特許第5777800号(P5777800)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777800
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】テープフィーダ
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-505908(P2014-505908)
(86)(22)【出願日】2012年3月22日
(86)【国際出願番号】JP2012057372
(87)【国際公開番号】WO2013140581
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2014年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】野田 明宏
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−138834(JP,A)
【文献】 特開2009−088038(JP,A)
【文献】 特開2010−040901(JP,A)
【文献】 特開2003−188591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープリールから引き出された部品供給テープを部品吸着位置へガイドするリールカセットをフィーダ本体に着脱可能に装着するように構成されたテープフィーダにおいて、
前記部品供給テープのスプロケット孔にスプロケットの歯を噛み合わせながら該スプロケットを回転させることで該部品供給テープを部品吸着位置へ送るスプロケット駆動機構部と、
前記スプロケット駆動機構部を前記スプロケットの歯が前記部品供給テープのスプロケット孔に噛み合った状態となる噛合位置と該スプロケットの歯が該部品供給テープのスプロケット孔よりも下方に位置する退避位置との間を上下動させるアクチュエータと、
前記スプロケット駆動機構部と一体的に上下動して該スプロケット駆動機構部が前記噛合位置へ上昇したときに前記リールカセットをクランプするクランプ部材と、
前記フィーダ本体から前記リールカセットを取り外す必要が生じたときにそれを検出して前記アクチュエータを作動させて前記スプロケット駆動機構部を前記退避位置へ下降させることで前記クランプ部材による前記リールカセットのクランプ状態を解除する自動クランプ解除を行う自動クランプ解除手段と
を備えていることを特徴とするテープフィーダ。
【請求項2】
前記自動クランプ解除手段は、前記部品供給テープの部品切れ時、及び/又は、供給する部品に起因する異常発生時に、前記フィーダ本体から前記リールカセットを取り外す必要が生じたと判断して前記自動クランプ解除を行うことを特徴とする請求項1に記載のテープフィーダ。
【請求項3】
前記フィーダ本体には、前記スプロケット駆動機構部、前記アクチュエータ及び前記クランプ部材がそれぞれ複数個ずつ設けられ、
前記フィーダ本体に対して複数のリールカセットがそれぞれ独立して着脱可能に装着され、各スプロケット駆動機構部が前記噛合位置に上昇したときに、各リールカセットの部品供給テープのスプロケット孔に各スプロケット駆動機構部のスプロケットの歯が噛み合わされ、且つ各クランプ部材で各リールカセットがクランプされるように構成され、
前記自動クランプ解除手段は、前記リールカセット毎に前記フィーダ本体から取り外す必要が生じたか否かを判定して、前記フィーダ本体から取り外す必要が生じたリールカセットについてのみ前記自動クランプ解除を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のテープフィーダ。
【請求項4】
前記リールカセット毎にクランプ解除状態とクランプ状態のいずれであるかを表示する表示部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のテープフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープリールから引き出された部品供給テープを部品吸着位置へガイドするリールカセットをフィーダ本体に着脱可能に装着するように構成されたテープフィーダに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一般的なテープフィーダは、特許文献1(特開2010−109109号公報)に記載されているように、テープフィーダにセットした部品供給テープの側縁に沿って一定ピッチで形成されたスプロケット孔にスプロケットの歯を噛み合わせながら該スプロケットの回転により該部品供給テープを部品吸着位置へ向かってピッチ送りして、部品吸着位置で部品供給テープの部品を部品実装機の吸着ノズルで吸着するようにしている。
