特許第5777811号(P5777811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777811
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】安全フレームを含む測定シャント
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/18 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   G01K7/18 B
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-519439(P2014-519439)
(86)(22)【出願日】2012年6月27日
(65)【公表番号】特表2014-521075(P2014-521075A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2012002706
(87)【国際公開番号】WO2013007343
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2014年2月27日
(31)【優先権主張番号】102011051845.2
(32)【優先日】2011年7月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502393969
【氏名又は名称】ヘレーウス ゼンゾール テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Sensor Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】カールハインツ ヴィーナント
(72)【発明者】
【氏名】マーギト ザンダー
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−292120(JP,A)
【文献】 特開2009−085952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板(16)と、
少なくとも2つの末端接点(2、3、12、13)と、
少なくとも1つの抵抗構造体(1、11)とを備えている温度センサーにおいて
前記少なくとも2つの末端接点(2、3、12、13)および前記少なくとも1つの抵抗構造体(1、11)の少なくとも1つは、前記基板(16)の第一面に配置され、
前記少なくとも1つの抵抗構造体(1、11)の少なくとも1つは、前記末端接点(2、3、12、13)と直接電気的に接触接続しており、
前記少なくとも2つの末端接点(2、3、12、13)の各々にて、少なくとも1つの電極(4、5、14、15)が、前記基板(16)の第一面上で前記少なくとも1つの抵抗構造体(1、11)の隣に配置され、
前記少なくとも1つの電極(4、5、14、15)が、前記各末端接点(2、3、12、13)にそれぞれ直接電気的に接触接続ている
ことを特徴とする温度センサー。
【請求項2】
前記電極(4、5、14、15)は、前記抵抗構造体(1、11)と一体的に構成されている、請求項1に記載の温度センサー。
【請求項3】
前記少なくとも1つの電極(4、5、14、15)は、前記抵抗構造体(1、11)の側面の少なくとも一部を包囲していることを特徴とする、請求項1または2に記載の温度センサー。
【請求項4】
前記少なくとも1つの電極(4、5、14、15)は、前記抵抗構造体(1、11)の少なくとも1つの側面を包囲していることを特徴とする、請求項に記載の温度センサー。
【請求項5】
前記少なくとも1つの電極(4、5、14、15)は、前記抵抗構造体(1、11)の少なくとも2つの側面を包囲していることを特徴とする、請求項に記載の温度センサー。
【請求項6】
前記基板(16)は、金属酸化物により形成されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の温度センサー。
【請求項7】
前記基板(16)は、コーティングされていることを特徴とする、請求項に記載の温度センサー。
【請求項8】
