(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の指部および第2の指部(211a、211b)の少なくとも一方は、前記側面凹部(112、111)の対向する壁間で確実に案内されることを特徴とする請求項1に記載の錠および鍵の組合体。
前記第1の指部および第2の指部の一方(211b)は、前記鍵ブレードの長手方向に直交する垂直寸法で測定して、他方(211a)よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の錠および鍵の組合体。
少なくとも1本の親鍵(A)、および少なくとも2本の特定の鍵(B、C)を有する錠および鍵のシステムの一部を形成し、前記鍵(A、B、C)は全て、一次コード面、および二次コード面を備えたダブルコードを有し、前記親鍵(A)は、様々な位置にある異なる種類の前記側面係止タンブラ(311cまたは312c)を有する一群の錠の全ての錠を解除するように構成され、一方、前記特定の鍵(B、C)はそれぞれ、ただ1つの錠だけ、または前記一群の錠内の錠のサブセットだけを解除するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の錠および鍵の組合体。
鍵穴を備えた鍵プラグ、および少なくとも2個の側面係止タンブラを有するシリンダ錠を操作する鍵(100)であって、コードパターン(110)を側面凹部に有し、前記コードパターン(110)は、鍵ブレードを前記鍵穴に挿入すると、前記側面係止タンブラと係合し、前記鍵プラグが前記シリンダ錠内で回転することが可能となる位置に、前記側面係止タンブラを配置する実質的に平坦な鍵ブレード(102)を備える鍵(100)において、
前記鍵ブレードの前記側面凹部にある前記コードパターンは、前記鍵ブレードの少なくとも片面に形成され、前記鍵ブレードの長さの少なくとも一部に沿って延在する少なくとも2つの別個のコード面を備え、前記少なくとも2つの別個のコード面は、前記鍵ブレードの同じ面(101)上に、
− 前記側面凹部の外側部分の少なくとも一方の側壁に、前記鍵ブレードの前記片側表面に隣接して、長手方向に特定的に分散配置された第1のコード面部分を備えた一次コード面(131〜135、141’、151)と、前記側面凹部の内側のより深い部分に特定的に長手方向に分散配置された第2のコード面部分を備えた少なくとも1つの二次コード面(141〜145、142’、152)とを備え、
− 前記第1のコード面部分および第2のコード面部分は、前記鍵ブレードのそれぞれのタンブラ接触領域の3次元、すなわち、前記平坦な鍵ブレードを画定する垂直平面の上下方向と、前記垂直平面に直交する深さ方向と、前記鍵ブレードに沿った長手方向と、において、分散した別個の位置に配置され、それにより、コードの組合せ数が増加しながらもコンパクトなコードパターンが、鍵ブレードに形成されることを特徴とする鍵(100)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記背景に抗して、本発明は、少なくとも同じ、または向上したセキュリティレベルを維持しながらも、より多数のコードの組合せを実現することを目的とする。
【0006】
− 上記目的は、錠および鍵の組合体であって、前記横方向指部はそれぞれ、関連するチャンバの中心軸を通って延びる横断面に対して中央に配置された特定の長手方向位置、またはその横断面から長手方向にずらして配置された特定の長手方向位置に配置され、
− 前記鍵の前記第1のコード面部分および第2のコード面部分は、長手方向に特定的に分散配置され、それによって鍵を鍵穴に挿入すると、前記横方向指部が、前記第1のコード面部分および第2のコード面部分(111、112;141、142;151、152)に着座することが可能となり、
− 前記第1のコード面部分および第2のコード面部分は、前記平坦な鍵ブレードの3次元において、すなわち
− 前記平坦な鍵ブレードを画定する垂直平面の上下方向に、
− 前記垂直平面に直交する深さ方向に、かつ
− 前記鍵ブレードに沿った長手方向に
おいて、概して不定の、または分離された別個の位置に配置され、したがってコードの組合せ数が増加しながらもコンパクトなコードパターンが、鍵ブレードに形成される錠および鍵の組合体を得ることによって達成される。
【0007】