【0003】
このテープフィーダに部品供給テープをセットする作業は、部品実装機からテープフィーダを取り外して、部品供給テープが巻回されたテープリールをテープフィーダにセットすると共に、該テープリールから引き出した部品供給テープのスプロケット孔にスプロケットの歯を噛み合わせるようにしている。
【0004】
しかし、上記特許文献1の構成では、テープフィーダに部品供給テープをセットする作業が面倒であるため、本出願人が出願した特許文献2(特開2011−138834号公報)では、テープリールから引き出した部品供給テープを部品吸着位置へガイドするリールカセットを、フィーダ本体に対して着脱可能に設けると共に、部品供給テープを部品吸着位置へピッチ送りするスプロケット駆動ユニットと、リールカセットをクランプするクランプ部材(位置決め部材)とを上下動させる操作レバー機構を設け、フィーダ本体にリールカセットを着脱する際に、作業者が操作レバー機構を操作して、スプロケット駆動ユニットをスプロケットの歯がスプロケット孔よりも下方に位置する退避位置へ下降させると共に、クランプ部材をアンクランプ位置へ退避させ、フィーダ本体にリールカセットを装着した後に、作業者が操作レバー機構を操作して、スプロケット駆動ユニットをスプロケットの歯が部品供給テープのスプロケット孔に噛み合った状態となる噛合位置へ上昇させると共に、クランプ部材をクランプ位置へ移動させてリールカセットをクランプするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−109109号公報
【特許文献2】特開2011−138834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2の構成では、リールカセットにセットした部品供給テープの部品切れ時や、供給する部品に起因する異常(例えば部品吸着ミス、画像処理エラー、フィーダの送り異常、通信異常、部品ベリファイ時の使用可否問い合わせにおける整合性異常等)の発生時のように、フィーダ本体からリールカセットを取り外す必要が生じた場合に、作業者が操作レバー機構を操作してスプロケット駆動ユニットとクランプ部材を退避させる必要があり、その作業が面倒である。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、部品供給テープを部品吸着位置へガイドするリールカセットをフィーダ本体に着脱可能に装着するテープフィーダにおいて、フィー
ダ本体からリールカセットを取り外す必要が生じたときに、作業者が簡単にリールカセットを取り外すことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、テープリールから引き出された部品供給テープを部品吸着位置へガイドするリールカセットをフィーダ本体に着脱可能に装着するように構成されたテープフィーダにおいて、前記部品供給テープのスプロケット孔にスプロケットの歯を噛み合わせながら該スプロケットを回転させることで該部品供給テープを部品吸着位置へ送るスプロケット駆動機構部と、前記スプロケット駆動機構部を前記スプロケットの歯が前記部品供給テープのスプロケット孔に噛み合った状態となる噛合位置と該スプロケットの歯が該部品供給テープのスプロケット孔よりも下方に位置する退避位置との間を上下動させるアクチュエータと、前記スプロケット駆動機構部と一体的に上下動して該スプロケット駆動機構部が前記噛合位置へ上昇したときに前記リールカセットをクランプするクランプ部材と、前記フィーダ本体から前記リールカセットを取り外す必要が生じたときにそれを検出して前記アクチュエータを作動させて前記スプロケット駆動機構部を前記退避位置へ下降させることで前記クランプ部材による前記リールカセットのクランプ状態を解除する自動クランプ解除を行う自動クランプ解除手段とを備えた構成としたものである。
【0009】
この構成では、フィーダ本体からリールカセットを取り外す必要が生じたときに、アクチュエータが作動してスプロケット駆動機構部を退避位置へ下降させて、クランプ部材によるリールカセットのクランプ状態を自動的に解除するため、フィーダ本体からリールカセットを取り外す必要が生じたときに、作業者がクランプ解除操作を行うことなく、簡単にリールカセットを取り外すことができる。
