特許第5777718号(P5777718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シーメンス アクチエンゲゼルシヤフトの特許一覧

特許5777718力センサ、ばね及び調節部材を備える溶接ヘッド
<>
  • 特許5777718-力センサ、ばね及び調節部材を備える溶接ヘッド 図000002
  • 特許5777718-力センサ、ばね及び調節部材を備える溶接ヘッド 図000003
  • 特許5777718-力センサ、ばね及び調節部材を備える溶接ヘッド 図000004
  • 特許5777718-力センサ、ばね及び調節部材を備える溶接ヘッド 図000005
  • 特許5777718-力センサ、ばね及び調節部材を備える溶接ヘッド 図000006
  • 特許5777718-力センサ、ばね及び調節部材を備える溶接ヘッド 図000007
  • 特許5777718-力センサ、ばね及び調節部材を備える溶接ヘッド 図000008
  • 特許5777718-力センサ、ばね及び調節部材を備える溶接ヘッド 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777718
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】力センサ、ばね及び調節部材を備える溶接ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B23K 11/11 20060101AFI20150820BHJP
   B23K 11/24 20060101ALI20150820BHJP
   B23K 3/04 20060101ALI20150820BHJP
   B23K 3/00 20060101ALI20150820BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   B23K11/11 550Z
   B23K11/24 336
   B23K3/04 F
   B23K3/00 310H
   B23K1/00 A
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-532177(P2013-532177)
(86)(22)【出願日】2011年10月5日
(65)【公表番号】特表2013-542078(P2013-542078A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】EP2011067362
(87)【国際公開番号】WO2012045763
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2013年8月1日
(31)【優先権主張番号】102010042085.9
(32)【優先日】2010年10月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン カウスラー
【審査官】 青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−179179(JP,U)
【文献】 特開平06−023562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/11
B23K 1/00
B23K 3/00
B23K 3/04
B23K 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接ヘッド(1)であって、
力センサ(7)を備え、
駆動装置(2)と、弾性部材(4)と、前記力センサ(7)と、可動に支承される電極(3)とが一直線上に配置されており、前記駆動装置(2)又は前記弾性部材(4)から前記電極(3)に作用する力の作用線(5)が、前記力センサ(7)及び前記電極(3)の中心を通るように延びている溶接ヘッド(1)において、
前記溶接ヘッド(1)は、調節部材を備え、該調節部材は、前記駆動装置(2)の延長部に固定的に結合されてはいるが、該駆動装置(2)に対して相対的に位置調節可能であるとともに、前記弾性部材(4)の圧縮された状態で、該弾性部材(4)のガイドシャフト(75)に結合されたストッパ部材と当接可能であり、これにより前記弾性部材(4)が前記圧縮された状態に固定可能であることを特徴とする溶接ヘッド。
【請求項2】
前記調節部材は、調節ナット(73)であり、前記ストッパ部材は、ストッパピン(72)である、請求項1記載の溶接ヘッド。
