特許第5777829号(P5777829)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777829
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】過酸化水素蒸気除染構造
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/20 20060101AFI20150820BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20150820BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20150820BHJP
【FI】
   A61L2/20 106
   B01D53/86 200
   A61L101:22
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-558767(P2014-558767)
(86)(22)【出願日】2013年2月14日
(65)【公表番号】特表2015-512673(P2015-512673A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】US2013026014
(87)【国際公開番号】WO2013126260
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2014年10月1日
(31)【優先権主張番号】13/764,814
(32)【優先日】2013年2月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/601,614
(32)【優先日】2012年2月22日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302044247
【氏名又は名称】アメリカン ステリライザー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒル、アーロン、レイフ
(72)【発明者】
【氏名】ミールニック、サディアス、ジョーセフ
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0098592(US,A1)
【文献】 特開昭53−139337(JP,A)
【文献】 特開平11−076384(JP,A)
【文献】 特開平10−211263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00−2/28
A61L 9/00−9/04
A61L 9/14−9/22
A61L 11/00−12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数の既製剛性構造パネルによって形成され、全体が囲まれたチャンバーを画定するモジュール構造と、
ダクトとブロワとを有し、前記チャンバーを通してガスを循環させるために前記モジュール構造に取り付けられる循環システムと、
媒と、
酸化水素蒸気ジェネレータと、
ントローラとで構成され、
前記複数既製剛性パネルの少なくとも一つには、前記チャンバーへのアクセスを可能とするための開放状態と閉鎖状態とを移動可能なドアが形成され、
前記ダクトは、前記モジュール構造の外部に沿って配置され、第1位置でモジュール構造と接続されて前記チャンバーと連通して前記チャンバーからの出口を形成し、第2位置及び第3位置で前記モジュール構造と接続されて前記チャンバーと連通して前記チャンバーへの入口を形成し、
前記ブロワは、前記ダクトを通してガスの流動を第1方向に運搬するために前記ダクトに配置され、前記第1位置よりも下流で前記第2位置及び前記第3位置よりも上流に配置され、
前記触媒は、前記ダクトの前記第2位置に配置され、
前記過酸化水素ジェネレータは、前記第3位置で過酸化水素蒸気をガスの流動に導入するために前記ダクトと接続され、
前記コントローラは、前記チャンバーに導入される過酸化水素蒸気の量を制御し、前記第2位置へのガスの流動を制御し、
モジュール構造は、前記循環システムと、前記触媒と、前記過酸化水素蒸気ジェネレータと、前記コントローラとを支持し、
前記複数の既製剛性構造パネルは、過酸化水素蒸気と反応しない材料で覆われる
ことを特徴とする除染エンクロージャ。
【請求項2】
前記循環システムは、前記ダクト内部に、前記第2位置及び前記第3位置への流動を選択的に制御する流動制御素子を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の除染エンクロージャ。
【請求項3】
前記流動制御素子は、前記コントローラによって制御され、前記流動制御素子が第1状態のときに第1ガス流路を形成し、前記流動制御素子が第2状態のときに第2ガス流路を形成する
ことを特徴とする請求項2に記載の除染エンクロージャ。
【請求項4】
前記流動制御素子は、ダクト内部に配置されるダンパである
ことを特徴とする請求項2に記載の除染エンクロージャ。
【請求項5】
前記第2ガス流路は、前記チャンバーから前記ダクトを通って前記第2位置で前記チャンバーに戻る経路である
ことを特徴とする請求項3に記載の除染エンクロージャ。
【請求項6】
