(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各駆動コンデンサに別々の接地が提供されるように、それぞれがその第一の端部で前記一対のコイルループのうちの一つの駆動コンデンサに接続されている一対の出力ケーブルをさらに備える、請求項1のコイル。
前記フェーズドアレイ構成が、前記一対のコイルループが、前記一対のコイルループのそれぞれの少なくとも一部が重複し前記一対のコイルループが共通の導体を共有するハイブリッド重複構成に配置されていることを要求する、請求項1のコイル。
前記フェーズドアレイ構成が、前記一対のコイルループが、前記一対のコイルループのそれぞれの少なくとも一部が重複し前記一対のコイルループが共通の導体を共有するハイブリッド重複構成に配置されていることを要求する、請求項16の腔内プローブ。
前記スペーサー材料により、0.762〜1.524mmの間の所定の距離が、前記複数のコイルループと前記対象領域の間に存在するようになり、それによって、前記コイルループの付近の前記磁気共鳴信号の強度が低下し、前記対象領域内の深さでの信号対雑音比が、前記対象領域の前記画像の再構成に適切なように維持され、ギブズアーチファクトを含めた前記画像のアーチファクトが低減する、請求項27のコイル。
【背景技術】
【0003】
下記の背景情報は、以下に開示した発明およびそれが一般的に使用される環境についての読者の理解を助けるために提供したものである。本明細書で使用した用語は、本明細書において明示的または黙示的のいずれかのかたちで別途明瞭な記載のない限り、何らかの特定の狭い解釈に限定されることは意図していない。
【0004】
磁気共鳴画像法(MRI)は、ヒトの身体の内部の高品質の画像を生成する非観血的方法である。これにより、医療従事者は、手術することなく、またはX線などの電離放射線を使用することなく、ヒトの身体の内側を見ることができる。画像は、癌やその他の形態の病状が、多くの場合、健康な組織と視覚的に区別できるほど高い解像度のものである。磁気共鳴の技術およびシステムは、分光分析を実施し、それによって体組織またはその他の材料の化学物質含有量を判定できるようにするという目的のためにも開発されてきた。
【0005】
MRIでは、体内の軟組織、筋肉、神経および骨の詳細な画像を生成するために強力な磁石、電波およびコンピュータ技術を使用する。これは、生命体内の全細胞で豊富に存在する原子である水素原子の基本的な性質を利用することによってなされる。磁場がない場合、水素原子の原子核は、あらゆる方向にランダムに、コマのようにスピン、つまり歳差運動する。ところが、強い磁場に晒されると、水素原子核のスピン軸は磁場の方向に整列する。これは、水素原子の原子核が、磁場の方向と整列する固有の強い傾向である、大きな磁性モーメントと呼ばれるものを持つためである。集合的に、撮像される領域の水素原子核が、磁場と平行な磁化の平均ベクトルを生成する。
【0006】
典型的なMRIシステム、つまりスキャナーには、主要磁石、3個の傾斜コイル、高周波(RF)アンテナ(しばしば、全身コイルと呼ばれる)、およびそこからオペレーターがシステムを制御できるコンピュータステーションが含まれる。ただし、MRIシステムの主な構成要素は、主要磁石である。これは、一般に事実上超伝導で、かつ円筒形の形状である。その穴(MRI処置時に患者がそのなかに配置される開口部)の内部で、主要磁石が、よくB0磁場と呼ばれることのある強い磁場を生成するが、これは、一様でありかつ静的(非変化)である。このB0磁場は、z方向と呼ばれる穴の縦軸に沿った向きであり、これが、体内の水素原子核の磁化ベクトルを強制的にその軸と平行になるようにさせる。この整列において、原子核は、全身コイルから適切な周波数のRFエネルギーを受ける準備ができている。この周波数は、ラーモア周波数として知られ、また等式ω=γB0で規定され、この式中、ωはラーモア周波数(この値で水素原子が歳差運動する)で、γはジャイロ磁気係数、およびB0は静磁場の強度である。
【0007】
一般に、RFアンテナ、つまり全身コイルは、RFエネルギーのパルスの送信および水素原子核内でそれによって誘発された結果的なMR信号の受信の両方のために使用される。具体的には、その送信サイクル中に、身体コイルがRFエネルギーを円筒形の穴に一斉送信する。このRFエネルギーにより、RF B1磁場としても知られている高周波の磁場が生成されるが、その磁力線は、水素原子核の磁化ベクトルに対して直角の線の方向を向く。RFパルスによって、水素原子核のスピン軸が主な(B0)磁場に対して傾斜し、こうして正味の磁化ベクトルがz方向から既知の角度だけそれることになる。ところが、RFパルスは、RFパルスの周波数でその軸の周りを歳差運動する水素原子核にのみ影響を及ぼす。言い換えれば、その周波数で「共鳴」する原子核のみが影響を受け、またこうした共鳴は3個の傾斜コイルの動作と関連して実現する。
【0008】
傾斜コイルは電磁コイルである。それぞれの傾斜コイルは、傾斜B1磁場として知られる円筒状の穴内部の3つの空間的方向(x、y、z)のうちいずれか1つに沿って、直線的に変化する静磁場を生成するために使用される。傾斜コイルは、主要磁石の内部に配置され、特定の方法で非常に速くオン・オフすると非常に局部的なレベルで主要磁場を変化させることができる。こうして、主要磁石と共に、傾斜コイルは、様々な撮像技術に従い動作させることができ、水素原子核は、所定の任意の時点または所定の任意のストリップ、スライスまたは容量単位で、適切な周波数のRFパルスが適用されたときに、共鳴を実現することができるようになる。RFパルスに反応して、選択した領域において歳差運動する水素原子は、身体コイルから伝送中のRFエネルギーを吸収し、こうしてその磁化ベクトルを強制的に主要な(B0)磁場の方向から離れて傾斜させる。身体コイルがオフになったとき、以下でさらに説明するとおり、水素原子核はMR信号の形態でRFエネルギーを放出しはじめる。
【0009】
画像を取得するために使用できるよく知られた1つの技術は、スピンエコーイメージング(画像化)技術と呼ばれる。この技術に従い動作すると、MRIシステムはまず1つの傾斜コイルを起動し、z軸に沿って磁場勾配を設定する。これは、「スライス選択勾配」と呼ばれ、またRFパルスが適用されたときに設定され、およびRFパルスがオフになったときにオフになる。これは、画像化されるエリアのスライス内にある原子核内だけで、共鳴が起こること可能にする。対象とする平面の両側にあるいかなる組織でも共鳴は起こらない。RFパルスがなくなった直後、起動したスライス内にあるすべての原子核は「同相」であり、すなわちそれらの磁化ベクトルがすべて同一の方向を指す。それ自体の装置にまかされているが、そのスライス内のすべてての水素原子核の正味磁化ベクトルは、緩和され、よってz方向に再び整列する。ところがそのかわり、第二の傾斜コイルが短時間のあいだ起動し、y軸に沿って磁場勾配が生成される。これは、「位相エンコード勾配」と呼ばれる。これによって、そのスライス内の原子核の磁化ベクトルは、勾配の最も弱い端と最も強い端との間を移動するにともない、次第に異なる方向を指すようになる。次に、RFパルス、スライス選択勾配および位相エンコード勾配がオフになった後、第三の傾斜コイルが短時間のあいだ起動し、x軸に沿って勾配が生成される。これは、「周波数エンコード勾配」または「読取り傾斜」と呼ばれるが、それはMR信号が最終的に計測されるときにのみ適用されるためである。これにより、緩和された磁化ベクトルが差動的に再び励起されることになり、勾配の低い端に近い原子核がより速い速度で歳差運動し始めるようになり、また高い端にあるものはそれよりもさらに高速となる。これらの原子核が再び緩和されると、最も速いもの(勾配の高い端にあったもの)が最も高い周波数の電波を放出する。
【0010】
集合的に、傾斜コイルによりMR信号を空間的にエンコードでき、その共振信号の周波数および位相によって撮像中の領域の各部分が一様に定義されるようになる。特に、水素原子核が緩和すると、それぞれがミニチュアの無線装置となり、それが存在する局部の微小環境に応じて、時間経過とともに変化する特徴的なパルスが放出される。例えば、脂肪中の水素原子核は、水中のものとは異なる微小環境を持ち、よって異なるパルスを送信する。異なる組織の異なる水対脂肪比と共に、これらの差異により、異なる組織は、異なる周波数の無線信号を送信する。その受信サイクル中、身体コイルは、これらのミニチュアの無線送信を検出するが、これがときには集合的にMR信号と呼ばれる。身体コイルから、これらの固有の共振信号は、MRシステムのレシーバーに伝達され、そこでそれに対応する数学的データに変換される。適正なSN比(SNR)の画像が形成されるためには、処置全体が複数回反復される必要がある。多次元フーリエ変換を用いて、MRシステムは、数学的データを二次元またはさらには三次元画像に変換できる。
【0011】
身体の特定の部分についてさらに詳細な画像が必要なとき、全身コイルの代わりに局部コイルが使用されることがある。局部コイルは、ボリュームコイルまたは表面コイルの形態をとりうる。ボリュームコイルは、撮像する体積(例えば、頭、腕、手首、脚、または膝)を覆うかまたは囲むために使用される。ところが、表面コイルは、下にある対象領域(例えば、腹部、胸部および/または骨盤の領域)が撮像できるように、患者の表面上に配置されるだけである。さらに、局部コイルは、受信専用コイルとして、または送信/受信(T/R)コイルとして動作するよう設計できる。前者は、上述のとおりMRI処置に反応して身体により生成されたMR信号を検出することだけができる。ところが、T/Rコイルは、MR信号の受信と、体組織内で共鳴を誘発するための必要条件であるRF B1磁場を生成するRFパルスの送信の両方ができる。
【0012】
表面またはボリュームのどちらか単一の局部コイルを使用してMR信号を検出することが、MRIの分野で周知である。単一コイルアプローチによると、比較的大きな局部コイルを使用して、対象領域全体を覆うかまたは囲む。初期の受信コイルは、単に線形コイルであったが、これは対象領域によって生成されるMR信号の2つの(すなわち、垂直のMX’および水平のMY’)直交成分のうち1つのみを検出できることを意味する。線形コイルの一つの例は、
図1Aに示される単一ループコイルである。このループは、
図1Bに示されるように、ループの平面に対して直角/垂直の方向の磁場(すなわち、MR信号)を検出することのみができる。線形コイルの別の例は、
図2Aに示されるバタフライまたはサドルコイルである。単一ループと異なり、
図2Bに示されるように、バタフライコイルは、コイルの平面と平行の向きの磁場に対してのみ反応性がある。これは、バタフライコイルでは、ループを中央で捻って、中点の周りに2つの同一のサブループを形成しているためである。サブループ内を流れる電流は同一であるが、逆回転の向きに流れるため、対象的な構造のうち一方のサブループを通して流れる電流によって生成された磁束は等しいが、他方のサブループ内の電流による磁束と反対である。従って、構造の中点の周りでは、逆回転の電流による垂直の磁場は反対となり、よって互いに打ち消しあう。ところが、それらの電流によって生成された水平の磁場は合成され、コイルの平面に平行な向きの磁場が得られる。
【0013】
従って、クワドラチュアモード検出を採用する受け入れコイルが開発されており、これは垂直と水平構成要素の両方と交わることができることを意味する。線形受け入れコイルと比較して、クワドラチュア受け入れコイルは、SNRが一般的に最高41%とはるかに改善された画像を、MRIシステムが提供することを可能にした。クワドラチュアモードの検出によってもたらされる改善はあるものの、単一コイル方式では、なおも改善が求められるような画像を提供していた。単一コイル方式に固有の欠点は、対象領域全体についてMR信号を取得するために、たった1つのコイル構造しか使用されていないことに原因がある。