【請求項3】
前記弾性部材(4)は、前記駆動装置(2)と前記力センサ(7)との間に配置されている、請求項1又は2記載の溶接ヘッド。
【請求項4】
前記調節部材は、Oリングにより回動を防止されている調節ナット(73)である、請求項1から3までのいずれか1項記載の溶接ヘッド。
【請求項5】
前記弾性部材(4)は、ばねである、請求項1から4までのいずれか1項記載の溶接ヘッド。
【請求項6】
前記ばねは、コイルばねである、請求項5記載の溶接ヘッド。
【請求項7】
前記駆動装置(2)は、少なくとも1つの空気圧式のシリンダ(20)を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の溶接ヘッド。
【請求項8】
前記空気圧式のシリンダ(20)の伸長中、前記電極(3)が被加工物(6)に載着されるまで、該電極(3)を所定の電極ストローク(E)の分だけ送るように形成され、
前記空気圧式のシリンダ(20)の伸長中、前記電極(3)が被加工物(6)に載着された後、前記弾性部材(4)を所定のばね変位量(F)の分だけ圧縮するように形成され、該ばね変位量(F)は、シリンダストローク(Z)と前記電極ストローク(E)との差をなし、前記弾性部材(4)のプリロードとともに、被加工物(6)に及ぼされる溶接力を規定し、
溶接工程中、前記電極(3)を沈み込み量(N)の分だけ前記弾性部材(4)により送るように形成され、前記弾性部材(4)の圧縮は、沈み込み量(N)の分だけ減じられる、
請求項7記載の溶接ヘッド。
【請求項9】
前記空気圧式のシリンダ(20)の伸長中、前記弾性部材(4)の圧縮が起こらないことを検出するセンサ(8)を備え、該センサ(8)は、被加工物(6)が存在しないことを検出可能である、請求項8記載の溶接ヘッド。
【請求項10】
前記電極(3)の沈み込み量(N)を測定するために配置されたゲージ(9)を備える、請求項8又は9記載の溶接ヘッド。
【請求項11】
前記電極(3)は、両側に配置された2つの電極ガイド(30)間に可動に案内されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の溶接ヘッド。
【請求項12】
冷却水案内部を備える、請求項1から11までのいずれか1項記載の溶接ヘッド。
【請求項13】
前記力センサ(7)は、ひずみゲージを備えるロードセルである、請求項1から12までのいずれか1項記載の溶接ヘッド。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に応じて設計されている溶接ヘッド(1)の、溶接又は熱間リベット締めのための使用。
【請求項15】
前記溶接は、抵抗溶接、抵抗加圧溶接若しくは抵抗スポット溶接、ろう接、又は抵抗ろう付けである、請求項14記載の使用。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載の溶接ヘッド(1)の製造方法であって、該溶接ヘッド(1)の駆動装置(2)は、少なくとも1つの空気圧式のシリンダ(20)を有し、
前記空気圧式のシリンダ(20)の伸長中、電極(3)が被加工物(6)に載着されるまで、該電極(3)を所定の電極ストローク(E)の分だけ送り、
前記空気圧式のシリンダ(20)の伸長中、前記電極(3)が被加工物(6)に載着された後、弾性部材(4)を所定のばね変位量(F)の分だけ圧縮し、このとき、前記ばね変位量(F)は、シリンダストローク(Z)と前記電極ストローク(E)との差をなし、これにより前記溶接ヘッド(1)を第2の組み立て状態(62)に移行させ、
前記駆動装置(2)の延長部に固定的に結合されてはいるが、該駆動装置(2)に対して相対的に位置調節可能である調節部材を、前記弾性部材(4)のガイドシャフト(75)に結合されたストッパ部材と当接させて、前記弾性部材(4)を圧縮された状態に固定し、これにより前記溶接ヘッド(1)を第3の組み立て状態(63)に移行させ、
前記空気圧式のシリンダ(20)を短縮させ、これにより前記溶接ヘッド(1)を第4の組み立て状態(64)に移行させ、該第4の組み立て状態(64)において力センサ(7)を前記溶接ヘッドに装入し、
前記空気圧式のシリンダ(20)を再度伸長させ、前記電極(3)を再度被加工物(6)に載着させた後、前記調節部材を元の位置に戻す、
ことを特徴とする、溶接ヘッドの製造方法。
【請求項17】