したがって、第1の指部および第2の指部がそれぞれ設けられた2種類の側面係止タンブラによって、2つのコード面上の様々なコード位置と相まって、広範囲にわたるコード組合せが実現されることになる。これらのコード面は、互いに平行に延在することができ、それによって錠内、ならびに鍵ブレード上で全体的に非常にコンパクトなコード構成が形成される。
【0008】
実現可能なある実施形態では、コード面の少なくとも1つは、波状である。
【0009】
一次コード面は、側面凹部の外側部分にある溝内の対向する2つの第1の側壁の一方によって画定することができ、前記溝はまた、内壁を有する。同様に、二次コード面は、対向する第2の側壁と、それらの間にある底部壁とを有する溝によって画定することができる。このようにすると、2つのコード面を別個に形成することができ、なおかつ鍵ブレードの側面の非常に限られた面積内に収めることができる。それでも、実現可能なコードの組合せ数は、非常に多くなる。
【0010】
以下の説明から明白となるように、コードパターンの構成は、数多くの仕方で改変することができる。かかる特徴はまた、従属請求項に記載されている。
【0011】
有利には、こうしたコードパターンを用いて、1本または複数本の親鍵と、ただ1つの錠、または比較的少数の錠だけを操作する、数本の特定の鍵とを含む、親鍵システムを確立することができる。
【0012】
次に、実現可能な実施形態のいくつかの例を示す添付の図面を参照しながら、本発明についてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】鍵ブレード上にダブルコードパターンを有する鍵と、関連する錠のいくつかの、それぞれが半円筒形本体からなる側面係止タンブラ(錠の残りの部分は図示せず)とを示す斜視図である。
【
図1a】いかなる側面タンブラもない状態の鍵を示し、それによってダブルコードパターンを
図1よりもよく示している図である。
【
図2】それぞれが単一の円筒形本体によって形成されている側面係止タンブラを備えた第2の実施形態の、同様の斜視図である。
【
図2a】いかなる側面係止タンブラもない状態の鍵を示す図である。
【
図2c】
図2bの鍵の線IIc−IIcに沿った断面図である。
【
図3】いくつかの異なる種類の側面係止タンブラを備えた鍵の第3の実施形態のやはり斜視図である。
【
図3a】いかなる側面係止タンブラもない状態の
図3の鍵を示す図である。
【
図3c】
図3bの鍵の線IIIc−IIIcに沿った断面図である。
【
図4a】それぞれが突出した指部を有する、2対の半円筒形側面係止タンブラの上面図である。
【
図4b】それぞれが突出した指部を有する、2対の半円筒形側面係止タンブラの斜視図である。
【
図4c】それぞれが突出した指部を有する、2対の半円筒形側面係止タンブラの異なる斜視図である。
【
図5a】突出した指部を備えた2個の半円筒形側面係止タンブラを示す図である。
【
図5b】突出した指部を備えた2個の半円筒形側面係止タンブラを示す図である。
【
図5c】突出した指部を備えた2個の半円筒形側面係止タンブラを示す図である。
【
図6a】突出した指部を備えた、異なる種類の2個の側面係止タンブラを示す図である。
【
図6b】突出した指部を備えた、異なる種類の2個の側面係止タンブラを示す図である。
【
図6c】突出した指部を備えた、異なる種類の2個の側面係止タンブラを示す図である。
【
図7a】突出した指部を備えた円筒形側面係止タンブラを示す図である。
【
図7b】突出した指部を備えた円筒形側面係止タンブラを示す図である。
【
図7c】突出した指部を備えた円筒形側面係止タンブラを示す図である。
【
図7d】突出した指部を備えた円筒形側面係止タンブラを示す図である。
【
図7e】突出した指部を備えた円筒形側面係止タンブラを示す図である。
【
図7f】突出した指部を備えた円筒形側面係止タンブラを示す図である。
【
図8a】広くなった外側部分を備えた、突出した指部を有する円筒形側面係止タンブラを示す図である。
【
図8b】広くなった外側部分を備えた、突出した指部を有する円筒形側面係止タンブラを示す図である。
【
図8c】広くなった外側部分を備えた、突出した指部を有する円筒形側面係止タンブラを示す図である。
【
図8d】狭い指部を備えたタンブラを示す図である。
【
