特許第5777841号(P5777841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5777841クロロアセトンを用いてメデトミジンを調製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777841
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】クロロアセトンを用いてメデトミジンを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 233/58 20060101AFI20150820BHJP
   C07D 263/16 20060101ALI20150820BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20150820BHJP
【FI】
   C07D233/58CSP
   C07D263/16
   !C07B61/00 300
【請求項の数】13
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-510662(P2015-510662)
(86)(22)【出願日】2012年11月15日
(65)【公表番号】特表2015-517474(P2015-517474A)
(43)【公表日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】EP2012072798
(87)【国際公開番号】WO2013011157
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2014年11月10日
(31)【優先権主張番号】12174102.9
(32)【優先日】2012年6月28日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/665,510
(32)【優先日】2012年6月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12188104.9
(32)【優先日】2012年10月11日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2012/070875
(32)【優先日】2012年10月22日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】12192625.7
(32)【優先日】2012年11月14日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502336151
【氏名又は名称】ロンザ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サラゴサ・デールバルト,フロレンシオ
(72)【発明者】
【氏名】クレシャ,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】エルツナー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ブヨク,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ローベル,ズビグニェフ
(72)【発明者】
【氏名】ボイチェホフスキ,クシシュトフ
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−103037(JP,A)
【文献】 特開昭58−018365(JP,A)
【文献】 特表2010−508332(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/172119(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/172120(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/172121(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/172122(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/011155(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/011156(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/011157(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/011158(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(XX)の化合物の調製のための方法であって、
【化1】
4つのステップを含み、4つのステップがステップ(Q1)、ステップ(Q2)、ステップ(N)およびステップ(M1)であり;
式(XX)の化合物がステップ(M1)において調製され;
ステップ(M1)が反応(M1−reac)を含み;
反応(M1−reac)が、溶媒(M−solv)中における、式(XXI)の化合物、
【化2】
試薬(M−reag)および試薬(M−A)の間の反応であり;
試薬(M−reag)が、p−トルエンスルホニルメチルイソシアニド、トリフルオロメタンスルホニルメチルイソシアニド、メタンスルホニルメチルイソシアニド、ベンゼンスルホニルメチルイソシアニド、4−アセトアミドベンゼンスルホニルメチルイソシアニドおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
試薬(M−A)が、アンモニア、スルファミン酸、p−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、4−アセトアミドベンゼンスルホンアミド、トリチルアミン、ホルムアミド、尿素、ウロトロピン、カルバミン酸エチル、アセトアミドおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
溶媒(M−solv)が、N,N−ジメチルホルムアミド、C1−6アルカノール、ホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、NMP、トルエン、アセトニトリル、プロピオニトリル、カルバミン酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、水、アセトアミドおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