前記第1ガス流路は、前記チャンバーから前記ダクトを通って前記第3位置で前記チャンバーに戻る経路である
ことを特徴とする請求項3に記載の除染エンクロージャ。
【請求項7】
前記ガスの流動を前記チャンバーから前記ダクトへと濾すためのフィルタを、前記ダクトの前記第1位置にさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の除染エンクロージャ。
【請求項8】
前記コントローラに接続される温度センサと湿度センサを、前記ダクト内部にさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の除染エンクロージャ。
【請求項9】
前記ダクト内部の前記第1位置に配置される過酸化水素センサをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の除染エンクロージャ。
【請求項10】
除染サイクル中に前記ドアをロック状態にロックするドアロック機構をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の除染エンクロージャ。
【請求項11】
前記モジュール構造は、前記チャンバー内部に照明器具を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の除染エンクロージャ。
【請求項12】
前記モジュール構造は、前記チャンバー内部に電気コンセントを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の除染エンクロージャ。
【請求項13】
記チャンバーの寸法は、前記モジュール構造に追加パネルを追加することによって増加する
ことを特徴とする請求項1に記載の除染エンクロージャ。
【請求項14】
建物の既存の部屋又は領域の内部で組み立てられるように寸法設計される
ことを特徴とする請求項1に記載の除染エンクロージャ。
【請求項15】
前記複数の既製剛性構造パネルの横方向及び縦方向の端部を受け入れるために、それぞれ互いに反対の方向を向き、側面に沿って形成される1対の溝を有する複数の細長状の構造フレーム部材をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の除染エンクロージャ。
【請求項16】
前記構造フレーム部材の少なくとも一つは、電気ケーブルを受け入れるために、一つの側面に沿って形成されるスロットを含む
ことを特徴とする請求項15に記載の除染エンクロージャ。
【請求項17】
前記複数の既製剛性構造パネルは、エポキシ層で覆われる
ことを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載の除染エンクロージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用デバイスの消毒殺菌又は除染に関し、特に、車椅子、点滴スタンド、血圧計カフ、ケース・カート、その他の医療環境で遭遇するデバイス等の非侵襲的な医療用デバイスを除染する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
感染症の伝染の予防は、全ての病院及び医療施設の主要な関心事である。侵襲的なアイテム、例えば手術器具や体の粘膜に接触して進む内視鏡等は、伝染病の感染を予防するために、使用される毎に減菌され、消毒される。
【0003】
非侵襲的なアイテムは、粘膜ではなく、傷のない皮膚に接触するものである。非侵襲的なアイテムの例として、車椅子、点滴スタンド、担架、患者用ベッド、患者用トレーテーブル、車輪付きコンピュータ、キーボード、血圧計カフ、患者用家具、テーブル、カート・ケース等が挙げられる。前述した侵襲的なアイテムを除き、病院内部で遭遇するいかなるデバイスも、「非侵襲的なアイテム」であると考えられる。これらの非侵襲的なアイテムは、職務として実質的に患者と接触する養生従業員や他の医療スタッフによって繰り返し操作される。多くのタイプの感染性病原体が、非侵襲的なアイテムの表面で長期間(数日間から数か月間)生き残り、それらが多くの人々に使用や操作が行われることが病院内での感染性病原体の伝染に寄与することが良く知られる。
【0004】
非侵襲的なアイテムの除染方法としては、液体の消毒液を用いて、布巾やスプレーボトルを用いて手動で清掃する方法がある。車椅子、点滴スタンド、患者用ベッド、コンピュータ等の構造の特定のタイプに応じて、アイテムの各表面が除染されることを保証することはほとんど不可能である。さらに、内部の電子部品を冷却するために空気路を有するコンピュータ等の病院のデバイスは、特に清掃が困難である。
【0005】