【0010】
ここで、部品供給テープの部品切れ時、及び/又は、供給する部品に起因する異常(例えば部品吸着ミス、画像処理エラー、フィーダの送り異常、通信異常、部品ベリファイ時の使用可否問い合わせにおける整合性異常等)の発生時に、フィーダ本体からリールカセットを取り外す必要が生じたと判断して自動クランプ解除を行うようにすれば良い。部品供給テープの部品切れ時には、部品供給テープを交換する必要があるためであり、また、供給する部品に起因する異常が発生したときには、その異常の原因を調べるために、リールカセットにセットした部品供給テープを確認する必要があるためである。
【0011】
本発明は、フィーダ本体にリールカセットを1個のみ装着する構成としても良いが、フィーダ本体に複数のリールカセットを装着する構成としても良い。複数のリールカセットを装着する場合は、リールカセット毎にフィーダ本体から取り外す必要が生じたか否かを判定して、フィーダ本体から取り外す必要が生じたリールカセットについてのみ自動クランプ解除を行うようにすれば良い。
【0012】
この場合、リールカセット毎にクランプ解除状態とクランプ状態のいずれであるかを表示する表示部を設けると良い。このようにすれば、フィーダ本体に装着した複数のリールカセットの中から、取り外す必要が生じたリールカセットがどの位置のリールカセットであるかを作業者が表示部の表示で簡単に見分けることができ、作業者が取り外す必要のないリールカセットを誤って取り外そうとすることを未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の一実施例におけるテープフィーダ全体の斜視図である。
図2図2はフィーダ本体の斜視図(その1)である。
図3図3はフィーダ本体の斜視図(その2)である。
図4図4はリールカセットの斜視図である。
図5図5はカバーテープ送りギアの駆動装置とその周辺部分を示す斜視図(その1)である。
図6図6はカバーテープ送りギアの駆動装置とその周辺部分を示す斜視図(その2)である。
図7図7は2個のスプロケット駆動ユニットの斜視図(その1)である。
図8図8は2個のスプロケット駆動ユニットの斜視図(その2)である。
図9図9はリールカセットのクランプ状態を示す主要部の側面図である。
図10図10はリールカセットのクランプ解除状態を示す主要部の側面図である。
図11図11はスプロケットを駆動する装置の構成を示す左側面図である。
図12図12は部品実装機のフィーダセット台の斜視図である。
図13図13はフィーダ本体の操作パネルの下面側の構成を示す斜視図である。
図14図14はリールカセットの取手部とその周辺部分の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を図面を用いて説明する。
まず、テープフィーダ11の構成を説明する。
【0015】
テープフィーダ11は、複数本の部品供給テープ12をその横幅方向に並べてセットできるように、フィーダ本体13の横幅が従来の一般的なテープフィーダ(部品供給テープを1本のみセット可能なテープフィーダ)の横幅のほぼ複数倍に形成されている。本実施例では、隣接する部品供給テープ12間の間隔を小さくすることで、フィーダ本体13の横幅が従来の一般的なテープフィーダの例えばほぼ4倍(ほぼM倍)の横幅で、6本(N本、但しNはMより大きい整数)の部品供給テープ12をその横幅方向に並べてセットできるように構成されている。部品供給テープ12は、詳細には図示しないが、キャリアテープに所定ピッチで一列に形成された部品収納凹部に部品を収納して該キャリアテープの上面にカバーテープ(トップテープとも呼ぶ)を貼着したものであり、該部品供給テープ12の側縁に沿って所定ピッチでスプロケット孔(図示せず)が一列に形成されている。
【0016】
フィーダ本体13の後部側(取り外し方向側)の上部には、取手部14と操作パネル15とが設けられ、その下側には、部品供給テープ12を巻回したテープリール16を収納するリールホルダ17が設けられている。リールホルダ17は、複数のテープリール16を前後2列に並べて収納するように形成され、各テープリール16が部品供給テープ12の引き出しに伴ってリールホルダ17内で回転できるように収納されている。
【0017】