前記抵抗構造体(1、11)が、蛇行形状の線形構造体であることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の温度センサー。
【請求項9】
前記抵抗構造体(1、11)は、金属により形成されていることを特徴とする、請求項記載の温度センサー。
【請求項10】
前記金属は、白金であることを特徴とする、請求項に記載の温度センサー。
【請求項11】
前記抵抗構造体(1、11)が、少なくとも1つの誘電体層(18、19、20)でカバーされていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の温度センサー。
【請求項12】
前記誘電体層(18、19、20)は、セラミック層(18、19、20)、ガラス層およびガラスセラミック層(19)のうちの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項11に記載の温度センサー。
【請求項13】
前記誘電体層(18、19、20)は、自己支持型であることを特徴とする、請求項11または12に記載の温度センサー。
【請求項14】
前記温度センサーは、高温センサーであることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の温度センサー。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の温度センサーを製造する方法であって、
基板(16)にコーティングを施すことによって、
少なくとも1つの抵抗構造体(1、11)と、
少なくとも2つの末端接点(2、3、12、13)と、
少なくともつの電極(4、5、14、15)とを形成し、それによって、前記少なくとも2つの末端接点(2、3、12、13)は、前記少なくとも1つの抵抗構造体(1、11)と直接電気的に接触接続し、前記少なくともつの電極(4、5、14、15)は、前記末端接点(2、3、12、13)とそれぞれ直接電気的に接触接続するようにしたことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記コーティングは、金属コーティングであることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から14のいずれか一項に記載の温度センサーを含む、高温センサーチップ。
【請求項18】
前記温度センサーの末端接点(2、3、12、13)がワイヤ(21、22)と接触していることを特徴とする、請求項17に記載の高温センサーチップ。
【請求項19】
請求項17または18に記載の高温センサーチップにおいて、
少なくとも前記抵抗構造体(1、11)が、セラミック中間層(18)、ガラスセラミック(19)およびガラス層(20)のうちの少なくとも1つによって、直接的かつ全面的にカバーされていることを特徴とする、高温センサーチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は温度センサーに関し、特に、基板、少なくとも2つの端子接点および少なくとも1つの抵抗構造体を有する高温センサーに関し、該末端接点並びに該抵抗構造体の少なくとも1つは該基板の第一面に配置され、少なくとも1つの抵抗構造体は電気的に該末端接点に接触している。
【0002】
また本願発明は、少なくとも1つの抵抗構造体が基板の第一面に用いられる該温度センサーを製造する方法、及びかかる温度センサーを含む高温センサーに関する。
【背景技術】
【0003】
白金族の金属で構成される温度センサーは(特許文献1)により知られており、かかるセンサーはセラミック基板に配置される白金抵抗層およびその上に配置されるパッシベーション層を含んでいる。
【0004】
(特許文献2)は、温度センサーの製造方法を記載しており、その中で、白金層は厚膜技術を用いて基板上に配置される。白金粉末は当該目的のための酸化物および結合剤と混合され、スクリーン印刷法を用いて配置される。更に、抵抗温度計用の電気測定抵抗器構造体並びにかかる電気測定抵抗器構造体を製造する方法は、(特許文献3)または(特許文献4)によって知られている。
【0005】
(特許文献5)は温度センサーを記載しているが、その中で、基板上の温度測定用の測定電極は第二の電極により囲まれており、それによって、両電極間の基板表面の抵抗を測定して湿度を測定する。
【0006】
