(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
手順(1)において、環化反応で使用する有機溶剤は、トルエン、ジメチルベンゼン又はその異性体もしくはその異性体の混合物、トリメチルベンゼン又はその異性体もしくはその異性体の混合物、ジエチルベンゼン又はその異性体もしくはその異性体の混合物、トリエチルベンゼン又はその異性体もしくはその異性体の混合物、石油エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2−プロピレングリコールジメチルエーテル、1,2−プロピレングリコールジエチルエーテル、1,2−プロピレングリコールジプロピルエーテル、1,2−プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン又はその異性体もしくはその異性体の混合物、ジメチルスルホキシド、ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリドン、スルホラン又は上記の溶剤の混合物のいずれか一つ又は複数であることを特徴とする請求項4記載の方法。
前記有機溶剤は、ジメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、DMSO、DMF又はそれらの混合物のいずれか一つであることを特徴とする請求項6記載の方法。
手順(1)において、反応系を冷却する時又は冷却した後、中間体(V)化合物の析出を促進するために反応系に中間体(V)化合物に対して溶解性の低い、沸点30℃−150℃の低沸点有機溶剤を加え、
前記沸点の低い有機溶剤を、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、石油エーテル、シクロヘキサン又はそれらの混合物のいずれか一つとすることを特徴とする請求項4、5または6記載の方法。
手順(1)の環化反応において、反応を促進するために、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ジナトリウム、燐酸カリウム、リン酸水素二カリウム、燐酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、燐酸リチウム、リン酸水素二リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸アンモニウム、蓚酸ナトリウム、蓚酸カリウム、蓚酸リチウム、蓚酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム又は水酸化リチウムのいずれか一つ又は複数のアルカリ性物質を加えることを特徴とする請求項4、5または6記載の方法。
1−20wt%の請求項1、2または3記載の化合物、その塩又はそれらの混合物、5−50wt%の水溶性の有機溶剤、30−94wt%の水を含み、但し、総重量を基準に、前記各成分の含有量の合計が100%であり、前記水溶性を持つ有機溶剤が、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、グリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジグリセリン、2−ピロリドンおよびN−メチル−2−ピロリドンのいずれか一つ又は複数であることを特徴とするインクジェット用水性インク組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の発明者は、遊離酸の形をした一般式(I)又は(III)で示されるカルボニルプロピルスルホニルアントラセンピリドンスルホン酸化合物、又はその塩、或いは前記化合物の混合物、もしくは前記化合物の塩の混合物により、この課題を解決できることを見いだした。
【0011】
本発明の目的は、マゼンタ染料化合物およびその混合物、具体的に言うとカルボニルプロピルスルホニルアントラセンピリドンスルホン酸化合物又はその塩もしくはそれらの混合物を提供することであって、このような化合物およびその混合物は、改善された耐光性、耐オゾン性、耐水性を持つだけでなく、さらに優れた水溶性、およびインクジェット用インクにおける長期安定性を持っている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つ目の態様は、一般式(I)又は(III)で示される化合物、又はその塩、もしくはそれらの混合物に関わる。
【0013】
【化1】
式(I)中:
X
1はH、又はCO
2Hであり、
X
2はOH、又は0〜2個のスルホン酸置換基を持つフェニル基で、前記スルホン酸置換基はベンゼン環上の任意の場所に位置してよく、
X
2がOHである場合は、X
1はHであり、
X
2が0〜2個のスルホン酸置換基を持つフェニル基である場合は、X
1はH又はCO2Hであり、
nは0〜2の整数である。
【0014】
【化2】
式(III)中、nおよびmはそれぞれ0〜2の整数である。
好ましい実施例では、前記nとmはそれぞれ1〜2の整数である。
【0015】
もう一つの好ましい実施例では、前記一般式(I)又は(III)化合物の塩は、以下のいずれかのカチオン塩である。Li
+、Na
+、K
+、NH
4+、又は有機アンモニウム塩N
+R
1R
2R
3R
4。ここで、R
1、R
2、R
3、R
4はそれぞれ同一又は異なってよく、H、C
1−18アルキル基、シクロヘキシル、CH
2CH
2OH、CH(CH
3)CH
2OH、又はベンジルである。
【0016】
本発明の2つ目の態様は、以下の手順を含む上記の一般式(I)又は(III)で示される化合物又はその塩、もしくはそれらの混合物を調製方法に関わる。
【0017】
(1)中間体式(V)化合物の合成
【0018】
【化3】
式V中、R
5はC1−C4アルキルである;
【0019】
合成手順は次の通り:式(IV)又は(IV’) 化合物を原料として、有機溶剤の中に、温度100℃〜250℃の状態で、2〜10時間かけて式(IV)又は(IV’) 化合物をベンゾイル酢酸エステル
【0020】
【化4】
と環化反応を起こし、中間体式(V)化合物を形成する。
【0021】
【化5】
環化反応が終了した後、反応系を冷却し、式(V)化合物を固体状態で液体反応系から析出し、ろ過して固体中間体(V)化合物を獲得する。
前記反応温度は好ましくは100℃〜200℃、より好ましくは130℃〜190℃である。反応時間については、好ましくは2〜8時間、より好ましくは2〜5時間、特に好ましくは2〜4時間である。
【0022】
前述の有機溶媒は、100〜300℃の沸点を持っており、反応原料(IV)又は(IV’)の一部又は全部を溶解できる有機溶剤で、前記沸点は好ましくは140〜250℃、特に好ましくは140〜200℃である。
【0023】
(2)スルホン化と分解手順: 5−30%SO
3を含む発煙硫酸(SO
3・H
2SO
4)又はクロロスルホン酸を用いて、温度10℃〜120℃の状態において、中間体(V)化合物に対してスルホン化を行い、同時に分解反応を起こして一種又は多種の式(I)化合物と一種の又は多種の式(III)化合物を含む一種の混合物を生成する。反応時間は2〜4時間、好ましくは3〜4時間である。
スルホン化温度は好ましくは10〜100℃である。また、発煙硫酸における三酸化硫黄の含有量は好ましくは5〜20%、より好ましくは6〜15%である。
【0024】
(3)塩析手順: 塩を用いて手順(2)で得られた混合物に対して塩析を行い、一種又は多種の式(I)で示される化合物の塩、および一種又は多種の式(III)で示される化合物の塩を含む混合塩を調製する。
【0025】
塩析で使用する塩は好ましくは無機塩で、前記無機塩は、好ましくは塩化アンモニウム、塩化ナトリウム又は塩化リチウムのいずれか一つとする。
【0026】
(4)分離手順: 逆相イオン対クロマトグラフィーを採用して混合塩から式(I)と式(III)で示される化合物の塩を分離し、これらの塩に対して脱塩を行い、式(I)と(III)で示される化合物を獲得する。
【0027】
好ましい実施例では、手順(1)において、環化反応が終了した後、反応系を冷却する時、好ましくは0〜50℃、より好ましくは0〜30℃まで冷却する。
【0028】
別の好ましい実施例では、手順(1)において、環化反応に使用する有機溶剤は、トルエン、ジメチルベンゼン又はその異性体もしくはその異性体の混合物、トリメチルベンゼン又はその異性体もしくはその異性体の混合物、ジエチルベンゼン又はその異性体もしくはその異性体の混合物、トリエチルベンゼン又はその異性体もしくはその異性体の混合物、石油エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2−プロピレングリコールジメチルエーテル、1,2−プロピレングリコールジエチルエーテル、1,2−プロピレングリコールジプロピルエーテル、1,2−プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン又はその異性体もしくはその異性体の混合物、ジメチルスルホキシド、ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリドン、スルホラン、又は上記の溶剤の混合物のいずれか一つ又は複数のものである。
