特許第5777830号(P5777830)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5777830第1の通信装置の物理的な位置を表す位置情報を第1の通信装置からサーバに通知するための方法、該方法を実行するためのコンピュータプログラム及び位置情報を通知するための第1の通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777830
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】第1の通信装置の物理的な位置を表す位置情報を第1の通信装置からサーバに通知するための方法、該方法を実行するためのコンピュータプログラム及び位置情報を通知するための第1の通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/00 20060101AFI20150820BHJP
   H04W 4/02 20090101ALI20150820BHJP
   H04W 80/10 20090101ALI20150820BHJP
【FI】
   H04M3/00 B
   H04W4/02 150
   H04W80/10
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-559100(P2014-559100)
(86)(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公表番号】特表2015-513390(P2015-513390A)
(43)【公表日】2015年5月11日
(86)【国際出願番号】EP2012005267
(87)【国際公開番号】WO2014094798
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2014年8月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514219857
【氏名又は名称】ユニファイ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Unify GmbH & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100165940
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 令子
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ スミス
【審査官】 宮田 繁仁
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/104792(WO,A1)
【文献】 特開2008−182612(JP,A)
【文献】 特開2005−063371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00、 3/16− 3/20、 3/38− 3/58、
7/00− 7/16、11/00−11/10
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
H04L 12/00−12/26、12/50−12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信装置(D)の物理的な位置を表す位置情報(2)を、前記第1の通信装置(D)からサーバ(S)に通知するための方法において、
2の通信装置(T)との通信コネクション(26)を開始するために、第3の通信装置(C)によってトリガされる前記サーバ(S)から、前記第1の通信装置(D)を招待するための第1のインバイトメッセージ(12)を、前記第1の通信装置(D)に送信するステップと、
記第1のインバイトメッセージ(12)に対する応答として、前記第1の通信装置(D)の応答メッセージ(13)を前記サーバ(S)に送信するステップとを備えており、
但し、前記位置情報(2)は、前記通信コネクション(26)の許可のために前記第2の通信装置(T)を招待するための、前記サーバ(S)から前記第2の通信装置(T)への第2のインバイトメッセージ(14)に挿入するために、前記応答メッセージ(13)に挿入されている、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記応答メッセージ(13)に挿入されていた前記位置情報(2)が挿入されている、前記サーバ(S)の前記第2のインバイトメッセージ(14)を前記第2の通信装置(T)に送信することによって、前記位置情報(2)を前記サーバ(S)から第2の通信装置(T)に通知する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記位置情報(2)をセッション開始プロトコルの使用によって通知し、
前記第1の通信装置(D)、前記第2の通信装置(T)、前記第3の通信装置(C)及び前記サーバ(S)をサード・パーティ・コール・コントロール・コンフィギュレーションにおいて使用する、
請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のインバイトメッセージ(12)として、3PCC SIP INVITEリクエストメッセージを使用し、
前記応答メッセージ(13)として、SIP200OK応答メッセージを使用する、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記位置情報(2)を、前記第2のインバイトメッセージ(14)として使用されるSIP INVITEリクエストメッセージに挿入する、
請求項3又は請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記位置情報(2)を、標準RFC6442において規定されている位置情報(2)ヘッダ及びPIDF−LOボディの形式で前記応答メッセージ(13)に挿入する、
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のインバイトメッセージ(12)及び/又は前記第2のインバイトメッセージ(14)に挿入された前記位置情報(2)に由来するエラーに関する情報の通知にSIP BYEメッセージ(24)を使用する、
請求項3乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の通信装置(T)によって前記サーバ(S)に送信されたSIP424応答メッセージ(21)を受信した後に、前記SIP BYEメッセージ(24)を、前記サーバ(S)によって前記第1の通信装置(D)に送信し、前記SIP BYEメッセージ(24)を、前記第2のインバイトメッセージ(14)に挿入された前記位置情報(2)に由来するエラーの報告に使用する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のインバイトメッセージ(12)及び/又は前記第2のインバイトメッセージ(14)に挿入された前記位置情報(2)に由来するエラーに関する情報の通知にSIP ACKメッセージ(25)を使用する、