前記調節部材は、調節ナット(73)であり、前記ストッパ部材は、ストッパピン(72)である、請求項16記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗溶接、抵抗ろう付け又は熱間リベット締めを実施する溶接ヘッドであって、結合したい被加工物を、抵抗加熱によって、かつそれと同時に接合部(溶接の場合はいわゆる溶接部)に対して圧力(溶接力)を加えながら、素材結合(stoffschluessig)式に又はろうを介して互いに結合する溶接ヘッドに関する。
【0002】
抵抗溶接では、電流を流すことによって、2つの導電性の被加工物を、溶融するまで加熱する。溶融物は、電流を流した後、固化して1つの溶接結合部を形成する。この場合、内的な結合の形成は、場合によっては、電流を流している最中及び電流を流した後の押し付けによって助成される(抵抗加圧溶接あるいは抵抗圧接)。抵抗溶接は、一般に、溶加材の供給なしに実施される。抵抗溶接の特殊な形態である抵抗スポット溶接は、例えばボデーや車両の製造時に鋼板を結合するために使用される。しかし、抵抗スポット溶接は、アルミニウムその他の金属を溶接するためにも役立ち、例えばキャパシタ、コイル及びモータ巻線の接続部、又はリレー及び線路の保護スイッチのための接点セットの製造時にも用いられる。抵抗スポット溶接は、最短の時間で、高いエネルギを電流の形で被加工物の小さな面積に集中させ得るという利点を提供する。このとき、空気圧式又は電気機械式に加えられる高い圧力の供給下で、解離不能な結合が生じる。
【0003】
抵抗ろう付けでは、電流を流すことによりろう付け部に熱を発生させる。抵抗ろう付けは、不同材料の部品、例えば高い熱伝導性を有する金属薄板に小部品をろう付けするために適している。その際、ろう付け部は、電気抵抗を形成し、直接加熱される。
【0004】
上述の利用分野のために、複数の溶接ヘッドが公知である。これらの溶接ヘッドは、対向電極に向かって可動に支承されている電極を支持している。接合したい被加工物は、まず、両電極間に位置決めされ、次に溶接ヘッドの電極を動かすことによって対向電極に押し付けられる。結合プロセス中、必要なプロセス温度及び溶接力により、材料の軟化が起こる。材料の軟化は、被加工物に加えられる電極の圧力により、溶接ヘッドのいわゆる沈み込み(Nachsetzen)に至る。
【0005】
従来技術において、駆動装置と、可動に支承されている電極とを備える溶接ヘッドが公知である(「Mikroschweisskopf mit einstellbarer Elektrodenkraft(2010年9月28日の時点でwww.isomatic.com/html/Deutsh/ksk.htmのアドレスにてインターネット上で入手可能。)」参照)。この場合、溶接力は0.7〜200Nに設定可能である。
【0006】
駆動装置と、可動に支承されている電極とを備える溶接ヘッドは、刊行物「Constant Force Weld Head by MacGregor(2010年10月5日の時点でhttp://www.macgregorsystems.com/files/downloads/Constant%20Force%20Weld%20Head.pdfのアドレスにてインターネット上で入手可能。)」においても公知である。
【0007】
従来技術において、溶接力、すなわち電極により被加工物に及ぼされる圧力の設定及び管理は、間接的に、駆動装置の空気圧式のシリンダに設けられた減圧器によって行われる。択一的には、力センサが、電極と被加工物支持体収容部との間に、溶接力を測定するために配置される。しかし、測定のこの直接的な態様は、各々の使用毎に種々異なっており、コストあるいは手間を要する。
【0008】
それゆえ本発明の課題は、溶接力の測定を簡単化かつ/又は改善する、力センサを備える溶接ヘッドを提供することである。
【0009】
この課題は、溶接ヘッドであって、力センサを備え、駆動装置と、弾性部材と、力センサと、可動に支承される電極とが一直線上に配置されており、駆動装置又は弾性部材から電極に作用する力の作用線が、力センサ及び電極の中心を通るように延びている溶接ヘッドにより解決される。本発明に係る溶接ヘッドは、調節部材、特に調節ナットを備え、調節部材は、駆動装置に固定的に結合あるいは拘束されてはいるが、駆動装置に対して相対的に位置調節可能であるとともに、弾性部材の圧縮された状態で、弾性部材のガイドシャフトに固定的に結合されたストッパ部材、特にストッパピンと当接可能であり、これにより弾性部材が圧縮された状態に固定可能であることを特徴とする。
【0010】
つまり、溶接ヘッドは、調節部材とストッパ部材との協働により、弾性部材が圧縮された状態に固定されていて、それゆえに力センサが溶接ヘッド内に装入可能であるか、又は溶接ヘッドから取り外し可能である組み立て状態へと移行可能である。このことは、力センサの簡単かつ迅速な組み付け及び取り外しを可能にする。