非侵襲的なアイテムを除菌する別の方法としては、アイテムを病院の専用の部屋に設置し、部屋の内側全体をに過酸化水素蒸気等の除染ガスに曝すことが挙げられる。既存の建物にこのような部屋を構築すると、ドア開口とHVAC出口又は入口とが覆われ、封止される必要がある。既存の病院の部屋が除染チャンバーとして専用に使用される場合、ドア開口及び換気ダクトが封止されることを保証するために、高度の注意と大きな労力が必要となる。部屋に塗装を施すと、繰り返し過酸化水素蒸気に曝されることで、気泡ができて剥がれるおそれがある。さらに、外窓を有する部屋は、一年の寒い月の間は冷たい表面に除染が行われるため、一般的に好ましくない。さらにまた、サイクル中に病院の従業員が過酸化水素蒸気に曝されないことを保証する安全機能は、一般的には存在しない。ここで、ドアをロックし、漏れを検出する方法は、多くの病院の設備において利用できない。さらに、過酸化水素蒸気のシステムの場合、除染サイクル後に過酸化水素蒸気を処理するために、曝気システムが必要となる。結果として、除染ルームとして使用される専用の部屋を作ると、部屋及びその周囲の領域を大きく改造する必要がある。さらに、建設されると、このような部屋は、病院の内部で容易には改造できず、再配置できない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するものであって、病院内で使用される除染エンクロージャを提供する。除染エンクロージャは、モジュール方式であって、容易に解体、再配置及び/又は拡大できる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の好ましい実施の形態では、全体が取り囲まれたチャンバーを形成する構造を、互いに結合して形成する複数の既製パネルで構成される除染エンクロージャが提供される。ドアは、少なくともパネルの一つに形成され、ドアは、チャンバーへのアクセスを可能とするために、開放状態と閉鎖状態とを移動可能である。循環システムは、チャンバーを通してガスを循環させるために、構造に取り付けられる。循環システムは、構造の外部に沿ってダクトを有する。ダクトは、第1位置でエンクロージャに接続されてチャンバーと連通して前記チャンバーからの出口を形成し、第2位置及び第3位置でエンクロージャと接続されてチャンバーと連通してチャンバーへの入口を形成する。ブロワは、ダクトを通して第1方向にガスの流動を運搬するために、ダクト内に配置される。ブロワは、第1位置よりも下流であって、第2位置及び第3位置よりも上流の、ダクト内に配置される。触媒は、ダクトの第2位置に配置される。過酸化水素蒸気ジェネレータは、前記第3位置において前記過酸化水素蒸気をガスの流動に導入するために、ダクトに接続される。コントローラは、チャンバーに導入される過酸化水素蒸気の量を制御し、第2位置及び第3位置におけるガスの流動を制御するために設けられる。
【0008】
本発明の利点は、医療装置の除染のための除染エンクロージャであることである。
【0009】
本発明の別の利点は、建物の既存の部屋又は領域の内部で組み立てられる除染エンクロージャであることである。
【0010】
本発明の別の利点は、モジュール方式の除染エンクロージャであって、セクションの状態で既存の建物内へもち運びでき、建物内で組み立てることができることである。
【0011】
本発明の別の利点は、前述したように、セクションに解体でき、別の場所に移送して再度組み立てることができる除染エンクロージャであることである。
【0012】
本発明の別の利点は、前述したように、拡大、すなわち大きくすることができる除染エンクロージャであることである。
【0013】
本発明のさらなる別の利点は、除染エンクロージャへのアクセスを可能とする一つ以上のドアを有する除染エンクロージャであって、ドアは、除染サイクル中のアクセスを妨害するためにセンサ及びロックを有することである。
【0014】
本発明の別の利点は、前述したように、電子デバイスの冷却のための内側通路の除染を促進するために、除染エンクロージャ内部に電気コンセントを有する除染エンクロージャであることである。
【0015】
本発明のさらなる別の利点は、前述したように、病院内部の特定のアイテムに関して、データを追跡し、貯蓄する感受手段を有する除染エンクロージャであることである。
【0016】
本発明のさらなる別の利点は、前述したように、サイクルパラメータ、すなわち、減菌剤注入レートを自動的に制御し、サイクルが完了して部屋への入室が安全かどうかを判定するフィードバック制御を有する除染エンクロージャであることである。
【0017】
これらの利点は、付随図面、及び特許請求の範囲とともに以下の発明を実施するための形態から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、部品や配列に関する物理的な形態をとる。本発明の実施の形態を、本明細書と、同実施の形態の一部をなす付随図面とにおいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る除染エンクロージャの透視図である。
【0020】
図2は、図1に示す除染エンクロージャの断面図であって、除染サイクルの調整段階又は除染段階における除染エンクロージャを示す。
【0021】
図3は、図1に示す除染エンクロージャの断面図であって、除染サイクルの曝気段階における除染エンクロージャを示す。
【0022】
図4は、除染エンクロージャの側壁の断面透視図であって、壁パネル及び構造部材の構築を示す。
【0023】
図5は、本発明の別の実施の形態に係る除染エンクロージャの透視図である。
【0024】