【0014】
単一コイル方式の欠点を克服するために、フェーズドアレイコイルも開発された。大きな1つの局部コイルの代わりに、フェーズドアレイ方式では複数の小さめの局部コイルを使用するが、そうしたそれぞれのコイルは対象領域の一部分のみを覆うかまたは囲い込む。例えば、こうした2個のコイルを持つシステムにおいて、それぞれは、対象領域のおよそ半分を覆うかまたは囲い込むことになるが、2個のコイルは一般に磁性の分離の目的で部分的に重複する。2個のコイルは、それぞれの部分から同時にMR信号を取得し、また重複による有害な相互作用は起こさない。それぞれのコイルが対象領域の半分のみを覆うため、そうしたそれぞれのコイルは、そのカバー範囲内の対象領域のその部分について高めのSNRでMR信号を受信することができる。よって、フェーズドアレイの局部コイル子が小さいほど、MRIシステムには、所定の領域全体について、単一の大きな局部コイルから得ることのできるものよりも高い解像度の画像を生成するために必要な信号データが集合的に供給される。
【0015】
フェーズドアレイの一例は、W.L.Gore and Associates,Inc.製のGore(登録商標)胴アレイである。胴アレイは、4つの表面コイルを含み、そのうち2つは前方パドルに配置され、他の2つは後部パドルに配置されている。2つのパドルは、腹部、胸部および骨盤の領域付近で患者のそれぞれ前面および後面に当てて配置されるように設計されている。胴アレイは、複数のレシーバーを持つデータ取得システムを有するMRシステムと共に使用するために設計されている。2個の前面コイルおよび2個の後面コイルのそれぞれ1本ずつからなる、胴アレイの4本のリードは、個別のレシーバーに連結でき、それぞれのレシーバーが受信した信号を増幅およびデジタル化する。次に、MRシステムは、個別のレシーバーからのデジタルデータを合成して、その全体的なSNRが、対象領域全体を覆う単一の局部コイル、あるいはさらには前方および後部の2個の大き目の局部コイルから得ることのできるものより良好な画像を形成する。
【0016】
腔内プローブの使用を通して内部身体構造の画像を取得することもよく知られている。主に1.0Tおよび1.5T MRシステムと使用されるように設計された従来技術の腔内プローブの例は、米国特許第5,476,095号(‘095)および第5,355,087号(‘087)に記述されており、この両方ともが本発明の出願人に譲渡されており、参照することにより本明細書に組み込む。開示されている従来技術のプローブは、直腸、膣、口などの身体の開口部に挿入するように設計されている。これらの特許では、腔内プローブとMR撮像および分光システムとを連結するように設計されているインターフェース装置も開示されている。腔内プローブを使用する方法は、米国特許第5,348,010号に開示されているが、これも本発明の出願人に譲渡されており、参照することにより本明細書に組み込む。
【0017】
関連するユニットと併せて作動する従来技術のプローブは、MRシステムが、前立腺、大腸、または頸部などのさまざまな内部身体構造の画像および分光分析結果を生成することを可能にする。このうような従来技術のプローブの例には、BPX−15前立腺/直腸内コイル(Eコイル)、PCC−15結腸直腸内コイル、およびBCR−15頸部コイルが含まれ、これらすべては、MEDRAD,Inc.社(ペンシルバニア州インディアノラ)製の使い捨てコイルのeCoil(登録商標)ラインの一部である。このようなインターフェースユニットの例には、同じくMEDRAD,Inc.社製のATD−IIおよびATD−Torsoユニットが含まれる。
【0018】
ATD−IIユニットが、従来技術のプローブとMRシステムのレシーバーの1つと連結され、前立腺、大腸、または頸部などの対象領域の画像またはスペクトルを供給するために使用されている。ATD−Torsoユニットは、MRシステムの複数のレシーバーと共に、従来技術のプローブだけでなく、Gore(登録商標)胴アレイにも連結される。このようなプローブおよび胴アレイと連結するとき、ATD−Torsoユニットにより、MRシステムは、前立腺、大腸、または頸部についてだけでなく、周囲の生体構造、すなわち、腹部、胸部および骨盤の領域についての画像またはスペクトルも供給できるようになる。
【0019】
米国特許第7,747,310号および7,885,704号(両方とも、本発明の出願人に譲渡されており、参照により本明細書に組み込む)は、‘087および‘095特許の従来技術のプローブよりも高い磁場強度で作動するように設計されたMRシステムと共に使用するための、いくつかの腔内プローブ、および関連するインターフェース装置を開示している。例えば、後者の参照は、2つの駆動コンデンサと1つの同調コンデンサを含み、すべてが直列になっているコイルループを持つプローブを教授している。各駆動コンデンサに接続されているのは、S
L+n(λ/4)の電気的長さを持つ出力ケーブルである。各出力ケーブルがもう一方の端部でインターフェース装置に接続されている時、コイルループはインターフェース装置を通してMRシステムに相互接続される。
【0020】
図3に関連して、クワドラチュア腔内プローブが開発された。例えば、国際特許出願公開番号WO 2010/056911(これは本発明の出願者に譲渡されており、参照により本明細書に組み込む)は、中心導体を共有する単純なループ型のコイル素子とバタフライ型のコイル素子のおかげで、MR信号の垂直および水平成分の両方に敏感な単一コイル構造を開示している。さらに具体的には、一般的に10で示すクワドラチュアコイルには、外側ループ12、外側ループ12を二分する中心導体14、および一般的に16で示される出力線180が含まれる。外側ループ12には、第一および第二の駆動コンデンサ18、20と、第一および第二の同調コンデンサ22、24を含めた複数のコンデンサが含まれる。ほぼ同じ値の、駆動コンデンサ18、20は、外側ループ12内およびその接続ノード26に直列で配置され、電気的な均衡およびループのインピーダンス整合のための仮想接地を形成している。同調コンデンサ22、24も、外側ループ12内に直列で配置され、そのコモンノード28が接続ノード26と直径方向に反対の位置に位置する。ほぼ同じ値の、同調コンデンサ22、24は、外側ループ12がMRシステムの動作周波数で共鳴するように選択される。その点において、外側ループ12は、4つのインダクタを持つものとして
図3に示している。これらのインダクタの値は、単に、ループの伝導性(例えば、銅)のセグメントに固有のインダクタンスを表す。出力線16には、それぞれのシールド導体がコイル10の接続ノード26に連結されている、2本の同軸ケーブル30および32が含まれる。中心導体14は、接合部および外側ループ12のコモンノード26および28の間に延び、それらを均等に二分しており、そのためクワドラチュアコイル10の物理的および電気的な対称性を維持している。
図3は、中心導体14を、その長さ方向に対称的に配置された2つのインダクタおよび同調コンデンサ34を持つものとして示したものである。外側ループ12と同様、これらのインダクタの値は、単に導体に固有のインダクタンスを表すだけである。同調コンデンサ34の値は、その動作周波数でのリアクタンスが中心導体14の誘導リアクタンスと等しくなるように選択されてきた。この構成により、コイルの単純なループとバタフライ素子が、コイルの平面に対してそれぞれ直交および平行なMR信号を検出できるようになる。
【0021】
図4に関連し、米国特許第7,885,704号に開示されるように、フェーズドアレイ構成を持つコイルが開発されている。コイルには、各コイルループ40、41、42および43がその隣接物によって決定的に重複しているフェーズドアレイ構成に配置された、4つのコイルループ40、41、42および43が含まれる。各コイルループ40、41、42、43には、駆動コンデンサ44、45、46、47および、駆動コンデンサ44、45、46、47と直径方向に反対に配置された同調コンデンサ48、49、50、51が含まれる。さらに、各コイルループ40、41、42、43には、それぞれの駆動コンデンサ44、45、46、47に接続された出力線52、53、54、55が含まれる。従って、4素子、4チャンネルの構成が提供される。この配置は、
図3を参照して本明細書に上述したクワドラチュアコイル10よりも明らかに高い信号対雑音比(SNR)を提供するが、強結合(すなわち重複した導体)領域の低信号領域のために、カバー範囲はより不均一となる。コイル導体の近位でのより大きな不均一性のために、この不均一性は直腸プローブでの使用には望ましくない。
【0022】
市場での幅広い支持および良い評価にもかかわらず、これらの従来技術の腔内プローブとインターフェース装置には、それでもなおいくつかの欠点がある。例えば、それらのカバー範囲は限定されており、低い信号対雑音性能を呈し、以下に記述する直腸内コイル技術に比べて一般的に全般的柔軟性が低い。従って、より大きな全般的柔軟性と、MR処置中に原子核から取得されたMR信号からのより高い品質の画像および分光分析結果を提供できる、直腸内コイルおよび関連するインターフェース装置を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【0023】
従って、本発明の目的は、従来技術で明らかな欠点および不備の一部またはすべてを克服する方法およびシステムを提供することである。より具体的には、本発明の直腸内コイルおよび関連するインターフェース装置は、より大きな全般的柔軟性と、MR処置中に原子核から取得されたMR信号からのより高い品質の画像および分光分析結果を提供することができる。
【0024】
従って、対象領域の画像を取得するための磁気共鳴システムと共に使用するコイルが提供されている。コイルには、(a)フェーズドアレイ構成に配置され、それぞれが対応する対象領域からの磁気共鳴信号を受信する一対のコイルループ、および(b)その一対のコイルループの前面に隣接して配置されたスペーサー材料が含まれる。コイルループのそれぞれは、駆動コンデンサおよび同調コンデンサを持ち、同調コンデンサは、磁気共鳴システムの作動周波数で対応するコイルループに共鳴するように選択された値を持つ。スペーサー材料により、
0.762〜1.524mmの間の所定の距離が、一対のコイルループと対象領域の間に存在するようになり、それによって、(i)コイルループの付近の磁気共鳴信号の強度が低下し、(ii)対象領域内の深さでの信号対雑音比が、対象領域の画像の再構成に適切なように維持され、(iii)ギブズアーチファクトを含めた画像のアーチファクトが低減する。
【0025】
コイルはさらに、一対の出カップリング回路を含むことがあり、このそれぞれは、コイルループのうち一つの同調コンデンサに接続されている。各デカップリング回路は、能動デカップリング回路、受動デカップリング回路、または能動および受動両方のデカップリング回路であり得る。コイルはさらに、一対の出力ケーブルも含むことがあり、このそれぞれは、各駆動コンデンサに別々の接地が提供されるように、その第一の端部でコイルループの一つの駆動コンデンサに接続されている。中間導管が提供されることがあり、これには、(a)入力コネクタ、(b)出力コネクタ、(c)その一端で、それぞれ、入力コネクタを介して腔内プローブの出力ケーブルに接続し、もう一方の端部の近くで出力コネクタを介して腔内プローブのインターフェース装置に接続するための、一対の内部ケーブル、(d)それぞれが内部ケーブルの一端と入力コネクタおよび出力コネクタのうち少なくとも一つとの間で相互接続されている一対のバラン、および(e)その近くで接続されている少なくとも一つのケーブルトラップが含まれる。
