(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5777787
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】時計用連動装置
(51)【国際特許分類】
G04B 19/00 20060101AFI20150820BHJP
G04B 19/02 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
G04B19/00 P
G04B19/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-198580(P2014-198580)
(22)【出願日】2014年9月29日
【審査請求日】2014年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】314008091
【氏名又は名称】山下 孝義
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】山下 孝義
【審査官】
藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−017292(JP,A)
【文献】
特開2009−186259(JP,A)
【文献】
実公昭50−041917(JP,Y1)
【文献】
特開2012−027023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/00−19/02,19/28
G04F 7/00− 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計の時針又は分針と連動可能とされ、当該時針又は分針と対応して回転する従針と、
前記時針及び分針の回転を維持しつつ前記従針を任意時点で停止させ得るとともに、その停止した従針を前記時針又は分針と対応した位置まで移動させた後、連動させ得る連動手段と、
を具備した時計用連動装置であって、
前記連動手段は、ローラを具備した原節部と、前記ローラが当接し得る突端、前記ローラとの当接状態を保持し得る保持部及び前記突端から前記保持部に亘って形成されて当該保持部まで前記ローラを摺動させ得るカム面が端面に形成された筒状部材を有した従節部とから成る端面カムで構成され、前記ローラを前記保持部に当接して保持させることにより、前記時針又は分針の回転力を前記従針に伝達し得るとともに、前記従節部と原節部とを離間させて前記ローラを前記保持部及びカム面から離間させることにより、前記時針又は分針からの回転力を遮断して前記従針を停止させ得るものとされ、且つ、前記従針が停止した後、前記従節部と原節部とを近接させて前記ローラを前記カム面に当接させることにより、当該従針を時針又は分針と対応する位置まで移動可能とされたことを特徴とする時計用連動装置。
【請求項2】
前記突端には、球状部が形成されたことを特徴とする請求項1記載の時計用連動装置。
【請求項3】
前記ローラは、その軸が所定角度傾斜して取り付けられ、前記突端に対して傾斜しつつ当接可能とされたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の時計用連動装置。
【請求項4】
前記ローラは、前記突端との当接面に所定方向に向かって溝が形成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の時計用連動装置。
【請求項5】
前記従節部は、前記原節部に対して揺動可能とされ、揺動により前記ローラと前記カム面又は突端とを当接又は離間させ得ることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の時計用連動装置。
【請求項6】
前記従節部の揺動を案内しつつ位置決め可能な案内手段を具備したことを特徴とする請求項5記載の時計用連動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時針又は分針の回転を維持しつつ従針を任意時点で停止させ得るとともに、その停止した従針を時針又は分針と対応した位置まで移動させた後、連動させ得る時計用連動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