請求項3乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の通信装置(T)によって前記サーバ(S)に送信されたSIP200OK応答メッセージ(22)を受信した後に、前記SIP ACKメッセージ(25)を、前記サーバ(S)によって前記第1の通信装置(D)に送信し、前記SIP ACKメッセージ(25)を、前記第2のインバイトメッセージ(14)に挿入された前記位置情報(2)に由来するエラーの報告に使用する、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記位置情報に由来するエラーに関する情報の通知に使用される前記メッセージ(21,22,24,25)はジオロケーションエラーヘッダを含む、
請求項7乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法を実行するためのコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを含む機械読み取り可能な媒体。
【請求項14】
第1の通信装置(D)の物理的な位置を表す位置情報(2)を前記第1の通信装置(D)からサーバ(S)に通知するための第1の通信装置(D)において、
該第1の通信装置(D)は、
2の通信装置(T)との通信コネクション(26)を開始するために、第3の通信装置(C)によってトリガされる前記サーバ(S)から前記第1の通信装置(D)に送信される、前記第1の通信装置(D)を招待するための第1のインバイトメッセージ(12)を受信するように構成されている受信ユニット(3)と、
記通信コネクション(26)の許可のために前記第2の通信装置(T)を招待するための、前記サーバ(S)から前記第2の通信装置(T)への第2のインバイトメッセージ(14)に前記位置情報(2)を挿入することができるように、前記位置情報(2)を前記第1の通信装置(D)の応答メッセージ(13)に挿入するように構成されている第1の挿入ユニット(4)と、
記第1のインバイトメッセージ(12)に応答して、前記サーバ(S)に対して前記応答メッセージ(13)を送信するように構成されている第1の送信ユニット(5)と、
を備えている
ことを特徴とする第1の通信装置(D)。
【請求項15】
請求項14に記載の第1の通信装置(D)とサーバ(S)とを備えている通信システムにおいて、
前記サーバ(S)は、
記応答メッセージ(13)に挿入されている前記位置情報(2)を前記第2のインバイトメッセージ(14)に挿入するように構成されている第2の挿入ユニット(7)と、
記サーバ(S)から前記第2の通信装置(T)に前記位置情報(2)を通知するために、前記第2のインバイトメッセージ(14)を前記第2の通信装置(T)に送信するように構成されている第2の送信ユニット(8)と、
を備えている
ことを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の通信装置の物理的な位置を表す位置情報を第1の通信装置からサーバに通知するための方法に関する。更に本発明は、その種の方法を実行するためのコンピュータプログラム製品及び位置情報を通知するための第1の通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置、例えば携帯電話又はIPフォン、パーソナル・ディジタル・アシスタント(Personal Digital Assistant、以下PDAと記す)、タブレットPC、ラップトップPC又はデスクトップPCのような装置の構成要素に提供される位置情報は、その装置の物理的な位置を表すために規定されている。この位置情報は、緊急通信要求を発信した装置の位置を特定するために、NG911(次世代9−1−1)又はNG112(次世代1−1−2)のような緊急サービスによって使用される。そのような位置情報を、郵便の宛先のような都市位置及び/又は地図位置のような地理空間座標として表すことができる。装置の物理的な位置は、サーバ、例えばテレフォニーサーバが、発呼による通信コネクションの開始(ルーティング)のために利用されるべき適切な緊急サービス番号を探し当てるために必要とされる。セッション開始プロトコル(Session Initiation Protocol、以下SIPと記す)が使用される場合には、通信装置は、サーバとの通信コネクションを開始するため、即ち呼を開始するために、SIPリクエストメッセージをサーバに送信することによって、自身の位置情報をテレフォニーサーバに通知することができる。
【0003】
二つのパーティ間で、即ち通信装置とサーバとの間で通信コネクションをネゴシエーション及び確立する代わりに、第1の通信装置と第2の通信装置との間の通信コネクションを第3の通信装置の管理下で開始することも可能である。そのような通信コネクションの開始は、メディア通信に関与する装置にとってはあまり一般的なものではないが、しかしながら、例えばSIPメッセージングを提供するサーバを介して機能及び動作を制御するための専用のエンティティにとってはむしろ通常のことである。一つの例として、「クリック・トゥ・ダイアル(click to dial)」オプションを備えているウェブページを提供するコールセンターアプリケーション又はウェブサーバが挙げられる。そのような第3の通信装置をコンピュータ・テレフォニー・インテグレーション(Computer Telephony Integration、以下CTIと記す)サーバと称することができる。CTIサーバはスタンドアローン型のエンティティとしてホストを務めることができるか、又は、CTIサーバを通信装置のような別の装置に組み込むことができる。従来のテレフォニーの関係においては、サード・パーティ・コール・コントロール(Third Party Call Control、以下3PCCと記す)によって、一つのエンティティ、例えば第3の通信装置のユーザは、二つ以上の他のパーティ間の、例えば第1の通信装置と第2の通信装置との間の通信コネクション、通信関係又はテレフォンコールを設定及び管理することができる。3PCCは、(第1の通信装置及び第2の通信装置の)2人の関係者を繋ぐ呼をオペレータが確立することができる用途において頻繁に使用されている。オペレータは、結果として生じる呼から独立していても良いし、第1の通信装置又は第2の通信装置を介する呼における関係者であっても良い。3PCCは会議サービスにも使用することができる。
【0004】
SIPプロトコルを使用する場合には、多くのSIPサービスを3PCCによって実現することができる。それらのサービスには、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network、以下PSTNと記す)において従来行われているサービスが含まれるが、ユーザがウェブページをクリックすることによりカスタマサービス担当者と話をできるようにする、クリック・トゥ・ダイアルのような比較的最新のサービスも含まれる。続いてウェブサーバは、ユーザとカスタマサービス担当者との間の呼を確立することができる。この場合、ユーザは、3PCCエンティティとしての第3の通信装置を操作するのと同時に、ユーザの電話としての第1の通信装置も操作することができる。そのような3PCCによる呼を、二つの電話間、電話とIPホストとの間、又は二つのIPホスト間で確立することができる。
【0005】