【0029】
上記の有機溶剤は、より好ましくはジメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、DMSO、DMF、又はそれらの混合物である。
【0030】
別の好ましい実施例では、手順(1)において、反応系を冷却するとき又は冷却した後、反応系に中間体(V)化合物に対して溶解性が低く、沸点が30℃〜150℃の低沸点有機溶剤を加え、中間体(V)化合物の析出を促進する。前記低沸点有機溶剤は、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、石油エーテル、シクロヘキサン、又はそれらの混合物である。
【0031】
別の好ましい実施例では、手順(1)の環化反応段階においてアルカリを加えて反応の進行を促進する。前記アルカリは、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ジナトリウム、燐酸カリウム、リン酸水素二カリウム、燐酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、燐酸リチウム、リン酸水素二リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸アンモニウム、蓚酸ナトリウム、蓚酸カリウム、蓚酸リチウム、蓚酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム又は水酸化リチウムのいずれか一つ又は複数のものとし、より好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムである。
【0032】
本発明の3つ目の態様は、本発明における上記の化合物又はその塩もしくはそれらの混合物を含む一種のインクに関わる。前記インクは、好ましくは印刷インク、塗布インク、又はインクジェットインクで、前記インクジェットインクは、好ましくは水性又は溶剤もしくは水性溶剤のインクジェットインクである。
【0033】
本発明の4つ目の態様は、1〜20wt%の本発明における上記の化合物又はその塩もしくはそれらの混合物、5〜50wt%の水と混和できる有機溶剤、および30〜94wt%の水を含む一種のインクジェット水性インク組成物に関わる。組成物の総重量を基準とした前記各成分の含有量の合計は100%である。
【0034】
前記の水と混和できる有機溶剤は、好ましくはエタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ジグリセリン、2−ピロリドンおよびN−メチル−2−ピロリドンのいずれか一つ又は複数のものである。
【0035】
本発明の5つ目の態様は、上記の化合物又はその塩もしくはそれらの混合物を含む一種の塗料(好ましくは屋外用塗料)、ペンキ(好ましくは屋外用ペンキ)、レーザープリンター用トナー、又はマーカーに関わる。
【0036】
本発明の6つ目の態様は、上記の化合物又はその塩もしくはそれらの混合物の一つの用途、以下の材料に用いられる着色剤に関わる。インク、塗料、ペンキ、レーザープリンター用トナー、マーカー、織物(好ましくは機械織物、メリヤス又は不織布織物)、ガラス、セラミックス又はポリマー(好ましくはゴム、プラスチック又はファイバー)。
【発明の効果】
【0037】
本発明で紹介される化合物およびその混合物に以下のようなメリットがある。
【0038】
1)一般式(I)と(III)で示される化合物及その塩には次のような構造特性を持っている。置換されたアントラセンピリドンスルホン酸化合物にカルボニルプロピルスルホニル基が導入され、染料の水溶性を高めた。
【0039】
2)カルボニルプロピルスルホニル基の導入により、染料の親色素分子の電子雲密度が縮小し、耐光性と耐オゾン性がさらに改善した。
【0040】
3)カルボニルプロピルスルホニル基の導入により、色素分子の柔軟性が向上し、染料が結晶しにくくなり、インクに含まれるエチレングリコール、グリセリン系添加物等の有機保湿剤との親和性が向上し、インク安定性の改善に貢献した。
【0041】
4)本発明で紹介された調製方法では、従来の市販の青い染料誘導体を基本原料としているため、低コストで簡単に合成できる。これに対して従来の特許技術によれば、高コストの非染料化合物を初期原料としているため、いくつもの反応段階が必要となる。
【0042】
本発明で導入したカルボニルプロピルスルホニル基に水溶性基が含まれているため、導入により分子の電子雲密度が縮小し、化合物の耐光酸化性と耐オゾン性が向上したほか、染料の溶解度と分子の柔軟性が改善され、インクにおける染料の長期安定性を高めることができる。
【0043】
本発明の調製では、量産可能な染料を使用するため、生産周期の短縮、低コストを実現することができる。
【0044】
本発明における化合物およびその混合物は、様々な材料に含まれるインク、塗料、ペンキ、レーザープリンター用トナー、マーカー、紙、織物、ガラス、陶器、又は高分子材料等の着色剤として使用できる。
【0045】
本発明における染料化合物およびその混合物は、優れた水溶性や長期安定性を持っており、インクジェット印刷に必要な光沢と明るさを実現することができる。この染料化合物によって調製されたインクジェットインクで印刷された画像には優れた耐光性、耐湿性、耐オゾン性があるほか、インクジェット記録媒体において高輝度の色合いを実現することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明における前記混合物とは、一般式(I)で示される化合物の混合物、一般式(III)で示される化合物の混合物、一般式(I)と(III)で示される化合物の混合物、一般式(I)で示される化合物の塩の混合物、一般式(III)で示される化合物の塩の混合物、一般式(I)と(III)で示される化合物の塩の混合物である。前記混合物のうち、各種化合物又はその塩は任意の比率で混合されていてもよい。
【0047】
本発明における式(I)と式(III)で示されるカルボニルプロピルスルホニルアントラセンピリドンスルホン酸化合物は、実際に使用する時は、通常はその塩の形として使用される。本発明は、これらの化合物又はその塩、もしくはそれらの混合物に関わり、好ましくはそれらの塩の混合物に関わる。
【0048】
これらの化合物又はその塩もしくはそれらの混合物は、インク記録紙において鮮やかで明るい色合いを呈し、優れた水溶性を有することが特徴である。インク組成物の調製過程において、濾過膜に対するろ過性にも優れている。また、本発明の染料化合物又はその混合物を使用するインク組成物を長期的に保存しても結晶の分離、物理的変化、色の変化等がなく、貯蔵安定性に優れ、写真クラスのカラー画像を忠実的かつ長期的に呈することができ、写真専用紙(フィルム)の表面(無機粒子塗布)に印刷しても、優れた耐光性、耐オゾン性、耐湿性等を確保でき、長期的かつ安定した画像の保存を実現できる。
【0049】
本発明における前記一般式(I)又は(III)で示される合成物は、遊離酸の形をしたカルボニルプロピルスルホニルアントラセンピリドンスルホン酸化合物で、置換されたアントラセンピリドンスルホン酸化合物分子にカルボニルプロピルスルホニル基が導入されている。
【0051】
式(I)中、カルボニルプロピルスルホニル上の置換基X
1はH、又はCO
2Hであり、X
2はOH、又は0〜2個のスルホン酸置換基を持つフェニル基である。
X
2がOHであるとき、X
1はHである。X
2が0〜2のスルホン酸置換基を持つフェニル基であるときは、X
1はH又はCO
2Hである。
【0052】
実際に、式(III)で示される化合物は以下のように形成される。式(I)で示される化合物では、X
2が0〜2個のスルホン酸置換基を持つフェニル基で、X
1がCO
2Hであるとき、その調製プロセスのひとつであるスルホン化手順の加熱段階において、一部の化合物に含まれるX
2とX
1はひとつの五員環からなる縮合環、およびベンゼン環を形成し、これにより式(III)で示される化合物が形成される。
【0053】
一般式IとIIIにおいて、スルホン酸基(SO
3H)
nおよび(SO
3H)
mはベンゼン環の任意の場所に位置しても構わない。ここで、n、mは0〜2で、好ましくは1〜2である。
【0054】
本発明における化合物の塩は、Li
+、Na
+、K
+、NH
4+又は有機アンモニウム塩N
+R
1R
2R
3R
4のいずれか一つの陽イオン塩であることが好ましい。ここで、R