【0011】
本発明に係る溶接ヘッドは、工程能力を記録したいという、組み立て技術において高まる要求を充足する。この場合、まさに一定の溶接力のパラメータは、大きな意味を有している。ある特定の使用時、溶接力は、溶接毎に測定され、記録されねばならない。この場合、この溶接ヘッドの設計は、各溶接時に直接的な力伝達経路内で溶接力を測定し記録することを可能にする。このことは、工程管理を支援する。同時に、電極と被加工物支持体収容部との間での、力センサの手間のかかる配置の必要はなくなる。
【0012】
溶接ヘッドは、工程を過度に長い間中断することがないように、実際の運転における種々異なる使用のための溶接力の管理及び調節のための簡単かつ迅速な測定を可能にする。さらに、工程監視のために、各溶接時の溶接力の直接的な測定も可能である。さらに、それどころか、溶接中の溶接力の変動さえも検出可能である。非定常の確認測定も可能である。
【0013】
駆動装置、弾性部材及び電極の直線状の配置は、駆動装置と接合部との間又は弾性部材と接合部との間に力のモーメントが発生し得ないので、電極の沈み込み特性を最適化する。力のモーメントは、電極のガイドにおける摩擦の増加を招き、比較的高い慣性、ひいては溶接ヘッドの比較的悪い沈み込み特性を惹起する。これに対して、本発明に係る溶接ヘッドは、接合部の直接的な近傍において実現されている、沈み込み特性の最適に設計された制御を可能にする。これにより、この設計の重要な利点は、駆動装置から弾性部材を介した電極までのダイレクトな力伝達経路である。この場合、弾性部材は、沈み込み制御のために役立つ。溶接力の作用線は、電極の中心を電極に沿って延びているので、被加工物に対する相対運動は発生しない。このことは、高い再現性及び電極の低摩耗を生じる。
【0014】
さらに、この設計は、溶接ヘッドのコンパクトな構造形式を可能にする。これにより、一部機械化された人間工学的な解決手段も可能である。さらに、溶接ヘッドの組み付け位置は任意である。また、溶接ヘッドは、簡単に絶縁される。さらに、コンパクトな構造形式は、このリソースを使用するプラットフォームコンセプトの枠内でのベースコンセプトとしての溶接ヘッドの使用を可能にする。また、溶接ヘッドは、可動の電極により、材料が流れる種々異なるシステム、例えばスライダ収容部、回転テーブル又は被加工物支持体等のために使用可能である。
【0015】
好ましい態様において、弾性部材は、駆動装置と力センサとの間に配置されている。
【0016】
つまり、力センサは、直接、弾性部材、例えば圧縮ばねと、電極との間に装入され、これにより、直接、弾性部材と電極との間の力伝達経路内に位置している。それゆえ、力センサは、実際に加えられる溶接力を、直接、介在する部材あるいは要素を介した迂回なしに測定する。この場合、力センサは、定常的に溶接ヘッド内にとどまるか、又は簡単に組み付けられ、取り外されることができる。力センサの代わりにスペーサ部材を備える、既に使用中の状態にある溶接ヘッドは、簡単にシステムアップ可能である。
【0017】
この態様を基礎とする別の態様において、調節部材は、Oリングにより回動を防止されている調節ナットである。
【0018】
別の好ましい態様において、力センサは、ひずみゲージ(DMS:Dehnungsmessstreifen)を備えるロードセルである。これは、ひずみゲージ式力ピックアップとも称呼される。本態様は、ロードセルのモジュール構造により力センサの簡単な組み付け及び取り外しを助成する。
【0019】
少なくとも1つの空気圧式のシリンダを有する駆動装置を有する溶接ヘッドの製造方法では、空気圧式のシリンダの伸長中、電極が被加工物に載着されるまで、電極を所定の電極ストロークの分だけ送る。空気圧式のシリンダの伸長中、電極が被加工物に載着された後、弾性部材を所定のばね変位量の分だけ圧縮し、このとき、ばね変位量は、シリンダストロークと電極ストロークとの差をなし、これにより溶接ヘッドを第2の組み立て状態に移行させる。駆動装置に固定的に結合されてはいるが、駆動装置に対して相対的に位置調節可能である調節部材、特に調節ナットを、弾性部材のガイドシャフトに固定的に結合されたストッパ部材、特にストッパピンと当接させて、弾性部材を圧縮された状態に固定する。これにより溶接ヘッドを第3の組み立て状態に移行させる。空気圧式のシリンダを短縮させ、これにより溶接ヘッドを第4の組み立て状態に移行させ、第4の組み立て状態において力センサを溶接ヘッドに装入する。次に、空気圧式のシリンダを再度伸長させ、電極を再度被加工物に載着させた後、調節部材を元の位置に戻す。