標準RFC3725(Network Working Group, Request for Comments, April 2004)によれば、呼の形態の通信コネクションは一般的に、バック・トゥ・バック・ユーザ・エージェント(Back-to-Back User Agent、以下B2BUAと記す)によって形成され、このB2BUAは、第1の通信装置から遠隔のサードパーティによって、第2の通信装置からの呼が確立されるべきであるという要求に応じて、サーバ又はSIPサーバにおいて実施することができる。呼を確立するためにSIPサーバにリクエストを行うリモートパーティによって使用することができる一般的なCTIメカニズムには、テレフォニー・アプリケーション・プログラミング・インタフェース(Telephony Application Programming Interface、以下TAPIと記す)及びコンピュータ支援テレコミュニケーション・アプリケーション(Computer-Supported Telecommunications Applications、以下CSTAと記す)が含まれる。
【0006】
RFC3725に規定されているような3PCCシナリオによれば、先ず、B2BUAがSIPインバイト(INVITE)リクエストを第1の通信装置に送信する。このSIPインバイトリクエストは到来するSIP呼リクエストではあるが、第1の通信装置は、SIPインバイトリクエストを3PCCによる呼として認識し、またそのSIPインバイトリクエストに自動的に応答する。次に、第1の通信装置による応答に基づき、B2BUAは、リクエストが第3の通信装置のユーザによって行われていることから、第2の通信装置としての宛先にSIPインバイトリクエストを送信することによって、第1の通信装置と第2の通信装置との間の呼を確立する。この関係において、緊急コールのための位置情報の使用に特化したものではなく、ロケーションコンシューマによる位置情報のあらゆる使用可能性(例えば位置追尾)を実現する、位置通知に関するRFC6442(Internet Engineering Task Force (IETF), Request for Comments, December 2011)による標準は、3PCCメカニズムによって生成された、到来するSIPインバイトリクエストを介する論理的な発呼に関与するためのメカニズムを通信装置に提供するものではない。この標準化されたアプローチは、SIPリクエストメッセージには設けられているがSIP応答メッセージには設けられていない、SIPヘッダ及びプレゼンス情報データフォーマット・ロケーション・オブジェクト(Presence Information Data Format-Location Object、以下PIDF−LOと記す)ボディの形式を取る位置情報しか考慮していない。
【0007】
位置情報がSIPリクエストメッセージだけに設けられていることによって、呼の確立のためにSIPサーバが3PCCを利用するCTIアプリケーションを介して、ユーザが緊急コールを行う場合には問題が発生する。つまり、呼媒体が依然として第1の通信装置を介して接続されていることから、ユーザは第1の通信装置のもとにいることが明らかであるにもかかわらず、第1の通信装置は、SIPサーバから到来するSIPインバイトリクエストに応答することしかできないので、従って自身の位置を通知することができない。SIPボイス・オーバ・インターネット・プロトコル(Voice over Internet Protocol、以下VoIPと記す)環境では、呼媒体が、オーディオデータ及び/又はビデオデータを伝送することができる通信装置間でストリーミングされる、リアルタイム・トランスポート・プロトコル(Real-Time Transport Protocol、以下RTPと記す)パケットとして規定されており、SIPメッセージングはRTPパケットのストリーミングを制御するために使用される。従って呼媒体を各通信装置のペイロードとみなすことができる。
【0008】
発呼をトリガするために3PCCを利用する際に発生するこの問題を回避するために考えられる一つのアプローチとして、第1の通信装置を修正し、SIPメカニズムを使用して、ユーザ・エージェント・コンピュータ支援テレフォニー・アプリケーション(uaCSTA:user agent Computer Supported Telephony Applications)のようにプロプラエタリのイベントパッケージを送信し、SIPサーバの代わりに呼を行うように第1の通信装置にリクエストするか、又は、非SIPメカニズム、例えばハイパー・テキスト・トランスファ・プロトコル(Hyper Text Transfer Protocol、以下HTTPと記す)を使用して、第2の通信装置との呼を行うように第1の通信装置にリクエストを行うことが挙げられる。上述の問題を回避するための別のアプローチでは、位置が既知の通信装置が、位置が未知の通信装置として扱われ、それにより位置情報がサーバ又は他の何らかの手段によって提供される。上述の問題に対するこの代替的なアプローチでは、特に通信装置がモバイル装置である場合には、通信装置自体によって通知される位置情報ほどには正確でない可能性がある。上記の問題を解決するための更に別のアプローチとしては、第1の通信装置と第2の通信装置との間で呼が確立されると、SIPリクエストを使用して、第1の通信装置の位置情報を第2の通信装置に通知することが挙げられる。しかしながら、提供されるべき着呼も位置情報に伴わせることを要求するロケーションコンシューマエンドポイントの中にはこのアプローチを許容できないものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の課題は、通信装置間の通信コネクションを開始するために、サードパーティによって制御されるサーバを介して、第1の通信装置の正確な位置情報を単純なやり方で第2の通信装置に通知できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1に記載されている、第1の通信装置の物理的な位置を表す位置情報を通知するための方法、請求項12に記載されている、当該方法を実行するためのコンピュータプログラム製品、並びに、請求項14に記載されている、位置情報を通知するための第1の通信装置によって解決される。
【0011】
第1の通信装置の物理的な位置を表す位置情報を第1の通信装置からサーバに通知するための本発明による方法は、
−第2の通信装置との通信コネクションを開始するために、第3の通信装置によってトリガされるサーバの、又は当該サーバからの、第1の通信装置を招待するための第1のインバイトメッセージを第1の通信装置に送信するステップと、
−第1のインバイトメッセージに対する応答として、第1の通信装置の、又は当該第1の通信装置からの応答メッセージをサーバに送信するステップとを備えており、
ここで、位置情報は、通信コネクションの受諾のために第2の通信装置を招待するための、サーバから第2の通信装置への第2のインバイトメッセージに挿入するために、応答メッセージに挿入されている。位置情報は、都市位置又は物理的な位置の地理空間座標に関連付けられた値又は複数の値のセットで良い。都市位置は郵便の宛先で良く、また地理空間座標は地図位置を規定することができる。第1の通信装置及び/又は第2の通信装置及び/又は第3の通信装置は、それぞれ、通信コネクションを介してデータを送信及び/又は受信することができる可動又は固定のユニットであると考えられる。それらの通信装置の個々の通信装置又は幾つかの通信装置の例として、携帯電話、IPフォン、PDA、タブレットPC、ラップトップPC等が挙げられる。それらの通信装置の個々の通信装置又は幾つかの通信装置を、デスクトップPC又はサーバのような固定のユニットとして実施することも同様に可能である。従って、第1の通信装置及び第3の通信装置は単一のユニットであっても良い。この場合、第1の通信装置のユーザと第3の通信装置のユーザは同一人物であっても良い。