【0026】
フェーズドアレイ構成は、一対のコイルループが決定的に重複するか、共通の導体を共有するか、または各コイルループの少なくとも一部が重複しコイルループが共通の導体を共有するハイブリッド重複構成に配置されている必要があり得る。
【0027】
受動デカップリング回路は、各出力ケーブルの第二の端部に提供され得る。各受動デカップリング回路は、直列接続した連続ダイオードおよびリアクタンス構成要素を含み得る。リアクタンス構成要素は、インダクタおよびコンデンサの少なくとも一つであり得る。
【0028】
コイルは腔内プローブの一部として提供されるか、または表面コイルであり得る。表面コイルは、頭部コイル、胴コイル、首コイル、四肢コイル、またはその任意の組み合わせであり得る。
【0029】
患者の体腔内の対象領域の画像を取得するための磁気共鳴システムと併用するための腔内プローブも提供されている。腔内プローブは、(a)フェーズドアレイ構成に配置され、それぞれが対応する対象領域からの磁気共鳴信号を受信する一対のコイルループ、(b)それぞれがコイルループの一つの同調コンデンサに接続された一対のデカップリング回路、(c)各駆動コンデンサに別々の接地が提供されるように、それぞれがその第一の端部でコイルループの一つの駆動コンデンサに接続された一対の出力ケーブル、および(d)一対のコイルループ前面に隣接して配置されたスペーサー材料を含む。コイルループのそれぞれは、駆動コンデンサおよび同調コンデンサを含み、同調コンデンサは、磁気共鳴システムの作動周波数で対応するコイルループに共鳴するように選択された値を持つ。スペーサー材料により、
0.762〜1.524mmの間の所定の距離が、一対のコイルループと対象領域の間に存在するようになり、それによって、(i)コイルループの付近の磁気共鳴信号の強度が低下し、(ii)対象領域内の深さでの信号対雑音比が、対象領域の画像の再構成に適切なように維持され、(iii)画像の取得中に腔内プローブが患者の体腔に挿入された時、ギブズアーチファクトを含めた画像またはスペクトルのアーチファクトが低減する。
【0030】
各デカップリング回路は、能動デカップリング回路、受動デカップリング回路、または能動および受動両方のデカップリング回路であり得る。中間導管が提供されることがあり、これには、(a)入力コネクタ、(b)出力コネクタ、(c)その一端で、それぞれ、入力コネクタを介して腔内プローブの出力ケーブルに接続し、もう一方の端部の近くで出力コネクタを介して腔内プローブのインターフェース装置に接続するための、一対の内部ケーブル、(d)それぞれが内部ケーブルの一端と入力コネクタおよび出力コネクタのうち少なくとも一つとの間で相互接続されている一対のバラン、および(e)その近くで接続されている少なくとも一つのケーブルトラップが含まれる。
【0031】
フェーズドアレイ構成は、一対のコイルループが決定的に重複するか、共通の導体を共有するか、または各コイルループの少なくとも一部が重複しコイルループが共通の導体を共有するハイブリッド重複構成に配置されている必要があり得る。
【0032】
受動デカップリング回路は、各出力ケーブルの第二の端部に提供され得る。各受動デカップリング回路は、直列接続した連続ダイオードおよびリアクタンス構成要素を含み得る。リアクタンス構成要素は、インダクタおよびコンデンサの少なくとも一つであり得る。
【0033】
さらに、それぞれが、磁気共鳴システムで対応する対象領域からの磁気共鳴信号を受信する、フェーズドアレイ構成に配列された一対のコイルループを備えるコイルに連結するためのインターフェース装置が提供されている。インターフェース装置は、(a)第一の増幅信号を生成するために、一対のコイルループの第一のコイルループからの信号を受信する第一のプリアンプ、(b)第二の増幅信号を生成するために、一対のコイルループの第二のコイルループからの信号を受信する第二のプリアンプ、(c)第一の増幅信号を、第一のチャンネル出力に提供される右のループ信号と第一の複合信号に分割するために、第一のプリアンプに動作可能なように接続された第一のスプリッタ、(d)第二の増幅信号を、第二のチャンネル出力に提供される左のループ信号と第二の複合信号に分割するために、第二のプリアンプに動作可能なように接続された第二のスプリッタ、(e)第一の複合信号を分割するために第一のスプリッタに動作可能なように接続された第三のスプリッタ、(f)第二の複合信号を分割するために第二のスプリッタに動作可能なように接続された第四のスプリッタ、(g)受信した信号を組み合わせて、第三のチャンネル出力に提供されるサドルまたはバタフライ信号を生成する、第三のスプリッタと第四のスプリッタに動作可能なように接続された0度コンバイナ、および(h)受信した信号を組み合わせて第四のチャンネル出力に提供される全ループ信号を生成する、第三のスプリッタと第四のスプリッタに動作可能なように接続された180度コンバイナを含む。インターフェース装置は、第一、第二、第三、および第四のチャンネル出力のそれぞれを選択的に認識し、それによって、インターフェース装置に連結された磁気共鳴システムが複数の異なるモードで画像を生成できるように構成されている。
【0034】
第一のプリアンプと第二のプリアンプには、第一のプリアンプと第二のプリアンプの定格電源電圧と比較して小さい所定の電源電圧を提供し得る。少なくとも一つの減衰器は、名目上3dB〜6dBの範囲の減衰を提供し得る。その少なくとも一つの減衰器は、(a)第一のプリアンプと第一のスプリッタの間、(b)第二のプリアンプと第二のスプリッタの間、(c)第一のスプリッタの後、および(d)第二のスプリッタの後のうち少なくとも一つに位置付けられ得る。複数のモードには、左ループ、右ループ、全ループ、全サドル、右ループと左ループ(LL)、全ループと全サドル、および右ループ、左ループ、全ループ、全サドル(LLLS)が含まれるがこれに限定されない。
【0035】
また、対象領域の画像を取得するためのシステムが提供されている。システムは、(a)腔内プローブ、および(b)磁気共鳴システムと併用して腔内プローブを連結するためのインターフェース装置を含む。腔内プローブは、(i)フェーズドアレイ構成に配置され、それぞれが対応する対象領域からの磁気共鳴信号を受信する一対のコイルループ、(ii)各駆動コンデンサに別々の接地が提供されるように、それぞれがその第一の端部でコイルループの一つの駆動コンデンサに接続された一対の出力ケーブル、および(iii)一対のコイルループ前面に隣接して配置されたスペーサー材料を含む。コイルループのそれぞれは、駆動コンデンサおよび同調コンデンサを持ち、同調コンデンサは、磁気共鳴システムの作動周波数で対応するコイルループに共鳴するように選択された値を持つ。スペーサー材料により、
0.762〜1.524mmの間の所定の距離が、一対のコイルループと対象領域の間に存在するようになり、それによって、コイルループの付近の磁気共鳴信号の強度が低下し、対象領域内の深さでの信号対雑音比が、対象領域の画像の再構成に適切なように維持され、画像の取得中に腔内プローブが患者の体腔に挿入された時、ギブズアーチファクトを含めた画像またはスペクトルのアーチファクトが低減する。インターフェース装置は、(i)第一の増幅信号を生成するために、一対のコイルループの第一のコイルループからの信号を受信する第一のプリアンプ、(ii)第二の増幅信号を生成するために、一対のコイルループの第二のコイルループからの信号を受信する第二のプリアンプ、(iii)第一の増幅信号を、右のループ信号と第一の複合信号に分割するために、第一のプリアンプに動作可能なように接続された第一のスプリッタ、(iv)第一の増幅信号を、左のループ信号と第二の複合信号に分割するために、第二のプリアンプに動作可能なように接続された第二のスプリッタ、(v)第一の複合信号を分割するために第一のスプリッタに動作可能なように接続された第三のスプリッタ、(vi)第二の複合信号を分割するために第二のスプリッタに動作可能なように接続された第四のスプリッタ、(vii)受信した信号を組み合わせて、サドル信号を生成する、第三のスプリッタと第四のスプリッタに動作可能なように接続された0度コンバイナ、および(viii)受信した信号を組み合わせて全ループ信号を生成する、第三のスプリッタと第四のスプリッタに動作可能なように接続された180度コンバイナを含む。
【0036】
第一のプリアンプと第二のプリアンプには、第一のプリアンプと第二のプリアンプの定格電源電圧と比較して小さい所定の電源電圧を供給する。インターフェース装置は、名目上3dB〜6dBの範囲の減衰を提供する少なくとも一つの減衰器をさらに含み得る。その少なくとも一つの減衰器は、(a)第一のプリアンプと第一のスプリッタの間、(b)第二のプリアンプと第二のスプリッタの間、(c)第一のスプリッタの後、および(d)第二のスプリッタの後のうち少なくとも一つに位置付けられ得る。
【0037】
コイルはさらに、一対のデカップリング回路を含むことがあり、このそれぞれは、コイルループのうち一つの同調コンデンサに接続されている。各デカップリング回路は、能動デカップリング回路、受動デカップリング回路、または能動および受動両方のデカップリング回路であり得る。中間導管が提供されることがあり、これには、(a)入力コネクタ、(b)出力コネクタ、(c)その一端で、それぞれ、入力コネクタを介して腔内プローブの出力ケーブルに接続し、もう一方の端部の近くで出力コネクタを介して腔内プローブのインターフェース装置に接続するための、一対の内部ケーブル、(d)それぞれが内部ケーブルの一端と入力コネクタおよび出力コネクタのうち少なくとも一つとの間で相互接続されている一対のバラン、および(e)その近くで接続されている少なくとも一つのケーブルトラップが含まれる。
【0038】
フェーズドアレイ構成は、一対のコイルループが決定的に重複するか、共通の導体を共有するか、または各コイルループの少なくとも一部が重複しコイルループが共通の導体を共有するハイブリッド重複構成に配置されている必要があり得る。受動デカップリング回路は、各出力ケーブルの第二の端部に提供され得る。各受動デカップリング回路は、直列接続した連続ダイオードおよびリアクタンス構成要素を含み得る。リアクタンス構成要素は、インダクタおよびコンデンサの少なくとも一つであり得る。
【0039】
さらに、対象領域の画像を取得するための磁気共鳴システムと共に使用するコイルが提供されている。コイルは、(a)フェーズドアレイ構成に配置され、それぞれが対応する対象領域からの磁気共鳴信号を受信する一対のコイルループ、(b)各駆動コンデンサに別々の接地が提供されるように、それぞれがその第一の端部でコイルループの一つの駆動コンデンサに接続された複数の出力ケーブル、および(c)各出力ケーブルの第二の端部に提供された少なくとも一つの受動デカップリング回路を含む。コイルループのそれぞれは、駆動コンデンサおよび同調コンデンサを持ち、同調コンデンサは、磁気共鳴システムの作動周波数で対応するコイルループに共鳴するように選択された値を持つ。
【0040】
スペーサー材料は、一対のコイルループの前面に隣接して位置付けられ得る。スペーサー材料により、
0.762〜1.524mmの間の所定の距離が、一対のコイルループと対象領域の間に存在するようになり、それによって、コイルループの付近の磁気共鳴信号の強度が低下し、対象領域内の深さでの信号対雑音比が、対象領域の画像の再構成に適切なように維持され、ギブズアーチファクトを含めた画像またはスペクトルのアーチファクトが低減する。
【0041】
