特許第5777772号(P5777772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5777772
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】羽毛の光触媒加工法及び装置
(51)【国際特許分類】
   D06M 10/00 20060101AFI20150820BHJP
   D06M 19/00 20060101ALI20150820BHJP
   A47G 9/02 20060101ALN20150820BHJP
【FI】
   D06M10/00 K
   D06M19/00
   !A47G9/02 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-123363(P2014-123363)
(22)【出願日】2014年6月16日
【審査請求日】2014年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】514152163
【氏名又は名称】株式会社シーエフ
(74)【代理人】
【識別番号】100084571
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 玄陽
(72)【発明者】
【氏名】高 橋 英 造
【審査官】 細井 龍史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−250850(JP,A)
【文献】 特開2002−421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 10/00
D06M 19/00
A47G 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽毛の処理室で羽毛を撹拌しながら光触媒液を噴霧する羽毛の光触媒加工法であって、処理室に投入した羽毛に、少なくとも光触媒液を噴霧した段階から、処理室での全ての処理工程が完了するまで、光を照射することを特徴とする羽毛の光触媒加工法。
【請求項2】
請求項1記載の羽毛の光触媒加工法に使用する装置であって、羽毛に光を照射する光源が、羽毛の処理室内に設けられていることを特徴とする羽毛の光触媒加工法に使用する装置。
【請求項3】
請求項2記載の羽毛の光触媒加工法に使用する装置であって、光源が処理室内の上部に、撹拌アームの回転軸から等距離で且つ回転軸周りに等間隔をあけて複数設けられていることを特徴とする羽毛の光触媒加工法に使用する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽毛の加工法に関し、更に詳しくは消臭、抗菌、抗ウイルス効果等を羽毛に付加できるよう形成した羽毛の光触媒加工法及びこの方法に使用する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。
この特許文献1の従来例は、寝具類を構成する生地や中綿に光触媒を付着させ、光触媒の作用で、細菌、ウイルス、カビ等の繁殖を抑え、抗菌、防臭、防かび等の効果を発揮する寝具類を提供するものである。
【0003】
この場合、光触媒の付着方法として、従来は、印刷や浸漬塗布(デッピング)、或いは吹き付けによっていた。そして従来、光触媒の抗菌等の効果を高く得たい場合は、寝具類を構成する、生地や中綿等に、各々光触媒を付着させて付着量を多くし、また光触媒を吹き付ける場合は、噴霧時間を長くし、噴霧量を多くする方法がとられていた。
【0004】
従って、従来法によると、光触媒の使用量が多くなり、羽毛の加工コストが高くなるのを避けられなかった。
その結果、従来法で加工した羽毛を布団等の詰め物として使用すると、布団等の寝具類の価格が高く付く、という問題点があった。
【0005】
また従来は、羽毛に光触媒を付着させるだけであった。そのため、従来法で処理した羽毛を、ふとんがわ等に充填した場合、ふとんがわで光が遮られるため、羽毛の酸化力を充分に且つ確実に得られない、という問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、提案されたものである。
従って、本発明の解決しようとする技術的課題は、抗菌や消臭等の光触媒の効果を低下させることなく、光触媒の使用量の節減化、加工コストの低廉化を可能にし、ひいては布団等の寝具類を低廉化でき、また光触媒の酸化力を充分に且つ確実に発揮できるよう構成した羽毛の光触媒加工法及びこの方法に使用する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するため、次のような技術的手段を採る。
即ち本発明の光触媒加工法は、図1等に示されるように、羽毛1の処理室2で羽毛1を撹拌しながら光触媒液3を噴霧する羽毛1の光触媒加工法であって、処理室2に投入した羽毛1に、少なくとも光触媒液3を噴霧した段階から、処理室2での全ての処理工程が完了するまで、光を照射することを特徴とする(請求項1)。
【0009】