図9a】下向きの外側部分を備えた、突出した指部を有する側面係止タンブラを示す類似の図である。
【
図9b】下向きの外側部分を備えた、突出した指部を有する側面係止タンブラを示す類似の図である。
【
図9c】下向きの外側部分を備えた、突出した指部を有する側面係止タンブラを示す類似の図である。
【
図9d】下向きの外側部分を備えた、突出した指部を有する側面係止タンブラを示す類似の図である。
【
図9e】下向きの外側部分を備えた、突出した指部を有する側面係止タンブラを示す類似の図である。
【
図9f】下向きの外側部分を備えた、突出した指部を有する側面係止タンブラを示す類似の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1および1aには、鍵100と、関連する錠200(その全体は図示せず)のいくつかの側面係止タンブラ201a、201b、202a、202bとの組合体が示されており、2個の側面係止タンブラ201a、201b、202a、202b(4個の半体)が完全に描かれ、3個の側面係止タンブラ203、204、205が点線によって概略的に示されている。本実施形態の側面係止タンブラはそれぞれ、2個の半体201a、201b他に分割されており、これらの半体は、錠200の鍵プラグ内の共通チャンバまたはキャビティ内で、独立して昇降方向(上下)に動くことができる。この鍵プラグは、鍵100を受ける中央鍵穴を有し、この鍵プラグは、図面には示されていないが、新規な側面係止タンブラを除いては、既知の様式で形成することができ、この新規な側面係止タンブラについて以下で説明する。
【0015】
鍵100には、新しい種類のコードパターン(
図1a参照)、すなわち以下の2つの別個のコード面を備えるダブルコードパターン110が設けられ、コード面の1つは、平坦な鍵ブレード102の側面101にある側面凹部内の、比較的浅い、外側凹部分または溝111(というよりはむしろその側面114)によって形成された一次コード面であり、もう1つは、より深い内溝112に形成された二次コード面である。一次コード面を形成する外溝は、対向する2つの側壁113、114と、それらの間にある(破断した)内壁または底部壁115とによって画定されている。下側壁114は、コード化された長手方向表面を形成し、この場合は波状である。ある位置で、この波状のコード化された表面は、様々な側面係止タンブラ201(すなわち
図1の右側の半体201b)、202(すなわち
図1の右側の半体202b)、203、204、および205の位置に対応するコード部分を有する。これらのコード部分は、
図1aの131、132、133、134、135で示されている。これらのコード部分は、鍵が錠200に適正に挿入されたときに、明確に画定された昇降(または垂直)位置で側面係止タンブラ半体201b、202b、203b他を支持することになる。
【0016】
下面または下側壁114だけをコード化すれば十分であり、上側壁113は必ずしもコード化する必要はない点に留意されたい。しかし、上側壁113を用いて、第1の側面係止タンブラの横方向に突出した第1の指部を上下に確実に案内することができ、したがってこの第1の指部は、下側壁114と常に係合することになる。一方、この上側壁113を省略する場合、例えばばねなどを用いて、第1の側面係止タンブラを(以下で説明するように、その第1の指部で)側壁114と接触させなければならず、弦巻ばねを示す
図3、6a、6b、および6cを比較されたい。したがって下側壁114は、鍵ブレード102の側面にある棚状面に隣接して(かつその下方で)切り欠くことができる。その際、好ましくは、棚の深さまたは厚さは、下側壁114の深さと同じでよい。このようにすると、側壁114に対向する位置には側壁が存在しないことになる。
【0017】
本実施形態では、鍵ブレード102の外面101に実質的に平行な、隣接する内壁または底部壁115がある。この内壁または底部壁115は、外溝111の対向する側壁113と114との間に延在している。この外溝の幅は、(本実施形態では)内壁または底部壁115に切り欠かれている、より深い内溝112の幅よりも大きい。
【0018】
この内側の比較的深い溝112もやはり、対向する側壁、すなわち上側壁116および下側壁117を有する。この溝は、これらの側壁116と117の間に底部壁118を有し、この底部壁118もやはり、鍵100の外面101に(さらには、底部壁115または外溝111にも)実質的に平行である。
