特許第5777771号(P5777771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5777771
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】マウスピース
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   A61C19/00 M
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-121391(P2014-121391)
(22)【出願日】2014年6月12日
【審査請求日】2014年6月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514126016
【氏名又は名称】日坂 充宏
(73)【特許権者】
【識別番号】514149587
【氏名又は名称】手塚 信宏
(73)【特許権者】
【識別番号】510284004
【氏名又は名称】医療法人社団日坂会
(74)【代理人】
【識別番号】100085006
【弁理士】
【氏名又は名称】世良 和信
(74)【代理人】
【識別番号】100096873
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 廣泰
(74)【代理人】
【識別番号】100131532
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】手塚 信宏
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04976618(US,A)
【文献】 国際公開第2012/175634(WO,A1)
【文献】 米国特許第05078153(US,A)
【文献】 特表2008−503313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00
A61C 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上歯または下歯のいずれか一方の歯に装着される保護部と、該保護部に前記歯列を型取って形成される溝部と、を備え、前記保護部が、上歯または下歯のいずれか他方の歯であって前記保護部が装着された歯に対向する位置の歯に接触することで歯を保護するマウスピースにおいて、
前記保護部の歯ぎしりや食いしばりが発生しやすい個所に設けられた嵌め込み凹部に嵌め込まれ、前記保護部と前記対向する位置の歯が接触する際に前記保護部と前記対向する位置の歯との間に働く圧力を検知する圧力検知部と、
該前記圧力検知部が検知した圧力の大きさが所定値以上となった場合に発信音を発信する発信部と、を有することを特徴とするマウスピース
【請求項2】
前記発信部が発する発信音は音声であることを特徴とする請求項1に記載のマウスピース
【請求項3】
歯列に沿った略U字形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマウスピース
【請求項4】
前記発信部が前記圧力検知部に設けられている請求項1乃至3のいずれかの項に記載のマウスピース
【請求項5】
前記発信部がスピーカである請求項4に記載のマウスピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウスピースに関する。
【背景技術】
【0002】
無意識に行ってしまう歯ぎしりや食いしばり(以下、歯ぎしり等という)に悩む人は多くいる。歯ぎしり等を継続的に行うと、歯に大きな負担をかけ、歯を摩耗させるなど歯を損傷させることとなる。そこで、例えば、特許文献1に示すように、歯を保護するための歯ぎしり防止具としてのマウスピースが知られている。このようなマウスピースを装着することで、歯ぎしり等による歯にかかる負担を軽減させることができ、歯の損傷を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−206790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のマウスピースでは、歯ぎしり等を行うこと自体を抑制するという根本的な問題を解決することは難しい。また、ユーザによっては、カチカチとマウスピースを噛むことが癖になり、歯の損傷を逆に促進させてしまうような場合もあった。
このような癖としての歯ぎしり等を意識的に止めさせることが望まれている。また、歯ぎしり等は睡眠時だけでなく日中起きている時にも行われるものであり、周りの人に不快感を与えるものでもある。
【0005】
そこで、本発明は、歯ぎしりや食いしばりを防止するためのマウスピースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0007】
すなわち、本発明のマウスピースは、
上歯または下歯のいずれか一方の歯に装着される保護部と、該保護部に前記歯列を型取って形成される溝部と、を備え、前記保護部が、上歯または下歯のいずれか他方の歯であって前記保護部が装着された歯に対向する位置の歯に接触することで歯を保護するマウスピースにおいて、
前記保護部の歯ぎしりや食いしばりが発生しやすい個所に設けられた嵌め込み凹部に嵌め込まれ、前記保護部と前記対向する位置の歯が接触する際に前記保護部と前記対向する位置の歯との間に働く圧力を検知する圧力検知部と、
該前記圧力検知部が検知した圧力の大きさが所定値以上となった場合に発信音を発信する発信部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明においては、上歯または下歯のいずれか一方の歯に装着されるマウスピースの保護部と、上歯または下歯のいずれか他方の歯であってマウスピースが装着された歯に対向する位置の歯とが接触する際に圧力検知部が検知した圧力の大きさが所定値以上になった場合に、発信部から発信音が発信される。
発信音がユーザの近くにいる人に聞こえると、近くにいる人はユーザに注目をする。このようにユーザは注目を浴びることで羞恥心を感じるなど、心理的な苦痛を受けることになるため、発信音を停止させるべく、ユーザは意識的に歯を食いしばる力を弱めようとする。すなわち、歯ぎしりや食いしばりが防止されることとなる。
【0009】
また、発信部が発信する発信音が音声であるとよい。発信音を音声とすることで、さらにユーザが受ける心理的な苦痛が大きくなり、歯ぎしり防止効果がより高まることとなる。
【0010】
また、マウスピースは、歯列に沿った略U字形状であるとよい。複数の歯がマウスピースが装着され、複数の歯がマウスピースによって保護される。そのため、歯の損傷がより抑制される。
また、前記発信部が前記圧力検知部に設けられていることが好ましく、さらい発信部がスピーカであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、歯ぎしりや食いしばりを防止するためのマウスピースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施例に係るマウスピースの全体構成を示す外観斜視図