1、R
2、R
3、R
4は同一又は異なってよく、H、C
1−18アルキル基、シクロヘキシル、CH
2CH
2OH、CH(CH
3)CH
2OH又はベンジル基である。
【0055】
好ましい実施例では、前記有機アンモニウム塩N
+R
1R
2R
3R
4は以下のいずれか一つである。モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩又はトリイソプロパノールアミン塩。
【0056】
より好ましい実施例では、前記陽イオンはLi
+、Na
+、K
+、又はNH
4+のいずれか一つである。
【0057】
一般式(I)又は(III)で示される化合物又はその塩、実際に使用する時は任意の比率の混合物として使用しても構わない。
【0058】
一般式(I)と(III)で示される化合物又は塩、およびそれらの混合物の調製
本発明で紹介される化合物を調製する場合、非染料化合物を初期原料として他のアントラセンピリドンスルホン酸化合物を調製する従来の技術と違い、本発明では低コストのスルホン酸基を持つアントラキノン染料誘導体(IV)又は(IV’)を基礎原料として使用しており、有機溶剤の中でベンゾイル酢酸エステルと環化反応を起こして中間体化合物(V)を形成し、スルホン化と分解反応により一般式(I)と(III)で示される化合物の混合物を形成し、塩析又は塩転換を経て混合塩を形成した後、分離と脱塩を行い、式(I)と(III)で示される純化合物を獲得する。
【0060】
ベンゾイル酢酸エステルと一般式(V)で示される化合物に含まれるR
5はC1−C4アルキルであり、好ましくはメチルまたはエチルである。
【0061】
一般式(V)で示される化合物の合成とは、沸点100℃〜300℃の有機溶剤の中で、温度100℃〜250℃の状態で、式(IV)又は式(IV’)で示される化合物をベンゾイル酢酸エステルと2〜10時間反応させて一般式(V)で示される化合物を形成することである。
【0062】
ベンゾイル酢酸エステルは、ベンゾイル酢酸メチル、ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル酢酸プロピル又はベンゾイル酢酸ブチルのいずれか一つである。
【0063】
使用される有機溶剤は、沸点100〜300℃で、反応原料(IV)又は(IV’)の一部又は全部を溶解できる有機溶剤である。
【0064】
反応を行うと同時に、加熱還流又は加熱蒸留の条件で、副産物である水とアルコールR
5OHを反応系から排出し、反応を促進する。
【0065】
分水器を使い生成された副産物である水とアルコールを還流冷却器から除去し、反応を促進する。
【0066】
環化反応の終了は、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等の業界で一般的に使用されている方法で判断しても構わない。液体クロマトグラフィーで判断する場合は、原料(IV)又は(IV’)の化合物の特徴である青いピークが消えた時点で、反応の終了を意味する。
【0067】
環化反応の時の(IV)又は(IV’)の化合物とベンゾイル酢酸エチルの使用量モル比については特に制限がない。一般技術者は、従来の技術と常識をもとに適切な比率を決めても構わない。なお、好ましくは1:2〜100、より好ましくは1:2〜50、さらに好ましくは1:2〜25、特に好ましくは1:2〜15、最も好ましくは1:2〜10もしくは1:2〜5である。
【0068】
反応原料の一つであるベンゾイル酢酸エステルをそのまま反応溶剤として使用しても構わない。この場合、ベンゾイル酢酸エステルの使用量が若干増える。ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル酢酸メチル、ベンゾイル酢酸プロピル又はベンゾイル酢酸ブチルのいずれか一つを使用し、化合物Vを生成する。
【0069】
環化反応に使用される有機溶剤については、反応を促進するために、原料(IV)又は(IV’)の一部又は全部を溶解できる化合物を使用する。副産物である水とアルコールは、反応過程において蒸発によって反応系から排出される。
【0070】
前記有機溶剤の沸点は100〜300℃で、好ましくは140〜250℃、より好ましくは140〜200℃である。
【0071】
前記有機溶剤として、トルエン、各種異性体のジメチルベンゼンおよびその混合異性体、各種異性体のトリメチルベンゼンおよびその混合異性体、各種異性体のジエチルベンゼンおよびその混合異性体、各種異性体のトリエチルベンゼンおよびその混合異性体、石油エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2−プロピレングリコールジメチルエーテル、1,2−プロピレングリコールジエチルエーテル、1,2−プロピレングリコールジプロピルエーテル、1,2−プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、クロロベンゼン、各種異性体のジクロロベンゼン、混合ジクロロベンゼン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリドン、スルホランおよび上記の溶剤の混合物が挙げられるが、例外もある。
【0072】
前記有機溶剤は、ジメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ニトロベンゼン、DMSO、DMF、2−ピロリドン、NMP、スルホラン又はそれらの混合溶剤であることが好ましい。
【0073】
より好ましくは、前記有機溶剤は、ジメチルベンゼン異性体混合物、o−ジクロルベンゼン、ジメチルベンゼンとDMSOの混合溶剤、o−ジクロルベンゼンとDMSOの混合溶剤である。
【0074】
環化反応温度は100〜250℃で、好ましくは100〜200℃、より好ましくは130〜190℃である。
【0075】
もしくは加圧又は真空状態で反応温度を上げて又は調節して構わない。このとき0.5〜5気圧を採用してよい。
【0076】
環化反応の所要時間は2〜8時間で、好ましくは2〜5時間、より好ましくは2〜4時間である。
【0077】
環化反応が終了した後、反応系を0〜50℃まで、好ましくは0〜30℃まで冷却し、固体状態の中間物(V)を液体反応系から析出し、ろ過して固体中間物(V)を獲得する。
【0078】
反応系を冷却する時又は冷却した後、中間体(V)化合物の完全析出を促進するために、好ましくは中間体(V)化合物に対して溶解性の低い、沸点30℃〜150℃の低沸点有機溶剤を加える。
【0079】
前記低沸点有機溶剤として、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、シクロヘキサン、石油エーテル、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、イソブチル蟻酸エステル、ギ酸sec−ブチル又はそれらの混合物が挙げられるが、例外もある。
【0080】
前記低沸点有機溶剤は、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、石油エーテル、シクロヘキサン又はそれらの混合溶剤であり、より好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール又はそれらの混合物である。
【0081】
環化段階において、反応を促進するために、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ジナトリウム、燐酸カリウム、リン酸水素二カリウム、燐酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、燐酸リチウム、リン酸水素二リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸アンモニウム、蓚酸ナトリウム、蓚酸カリウム、蓚酸リチウム、蓚酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム等のアルカリを加えても構わない。
【0082】
前記アルカリは、好ましくは炭酸ナトリウム、又は炭酸水素ナトリウムである。
【0083】
アルカリの添加量については特に制限がない。式(IV)化合物とアルカリのモル比は好ましくは1:0.01〜20、より好ましくは1:0.05〜10、特に好ましくは1:0.5〜5、最も好ましくは1:0.5〜2.5である。
【0084】
中間体(V)化合物のスルホン化分解反応。
【0085】
スルホン化分解反応は10〜120℃の温度で行なわれる。
【0086】
5−30%SO
3含有の発煙硫酸(SO
3・H
2SO
4)又はクロロスルホン酸を用いて、加熱状態で中間体(V)化合物に対してスルホン化を行うとともに、分解反応を起こして混合物を獲得する。この混合物は一般式(I)で示される化合物(X
