによるサブストレート107との接続に用いられる入出力パッド(図示せず)を備える。リブ材又はスペーサ109は、所定の厚みを有する枠状の部材であり、半導体チップ108のアクティブ面を囲むようにアクティブ面の周辺部に固定される。シールガラス110は、リブ材又はスペーサ109上に固定され、リブ材又はスペーサ109とともに半導体チップ108を気密封止する。このような構成により、半導体チップ108とカバーガラス110との間には空洞111が形成される。
【0023】
上述した成形金型100による樹脂成形では、
図1に示すように、上金型102のキャビティ103内に離型フィルム112を貼り付ける。このとき、可動コア104の底面(押圧面)上にも離型フィルム112が配置される。下金型101内に複数の半導体装置1を載置した(
図1)後、成形金型100を型締めして、半導体装置1を下金型101及び上金型102でクランプする(
図2)。
【0024】
成形金型100の型締めは、高さの最も低い右側の半導体装置1(高さH1)のシールガラス110の上面に離型フィルム112が密着するように、上金型102が下降され、右側の半導体装置1の上方の可動コア104は弾性体105の付勢に逆らって若干上方に移動する。可動コア104の飛び出し量(
図1の状態で可動コア104がキャビティ103の底面から飛び出す量)は、成形金型100の型締め時に最も高さが低い半導体装置1に離型フィルム112が密着するように設計する。左側の半導体装置1の上方の可動コア104も高さH1まで下降しようとするが、左側の半導体装置1の高さがH2(>H1)であるので、弾性体105が縮んで可動コア104をH2-H1だけ上方に変位させ、左側の半導体装置1の上方で可動コア104を適した位置に止める。この結果、高さの最も低い半導体装置1の高さ(H1)まで上金型102を下降させた場合であっても、他の半導体装置1(高さH2)を可動コア104で過度に押圧することなく、各半導体装置1に割り当てられた可動コア104が適切な押圧力で離型フィルム112をシールガラス110に密着させることができる。また、半導体装置1に傾きがある場合、可動コア104の押圧面104bを半導体装置1の上面(カバーガラス110)の傾きに合わせて傾かせることができるので、半導体装置1に過度の押圧力を加えることなく、可動コア104を半導体装置1のカバーガラス110に密着させることができる。この状態で、半導体装置1のシールガラス110に離型フィルム112が密着してシールガラス110上に規定された保護領域110aが保護される。より詳細には、樹脂成形作業時において、シールガラス110上の保護領域110aに樹脂が入り込むのを防止して、シールガラス110に薄バリが生じないような圧力で離型フィルム112がシールガラス110に密着する。そして、トランスファーモールド法等により樹脂をキャビティ103内に供給して、半導体装置100の周囲を樹脂で封止する。
【0025】
半導体装置1を成形金型100でクランプすると、可動コア104の底面104bから離型フィルム112を介してシールガラス110に押え圧力が加わる。このとき、シールガラス110のリブ材又はスペーサ109の上方の部分では、離型フィルム112及びシールガラス110が可動コア104の底面104bとリブ材又はスペーサ109とに挟まれるため、離型フィルム112がキャビティ103からの押え圧力により圧縮され、離型フィルム112からシールガラス110に押圧力が加わる。一方、リブ材又はスペーサ109の上方の部分以外(空洞111上方の部分)では、離型フィルム112が可動コア104の底面に形成されたフィルム逃げ用の窪み106に対向しており、離型フィルム112がフィルム逃げ用の窪み106に逃げるため、圧縮されない。このため、空洞111上方では、離型フィルム112が可動コア104の底面104bからの押え圧力をシールガラス110に伝達せず、シールガラス110に曲げ応力がかからない。この結果、シールガラス110が空洞111上方の部分で曲げ応力を受けて破損することを防止することができる。
【0026】
(比較例)
図3は、本発明に係る半導体装置の製造方法と比較するために例示した、比較例に係る半導体装置の製造方法において、複数の半導体装置1を樹脂成形装置の成形金型100に載置した状態の断面図である。比較例に係る成形金型100では、金型キャビティ103に可動コア104及び弾性体105を設けない。フィルム逃げ用窪み106は、金型キャビティ103の底面に設けられている。
図4は、
図3に示した成形金型100を型締めしたときの断面図である。
【0027】
この比較例に係る成形金型によれば、
図4に示すように、左側の半導体装置1のシールガラス110の上面に離型フィルム112が適切な圧力で密着するように上金型102を下金型101に接近させた場合に、右側の半導体装置1のシールガラス110の上面と離型フィルム112との間には高さH3(H2-H1)に相当する隙間が生じ、右側の半導体装置1の保護領域110aを樹脂から保護することができない。
【0028】
一方、
図5に示すように、右側の半導体装置1のシールガラス110の上面に離型フィルム112が適切な圧力で密着するようになるまで上金型102を下金型101に更に接近させると、左側の半導体装置1のシールガラス110に対して、上金型102及び下金型103が離型フィルム112を介してH3(H2-H1)だけ余分に型締めされ、左側の半導体装置1を過度に締め付けることになる。このとき、
図5に示すように、左側の半導体装置1のシールガラス110、リブ又はスペーサ109が歪み、半導体装置1の信頼性を低下させるおそれがある。
【0029】
一方、本実施形態の半導体装置の製造方法によれば、半導体装置1ごとに個別に可動コア104及び弾性体105を設けるため、半導体装置1間の高さにバラツキがある場合であっても、離型フィルム112を各半導体装置1上面に適切に密着させることができ、半導体装置1に過度の押圧力を加えることなく、半導体装置1の保護領域110aを樹脂から保護することができる。つまり、半導体装置1間の高さにバラツキがあったとしても、最も高さの低い半導体装置1に離型フィルム112が密着するまで型締めすることで、他の半導体装置1では、それぞれに割り当てられた可動コア104の上下位置が弾性体105によって調整され、半導体装置1の上面に過度の圧力がかからないように離型フィルム112が押し付けられ密着される。また、半導体装置に傾きがある場合、可動コアの押圧面を半導体装置の傾きに合わせて傾かせることができるので、半導体装置に過度の押圧力を加えることなく、可動コアを半導体装置に密着させることができる。よって、本実施形態の半導体装置の製造方法によれば、複数の半導体装置を一括して樹脂成形する際に、半導体装置に過度の圧力がかかるのを防止しつつ、各半導体装置と離型フィルムとの間の密着性を向上させ、薄バリの発生を抑制することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 半導体装置
100 成形金型
101 下金型
102 上金型
102a、102b 開口部
103 キャビティ
104 可動コア
104a フランジ
104b 底面
105 弾性体
106 フィルム逃げ用窪み
107 サブストレート(配線板)
108 半導体チップ
109 リブ材又はスペーサ
110 シールガラス
111 ガラス下空洞
112 離型フィルム