図6は、図5に示す除染エンクロージャの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、図面について説明する。図面は、本発明の好ましい実施の形態を描く目的にのみ用いられ、本発明を限定するものではない。図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る除染エンクロージャ10を示す。エンクロージャ10は、複数の既製の壁パネル22のようなものと、複数の既製の天井パネル24のようなものとで構成されるモジュール構造である。既製の天井パネル24は、図2に示すように、既製の壁パネル22と共に、取り囲まれ、かつ封止された除染チャンバー12を形成する。図面において、除染エンクロージャ10は、一部が示された部屋14の内部に示される。ここで、除染エンクロージャ10は、部屋14の側面を形成する壁18から離間する床16上に配置される。図1において、部屋14を完成させる二つの壁と天井とが図示されていない。床16は、好ましくは平坦であって、過酸化水素蒸気に対して不活性な材料(図示せず)で覆われる。
【0026】
複数の壁パネル22は、互いに結合して、エンクロージャ10の第1側面32を形成する。同様に、複数の壁パネル24は、エンクロージャ10の第2側面34を形成する。正面36と背面38も、複数の壁パネル22から形成される。複数の天井パネル24は、エンクロージャ10の天井又は上面42を形成する。少なくとも一つの壁パネル22は、エンクロージャ10のチャンバー12へのアクセスを可能とするドア52を含む。本実施の形態において、ドア52は、エンクロージャ10の正面36を形成する壁パネル22に配置される。ドアシール(図示せず)は、ドア52を壁パネル22へ密封して封止するようにドア52を囲む。以下、詳細を説明する。本実施の形態において、ドア52は窓54を含む。
【0027】
天井パネル24及び壁パネル22は、細長状の構造フレーム部材62によって所定の位置に保持される。各フレーム部材62は、図4に示すように、その側面に沿って、反対に向く溝を有する。各溝は、図4に示すように、壁パネル22及び天井パネル24の横方向及び縦方向の端部を受け入れるように寸法設計される。本実施の形態において、各フレーム部材62は、一つの側面に沿って形成される細長状のスロット64を有する突出した金属部品である。スロット64は、図4に示すように、電気ケーブル66及び/又は電気コンセント68を受け入れるように寸法設計される。細長状のカバープレート69は、フレーム部材62のスロット64を覆い、かつ取り囲むように寸法設計される。エンクロージャ10内部の電気ケーブル66は、図2及び3に示すように、チャンバー12内部において、コンセント68及び照明器具46に接続される。エンクロージャ10内部の電気ケーブル66は、外部ケーブル48によって、部屋14内部の電源に接続される。外部ケーブル48は、図1に示すように、外部電源に接続される。
【0028】
壁パネル及び天井パネルは、外側表面が過酸化水素蒸気に対して不活性かつ不浸透性の材料で形成され、または覆われる剛性構造である。
【0029】
本実施の形態において、各パネル22は、2層の石膏板22bに挟まれる、内部発泡コア22aで構成される複合構造である。アルミニウムのシート22cは、石膏版22bの各層の外側表面に取り付けられる。アルミニウムシート22cの外側の露出した表面は、好ましくは、エポキシ層で覆われる。天井パネル24も同様の構造である。各パネル22,24は、全体にわたって3インチ程度の厚さである。前述したように、構造フレーム部材62の溝は、壁パネル22及び天井パネル24の端部がぴったりと嵌合するように寸法設計される。
【0030】
本発明の一つの実施の形態において、除染エンクロージャ10の側面32,34,36,38及び天井42は、18080 Chesterfield Airport Rd.,Chesterfield,MO 63005USA.所在のPortafab Modular Building Systemsで入手可能な部品で形成される。
【0031】
ガス循環システム110は、チャンバー12を介して、キャリアガスを循環させるために除染エンクロージャに取り付けられる。好ましい実施の形態において、キャリアガスは、除染エンクロージャ10内部に存在する空気である。循環システム110は、エンクロージャ10の外部に沿って配置される細長状のダクト112を含む。本実施の形態において、ダクト112は、エンクロージャ10の正面36から背面38まで、エンクロージャ10の上面42の上方で伸長する。ダクト112の一端は、第1位置132でエンクロージャ10と接続される(図2参照)。本実施の形態において、第1位置132は、エンクロージャ10の背面38に位置する。特に、ダクト112は、壁パネル22の下端付近、すなわち床16付近で壁パネル22の一つと接続される。ダクト112の第1脚部112aは、第1位置132からブロワアセンブリ142まで伸長する。ブロワアセンブリ142は、図2で模式的に示されるように、モータ146で駆動するファン144を含む。ダクト112の第2脚部112bは、ブロワアセンブリ142からエンクロージャ10の正面36まで伸長し、第2脚部112bは、第2位置134で壁パネル22に接続される。本実施の形態において、第2位置134は、図面に示されるように、壁パネル22の上端付近、すなわちエンクロージャ10の上面42付近に位置する。本実施の形態において、第3脚部112c、すなわち枝分かれした脚部は、第3位置136でエンクロージャ10に接続される。第3位置136は、好ましくはエンクロージャ10の正面36と背面38の間、及び側面32,34の間の中間点に位置する。換言すると、第3位置136は、好ましくはエンクロージャ10の天上面42の中央付近に位置する。
【0032】