各受動デカップリング回路は、直列接続した連続ダイオードおよびリアクタンス構成要素を含み得る。リアクタンス構成要素は、インダクタおよびコンデンサの少なくとも一つであり得る。
【0042】
本開示のこれらおよび他の機能と特性、ならびに構造の関連要素と部品の組み合わせの動作方法と機能および製造の経済性は、付随する図面を参照した以下の記述および添付の請求項の検討によってより明らかになるはずであり、そのすべてが本明細書の一部を形成するが、ここで同様の参照番号はさまざまな図の対応する部分を指定する。しかし、明らかに当然のことであるが、図面は例示および説明のみを目的としており、本開示の制限を定義することを意図していない。本明細書や請求項で使用される場合、「a(1つ)」、「an(1つ)」および「the(その、前記)」の単数形は、文脈において明確な別段の指示がない限り複数形も含む。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本明細書の説明の目的上、以後、「上方」、「上に」、「下方」、「下に」、「右」、「左」、「垂直」、「直交」、「水平」、「最上部」、「最下部」、「側面」、「縦」およびそれの派生物は、図面に配向されているように、および/または処置中の患者の視点から、本発明に関連するものとする。ただし、当然ながら、別に明示的に指定されている場合を除いて、本発明は代替的バリエーションおよびステップ順序を取り得る。またこれも当然ながら、添付の図面に図示、および以下の明細書に記述されている特定の装置は、本発明の単なる典型的実施形態である。従って、本明細書に開示された実施形態に関連する寸法および他の物理的特性は、制限的と見なされるべきではない。
【0067】
その実施形態および関連する態様のすべてにおいて、以下に開示した本発明は、磁界の強さ1.0、1.5または3.0 Teslaまたはその間の任意の値で動作するように設計されている磁気共鳴(MR)システムと共に使用することが理想的であるが、それよりも低いまたは高い磁界の強さで動作するものとの使用にも適用することができる。本技術は、水平または垂直穴磁石または他の配向のスキャナー構成、および閉鎖または開放穴スキャナーにも適用できる。
【0068】
本明細書で検討されるコイルは、
図5に示される直腸プローブ60などの腔内プローブに組み込み得る。腔内プローブ60には、柔軟なシャフト62およびバルーン構造64が含まれる。本明細書でさらに詳細に検討されるコイルは、バルーン構造64の前面に取り付けられる。バルーン構造64は、バルーン構造64が膨張した時に患者の直腸前立腺隆起の近くに動作可能なようにコイルを位置付けるよう構成されており、これにより、コイルと標的生体構造の間の結合が最適化される。バルーン構造64は、医療グレードのゴムまたは他の適切なエラストマー材料で作られることが望ましい。このような材料は、もちろん、非常磁性であり低い誘電損失を示す。柔軟なシャフト62は、その中の2つの管腔(非表示)を画定する。その遠位端の近くの円筒形壁内で、シャフト62は、管腔の一つと連通する穴(非表示)も画定する。この管腔と穴は共に、膨張および収縮した時に、バルーン構造64にそれぞれ注入され排出される流体(例えば、気体または液体)の通路の役割を果たす。その遠位端からさらに離れたところで、シャフト62は、その円筒形壁内に別の穴を画定する。もう一方の管腔およびこの穴は、そこを通って出力ケーブルがコイルから出てくる導管として働く。本明細書で以後さらに詳細に考察するように、腔内プローブ60を適切なインターフェース装置に接続するために、出力ケーブルは、その遠位端にプラグ68を持つ単一鞘66内に格納され得る。
【0069】
腔内プローブ60は、移動防止ディスク70およびハンドル74をさらに含む。シャフト62の近位端に固定されている、ハンドル74によって、プローブ60は、その遠位端で容易に操作できるようになり、それに固定されたバルーン構造64を含めて、直腸に挿入され、以下に記述のように体腔内にほぼ整列される。半硬質プラスチックまたは他の適切なポリマーから成る移動防止ディスク70は、半球状の形状であることが望ましい。
図5に示されるように、ディスク70はスロット76を画定する。このスロット76によって、ディスク70をシャフト62にパチンと留めることができる。プローブ60が直腸に挿入された後に、肛門括約筋に隣接するシャフト62に取り付けられた時、移動防止ディスク70は、大腸の通常の蠕動運動のためにプローブ60が上方に移動するのを防止する。
【0070】
腔内プローブ60は、バルーン構造64の膨張を制御する手段も含んでいる。膨張制御手段は、注射器78、チューブ80、および止コック82の形態を取ることが望ましい。チューブ80は注射器78を、シャフト62の遠位端にあるシャフト62の流体のための管腔に接続する。止コック82は、チューブ80に直列に接続され、バルーン構造64への空気の注入またはそこからの放出を制御する役割をする。
【0071】
動作中、バルーン構造64が非膨張状態にある間に、腔内プローブ60の遠位端が、直腸を介して体腔に挿入される。遠位端が挿入された状態で、プローブ60は、対象領域に隣接する体腔内に、回転および縦方向の両方に位置付けられる。腔内プローブ60が正しく位置付けられたら、次に、MRスキャン処置中に腔内プローブ60が定位置に留まることを確実にするために、移動防止ディスク70を括約筋に隣接するシャフト62にパチンと留めることができる。
【0072】
バルーン構造64を膨張させる前に、止コック82は、開放状態に切り替える必要がある。注射器78を利用することにより、バルーン構造64は、チューブ80、止コック82、およびシャフト62の流体のための管腔を通して、膨張する。バルーン構造64が膨張すると、その外表面は、対象領域とは反対の体腔の壁に強制的に隣接させられ、これによって、MRスキャン処置の間にMR信号を最適に受信するために、コイルを前立腺の近くに位置付ける。次に止コック82を閉鎖位置に切り替えることができる。腔内プローブ60は、その後、鞘66のプラグ68を介して適切なインターフェース装置に接続できる。
【0073】
スキャン処置が完了した時、臨床医は、止コック82を開放位置に切り替えて、バルーン構造64を収縮させるだけでよい。移動防止ディスク70がシャフト62から取り外されても取り外されなくても、次に腔内プローブ60のハンドル74をゆっくりと引くことによって、遠位端を直腸から取り出すことができる。
【0074】
本発明は、本明細書で特定の実施において、すなわち、適切なハウジング内に組み込んで、前立腺の画像および/またはスペクトルを取得する直腸に挿入可能な腔内プローブを形成することができる直腸内コイルアレイとして説明しているが、本発明は、口、膣または腔内プローブによって貫通可能なその他の開口部を通して到達可能なものなど、その他の対象領域からの画像および/またはスペクトルを取得するために適応させることが同様に可能であることが理解されるべきである。また、本明細書で提示した原理は、頚部、胴、四肢および身体のその他の構造の撮像が意図されたものなど、非常に広範囲の表面コイルアレイにも適用させることが可能であることが明らかである。
【0075】
一般的に、本明細書に開示された直腸内コイルには、全体形状からの高周波(RF)電流を受信するように構成され、本明細書で後に検討されるインターフェース装置の適切なスプリッタおよびコンバイナを使用して4チャンネル出力装置に変えられる、2素子レイアウトが含まれる。
【0076】
図6を参照すると、直腸内コイルアレイの第一の実施形態のさまざまな態様が示されている。さらに具体的には、
図6は、1.5T MRIスキャナーと共に動作するように構築された直腸内コイルアレイの第一の実施形態のプロトタイプの概略図を示す。
【0077】
一般的に100で示すクワドラチュアコイルには、外側ループ102、外側ループ102を二分する中心導体104、および一般的に106で示される出力線が含まれる。外側ループ102には、第一および第二の駆動コンデンサ108、110と、第一および第二の同調コンデンサ112、114を含めた複数のコンデンサが含まれる。ほぼ同じ値の、駆動コンデンサ108および110は、外側ループ102内に直列で配置され、その接続ノード116で、電気的な均衡およびループのインピーダンス整合のための仮想接地を形成している。同調コンデンサ112および114も、外側ループ102内に直列で配置され、そのコモンノード118が接続ノード116と直径方向に反対に位置する。ほぼ同じ値の、同調コンデンサ112および114は、外側ループ102がMRシステムの動作周波数で共鳴するように選択される。
【0078】
この様に、
図6の外側ループ102は、1.5T MRシステムの動作周波数で患者から発せられるMR信号を検出するよう同調されている。外側ループ102の形状は、ループがその磁力線がループの平面に対して垂直な向きのMR信号のみを検出することができることを示している。ところが、上述の同調の仕組みは、それが検出した垂直の向きのMR信号を表す外側ループ102により出力された結果的な電圧信号について、180度の位相のずれを課すこともある。具体的には、接続ノード116の仮想接地に対して、第一の駆動コンデンサ108を越えて、すなわち第一のポートにおいて検出可能な電圧信号の位相は、第二の駆動コンデンサ110を越えて、すなわち第二のポートにおいて検出可能な電圧信号の位相から180度である。
【0079】
中心導体104は、接合部および外側ループ102のコモンノード116、118およびその間に延び、それらを均等に二分しており、そのためコイル100の物理的および電気的な対称性を維持している。
図6は、中心導体104を、その長さ方向に対称的に配置された同調コンデンサ120を持つものとして示したものである。同調コンデンサ120の値は、その動作周波数でのリアクタンスが中心導体104の誘導リアクタンスと等しくなるように選択されてきた。これにより、2つの動作モードが同時に派生することができる。まず、誘導および容量リアクタンスが等しいことで、中心導体104が外側ループ102に対して開回路の役割を果たすことができる。このような場合、全ループ(矢印WLで示される)を代表する第一のチャンネル出力が提供される。
【0080】
中心導体104は、MR信号の垂直成分の検出を可能にする外側ループ102用の開回路としての役割を果たすだけでなく、コイル100の平面と平行な向きのMR信号を検出するために、外側ループ102とともに動作し、バタフライ型またはサドル型コイルの模倣もする。本発明の同調の仕組みによって、外側ループ102のための単純なループ電流路だけでなく、外側ループ102と中心導体104を組み合わせるための別の電流路(逆回転する電流が関与)も生成される。具体的には、受信サイクル中に接続ノード116付近から始まり、水平の向きのMR信号により誘発された電流は、第二の駆動コンデンサ110を越えて、外側ループ102の最遠端まで流れ、また中心導体104に流れ込み下向きに流れる。これが次に、バタフライまたはサドル構造の中点を横切り、第一の駆動コンデンサ108を越えて、外側ループ102の最遠端まで流れ、また中心導体104に流れ込み下向きに流れ、コイル100が動作の受信サイクル中にMR信号を検出する位置にある限りは、サイクルを新しく開始する。このような場合、サドル/バタフライモード(矢印SLで示される)を体表する第二のチャンネル出力が提供される。
【0081】
コイル100のための出力線106は、同軸ケーブル、ストリップ線路、マイクロストリップまたはその他の伝送線路技術など、さまざまなメカニズムを使用して実施できる。