2がOHである場合は、X
1はHである。X
2が0〜2個のスルホン酸置換基を持つフェニル基である場合は、X
1はH又はCO
2Hである)、および式(III)で示される化合物を含む。分解とスルホン化は同時に行われる。分解プロセスにおいて、複数の分解反応が同時に生じても構わない。
【0087】
スルホン化と分解プロセスに関する化学反応式は次の通りである。
【0089】
反応式に示すように、Vをスルホン化・分解するとVI、VII、VIII、IXを生成できる。VがVIに分解されると、R
5OH、安息香酸および水が副産物として生成される。VがVIIに分解されると、HCO
2R
5と水が副産物として生成される。VがVIIIに分解されると、R
5OHと水が副産物として生成される。VがIXに分解されると、R
5OHと水が副産物として生成される。このうち式IX化合物は一般式(III)で示される化合物である。
【0090】
中間体(V)で示される化合物の分解およびスルホン化は、発煙硫酸又はクロロスルホン酸を攪拌しながら行われる。
【0091】
発煙硫酸でスルホン化を行う場合には、発煙硫酸における三酸化硫黄の含有量は5〜30%で、好ましくは5〜20%、より好ましくは6〜15%、特に好ましくは7〜13%である。
【0092】
本発明では、中間体(V)で示される化合物と発煙硫酸の比率について特に制限がないが、好ましくは乾燥した中間体(V)と発煙硫酸の重量比は1:5〜50、より好ましくは1:20、特に好ましくは1:15、最も好ましくは1:10である。
【0093】
発煙硫酸でスルホン化を行う時の温度は10〜100℃で、好ましくは40〜90℃である。
【0094】
クロロスルホン酸でスルホン化する場合でも、中間体(V)とクロロスルホン酸の比率について特に制限がないが、好ましくは乾燥した後の中間体(V)とクロロスルホン酸のモル比は1:3〜50、より好ましくは1:5〜30である。
【0095】
クロロスルホン酸でスルホン化を行う時の反応温度は好ましくは20〜100℃、より好ましくは10〜80℃、特に好ましくは20〜60℃である。
反応時間は好ましくは2〜4時間、より好ましくは3〜4時間である。
【0096】
液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等の業界で一般的に使用されている方法でスルホン化反応の終了を判断しても構わない。液体クロマトグラフィーを採用する場合、逆相イオン対の方法により、原料およびスルホン化された生成物のピーク保持時間をもとに反応の終了を判定する。
【0097】
上記の手順を通じて、一般式(I)および(III)で示される化合物の混合物を獲得できる。この混合物における各一般式(I)と(III)で示される化合物の種類およびその比率は、反応温度と時間的要素で左右される。本発明で紹介された反応温度(10〜120℃)と時間(2〜4時間)の範囲内において、本発明で紹介された一般式(I)範囲内の各種具体的な化合物、および一般式(III)で示される化合物を形成することができる。混合物における各種具体的な化合物の比率はいずれも0〜100%の範囲内で変動できるが、同時に0%又は100%になることがない。各種混合物における各化合物の含有量の合計はいずれも100%で、混合物の総重量を基準とする。
【0098】
本発明に示す方法で調製して得られた一般式(I)で示される化合物の制限なき具体例は次の通りである。
【0102】
スルホン化と分解によって得られた混合物で塩析又は塩転換を行い、混合塩を形成する。塩析又は塩転換は、業界で一般的に使用される方法で行われる。
好ましい実施例では、スルホン化と分解された後、攪拌しながらスルホン化と分解された生成物(混合物)を氷水に入れて、温度を40℃以下になるように保持し、塩析又は塩転換を行い、混合塩を獲得する。
【0103】
好ましくは無機塩を用いて、得られた一般式(I)又は(III)で示される化合物に対して塩析を行い、塩を調製する。前記無機塩は、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム等又はそれらの混合物であることが好ましい。
【0104】
無機塩を用いてスルホン化生成物(例えば氷水の中で冷却されたスルホン化生成物)の塩析を行う場合には、何回も塩析をして、一般式(I)と(III)で示される化合物の塩の混合物を獲得することが好ましい。
【0105】
もう一つの制限なき具体的な方法は次の通り:例えば食塩塩化ナトリウムを用いて塩析、ろ過を行うと、ナトリウム塩含有の濡れたケークを獲得できる。この濡れたケークを水に溶かした後、塩酸を加えてpHを1〜2に調節し、ろ過して結晶体を獲得すれば、遊離酸(又は部分的にナトリウム塩)の形をした一般式IとIIIで示される化合物の混合物を獲得できる。次にこの遊離酸の濡れたケークを水とかき混ぜ、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア、有機アミン等をそれぞれ加えて中和した後、一定の塩を加えて塩析を行えば、相応のカリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩を獲得できる。これらの塩のうち、好ましくはリチウム、ナトリウムおよびアンモニウム塩である。
【0106】
もう一つの制限なき具体的な方法は次の通り:氷水の中で冷却されたスルホン化生成物の中に水と石灰(水酸化カルシウム)を加え、温度を40℃以下に保持して反応系に含まれる硫酸をpHが中性になるまで中和し、硫酸カルシウム沈殿を形成し、ろ過した後、水で濾過ケークが無色になるまで洗い流し、ろ過液と洗浄液と洗液を合并し、pHが12〜14になるまでNaOHを加え、2時間攪拌した後、クエン酸でpHが中性になるまで調節して、生成された沈殿をろ過して一般式(I)と(III)で示される化合物のナトリウム塩の混合物を獲得した後、濃縮して分離を行う。
【0107】
本発明では、上記の方法で調製して得られた一般式(I)および(III)で示される化合物の塩の混合物を吸着クロマトグラフィー分離法、階段別塩析分離法、逆相イオン対クロマトグラフィー等の従来の分離手段を採用して分離することができる。
【0108】
例えば逆相イオン対クロマトグラフィーの場合には、逆相イオン対はテトラブチル臭化アンモニウム、テトラブチルヨウ化アンモニウム、トリエチルアミン酢酸等を使用し、染料分子上のスルホン酸基とともに疎水性イオンペアを形成する。染料の極性、スルホン酸基の数および分子量がいずれも異なるため、イオン対の吸着剤(オクタデシルシラン化の混入物等)に対する吸着能も異なっている。そのため、メタノール水を溶離剤として、勾配溶離技術を利用し、クロマトグラフカラムにおける逆相イオン対の溶出順番のシーケンスを利用して混合物における各化合物を分離することができる。具体的な手順として、まず含水量の多い、メタノールの少ない(メタノール5%含有等)、極性の強い溶剤を使い、極性の強い、スルホン酸基の多い、分子量の少ない生成物を溶出した後、メタノールの比率(5%から100%まで)を徐々に上げて、最終的に極性の小さい、スルホン酸基の少ない、分子量の大きい生成物を分離する。異なる溶出順番を設定することにより、異なる時間間隔で溶出液を収集し、分離された各純化製品、即ち一般式(I)、(III)で示される範囲内の各化合物の塩を獲得できる。
【0109】
分離によって得られた各化合物の塩に対して脱塩を行えば、式(I)と(III)で示される化合物を獲得することができる。
【0110】
脱塩については、業界で一般的に使用されている高圧逆浸透膜等の方法を採用しても構わない。
【0111】
実際の応用では、この混合物は分離なしでそのまま使用することもできる。混合物の場合、溶解性や色濃度が高く、しかも色がはっきりとしているため、その応用効果は、純粋化合物より優れる場合もある。前記混合物は、式(I)示される化合物の塩と式(III)で示される化合物の塩の混合物、もしくは式(I)で示される化合物と(III)で示される化合物の混合物であっても構わない。
【0112】
本発明で紹介された上記の合成法では、原料として使用される一般式(IV)と(IV’)で示される青い商用染料化合物は、商用リアクティブ染料をアルカリ性の環境下において、一般的な方法で水又は有機溶剤の中で加熱して調製できる。例えば市販のスルフリル基を持つアミノ基メタ位でのリアクティブブルー19(reactive blue 19)は従来の方法でアルカリ性環境下においてIV又はIV’に対応するIV−RB19又はIV’−RB19に変換できる。さらにベンゾイル酢酸エステルと反応を起こし、中間体V(R5はエチル)に対応するV−RB19を形成できる。同じ方法で、p−位置にスルフリル基を持つ青色染料を初期原料として使用できる。
【0114】
上記の方法で調製して得られる一般式(I)又は(III)で示される化合物の具体的な例(遊離スルホン酸として)は次の通りである(これらの構造を化合物がすべてとは限らない)。