各テープリール16から引き出された部品供給テープ12は、リールカセット21によって部品吸着位置へガイドされる。各リールカセット21にそれぞれ部品供給テープ12を1本のみセットするように、各リールカセット21の横幅が部品供給テープ12の横幅
よりも僅かに大きい寸法に形成されている。
【0018】
フィーダ本体13には、複数のリールカセット21を装着するための複数のスロットが設けられ、各スロットにそれぞれリールカセット21を1本ずつ着脱可能に装着するように構成されている。
【0019】
図4に示すように、各リールカセット21の後端部には、フィーダ本体13から取り外したリールカセット21にテープリール16を保持させるためのリール引掛部22が設けられ、このリール引掛部22にテープリール16を引っ掛けて保持できるようになっている。
【0020】
リールカセット21には、部品供給テープ12の上面を覆うカバーテープを引き剥がすカバーテープ剥離装置23と、部品供給テープ12から引き剥がしたカバーテープを回収するカバーテープ回収ケース24とが設けられている。カバーテープ剥離装置23は、剥離ローラ25と、テンションローラ26と、一対のカバーテープ送りギア28,29とを備え、部品吸着位置の手前で部品供給テープ12の上面から剥離されたカバーテープが剥離ローラ25とテンションローラ26に掛け渡されてカバーテープ送りギア28,29間に挟み込まれてカバーテープ回収ケース24内に送り込まれるようになっている。
【0021】
カバーテープ送りギア28,29の駆動源は、フィーダ本体13側に設けられ、リールカセット21をフィーダ本体13に装着したときに、一方のカバーテープ送りギア28がフィーダ本体13の駆動ギア34(図5参照)と噛み合うことで、両カバーテープ送りギア28,29が回転駆動されるようになっている。
【0022】
フィーダ本体13のうちのリールカセット21の装着スペースの上方には、カバーテープ送りギア28,29を駆動する駆動装置31が設けられている。この駆動装置31は、傘歯車32(図6参照)を回転駆動するモータ33と、傘歯車32で回転駆動される駆動ギア34とを備え、この駆動ギア34が一方のカバーテープ送りギア28と噛み合うことで、両カバーテープ送りギア28,29が回転駆動されるようになっている。モータ33と傘歯車32と駆動ギア34は、それぞれ、フィーダ本体13に装着可能なリールカセット21の本数と同数個ずつ設けられ、各リールカセット21毎に独立してカバーテープの送り量(剥離量)を制御できるようになっている。
【0023】
図4に示すように、リールカセット21には、部品供給テープ12の幅方向の片側のみを保持する複数の横コ字型のテープ保持部37,38が部品供給テープ12の幅方向の一方側と他方側に交互に千鳥状に配置され、部品供給テープ12を僅かに幅方向に蛇行させ(又は斜めに傾け)ながら部品供給テープ12を保持するように各テープ保持部37,38を部品供給テープ12の幅方向内側に少しずつ寄せて配置することで、より少ない幅で部品供給テープ12を保持できるようになっている。
【0024】
フィーダ本体13の先端部側には、該フィーダ本体13にセット可能な部品供給テープ12の本数と同数のスプロケット駆動ユニット41が幅方向に並べて組み付けられている。後述するように、各スプロケット駆動ユニット41のスプロケット駆動機構部45は、昇降レバー30(図7乃至図10参照)にスプロケット42と該スプロケット42を平歯車列43(歯車機構)を介して駆動するモータ44等を組み付けて構成され、これらが軸51を支点にして一体的に上下動するようになっている。各スプロケット42は、フィーダ本体13にセットされた各リールカセット21の部品供給テープ12に対応する位置に配置され、各部品供給テープ12のスプロケット孔にスプロケット42の歯を噛み合わせながら該スプロケット42の回転により該部品供給テープ12を部品吸着位置へ向かってピッチ送りするになっている。
【0025】
各スプロケット駆動ユニット41の幅方向の寸法を小さくするために、図7及び図8に示すように、隣接する2つのスプロケット駆動ユニット41のスプロケット42の位置を前後方向にずらして配置すると共に、隣接する2つのスプロケット駆動ユニット41の平歯車列43の各歯車43aの位置をずらして配置することで、各スプロケット駆動ユニット41の空きスペースを、隣接するスプロケット駆動ユニット41の歯車43aを突出させて配置可能なスペースとして有効に利用できるようになっている。
【0026】
次に、各スプロケット駆動ユニット41のスプロケット駆動機構部45をそれぞれ独立して上下動させる機構の構成を説明する。