図6は、それぞれのシールド導電体がコイルの接続ノード116に連結されている、2本の同軸ケーブル122および124を示す。ケーブル122の中心導体は、第一の駆動コンデンサ108の別の側に接続され、その一方でケーブル124の中心導体は、第二の駆動コンデンサ110の別の側に接続されている。米国特許出願第2009/0076378号に開示されている理由で、出力線106はS
L+n(λ/4)の電気的長さをもつはずである。λはMRシステムの動作周波数の波長であり、およびnは奇数の整数で、その値は一般に1に等しい(また以降、そのようにみなす)が、これはコイル100が実際には、常にそれが接続されるインターフェース装置にかなり近接しているためである。S
Lは、その誘導リアクタンスが第一および第二の駆動コンデンサ108、110のそれぞれのリアクタンスと大きさが同じである、追加的な長さを表し、それを越えて、出力線106の端末が接続される。例えば、両方の導体に対応する標準プラグで、各ケーブル122 、124の中心導体およびシールド導体は、インターフェース装置の適切なソケットまたは他の型のコネクタに接続する。
【0082】
さらに、本明細書で以後考察するインターフェース装置のRFスプリッタ構成に基づいて、左ループ信号(
図6の矢印LLとして示される)および右ループ信号(
図6で矢印RLとして示される)を取得するために2つのチャンネルも提供することができ、中心導体104が両方のループの共通導体としての役割を果たす。
【0083】
コイル100のトライアル試験中、信号対雑音比(SNR)は、現在の直腸内コイルより優れているものの、希望するほど高くないと判断された。さらに、このコイル100を使用して取得された画像は、不満足なゴースト発生アーチファクトを生成し、これは本明細書で以後詳細に検討される。
【0084】
従って、より高いSNRを得るための試みとして、コイルの第二の実施形態が開発された。
図7を参照すると、一般的に200で示されるこのコイルには、第一のコイルループ202および第二のコイルループ204が含まれる。一対のコイルループ202、204は、それぞれが対応する対象領域からのMR信号を受信する、フェーズドアレイ構成に配置されている。第一のコイルループ202には、駆動コンデンサ206および同調コンデンサ208が含まれる。同調コンデンサ208は、MRシステムの動作周波数で第一のコイルループ202と共振するように選択された値を持つ。第二のコイルループ204には、駆動コンデンサ210および同調コンデンサ212が含まれる。同調コンデンサ212は、MRシステムの動作周波数で第二のコイルループ204と共振するように選択された値を持つ。
【0085】
コイル200には、2本の同軸ケーブル216および218を含む出力線214も含まれる。第一の同軸ケーブル216は、その第一の端部で第一の駆動コンデンサ206と接続され、第二の同軸ケーブル218は、その第一の端部で第二の駆動コンデンサ210と接続され、各駆動コンデンサ206、210が共通接地を共有するようになっている。この構成は、ハイブリッド重複構成と呼ぶことができる。標準プラグは、両方のケーブルの導体を、例えば、各ケーブル216、218の中心導体およびシールド導体の第二の端部で受け入れ、出力線214がインターフェース装置に対して適切なソケットまたは他の型のコネクタに接続できるようになっている。出力線214は、本明細書の上記で検討された理由から、S
L+n(λ/4)の電気的長さをもつはずである。
【0086】
従って、コイル200の第二の実施形態は、2つの素子(すなわち、第一のコイルループ202および第二のコイルループ204)も含み、4チャンネルの出力を提供するように構成される。さらに具体的には、コイル200は、全ループを代表する第一のチャンネル出力、およびサドル/バタフライモードを代表する第二のチャンネル出力を提供するように構成される。さらに、本明細書で考察したインターフェース装置のRFスプリッタ構成に基づいて、左ループ信号を取得するための第三のチャンネル出力を提供することができ、および右ループ信号を取得するために第四のチャンネル出力を提供し得る。
【0087】
しかし、コイル200のトライアル試験の間、このコイル構成のSNRは、コイル100の第一の実施形態に比べて向上したものの、このコイル200を使用して得られた画像は引き続き、不満足なゴースト発生アーチファクトを生成した。
【0088】
図6および
図7に示される直腸内コイルの典型的な使用における望ましくない副産物は、コイル導体が直腸壁の組織に近接していることによる、コイル導体付近の過剰な信号強度である。この信号強度は、アナログ信号経路の典型的信号レベルをはるかに超え、被験者が動いていない場合でも画像の「ゴースト発生」として現れるギブズアーチファクトを含む、望ましくない影響を生じる可能性がある。このアーチファクトは、採用された後処理の程度が異なるためにスキャナーの製造業者によって異なり、より古いスキャナーおよび信号処理システムでより明らかとなる傾向がある。他の影響には、信号飽和が含まれ、この場合コイル導体付近のコントラストが最小となり、そのため臨床的に有用な画像詳細が利用できなくなる。
【0089】
図8を参照すると、画像に生成されたゴースト発生アーチファクトが示されている、
図6または
図7のコイルを使用したMRシステムで生成された模範的画像が提供されている。ゴースト発生アーチファクト250は、コイルが提供されている位置から発散する小さな明るい輪として現れる。ゴースト発生アーチファクトは、文献では「動きアーチファクト」とも呼ばれる。しかし、これらのアーチファクトは、
図6および7のコイルを使用して提供される画像に、動きがない場合でも生成される。これらのアーチファクトは、画像処理の入力段階で信号レベルに突然または急なシフト/ジャンプがある時のギブズ現象によって観察されることから、「ギブズアーチファクト」または境界/遷移/リンギングアーチファクトとして分類できる。
【0090】
アメリカ人物理学者J.Willard Gibbsにちなんで名付けられたギブズ現象は、区分的に連続微分可能な周期関数のフーリエ級数が跳躍不連続点で挙動する特異な様態である。ギブズ現象は、ヘビサイド階段関数(周期性が必要ない場合)またはシンク関数の方形波(周期的な場合)の畳み込みの結果として見ることができる。シンク関数の振動が、出力に波紋を発生させる。
【0091】
MR撮像では、ギブズ現象は、著しく異なる信号強度の隣接領域がある場合にアーチファクトが発生する。ギブズアーチファクトは、急に強度が変化する境界に平行かつ隣接して見られる明るいまたは暗い線である(
図8の要素250を参照)。これらのアーチファクトは、画像を再構成するためにフーリエ変換で使用される有限数のエンコードステップに関連する。
【0092】
信号レベル遷移が増加すると、ギブズアーチファクトが増加することが確認されている。コイル100および200は、それぞれ共通の導体を含む。共通導体設計は、以前のコイル設計よりも著しく高いSNRを持つ。しかし、これらのコイルは、現在のコイル設計と比べて、信号レベルの遷移もはるかに高い。これらのアーチファクトの存在は、MRシステムのMRスキャナーのソフトウェアおよび/またはソフトウェアを変更することで低減することができる。例えば、低い信号強度の領域から高い信号強度の領域への遷移後の波紋を減らすために、スキャナーにローパス・フィルタなどの強化されたフィルタリング機構を備えることができる。さらに、MRシステムのMRスキャナーのソフトウェアを、ギブズまたはリンギングアーチファクトを相殺することを目的とした補償アルゴリズムを使用するように改質することもできる。これらの解決策は両方とも、MRスキャナーの高価な再設計を必要とするため、望ましくない。好ましい解決策は、コイルは安価な使い捨てユニットであることから、コイル設計を変更することでギブズアーチファクトを減少させることである。
【0093】
従って、さまざまな試験が、ギブズアーチファクトの存在を劇的に減らすためにコイルおよびインターフェース装置に変更を加えることができるという発見につながった。まず、コイルを表面から遠ざけることは、遷移レベルを減少させることが見出された。従って、
図9および10を参照すると、本明細書で考察したコイル設計のそれぞれには、コイルの前面に隣接して位置付けられたスペーサー材料が含まれる。例えば、スペーサー材料は、3つのストリップ220、222、224を含み得る。スペーサー材料ストリップ220、222、224は、コイルを含む腔内プローブが患者の直腸などの体腔に挿入される時、コイルと前立腺などの対象領域との間の所定距離h1およびh2を確保する厚さを持つ。コイルループの重なりの上に提供されるスペーサー材料ストリップ222は、この領域で生成されるアーチファクトが端で生成されるアーチファクトよりも大きいことから、コイルループの外側にあるスペーサー材料ストリップ220、224よりも大きな厚さを持つ。スペーサー材料ストリップで提供される所定の距離は、典型的には
0.762〜1.524mmである。スペーサー材料は、発泡材料など、MRシステムで検出されない任意の材料であり得る。スペーサー材料のストリップの使用を上述したが、スペーサー材料の連続シートも使用し得る。
【0094】
コイルを表面から遠ざけることによって、低い信号強度の領域から高い信号強度の領域への遷移が減少し、それによってギブズアーチファクトが減少する。より具体的には、現在の形態の直腸内コイルは、基材上の一対のコイルループから成り、生体適合性バルーンで支持され囲まれている。このバルーンは、膨張してコイルループを直腸壁に押し付け、前立腺(この使用の場合)の最適な撮像を可能にするために、一貫したコイル配置と密着性を確保するように設計されている。コイル素子を覆うバルーンの壁の厚さが非常に小さい(
0.254mm以下)という事実は、コイル導体が直腸壁に近接するという結果をもたらす。
【0095】
電磁場(従って、インターフェースおよびスキャナー信号経路で観察された結果として得られる信号強度)が、「逆二乗の法則」に従うことは既知の現象であり、この例に適用される場合、信号強度は、コイル導体からの距離の二乗に反比例することを意味する。具体的には、患者の生体構造の最も近い部分からコイル導体までのコイル導体の距離を2倍すると、その生体構造の前のレベルの信号強度の1/4の信号強度が得られる一方、信号の減少は、コイル導体の平面に直交するさらに奥の対象領域では目立たなくなる。
【0096】
従って、
0.254mmの間隔の任意コイル、および36,000単位の信号レベル(直腸内コイル導体に最も近い患者の生体構造を代表する画像診断模型の小領域の画素値として測定)を使用して、例えば間隔を2倍にして
0.598mmにすると、同じ領域の信号強度が減少して9,000単位となる。このため、コイル導体上に提供される所定の間隔は、撮像容積の近位領域での信号強度ジャンプを減らし、従って、ギブズアーチファクトを含むアーチファクトを減らすために好都合に働く。
【0097】
さらに、インターフェース装置を少し変更することでアーチファクトを減らしながら、SNRを増加させるための雑音のより大きな減少を伴って、信号を減少できることが見出された。まず、インターフェース装置には、本明細書でさらに詳細に考察するように、一対のプリアンプが含まれる。プリアンプの定格電源電圧と比べて低い所定の電源電圧をプリアンプに供給することは、コイルによって生成される信号を減少させる効果があることが分かっているが、この信号の減少には雑音のより大きな減少が伴う。従って、SNRが増加する。例えば、これらのプリアンプは典型的には10Vの電源電圧を供給する。プリアンプの電源電圧を5Vに減らし、3dB〜9dBの間の減衰を持つ減衰器をプリアンプの後に配置することは、コイルによって生成される信号を減少させる効果がある。しかし、この信号の減少には、より大きな雑音の減少が伴う。従って、SNRが増加する。
【0098】