ダクト112は、第1位置132,第2位置134及び第3位置136において、エンクロージャ10内部のチャンバー12と連通する内側通路114(図3参照)を備える。ブロワアセンブリ142は、チャンバー12内部の空気を、図面の矢印の向きに循環させるように動作可能である。ここで、空気の流動方向に関して、第1位置132は、ブロワアセンブリ142の上流であって、第2位置134及び第3位置136は、ブロワアセンブリ142の下流である。
【0033】
フィルタ素子152は、図2及び3に示すように、ブロワ142によってチャンバー12から引き寄せられた空気を濾すために、ダクト112の内部に配置される。フィルタ素子152は、好ましくは、壁パネル22におけるダクト112の第1脚部112aの始端部、すなわち、先端部に配置される。ダクト112内に空気が引き寄せられる前に、その空気を濾すためである。さらに、フィルタ素子152の位置は、好ましくは、壁パネル22に位置する。清掃や交換のために、容易にアクセス可能にするためである。触媒162は、チャンバー12内で使用される過酸化水素蒸気を分解するために、ダクト112内に配置される。触媒162は、好ましくは、図2に示すように、ダクト112の第2脚部112bの端部、すなわち、第2位置134における壁パネル22内に配置される。本実施の形態において、カバー164は、ルーバー構造で構成され、ダクト112からの空気の流動を、全体的に下向きに方向づけるために設けられる。
【0034】
ディヒューザ172は、ダクト112の第3脚部112cがチャンバー12と連通する場所である第3位置136に配置される。ディヒューザ172は、空気または蒸気の流動をチャンバー12の全体的に全ての領域に、すなわち角部に流れるように方向づけるべく形成される。
【0035】
流動制御素子182,184は、ダクト112内部にある通路114の内部に配置される。流動制御素子182,184は、それぞれ第2脚部112b及び第3脚部112cに沿う気流を規制するために設けられる。本実施の形態では、図面において模式的に示されるように、流動制御素子182,184は、それぞれモータ186,188によって制御されるダンパである。モータ186,188の動作は、図2において模式的に描かれるように、コントローラ210によって制御される。より具体的には、流動制御素子182は、ダクト112を通る空気の流動を制御するために、ダクト112の第2脚部112bに配置される。また、流動制御素子184は、ダクト112を通る空気の流動を制御するために、ダクト112の第3脚部112cに配置される。流動制御素子182,184は、それぞれ第1状態と第2状態との間を移動可能である。第1状態においては、図2に示すように、流動制御素子184は、ダクト112の第3脚部112cを通る流動を可能とする開放状態であって、流動制御素子182は、ダクト112の第2脚部112bに沿う流動を妨害する閉鎖状態である。流動制御素子182,184が第1状態のときに、ブロワアセンブリ142が動作すると、図2に示すように、チャンバー12から、ダクト112の第1脚部112a、及びダクト112の第3脚部112cを通って、チャンバー12に戻る第1流路が確立される。バルブ素子182,184が第2状態のときに、ブロワアセンブリ142が動作すると、図3に示すように、チャンバー12から、ダクト112の第1脚部112a、及びダクト112の第2脚部112bを通って、チャンバー12に戻る第2流路が生成される。
【0036】
本発明の一態様に関して、ダクト112は、好ましくは、複数のセクションで形成される。本実施の形態に係るエンクロージャ10において、図1〜3に示すように、ダクト112は、図2において符号113A,113B,113C,113D及び113Eで示される5個のダクトセクションで構成される。水平のダクトセクション113B,113C,113Dは、好ましくは、と壁パネル22及び天井パネル24の幅と同じ長さである。ダクト112を、壁パネル22及び天井パネル24に対応する寸法を有するセクションで形成すると、エンクロージャ10の拡大縮小を容易に行うことができる。以下、詳細を説明する。
【0037】
過酸化水素蒸気(VHP)ジェネレータ220は、図面において模式的に示されるように、エンクロージャ10の外部に設けられる。VHPジェネレータ220は、液体過酸化水素から過酸化水素蒸気を生成する装置である。Hillによる米国8,007,717号特許に開示されるタイプの気化器は、エンクロージャ10の使用に有益である。
【0038】
空気路222は、ジェネレータ220に空気を提供するために、エンクロージャ10のチャンバー12からVHPジェネレータ220まで伸長する。空気は、過酸化水素蒸気のためのキャリアガスとして使用される。VHP供給導管224は、ジェネレータ220をダクト112の通路114に接続させる。本実施の形態では、VHP供給路224は、チャンバー12内部に配置される。VHP供給路224は、エンクロージャ10の外部に沿って配置されてもよい。VHP供給路224の端部の出口又はノズル226は、ダクト112の第3脚部112cにおける通路114に配置される。出口226は、流動制御素子184とディヒューザ172との間に配置される。換言すると、VHP供給路224の出口226は、ダクト112の第3脚部112cにおいて、流動制御素子184の下流に配置される。ジェネレータ220は、好ましくは、キャビネット228内部に取り囲まれ、キャビネット228は、コントローラ210も含む。さらに、キャビネット228は、ジェネレータ220で使用される液体過酸化水素のコンテナ(図示せず)のための貯蔵領域をも含む。