【0019】
2つの溝111、112は、互いに独立に動作し、それぞれの側面係止タンブラを、それらの第1の指部および第2の指部によってそれぞれ案内することになる。このことは、側面係止タンブラ201a、201b、および202a、202bを示す
図4a、4b、および4cからよりよくよく理解されるものであり、これらのタンブラはまた、
図1aにも示されているものである。したがって、半円筒形側面係止タンブラ201aは、比較的長い、または第2の指部211aを有し、この指部211aは、鍵が錠に挿入されると、波状コード面または側壁117と係合し、そこに沿って進む。2個の半円筒形側面係止タンブラ201a、201bは、鍵プラグ(図示せず)の関連するチャンバ内で、回転しないように案内される。したがって、タンブラ201a、201bは回転することはなく、横方向に突出した第1の指部および第2の指部211a、211bは、側面係止タンブラが上下に動く際に回動することはない。
【0020】
本実施形態では、指部211a、211bはどちらも、鍵が長手方向に進むと、関連する溝111および112内でそれぞれ確実に案内される。この目的で、長い指部211aは、その自由端部が、内側の幾分狭い溝112の幅または高さに対応して幾分狭くなっており、一方、短い指部211bは、比較的広く、または高く、したがってこの短い指部211bは、外側の比較的広い溝111の全高または全幅を占めることになる。
【0021】
2つの溝111と112とは独立して構成されるものの、以下のある条件が順守されなければならない。内溝112は通常、外溝111と交差してはならず(しかし、ある状況では交差することもある)、その理由は、内溝が外溝と交差すると、外溝111が断絶することになり、短い指部211b、および関連する側面係止タンブラ201bの動きが妨げられることがあるからである。
【0022】
適正に構成された鍵100が、錠200に完全に挿入されると、側面係止タンブラ201b、202b、203b他は、側壁114のコード面部分131、132、133、134、135によって決定される明確に画定された位置に配置されることになり、隣接する側面係止タンブラ201a、202a、203aも同様に、内溝112の下側壁117のコード面部分141、142、143、144、145によって決定される明確に画定された位置に配置されることになる。これらの明確に画定された位置では、側面係止タンブラ201a、201b、...、205の背面にある凹部231a、231bが一列に並ぶことになり、したがってこれらの凹部は、シリンダ錠200内で鍵プラグ(図示せず)が回転することを可能とするサイドバー(図示せず)を受けることになり、それ自体は当技術分野において周知である。
【0023】
図4dは、広く、または高いが、浅い外溝111と、狭く、幾分深い内溝112と、これらの溝の底面115、118とを含む、ダブルコードパターン110を備えた鍵ブレード102の断面図を示す。本実施形態では、最も深い溝112は、鍵ブレード102の半分の厚さ未満の深さを有する。
【0024】
また、当技術分野で周知のように、溝111、112によって形成される波状コードパターンは、鍵ブレード102の自由端または先端に傾斜面(この場合は共通の傾斜面)150を有する。したがって、鍵100が錠の鍵穴に挿入されると、錠200の側面係止タンブラ(錠の詳細は図示せず)は、それらの指部が傾斜150上を這い上り、次いでそれぞれの波状溝111、112に沿って進むことになり、その間、指部の上面および下面は、対向する側壁116、117、および113、114にそれぞれ接して係合することになる。そのように進む際、側面係止タンブラ201a、201b、202a、202bは、鍵ブレード102が完全に挿入され、それぞれの指部211a、211b、212a、212b他が、コードを形成する表面部分131、132、133、134、135、および141、142、143、144、145上にそれぞれ載置されるまで上下に動くことになり、凹部231a、231b他の位置が揃い、サイドバー(図示せず)がこれらの凹部に入り、鍵プラグが錠200の円筒ハウジング(図示せず)内で回転することが確実に可能となる。
【0025】