式(XXI)の化合物がステップ(N)において調製され;
ステップ(N)が反応(N−reac)を含み;
反応(N−reac)が、式(XXII)の化合物と触媒(N−cat)との反応であり;
【化3】
触媒(N−cat)が、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、HCl、HBr、HSO、HNO、HPO、HClO、BCl、BBr、BFOEt、BFSMe、BFTHF、MgCl、MgBr、MgI、AlCl、Al(O−C1−4アルキル)、SnCl、TiCl、Ti(O−C1−4アルキル)、ZrCl、Bi、BiCl、ZnCl、PbCl、FeCl、ScCl、NiCl、Yb(OTf)、Yb(Cl)、GaCl、AlBr、Ce(OTf)、LiCl、Cu(BF、Cu(OTf)、NiBr(PPh、NiBr、NiCl、Pd(OAc)、PdCl、PtCl、InCl、酸性無機固体物質、酸性イオン交換樹脂、無機酸で処理された炭素、およびこれらの混合物からなる群から選択され;
ステップ(Q1)が反応(Q1−reac)を含み;
反応(Q1−reac)が、式(XXV)の化合物と試薬(Q1−reag)との反応であり;
【化4】
R1が、Br、ClまたはIであり;
試薬(Q1−reag)が、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、プロピルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、ブチルリチウムおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
ステップ(Q2)が反応(Q2−reac)を含み;
反応(Q2−reac)が、反応(Q1−reac)の反応生成物とクロロアセトンとの反応であり;
式(XXII)の化合物が反応(Q2−reac)によって調製される、
方法。
【請求項2】
ステップ(M1)が、2つの連続したステップである第1ステップ(M1−A1−1)および第2ステップ(M1−A1−2)を含み;
ステップ(M1−A1−1)が反応(M1−A1−1)を含み;
反応(M1−A1−1)が、化合物(M−comp)の存在下、溶媒(M−solv)中における、式(XXI)の化合物と試薬(M−reag)との反応であり;
ステップ(M1−A1−2)が反応(M1−A1−2)を含み;
反応(M1−A1−2)が、溶媒(M−solv)における、反応(M1−A1−1)の反応生成物と試薬(M−A)との反応である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試薬(M−reag)が、p−トルエンスルホニルメチルイソシアニド、ベンゼンスルホニルメチルイソシアニドおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
試薬(M−A)が、アンモニア、スルファミン酸、p−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、4−アセトアミドベンゼンスルホンアミド、トリチルアミン、ホルムアミドおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
溶媒(M−solv)が、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、水、ホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、NMP、トルエン、アセトニトリル、プロピオニトリル、カルバミン酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミドおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
反応(M1−reac)が化合物(M−comp)の存在下で行われ、化合物(M−comp)が、アンモニア、トリチルアミン、NaCN、KCN、ピペリジン、DBU、DABCO、トリエチルアミン、トリブチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、tBuOK、tBuONa、NaHCO、NaCO、(NH)HCO、(NHCO、KHCO、KCO、NaOAc、KOAc、NaOH、KOH、Ca(OH)、KFおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
化合物(M−comp)が、アンモニア、トリチルアミン、NaCN、KCN、ピペリジン、tBuOK、tBuONa、KOH、KCO、NaCO、KFおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
触媒(N−cat)が、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、HCl、HBr、HSO、HPO、BCl、BFOEt、MgCl、MgBr、AlCl、ZnCl、Cu(BF、アルミノシリケート、酸性イオン交換樹脂、(HCl、HSOまたはHNOで処理された)炭素、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
R1がBrである、請求項1から8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
試薬(Q1−reag)が、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、イソプロピルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムブロミド、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
反応(Q1−reac)が触媒(Q1−cat)の存在下で行われ;
触媒(Q1−cat)が、ヨウ素、1,2−ジブロモエタン、TiCl、AlCl、PbCl、BiCl、LiClおよびこれらの混合物からなる群から選択される、
請求項1から10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
式(XXIII)の化合物
【化5】
(式中、
R2が、4−トリル、フェニル、4−アセトアミドフェニル、メチルまたはトリフルオロメチルである)。
【請求項13】