最後に、コイルを表面から遠ざけることと、5Vに減少させた電源電圧をプリアンプに与えることの組み合わせは、画像に生成されるギブズアーチファクトを著しく減少させるが、画像に生成されるアーチファクトはそれでも現在のコイル設計よりも大きい。従って、SNRを損なわない、アーチファクトの減少に関連する信号強度の減少は、2つのループが共通の導体または共通の接地を含まない、重複2ループ設計を持つコイルを使用することで達成できることが分かった。
【0099】
より具体的には、
図11を参照すると、一般的に300で示される直腸内コイルの第三の実施形態には、第一のコイルループ302および第二のコイルループ304が含まれる。一対のコイルループ302、304は、それぞれが対応する対象領域からのMR信号を受信する、フェーズドアレイ構成に配置されている。第一のコイルループ302には、駆動コンデンサ306および同調コンデンサ308が含まれる。同調コンデンサ308は、MRシステムの動作周波数で第一のコイルループ302と共振するように選択された値を持つ。第二のコイルループ304には、駆動コンデンサ310および同調コンデンサ312が含まれる。同調コンデンサ312は、MRシステムの動作周波数で第二のコイルループ304と共振するように選択された値を持つ。
【0100】
コイル300には、2本の同軸ケーブル316および318を含む出力線314も含まれる。第一の同軸ケーブル316は、その第一の端部で第一の駆動コンデンサ306と接続され、第二の同軸ケーブル318は、その第一の端部で第二の駆動コンデンサ310と接続され、各駆動コンデンサ306、310が別々の接地を備えるようになっている。
【0101】
従って、コイル300の第三の実施形態は、2つの素子(すなわち、第一のコイルループ302および第二のコイルループ304)も含み、4チャンネル出力を提供するように構成される。さらに具体的には、コイル300は、全ループを代表する第一のチャンネル出力、およびサドル/バタフライモードを代表する第二のチャンネル出力を提供するように構成される。さらに、本明細書で考察したインターフェース装置のRFスプリッタ構成に基づいて、左ループ信号を取得するための第三のチャンネル出力を提供することができ、および右ループ信号を取得するために第四のチャンネル出力を提供し得る。
【0102】
標準プラグ320は、両方のケーブルの導体を、例えば、各ケーブル316、318の中心導体およびシールド導体の第二の端部で受け入れ、出力線314がインターフェース装置に対して適切なソケットまたは他の型のコネクタに接続できるようになっている。
【0103】
前述のコイルの実施形態は、安全なSAR限度内で動作するように設計されていなかったこともわかった。従って、これらの安全なSAR限度を達成するために、追加的なデカップリング回路が必要である。さらに具体的には、第一の能動デカップリング回路322は、第一のコイルループ302の同調コンデンサ308に接続され、第二の能動デカップリング回路324は、第二のコイルループ304の同調コンデンサ312に接続される。これらのデカップリング回路322、324のそれぞれには、直列に提供されたPINダイオード326、330およびインダクタ328、332が含まれる。送信サイクル中に、インターフェース装置は、PINダイオード326、330をバイアスし、それによって並列共振のためにコイルが開くように構成される。さらに、第一の受動デカップリング回路334が、第一の同軸ケーブル316の第二の端部に提供され、第二の受動デカップリング回路336が、第二の同軸ケーブル318の第二の端部に提供される。これらの受動デカップリング回路334、336のそれぞれは、直列接続した連続ダイオード338、342およびコンデンサ340、344を含む。受動デカップリング回路334、336は、RF励起磁場によって誘発されるより高い電圧に反応して伝導するように構成される。これらの受動デカップリング回路334、336の使用により、出力線314がS
L+n(λ/4)の電気的長さを持つ必要がなくなる。従って、出力線314は、実際的な電気的長さを持ち得る。
【0104】
本発明の第四の実施形態に従った直腸内コイルの代替的構成が、
図12、13A、および 13Bに示されている。一般的に400で示される直腸内コイルには、第一のコイルループ402および第二のコイルループ404が含まれる。一対のコイルループ402、404は、それぞれが対応する対象領域からのMR信号を受信する、フェーズドアレイ構成に配置されている。第一のコイルループ402には、駆動コンデンサ406および同調コンデンサ408が含まれる。同調コンデンサ408は、MRシステムの動作周波数で第一のコイルループ402と共振するように選択された値を持つ。第二のコイルループ404には、駆動コンデンサ410および同調コンデンサ412が含まれる。同調コンデンサ412は、MRシステムの動作周波数で第二のコイルループ404と共振するように選択された値を持つ。
【0105】
コイル400には、2本の同軸ケーブル416および418を含む出力線414も含まれる。第一の同軸ケーブル416は、その第一の端部で第一の駆動コンデンサ406と接続され、第二の同軸ケーブル418は、その第一の端部で第二の駆動コンデンサ410と接続され、各駆動コンデンサ406、410が別々の接地を備えるようになっている。
【0106】
従って、コイル400の第四の実施形態は、2つの素子(すなわち、第一のコイルループ402および第二のコイルループ404)も含み、4チャンネル出力を提供するように構成される。さらに具体的には、コイル400は、全ループを代表する第一のチャンネル出力、およびサドル/バタフライモードを代表する第二のチャンネル出力を提供するように構成される。さらに、本明細書で考察したインターフェース装置のRFスプリッタ構成に基づいて、左ループ信号を取得するための第三のチャンネル出力を提供することができ、および右ループ信号を取得するために第四のチャンネル出力を提供し得る。これらのモードのそれぞれは、
図15−22を参照して、以下にさらに詳細に検討されている。
【0107】
コイル400は、第一のコイルループ402の同調コンデンサ408に接続された第一の受動でカップリン回路422、および第二のコイルループ404の同調コンデンサ412に接続された第二の能動デカップリング回路424も含む。これらのデカップリング回路422、424のそれぞれは、直列接続した連続ダイオード426、430およびインダクタ428、432を含む。受動デカップリング回路422、424は、RF励起磁場によって誘発されるより高い電圧に反応して伝導するように構成される。従って、受動デカップリング回路422、424は、RF送信サイクルの間に、コイルを開回路として機能させる。受動デカップリング回路422、424のダイオードの組み合わせは、能動デカップリングダイオードの機能も提供することができることに注目すべきである。従って、
図12は一対の受動デカップリング回路422、424のみを示しているが、これらの受動デカップリング回路422、424は、受動および能動両方のデカップリング回路として構成できることが、当業者には明らかのはずである。
【0108】
図13Aと13Bを特に参照し、引き続き
図12を参照すると、標準プラグ434は、出力線414の両方のケーブル416および418の導体(例えば各ケーブル416、418の中心およびシールド導体)を、その第二の端部で受け入れる。腔内プローブの取り扱いを容易にするために、ハンドル436と共に出力線414が提供され得る。出力線414がS
L+n(λ/4)の電気的長さを持つという要件は、中間導管438が追加されたこの実施形態では除外される。中間導管438は、出力線414のプラグ434に対応し、それと接続するための入力コネクタ440、およびインターフェース装置500と接続するための出力コネクタ442を持つ。中間導管438には、その一端でそれぞれ腔内プローブの同軸ケーブル416、418に入力コネクタ440を介して接続し、および別の端部の近くで、インターフェース装置500に出力コネクタ442を介して接続するためのするための一対の内部ケーブルも含まれる。一対のバラン444も提供される。各バラン444は、内部ケーブルの一つの一端と入力コネクタ440の間で相互接続されている。一対のバラン444は、内部ケーブルのうちの一つのその端部と出力コネクタ442の間において、中間導管438の出力および入力端部の両方で接続することもできることに注目すべきである。中間導管438は、少なくとも一つのケーブルトラップ446、および
図13Bに示されるように、望ましくはその近くで接続された2つのケーブルトラップ446をさらに含む。ケーブルトラップ446は、望ましくない電流が、中間導管の一対の内部ケーブルのシールド導体上に流れることを防止する。インターフェース装置500は、ケーブル448およびコネクタ450を介してMRシステムに接続される。ケーブル448は、その近くに位置付けられたケーブルトラップ452を持ち得る。
【0109】
それが格納されるバルーン型の筺体を貫いて突出する内部構成要素の可能性を最小限に抑える設計の、小型で、柔軟性があり、損傷に対する耐性のある腔内プローブに対する要望のために、本明細書で考察した各コイルは、銅パターンが両側に貼り付けられて、伝導路だけでなく、同調およびデカップリングに必要なすべてのコンデンサが形成されるように、薄くて柔軟性のある誘電体材料で構成され得る。その上、各コイルは、一回用の使い捨て腔内プローブの外皮部分としての提供が意図されているため、こうした製造技術は、プローブの製造時に相当な節約を実現するという目標の助けとなる。これは、「事前印刷された」コイルの製造プロセスが、別個の構成要素からなるコイルと比べて、最終製品を検査するにあたって著しく少ない労働力および短い時間しか必要としないためである。
【0110】
本明細書で開示されている2ループ直腸内コイルのための最も効率的な受動デカップリングスキームは、
図12に示されるように、各ループの同調コンデンサに渡って阻止インピーダンスを作用させるために、適切な導体と直列の4つの逆並列シリコンPINダイオードの非磁性で事前包装されたセットを使用することである。しかし、それは、1回のスキャン処置の後に処分される「使い捨て」装置を意図しているため、これは直腸内コイルに対する非常に高価な解決策である。
【0111】
安全でありながら費用効率の高い受動デカップリングの方法を提供する努力として、
図11に示されるような直腸内コイルのための代替的方法が採用された。安価な逆並列信号ダイオード(この場合、例えば部品はBAV−99であった)と直列であるチップコンデンサを備える、受動デカップリング回路334、336が、中心導体とコイルの同軸ケーブルのそれぞれのシールドの間で、コイルのRFプラグ320も取り付ける小型PCB上に接続される。
215.4mm(64MHzで24度)の同軸ケーブルスタブの長さと組み合わせて、ループの駆動コンデンサの容量性リアクタンスと等しい誘導性リアクタンスが、ダイオード伝導の際にコイルループの並列共振阻止回路を生じるように、チップコンデンサの値は選択された。
【0112】
(コイル型検出および能動デカップリングバイアス回路を提供する)専用インターフェース装置なしで直腸内コイルを使用して、患者がスキャンされるような起こりそうにない状態が起こった場合は、コイルループをスキャナーの身体送信コイルに結合し、同軸ケーブルおよびチップコンデンサを通してコイル素子から信号ダイオードに伝わる小さなRF電圧を生成する。この電圧がダイオード対の伝導閾値より高くなると、伝導が開始され、そのため、コンデンサと直列の抵抗器のような役割を果たす。これによって、ループの駆動コンデンサに渡って阻止インピーダンスが増加し、その結果、ループ電流が減少する。RFパワーを徐々に増やして加えた場合、そのパワーは、ダイオードが完全伝導に達するまでさらに伝導させる役割を果たすと推定することができる。この「均衡」点で、ループは電圧源としての役割を果たし、吸収されるパワーの大部分は、ループの駆動コンデンサ、(損失インダクタンスとしての役割を果たす)同軸ケーブル、デカップリングチップコンデンサ、およびダイオード対の間で分配される。