同様な構成は(特許文献6)で提案されており、基板の表面抵抗または内部抵抗が2つの追加電極の補助により測定され、該追加電極は基板上または基板の他方側の抵抗層の隣に配置されている。
【0007】
かかる温度依存抵抗器を温度センサーとして製造するため、白金抵抗層が、電気絶縁材の表面を有する基板上に蛇行形状の厚い膜として配置され、該抵抗層の外面は、パッシベーション層として機能する電気絶縁材の層でカバーされる。かかるセンサーの問題点は、金属イオンが抵抗層を移動し、特に高温において、該抵抗層に損害を与える、あるいはそれを破壊しさえすることである。その結果、該温度センサーの特性が変化してしまう。温度センサーとして白金を含む温度依存抵抗器の製造方法は(特許文献7)によって知られており、電極は抵抗層から少し離れた場所に配置される。これは、電流伝導による抵抗層へのイオン移動を防止するためである。この目的のため、該電極は電気伝導的に該抵抗層に接続される。
【0008】
(特許文献8)は、測定要素として薄膜の白金抵抗器を有する温度センサーを開示している。白金製の温度測定抵抗器は、電気絶縁基板の表面に配置され、該抵抗要素は誘電体保護層によりカバーされており、この層は二酸化珪素製で厚さが200nmから400nmの範囲にあるのが好ましい。更に、拡散バリア層が、酸素雰囲気下でチタンを堆積させ、二酸化チタンを形成することによりトップコートとして提供される。拡散バリア層は誘電体層への酸素の侵入を許し、ガラス層から白金層へ拡散する遊離金属イオンの攻撃を部分的に妨げるが、それでも、極限的環境条件下では白金層への攻撃が生じ、温度センサー要素としての物理的挙動が損なわれる。
【0009】
(特許文献9)によれば、かかる温度センサーには犠牲陰極が備わっており、1100℃の温度まで耐え得る。この技術は、化学的または機械的攻撃から測定シャントを保護する。しかしこのセンサーでは、陰極が電気的に適切に接続されているか否かを絶えず確認する必要がある。電気接続の混乱は該センサーの破壊につながるからである。加えて、センサーは700℃の温度以上になるとドリフトが生じる。
【0010】
白金抵抗膜を有する温度センサーは、(特許文献10)によって知られており、層は酸化アルミニウムの薄膜によってカバーされている。カバーは、抵抗膜をカバーしているセラミック膜に接着されている。金属が添加され温度センサーの末端表面の1つに電気伝導的に接続されているガラスセラミックは犠牲陰極を形成し、有害な金属カチオンの影響から抵抗層を保護し、それによって温度センサーの劣化プロセスを遅らせる、あるいは温度センサーの破壊を防止する。センサーを設置するハウジングの電源接続および極性の影響が、センサー・ドリフトの原因となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO 92 15101 A1
【特許文献2】US 5,202,665 A
【特許文献3】US 4,050,052 A
【特許文献4】DE 25 27 739 C3
【特許文献5】JP 57114830 A
【特許文献6】EP 0 437 325 A2
【特許文献7】EP 0 543 413 A1
【特許文献8】EP 0 327 535 B1
【特許文献9】EP 0 973 020 A1
【特許文献10】DE 10 2007 046 900 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のセンサーの欠点は、温度センサーの設計が複雑で、数個の層を有しており、その中のいくつかが煩雑であることだ。複雑な設計の故に、製造には多くの作業工程が必要であり、その結果、かかる温度センサーの製造コストは高くなる。
【0013】
別の重大な欠点は、温度センサーの設置または使用の間、極性を観察しなければならないことであり、そうしなければ、温度測定が低下する、温度センサーが使用に耐えなくなる、あるいは操作された途端に温度センサーが破壊されてしまうことすら生じるからである。
【0014】
従来技術の欠点を乗り越えるのが本発明の目的である。特に、コストベネフィットのあるやり方で実施可能であり、しかも大量生産で容易に実行できる簡単な設計を見つけることである。
【0015】