【0118】
上記の方法で調製して得られる生成物、即ち一般式(I)又は(III)で示される化合物又はその塩もしくはその混合物に含まれる無機塩の量は1wt%未満であることが好ましい。高圧逆浸透膜のような従来の方法で染料の脱塩処理を行えば、上記の塩含有量を実現することができる。
【0119】
本発明では、上記の一般式(I)又は(III)で示される化合物又はその塩もしくはその混合物は染料として、水又は水性溶剤(以下の水溶性有機溶剤を含む水)に溶かしてインク組成物の調製に用いることができる。インクにおける本発明の染料化合物又はその混合物の使用量は好ましくは0.1−20重量%、より好ましくは1−20重量%、特に好ましくは1−15重量%、最も好ましくは2−10重量%である。
【0120】
前記インク組成物には、さらに0〜50重量%(好ましくは5〜50重量%)の水溶性又は水と混和できる有機溶剤および0−5重量%のインク抑制剤が含まれており、それ以外はすべて水である。インク組成物における上記の各成分の総重量を基準とする。
【0121】
本発明で使用できる上記の水溶性又は水と混和できる有機溶剤として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、ターシャリブタノール等のC1〜C4のアルカノール;N,N−ジメチルフォルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム;1,3−ジメチルイミダゾリン−2−ケトン又は1,3−ジメチル・ヘキサヒドロ・ピリミジン−2−ケトン等の循環型窒素含有溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタ−4−ケトン等のケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレンエチレングリコール、硫黄エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン・グリコール等の(C2からC6までの)アルキリデンユニットを持つ単量体、オリゴマー又はポリアルキルグリコールもしくはチオグリコール;グリセリン、ヘキサン−1、2、6−トリオール等の多価アルコール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル又はエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチル等の多価アルコールのC1からC4までのアルキル・エーテル;およびγ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤はいずれも単独で又は混合して使用できる。
【0122】
これらの有機溶剤は、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール又はジプロピレンエチレングリコールであることが好ましく、できれば2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチレングリコールであることがより好ましい。
【0123】
前記インク組成物はインク抑制剤を含めても構わない。
代表的なインク抑制剤として、防腐剤および防かび剤、pH調節剤、キレート試薬、防さび剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0124】
代表的な防腐剤および防かび剤として、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、アリルスルホンハロゲン化物系、ヨードアリルエン系、N−ハロゲン化アルキル硫黄系、ニトリル系、ピリジン系、8−ヒドロキシキノリン、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリノン系、ジチオール系、ピリジン酸化物系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第四級アンモニウム塩、トリアジン系、チアジアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメート系、ヒドリンダン臭化物系、ベンジルブロモ酢酸系、無機塩系等の化合物が挙げられる。代表的な有機ハロゲン系化合物として、ナトリウムペンタクロロフェノールが挙げられる。代表的なピリジン酸化物系化合物として、2−ピリジンチオール−1−酸化ナトリウムが挙げられる。代表的な無機塩系化合物として、無水酢酸ナトリウムが挙げられる。代表的なイソチアゾリン系化合物として、1、2−ベンズイソチアゾリン−3−ケトン、2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−ケトン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−ケトン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−ケトン塩化マグネシウム、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−ケトン塩化カルシウム、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−ケトン塩化カルシウム等が挙げられる。その他の代表的な防腐剤および防錆剤として、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0125】
pH調節剤とは、インクのpHを7.0〜11.0の間に調節できる任意の物質をいい、代表的なものとして、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン。水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物。水酸化アンモニウム又はアンモニア;又は炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩が挙げられ、好ましくはアンモニアである。
【0126】
代表的なキレート試薬として、ナトリウムエチレンジアミンテトラアセタト、ニトロナトリウムトリアセテート、ナトリウムヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセテート、ジエチレントリアミンペンタ酢酸ペンタソディウムソルト、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0127】
代表的な防錆剤として、亜硫酸水素塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ニトロソジイソプロピルアミン、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアミン亜硝酸塩等が挙げられる。
【0128】
代表的な水溶性紫外線吸収性剤として、スルホン化されたベンゾフェノン又はスルホン化されたベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0129】
代表的な水可溶性高分子化合物として、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
【0130】
代表的な染料溶解剤として、尿素、ε−カプロラクタム、炭酸ジエチル等が挙げられる。