【0113】
この方法の慎重な試験および実施には、均衡点が、構成要素の過剰加熱または、コイルループによる過剰なSAR生成の原因とならないようにするために、さまざまな構成要素およびコイルループ自体の温度試験を使用することが必要となる。いずれにしても、この方法は、「第二の障害に備えた」安全対策の働きをし、まれな出来事であると予測される。
【0114】
この方法は、そのダイオード対のコスト優位性ももたらし、デカップリングコンデンサは、わずかな磁気的特性のある市販の構成要素を使用するとが許容される、撮像対象領域から十分離れたところに配置される。従って、
図11に示されるコイル構成が、現時点で好ましい実施形態である。
【0115】
図14を参照し、引き続き
図12、
図13A、
図13Bを参照すると、コイル400を1.5T MRシステムの適切な入力ポートに連結するための、参照番号500で一般的に示されるインターフェース装置の実施形態が示されている。
【0116】
インターフェース装置500には、プリアンプネットワーク502および504、パワースプリッタネットワーク506、508、510、512、180度合成ネットワーク514、および0度合成ネットワーク516が含まれる。減衰器(非表示)は、信号を名目上約3dBから約9dBに減衰するために提供される。減衰器は、以下の場所の少なくとも一つに配置され得る:(a)第一のプリアンプネットワーク502と第一のパワースプリッタネットワーク506の間、(b)第二のプリアンプネットワーク504と第二のパワースプリッタネットワーク508の間、(c)第一のパワースプリッタネットワーク506の後、および(d)第二のパワースプリッタネットワーク508の後。パワースプリッタネットワークおよび合成ネットワークを標準Wilkinson型のデザインで実装することもでき、またプリアンプネットワークを28dB公称利得で理想的に実現することもできる。プリアンプネットワーク502および504は、ラーモア周波数で低インピーダンス(Ω実部)を提供するよう設計された同調済み入力回路付きの、市販ミニチュア低ノイズ、28dB利得遮蔽装置を使用して実装することができる。前者の低インピーダンスの点から、プリアンプネットワーク502および504がそれぞれのPINダイオード518、520に近接していることにより(
図16参照)、受信サイクル中、コイル400と共に使用される他の表面コイル(またはそのアレイ)から分離する一部の手段が許容される。受動的保護ダイオードネットワークが、過度のRF電圧を阻止し、RFパルス送信時にプリアンプネットワーク502および504が損傷しないように、インターフェース装置500に含まれているが、送信サイクル時にMRシステムの穴の内側にあるときには、インターフェース装置500は電源を切るべきである。これらのダイオードネットワークは、同じシナリオにおけるコイルのための一部のデカップリングを提供する。
【0117】
パワースプリッタネットワーク506および508が、プリアンプネットワーク502および504の出力で50オーム/0度スプリッタとして使用されている。パワースプリッタネットワーク510および512は、パワースプリッタネットワーク506および508のそれぞれの出力で50オーム/0度スプリッタとしても使用されている。パワースプリッタネットワーク506および508のそれぞれのもう一方の出力は、出力を4つのチャンネル524、526、528、530の一つに向けるケーブルトラップ522に直接送られる。2つの合成ネットワーク514および516も、50オームの装置として構成されている。その結果、これらの4つのネットワークは、図示したとおり、4本の同一位相長さの50オーム同軸ケーブル、PCBストリップ線路、マイクロストリップまたはその他の伝送線路媒体を用いて相互接続ができる。さらに、2つの合成ネットワーク514および516の出力は、スキャナーまたはMRシステムが分光分析モードで動作するように構成されている場合、信号を適切なチャンネル、または随意に、90度ハイブリッド合成ネットワーク536に向ける、一対のスイッチングネットワーク532および534に供給される。
【0118】
本発明の上記に基づいて明らかなように、本明細書に開示された直腸内コイルには、全体形状からの高周波(RF)電流を受信するように構成され、インターフェース装置の適切なスプリッタおよびコンバイナを使用して4チャンネル出力装置に変えられる、2素子レイアウトが含まれる。さらに具体的には、本明細書に開示されている2素子共通導体レイアウトは、同じ給電点からのコンバイナーネットワークに基づいて、2つのループまたはループとサドルの組み合わせを生成できる。さらに、これらの固有磁場パターンの両方は、RF電流に関連する固有の放射パターンを持つ4つの固有チャンネルが得られるように、別々に取得することができる。当業者であれば、さまざまな他のフェーズ合成ネットワークを作成することによってこれを拡張することができ、上記に加えて有用な信号も得ることができることが、明らかである。スプリッタ・コンバイナーネットワークに基づいてさまざまな異なる磁場パターンを取得し、2(3、4、6、8など)以上の個々のチャンネル出力を達成するための、数多くの可能性がある。この理論を2素子以上に拡大し、2素子だけの寄与よりもより多くのチャンネル出力の同じ利点を達成することも可能で、これは2素子の寄与よりも優れたSNRが得られることで実証されている。
【0119】
現在のMRスキャナーで利用可能なレシーバーよりも数が多いと、開示された技術で撮像素子の数がより少ないコイルレイアウトを構築し、これらのより少ない撮像素子を利用して、より多くのチャンネルを持つ撮像システムを作ることができ、それによって費用も低くすることができる。例えば、現在の16素子コイルレイアウトは、8チャンネル多重または合成出力に対してさえも、インターフェース装置で16個のプリアンプを使用する。本発明の理論を使用することによって、16素子コイル素子を持つコイルは、16チャンネル出力を得るために8個のプリアンプしか使用しなくてよい。これは、半数のプリアンプおよび関連する回路しか必要ないので、より単純な回路となり、半数のRFケーブルしか管理する必要がないので、ケーブル管理がより良好となり、作成する費用が低減され、製造および調整がより簡単でありながら、選択された対象領域に対して最大の性能が得られるという点で著しく寄与する。さらに、ループが大きいほどより大きな貫通の深さが生じることが本技術分野で良く知られているので、このようなコイルレイアウトは、現在のコイルよりも大きな貫通の深さを提供する。
【0120】
本発明に既述された構成要素を持つ、コイル400およびインターフェース装置500のさまざまなモードでの動作が、
図13−19を参照して本明細書で以後検討される。以下の記述は、
図12に示されるコイル400に基づくが、この記述は、
図6、7および11に示されるコイルの実施形態にも同じように適用される。
【0122】
図15および
図16A−16Cを参照して、左ループモードの時の、コイル400およびインターフェース装置500の動作をここで説明する。送信モードの間、PINダイオード518は、PINダイオードバイアス538からの信号によってオンとなる(
図16Cを参照)。このPINダイオード518は、RF短絡を接地に提供し、これは同軸ケーブル416での開回路として反映される。従って、第一のコイルループ402が分離され、
図15で透視で示されている。
【0123】
図15に示されるように、受信サイクルの間、第一のコイルループ402の分離を助けるためのRF「オープン」として働くPINダイオード518のために、電流は第二のコイルループ404を通って流れているだけのように見える。従って、
図15に示されるように、電流は、矢印I
LLで示されるように第二のコイルループ404に流れ込む。
【0124】
図16A−16Cを参照して、インターフェース装置500が、同軸ケーブル418から受信した電圧信号を処理する方法をここで説明する。駆動コンデンサ410からの信号は、まずプリアンプネットワーク504を通して送られ、これは、電圧信号を増幅し、その結果得られる増幅バージョンをパワースプリッタネットワーク508へと送る。パワースプリッタ508の出力のうちの一つが、第二のパワースプリッタネットワーク512に提供され、もう一方の出力がケーブルトラップ522に送られる。ケーブルトラップ522は、この信号を、左ループ信号を代表している第四の出力チャンネル530に送る。
【0125】
左ループモードの時の、インターフェース装置500を通した電流の流れが、
図16A−16Cの矢印I
LLで示されている。
【0127】
図17および
図18A−18Cを参照して、右ループモードの時の、コイル400およびインターフェース装置500の動作をここで説明する。送信モードの間、PINダイオード520は、PINダイオードバイアス538からの信号によってオンとなる(
図18Cを参照)。このPINダイオード520は、RF短絡を接地に提供し、これは同軸ケーブル418での開回路として反映される。従って、第二のコイルループ404が分離され、
図17で透視で示されている。
【0128】
図17に示されるように、受信サイクルの間、第二のコイルループ404の分離を助けるためのRF「オープン」として働くPINダイオード520のために、電流は第二のコイルループ402を通って流れているだけのように見える。従って、
図17に示されるように、電流は、矢印I
RLで示されるように第一のコイルループ402に流れ込む。
【0129】
図18A−18Cを参照して、インターフェース装置500が、同軸ケーブル416から受信した電圧信号を処理する方法をここで説明する。駆動コンデンサ406からの信号は、まずプリアンプネットワーク502を通して送られ、これは、電圧信号を増幅し、その結果得られる増幅バージョンをパワースプリッタネットワーク506へと送る。パワースプリッタ506の出力のうちの一つが、第二のパワースプリッタネットワーク510に提供され、もう一方の出力がケーブルトラップ522に送られる。ケーブルトラップ522は、この信号を、右ループ信号を代表している第三の出力チャンネル528に送る。
【0130】
右ループモードの時の、インターフェース装置500を通した電流の流れが、
図18A−18Cの矢印I
RLで示されている。
【0131】
右ループおよび左ループまたはLLモード
【0132】
LLモードの時の、コイル400およびインターフェース装置500の動作をここで説明する。受信サイクルの間、LLモードで動作している時、コイル400は、右ループおよび左ループモードの両方に対して上述したものと同じ方法で動作する。しかし、インターフェース装置500はわずかに異なる方法で機能する。PINダイオードバイアス538からの信号でPINダイオード518および520の一つをオンにする代わりに、これらのPINダイオード518および520の両方ともがオフのままで、本明細書で上述のように右ループ信号および左ループ信号が、それぞれ第三の出力チャンネル528および第四出力チャンネル530に提供されるようになる。従って、2チャンネル信号がホストスキャナーに提供される。
【0134】
図19および
図20A−20Cを参照すると、受信サイクルの間、コイル400の外側ループ内で垂直方向のMR信号によって誘発された電流は、ループに流れ込み流れ出すことが示される信号電流なので、I