【0039】
VHPセンサ232は、ダクト112の第1脚部112aにおけるフィルタ素子152の隣に配置される。VHPセンサ232は、コントローラ210に接続され、ダクト112の第1脚部112aに流れる過酸化水素蒸気の量を表す信号を提供するように動作可能である。VHPセンサ232(図示せず)は、ドアシールを通過する漏れがないかを検出するために、ドア52の周囲にも設けられる。ここで、ドアセンサは、コントローラ210に接続され、ドアシールを経て流れる過酸化水素蒸気の量を表す信号を提供するように動作可能である。
【0040】
温度センサ242及び湿度センサ252は、ダクト112の第1脚部112a内部で、フィルタ152の下流に配置される。温度センサ242及び湿度センサ252は、コントローラ210に接続され、それぞれチャンバー12内部における温度及び湿度を表す信号を提供するように動作可能である。赤外線センサ262及び運動検出センサ272は、チャンバー12内部に設けられる。センサ262,272は、共にコントローラ210に接続され、それぞれ物体の温度又はチャンバー12内部における運動を表示する信号を提供する。
【0041】
可視インジケータ282は、除染サイクル中におけるチャンバー12内部の状態に関する表示を行うために、エンクロージャ10の外部に設けられる。より具体的には、インジケータは、チャンバー12に入ることが安全であるときに、除染サイクルの異なる段階でそれぞれ発光するライト282a,282b,282cである。本実施の形態において、警告/中止状態を意味する赤色のライト282a,「電源オン」を表示する緑色のライト282b,及び過酸化水素蒸気がチャンバー12内に存在し、ドア52がロックされていることを意味する琥珀色のライト282cの3色のライトが、エンクロージャ10の外部に設けられる。
【0042】
棚又はラック292は、チャンバー12内部の医療デバイスを支持するために、壁パネル22に取り付けられる。
【0043】
キーパッド/モニタ296は、図1に示すように、ユーザがデータを入力でき、コントローラ210に命令できるように、エンクロージャ10の外部に取り付けられる。
【0044】
次に、除染エンクロージャのアセンブリ及び使用について説明する。前述したように、エンクロージャ10は、モジュール方式であって、複数の壁及び天井パネル22,24及び構造フレーム部材62で形成される。本発明の好ましい実施の形態において、壁パネル22は、全体として4フィート×8フィートの寸法であって、天井パネル24は、全体として4フィート×12フィートの寸法である。このサイズの場合、既存の構造における一般的な戸口を通ってパネル22,24を運ぶことができ、エンクロージャ10は、平坦な床表面を有する建物構造の既存の部屋の内部で組み立てられ、構築される。床16は、好ましくは、過酸化水素蒸気と反応しない材料で覆われる。例えば、エポキシ塗料が挙げられるが、これに限定されない。
【0045】
本実施の形態では、正面36,背面38,第1及び第2側面32,34は、それぞれ4フィート幅,8フィート高さのパネル3個から成り、エンクロージャ10が構築される。ここで、エンクロージャ10の全体寸法は、およそ12フィート×12フィート×8フィートである。基本的には、エンクロージャ10内部に、平坦な床と、照明器具46及びコンセント68に電力を供給するための、電源へのアクセス手段とがあれば、既存の部屋にエンクロージャ10を備え付けることができる。壁パネル22と天井パネル24は、標準サイズで、循環システム110のダクト112は、前述したように、任意のサイズのエンクロージャに取り付けるための既製のセクションでよい。
【0046】
エンクロージャ10の長さは、壁パネル22及び天井パネル24を単に追加することによって拡大される。循環システム110のダクト112が、標準サイズのエンクロージャのための既製品である場合、適切なサイズのダクトセクションを、エンクロージャ10の天井を覆うように伸長するダクト112の水平長さに単に追加することで、より長い長さのエンクロージャ10への循環システム110に適応する。そのため、本発明は、容易に異なる長さに変形可能なエンクロージャ10を提供する。さらに、エンクロージャ10がモジュール構造であるため、エンクロージャ10の解体や別の場所への移動が比較的容易である。さらに、エンクロージャ10が既存の構造の内部に位置するため、エンクロージャ10が建物の外側に位置し、環境に曝される場合に起こりうる温度の変動や湿度の大きな変化による影響を低減することができる。上記にもかかわらず、本発明は、床が平坦であって、きれいな表面であれば、建物の外側で組み立てられ、使用されても良い。ここで、除染エンクロージャ10は、駐車場や倉庫等で組み立てられても良い。
【0047】
次に、除染エンクロージャ10の動作について説明する。除染すべき物品は、ドア52の開口を通してエンクロージャ10内部に置かれる。ここで、ベッド、担架、車椅子、点滴スタンド、コンピュータ、その他病院設備で使用されるデバイスのような、非侵襲的な医療デバイスが、エンクロージャ10のチャンバー12内部に置かれる。除染することができる物品のサイズは、ドア開口のサイズによって限定される。コンピュータ、インキュベータ、及びファン若しくはブロワと内部空気路若しくは通路を有する電子デバイスは、電気コンセント68に挿通され、内部通路及び流路を除染できるように、これらのデバイスは除染中に動作可能である。以下、詳細を説明する。(図3は、棚292の上のコンピュータ及び電子デバイス412を模式的に破線で示す。)