時計の時針又は分針と連動可能とされ、当該時針又は分針と対応して回転する従針と、時針及び分針の回転を維持しつつ従針を任意時点で停止させ得るとともに、その停止した従針を時針又は分針と対応した位置まで移動させた後、連動させ得る連動手段とを具備した時計用連動装置は、例えば任意時点での時刻を継続して表示するのに便利である。かかる時計用連動装置の連動手段として、任意時点で従針を拘束して回転を止めることにより、時針又は分針の回転を維持しつつ従針を停止させるとともに、従針の拘束を解除して例えばハートカム等のカムにより当該従針を時針又は分針と対応する位置まで移動させるものが挙げられる。なお、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術においては、任意時点で従針を拘束して回転を止めた後、ハートカム等のカムにより従針を時針又は分針と対応する位置まで移動させる必要があるので、従針の拘束時、ハートカム等のカムに継続して負荷が生じてしまうとともに、拘束を解除した際、従針の移動を円滑に行うことができないという不具合がある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、時針又は分針の回転が維持された状態で従針を負荷なく停止させることができるとともに、その停止した従針を時針又は分針と対応した位置まで円滑に移動させることができる時計用連動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、時計の時針又は分針と連動可能とされ、当該時針又は分針と対応して回転する従針と、前記時針及び分針の回転を維持しつつ前記従針を任意時点で停止させ得るとともに、その停止した従針を前記時針又は分針と対応した位置まで移動させた後、連動させ得る連動手段とを具備した時計用連動装置であって、前記連動手段は、ローラを具備した原節部と、前記ローラが当接し得る突端、前記ローラとの当接状態を保持し得る保持部及び前記突端から前記保持部に亘って形成されて当該保持部まで前記ローラを摺動させ得るカム面が端面に形成された筒状部材を有した従節部とから成る端面カムで構成され、前記ローラを前記保持部に当接して保持させることにより、前記時針又は分針の回転力を前記従針に伝達し得るとともに、前記従節部と原節部とを離間させて前記ローラを前記保持部及びカム面から離間させることにより、前記時針又は分針からの回転力を遮断して前記従針を停止させ得るものとされ、且つ、前記従針が停止した後、前記従節部と原節部とを近接させて前記ローラを前記カム面に当接させることにより、当該従針を時針又は分針と対応する位置まで移動可能とされたことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の時計用連動装置において、前記突端には、球状部が形成されたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の時計用連動装置において、前記ローラは、その軸が所定角度傾斜して取り付けられ、前記突端に対して傾斜しつつ当接可能とされたことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の時計用連動装置において、前記ローラは、前記突端との当接面に所定方向に向かって溝が形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載の時計用連動装置において、前記従節部は、前記原節部に対して揺動可能とされ、揺動により前記ローラと前記カム面又は突端とを当接又は離間させ得ることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の時計用連動装置において、前記従節部の揺動を案内しつつ位置決め可能な案内手段を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、連動手段が端面カムで構成され、ローラを保持部に当接して保持させることにより、時針又は分針の回転力を従針に伝達し得るとともに、従節部と原節部とを離間させてローラを保持部及びカム面から離間させることにより、時針又は分針からの回転力を遮断して従針を停止させ得るものとされ、且つ、従針が停止した後、従節部と原節部とを近接させてローラをカム面に当接させることにより、当該従針を時針又は分針と対応する位置まで移動可能とされたので、時針又は分針の回転が維持された状態で従針を負荷なく停止させることができるとともに、その停止した従針を時針又は分針と対応した位置まで円滑に移動させることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、突端には、球状部が形成されたので、従針が停止した後、従節部と原節部とを近接させてローラをカム面に当接させる際、ローラが突端に当接した場合であっても、球状部によって当該ローラを確実且つ円滑にカム面に至らせることができ、保持部まで良好にローラを摺動させることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、ローラは、その軸が所定角度傾斜して取り付けられ、突端に対して傾斜しつつ当接可能とされたので、従針が停止した後、従節部と原節部とを近接させてローラをカム面に当接させる際、ローラが突端に当接した場合であっても、ローラの傾斜角度によって当該ローラを確実且つ円滑にカム面に至らせることができ、保持部まで良好にローラを摺動させることができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、ローラは、突端との当接面に所定方向に向かって溝が形成されたので、従針が停止した後、従節部と原節部とを近接させてローラをカム面に当接させる際、ローラが突端に当接した場合であっても、ローラに形成された溝によって当該ローラを確実且つ円滑にカム面に至らせることができ、保持部まで良好にローラを摺動させることができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、従節部は、原節部に対して揺動可能とされ、揺動によりローラとカム面又は突端とを当接又は離間させ得るので、従節部と原節部との近接又は離間を容易に行わせることができるとともに、従針が停止した後、従節部と原節部とを近接させてローラをカム面に当接させる際、ローラが突端に当接した場合であっても、当該ローラを確実且つ円滑にカム面に至らせることができ、保持部まで良好にローラを摺動させることができる。
【0016】
請求項6の発明によれば、従節部の揺動を案内しつつ位置決め可能な案内手段を具備したので、従節部と原節部との近接又は離間をより確実且つ円滑に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る時計用連動装置及び時計の内部構成を示す平面図
【
図2】同時計用連動装置及び時計の内部構成を示す側面図
【
図4】同時計用連動装置における連動手段を構成する端面カムの従節部を示す2面図
【
図5】同時計用連動装置における連動手段を構成する端面カムの原節部を示す2面図
【
図6】同時計用連動装置の収容部とバネ受けとの接続状態を示す正面図
【
図7】同時計用連動装置における案内手段を示す斜視図
【
図8】同時計用連動装置における連動手段の作用を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る時計用連動装置Bは、
図1〜7に示すように、時針α(短針)及び分針β(長針)を有した時計Aと隣接して配設されたもので、時計の時針α又は分針β(本実施形態においては分針β)と連動し得る従針1と、連動手段2と、揺動部材6と、案内手段(11、12)とを有して構成されている。なお、
図1においては、時廻り輪列の3番車以降及び文字板を省略するとともに、
図2においては、時廻り輪列の3番車以降を省略してある。
【0019】
本実施形態に適用される時計Aは、時針α及び分針βと、軸部材L1と、該軸部材L1と香箱Dとの中間に取り付けられたゼンマイJにより回転可能な香箱D付き1番車G1と、カナK1を介して1番車G1と連結された軸部材L2と、軸部材L2に取り付けられた2番車G2と、カナK2及び日の裏車G4を介して軸部材L2と連結された軸部材L3と、軸部材L3に取り付けられた時針αと、軸部材L2に取り付けられた分針βと、文字板M1と、カナK3を介して1番車G1と連結された軸部材L4と、軸部材L4に取り付けられたカナK4とを有して構成されている。なお、図中符号R1、R2は、針合わせのための操作つまみ、符号t1、t2は、ゼンマイJを巻き上げた状態を保持するための爪及び爪車をそれぞれ示している。
【0020】
上記時計Aと時計用連動装置Bとの間には、カナK4と噛み合って組み付けられる歯車G5が配設されており、当該歯車G5が回転すると、カナK5及び連動手段2を介して従針1が回転し得るよう構成されている。すなわち、本実施形態の時計用連動装置Bに係る従針1は、時計Aの分針βと連動可能とされ、当該分針βと対応して回転するよう構成されているのである。なお、従針1を時計Aの時針αと連動可能なものとし、当該時針αと対応して回転させるようにしてもよい。