本発明の別の目的は、750℃から1200℃の適用範囲でドリフトが減少し、電源接続の極性およびハウジングに関して問題を生じないセンサーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、基板の第一面上の抵抗構造体の隣にある2つの末端接点の各々に少なくとも1つの電極を配置し、該電極をそれぞれの末端接点に電気的に接続することにより達成される。この設計により、設置中、犠牲電極としての電極機能を維持させるにあたり、温度センサーの極性を観察する必要がなくなるという目的が達成される。
【0017】
電極は、抵抗構造体と一体的に設計されてもよい。この方法により、特に単純でコンパクトな温度センサーの設計が実行できる。この設計は、1つの作業工程で実行可能で、コストベネフィットもある。
【0018】
本発明の目的は、基板の第一面上の抵抗構造体の隣にある少なくとも1つの末端接点に少なくとも1つの電極を配置し、該電極または該複数の電極を抵抗構造体と一体的に設計することによっても達成される。
【0019】
特に単純でコンパクトな温度センサーは、この方法によっても実行できる。この設計は、1つの作業工程で実行可能で、コストベネフィットもある。
【0020】
これは犠牲陰極としての電極機能にとって不可欠である。この目的のためには、少なくとも1つの電極に接続されている末端接点が陰極であってもよい。
【0021】
あらゆる実施態様の発明によれば、電極(1つまたは複数)は、いくつかの領域で抵抗構造体を枠内に収めていてもよいし、特に少なくとも一面が1つの電極によって枠内に収められていてもよいし、好ましくは抵抗構造体の少なくとも二面、特に好ましくは抵抗構造体の反対側の二面が、少なくとも2つの電極によって枠内に収められていてもよい。
【0022】
電極(1つまたは複数)によって抵抗構造体を枠内に収めることにより、該抵抗構造体を特に良好に保護することができる。
【0023】
更に、基板は金属酸化物であってもよく、該金属酸化物は好ましくはコーティングされていてもよい。
【0024】
金属酸化物は基板として特に適している。とりわけAl23は基板として特に適している。
【0025】
抵抗構造体が好ましくは金属、特に好ましくは白金からなる蛇行形状の線形構造体であれば、本発明の特に好適な実施態様が達成される。
【0026】
抵抗層を蛇行形状にすることにより、コンパクトな設計の実現が可能となる。
【0027】
本発明の更なる実施態様によれば、抵抗構造体は、誘電体層、好ましくは少なくとも1つのセラミック層、ガラス層またはガラスセラミック層で少なくともカバーされており、該誘電体層は好ましくは自己支持型である。
【0028】
カバーすることにより、温度センサーまたは温度センサーで構成される温度センサーチップの耐久性が大幅に改善される。
【0029】
本発明の目的は、少なくとも1つの抵抗構造体が基板の第一面に配置され、その少なくとも1つの抵抗構造体、少なくとも2つの末端接点および少なくとも1つの電極を形成するように基板にコーティング、好ましくは金属コーティングが施され、それによって、末端接点が前述の少なくとも1つの抵抗構造体と電気的に接触し、少なくとも1つの末端接点を通して少なくとも1つの電極とも電気的に接触するようになることを特徴とする、かかる温度センサーの製造方法によっても達成される。
【0030】
前述の製造方法は、特に簡単でコストベネフィットのあるやり方で実施可能である。
【0031】
本発明の目的は、かかる温度センサーからなる高温センサーチップによって更に達成される。
【0032】
温度センサーの末端接点は、ワイヤと接触していてもよい。
【0033】
更に、抵抗構造体は、セラミック中間層および/またはガラスセラミックおよび/またはガラス層によって、直接、表面積全体をカバーされていてもよい。
【0034】
かかる層は、機械的および化学的影響から高温センサーチップを保護する。
【0035】
カバーをセラミック中間層上に配置するのが好ましい。電気温度センサーは抵抗層を含み、該抵抗層は、セラミック基板として設計されたキャリアーの電気絶縁表面に、電気端子を備えた測定シャントとして配置され、汚染または損傷に対する保護として、電気絶縁物質からなる少なくとも1つの層によってカバーされているが、本発明によれば、パッシベーション層および/または拡散バリアとして設計されるかかる層は、1000℃超の温度に耐えるため、カバーによって保護されている。
【0036】