R2が4−トリルである、請求項12に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−ブロモ2,3−ジメチルベンゼンおよびクロロアセトンから出発するメデトミジンの調製のための方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
メデトミジンは、式(XX)の化合物であり、現在では獣医学的鎮静薬および鎮痛薬として使用されているとともに麻酔薬として評価されているアルファ2アドレナリン作動性アゴニストである。
【0003】
【化1】
【0004】
メデトミジンは4−アルキルイミダゾールである。窒素部分において追加の置換基がない4−アルキルイミダゾールは、通常、2つの互変異性体の混合物である。例えば、メデトミジンの場合、式(XX)の化合物および式(XX−T)の化合物によって表される2つの互変異性体形態は、
【0005】
【化2】
メデトミジンが溶解されているまたは非結晶性状態であるならば、通常相互変換する。互変異性体形態の1つが優勢であるか、またはそれらが等量で存在するかは、pH、溶媒または温度などの様々な因子に依存する。
【0006】
本文において、式(XX)は、メデトミジンのために使用され、両方の互変異性体形態のみならずこれらの混合物も含むと意味される。
【0007】
US2010/0048915Aは、グリニャール試薬を使用するハロゲン化イミダゾールと2,3−ジメチルベンズアルデヒドとの反応によるメデトミジンの調製のための方法を開示している。
【0008】
Cordiら、Synth.Commun.1996、26、1585−1593は、4−イミダゾールカルボキシアルデヒドと2,3−ジメチルフェニルマグネシウムブロミドとの反応によるメデトミジンの調製を開示している。
【0009】
WO00/42851Aは、表面上への海洋生物付着の阻害のためのメデトミジンの使用を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0048915号明細書
【特許文献2】国際公開第00/42851号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Cordiら、Synth.Commun.1996、26、1585−1593
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
式(XX)の化合物の調製の公知方法は、保護基、例えばトリフェニルメチル(トリチル)基をしばしば使用し、これは、材料の多大な消費および保護/脱保護ステップの必要を必然的に伴う。その結果として、これらの合成は長くかかり高価である。さらに、かなり高価で容易に利用可能でない出発材料が使用される。
【0013】
保護基を必要とせず、高価でない材料から出発し、大量の廃棄物を回避し、満足のいく収率を有する合成経路が必要とされてきた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下の文において、別に明記されていない限り、
ハロゲンは、F、Cl、BrまたはI、好ましくはCl、BrまたはIを意味し;
「アルキル」は、別に明記されていない限り、線状、分岐、環式またはシクロアルキルを意味し、好ましくは一般的に認容されている意味の線状または分岐アルキルを意味する。「アルキル」の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニルおよびアダマンチルなどが挙げられ;
「環式アルキル」または「シクロアルキル」には、シクロ脂肪族、ビシクロ脂肪族および三環脂肪族の基が含まれると意図され;
「アルカン」は、線状、分岐または環式のアルカンを意味し、好ましくは線状または分岐のアルカンを意味し;
「アルカノール」は、ヒドロキシアルカンを意味し、アルカンは、その好ましい実施形態も含め上記で定義されている通りの意味を有し;
Ac:アセチル;
tBu:第三ブチル;
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン;
DABCO:1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;
ヘキサン:異性体ヘキサンの混合物;
NMP:N−メチル−2−ピロリドン;
OTf:トリフレートとしても知られているトリフルオロメタンスルホネート;
スルファミン酸:HO−SO−NH
THF:テトラヒドロフラン;
キシレン:1,2−ジメチルベンゼン、1,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジメチルベンゼン、またはこれらの混合物。
【0015】
本発明の対象は、式(XX)の化合物の調製のための方法であって、
【0016】
【化3】
前記方法は4つのステップを含み、4つのステップはステップ(Q1)、ステップ(Q2)、ステップ(N)およびステップ(M1)であり;
式(XX)の化合物はステップ(M1)において調製され;
ステップ(M1)は反応(M1−reac)を含み;
反応(M1−reac)は、溶媒(M−solv)中における、式(XXI)の化合物、
【0017】
【化4】
試薬(M−reag)および試薬(M−A)の間の反応であり;
試薬(M−reag)は、p−トルエンスルホニルメチルイソシアニド、トリフルオロメタンスルホニルメチルイソシアニド、メタンスルホニルメチルイソシアニド、ベンゼンスルホニルメチルイソシアニド、4−アセトアミドベンゼンスルホニルメチルイソシアニドおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
試薬(M−A)は、アンモニア、スルファミン酸、p−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、4−アセトアミドベンゼンスルホンアミド、トリチルアミン、ホルムアミド、尿素、ウロトロピン、カルバミン酸エチル、アセトアミドおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
溶媒(M−solv)は、N,N−ジメチルホルムアミド、C1−6アルカノール、ホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、NMP、トルエン、アセトニトリル、プロピオニトリル、カルバミン酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、水、アセトアミドおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
式(XXI)の化合物はステップ(N)において調製され;