【0012】
第1のインバイトメッセージ及び/又は応答メッセージ及び/又は第2のインバイトメッセージは、3PCCコンフィギュレーションにおいて使用することができるあらゆるプロトコル、例えばHTTP/ジャバ・スクリプト・オブジェクト記述(JavaScript Object Notation、以下jsonと記す)又はSIPのメッセージで良い。呼制御のための他のアプリケーション層プロトコル、例えばH.323、H.324、スカイプ(以下Skypeと記す)、メディア・ゲートウェイ・コントロール・プロトコル(Media-Gateway-Control-Protocol、以下MGCPと記す)、リアルタイム通信(Real Time Communication、以下RTCと記す)web等も使用することができる。第3の通信装置によるサーバのトリガを、第3の通信装置からサーバにトリガメッセージを送信することによって行うことができ、このトリガメッセージには、第1のインバイトメッセージ及び/又は応答メッセージ及び/又は第2のインバイトメッセージによって使用されるプロトコルと同じプロトコル又は異なるプロトコルが使用される。通信コネクションとして通話のような呼が考えられる。呼をPSTN又はIPホストによって制御することができる。オーディオデータのみが伝送される呼の代わりに、ビデオデータ又はあらゆる種類のメディア若しくはアプリケーションに関連する他のデータを伝送するため(例えばファイル伝送のため)に通信コネクションを使用することができる。従って、3PCCの他に、通信コネクションは、サーバを使用して第3の通信装置によってトリガされる、第1の通信装置から第2の通信装置へと延びるあらゆるコネクションであって良い。サーバはSIPサーバの形態のB2BUAで良い。SIPを使用しない他のサーバ、例えばHTTPサーバも使用することができる。
【0013】
第1の通信装置の応答メッセージは、通信コネクションを開始するための第1のインバイトメッセージに対する応答として、第1の通信装置からサーバに送信される。第1の通信装置によって、又は他のエンティティによって、例えば位置供給ユニット若しくは、第1の通信装置とサーバとの間で切り替えられる中間ユニットによって、位置情報を応答メッセージに挿入することができる。位置情報は、通信コネクションの受諾のために第2の通信装置を招待するための、サーバから第2の通信装置への第2のインバイトメッセージに挿入できるように、応答メッセージに挿入される。
【0014】
位置情報は、第1のインバイトメッセージに対する応答としてサーバに送信される、応答メッセージに挿入される。従って、第1の通信装置の位置情報をサーバに通知するために、他のやり方では必要とされる付加的なメッセージは必要ない。更に、第1の通信装置が第1のインバイトメッセージを受信する前には、位置情報はサーバに送信されない。従って、第1のインバイトメッセージが第1の通信装置において受信される前の、応答メッセージへの挿入に利用できる位置情報よりも古くない、及び/又は、そのような位置情報に関して古くなったものではない最新の位置情報が提供される。また、位置情報は第1のインバイトメッセージに対する応答としてサーバに送信されるので、サーバは、場合によっては古くなっている第1の通信装置の位置情報を記憶する必要はない。挿入されている位置情報を、サーバから第2の通信装置への第2のインバイトメッセージに挿入できるように、位置情報が応答メッセージに挿入されることにより、例えば、サーバが応答メッセージに挿入された位置情報を読み出し、その位置情報を、第2の通信装置に送信される第2のインバイトメッセージに挿入できることが保証される。従って、応答メッセージに挿入されている位置情報をサーバから第2の通信装置に通知するための付加的なメッセージは必要ない。オーディオデータのみが伝送される呼の代わりに、ビデオデータ又はあらゆる種類のメディア若しくはアプリケーションに関連する他のデータを伝送するため(ファイル伝送のため)に通信コネクションを使用することができる。従って、3PCCの他に、通信コネクションは、サーバを使用して第3の通信装置によってトリガされる、第1の通信装置から第2の通信装置へと延びるあらゆるコネクションであって良い。サーバはSIPサーバの形態のB2BUAで良い。SIPを使用しない他のサーバ、例えばHTTPサーバも使用することができる。従って、挿入された位置情報をサーバから第2の通信装置への第2のインバイトメッセージに挿入できるように、第1の通信装置の位置情報を、第1のインバイトメッセージに対する応答としてのサーバへの応答メッセージに挿入することによって、位置情報を、第1の通信装置からサーバを介して第2の通信装置へと正確且つ簡単に通知することができる。
【0015】
応答メッセージに挿入されていた位置情報が挿入されている、サーバの第2のインバイトメッセージを第2の通信装置に送信することによって、位置情報をサーバから第2の通信装置に通知することができる。更にサーバは、LOST(Location-to-Service Translation)サーバの照会のような、位置情報を完全なものにするために要求されるアクションを実施することもできる。応答メッセージに挿入されていた位置情報を、サーバによって、又は応答メッセージから位置情報を取り出すことができ、且つ、挿入されていた位置情報を、サーバから第2の通信装置に送信される第2のインバイトメッセージに挿入することができる他のエンティティによって、第2のインバイトメッセージに挿入することができる。第2のインバイトメッセージを第2の通信装置に送信することによって、位置情報は第1の通信装置からサーバを介して第2の通信装置に通知される。
【0016】
位置情報をSIPの使用によって通知することができ、その場合、第1の通信装置、第2の通信装置、また選択的に第3の通信装置、及びサーバが3PCCコンフィギュレーションにおいて使用される。第3の通信装置として動作するCTIサーバは、SIP又は代替的なVoIP呼制御プロトコルよりも、むしろCSTA又はTAPIを使用することができる。SIPが使用される場合には、位置通知に関する標準RFC6442が本発明に適している。何故ならば、この標準は3PCCコンフィギュレーションにおけるSIPを介する位置通知を規定するからである。
【0017】