【0027】
図7乃至図10に示すように、各スプロケット駆動ユニット41のスプロケット駆動機構部45を組み付けた昇降レバー30が、ユニットベース50に軸51を支点にしてスプロケット42側が上下動できるように組み付けられ、スプロケット42の歯が部品供給テープ12のスプロケット孔に噛み合った状態となる噛合位置とスプロケット42の歯がスプロケット孔よりも下方に位置する退避位置との間を上下動するように構成されている。各スプロケット駆動ユニット41の先端面には、その上下動をガイドするガイドピン52が設けられ、各ガイドピン52がフィーダ本体13の先端面部に形成した各ガイド孔53(図2参照)に嵌合されることで、各スプロケット駆動機構部45の上下動可能な範囲が噛合位置と退避位置との間の範囲に規制されている。
【0028】
図9及び図10に示すように、各スプロケット駆動ユニット41には、それぞれ、軸51を支点にしてスプロケット駆動機構部45のスプロケット42側を上方へ付勢する付勢手段としてスプリング55(ばね等の弾性体)が設けられ、このスプリング55の弾発力によりスプロケット駆動機構部45を上限位置である噛合位置に保持できるようになっている。各スプロケット駆動ユニット41には、それぞれ、スプロケット駆動機構部45をスプリング55に抗して下降させるアクチュエータとしてモータ56が設けられている。
【0029】
各モータ56の回転軸には、それぞれカム57(図11参照)が固定され、これに対応して、各スプロケット駆動機構部45には、それぞれカム57にその下側から当接するL字形等のカム当接部材58が設けられ、該モータ56を回転させてカム57を最下位置(又はその付近の位置)まで回転させると、カム当接部材58がスプロケット駆動機構部45と一体的にスプリング55に抗して引き下げられて、スプロケット駆動機構部45が下限位置である退避位置に保持される。その後、該モータ56を元の位置まで回転させてカム57を最上位置(又はその付近の位置)まで戻すと、そのカム57の動きに追従してスプリング55の弾発力によりスプロケット駆動機構部45が押し上げられて上限位置である嵌合位置に保持される。この際、該モータ56への通電をオフして該モータ56の駆動力を解除することで、スプリング55の弾発力によりスプロケット駆動機構部45を押し上げるようにしても良い。
【0030】
各モータ56の回転軸には、それぞれカム57の位置を検出するための位置検出ドッグ61が設けられ、これに対応して、各スプロケット駆動ユニット41には、それぞれ各位置検出ドッグ61を検出するカム位置センサ62(フォトインタラプタ等の光センサ、磁気センサ等の非接触型センサ)が設けられ、各カム位置センサ62によってカム57の位置が嵌合位置(最上位置)/退避位置(最下位置)のいずれであるかを検出できるようになっている。
【0031】
また、図11に示すように、各スプロケット駆動ユニット41には、それぞれ、スプロケット駆動機構部45のスプロケット42が噛合位置まで上昇したことを検出する噛合検出手段として、噛合検出センサ63(フォトインタラプタ等の光センサ、磁気センサ等の
非接触型センサ)が設けられている。各スプロケット駆動機構部45には、それぞれ噛合位置を検出するための位置検出ドッグ64が設けられ、いずれかのスプロケット駆動機構部45のスプロケット42の歯が部品供給テープ12のスプロケット孔に噛み合ってスプロケット42が噛合位置まで上昇した状態となると、当該スプロケット駆動機構部45の位置検出ドッグ64が噛合検出センサ63で検出されて検出信号が出力されるように構成されている。
【0032】
図7乃至図10に示すように、各スプロケット駆動機構部45の昇降レバー30の上端面に、ゴム等の摩擦係数の比較的大きい材料で形成されたクランプ部材91が設けられ、該スプロケット駆動機構部45が噛合位置へ上昇したときに、図9に示すように、該クランプ部材91の上端面がリールカセット21の下面に当接して摩擦力で該リールカセット21をクランプし、また、該スプロケット駆動機構部45が退避位置へ下降したときに、図10に示すように、該クランプ部材91がリールカセット21の下面から下方に退避して該リールカセット21のクランプ状態を解除するようになっている。
【0033】