【0020】
本発明に係る製造方法は、力センサの簡単かつ迅速な組み付けを可能にする。
【0021】
別の好ましい態様において、溶接ヘッドは、圧力が駆動装置から電極に加えられることにより、電極が被加工物に当接しない限り、電極を駆動装置に対して同期的に運動させるようになっている。さらに、電極が被加工物に当接している限り、溶接ヘッドは、駆動装置から電極を切り離し、弾性部材によって電極を駆動装置に対して相対的に運動させるようになっている。
【0022】
この場合、結合したい被加工物に対する圧力は、駆動装置によって溶接ヘッドの可動の電極に直接加えられる。弾性部材のばね作用も、直接的な経路で電極に作用する。しかし、駆動装置と弾性部材との力伝達経路は、沈み込み挙動時には切り離されている。これにより、弾性部材のばね力は、駆動装置の力から機械的に切り離されている。このことは、抵抗溶接の再現可能な高い品質に至り、最も高い要求が課される非鉄金属溶接も実施可能とする。弾性部材による電極に対する駆動装置の切り離しは、摩擦損失を低減し、再現性を向上させる。
【0023】
別の好ましい態様において、溶接ヘッドの弾性部材は、圧縮ばね、特にコイルばねであり、溶接力を電極に伝達するために配置され、被加工物に対する電極の沈み込み運動を制御するために設計されている。
【0024】
圧縮ばねは、荷重を加えると撓み、除荷するとその元の形状に戻る、つまり弾性復帰する構成部材である。圧縮ばねの復元力は、フックの法則にしたがって、圧縮ばねが作用する力方向とは逆向きの力作用点の移動量に対して比例する。
【0025】
上述の態様は、圧縮ばねが沈み込み量を制御し、同時にプロセス時間中の溶接力をほぼ一定に維持するという利点を提供する。これにより、圧縮ばねは、溶接中の電極の最適な沈み込み特性を可能にする。それゆえ、溶接ヘッドは、最も高い要求が課される非鉄金属溶接のために使用可能である。
【0026】
別の好ましい態様において、溶接ヘッドの駆動装置は、少なくとも1つの空気圧式のシリンダにより実現されている。この態様を基礎とする別の態様において、溶接ヘッドは、空気圧式のシリンダの伸長中、電極が被加工物に載着されるまで、電極を所定の電極ストロークの分だけ送るように形成されている。さらに、溶接ヘッドは、空気圧式のシリンダの伸長中、電極が被加工物に載着された後、弾性部材を所定のばね変位量の分だけ圧縮するように形成されており、ばね変位量は、シリンダストロークと電極ストロークとの差をなし、弾性部材のプリロードとともに、被加工物に及ぼされる溶接力を規定する。次に、溶接ヘッドは、溶接工程中、電極を沈み込み量の分だけ弾性部材により送るように形成されており、このとき、弾性部材の圧縮は、沈み込み量の分だけ減じられる。
【0027】
この態様は、電極及び駆動装置の前述の切り離しの詳細を説明している。前述の利点は、相応に当てはまる。
【0028】
この態様を基礎とする別の態様において、溶接ヘッドは、空気圧式のシリンダの伸長中、弾性部材の圧縮が起こらないことを検出するように形成されたセンサを備える。これにより、被加工物が存在しないことが検出可能である。この場合、センサの信号は、溶接のために被加工物が存在しているか否かを管理することができるので、溶接工程の開始信号としても使用可能である。
【0029】
別の好ましい態様において、溶接ヘッドは、電極の沈み込み量を測定するために配置されたゲージ(Messtaster)を備える。この場合、ゲージは、溶接中の電極の沈み込み量を測定する。この場合、ゲージが溶接工程全体にわたって連続的に作動可能であると有利である。このことは、より確実な工程管理につながる。この場合、沈み込み量は、直接ばね変位量から求めることが可能である。
【0030】
別の好ましい態様において、溶接ヘッドの電極は、両側に配置された2つの電極ガイド、特にボールガイド間に可動に案内されている。
【0031】
この場合、電極ガイドは電極平面内にペア状に配置される。この場合、溶接力は、電極の中心を通して導かれる。このことは、電極ガイド内の摩擦が低減されるという利点を提供する。このことは、溶接ヘッドの慣性も低減し、全体として溶接時の電極のより良好な沈み込み特性につながる。この場合も、前述の力伝達経路あるいは力の作用線が、電極と一直線上に位置し、かつ電極ガイドとも一直線上に位置すると有利である。さらにこの設計は、可動の電極を収容する電極ホルダが小さな質量を有するにすぎないという利点を提供する。このことは、低い慣性質量及び高い電極加速度につながる。ボールガイドは、電極ガイドにおける摩擦係数を付加的に下げることが可能であるという特別な利点を提供する。全体として、これにより、溶接ヘッドの動特性が助成される。