第1のインバイトメッセージとして3PCC SIPインバイトリクエストメッセージを使用することができ、また応答メッセージとしてSIP200OK応答メッセージを使用することができる。上記において概略的に述べたように、標準RFC6442によれば、位置情報はSIPリクエストメッセージにしか設けることができない。従って、3PCCを介して生成されたSIPインバイトリクエストメッセージに対するSIP200OK応答メッセージへの位置情報の挿入は、標準RFC6442又は本発明者が知っている他の標準によって規定されていない。標準RFC6442に準拠するサーバは、到来するSIP応答から位置情報を取り出すように構成されていないので、本発明によるサーバは、サーバが応答メッセージに挿入された位置情報を取り出し、且つ、第2のインバイトメッセージにその位置情報を挿入するエンティティである場合には、SIP応答メッセージに挿入された位置情報を取り出すことができる。従って、サーバが挿入された位置情報を取り出し、その位置情報を第2のインバイトメッセージに挿入する場合には、サーバは、SIP200OK応答メッセージにおける位置情報を使用して、その位置情報を、3PCCコンフィギュレーションにおける次のステップとして第2の通信装置に送信されるSIPインバイトリクエストメッセージに付加するように構成されている。
【0018】
位置情報を、標準RFC6442において規定されている位置情報ヘッダ及びPIDF−LOボディの形式で応答メッセージに挿入することができる。他の形式の位置情報、例えば、位置情報が応答メッセージのボディ又はヘッダにのみ挿入されている形式の位置情報も考えられる。RFC6442において規定されているような位置情報ヘッダ及びPIDF−LOボディを、応答メッセージ並びに第2のインバイトメッセージに挿入することはできない。応答メッセージ及び第2のインバイトメッセージそれぞれにおける他の形式の位置情報も可能である。
【0019】
3PCCを介して生成されたSIPインバイトリクエストメッセージに対するSIP200OK応答メッセージにおける位置情報の挿入はいずれの標準にも規定されていないが、3PCCを考慮する標準、例えばRFC3725が、メッセージの流れの多数の例を示しており、それらの各例が、受信したSIPインバイトリクエストメッセージは発呼をトリガするためのサーバによる3PCCアクションを表すことを第1の通信装置がどのように検出することができるかを規定するセッション記述プロトコル(Session Description Protocol、以下SDPと記す)ネゴシエーションの特別な使用を用いていることから、SIP200OK応答メッセージとしての、サーバのSIPインバイトリクエストメッセージに対する第1の通信装置の自動的な応答は周知である。更には、SIPアラート情報ヘッダ(Alert-Info header)を使用して第1の通信装置をトリガし、SIP200OK応答メッセージを用いて3PCCによる呼に自動的に応答することは広く行われている。
【0020】
SIP BYEメッセージは、第1のインバイトメッセージ及び/又は第2のインバイトメッセージに挿入された位置情報に由来するエラーに関する情報を通知するために使用することができる。第2の通信装置からサーバに送信されたSIP424応答メッセージを受信した後に、SIP BYEメッセージをサーバから第1の通信装置に送信することができ、またそのSIP BYEメッセージを、第2のインバイトメッセージに挿入された位置情報に由来するエラーに関する情報を通知するために使用することができる。択一的に、第2のSIPインバイトメッセージが送信される前に、必要に応じてLOSTサーバと協働して、サーバによって検出された、第1の通信装置からの位置情報に関する問題に基づいて、SIP BYEメッセージを送信することもできる。第1の通信装置と第2の通信装置との間において、呼の形態の通信コネクションを確立できないようなエラーの場合には、標準RFC3725に準拠して、SIP BYEリクエストメッセージが第1の通信装置に送信されることが推奨される。エラーに起因して確立することができない呼の場合には、いずれにせよSIP BYEメッセージが第1の通信装置に送信されるので、位置情報に由来するエラー又は位置情報固有のエラーをSIP BYEメッセージにおいて報告することが提案される。従って、SIP BYEリクエストメッセージは位置固有のSIPエラーコード424をSIP理由ヘッダとして含むことができ、また付加的に、エラーを報告するための、標準RFC6442によって規定されているようなヘッダ並びにオプションとしてのボディを含むことができる。第1の通信装置に報告される位置情報に由来するエラーの情報を用いて、第1の通信装置は、サーバからの次の第1のインバイトメッセージに対する応答としての次の応答メッセージに挿入されるべき位置情報を更新することができる。位置情報に由来するエラー又は位置情報固有のエラーに関する情報を第1の通信装置に供給することによって、第1の通信装置の誤りのある位置情報を更新するための効果的なフィードバックループを確立することができる。
【0021】
SIP 肯定応答(Acknowledge、以下ACKと記す)メッセージは、第1のインバイトメッセージ及び/又は第2のインバイトメッセージに挿入された位置情報に由来するエラーに関する情報を通知するために使用することができる。第2の通信装置からサーバに送信されたSIP200OK応答メッセージを受信した後に、SIP ACKメッセージをサーバから第1の通信装置に送信することができ、またそのSIP ACKメッセージを、第2のインバイトメッセージに挿入された位置情報に由来するエラーに関する情報を通知するために使用することができる。標準RFC6442によれば、第1の通信装置へのSIP200OK応答メッセージにおける位置情報に由来するエラーは、インバイトリクエストメッセージに対するSIP応答メッセージにおいて報告される。しかしながら、第1の通信装置とサーバとの間においてはメッセージの流れが留保され、第1の通信装置から受信したSIP応答メッセージに関して、サーバはSIP応答メッセージを送信することができない。3PCCコンフィギュレーションにおけるSIPの流れの次のステップでは、サーバがSIP ACKリクエストメッセージを第1の通信装置に送信する。同一の位置固有のエラー応答ヘッダ及びオプションとしてのボディを第1の通信装置に提供するためにSIP ACKリクエストメッセージを使用することが提案される。SIP ACKリクエストメッセージは3PCCシナリオにおけるSDPボディを含んでいるので、SIP ACKリクエストメッセージは、SDP及び位置情報のいずれも含んでいる通常のSIPインバイトリクエストに類似する、複数部分から成るボディもサポートする。第1のインバイトメッセージ及び/又は第2のインバイトメッセージに挿入された位置情報に由来するエラーに関する情報を通知するために使用されるメッセージはジオロケーションエラーヘッダ(Geolocation-Error header)を含むことができる。
【0022】
上記において概略的に述べた本発明による方法を実行するためのコンピュータプログラム製品を提供することができる。コンピュータプログラム製品は多数の命令を含んでいるソフトウェア製品で良い。コンピュータプログラム製品には機械読み取り可能な媒体が含まれ、そのような機械読み取り可能な媒体としては、フロッピーディスク、CD(コンパクトディスク)、DVD(ディジタル多目的ディスク)又は他のディジタル形式若しくはアナログ形式の適切な媒体が考えられる。
【0023】
更に本発明は、第1の通信装置の物理的な位置を表す位置情報を第1の通信装置からサーバに通知するための第1の通信装置を含み、この第1の通信装置は、
−第2の通信装置との通信コネクションを開始するために、第3の通信装置によってトリガされるサーバから第1の通信装置に送信される、第1の通信装置を招待するための第1のインバイトメッセージを受信するように構成されている受信ユニットと、