WLで代表できる。
【0135】
この構成では、電流I
WLが第一のコイルループ402および第二のコイルループ404を通って流れる時、第二のコイルループ404の右端および第一のコイルループ402の左端を通って流れる電流は見られない。従って、第二のコイルループ404の右端および第一のコイルループ402の左端は、矢印I
WLで示される外側ループに流れる電流に対して開回路として働く。従って、第二のコイルループ404の右端および第一のコイルループ402の左端は、
図19に透視で示される。
【0136】
受信サイクルの間、全ループモードの時に、電流がコイル400を通って流れる方法の検討を完了したので、MRシステムの受信サイクルの間、全ループモードの時に、インターフェース装置500の動作の説明を、
図20A−20Cを特に参照してここで説明する。コイル400は、水平および垂直方向の両方のMR信号を代表する電圧信号を出力する。説明を簡単にするために、水平の向きのMR信号を表す電圧信号を、これらが各ポートで同一の位相を持つため、本明細書で「0度水平電圧信号」と呼ぶことにする。垂直の向きのMR信号を表す電圧信号は、第一のコイルループ402の駆動コンデンサ406からの出力について「0度垂直電圧信号」と呼び、第二のコイルループ404の駆動コンデンサ410からの出力について「180度垂直電圧信号」と呼ぶ。
【0137】
図20A−20Cを参照して、インターフェース装置500が、出力ケーブル416および418から受信した電圧信号を処理する方法をここで説明する。プリアンプネットワーク502および504はそれぞれ受信した電圧信号を増幅し、結果的に生じる増幅されたバージョンをそれぞれ第一および第二のパワースプリッタネットワーク506および508に渡す。第一および第二のパワースプリッタネットワーク506および508からの信号は、そこで生成された信号が続いて0度合成ネットワーク516に送られるように、次に第三および第四のパワースプリッタネットワーク510および512に送られる。パワースプリッタネットワーク506および508から受信した水平電圧信号は同相であるため、0度合成ネットワーク516は、それらを構成的に合成することができる。同時に、0度合成ネットワーク516は、パワースプリッタネットワーク506から受信した90度垂直電圧信号を、パワースプリッタネットワーク508から受信した−90度垂直電圧信号で打ち消す。これは、スイッチングネットワーク534を通してケーブルトラップ522に送り込まれる全ループ信号を生じる。ケーブルトラップ522は、信号を第二の出力チャンネル526に向かわせる。左ループモードの時の、インターフェース装置500を通した電流の流れが、
図20A−20Cの矢印I
WLで示されている。
【0139】
図21および22A−22Cを参照して、全サドルモードの時の、コイル400およびインターフェース装置500の動作をここで説明する。
図21に示されるように、受信サイクルの間、コイル400は、コイル400の平面に平行な方向のMR信号を検出するために、バタフライ型またはサドル型コイルを模倣することもできる。コイル400の同調スキームは、全ループモードを参照して上述したように外側ループに対する単純なループ電流経路を可能にするが、外側ループ、第二のコイルループ404の右端、および第一のコイルループ402の左端のさまざまな組み合わせに対する逆回転電流を伴う代替的電流経路も可能にする。これらの組み合わせの一つは、
図21に示される全サドルモードである。全サドルモードのコイルを通した電流の流れは、
図21の矢印I
SLで示される。
【0140】
従って、
図2Aに示されるコイルのように、従来技術のサドルコイルではそうであるように、2つのサブループを中間点の周囲に形成するために伝導性ループをねじることによって物理的に形成されはいないが、それでもなお本発明のコイル構造は、サドルコイルの動作を電気的に模倣する。
【0141】
第一の同軸ケーブル416で第一コイルループ402の駆動コンデンサ406に渡って検出可能な「垂直」電圧信号の位相は、第二の同軸ケーブル418で第二のコイルループ404の駆動コンデンサ410に渡って検出可能な「垂直」電圧信号の位相とは180度ずれている。この180度の位相の差異の重要性は、下記に説明するインターフェース装置500の動作に関連して明らかとなる。
【0142】
受信サイクルの間、全サドルモードの時に、電流がコイル400を通って流れる方法の検討を完了したので、MRシステムの受信サイクルの間、全サドルモードの時に、インターフェース装置500の動作の説明を、
図22A−22Cを特に参照してここで説明する。コイル400は、水平および垂直方向の両方のMR信号を代表する電圧信号を出力する。
【0143】
インターフェース装置500 が、第一および第二の同軸ケーブル416および418から受信した電圧信号を処理する方法をここで説明する。プリアンプネットワーク502および504はそれぞれ受信した電圧信号を増幅し、結果的に生じる増幅されたバージョンをそれぞれ第一および第二のパワースプリッタネットワーク506および508に渡す。第一および第二のパワースプリッタネットワーク506および508からの信号は、そこで生成された信号が続いて180度合成ネットワーク514に送られるように、次に第三および第四のパワースプリッタネットワーク510および512に送られる。パワースプリッタネットワーク510および512から受信した垂直電圧信号は、180度だけ位相がずれているため、180度合成ネットワーク514は、それらを構成的に合成することができる。180度合成ネットワーク514は、パワースプリッタネットワーク510から受信した水平電圧信号を、パワースプリッタネットワーク512から受信した水平電圧信号で打ち消すが、これはそれらが同相で受信されるためである。これは、スイッチングネットワーク532を通してケーブルトラップ522に送り込まれる全ループ信号を生じる。ケーブルトラップ522は、信号を第一の出力チャンネル524に向かわせる。サドルモードの時の、インターフェース装置500を通した電流の流れが、
図22A−22Cの矢印I
SLで示されている。
【0145】
全ループモードの時の、コイル400およびインターフェース装置500の動作をここで説明する。受信サイクルの間、全ループおよび全サドルモードで動作している時、コイル400は、全ループおよび全サドルモードの両方に対して上述したものと同じ方法で動作する。しかし、インターフェース装置500はわずかに異なる方法で機能する。全ループモードでのように、第一のチャンネル524の出力を無視する、または全サドルモードでのように第二のチャンネル526の出力を無視する代わりに、2チャンネル信号が、上述のように全ループおよび全サドル信号の両方を代表するホストスキャナーに提供され、および第三の出力チャンネル528および第四出力チャンネル530にそれぞれ提供される。従って、2チャンネル信号がホストスキャナーに提供される。
【0146】
右ループ、左ループ、全ループ、全サドルまたはLLLSモード
【0147】
右ループ、左ループ、全ループ、全サドル、またはLLLSモードの時の、コイル400およびインターフェース装置500の動作をここで説明する。受信サイクルの間、LLLSモードで動作している時、コイル400は、右ループ、左ループ、全ループ、および全サドルモードのそれぞれに対して上述したものと同じ方法で動作する。さらに、インターフェース装置500は、4チャンネル出力がMRシステムのホストスキャナーに提供されるようにするため、これらの信号のそれぞれをホストスキャナーに提供するように構成される。
【0149】
ループ/サドル分光分析モードの時の、コイル400およびインターフェース装置500の動作をここで説明する。受信サイクルの間、全ループおよび全サドルモードで動作している時、コイル400は、全ループおよび全サドルモードの両方に対して上述したものと同じ方法で動作する。しかし、インターフェース装置500はわずかに異なる方法で機能する。ループ/サドル分光分析モードの時、インターフェース装置500が、出力ケーブル416および418から受信する電圧信号を処理する方法を、ここで説明する。プリアンプネットワーク502および504はそれぞれ受信した電圧信号を増幅し、結果的に生じる増幅されたバージョンをそれぞれ第二のパワースプリッタネットワーク506および508に渡す。第一および第二のパワースプリッタネットワーク506および508からの信号は、そこで生成された信号が続いて0度合成ネットワーク516および180度合成ネットワーク514に送られるように、次に第三および第四のパワースプリッタネットワーク510および512に送られる。合成ネットワーク514および516からの信号は、次にスイッチングネットワーク532および534を通して送り込まれる。スイッチングネットワーク532および534は、信号を90度合成ネットワーク536に向かわせ、その出力はケーブルトラップ522に送られる。ケーブルトラップ522は、信号を第一の出力チャンネル524に向かわせる。
【0150】
本明細書の上記のインターフェース装置500は、コイル400と共に使用するとして記述されているが、インターフェース装置500は、上述のモードを生じさせるために、任意のコイル100、200および300と共に使用できる。
【0151】
従って、本発明により、インターフェース装置500に提供されるパワースプリッタおよび合成ネットワークに基づいて、2つのループまたは全ループと全サドルの組み合わせを生成できるコイル100、200、300および400などの2素子コイルレイアウトが可能となる。さらに、これらの固有の磁場パターンは、固有の放射パターンを持つ4つの固有チャンネルを提供するために別々に取得することができる。さらに、高い信号対雑音比を達成しながらゴースト発生アーチファクトを減少させるために、さまざまなステップが行われている。
図23を参照すると、本明細書に上述したさまざまなコイルの信号対雑音比を示すグラフが提供されている。
図1Aに示されるような現在の従来技術のコイルが、線600で示されるように、最も低い信号対雑音比を提供する。
図6のコイル100の共通導体設計は、線610で示されるように信号対雑音比の改善を示すものの、これは希望するほど高くなかった。従って、
図12のコイル400の設計は、線620で示されるように、はるかに高い信号対雑音比を提供した。しかし、ゴースト発生アーチファクトは、このコイルで生成される画像に生成された。従って、プリアンプのパワーサプライを10Vから5Vに減少させると、ゴースト発生アーチファクトが減少することがわかった。これは、コイルによって達成される信号対雑音比をわずかに低下させるものの、それでも線630で示されるように、従来型コイルおよび共通導体コイル100の両方よりも高い信号対雑音比を持つ。
【0152】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態と考えられるものに基づいて、例示目的で詳細に記述されてきたが、このような詳細はその目的のみであり、本発明は開示された実施形態に限定されず、むしろ変更および同等の配置を網羅することを意図することが理解されるべきである。例えば、本発明は、可能な限り、任意の実施形態の1つ以上の特徴が他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせられることを意図していることが、理解されるべきである。
【0153】
従って、科学および実用技術の進展を促進するために、本発明者はこれによって、特許証により、下記の請求の範囲に含まれるすべての主題についての排他的な権利を、特許法により定められた期間のあいだ確保する。