【0032】
本発明の別の好ましい態様において、溶接ヘッドは、電極を冷却するために形成されている冷却水案内部を有している。これにより、一定の温度関係が実現可能である。
【0033】
溶接ヘッドは、溶接、特に抵抗溶接、抵抗加圧溶接若しくは抵抗スポット溶接、ろう接、特に抵抗ろう付け、又は熱間リベット締めのために適している。このことは、溶接ヘッドが、方法に置換することにより、種々異なる結合技術のためのリソースとして利用可能であるという利点を提供する。
【0034】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】溶接ヘッドの4つの運転状態を示す図である。
図2】各構成部材を分解した状態で溶接ヘッドを示す図である。
図3A】溶接ヘッドを断面した正面図である。
図3B】溶接ヘッドの側面図である。
図3C】溶接ヘッドの平面図である。
図4A】力センサを組み付けるための溶接ヘッドの第2の組み立て状態を示す図である。
図4B】力センサを組み付けるための溶接ヘッドの第3の組み立て状態を示す図である。
図4C】力センサを組み付けるための溶接ヘッドの第4の組み立て状態を示す図である。
【0036】
図1は、溶接ヘッド1を第1の運転状態11、第2の運転状態12、第3の運転状態13及び第4の運転状態14で示している。溶接ヘッド1は、それぞれ、駆動装置2、電極3、弾性部材4、センサ8、ゲージ9及び電極ガイド30から構成されている。駆動装置2、弾性部材4及び電極3は、1つの作用線5上に配置されている。溶接ヘッド1の下には、それぞれ、互いに溶接されるべき2つの被加工物6が図示されている。駆動装置2は、2つの終端位置検出部(Endlagenabfrage)40を有している。センサ8の詳細な配置は、後述する別の図面から看取可能である。弾性部材4は、図1では圧縮ばね、具体的にはコイルばねとして示されている。駆動装置2は、例えば単数又は複数の空気圧式のシリンダを有している。空気圧式のシリンダは、図1には詳細には示されていない。駆動装置2は、駆動力を作用線5に沿って発現し、垂線に沿って、溶接ヘッド1の図1に可視のその他の部材あるいは要素、特に弾性部材4及び電極3に伝達する。電極3の電気めっきによる被覆は、電極3の腐食を防止し、接触抵抗の変化を回避する。
【0037】
さらに図1は、弾性部材4と電極3との間に配置されている力センサ7を示している。これにより力センサ7は、駆動装置2と、弾性部材4と、電極3との間の直接的な力伝達経路内に位置している。ストッパピン72は、弾性部材4のガイドシャフト75に結合されている。ストッパピン72は、Oリングを介した回動防止手段により駆動装置2の延長部あるいは駆動装置2の空気圧式のシリンダの延長部に固定的に取り付けられているあるいは拘束されている調節ナット73と協働して、力センサ7の簡単な組み付け及び取り外しを可能にする。この協働については下で詳細に説明する。力センサ7の代わりに、スペーサ部材を取り付けてもよい。このスペーサ部材は、後の時点で力センサ7に置き換えられる。
【0038】
力センサ(力ピックアップともいう)は、力センサに作用する力を測定する。例えば、管形あるいはセル形の力センサは、力センサの金属体の変形をひずみゲージによって測定する。ひずみゲージの電気抵抗は、変形に伴って変化する。
【0039】
ガイドシャフト75に取り付けられている第2の調節ナット74は、弾性部材4のプリロードを調節するために役立つ。
【0040】
第1の運転状態11で、溶接ヘッド1は基本位置にある。以下、駆動装置2が空気圧式のシリンダによって実現されていることを前提とし、空気圧式のシリンダは、第1の運転状態11で短縮している。この場合、空気圧式のシリンダは、作用線5に沿って駆動装置2内に存在する。図1には、空気圧式のシリンダの延長線上に、スペーサスリーブ21が示されている。スペーサスリーブ21は、空気圧式のシリンダが短縮している第1の運転状態11における空気圧式のシリンダのシリンダストロークZを制限する。スペーサスリーブ21により、空気圧式のシリンダのシリンダストロークZは、可変に調節可能である。シリンダストロークZを変更するには、スペーサスリーブ21が、適当な寸法を有するスペーサスリーブと交換されればよい。弾性部材4には、第1の運転状態11でプリロードがかけられている。
【0041】