−通信コネクションの受諾のために第2の通信装置を招待するための、サーバから第2の通信装置への第2のインバイトメッセージに位置情報を挿入することができるように、位置情報を第1の通信装置の応答メッセージに挿入するように構成されている第1の挿入ユニットと、
−サーバに対する第1のインバイトメッセージに応答して応答メッセージを送信するように構成されている第1の送信ユニットと、
を備えている。
【0024】
本発明の上記の課題は、本発明による方法に関して上記において概略的に述べたものと同じ理由で、この通信装置によって解決される。通信装置として携帯電話、固定電話、例えば社内電話、PDA、PC又はタブレットPC、若しくは上記において概略的に述べたような装置的な特徴を備えている他の何らかの通信装置が考えられる。位置情報を、グローバル・ポジショニング・システム(Global Positioning System、以下GPSと記す)トランスミッタ、サーバ/スイッチをサポートする動的ホスト構成プロトコル(Dynamic Host Configuration Protocol、以下DHCPと記す)、LANサーバ/スイッチをサポートするリンク層検出プロトコル(Link Layer Discovery Protocol、以下LLDPと記す)−MED又は外部の構成管理システムのような位置ソースによって提供することができる。LLDP−MEDはLLDPの拡張メディア・エンドポイント検出(enhancement Media Endpoint Discovery)である。LLDP−MEDはインターネット番号割当機関(IANA:Internet Assigned Numbers Authority)によって有効値として登録されている。第1の挿入ユニットを、内部ユニットとして、又は第1の通信装置に接続されており、且つ第1の通信装置によってアクセスされる外部ユニットとして、第1の通信装置に含ませることができる。位置情報を供給するユニットを、内部ユニットとして、又は第1の通信装置に接続されている外部ユニットとして、第1の通信装置に含ませることができる。
【0025】
更に本発明は、上記において概略的に述べた第1の通信装置とサーバとを備えている通信システムを含み、サーバは、応答メッセージに挿入されている位置情報を第2のインバイトメッセージに挿入するように構成されている第2の挿入ユニットと、サーバから第2の通信装置に位置情報を通知するために、第2のインバイトメッセージを第2の通信装置に送信するように構成されている第2の送信ユニットとを備えている。第2の挿入ユニットは、サーバに統合されているユニットであるか、又はサーバに接続されているスタンドアローン型のユニットである。サーバはスタンドアローン型のユニットであるか、又は、第1の通信装置から第3の通信装置の内の一つ又は複数に統合されている。
【0026】
以下では図面を参照しながら、本発明の更なる実施の形態及び利点を強調する。より見易くするために、図面は縮尺通りではなく、また均整が取られているものでもない。特に明記しない限り、図中、同一の参照符号は同義の同一部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第3の通信装置によってトリガされるサーバを介して第1の通信装置の位置情報を第2の通信装置に提供するための概略的な通信システムを示す。
図2】第3の通信装置を表すCTIソースと、サーバを表すB2BUAと、第1の通信装置を表すデバイスと、第2の通信装置を表すターゲットとの間のメッセージの概略的な流れを示し、ここで、到来する3PCCインバイトメッセージに対するSIP200OK応答メッセージは、ターゲットにSIPインバイトメッセージを出力する目的の他に、デバイスの位置情報をB2BUAに通知するためにも使用される。
図3図2のエンティティ間でのメッセージの概略的な流れを示す。ここでは、デバイスの位置情報に固有のエラーが存在することから、呼を確立することができず、またSIP BYEメッセージが、位置情報固有のエラーに関する情報をデバイスに通知するために使用される。
図4図2のエンティティ間でのメッセージの別の概略的な流れを示す。ここでは、デバイスの位置情報固有のエラーが存在するにもかかわらず、呼を確立することができ、またSIP ACKメッセージが、位置情報に固有のエラーに関する情報をデバイスに通知するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には、CTIソースCとして表されている第3の通信装置によってトリガされる、B2BUAとして表されているサーバを介する、デバイスDとして表されている第1の通信装置の位置情報2の、そのデバイスDから、ターゲットTとして表されている第2の通信装置への通知を行うための通信システム1が示されている。B2BUAは、起点エンドポイントから受信したメッセージを宛先エンドポイントへと渡す前にそのメッセージを処理できるように、送受信ユーザ・エージェント・エンドポイント・エレメントを論理的に実現するエンティティとして規定することができる。位置情報2は、郵便の宛先のような都市位置及び/又は地図位置若しくは住所のような地理空間座標の形態であると考えられる。位置情報2は位置供給ユニットLによって提供される。位置供給ユニットは、GPSセンサ、LLDP−MED(割り込み可能ローカル・エリア・ネットワーク(enabled Local Area Network))スイッチ又は構成管理システムであると考えられる。位置供給ユニットLはデバイス自体であっても良い。デバイスが携帯電話である場合には、デバイスの遠隔放送アンテナ(distant broadcasting antenna)において同時に受信した複数の信号をデバイス自体が処理することによって、三角測量法を用いて、デバイスの位置情報を計算することができる。従って、位置供給ユニットLはデバイスDの内部ユニットであっても良いし、図1に示されているように外部ユニットであっても良い。位置情報は、デバイスDの受信ユニット3によって第1のインバイトメッセージ12が受信された後にデバイスDに伝送される(矢印15を参照されたい)。
【0029】
第1のインバイトメッセージ12は、B2BUA SがCTIソースCによってトリガされたときに、B2BUA SからデバイスDに送信される。このトリガアクションを、CTIソースからB2BUA Sにトリガメッセージ11を送信することによって実行することができる。デバイスDは第1の挿入ユニット4を有しており、この第1の挿入ユニット4は、デバイスDからB2BUA Sに送信されるべき応答メッセージ13に位置情報2を挿入するように構成されている。第1の挿入ユニット4はデバイスDの内部の構成要素であっても、デバイスDに接続されているスタンドアローン型のユニットの形態の外部の構成要素であっても良い。位置情報は第1の挿入ユニットによって応答メッセージ13に挿入されるが、これは、B2BUA Sを介するデバイスDとターゲットTとの間の通信コネクションの受諾のためにターゲットTを招待するための、サーバからターゲットTに送信されるべき第2のインバイトメッセージ14に位置情報2を挿入できるように行われる。デバイスDの一部である第1の送信ユニット5は、B2BUA Sへの第1のインバイトメッセージ12に応答して、応答メッセージ13を送信するように構成されている。
【0030】