図1乃至図3に示すように、フィーダ本体13のうちのスプロケット駆動ユニット41の上方を覆う上面カバー板39には、部品実装機の吸着ノズルで部品供給テープ12の部品を吸着するための部品吸着位置を開口する部品吸着用開口部40a,40bが千鳥状に形成されている。本実施例では、フィーダ本体13に合計6本の部品供給テープ12を装着可能であるため、部品吸着用開口部40a,40bは、合計6個形成されている。
【0034】
フィーダ本体13の先端面には、該フィーダ本体13の信号線や電源線を部品実装機のフィーダセット台66のコネクタ68(図12参照)に接続するためのコネクタ67と、2本の位置決めピン69,70が設けられ、2本の位置決めピン69,70を部品実装機のフィーダセット台66の位置決め穴71,72(図12参照)に差し込むことで、フィーダセット台66上でフィーダ本体13の取付位置が位置決めされると共に、フィーダ本体13のコネクタ67がフィーダセット台66のコネクタ68に差し込み接続される。
【0035】
フィーダセット台66の上面には、テープフィーダ11を縦置き支持するための断面逆T字溝形のガイド溝74が設けられ、フィーダ本体13の下面側に設けられた断面逆T字形のガイドレール(図示せず)を手前側からガイド溝74に差し込むことで、フィーダセット台66上にテープフィーダ11が縦置き状態に支持されると共に、該フィーダ本体13に設けられたロック部材(図示せず)がフィーダセット台66のクランプ溝79に嵌まり込んで該フィーダ本体13を前方(フィーダセット台66のコネクタ68側)へ押し付けてロックすることで、該フィーダ本体13をフィーダセット台66上に前後方向に位置決めして着脱可能に取り付けるようにしている。
【0036】
各リールカセット21のカバーテープ回収ケース24の上端後部には、それぞれ取手部76が設けられ、各取手部76の前端部に位置決めピン77(図14参照)が設けられている。これに対応して、フィーダ本体13の操作パネル15の下側段差部分には、位置決め穴78(図13参照)が形成され、リールカセット21をフィーダ本体13にセットする際に、取手部76の位置決めピン77を操作パネル15の下側の位置決め穴78に差し込むことで、取手部76が操作パネル15の下面に対して位置決めされるようになっている。この場合、テープフィーダ11を部品実装機のフィーダセット台66にセットした状態で、フィーダ本体13に対してリールカセット21の装着作業を行うことができるようになっている。
【0037】
図14に示すように、取手部76の上面には、リールカセット21の識別情報(以下「リールカセットID」という)を記憶したRFタグ81(電子タグ、ICタグ、電波タグ、無線タグとも呼ばれる)が取り付けられている。このRFタグ81には、リールカセッ
トIDの他に、部品供給テープ12の部品情報等を記憶しても良い。
【0038】
これに対応して、フィーダ本体13の操作パネル15の下面には、RFタグ81に記憶されたリールカセットIDを読み取るリーダ82(図13参照)が設けられ、該フィーダ本体13にリールカセット21をセットして取手部76の位置決めピン77を操作パネル15の下側の位置決め穴78に差し込んだ状態にすると、取手部76の上面のRFタグ81が操作パネル15の下面のリーダ82に近接して対向してRFタグ81に記憶されたリールカセットIDがリーダ82で読み取られる。
【0039】
このリーダ82から出力されるリールカセットIDの信号は、フィーダ本体13へのリールカセット21のセット確認信号としても兼用され、リーダ82でリールカセットIDを読み取ることで、フィーダ本体13へのリールカセット21のセットを確認するようにしている。尚、操作パネル15の下面側に配置するリーダ82は、少なくとも該リーダ82のアンテナが配置されていれば良く、該リーダ82の制御回路部は、アンテナと分離して他の部分に配置しても良い。
【0040】
操作パネル15には、各リールカセット21毎にリールカセット装着作業開始キー等の操作キーが設けられていると共に、リールカセット21の装着状態がクランプ状態/クランプ解除状態のいずれであるかを表示する表示部が設けられている。
【0041】
一方、フィーダ本体13には、各モータ33,44,56等の動作を制御する制御装置(図示せず)が設けられ、リーダ82で読み取ったリールカセットIDがフィーダ本体13の制御装置に送信され、該フィーダ本体13の制御装置からコネクタ67,68を経由して部品実装機の制御装置(図示せず)に送信され、当該リールカセット21が生産ジョブ(生産プログラム)で指定されたリールカセット21であるか否かが確認される。
【0042】
フィーダ本体13にリールカセット21をセットする手順は次の通りである。