光触媒液3としては、二酸化チタンや非酸化チタン系の混合材がある。光は、可視光線を主に、赤外線や紫外線を含む。また本発明の場合、光の照射は、光源7としての照明器具や投光器を、羽毛1を投入する処理室2内や、或いは処理室2の覗き窓の窓ガラス越しに設けることで実現される。
【0010】
ここで、少なくとも、とは、光触媒液3を噴霧する前、換言すると羽毛1の投入段階から光を照射する場合を含む、ということを意味する。なお、羽毛1の噴霧工程以外の処理室2での処理工程としては、例えば羽毛1を乾燥する工程や、乾燥後の冷却工程などがある。
【0011】
而して、本発明の羽毛1の光触媒加工法に使用する装置としては、図3図4に示されるように、羽毛1に光を照射する光源7が、羽毛1の処理室2内に設けられているものがある(請求項2)。
【0012】
本発明は、光源7を処理室2の外に設け、覗き見用の窓ガラス越しに光源7を配置するのでも良い。しかしながら、請求項2記載の本発明の場合は、羽毛1に光を、直接、照射できる。従って、これによれば、光触媒液3の酸化力を効率良く且つ高く生成できるものである。なお、光源7としては、蛍光灯等の照明器具や投光器がある。
【0013】
また本発明の装置は、図3図4に示されるように、光源7が処理室2内の上部に、撹拌アーム5の回転軸5aから等距離で且つ回転軸5a周りに等間隔をあけて複数設けられているのが好ましい(請求項3)。
なぜなら、これによると、羽毛1に光を満遍なく照射でき、酸化力にむらのない羽毛1を得られるからである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、このように処理室に投入した羽毛に、全ての処理工程が完了するまで光を照射することを特徴とする。
従って、本発明の場合は、羽毛の加工段階で、噴霧時間を長くすることなく、また噴霧量を多くすることなく、羽毛の表面に強力な酸化力を生じさせることができる。
それ故、本発明によれば、光触媒の使用量を減らすことができ、その分、加工コストを低廉化できる。
【0015】
また本発明は、加工処理した羽毛を、布団などの詰め物として使用すれば、布団等の製品価格を低廉化できる。またこれによれば、抗菌や消臭等の効果、効能を、充分に且つ確実に、また当初から発揮する寝具類を提供できる。
【0016】
また本発明は、上記の通り、処理室に投入した羽毛に、全ての処理工程が完了するまで光を羽毛に照射するものであるから、加工段階で、長い時間にわたって光のエネルギーを羽毛に加えることができる。
従って、これによれば、羽毛が高エネルギー化し、酸化力が長時間にわたって持続する羽毛を得られる、という利点もある。
【0017】
また本発明の装置は、羽毛に光を照射する光源が、羽毛の処理室内に設けられている。
従って、これによれば、本発明法と同様の効果を奏し、酸化力を高く且つ長く得られる羽毛を、低コストで提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明法に使用する処理室の好適な一実施形態を示す構成図である。
図2】本発明法の一例を示すフローチャートである。
図3】本発明法に使用する処理室の他の実施形態を示す構成図である。
図4図3のIV−IV線における要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための好適な一実施形態を添付図面に従って説明する。
本発明の処理法は、図1図2に示されるように、羽毛1を処理室2に投入後、高温雰囲気下の処理室2で羽毛1を撹拌しながら光触媒液3を噴霧する。
【0020】
処理室2には、羽毛1の投入口4が、この実施形態では正面の左右位置に設けられている。投入口4は、透明の窓ガラスを備えて横開き戸式に形成され、覗き窓として機能するよう形成されている。
【0021】
また処理室2は、内部に撹拌アーム5(撹拌翼)を備えて形成されている。撹拌アーム5は、外部のモータ6で回転軸5aと一緒に回転可能に形成されている。
【0022】
本発明は、モータ6で撹拌アーム5を回転させ、羽毛1を撹拌しながら光触媒液3を、ポンプ8でパイプ9を介して処理室2に送り、ノズル10から羽毛1に噴霧する。噴霧時間は、羽毛1の量や光触媒液3の濃度等により適宜選定される。
【0023】
光触媒液3は、タンク11に収納されている。光触媒液3としては、二酸化チタンや非酸化チタン系の混合材がある。この場合、非酸化チタン系の混合材は、室内照明程度の低照度でも、通常、酸化チタン系のものの30倍以上のガス分解性能を発揮して細菌などの有害物質を除去できるから、光触媒液3は非酸化チタン系の混合材を使用するのが好ましい。
【0024】
而して、本発明は、処理室2に投入した羽毛1に、処理室2内での全ての処理工程が完了するまで、光を照射する。この光の照射は、羽毛1の投入時点からでも良いが、少なくとも光触媒液3の噴霧後に行われるので良い。
【0025】
なぜなら光触媒液3を噴霧する前、換言すると羽毛1の投入段階から光を照射しても光触媒液3の酸化力の生成を期待できないからである。また光触媒液3を噴霧した後の方が、当初からの場合より光源7の電気料を節減でき、ランニングコストを抑えることができるからである。
【0026】
光の照射は、例えば照明器具や投光器等の光源7を、投入口4の外側に設け、処理室2内の羽毛1に窓ガラス越しに照射したり(図1参照)、或いは図3図4に示されるように、処理室2内の上部等の適宜位置に光源7を設けることで実現される。光源7は、交流電源等に電気的に接続されている。