【0048】
本発明の一態様に関して、コントローラ210は、除染サイクル及びジェネレータ220,ブロワアセンブリ142,流動制御素子182,184の制御動作を実行ようにプログラムされる。さらに、コントローラ210は、除染チャンバー12内部の電気コンセント68を制御する。さらに、本発明の好ましい実施の形態では、除染サイクルは、調整段階、除染段階及び曝気段階とを含む。
【0049】
除染チャンバー12に除染すべき物体が載置されると、病院の従業員は、エンクロージャ10のキーパッドモニター296を使用して除染段階を開始する。除染段階が開始されると、コントローラ210は、ドア52を、チャンバー12へのアクセスを妨害する閉鎖状態にロックするために、ドア52のロック機構56を作動させる。ロック機構56は、「セーフティロック」と称されるタイプのものであって、エンクロージャ10の外側からチャンバー12内へのアクセスは妨害するが、いかなる場合もチャンバー12内からドア52を開けることは可能とする。緊急「停止」ボタン(図示せず)も、好ましくは、チャンバー12内部に位置する。これにより、除染サイクル開始中等において、従業員が誤ってチャンバー12内に閉じ込められることを防止することができる。
【0050】
除染サイクルを開始する前に、コントローラ210は、熱センサ262及び運動検出センサ272で生成される信号を使用して、チャンバー12内部に人、すなわち病院の作業員がいるかどうかの部屋安全チェックを実行するようにプログラムされても良い。
【0051】
本発明の別の態様に関して、コントローラ210は、チャンバー12内部における電気コンセント68への電力を制御するようにプログラムされる。このようなチャンバースキャニング段階開始中において、電力はチャンバー12内部の電気コンセント68で打ち切られる。ここで、機械デバイスは動作しなくなり、デバイスの動作中に動くファンの羽根等の部品も静止する。そのため、除染サイクル開始時における除染チャンバー12内部の運動は、除染チャンバー12内部に存在する人間の動きを意味する。除染サイクル開始時に、コントローラ210が除染チャンバー12内部に存在する人間を検出すると、除染サイクルは直ちに終了し、点滅ライトや警告(図示せず)のような表示を作動させる。コントローラ210が、従業員やユーザの「ない部屋」を検出するまで、除染サイクルは開始されない。
【0052】
コントローラが除染チャンバー12内部に生命体が存在しないことを判定し、除染サイクルが開始されると、ドア52がロックされる。コントローラ210は、流動制御素子182,184が第1状態であることを保証し、流動制御素子184は、循環及びディヒューザ172への流動を可能とし、流動制御素子182は、触媒162への流動を妨害する。触媒162を覆うカバーデバイス164は、触媒162と除染チャンバー12との間に障壁を形成し、保護する。ブロワアセンブリ142は、図2に描かれるように、チャンバー12内部の空気を第1流路に沿って循環させるように作動する。
【0053】
その後、過酸化水素蒸気を、VHP供給路224を通過させ、ブロワ142によりディヒューザ172へと吹かれた循環空気へと導入させるジェネレータ220を、コントローラ210が通電させることによって、調整段階が開始される。調整段階中では、ジェネレータ220は、チャンバー12内の過酸化水素蒸気の濃度を、特定の、所望の除染濃度レベルまで変化させるように動作する。除染濃度レベルは、チャンバー12内部の温度及び湿度に基づき、コントローラによって判定される。ここで、コントローラ210は、チャンバー12内部の表面で過酸化水素蒸気が凝縮するレベル未満に、過酸化水素蒸気の濃度を維持するようにプログラムされる。
【0054】
所望の除染濃度レベルに達すると、コントローラ210は、除染段階を開始する。除染段階中において、コントローラ210は、除染チャンバー12内部において、所望の除染濃度レベルを維持するようにジェネレータ220を制御する。過酸化水素蒸気センサ232は、コントローラ210に、除染チャンバー12内部における過酸化水素蒸気の濃度レベルを表す信号を提供する。チャンバー21内部の過酸化水素蒸気のレベルに基づいてコントローラ210で定められる期間中、除染段階は維持される。前述したように、除染段階中、カバー164は、除染チャンバー12内部の過酸化水素蒸気が、壁パネル22内部の第2位置134で触媒162に曝されないようにする。必要に応じて、コントローラ210は、除染段階の開始時又は開始前に、コンセント68に挿通される電気機器を通電するようにプログラムされる。電気機器412のファンが作動し、これにより、除染段階中に過酸化水素蒸気は電気機器412を通り、電気機器412の内部が除染される。
【0055】