作業者が操作パネル15のリールカセット装着作業開始キーを操作すると、フィーダ本体13の制御装置によって次のように制御される。まず、スプロケット駆動機構部上下動用のモータ56を作動させて、図10に示すように、スプロケット駆動機構部45をスプリング55に抗して引き下げてスプロケット42を退避位置まで下降させて、スプロケット42と部品供給テープ12のスプロケット孔との噛み合いを解除すると共に、クランプ部材91をリールカセット21から下方に退避させてリールカセット21のクランプ状態を解除する。
【0043】
この状態で、作業者がリールカセット21をフィーダ本体13に装着し終えると、フィーダ本体13のリーダ82がリールカセット21のRFタグ81からリールカセットIDを読み取ることで、フィーダ本体13へのリールカセット21の装着作業が完了したと判断して、スプロケット駆動機構部上下動用のモータ56を元の位置まで回転させてカム57を最上位置(又はその付近の位置)まで戻すことで、そのカム57の動きに追従してスプリング55の弾発力によりスプロケット駆動機構部45を嵌合位置へ上昇させた後、該モータ56への通電をオフする。
【0044】
その後、カム57が嵌合位置(最上位置)付近に戻ったことをカム位置センサ62が検出した時点で、噛合検出センサ63から検出信号が出力されたか否かで、スプロケット42の歯が部品供給テープ12のスプロケット孔に噛み合ったか否かを判定し、噛合検出センサ63から検出信号が出力されていれば、スプロケット42の歯が部品供給テープ12のスプロケット孔に噛み合ったと判断して、自動噛合動作を終了する。この際、スプロケット42を適宜回転させて、部品供給テープ12の先頭の部品を部品吸着位置に対して位置決めするようにしても良い。スプロケット42の歯が部品供給テープ12のスプロケッ
ト孔に噛み合った状態になると、図9に示すように、クランプ部材91の上端面がリールカセット21の下面に当接して摩擦力で該リールカセット21をクランプした状態となる。
【0045】
これに対して、噛合検出センサ63から検出信号が出力されていなければ、まだスプロケット42の歯が部品供給テープ12のスプロケット孔に噛み合っていないと判断して、モータ44を逆回転させてスプロケット42を所定角度だけ逆回転させた後、噛合検出センサ63から検出信号が出力されたか否かを判定し、検出信号が出力されていなければ、まだスプロケット42の歯が部品供給テープ12のスプロケット孔に噛み合っていないと判断して、モータ44を逆回転させてスプロケット42を所定角度だけ逆回転させる処理を繰り返す。これにより、噛合検出センサ63から検出信号が出力されるまで、モータ44によりスプロケット42を所定角度ずつ逆回転させる処理を繰り返し、噛合検出センサ63から検出信号が出力された時点で、スプロケット42の歯が部品供給テープ12のスプロケット孔に噛み合ったと判断して、モータ44を正回転させてスプロケット42を正回転させて、部品供給テープ12の先頭の部品を部品吸着位置に対して位置決めして、自動噛合動作を終了する。
【0046】
ところで、部品供給テープ12の部品切れ時や、供給する部品に起因する異常(例えば部品吸着ミス、画像処理エラー、部品供給テープ12の送り異常、通信異常、部品ベリファイ時の使用可否問い合わせにおける整合性異常等)の発生時には、部品実装機の制御装置からフィーダ本体13の制御装置に対して、部品切れや異常が発生したリールカセット21の位置の情報と部品補給信号又は異常信号を送信する。フィーダ本体13の制御装置(自動クランプ解除手段)は、部品実装機の制御装置から送信されてくる部品補給信号や異常信号を受信すると、部品切れや異常が発生したリールカセット21をフィーダ本体13から取り外して該リールカセット21の部品供給テープ12の状態を確認する必要があると判断して、取り外す必要が生じたリールカセット21についてのみ自動クランプ解除を次のようにして実行する。
【0047】
まず、複数のリールカセット21のうち、部品切れや異常が発生したリールカセット21に対応するスプロケット駆動機構部上下動用のモータ56を作動させて、図10に示すように、スプロケット駆動機構部45をスプリング55に抗して引き下げてスプロケット42を退避位置まで下降させて、スプロケット42と部品供給テープ12のスプロケット孔との噛み合いを解除すると共に、クランプ部材91をリールカセット21から下方に退避させてリールカセット21のクランプ状態を解除する。更に、操作パネル15の表示部に、リールカセット21毎にクランプ解除状態とクランプ状態のいずれであるかを表示する。つまり、自動クランプ解除したリールカセット21についてのみクランプ解除状態であることを表示する。