【0021】
連動手段2は、時計Aの時針α及び分針βの回転を維持しつつ従針1を任意時点で停止させ得るとともに、その停止した従針1を時針α又は分針β(本実施形態においては分針β)と対応した位置まで移動させた後、連動させ得るものであり、本実施形態においては、原節部3と従節部4とから成る端面カムで構成されている。この端面カムとは、立体カムの一種であり、筒状部材(円筒状部材)の端面を利用したカムを指す。
【0022】
原節部3は、
図5に示すように、ローラ3aと、回転軸部3bとを有して構成されており、回転軸部3bに取り付けられたカナK5が歯車G5と噛み合って組み付けられるようになっている。ローラ3aは、回転軸部3bの所定部位から側方に向かって延びる円筒状の部品から成り、従節部4における筒状部材4aに形成された保持部bにより保持可能な大きさとされている。しかして、分針βの回転に伴って歯車G5が回転すると、回転軸部3bが連動して回転するとともに、ローラ3aが回転軸部3bの回転軸を中心として回転することとなる。
【0023】
従節部4は、
図4に示すように、ローラ3aが当接し得る突端a、ローラ3aとの当接状態を保持し得る保持部b及び突端aから保持部bに亘って形成されて当該保持部bまでローラ3aを摺動させ得るカム面cが端面に形成された筒状部材4a(本実施形態においては円筒状の部材)と、従針1に接続された回転軸部4bとを有して構成されている。このうち保持部bは、ローラ3aを嵌入し得る凹形状から成り、筒状部材4aの端面における突端aと反対側の位置に形成されている。
【0024】
しかして、原節部3と従節部4とが近接してローラ3aが保持部bにて保持されると、ローラ3aと共に筒状部材4a及び回転軸部4bが回転するので、従針1が分針βと連動して回転することとなる。なお、ローラ3aが保持部bにて保持された状態においては、
図3、6等に示すように、回転軸部3bが筒状部材4a内に挿通した状態とされるとともに、当該回転軸部3bと回転軸部4bとが同一軸を中心として回転し得るよう構成されている。
【0025】
ここで、本実施形態に係る連動手段2は、ローラ3aを保持部bに当接して保持させることにより、分針βの回転力を従針1に伝達し得るとともに、原節部3と従節部4とを離間させてローラ3aを保持部b及びカム面cから離間させることにより、分針βからの回転力を遮断して従針1を停止させ得るものとされ、且つ、従針1が停止した後、原節部3と従節部4とを近接させてローラ3aをカム面cに当接させることにより、当該従針1を分針βと対応する位置まで移動可能とされている。
【0026】
すなわち、従節部4と原節部3とを近接又は離間して筒状部材4aとローラ3aとを当接又は離間させることにより、分針βの回転力を従針1に伝達させて連動させる連動状態と、分針βからの回転力を遮断して従針1を停止させる停止状態とを選択的に切り替えることができるとともに、従針1が停止した後、原節部3と従節部4とを近接させてローラ3aをカム面cに当接させることにより、ローラ3aがカム面cを摺動して保持部bに至ることとなり、それに伴って従針1を分針βと対応する位置まで移動させることができるのである。
【0027】
さらに、本実施形態に係る筒状部材4aの突端aには、球状部5が形成されている。これにより、従針1が停止した後、原節部3と従節部4とを近接させてローラ3aをカム面cに当接させる際、ローラ3aが突端aに当接した場合であっても、球状部5によって当該ローラ3aを確実且つ円滑にカム面cに至らせることができ、保持部bまで良好にローラ3aを摺動させることができる。なお、本実施形態においては、突端aに別部材としての球状部5が取り付けられているが、突端aを球状に成形して球状部とするようにしてもよい。
【0028】
またさらに、本実施形態に係る原節部3のローラ3aは、
図5、6等に示すように、その軸が所定角度傾斜して取り付けられ、突端a(厳密には、突端aの球状部5)に対して傾斜しつつ当接可能とされている。これにより、従針1が停止した後、原節部3と従節部4とを近接させてローラ3aをカム面cに当接させる際、ローラ3aが突端aに当接した場合であっても、ローラ3aの傾斜角度によって当該ローラ3aを確実且つ円滑にカム面cに至らせることができ、保持部bまで良好にローラ3aを摺動させることができる。
【0029】
また、本実施形態に係る原節部3のローラ3aは、