代表的な界面活性剤として、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオンの界面活性剤等が挙げられる。このうち、代表的な陰イオン界面活性剤として、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸およびその塩類、N−アシルメチルタウリン、6オクタン酸ソープ、ヒマシ油硫酸塩、アンモニア塩基ラウリル硫酸、アルキルフェノール型リン酸塩、アルキル型リン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、ジエチルスルホサクシネート、ジエチルヘキシルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート等が挙げられる。代表的な陽イオン界面活性剤として、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ−4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。代表的な両性界面活性剤として、ラウリルジメチルアミノ酢酸リシン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリンオニウムベタイン、ココヤシ脂肪質アミドプロピルジメチルアミン酢酸ベタイン、ポリオクチル・ポリアミノエチル・グリシンのその他のイミダゾリン誘導体等が挙げられる;代表的な非イオン界面活性剤として、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンローレルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオイルエーテル、ポリオキシエチレンローレルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル類;ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンローレル酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタンセスキオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル等のエステル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デキン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−ジオール等のアルキルジオール類(例えばRixin Chemicals社製のSurfynol104、82、465、Olfine STGなど)等が挙げられる。これらのインク抑制剤は単独又は混合して使用することができる。
【0131】
本発明で紹介されたインク組成物の調製方法は次の通り。一般式(I)又は(III)で示される染料化合物又はその塩もしくはそれらの混合物を水又は上記の水性溶剤(水溶性有機溶剤を含む水)又は水と混和できる有機溶剤に溶かし、必要に応じて上記のインク抑制剤等と一緒に溶解して調製しても構わない。
【0132】
上記の調製方法では、各成分の溶解順番について特に制限を定めない。あらかじめ染料を水又は上記の水性溶剤(水溶性有機溶剤を含む水)に溶かし、インク抑制剤を加えて溶解させるか、もしくは染料を水に溶解した後に水性溶剤、インク抑制剤を加えて溶解する。もちろん別の順番でも構わない。さらにこの染料を含む反応液又はこの色素を含む溶解液逆浸透膜処理を行う溶液に水性溶剤、インク抑制剤を加えてインク組成物を調製しても構わない。インク組成物を調製する際に使用する水は、できればイオン交換水又は蒸留水のような不純物の少ない純水であることが好ましい。次に薄膜フィルタ等で精密ろ過を行い、包含物を除去する。精密ろ過に用いるろ過膜細孔径は通常は1ミクロンから0.01ミクロンで、できれば0.8ミクロンから0.2ミクロンであることが好ましい。
【0133】
本発明のカルボニルプロピルスルホニルアントラセンピリドンスルホン化合物又はその塩、もしくはその混合物で調製されたマゼンタ色インク組成物は、主にハンコ、複写、印、筆記、製図、型押し又は印刷に適しており、中でも特にインクジェット印刷に適している。そのメリットとして、印刷された画像は水、日差し、オゾン、摩擦に強く、調色も可能で、特に黒色染料の合成に適している。
【0134】
上記の一般式(I)又は(III)で示される染料又はその塩もしくはそれらの混合物は、紙、繊維又は布(セルローズ、ナイロン、羊毛など)、革、カラーフィルター基材等のさまざまな素材の着色剤として使用することができる。代表的な着色方法として挙げられるのは、浸染、印刷、スクリーン印刷等の印刷方式およびインクジェット印刷で、このうちインクジェット印刷に最も適している。
【0135】
本発明のインクジェット印刷方法に適用できる代表的な記録媒体(media)として、紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維および革等が挙げられる。このうち情報伝達用シートの場合、通常は表面処理を行い、これらの媒体にインク吸収層を設ける必要がある。インク吸収層は、陽イオン等の重合体を上記の媒体に浸し又は塗布する形で形成される。また、吸収層はさらに多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等を含み、これらの白色無機物は、ポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドン等の親水性重合体とともに上記の媒体の表面に塗布される。これらのインク吸収層が塗布された薄板のことを一般的にインクジェット専用紙(フィルム)又は光沢紙(フィルム)と呼び、代表的なものとして、専用光沢紙、高級光沢紙、シート光沢紙(キャノン製)、写真用光沢紙、光沢包装用紙、極細専用光沢フィルム(エプソン製)、高品質艶出紙、高品質光沢フィルム、軽量紙(エプソン製)等が挙げられる。もちろん一般用紙を使用しても構わない。
一般的には、多孔性白色の無機物で覆われた媒体に印刷された画像は、オゾンによる変色や色落ちが起きやすい。これに対して本発明の水性マゼンタ色インク組成物は優れた耐ガス性を持っているため、このような媒体に印刷する特別な効果を発揮することができる。
【0136】
代表的な多孔性白色無機物として、炭酸カルシウム、カオリン、滑石、粘土、珪藻岩、合成アモルファスシリコン二酸化物、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン石、沸石、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等が挙げられる。
【0137】
インクジェット印刷では、一般的に用いられている黄色、シアンのインク組成物のほか、さらにグリーン色インク組成物、オレンジ色インク組成物、ブルー色(又は紫色)色インク組成物およびマゼンタ色インク組成物が用意されている。本発明の染料化合物でマゼンタ色インク組成物を調製することもできる。必要があれば、これらの色を組み合せて使用するか、ブラック色のインク組成物にすることができる。それぞれの色のインク組成物を対応するインクカートリッジに注入した後、インクジェットプリンターの所定の位置で取り付けて使用する。代表的なインクジェットプリンターとして、圧電方式のプリンター又は加熱で泡を発生させる発泡型プリンター等が挙げられる。
【0138】
本発明で紹介されるマゼンタ色インク組成物は鮮やかなマゼンタ色、特にインクジェット用の光沢用紙に印刷すると非常に明るい色を出し、色落ちしにくく、しかも人体への影響も少ない。
本発明で紹介されるインク組成物は、保存中に沈殿又は分離が発生することがなく、また、インクジェット印刷に使用してもヘッドを詰まらせる心配もない。本発明で紹介されるインクは、連続型インクジェットプリンターで長時間又は断続的に使用しても、物理的な変化が起きることはない。
【実施例】
【0139】
以下は、本発明について詳述する具体的な実施例である。なお、別段の定めがない限り、文中の「部」および「%」は、いずれも重量基準を表している。
【0140】
<実施例1>
(1)100部のジメチルスルホキシドを350部のo−ジクロルベンゼンに加えて、攪拌しながら160部(C.I.リアクティブブルー19)の誘導体(ナトリウム塩、式V’−RB19)、10部の炭酸ナトリウム、250部のベンゾイル酢酸エチルを順番に加えて温度を上げる。175〜180℃の状態で4時間反応させ、その間に生成された副産物であるエタノールと水を共沸蒸留によって反応系から排出され、色は青から次第に紫赤色へと変わり、液体クロマトグラフで反応の終了(所要時間約4時間)を確認する。60℃未満まで冷却し、800部のイソプロピルアルコールを加えて30分攪拌した後、析出物をろ過分離し、得られた析出物を500部のイソプロピルアルコールで洗い流して乾燥させた後、225部のピンク紫色の結晶V−RB19(ナトリウム塩)を獲得する。水中におけるで最大吸収波長は548nmで、質量スペクトルはm/z(−): 803.2([M−H]
−1)である。中間染料生成物V−RB19(遊離スルホン酸をもとに計算)の最大強度の正確な分子量Mは 804.1である。
【0141】
【化16】
【0142】
(2)450.0部の95.0%硫酸を冷却、攪拌しながら380.0部の50%発煙硫酸を加え、830部の10%発煙硫酸を調製し、これを温度40℃以下に冷却した後、175部の上記式V−RB19化合物のナトリウム塩を加えて温度を上げ、60〜65℃の状態で4時間かけてスルホン化反応を起こす。冷却した後、攪拌しながら反応液をゆっくりと1400部の氷水の中に注ぎ込み、温度を40℃以下に冷却して750部の水酸化カルシウムをゆっくりと加え、氷を使って温度を40℃以下に保持し、ろ過して硫酸カルシウムを生成して少量の水で洗い流す。濾液に氷水をかけて、20%水酸化ナトリウムでpHを9−10に調節した後、高圧逆浸透膜脱塩により、混合染料185部(M1、ナトリウム塩として)を含む約2600部の溶液を獲得する。水中における混合染料M1の最大吸収波長は537nmである。