特に、ガラスセラミックまたはガラスセラミックからなるセラミックカバーは、抵抗層をカバーするセラミック層に接着される。
【0037】
抵抗層をカバーするセラミック層は、基板表面から離れた抵抗層の面に配置される。
【0038】
基板は、金属酸化物、特にサファイアまたはセラミック材料からなるのが好ましい。
【0039】
厚膜方法を用いてセラミック粉末を抵抗層に適用し、その後該粉末を焼結することによって、拡散バリアまたはパッシベーション層を形成してもよい。この方法はコストベネフィットのあるのが利点である。
【0040】
更に、プラズマ溶射法を用いて焼結基板の抵抗層にセラミック粉末を適用することにより、拡散バリアまたはパッシベーション層を形成してもよい。その結果得られる層は、後に使用中に生じる蒸着による高温下でさえも安定性を維持するので、この方法は有利である。拡散バリアまたはパッシベーション層は、PVD(物理蒸着)、IAD(イオン支援蒸着)、IBAD(イオンビーム支援蒸着)、PIAD(プラズマイオン支援蒸着)またはCVD(化学蒸着)によって、薄膜法を用いて追加してもよい。
【0041】
本発明は、かかる単純な設計が、金属イオンによる抵抗層への負の影響を大幅に減少できるという驚くべき知見に基づいている。特に高温で移動しやすいイオンは、犠牲陰極として機能する、抵抗層と同レベルに位置する電極によって妨害できるということが、初めて見出された。従って、犠牲陰極として、抵抗層の隣に配置された簡単な電極を提供するだけで十分である。かかる方法により、基板上の1つの構造体として、犠牲陰極として機能する電極(1つまたは複数)と一緒に、あるいは更に末端接点と一緒に抵抗層を配置することにより、特に簡単な温度センサー製造方法の使用が可能となる。従って、本発明によれば、抵抗構造体、全ての電極あるいは更に末端接点を基板上に作製するには、1つの作業工程があれば十分である。この方法は、製造速度を高め、製造原価を大幅に減少させる。従って、本発明によれば、抵抗構造体は外部の電気化学的影響から保護され、本発明の目的が達成される。
【0042】
本発明の更なる驚くべき知見は、2つの電極が異なる末端接点に取り付けられている場合には、末端接点が電気的に接続されている場合の極性は問題にならない、ということである。2つの電極のうちの1つは、いつも陰極として切り替えられ、イオンゲッターすなわち抵抗層を保護する犠牲陰極としての機能を果たす。イオンは特に高温で移動しやすいので、抵抗層の周りで拡散しなければならなくなっても、膨大な数が犠牲陰極に向かって移動する。本発明によれば、抵抗層をイオンから保護するために、電極は抵抗層の周りに拡張させてもよい。両電極は、抵抗層の同じ側を枠内に収めるような距離まで、抵抗層の周りに拡張してもよい。従って、1つの電極は、抵抗層の周縁外側に密接に配置される内部電極であり、他の電極は、内部電極の周縁外側に配置される外部電極である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】抵抗構造体を部分的に枠内に収める陰極を含む電気伝導構造体の概略図
図2】2つの電極によって部分的に枠内に収められている抵抗構造体を含む電気伝導体構造体の概略図
図3】基板上の末端接点を含む、本発明の測定シャントの概略分解立体図
図4】基板上の末端接点を含む、本発明の代替測定シャントの概略分解立体図
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明によれば、それぞれの抵抗構造体を金属酸化物の基板上に同一平面的に配置した高温センサーを製造するには、末端接点および該末端接点から始まり抵抗構造体を部分的に枠内に収めている電極は、該抵抗構造体と一体的に構成されている。
【0045】
従って、本発明によれば、保護電極は、抵抗構造体および末端接点と一緒に一工程法により製造し得る。この方法は、特に大量生産において好適である。
【0046】
本発明によれば、末端接点および該接点に隣接し金属酸化物基板上に抵抗器として構成される層からなる高温センサーチップも提供され、この場合、該金属酸化物基板は好ましくはチタン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、ジルコニア強化アルミナ(ZTA)、スピネルまたは類似の材料で構成され、該抵抗構造体は同一平面上に配置された電気伝導構造体の一部であり、末端接点から始まる陰極は、この平面上で、該抵抗構造体を部分的に枠内に収めている。