図5に示すように、突端a(厳密には、突端aの球状部5)との当接面(すなわち、ローラ3aの側面)に所定方向に向かって複数の溝3aaが形成されている。これにより、従針1が停止した後、原節部3と従節部4とを近接させてローラ3aをカム面cに当接させる際、ローラ3aが突端aに当接した場合であっても、ローラ3aに形成された溝3aaによって当該ローラ3aを確実且つ円滑にカム面cに至らせることができ、保持部bまで良好にローラ3aを摺動させることができる。
【0030】
なお、本実施形態に係る従節部4の回転軸部4bには、
図4に示すように、切込み4baが形成されている。これにより、従針1が停止した後、原節部3と従節部4とを近接させてローラ3aをカム面cに当接させる際、ローラ3aが突端aに当接した場合であっても、切込み4baによって回転軸部4bを撓ませることができるので、ローラ3aを確実且つ円滑にカム面cに至らせることができ、保持部bまで良好にローラ3aを摺動させることができる。
【0031】
加えて、本実施形態に係る従節部4は、揺動部材6によって原節部3に対して揺動可能とされ、揺動によりローラ3aとカム面c又は突端aとを当接又は離間させ得るよう構成されている。揺動部材6は、揺動軸Pを中心として揺動自在とされるとともに、先端側にスプリングS1を収容した収容部6aが形成されており、当該収容部6aに従節部4が支持されている。この収容部6aは、従節部4の回転軸部4bが貫通されて組み付けられるとともに、スプリングS1の一端を受けるバネ受け6bを有しており、バネ受け6bと回転軸部4bとがネジnにて接続されている(
図3参照)。
【0032】
また、揺動軸Pは、渦巻きバネ等の付勢手段S2により常時付勢されており、従節部4が原節部3に対して近接する方向に常時付勢されているとともに、ハンドル9により揺動操作可能とされている。さらに、揺動軸Pは、
図3に示すように、被係止部7aが形成された従動部材7と連結されており、揺動部材6が所定位置まで揺動されて揺動軸Pと共に従動部材7が所定角度回転すると、板バネS3にて付勢された係止部材8の係止爪8aが従動部材7の被係止部7aに係止され、揺動部材7をその位置で保持し得るようになっている。
【0033】
そして、従節部4が原節部3に近接した状態から揺動部材6を揺動させると、原節部3と従節部4とが離間してローラ3aを保持部b及びカム面cから離間させるので、分針βからの回転力を遮断して従針1を停止させ得ることができるとともに、その状態から揺動部材6を反対側に揺動させて原節部3に従節部4を近接させると、ローラ3aをカム面cに当接させることにより、従針1を分針βと対応する位置まで移動可能とされている。
【0034】
このように、本実施形態においては、揺動部材6により従節部4を揺動させて原節部3に従節部4を近接させているので、従針1が停止した後、原節部3と従節部4とを近接させてローラ3aをカム面cに当接させる際、
図8に示すように、ローラ3aが突端aに当接した場合であっても、ローラ3aを確実且つ円滑にカム面cに至らせることができ、保持部bまで良好にローラ3aを摺動させることができる。
【0035】
すなわち、筒状部材4aの突端a(球状部5)がローラ3aと当接した後、当該ローラ3aが突起aを押圧する過程において、同図に示すように、突端aは、当該突端aを含み回転軸部4bの軸心と平行な直線s上を揺動軸部材6との位置関係において相対的に押し戻されるため、突端aと揺動軸中心Pとの距離が変化し、よって、ローラ3aと突端aとの当接位置が揺動過程で変化することとなり、ローラ3aを確実且つ円滑にカム面cに至らせることができるのである。
【0036】
より具体的に説明すると、ローラ3aが突端aに当接した瞬間、揺動中心Pから直線s上に下した垂線の足をhとし、aPh間の角度=θとすると、aP間の長さ=Ph/cosθ(0<θ<90°)となる。次に、突端aが揺動部材6に対して押し戻されると、直角三角形Phaの形状が直角三角形Pha’(a’は不図示)へと変わり、a’P間の長さ=Ph/cosθ’(0<θ’<90°)となる。この過程でa’P<aPとなるのである。
【0037】
さらに、本実施形態に係る時計用連動装置Bは、従節部4の揺動を案内しつつ位置決め可能な案内手段(11、12)を具備している。具体的には、揺動軸Pには、
図7に示すように、連動部10が固定されており、当該連結部10より前方側に前方軸部10a、後方側に後方軸部10bが突出形成されているとともに、案内手段11には、揺動部材6の揺動に伴って前方で移動する前方軸部10aを案内しつつ位置決め可能な切欠き11aが形成され、案内手段12には、揺動部材6の揺動に伴って後方で移動する後方軸部10bを案内しつつ位置決め可能な切欠き12aが形成されている。