【0143】
逆相イオン対クロマトグラフィーを採用し、Φ80mmのC18クロマトグラフカラム(高さ3000mm)を使用する。2mM酢酸トリエチルアミン水溶液系に異なる比率のメタノール(線形比例)を溶剤として加えて溶出を行う(メタノールは15%から85%まで上げる)。20−50atの圧力の下で、100L/hの流量で5時間かけて溶出する。異なる製品を異なる時間に溶出する。まず溶出分離されるのは5電荷(5つのスルホン酸基)のDm4純化合物(収集時間30分〜70分)で、以降順番に4電荷染料のDm3純化合物(収集時間80分〜120分)とDm8純化合物(収集時間150分〜200分)、3電荷のDm1純化合物(収集時間220分〜280分)、最後は低スルホン化の不純物Dm11又はDm12が溶出される。時間差を置いて溶出液を集めることで、純製品溶液を獲得する。その後、得られた溶液を15%の溶液に濃縮し、塩酸を加えてpHを1−2に調節し、体積別に10%NaClを加えて30%に濃縮して冷却する。染料を溶出、ろ過、乾燥して少量のNaClを含む製品を獲得する。
【0144】
高速液体クロマトグラフィーHPLC分析では、商用Betasil C18(2.1×150mm)クロマトグラフカラムを使用し、流量0.2ml/min、2mM酢酸トリエチルアミン水溶液系(陽イオン系)を使い、50分かけて線形溶出(メタノールを15%から85%に上げる)を行い、550nmの検知波長で得られた混合物における各染料化合物(ナトリウム塩形)の含有量と比率は次の通り:Dm1(13.0%)、Dm3(44.0%)、Dm4(4.5%)、Dm8(18.0%)、Dm10(18.0%)。
【0145】
Dm1:生成量22.1グラム。水溶液における最大吸収波長は537nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):415.0([M−2H]
2−/2), 831.0([M−H]
−1)。染料Dm1(遊離スルホン酸をもとに計算)の最大強度の正確な分子量Mは832.0である。
【0146】
Dm3:生成量77.2グラム。水溶液における最大吸収波長は537nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):323.0([M−3H]
3−/3), 485.0([M−2H]
2−/2), 971.0([M−H]
−1)。染料Dm3(遊離スルホン酸をもとに計算)の最大強度の正確な分子量Mは972.0である。
【0147】
Dm4:生成量6.2グラム。水溶液における最大吸収波長は533nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):350.1([M−3H]
3−/3), 525.0([M−2H]
2−/2), 1050.9([M−H]
−1)。染料Dm4(遊離スルホン酸をもとに計算)の最大強度の正確な分子量Mは1052.0である。
【0148】
Dm8:生成量30.5グラム。水溶液における最大吸収波長は537nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):332.0([M−3H]
3−/3), 498.0([M−2H]
2−/2), 997.0([M−H]
−1)。染料Dm8(遊離スルホン酸をもとに計算)の最大強度の正確な分子量Mは998.0である。
【0149】
Dm10:生成量29.4グラム。水溶液における最大吸収波長は537nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):497.6([M−2H]
2−/2), 996.9([M−H]
−1)。染料Dm3(遊離スルホン酸をもとに計算)の最大強度の正確な分子量Mは998.0である。
【0150】
その他の少量染料はDm11とDm12の混合物で、最後に溶出分離される。これらは相互異性体で、水溶液における最大吸収波長は537nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):445.0([M−2H]
2−/2), 891.0([M−H]
−1)。染料の最大強度の正確な分子量Mは892.0である。
【0151】
【化17】
【0152】
<実施例2>
実施例1の手順1と同じ方法で、中間体V−RB19のナトリウム塩を調製した後、スルホン化反応で10%SO
3・H
2SO
4を12% SO
3・H
2SO
4に変えて、反応温度を85−90℃に上げる。実施例1の手順2と同じ方法で、脱塩により、水中における最大吸収波長は533nmで、混合染料(M2,ナトリウム塩として) 185部を含む2600部の溶液を獲得する。
【0153】
逆相イオン対クロマトグラフィーを採用し、実施例1と同じ分離装置と方式で、上記の染料混合物M2にある染料化合物に対して分離を行う。まず溶出分離されるのは6電荷のDm6純化合物で、その次に5電荷のDm2純化合物とDm4純化合物が順番に溶出分離される。最後に4電荷染料のDm8純化合物とDm10純化合物が順番に溶出分離される。
【0154】
高速液体クロマトグラフィーHPLC分析では、実施例1と同じ装置と方式で得られる染料混合物M2における各染料(ナトリウム塩)の含有量と比率は次の通り:Dm2(16.0%)、Dm4(12.5%)、Dm6(6.0%)、Dm8(13.0%)、Dm10(36.0%)。
【0155】
Dm2:生成量25.0グラム。水溶液における最大吸収波長は537nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):303.2([M−3H]
3−/3), 455.0([M−2H]
2−/2), 911.0([M−H]
−1)。染料Dm2(遊離スルホン酸をもとに計算)の最大強度の正確な分子量Mは912.0である。
【0156】
Dm4:生成量20.1グラム。水溶液における最大吸収波長は533nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):350.1([M−3H]
3−/3), 525.0([M−2H]
2−/2), 1050.9([M−H]
−1)。染料Dm4(遊離スルホン酸をもとに計算)最も豊富な正確な分子量Mは1052.0である。
【0157】
DM6:生成量10.1グラム。水溶液における最大吸収波長は528nmで、質量スペクトル(EI−MS)m/z(−):364.4([M−3H]
3−/3), 547.0([M−2H]
2−/2), 1094.9 ([M−H]
−1)。染料Dm6(遊離スルホン酸をもとに計算)の最も豊富な正確な分子量Mは1095.9である。
【0158】
Dm8: 生成量22.2グラム。水溶液における最大吸収波長は537nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):332.0([M−3H]
3−/3), 498.0([M−2H]
2−/2), 997.0 ([M−H]
−1)。染料Dm8(遊離スルホン酸をもとに計算)最も豊富な正確な分子量Mは998.0である;
Dm10:生成量60.5グラム。水溶液における最大吸収波長は537nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):497.6([M−2H]
2−/2), 996.9([M−H]
−1)。染料Dm10(遊離スルホン酸をもとに計算)最も豊富な正確な分子量Mは998.0である。
【0159】
その他の少量の染料は最初に溶出された低スルホン化染料である。その内容は次の通り:遊離スルホン酸をもとに計算し、分子量992のDm13又はDm14もしくはDm15(相互異性体),Dm13又はDm14もしくはDm15の水溶液における最大吸収波長は537nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):445.0([M−2H]
2−/2), 991.0([M−H]
−1),染料(遊離スルホン酸をもとに計算)の最も豊富な正確な分子量Mは991.9である。
遊離スルホン酸をもとに計算し、分子量1078のDm16又はDm17もしくはDm18(相互異性体)、水溶液における最大吸収波長は528nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):358.6([M−3H]
3−/3), 538.0([M−2H]
2−/2), 1077.0([M−H]
−1),染料(遊離スルホン酸をもとに計算)の最も豊富な正確な分子量Mは1077.9である。
【0160】
【化18】
【0161】
<実施例3>
実施例1の手順1と同じ方法で、IV−RB−19’を原料として中間体V−RB−19’のナトリウム塩を調製する。
【0162】
【化19】
【0163】