異なる指部(長い指部および短い指部、または第1の指部および第2の指部)を有する様々な側面係止タンブラの垂直方向の位置は一般に、互いに異なり、かつ互いに独立となることが理解されよう。このようにすると、ダブルコード110(111、112)は非常にコンパクトであり、鍵ブレードの限られた領域内に収まるという事実にもかかわらず、非常に多数の実現可能なコードを設けることができる。とはいえ、この側面係止タンブラは、鍵プラグの標準型の円筒形チャンバにも可動式に取り付けることができる。
【0026】
各タンブラの背面にある凹部と協働するサイドバーの代替として、当技術分野では周知であるように、タンブラをその長手方向(上または下)に延在させることができ、それによって錠のハウジングの円筒形内面に隣接する、鍵プラグ内の対応する孔と協働させることもできる。
【0027】
本発明の重要な態様は、鍵ブレードに、2つのコード面が互いに隣接して配置されているということである。一方、側面係止タンブラは、
図1、4a、4b、4cに示すように、長手方向に分割された種類のものである必要はない。そうではなく、側面係止タンブラのいくつか(またはそれらのうちの少なくとも1個)が短い指部、または第1の指部を有し、側面係止タンブラの他のもの(またはそれらのうちの少なくとも1個)が長い指部、または第2の指部を有する限り、側面係止タンブラの全て、または一部は、他の何らかの種類のものでよい。
【0028】
円筒形の塊状(massive)側面係止タンブラを備えた実施形態を、
図2に(および関連する鍵を
図2a、2b、2cに)示す。かかる円筒形側面係止タンブラ301、302他(
図5a、5b、および5cも参照。)のそれぞれには、横方向指部311、312他が設けられ、これらの指部のいくつか(
図5aの311)は短くて高く、すなわち「第1の」指部であり、他の指部(
図5aの312)は長くて狭く、すなわち「第2の」指部である。前述の実施形態と同様に、第1の指部311は、鍵ブレード102の側面凹部の外側部分111にあるコード面と係合し、一方、長くて狭い「第2の」指部は、より深い溝112と係合し、そこに沿って進む(
図4dでは、より深い溝112は偶然に非常に高い位置に配置されており、
図5dでは、より深い溝112は偶然に下方の低い位置に配置されている)。
【0029】
図5aおよび5bでは、指部312、311は、側面係止タンブラの本体部分に対して右側に位置がずれて示されている。しかし、当然ながら、これらの指部は、中央に、または左側に配置することも同様に可能である。かかる様々な配置が、(長くて狭い「第2の」指部312l、312c、312rについて)
図7a、7b、7cに、また、(短くて高い「第1の」指部311l、311c、311rについて)
図7d、7e、7fに示されている。
【0030】
また、異なる種類の側面係止タンブラを混在させるという他の可能性もある。
図3(および
図6a、6b、6c)には、弦巻ばね421によって付勢され、それによって横方向指部411が外側の波状コード面141’と接触したまま維持されている第1の係止タンブラ401と、
図4aに示す種類のもの(どちらも長くて狭い指部412a、412bを備える)であり、波状のより深い溝142’(
図6d参照)によって案内される1対の第2の係止タンブラ402a、402bとが示されている。したがって、これらの第1の係止タンブラ401および第2の係止タンブラ402a、402bは、異なるように構成されたそれぞれのコード面141’、および142’にそれぞれ接触し、そこに沿って進むことになる。
【0031】
第1の側面係止タンブラ401は、開示されている種類のもの(例えば、特許文献4参照。)であり、すなわち、
図6aの矢印Aによって示すように、2つの回転端部位置間で回転可能であり、指部411は、
図6bから分かるように非対称に形成され、タンブラ401および指部411を通る中央平面に対して円周方向に位置がずれた鍵接触面411asを備える。このようにすると、関連するコード部分141c(
図3aおよび3b)によって、鍵接触面411asが、凹面として形成されたコード部分の明確に画定された位置に着座する状態で指部を配置することができる(例えば、前記特許文献4参照。)。鍵ブレードが錠内で着座すると、この凹面は一般に、側面係止タンブラ401の位置(