除染段階後は、コントローラ210によって曝気段階が開始される。コントローラ210は、過酸化水素蒸気をさらに生成しないように、ジェネレータ220を停止し、流動制御素子182,184を第2状態にする。流動制御素子184はディヒューザ172への流動を妨害し、流動制御素子182は触媒162への第2流路に沿う流動を可能とする。チャンバー12内の空気は、過酸化水素蒸気が分解して、ダクト112の第1脚部112aのVHPセンサ232によって定められる安全レベルに達するまで、触媒162を通って継続的に循環する。コントローラ210が安全レベルを判定すると、ブロワ142、及びドアロック機構56は停止される。エンクロージャ10外部のインジケータ282は、「オフ」され、燻蒸管理プランに対して慎重に部屋に入室できることを表す。除染サイクル中において、エンクロージャ10からの過酸化水素蒸気の漏れをドアセンサが判定すると、除染サイクルの動作は直ちにシャットダウンし、前述した曝気段階が開始される。
【0056】
曝気段階の開始時において、過酸化水素蒸気を含む空気はダクト112の第2脚部112aに沿って、触媒162へと吹かれる。触媒162は、ダクト112の端部、すなわち壁パネル22に配置されるため、ダクト112の全体長さは過酸化水素蒸気に曝される。これにより、ダクト112の第2脚部112bは、各除染サイクル中に除染されることが保証される。
【0057】
以上より、本発明は、既存の建物の部屋又は領域内部で組み立てでき、さらにこのような部屋又は領域内で容易に拡大又は延長できる除染エンクロージャ10を提供する。本発明のエンクロージャは、既存の病院設備において有益である。除染エンクロージャ10は、薬剤の製造や研究の用途等の、無菌の「クリーンサイド−ダーティサイド技術」を採用することが非常に望まれる場所において使用されても良い。製造業や研究施設の無菌の中核領域に移動する前に、物品は除染される。
【0058】
図5及び6は、除染エンクロージャ510を描く。これは、本発明の別の実施の形態である。除染エンクロージャ510は、基本的に除染エンクロージャ10の変形であって、より長く引き伸ばされたエンクロージャ510を形成するために、オリジナルのエンクロージャ10に、追加の壁パネル22´及び天井パネル24´が追加されている。追加のダクトセクション113F及び113Gは、より長いエンクロージャ510を受け入れるように、ダクト112に追加されている。図5及び6において、エンクロージャ10における構成については、同じ参照番号が付される。図5及び6は、既存の、標準サイズのエンクロージャ10を、モジュールパネル22´,24´及びダクトセクション113F及び113Gを追加することで、容易により大きな構造に変形させる方法を示す。
【0059】
さらに、エンクロージャ510は、エンクロージャ510の背面38に出口ドア522を含む。さらにまた、エンクロージャ510の周囲に立てられる仕切壁532が、エンクロージャ510の一端を、きれいな領域とし、エンクロージャ510の他端を汚れた領域として、エンクロージャ510は部屋内部で組み立てられる。仕切壁532は、図5及び6に示すように、エンクロージャ510から、部屋の壁及び天井まで伸長する。換言すると、仕切壁532によって除染エンクロージャ510の各端部を他方の端部から単に隔離することによって、除染エンクロージャ510の第1端からアクセスして除染すべき汚れた物品を部屋に配置しても良く、他方の端部のきれいな領域における除染エンクロージャ510から、きれいな物品を取り除くことができる。このような構成により、きれいな領域のドア52及び汚れた領域のドア52は、ドア52が同時に開放しないようにコントローラ210によって制御される。きれいな領域のドア52は、除染サイクルが完了するまで開放しない。きれいな領域のドア52が開放されると、汚れた領域のドア52は開放できず、逆もまた同様である。
【0060】
除染エンクロージャ10又は510は、内部で除染される物品の除染の頻度を追跡するために、RFIDタグリーダやバーコードリーダも付されることが期待される。ここで、病院施設内部の各アイテムは、モニタリング用のRFIDタグやバーコードが付されても良く、各物品がいつ除染されたか、物品の次の除染サイクルの期日などのデータが貯蔵され得る。
【0061】
除染医療デバイス及び機器に加えて、除染エンクロージャ10又は510は、アイテムや機器を除染するために使用され得る。
さらに、除染医療デバイス及び機器、除染エンクロージャ10又は510は、ごみ容器に病原性汚染が発生しないように、配置される前にアイテムや機器を除菌するために使用されても良い。さらにまた、未開封であるが、汚染された患者の領域から取り除かれたアイテム、例えば、缶詰され、または不浸透にパッケージされる薬品や、栄養アイテム等の外部表面を処理するために、除染エンクロージャ10又は510は使用され得る。さらにまた、除染エンクロージャ10又は510は、機器を提供する前に機器表面の汚染を処理するために、様々な機器(医療用、薬剤)の製造業者によって使用され得る。
【0062】
前述した記載は、特に本発明の実施の形態である。この実施の形態は、図示の目的のみで記載され、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多数の代替及び変更が当業者によって実行されると理解されるべきである。例えば、エンクロージャ10は、既存の部屋の一つ以上の壁に取り付けられる壁パネル22及び天井パネル24から形成されても良く、既存の壁がエンクロージャ10の一部を形成する。特許請求の範囲に記載される発明および均等の範囲において、このような全ての変更や代替が含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6