【0047】
前述の部分的に(抵抗構造体を)枠内に収める陰極は、電気化学的な損傷から抵抗構造体を保護し、セラミック薄膜または厚膜を追加使用する場合には特に、温度抵抗特性の面で、特に高温において、既知の温度センサーよりもドリフトが少ない。2つの異なる末端接点に電気的に接続されており部分的に(抵抗構造体を)枠内に収めている電極からなる一つの実施態様では、構成要素の極性はもはや重要ではないので、温度センサーまたは該温度センサーを備えるチップの設置中の煩雑さ並びに設置失敗に伴う温度(センサー)の損傷または破壊は大幅に減少する。
【0048】
測定シャントは白金を含む抵抗層が好ましいし、特に薄膜または厚膜技術を用いて実施し得る。拡散バリアは中間層の形で設計してもよい。コストベネフィットのある製造および温度依存抵抗器の長期耐用寿命が好適であるのは公知である。
【0049】
一つの実用的な実施態様において、中間層の厚さは0.2μmから50μmの範囲である。
【実施例】
【0050】
本発明の好ましい実施態様によると、キャリアーはAl23で構成される。加えて、拡散バリアまたは中間層もAl23、HfO2または両物質の混合体で構成されるのが好ましく、その場合、Al23の重量分率は20%から70%の範囲である。
【0051】
拡散バリアまたは中間層を、少なくとも2つの層を有する層順序からなる層システムで構成することも可能であり、その場合、各層はAl23、MgO、HfO2およびTa25からなる群から選択される少なくとも1つの層で形成され、この目的のために、少なくとも1つの層はかかる酸化物のうちの2つ、好ましくは酸化物の物理的混合体で形成されてもよいが、混合酸化物を使用することも可能である。本発明の更なる実施態様では、Al23、MgO、およびTa25からなる群は、酸化ハフニウムを含むように拡張してもよい。
【0052】
拡散バリアまたはパッシベーション層は、好ましくは、表1に従って位置1から6に示される材料を含む単層システム、あるいは表2に従って少なくとも二層1および2を含む複層システムであり、追加の層(単数または複数)は層2に隣接し得る。種々の層材料が、番号7から30の各位置または行に示されている。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
本発明によれば、前述の二つの実施態様におけるパッシベーション層は、SiO2、BaOおよびAl23の混合体を更に含んでもよく、その場合、SiO2の重量分率は20%から50%の範囲にある。
【0056】
この混合体が高い絶縁抵抗を有しているのは好都合であることが分かっている。本発明の実施例は、以下に、4つの概略的な図面に基づいて記載されるが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。図面は以下の通りである。
【0057】
図1は、抵抗構造体を部分的に枠内に収める陰極を含む電気伝導構造体の概略図を示す。
図2は、2つの電極によって部分的に枠内に収められている抵抗構造体を含む電気伝導体構造体の概略図を示す。
図3は、基板上の末端接点を含む、本発明の測定シャントの概略分解立体図を示す。
図4は、基板上の末端接点を含む、本発明の代替測定シャントの概略分解立体図を示す。
【0058】
図1は、かかる方法で薄膜として基板(図示しない)上に配置し得る温度センサーの概略斜視図である。温度センサーは抵抗構造体1を含み、該抵抗構造体はその両端を末端接点2,3に接続されている。抵抗構造体1は、フラットリボンとして、蛇行形状に、末端接点2,3間に延びている。電極4は、犠牲電極として、末端接点2、3の陰極2に接続されている。
【0059】
図1に示される電極4は、側面に貫通する電気化学的不純物から抵抗構造体1、特に白金抵抗器を保護する。かかる不純物は抵抗構造体1の抵抗値を変化させ、その結果、干渉ドリフト、あるいは抵抗構造体1の破壊すら引き起こす。電気化学的不純物は例えば金属イオンであるが、かかる温度センサーからなる高温センサーチップなどの構成要素に拡散し、抵抗構造体1の金属を攻撃してその縁を溶解させる。その結果、抵抗構造体1の断面、ひいてはその電気抵抗が変化する。陰極2による負電荷の故に、電極4は同様に陰極を形成し、その結果、正に帯電した金属イオンは電極4に引き付けられ電極4を攻撃する(害する)が、抵抗構造体1には影響を及ぼさない。