図3aおよび3bのA1)に対して右側もしくは左側に位置がずれるか、またはそこに対して中央に配置され、それによってコードを形成する。したがって、第1の側面係止タンブラ401は、昇降(上下)可能に、かつ回転可能に配置されることになる。適正な位置では、背面にある凹部431は、側面係止タンブラ半体402a、402bの対の背面にある、位置が揃った対応する凹部と位置が揃うことになり、それによってサイドバー(図示せず)が、その位置が揃った凹部に着座することが可能となり、したがって鍵プラグ(図示せず)を回転させることができる。
【0032】
これまで説明してきた実施形態では、凹部の外側部分は幾分広く、内側のより深い部分(溝を形成する部分)は、幾分狭くなっていた。以下で説明する2つの実施形態では、構成が逆であり、すなわち凹部の外側部分が比較的狭く、内側のより深い部分が比較的広い。
【0033】
図8a、8b、8cには、比較的長い指部512l、512c、512rが、左側、中央、および右側にそれぞれ配置された異なる3個の「第2の」側面係止タンブラ502が示されている。これらの第2のタンブラはいずれも、切り欠かれた深い溝152を有する、関連する鍵150(
図8e)の側面凹部に嵌合することになる。この溝は、上部および底部が切り欠かれ、したがって指部512l、512c、512rのいずれのものも、その広くなった最外部分で収容することができる。
【0034】
鍵150の側面凹部はまた、より狭い外側部分を有し、この部分は、「第1の」側面係止タンブラ501の狭い指部511(
図8d)をぴったりと受け、案内するように寸法設定されている。この場合、狭い指部511が、指部512l、512c、512rよりも短いことが厳密に求められることはない。狭い指部511は、点線輪郭511’で示すように、同じ長さを有してもよい。この改変された狭い指部511’は比較的長いが、その自由端部は、コード化されたいかなる表面とも接触することはない。指部512l、512c、512rは、より深い切欠き溝152によって案内されることになり、狭い指部511(または511’)は、側面凹部の外側部分151によって案内されることになる。
【0035】
図9eに示す実施形態では、鍵160は、狭い外側部分161と、より広い内側部分162とを備えた側面凹部または溝を有し、このより広い内側部分162は、その下側部分が切り欠かれている。側面係止タンブラ602は、対応する比較的長い指部612l、612c、612rを有し、これらの指部には、切欠き溝162内に嵌合するように下向きのより広い外側部分が設けられている。これらの指部の内側部分は、側面凹部の外側部分161よりも狭く、したがって最も外側の部分だけが切欠き溝162の下側部分によって案内される。この下側部分は、第2の側面係止タンブラ602の長い、または「第2の」指部612l、612c、または612rと係合する波状の二次コード面を形成する。
【0036】
狭い第1の指部611を備えた「第1の」側面係止タンブラ601を
図9dに示す。この指部611は、前述の実施形態(
図8d)の狭い指部と同様に、611’によって示すように幾分長くてもよい。鍵160自体もやはり、
図9fに側面図として示す。当然ながら、外側部分161によって形成されるコード面と、内側部分162によって形成されるコード面とは、波状の構成が一般に異なるが、これらの部分は互いに比較的近接して存在させなければならず、その理由は、側面凹部161、162の構造が必然的に従うことになる幾何形状的な制約のためである。本実施形態では、側面係止タンブラは、上側ばね621によって下方に保持され、したがってそれらの指部612l、612c、612rは、それぞれのコード面(側面凹部の外側部分161の下面、および内側部分162の下面)と常に接触していることになる。
【0037】
外溝161、および内溝162の上部は、側面係止タンブラ601、602とは係合せず、したがってこれらの溝の側壁は、
図9fに示すように、単に直線でよい。
【0038】
さらに、鍵160の上方左側部分を、点線163の左側まで除去し、(第1のコード面を形成する)棚状面161、および隣接する(第2のコード面を形成する)内側部分162だけを残すこともやはり可能である。
【0039】