第2の運転状態12で、空気圧式のシリンダは、完全に伸長しており、このとき、シリンダストロークZを経ている。電極3は、第1の運転状態11から第2の運転状態12への移行時、電極ストロークEを経て、被加工物6上に載着されている。空気圧式のシリンダが全シリンダストロークZの分だけ伸長する前に、電極3は被加工物6に既に載着されてしまうので、弾性部材4は、既に第1の運転状態11で付勢されているプリロードに加えて、さらにばね変位量Fの分だけ圧縮される。ばね変位量Fも、図1に示されている。したがって、弾性部材4は、第2の運転状態12でより強く圧縮されている。電極3は、今や、溶接力でもって被加工物6を押圧している。
【0042】
溶接力は、この場合、弾性部材4のプリロードとばね変位量Fとから生じる。溶接力は、240〜1400Nの間で可変に調節可能である。調節は、場合によっては第2の運転状態12で実施される。このために、弾性部材4のプリロードV(図3Aに図示)は、例えば1.8〜8.5mmの間で調節される。ばね変位量Fは、例えば1〜3mm、好ましくは1.5mmに調節される。設計次第では、溶接力、ばね変位量F及びプリロードVの、上記値とは異なる限界値及び基準値を設定することもできる。
【0043】
シリンダストロークZは、電極ストロークEとばね変位量Fとからなる。ゲージ9は、誘導式のピックアップとして形成されており、溶接工程中、電極3の沈み込みを測定する。
【0044】
溶接工程は、第2の運転状態12と第3の運転状態13との間で実施され、第3の運転状態13では既に完了している。溶接工程中、電極3は、沈み込み量Nの分だけ被加工物6内に沈み込む。相応に、弾性部材4の圧縮は、前述のばね変位量から、沈み込み量Nの分だけ減少する。
【0045】
第4の運転状態14は、空気圧式のシリンダがシリンダストロークZの分だけ完全に伸長している場合を示しているが、被加工物6が存在しないので、電極3は空走する。つまり、この場合、ばね変位量Fの弾性部材4の圧縮は起こらない。すなわち、第4の運転状態14では荷重が弾性部材4に加えられていない。このことは、センサ8によって検出可能であり、被加工物が溶接のために存在しているか否かを管理するために役立つ。
【0046】
総括すると、電極3は、被加工物6に当接しない限り、駆動装置2に対して同期的にあるいは空気圧式のシリンダの運動に対して同期的に運動する。電極3が被加工物6に当接すると直ちに、電極3は、駆動装置2から切り離され、空気圧式のシリンダの運動に対して相対的に運動する。この動作は、弾性部材4によって可能となる。
【0047】
図2は、再度、駆動装置2、電極3及び弾性部材4を有する溶接ヘッド1を示している。駆動装置2、電極3及び弾性部材4は、再度、作用線5上に配置されている。付加的に、センサ8、スペーサスリーブ21、空気圧式のシリンダ20及び電極ガイド30も図示されている。列挙した部材は、上述のものと同じ機能を有している。図2は、列挙した部材の組み立ての詳細を示している。
【0048】
さらに図2は、弾性部材4と電極3との間に配置されている力センサ7を示している。これにより力センサ7は、駆動装置2と、弾性部材4と、電極3との間の直接的な力伝達経路内に位置している。ストッパピン72は、弾性部材4のガイドシャフト75に結合されている。ストッパピン72は、Oリングを介した回動防止手段により駆動装置2の延長部に固定的に取り付けられている調節ナット73と協働して、力センサ7の簡単な組み付け及び取り外しを可能にする。この協働ついては下で詳細に説明する。
【0049】
ガイドシャフト75に取り付けられている第2の調節ナット74は、弾性部材4のプリロードを調節するために役立つ。
【0050】
図3Aは、溶接ヘッド1の断面図を含む溶接ヘッド1の正面図を示している。再度、作用線5上に直線状に配置されている駆動装置2、電極3及び弾性部材4が示されている。さらに、スペーサスリーブ21及び電極ガイド30も良好に看取可能である。図3Aには、シリンダストロークZ、ばね変位量F及び電極ストロークEに加え、弾性部材4を予め付勢するプリロードVも示されている。列挙した部材は、上述のものと同じ機能を有している。
【0051】
さらに図3Aは、弾性部材4と電極3との間に配置されている力センサ7を示している。これにより力センサ7は、駆動装置2と、弾性部材4と、電極3との間の直接的な力伝達経路内に位置している。ストッパピン72は、弾性部材4のガイドシャフト75に結合されている。ストッパピン72は、Oリングを介した回動防止手段により駆動装置2の延長部に固定的に取り付けられている調節ナット73と協働して、力センサ7の簡単な組み付け及び取り外しを可能にする。この協働については下で詳細に説明する。