【0048】
以上説明した本実施例では、フィーダ本体13からリールカセット21を取り外す必要が生じたときに、スプロケット駆動機構部上下動用のモータ56によりスプロケット駆動機構部45を退避位置へ下降させて、クランプ部材91によるリールカセット21のクランプ状態を自動的に解除するため、フィーダ本体13からリールカセット21を取り外す必要が生じたときに、作業者がクランプ解除操作を行うことなく、簡単にリールカセット21を取り外すことができる。
【0049】
しかも、本実施例では、フィーダ本体13の操作パネル15に、リールカセット21毎にクランプ解除状態とクランプ状態のいずれであるかを表示する表示部を設けたので、フィーダ本体13に装着した複数のリールカセット21の中から、取り外す必要が生じたリールカセット21がどの位置のリールカセット21であるかを作業者が表示部の表示で簡単に見分けることができ、作業者が取り外す必要のないリールカセット21を誤って取り
外そうとすることを未然に防止できる。
【0050】
また、本実施例では、フィーダ本体13に複数のスプロケット駆動ユニット41を設けると共に、フィーダ本体13に対して複数のリールカセット21をそれぞれ独立して着脱可能に装着し、各リールカセット21にセットした部品供給テープ12のスプロケット孔に各スプロケット駆動ユニット41のスプロケット42の歯を噛み合わせるように構成したので、部品実装機のフィーダ載置台66に取り付けたフィーダ本体13にセットされた複数の部品供給テープ12のうち、部品切れになった部品供給テープ12のみをリールカセット21と一緒にフィーダ本体13から取り外して、新たな部品供給テープ12と取り替えることができる利点がある。
【0051】
但し、本発明は、フィーダ本体13にスプロケット駆動ユニット41を1個のみ設け、フィーダ本体13に対してリールカセット21を1個のみ着脱可能に装着する構成としても良い。
【0052】
また、本実施例では、フィーダ本体13に、複数のテープリール16を一括して収納するリールホルダ17を設けたが、各リールカセット21に、それぞれ1つのテープリール16を収納するリールホルダを設けた構成としても良い。
【0053】
また、本実施例では、部品供給テープ12の部品切れ時や、供給する部品に起因する異常発生時に、フィーダ本体13からリールカセット21を取り外す必要が生じたと判断して自動クランプ解除を行うようにしたが、例えば、生産ジョブ(生産プログラム)によってリールカセット21の交換(供給する部品の交換)が指示されたときに、フィーダ本体13からリールカセット21を取り外す必要が生じたと判断して自動クランプ解除を行うようにしても良い。
【0054】
その他、本発明は、上記実施例に限定されず、例えば、フィーダ本体13に装着可能なリールカセット21の数(スプロケット駆動ユニット41の数)を変更したり、スプロケット駆動機構部45を上下方向にスライド移動させる構成としても良い等、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0055】
11…テープフィーダ、12…部品供給テープ、13…フィーダ本体、14…取手部、15…操作パネル、16…テープリール、17…リールホルダ、21…リールカセット、22…リール引掛部、23…カバーテープ剥離装置、24…カバーテープ回収ケース、25…剥離ローラ、28,29…カバーテープ送りギア、31…駆動装置、33…モータ、34…駆動ギア、37,38…テープ保持部、41…スプロケット駆動ユニット、42…スプロケット、43…平歯車列(歯車機構)、44…モータ、45…スプロケット駆動機構部、51…軸、52…ガイドピン、53…ガイド孔、55…スプリング(付勢手段)、56…モータ(アクチュエータ)、57…カム、58…カム当接部材、61…位置検出ドッグ、62…カム位置センサ、63…噛合検出センサ(噛合検出手段)、64…位置検出ドッグ、66…フィーダ載置台、67,68…コネクタ、69,70…位置決めピン、71,72…位置決め穴、74…ガイド溝、76…取手部、77…位置決めピン、78…位置決め穴、81…RFタグ、82…リーダ、91…クランプ部材
図1
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