中間体V−RB−19’ナトリウム塩の水中における最大吸収波長は543nm,質量スペクトルはm/z(−): 803.2 ([M−H]
−1)。中間染料生成物V−RB−19’(遊離スルホン酸をもとに計算)の最大強度の正確な分子量Mは804.1である。
【0164】
次に、手順2のスルホン化反応では、675.0部の95.0%硫酸を冷却・攪拌しながら550.0部の50%発煙硫酸を加えて1225部の10%発煙硫酸を調製し、40℃以下の環境で235部の中間染料生成物V−RB−19’を加えた後、反応温度を60〜65℃に上げて、5時間かけてスルホン化反応を行う。反応液を2750部の砕かれた氷の中に入れ、さらに875部の水を加え、反応液を60℃まで加熱し、不溶解性物質をろ過により除去し、850部の塩化ナトリウムを加えて、0.5h撹拌した後、室温になるまで2時間置き、再びろ過して、17%の塩化ナトリウム溶液1000部でよく洗い流して乾かして310部のマゼンタ染料を獲得する。染料を6000部の水に溶かし、pH値を8.5まで調節し、高圧逆浸透膜脱塩濃縮により、水中における最大吸収波長は529nmで、245部の混合染料(M3、ナトリウム塩)を含む3000部の溶液を獲得する。
【0165】
逆相イオン対クロマトグラフィーを採用し、実施例1と同じ装置と方式で生成した混合物に対して溶出分離を行い、Dp2、Dp4、Dp10、Dp8の純化合物(ナトリウム塩)を溶出した後、低スルホン化生成物Dp1、Dp3、Dp7の混合物を溶出する。
【0166】
高速液体クロマトグラフィーHPLC分析では、実施例1と同じ装置と方式で測定して得られた上記の染料混合物M3に含まれる化合物とその含有量はDp2(30.0%)、Dp4(22.5%)、Dp8(13.0%)、Dp10(26.0%)である。
【0167】
Dp2:生成量68.5グラム。水溶液における最大吸収波長は527nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):227.1([M−4H]
4−/4), 303.1([M−3H]
3−/3), 455.0([M−2H]
2−/2), 911.0([M−H]
−1)。染料Dp2(遊離スルホン酸をもとに計算)の最大強度の正確な分子量Mは912.0である。
【0168】
Dp4:生成量52.2グラム。水溶液における最大吸収波長は528nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):262.2([M−4H]
4−/4), 349.8([M−3H]
3−/3), 525.1([M−2H]
2−/2), 1051.0([M−H]
−1)。染料Dp4(遊離スルホン酸をもとに計算)の最大強度の正確な分子量Mは1052.0である。
【0169】
Dp8:生成量28.3グラム。水溶液における最大吸収波長は530nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):331.5([M−3H]
3−/3), 498.0([M−2H]
2−/2), 997.0([M−H]
−1)。染料Dp8(遊離スルホン酸をもとに計算)の最大強度の正確な分子量Mは998.0である。
【0170】
Dp10:生成量60.4グラム。水溶液における最大吸収波長は530nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):248.7([M−4H]
4−/4), 331.6([M−3H]
3−/3), 497.6([M−2H]
2−/2), 996.9([M−H]
−1)。染料Dp10(遊離スルホン酸をもとに計算)の最大強度の正確な分子量Mは998.0である。
【0171】
最後に溶出されるその他の低スルホン化染料は次の通り:
遊離スルホン酸をもとに計算し、分子量832の異性体Dp1の水溶液における最大吸収波長は535nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):276.5([M−3H]
3−/3), 415.0([M−2H]
2−/2), 831.0([M−H]
−1)、(遊離スルホン酸をもとに計算)最大強度の正確な分子量Mである832.0。
【0172】
遊離スルホン酸をもとに計算し、分子量972の異性体Dp3の水溶液における最大吸収波長は533nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):242.1([M−4H]
4−/4), 323.0([M−3H]
3−/3), 485.0([M−2H]
2−/2), 971.0([M−H]
−1)、(遊離スルホン酸をもとに計算)最大強度の正確な分子量Mは972.0である。
【0173】
遊離スルホン酸をもとに計算し、分子量918のDp7の水溶液における最大吸収波長は534nmで、質量スペクトルは(EI−MS)m/z(−):228.6([M−4H]
4−/4), 305.1([M−3H]
3−/3), 458.0([M−2H]
2−/2), 917.0([M−H]
−1)、(遊離スルホン酸をもとに計算)最大強度の正確な分子量Mは918.0である。
【0174】
<実施例4>
(A)インクの調製
上記の実施例1−3で得られた混合物M1、M2、M3、および分離によって得られた純粋化合物は、マゼンタ着色剤として使用される。下表1に示す構成でインク組成物を調製し、0.45μm薄膜フィルタでろ過した後、本発明で紹介したマゼンタ水性インク組成物を獲得する。このとき、トリエタノールアミンを加えてインク組成物のpH値を8〜10に調整するほか、総量を100重量部にする為に脱イオン水を加える。
【0175】
同時に同じ方法で、カルボニル化合物のないアントラセンピリドンスルホン酸染料Dye1、商用染料C.Iリアクティブレッド180加水分解誘導体(リアクティブレッド180という)、およびC.I. ダイレクトレッド227を比較用染料として、比較用のインク組成物を調製する。
【0176】
【化20】
【0177】
【表1】
【0178】
(B)インクジェット印刷:
インクジェットプリンター(エプソン会社によって製造されたエプソン270)、光沢写真用紙(エプソン製)および上記の方法で調製したインク組成物を使ってインクジェット印刷を行う。
【0179】
(C)インクジェットプリント画像の評価:
(1)プリント画像のキセノンランプ耐光性試験
キセノンランプ耐候試験装置(中国蘇瑞社製)の下に印刷されたキャノン製の光沢写真用紙を放置し、湿度60%RH、温度24℃の環境で、0.36W/m
2の照度で50時間照射し、試験前後の色差(ΔE)を測定する。色差(ΔE)は上記の色測定システム(Unterlab)での試験前後のL
*、a
*、b
*の数値であり、L
*、a
*、b
*各数値の試験前後の差は、以下の式により算出される:
ΔE=((L
*の差)2+(a
*の差)2+(b
*の差)2)1/2。
【0180】
以下の基準により、三つのランクに分けて評価する。
【0181】
ΔE < 10 ○
ΔE < 20 △
ΔE > 20 ×
【0182】
(2)プリント画像の耐オゾン性試験
耐オゾン性試験装置(中国蘇瑞社製)を使用し、オゾン濃度40ppm、湿度60%RH、温度24℃の環境にプリントした画像を6時間放置し、上記の(1)と同じ方法で、試験前後の色差(ΔE)を測定し、以下の基準により、三つのランクに分けて評価する。
【0183】
ΔE < 10 ○
ΔE < 20 △
ΔE > 20 ×
【0184】
(3)プリント画像の耐湿性試験
恒温恒湿試験装置(中国蘇瑞社製)を使用し、温度50℃、湿度90%RHの環境にプリントした画像を168h放置し、目視で試験前後の滲出性を判断し、以下の基準により、三つのランクに分けて評価する。
【0185】
滲出なし ○
わずかに滲出 △
かなり滲出 ×
【0186】
(D)水中における染料の溶解度(g/100g水)の評価
水中における染料の溶解度>30 ○
水中における染料の溶解度>15−20 △
水中における染料の溶解度<15 ×
【0187】
(E)水性溶剤系における染料の長期安定性に関する評価:
染料20部、水70部およびエチレングリコールの10部からなるシステムを加熱して溶解する。これを冷却し、50℃を保持した密封した環境に置いて7日間保存した後、0℃まで冷却し、0℃の状態でさらに7日間保存してろ過した後、以下の基準により、三つのランクに分けて評価する。
【0188】
沈殿なし ○
わずかに沈殿 △
かなり沈殿 ×
【0189】
すべての測定結果は表2に示す通り。
【0190】
【表2】
【0191】
比較するとわかるように、本発明のカルボニルプロピルスルホニル基を持つアントラセンピリドンスルホン酸染料は、インクジェットインク用染料として極めて優れた溶解性と長期安定性を持っている。また、そのインクジェット用インク組成物で印刷した画像にも優れた耐光性、耐オゾン性と耐湿性が有している。