【0060】
抵抗構造体1は、末端接点2、3および電極4とともに一工程方法で構築される。この目的のために、図1に示される全構造体1、2、3、4(図1に示される温度センサー)は、コーティング方法を用いて基板上に作製される。簡単な製造方法は大量生産にとって最適であり、使用する材料の量も最小限にできる。薄膜技術を適用する場合には特にそうであるが、本発明によれば、薄膜技術は、測定精度の向上および小型化の達成という意味で特に好ましい。本発明によれば、この点に関して、白金薄膜の光リソグラフィによる構造化が利用され成功を収めている。
【0061】
電極4は抵抗構造体1の二側面を枠内に収める。抵抗構造体1の側面のうち陰極2に接続されている面は、温度測定中、最大の負電荷を有しているが、電極4によって特に良好に保護される。正に帯電された拡散金属イオンは電極4に引き付けられ、吸収される。驚くべき発見であるが、この引付力は特に高温で強力であり、抵抗構造体1の側面のうち電極4によって枠内に収められていない面あるいはその上または下に存在する金属イオンでさえ電極4の方向に移動し、吸収される。その結果、かかる単純構造、すなわち単純な厚膜または薄膜技術によって製造される単一層が、好ましい効果を達成するのに十分である。
【0062】
図2は本発明の代替温度センサーの概略斜視図を示す。該温度センサーは、誘電体基板(図示しない)上に本形体で配置し得る。図1に示した温度センサーとは違って、図2に示した温度センサーは2つの電極4、5を含んでおり、その各々は末端接点2、3の一つに接続されている。
【0063】
図2に示される電極4、5の1つは電気接続がなされた後に陰極となるが、この陰極は、貫通する電気化学的不純物から、測定シャントとして提供される抵抗構造体1を保護する。この方法では、不正確な接続(極性逆転)がもはや起こり得なくなるので、温度センサーの設置が簡素化される。従って、ドリフトは電気接続とは独立して大幅に減少する。本実施態様において特に重要であるが、極性およびハウジングの電位も任意である。
【0064】
従って、本実施態様においては、従来技術とは異なり、極性およびハウジングの電位が任意である。故に、抵抗構造体1を含むチップをセンサー・ハウジングに設置する際の努力が大幅に節約される。
【0065】
図1およびそこで述べた利点と同様、抵抗構造体1は、末端接点2、3および電極4とともに一工程方法で構築される。電極4および5は、それぞれ抵抗構造体1の1つの面を枠内に収めるが、その場合、両面は互いに反対側に配置される。電極4、5は、角を曲がって、抵抗構造体1の共通の第3面にまで更に延長する。この方法では、蛇行形状の抵抗構造体1の最初の曲がり角が電極4、5によって囲まれ、特に良好に保護される。本発明によれば、特に好都合なやり方として、電極4、5は蛇行(主に第一蛇行)の中間まで延長してもよい。
【0066】
図3および図4は、本発明の測定シャントの概略分解立体図を示す。蛇行形状の抵抗構造体11は、2つの末端接点12、13に電気的に接続されている。図2の場合と同様、抵抗構造体11は、二面並びにそれを僅かに超える部分が2つの電極によって枠内に収められている。かかる電極14、15は、2つの末端接点12、13と接続されており、抵抗構造体11を保護する犠牲電極として機能する。抵抗構造体11、末端接点12、13および電極14、15は、単一構造体として基板16上に配置される。該構造体は、例えば光リソグラフィ法によって1つの作業工程で製造される。従って、該構造体の全体が、例えば薄膜として、サファイアまたはセラミック基板16の平坦な表面上に配置され得る。末端接点12、13は、抵抗構造体11および電極14、15と同じ素材で作製される。
【0067】
図3および図4によれば、抵抗構造体11の面のうち基板16から離れた側にある面には、中間層として拡散バリア層18が提供されており、該拡散バリア層は、ガラスまたはガラスセラミック製のパッシベーション層19およびカバー20でカバーされている。
【0068】