呼の形態の通信コネクションを開始するためにB2BUA Sに対するトリガ/リクエストを行うために使用されるCTIソースCは、TAPI及び/又はCSTAを含むあらゆるCTIプロトコルを使用することができる。B2BUA Sは、呼制御のために使用することができるあらゆるアプリケーション層プロトコル、例えばSIP又はHTTP/jsonを利用することができる。デバイスDとターゲットTとの間の通信コネクションは、オーディオデータを伝送するためだけに使用されるのではなく、ビデオデータ又は、デバイスDからターゲットTに伝送されるべき情報を含んでいる他のあらゆるデータ、例えば伝送されるべきファイルを伝送するためにも使用することができる。
【0031】
B2BUA Sは第2の挿入ユニットを有しており、この第2の挿入ユニットは、B2BUA SからターゲットTに送信されるべき第2のインバイトメッセージ14に、応答メッセージ13に挿入されている位置情報2を挿入するように構成されている。第2の挿入ユニットはB2BUA Sの内部の構成要素であっても、B2BUA Sの外部の構成要素であっても良い。応答メッセージに挿入されている位置情報が第2の挿入ユニット7によって第2のインバイトメッセージ14に挿入されると、第2のインバイトメッセージ14をターゲットTに送信するように構成されている第2の送信ユニット8は、第2のインバイトメッセージ14をターゲットTに送信することにより、B2BUA SからターゲットTに位置情報2を通知する。位置情報2は、通信コネクションの受諾のためにターゲットTを招待するための、B2BUA SからターゲットTへの第2のインバイトメッセージ14に挿入できるように、第1の挿入ユニット4によって応答メッセージ13に挿入される。従って、第2の挿入ユニットは応答メッセージ13に挿入されている位置情報2を応答メッセージ13から取り出すことができ、それに続いて、その挿入されていた位置情報を第2のインバイトメッセージ14に挿入することができる。
【0032】
通信システム1によって使用されるプロトコルがSIPであり、且つ、B2BUAに対してSIPを使用せずにCSTAのようなCTI固有のプロトコルを使用するCTIソースC、B2BUA S、デバイスD及びターゲットTが3PCCによって操作される場合には、CTIソースCによってトリガされる、B2BUA Sを介するデバイスDからターゲットTへの3PCCによる呼を開始するために、標準RFC3725を適用することができる。更に、3PCCによる呼がSIPを介して開始される場合には、位置通知に関する標準RFC6442を適用することができる。この標準によれば、SIPヘッダ及びPIDF−LOボディの形態の位置情報はSIPリクエストメッセージにしか設けられておらず、SIP応答メッセージは位置情報の供給には適していない。
【0033】
第1のインバイトメッセージ12として、B2BUA SからデバイスDに送信される、3PCC SIPインバイトリクエストメッセージが考えられる。応答メッセージ13として、デバイスDからB2BUA Sに送信される、SIP200OK応答メッセージが考えられる。3PCC SIPインバイトリクエストメッセージに対する応答としてSIP200OK応答メッセージを使用することの利点は、デバイスDにおいて専用のCTIインタフェースを実装/利用する必要なく、B2BUA Sが、デバイスD自体から正確な位置情報2を取得することができること、また、そのような問題は、位置情報2を要求するターゲットTのような位置情報コンシューミングデバイスが先ず、位置情報2を含んでいるSIPインバイトリクエストメッセージで良い第2のインバイトメッセージ14を介して着呼を受信するときには、そのような位置情報コンシューミングデバイスについても回避されることである。
【0034】
図2には、SIPを使用して3PCCによる呼がデバイスDとターゲットTとの間の通信コネクションとして開始される、CTIソースCと、B2BUA Sと、デバイスDと、ターゲットTとの間での本発明によるメッセージの概略的な流れが、垂直方向の矢印tによって示唆されているような時間に関して上から下に向かって概略的に示されている。後続の図面に示されているケースと同様に、図2においては本発明に関連する構成要素のみが示されており、図面を見やすくするために、SDPネゴシエーションの使用も、3PCCアクションの結果として第1のインバイトリクエストメッセージ12を決定する手段も示されていない。図2においては呼26を介して伝送されるべき媒体によってシンボリックに表されている、呼26の形態の通信コネクションは、デバイスDからターゲットTへの呼をリクエストする、トリガメッセージとしてのCTI呼リクエストメッセージ11をB2BUA Sに送信するCTIソースCによって開始される。デバイスDは、SIPインバイトリクエストメッセージ12として受信した第1のインバイトメッセージが3PCCによる呼を表すこと、また、位置情報2がターゲットTへの呼26に対して供給されるべきことを確認する。デバイスDからB2BUA Sに送信されるSIP200OK応答メッセージとしての応答メッセージ13は、デバイスDがSIPインバイトリクエストメッセージを自身で生成するのであれば、デバイスDによって挿入されるであろうものと同じ位置ヘッダ及びPIDF−LOボディを含んでいる。B2BUA Sは、SIP200OK応答13における位置情報2を使用して、SIPインバイトリクエストメッセージ14に位置情報2を挿入することによって、ターゲットTに対して出力されるSIPインバイトリクエストメッセージ14としての第2のインバイトメッセージを生成する。ターゲットTが呼26を受諾すると、SIP200OK応答メッセージ20がターゲットTからB2BUA Sに送信され、また、SIP ACKメッセージ23がB2BUA SからデバイスDに送信された後には、デバイスDとターゲットTとの間にメディアコネクションが確立される。
【0035】
図3には、位置情報2固有のエラーが存在することから、呼の形態の通信コネクションを確立することができないケースでの、CTIソースCと、B2BUA Sと、デバイスDと、ターゲットTとの間での3PCCコンフィギュレーションに対してSIPが使用される、本発明によるメッセージの別の概略的な流れが示されている。デバイスDとターゲットTとの間の呼を要求するために、CTI呼リクエストメッセージとしてのトリガメッセージ11の送信を介して、CTIソースCによってB2BUA Sがトリガされた後に、B2BUA SはSIPインバイトリクエストメッセージ12としての第1のインバイトメッセージをデバイスDに送信する。デバイスDは、位置情報2が挿入されている、SIP200OK応答メッセージ13としての応答メッセージを送信する。応答メッセージ13に挿入されている位置情報がSIPインバイトリクエストメッセージ14としての第2のインバイトメッセージに挿入され、このSIPインバイトリクエストメッセージ14がターゲットTにおいて受信された後に、位置情報2が有している問題に起因して、ターゲットTは呼を拒絶する。その結果、SIP424応答メッセージ424がターゲットTからB2BUA Sに送信される。このSIP424応答メッセージは、CTIソースによって要求された呼の開始が失敗した理由を規定するジオロケーションエラーヘッダを含んでいる。B2BUA Sが、デバイスDからのSIP200OK応答メッセージの受信を確認するために、SIP ACKリクエストメッセージをデバイスDに送信すると、ターゲットTから返送されたエラーコードを含む理由(Reason)ヘッダと、ターゲットTが自身のエラー応答メッセージ21内に設けたジオロケーションエラーヘッダとを含んでいるSIP BYE(リクエスト)メッセージを用いる呼の終了要求に続いて、デバイスDは要求された呼を終了する。位置情報2に起因し、且つターゲットTにおける呼を確立できなくするエラーに関する情報を含んでいるSIP BYEメッセージ24を用いることによって、デバイスDは、そのSIP BYEメッセージ24に含まれている、呼の確立が失敗した理由を示すエラー情報を処理することができる。