本発明によれば、鍵ブレードの片面にある側面凹部の(一次コード面、および二次コード面を備えた)外側部分、および内側部分と協働する、「第1の」側面係止タンブラ、および「第2の」側面係止タンブラがなければならない。これらの第1の側面係止タンブラと、第2の側面係止タンブラとは、一般に全て同じ種類(塊状、円筒形、もしくは半円筒形、または他の何らかの種類)のものでも、または異なる種類(円筒形、および半円筒形)のものでもよい。また、タンブラ指部は、全ての「第1の」側面係止タンブラ、および全ての「第2の」側面係止タンブラについて同じ種類のものでも、または(例えば
図6aに示すように)混在してもよい。
【0040】
外側部分のコード面、および内側部分のコード面は、「波状」である必要はないが、第1の指部および第2の指部が、それらの表面に沿って摺動することが可能となる限り、他の構成を有することができる。それらのコード面は、直線部分、さらには細かい凹凸または段差を有することができる。さらに、かかる凹凸または段差は、関連する指部が長手方向に這い上る、または降りることができるほど十分小さくなければならない。次のコード面区画に、指部を捕捉する傾斜などが設けられ、かかる傾斜を指部が這い上がる場合、中断部(interruption)があってもよい。
【0041】
当然ながら、鍵ブレードは、片面だけに、または両面にダブルコードを有することができる。
【0042】
鍵はまた、鍵ブレードの上縁部に、中央に配置されたピンと協働する従来のコードを有することができる。
【0043】
鍵はまた、両面式(逆さまにすることが可能)でもよく、また、長手方向に適切なプロファイル溝を設けることもやはりできる。
【0044】
側面係止タンブラの個数は、任意に選択することができ、例えば2個の半円筒形タンブラだけでもよい。同様に、タンブラの幾何形状は異なってもよく、例えば、円形断面ではなく矩形断面でもよい。
【0045】
図10a、10b、10cに示すように、ダブルコードパターンを用いて、特定的に構成された鍵(
図10bおよび10cのBおよびCそれぞれ)と、1本または複数本の親鍵(
図10a)とを備えた錠および鍵のシステムを確立することができる。これらの図面には、鍵の先端に最も近接して配置されたタンブラ位置と、対応する鍵コード部分だけが示されている。しかし、同じ原理が、鍵の残りのコード部分にもあてはまる。
【0046】
図10b(
図1aおよび
図7b、7eも比較されたい)に示す特定の鍵(「子鍵」)Bは、一次コード面114を有する広い、または高い第1の溝111が、その位置で解除高さに配置される、対応する高い(かつ短い)第1のタンブラ指部311cを収容し、一方、二次コード面115’を有する狭くて深い第2の溝112は、
図10cに示す位置にある第2のタンブラ指部312cとの係止を解除することはないように構成され、その理由は、この二次コード面115’がこの位置(リフト上)では高すぎる(「d」よりも高い)からである。
【0047】
一方、
図10cに示す特定の鍵Cは、この特定の高さに位置する長いタンブラ指部312cを有する錠を操作するが、
図10bに示す位置にある、短くて高いタンブラ指部311cを有する錠を操作することにはならず、その理由は、この一次コード面114’がこの位置(リフト下)では低すぎるからである。したがって、これらの2本の特定の鍵CおよびBはそれぞれ、特定の錠は操作するが、これらの錠の両方ともを操作することにはならない。
【0048】
しかし、親鍵Aは、タンブラ指部311cおよび312cによって示すように、どちらの錠も操作することになり、というのは、2つのコード面114および115が適正な高さ、この場合は同じ高さに位置するからである。したがって、この親鍵Aは、第1のコード面114と解除位置で係合する、高くて短いタンブラ指部311cを有する錠だけでなく、第2のコード面115と解除位置で係合する、狭くて長いタンブラ指部312cを有する錠も同様に、操作することになる。一般に、親鍵は、様々な位置の異なる種類の係止タンブラを有するあらゆる錠を解除するように構成され、一方、特定の鍵はそれぞれ、前記錠の群のうちのただ1つの錠、または錠のサブセットだけを解除するように構成される。
【0049】
様々な原理を親鍵システムに用いることによって、当業者は、2つ、または3つ以上の高さを備えた親鍵のシステムを含めて、本発明のダブルコードパターンを含む多くの異なる親鍵システムを設計することが可能となる。また、上述の様々な実施形態に含まれるものなど、それぞれの指部の長手方向の位置を変えることもやはり可能である。