カバー20の故に、白金を含む抵抗構造体11の不安定な構造は、環境起因の大気汚染から効果的に保護されている。かかる複層設計では、抵抗構造体11にとって特に有害であるカチオンは、ガラスセラミック19の高純度セラミックおよびガラス構成要素により回避できるが、ガラスセラミックは、電場中の移動によって高温でかなり急速に白金を汚染し、抵抗構造体11の高温抵抗が温度測定にはもはや適しなくなるほどに、得られる白金合金の温度/抵抗機能に劇的な影響を及ぼす可能性がある。熱力学的に安定で純度の高い最初のハフニウムまたは酸化アルミニウム層を中間層または拡散バリア18として使用することにより、白金を汚染する珪素および他の物質またはイオンの侵入が間違いなく最小限に抑えられる。この方法により、蛇行形状に構成された抵抗構造体11は、例えば、基板側からだけでなく反対側からも汚染から保護される。中間層または拡散バリア18は、物理的蒸着により作製し得る。
【0069】
酸化アルミニウム層18は、純度の高い酸化アルミニウム(Al23)からなる極めて安定な層が抵抗構造体11の白金構造体をカバーするように、超化学量論的に(hyperstoichiometrically)作製するのが好ましい。従って、珪素を含みガラスセラミックからなるパッシベーション層19と活性白金抵抗構造体11との接触は最小限度に抑えるが、その結果、外部汚染に対する機械的保護としての抵抗構造体11の密閉が保証される。
【0070】
図3によれば、小さいセラミック板20がガラスセラミック19上に配置される。小さいセラミック板20は追加のパッシベーションであり、実際の温度センサーが挿入されるハウジング中の粒子による摩耗に対して、機械的「保護シールド」として機能する。これは、機械的摩耗および電気化学的不純物からの保護を提供する。
【0071】
図3または4による一つの実施態様によれば、末端接点12、13の応力は、接続ワイヤ21および22により、電気絶縁固定ドロップ25を有する接続パッド23および24を通して除去される。固定剤25は、高純度ガラスまたはガラスセラミックからなる。
【0072】
上述の拡散バリア18として中間層を使用する実施態様に加えて、この層は、薄膜法で0.2μmから10μmの範囲の厚さ、好ましくは5μmの厚さにするか、厚膜法で5μmから50μmの範囲の厚さ、好ましくは15μmの厚さにして配置することに注意されたい。
【0073】
抵抗構造体11上の末端接点パッド23、24の厚さは、10μmから50μmの範囲、好ましくは20μmである。キャリアーとしての基板16の厚さは、0.1mmから1mmの範囲、好ましくは0.4mm、特に好ましくは0.38mmである。
【0074】
図面に示される末端接点2、3、12、13は各々片側に配置されているが、本発明の温度依存抵抗器または温度センサー、好ましくは高温センサーにおいては、両末端接点2、3、12、13が互いに反対側に配置される実施態様を使用することも可能である。図3に示すように、Al23薄膜18の配置の次にはガラスセラミック19の配置、その後に厚膜としての末端パッド23、24が配置され、それからセラミックカバー20が配置される。その後、接続ワイヤ21、22が接続され、固定剤25が接続ワイヤ21、22の応力除去のために配置される。
【0075】
図4によれば、基板16は、中間層26、特に酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムからなる薄膜26を抵抗構造体11の下部に有している。測定シャントとして機能する抵抗構造体11は、基板16の中間層26の上、例えば中間層26の平面表面上に薄膜の形で配置される。この中間層26は好ましくは酸化アルミニウムからなり、抵抗構造体11を保護する。従って、中間層26は基板16のコーティングである。あるいは基板16は中間層26でコーティングされている。
【0076】
上述の記載並びに特許請求の範囲、図面および実施例に開示される本発明の特徴は、本発明を種々の実施態様において、単独または任意の組み合わせで実施する場合に必要不可欠であろう。
【符号の説明】
【0077】
1、11:抵抗層
2、12:末端接点/陰極
3、13:末端接点/陽極
4,14:電極
5,15:電極
16:基板/金属酸化物
18:拡散バリア層/酸化アルミニウム層
19:パッシベーション層/ガラスセラミック
20:カバー/セラミック
21、22:接続導線
23、24:端子パッド
25:固定剤/ガラスドロップ
26:中間層/コーティング
図1
図2
図3
図4