【0036】
SIPプロトコルにおいて、B2BUA Sは、デバイスD及びターゲットTに送信されるSIPメッセージを生成する。B2BUA Sは、そのB2BUA Sが呼における他のエンティティ、例えば図3に示されているケースではターゲットTから受信するエラー情報に起因して、エラー応答メッセージを生成する。ターゲットTは呼の拒絶をもたらすエラーを検出し、B2BUA Sから送信されたSIPインバイトリクエストメッセージ14に対する自身のSIP応答メッセージ21においてこのエラーをB2BUA Sに報告する。B2BUA Sは、エラーに関する情報をデバイスDに報告し、デバイスDのために既にセットアップされた呼を終了するために、SIPインバイトリクエストメッセージ12とは異なる、SIP BYEメッセージとしてのSIPメッセージを使用する。またB2BUA S自体が、デバイスDから送信されたSIP200OK応答メッセージ13における位置情報についての問題を検出することも可能であり、その場合、この位置情報についての問題は、SIP ACKメッセージ23によってデバイスDに返送されることになる。ターゲットT又はB2BUA Sによって検出された位置情報についてのエラーをSIP ACKメッセージ23において通知することができるが、エラーに起因する呼を明確にするために使用されるSIP BYEメッセージ24においてエラーが常に通知される方が好ましい。つまり、エラーを通知するためにSIP BYEメッセージを使用することは有利な実施の形態である。このケースにおいては、B2BUA SからデバイスDに送信されたSIP BYEメッセージ24によって呼を終了することが要求されるか、又は、B2BUA Sは、SIPインバイトリクエストメッセージ14としての第2のインバイトメッセージを送信することによってターゲットTとの呼を開始する前に、挿入された位置情報に関する問題を修正することができる。図示していない後者のケースでは、B2BUA SがSIPインバイトメッセージをターゲットTに送信し、続いて、ジオロケーションエラーヘッダを含んでいるSIP424応答メッセージをターゲットTから受信し、更に、別のSIPインバイトメッセージをターゲットTに送信する。これに続いて、ターゲットTからB2BUA SにSIP200OK応答メッセージが送信される。その後、SIP ACKメッセージをB2BUA SからデバイスDに送信することができる。
【0037】
図3とは異なり、図4には、B2BUA SからSIPインバイトリクエストメッセージ12としてデバイスDに送信された第1のインバイトメッセージに対する応答としての、デバイスDによって位置情報2が挿入されている、SIP200OK応答メッセージ13の形態の応答メッセージを受信した後に、B2BUA SからターゲットTに送信された第2のインバイトメッセージ14に挿入された情報として受信した位置情報2に関する問題をターゲットTが検出したにもかかわらず、ターゲットTが呼26を受諾するケースでの、CTIソースCと、B2BUA Sと、デバイスDと、ターゲットTとの間の本発明によるメッセージの概略的な流れが示されている。位置情報のエラーに関する情報は、ジオロケーションエラーヘッダを含んでいるSIP200OK応答メッセージ22を介して、ターゲットTからB2BUA Sに報告される。B2BUA Sは、デバイスDにSIP ACKリクエストメッセージ25を送信することによって、このヘッダをデバイスDへと供給する。ターゲットTは位置情報に問題があるにもかかわらず呼26を確立できることを既に示しているので、デバイスDとターゲットTとの間にメディアコネクションが確立される。
【0038】
SIP ACKリクエストメッセージ25又はSIP BYEリクエストメッセージ24を用いて、デバイスDとしての第1の通信装置に位置情報のエラーに関する情報を通知できることによって、3PCCによる呼を開始するにあたり、第1のインバイトメッセージ12に対する応答として位置情報2を供給する際にデバイスDに起因する問題をデバイスDに通知することができる。SIPを使用する3PCCコンフィギュレーションにおいて位置通知に関する標準RFC6442が使用される場合、位置情報はSIPリクエストメッセージにしか設けられず、SIP応答メッセージには設けられない。標準RFC6442とは異なり、デバイスDとしての第1の通信装置からB2BUA Sとしてのサーバに送信される応答メッセージに位置情報を挿入することが提案される。位置情報が既に挿入されているSIP200OK応答メッセージは、標準RFC6442に従ってメッセージを処理するB2BUA Sとしてのサーバによって無視される。本発明の一部として、サーバSは、SIP200OK応答メッセージとしての応答メッセージに挿入されていた位置情報を取り出し、その挿入されていた位置情報を、B2BUA SからターゲットTに送信されるSIPインバイトリクエストメッセージとしての第2のインバイトメッセージに挿入することができる。本発明に則して、標準RFC6442とは異なり、リクエストメッセージにだけでなく応答メッセージにおいても位置情報を設けるための、位置通知に関する標準を規定することができる。第3の通信装置によってトリガされるサーバを介して、第1の通信装置と第2の通信装置との間にいずれにせよ送信されるインバイトメッセージ及び応答メッセージに挿入することによって位置情報を通知する本発明の利点は、SIPを使用した際にのみ得られるのではなく、呼制御のための他のアプリケーション層プロトコル、例えばHTTP/json,H.323,H.324,Skype,MGCP,RTCweb等を使用した際にも得られる。第1の通信装置において第1のインバイトメッセージを受信した後に位置情報をサーバに送信することによって、第1の通信装置において付加的なインタフェースを実装/利用する必要なく、サーバは正確な位置情報を第1の通信装置自体から取得することができる。サーバから第2の通信装置に送信される第2のインバイトメッセージを用いて位置情報を送信することによって、第2のインバイトメッセージの受信を介して着呼を最初に受信したときに位置情報を要求することができる第2の通信装置に関する問題を回避することができる。呼を終了する前にACKメッセージ又は最終メッセージにおいて、エラーのある位置情報に関する情報をサーバから第1の通信装置に送信することによって、第1の通信装置は、自身の応答メッセージに挿入された位置情報に関するエラーが何故発生したのかを検出することができる。
【0039】
上記に挙げた単一の実施の形態又は種々の実施の形態に関して説明した一つ又は複数の技術的な特徴、例えば、図1から図4における第3の通信装置としてのCTIソースCを使用する特徴は、提供すべきでないことが明記されている場合を除き、又は技術的な理由から提供することが不可能である場合を除き、例えばSIPの代わりにHTTPプロトコルを使用する他の実施の形態においても提供することができる。
図1
図2
図3
図4