【0052】
ガイドシャフト75に取り付けられている第2の調節ナット74は、弾性部材4のプリロードVを調節するために役立つ。
【0053】
図3Bは、溶接ヘッド1の側面図である。再度、作用線5上に直線状に配置されている駆動装置2、弾性部材4及び電極3の他に、図3Bは、スペーサスリーブ21、センサ8及び電圧測定線路50のための端子も示している。この場合、電圧測定線路50のための端子は、電極間の電圧降下を測定するために役立つ。その他の部材は、上述のものと同じ機能を有している。
【0054】
さらに図3Bは、弾性部材4と電極3との間に配置されている力センサ7を示している。これにより力センサ7は、駆動装置2と、弾性部材4と、電極3との間の直接的な力伝達経路内に位置している。ストッパピン72は、弾性部材4のガイドシャフト75に結合されている。ストッパピン72は、Oリングを介した回動防止手段により駆動装置2の延長部に固定的に取り付けられている調節ナット73と協働して、力センサ7の簡単な組み付け及び取り外しを可能にする。この協働については下で詳細に説明する。
【0055】
ガイドシャフト75に取り付けられている第2の調節ナット74は、弾性部材4のプリロードを調節するために役立つ。
【0056】
図3Cは、溶接ヘッド1の平面図である。図3Cは、溶接ヘッド1の一部を断面した状態で示しており、特に電極3及び駆動装置2が看取可能である。
【0057】
以下に、力センサを溶接ヘッド内に組み付ける一実施の形態について説明する。本実施の形態は、少なくとも大部分、インチング運転(Tipp−Betrieb)で実施される。本実施の形態は、図1に示した第4の運転状態14に相当する、図示しない任意選択的な第1の組み立て状態で開始する。この第1の組み立て状態において、図1に示した調節ナット73と、ストッパピン72との間の間隔は、1mmである。
【0058】
図4Aは、力センサを組み付けるための溶接ヘッド1の第2の組み立て状態62を示している。駆動装置2、弾性部材4及び電極3の他に、弾性部材4と電極3との間に配置されているスペーサ部材71が示されている。ストッパピン72は、弾性部材4のガイドシャフト75に結合されている。調節ナット73は、Oリングを介した回動防止手段により駆動装置2の延長部に固定的に取り付けられている。第2の調節ナット74は、ガイドシャフト75に取り付けられている。
【0059】
第2の組み立て状態62を実現するために、電極3は、駆動装置2の空気圧式のシリンダの伸長中、被加工物6に載着されるまで前進させられる。弾性部材4は、空気圧式のシリンダの伸長中、電極3が被加工物6に載着された後、ばね変位量Fの分だけ圧縮される。弾性部材4の圧縮に基づいて、調節ナット73とストッパピン72との間の間隔Dは、1mm+ばね変位量Fに拡大する。
【0060】
ストッパピン72に対して調節ナット73を回動させることで、今や、図4Bに示す第3の組み立て状態63が達成される。図4Bの符号は、この場合、図4Aに示したものと同じ部材を示している。ストッパピン72に対する調節ナット73の回動は、弾性部材4がもはやばね変位量Fの分弛緩することができないようにする。相応に、間隔Dはゼロに減少する。
【0061】
空気圧式のシリンダの短縮により、溶接ヘッド1は、今や、図4Cに示す第4の組み立て状態64に移行される。図4Cの符号は、この場合、図4Aに示したものと同じ部材を示している。第4の組み立て状態64において、弾性部材4とスペーサ部材71との間の力伝達経路は、開放されている。それゆえスペーサ部材71は、溶接ヘッド1から簡単に取り除かれ、力センサ7に置き換えることが可能である。
【0062】
図示しない第5の組み立て状態において、空気圧シリンダは再度伸長させられる。このとき、電極3は、再度、被加工物6に載着される。その後、調節ナット73は、回動されて元の位置に戻される。これにより、弾性部材4と力センサ7との間の力伝達経路は、後の運転のために再度閉鎖されている。
【0063】
これにより、ストッパピン72に対する調節ナット73の対応配置あるいは形状結合は、インチング運転中、弾性部材4と電極3との間の力伝達経路の簡単な遮断、ひいては力センサ7の簡単な組み付けを可能にする。本実施の形態とは異なり、既に組み付けられた力センサを取り外したり、交換したりしてもよい。
【0064】
上述の実施の形態、変化態様及び実施例は、互いに自由に組み合わされる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C