【0027】
而して、図3図4に示される実施形態の本発明は、光源7としての棒状の蛍光灯を、処理室2内の上部に、撹拌アーム5の回転軸5aに沿って、回転軸5aから等距離に、且つ回転軸5a周りに等間隔をあけて複数設けているものである。
【0028】
この実施形態の場合は、羽毛1に光を、効率良く、直接且つ満遍なく照射できる。従って、これによると、羽毛1の表面に酸化力を、より強く生じさせることができる、という利点がある。光源7の照度は、光触媒液3の種類や性質によって適宜選定されるので良い。
【0029】
次に、この実施形態に係る本発明の場合は、羽毛1を蒸す。蒸す時間は、羽毛1の量によって適宜選定される。この蒸し工程は、蒸気発生源12(図1参照)からスチームを、例えばポンプ8、パイプ9を使用して処理室2に供給し、ノズル10から羽毛1に噴霧することで行う。
この蒸し工程により、羽毛1が柔らかくなるため、原毛の段階で潰れていた羽毛1の縮れや癖が修整される。
【0030】
次に、この実施形態の本発明法は、処理室2内をヒータ13で加熱し、羽毛1を撹拌しながら乾燥する。処理室2内の温度は、通常、80〜100℃程度に選定される。
【0031】
本発明は、蒸し工程で縮んだり癖毛の状態を直した後、更に羽毛1を加熱することで、多量の空気を含み柔らかくふわふわした状態の羽毛1を得られる。
乾燥工程の時間は、羽毛1の含有水分の量により適宜選定されるが、蒸し工程のほぼ倍の時間、行われるのが良い。これは、水分の除去を完全にでき、また蒸されて縮れが解消している羽毛1を更に開かせることができるからである。
【0032】
本発明は、その後、加熱した羽毛1を冷却する。この冷却は、例えばヒータ13の運転を止めることにより、自然冷却の方法で行う。冷却工程は、通常、加熱工程の半分程度の時間、行われる。
【0033】
羽毛1は、冷却工程を経ることにより、縮れ等の改善状態が安定化する。なお、処理室2には、塵等を取り出すための除塵口14が適宜位置に設けられている。
【0034】
而して、この実施形態の本発明法は、光触媒液3を噴霧した後、蒸し工程、乾燥工程、冷却工程を経て羽毛1の処理が完了するが、処理室2内での処理工程は、これに限定されるものではない。
【0035】
即ち、これらの工程に他の工程が加えられたり、或いは、工程の一部が省略されるのでも良い。
なお、羽毛1の処理工程は、例えばコントローラに予めプログラムを設定しておくことにより、モータ6等の機器を自動制御して行うのが良い。
【0036】
次に、本発明法の具体的な一実施例を説明する。
先ず、処理室2に洗浄済みの羽毛1を15kg投入し、処理室2内の温度を90℃に加熱した。
【0037】
そして、モータ6のスイッチを入れ、羽毛1を撹拌アーム5で撹拌しながら、ポンプ8で光触媒液3をパイプ9を介して処理室2に送り、ノズル10から光触媒液3を、10分間、噴霧した。光触媒液3は、東芝マテリアル株式会社製の光触媒液3(RENECAT(登録商標)ルネキャット)を2倍に薄めて使用した。
【0038】
光源7としての投光器は、覗き窓の機能を兼ねた左右の投入口4の外側に夫々設けた。そして、光触媒液3を噴霧した後、各光源7から投入口4のガラス窓越しに、300ルクスの光を羽毛1に照射した。
【0039】
次に、スチームをノズル10から噴出させ、撹拌アーム5で撹拌中の羽毛1を5分間、蒸した。これにより、羽毛1の潰れが解消し、縮れ等の解消が図られた。
【0040】
その後、撹拌中の羽毛1に約100℃の熱風を当て、10分間、加熱した。この乾燥処理により、羽毛1から水分が更に除去され、また縮れ等が一層改善し、繊維がフワフワの状態の羽毛1を得られた。
【0041】
次に、ヒータ13のスイッチを切り、縮れ状態の改善した羽毛1を、5分間、自然冷却した。その後、モータ6と光源7のスイッチを切り、羽毛1の撹拌と光の照射を停止した。
【0042】
そして、冷却後の羽毛1を吸引器で処理室2から吸い出し、例えば布団の詰め物として、ふとんがわに充填した。
この場合、羽毛1は、処理室2から取出した段階で、表面に強い酸化力を有している。従って、本発明によると、ふとんがわ等で光が遮られても、抗菌等の効果を充分に且つ確実に、また当初より高く有する布団等の寝具類を提供できた。
【符号の説明】
【0043】
1 羽毛
2 処理室
3 光触媒液
4 投入口
5 撹拌アーム
6 モータ
7 光源
8 ポンプ
9 パイプ
10 ノズル
【要約】
【課題】 抗菌や消臭等の光触媒の効果を低下させることなく、光触媒の使用量の節減化、加工コストの低廉化を可能にし、ひいては布団等の寝具類を低廉化でき、また光触媒の酸化力を充分に且つ確実に発揮できるようにする。
【解決手段】 羽毛1の処理室2で羽毛1を撹拌しながら光触媒液3を噴霧する加工法であって、処理室2に投入した羽毛1に、少なくとも光触媒液3を噴霧した段階から、処理室2での全ての処理工程が完了するまで、光を照射する。光触媒液3としては、二酸化チタンや非酸化チタン系の混合材がある。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4