図2】本実施例に係るマウスピースをユーザが装着した状態を示す図。
図3図2のA−A断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施の形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
まず、図1を参照して、本発明の実施例(以下、本実施例)に係るマウスピースの全体構成について説明する。図1は、本実施例に係るマウスピースの全体構成を示す外観斜視図である。本実施例のマウスピース10は、ユーザの上歯に装着される歯ぎしり防止具であって、略U形状(馬蹄形状)の保護部11と、上歯に係合する溝部12を有している。
保護部11は、ユーザがマウスピース10を上歯に装着した状態で、噛み合わせ動作を行った際に下歯に接触することで歯を保護する。マウスピース10は、透明のプラスチックや樹脂等からなり、各ユーザの歯並び(歯列)や歯の形状に応じて作成されるものである。
【0015】
次に、図2図3を参照して、本実施例に係るマウスピースの特徴について説明する。図2は、本実施例に係るマウスピースをユーザが上歯に装着した状態を示す図であり、図3は、図2のA−A断面図である。
【0016】
図2図3に示すように、本実施例のマウスピース10は、保護部11上であって、下歯に対向する位置に圧力センサ等の圧力検知部50を有している。マウスピース10はユーザの歯の型を取って形成したプラスチック等からなるところ、本実施例においては、マウスピース10を型取る際にユーザの歯ぎしりや食いしばりが発生しやすい箇所に圧力検知部50を嵌め込むための嵌め込み凹部13を設けている。本実施例においては、上歯の奥歯100に対応する箇所に嵌め込み凹部13を設けた。圧力検知部50は嵌め込み凹部13に嵌め込まれて、マウスピース10の保護部11に固定される。マウスピース10の
ユーザが、上歯と下歯の噛み合わせ動作を行った際、圧力検知部50は下歯に接触する。
本実施例においては、図2に示すように、下歯のうち奥歯200に接触する。そして、圧力検知部50は、下歯の奥歯200と圧力検知部50(上歯の奥歯100)との間に働く圧力を検知する。
【0017】
図2図3に示すように、本実施例のマウスピース10は、発信部としてのスピーカ60を有している。圧力検知部50が検知した圧力の大きさが所定値以上となった場合、圧力検知部50に設けられるスピーカ60が発信音を発信する。所定値は、継続的にその圧力で噛み合せ動作を行った場合に、歯の損傷が発生する可能性がある程度の大きさに設定する。本実施例においては、図2図3に示すように、圧力検知部50上であってマウスピース10の外面側にスピーカ60を設けた。スピーカ60がマウスピース10の外面側に設けられることにより、内面側に設けられる場合に比較して、スピーカ60からの音がユーザの口内の外部へ聞こえやすい。
【0018】
スピーカ60は、例えば、「ピー」という発信音(以下、ピー音)を発信する。このような発信音がユーザの口内から発信されると、ユーザの近くにいる人はユーザに注目することとなる。例えば、ユーザが電車内に座っている場合、ユーザの隣りに座っている人や前に立っている人は、ユーザに注目することとなる。そのように注目を浴びたユーザは羞恥心等の心理的な負担を受けることとなるため、意識的に、歯の食いしばりを軽減しようとする。また、ピー音は、周りの人だけでなくユーザ自身にとっても不快な音であるため、ユーザはピー音が鳴らないように意識的に歯の食いしばりを軽減しようとする。
【0019】
そのように、ユーザが意識的に、歯ぎしりや食いしばりを軽減しようとすることを継続すると、結果として、歯ぎしりや食いしばりを無意識に行わないようになってくる。すなわち、本実施例のマウスピース10を普段から装着しておくことで、歯ぎしりや食いしばりが次第に抑制されることとなる。
【0020】
また、発信音は、音声であってもよい。例えば、圧力検知部50が検知した圧力の大きさが所定値以上となった場合、スピーカ60から「歯ぎしりをしています」等の音声が流れるようにしてもよい。このような音声が流れることによりユーザが受ける羞恥心等の心理的な負担は、単にピー音が鳴る場合と比較して大きい。そのため、ユーザはより意識的に歯の食いしばりを行わないように努めるようになり、結果として歯ぎしりが抑制されることとなる。
【0021】
なお、本実施例においては上歯に装着されるものについて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、下歯に装着されるものであってもよい。また、本実施例においては歯列全体に係合する略U字形状のマウスピースを示したが、これに限られるものではなく、歯列の一部の歯に装着されるマウスピースであってもよい。また、本実施例においては圧力検知部50を奥歯に設けたが、これに限られるものではなく、前歯等に設けてもよい。さらに、圧力検知部50は、例えば左右両方の奥歯に設けられるなど、複数設けられていてもよい。
【0022】
圧力検知部50は、マウスピース10の保護部11に一体に構成されるものであってもよいし別体であってもよい。また、別体であって保護部11に対して着脱自在な構成であってもよい。
【0023】
また、本実施例においては、発信部としてのスピーカ60を圧力検知部50上に設ける構成としたが、それに限られるものではなく、圧力検知部50は検知した圧力の大きさが所定値以上となった際に音を発信する構成であれば、他の位置に配置されるものであってもよい。また、本実施例においては、発信部としてスピーカ60を例にして説明したが歯
ぎしり抑制を目的とした音を発信するものであればこれに限られるものではない。例えば、歯と発信部とが接触した際に、ユーザの周りの人に聞こえるくらいの物理的な接触音が生じるような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0024】
10 マウスピース
11 保護部
12 溝部
13 嵌め込み凹部
50 圧力検知部
60 スピーカ(発信部)
100 上歯(奥歯)
200 下歯(奥歯)
【要約】
【課題】歯ぎしりや食いしばりを抑制するためのマウスピース10を提供する。
【解決手段】上歯または下歯のいずれか一方の歯に装着されるマウスピース10であって、上歯または下歯のいずれか他方の歯であって歯ぎしり防止具が装着された歯に対向する位置の歯に接触することで歯を保護する保護部11を有する歯ぎしり防止具において、保護部11と上記対向する位置の歯が接触する際に保護部11と上記対向する位置の歯との間に働く圧力を検知する圧力検知部50と、圧力検知部50が検知した圧力の大きさが所定値以上となった場合に発信音を発信するスピーカ60と、を有することを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3