【0038】
上記実施形態によれば、連動手段2が端面カムで構成され、ローラ3aを保持部bに当接して保持させることにより、分針β(時針αであってもよい)の回転力を従針1に伝達し得るとともに、原節部3と従節部4とを離間させてローラ3aを保持部b及びカム面cから離間させることにより、分針β(又は時針α)からの回転力を遮断して従針1を停止させ得るものとされ、且つ、従針1が停止した後、原節部3と従節部4とを近接させてローラ3aをカム面cに当接させることにより、当該従針1を分針β(又は時針α)と対応する位置まで移動可能とされたので、時針α又は分針βの回転が維持された状態で従針1を負荷なく停止させることができるとともに、その停止した従針1を時針α又は分針βと対応した位置まで円滑に移動させることができる。
【0039】
さらに、本実施形態に係る従節部4は、原節部3に対して揺動可能とされ、揺動によりローラ3aとカム面c又は突端aとを当接又は離間させ得るので、原節部3と従節部4との近接又は離間を容易に行わせることができるとともに、従針1が停止した後、原節部3と従節部4とを近接させてローラ3aをカム面cに当接させる際、ローラ3aが突端aに当接した場合であっても、当該ローラ3aを確実且つ円滑にカム面cに至らせることができ、保持部bまで良好にローラ3aを摺動させることができる。特に、本実施形態においては、従節部4の揺動を案内しつつ位置決め可能な案内手段(11、12)を具備したので、原節部3と従節部4との近接又は離間をより確実且つ円滑に行わせることができる。
【0040】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば筒状部材4aの突端aに球状部5が形成されないもの、ローラ3aが突端aに対して傾斜しつつ当接しないもの、ローラ3aに溝3aaが形成されないもの等であってもよく、従節部4が原節部3に対して直線状に移動してローラ3aを筒状部材4aのカム面c又は突端aに当接させ得るものとしてもよい。また、本実施形態においては、原節部3が時計Aの時針α又は分針βと連結されるとともに、従節部4が従針1と連結されているが、従節部4が時計Aの時針α又は分針βと連結されるとともに、原節部3が従針1と連結されたものとしてもよい。なお、時計Aは、時針α及び分針βを有していれば足り、本実施形態と異なる形態のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
連動手段は、ローラを具備した原節部と、ローラが当接し得る突端、ローラとの当接状態を保持し得る保持部及び突端から保持部に亘って形成されて当該保持部までローラを摺動させ得るカム面が端面に形成された筒状部材を有した従節部とから成る端面カムで構成され、ローラを保持部に当接して保持させることにより、時針又は分針の回転力を従針に伝達し得るとともに、従節部と原節部とを離間させてローラを保持部及びカム面から離間させることにより、時針又は分針からの回転力を遮断して従針を停止させ得るものとされ、且つ、従針が停止した後、従節部と原節部とを近接させてローラをカム面に当接させることにより、当該従針を時針又は分針と対応する位置まで移動可能とされた時計用連動装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 従針
2 連動手段
3 原節部
3a ローラ
3b 回転軸部
4 従節部
4a 筒状部材
4b 回転軸部
5 球状部
6 揺動部材
7 従動部材
8 係止部材
9 ハンドル
10 連動部
11 案内手段
12 案内手段
【要約】 (修正有)
【課題】時針又は分針の回転が維持された状態で従針を負荷なく停止させることができるとともに、その停止した従針を時針又は分針と対応した位置まで円滑に移動させることができる時計用連動装置を提供する。
【解決手段】連動手段2は、原節部3と従節部4とから成る端面カムで構成され、ローラ3aを保持部に当接して保持させることにより、分針βの回転力を従針1に伝達し得るとともに、原節部3と従節部4とを離間させてローラ3aを保持部及びカム面から離間させることにより、分針βからの回転力を遮断して従針1を停止させ得るものとされ、且つ、従針1が停止した後、原節部3と従節部4とを近接させてローラ3aをカム面に当接させることにより、従針1を分針βと対応する位置まで移動可能とされたものである。
【選択図】
図2