ステップ(N)は反応(N−reac)を含み;
反応(N−reac)は、式(XXII)の化合物と触媒(N−cat)との反応であり;
【0018】
【化5】
触媒(N−cat)は、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、HCl、HBr、HSO、HNO、HPO、HClO、BCl、BBr、BFOEt、BFSMe、BFTHF、MgCl、MgBr、MgI、AlCl、Al(O−C1−4アルキル)、SnCl、TiCl、Ti(O−C1−4アルキル)、ZrCl、Bi、BiCl、ZnCl、PbCl、FeCl、ScCl、NiCl、Yb(OTf)、Yb(Cl)、GaCl、AlBr、Ce(OTf)、LiCl、Cu(BF、Cu(OTf)、NiBr(PPh、NiBr、NiCl、Pd(OAc)、PdCl、PtCl、InCl、酸性無機固体物質、酸性イオン交換樹脂、無機酸で処理された炭素、およびこれらの混合物からなる群から選択され;
ステップ(Q1)は反応(Q1−reac)を含み;
反応(Q1−reac)は、式(XXV)の化合物と試薬(Q1−reag)との反応であり;
【0019】
【化6】
R1は、Br、ClまたはIであり;
試薬(Q1−reag)は、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、プロピルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、ブチルリチウムおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
ステップ(Q2)は反応(Q2−reac)を含み;
反応(Q2−reac)は、反応(Q1−reac)の反応生成物とクロロアセトンとの反応であり;
式(XXII)の化合物は反応(Q2−reac)によって調製される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好ましくは、試薬(M−reag)は、p−トルエンスルホニルメチルイソシアニド、ベンゼンスルホニルメチルイソシアニドおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
より好ましくは、試薬(M−reag)は、p−トルエンスルホニルメチルイソシアニドである。
【0021】
好ましくは、試薬(M−A)は、アンモニア、スルファミン酸、p−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、4−アセトアミドベンゼンスルホンアミド、トリチルアミン、ホルムアミドおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
より好ましくは、試薬(M−A)は、アンモニア、p−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、ホルムアミド、4−アセトアミドベンゼンスルホンアミド、トリチルアミンおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
いっそう好ましくは、試薬(M−A)は、アンモニア、p−トルエンスルホンアミド、ホルムアミドおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
特に、試薬(M−A)は、アンモニアまたはホルムアミドである。
【0022】
好ましくは、反応(M1−reac)は、化合物(M−comp)の存在下で行われ、化合物(M−comp)は、アンモニア、トリチルアミン、NaCN、KCN、ピペリジン、DBU、DABCO、トリエチルアミン、トリブチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、tBuOK、tBuONa、NaHCO、NaCO、(NH)HCO、(NHCO、KHCO、KCO、NaOAc、KOAc、NaOH、KOH、Ca(OH)、KFおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
好ましくは、化合物(M−comp)は、アンモニア、トリチルアミン、NaCN、KCN、ピペリジン、tBuOK、tBuONa、KOH、KCO、NaCO、KFおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
より好ましくは、化合物(M−comp)は、アンモニア、NaCN、KCN、ピペリジン、tBuOK、tBuONa、KCO、NaCO、KFおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
いっそう好ましくは、化合物(M−comp)は、アンモニア、NaCN、KCO、tBuOK、tBuONa、NaCOおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
特に、化合物(M−comp)は、アンモニア、NaCN、tBuOK、tBuONa、KCO、NaCOおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
とりわけ、化合物(M−comp)は、KCO、NaCO、NaCNまたはアンモニアであり;
中でも特に、化合物(M−comp)は、NaCO3、NaCNまたはアンモニアである。
【0023】
好ましくは、溶媒(M−solv)は、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、水、ホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、NMP、トルエン、アセトニトリル、プロピオニトリル、カルバミン酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミドおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
より好ましくは、溶媒(M−solv)は、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、カルバミン酸エチル、ホルムアミド、アセトアミドおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0024】
試薬(M−A)は、そのままで、または溶媒(M−A)中溶液の形態で使用することができる。溶媒(M−A)は、溶媒(M−solv)と同一でありまたは異なり、好ましくは同一であり、溶媒(M−solv)の好ましい実施形態の全てを含めて溶媒(M−solv)と同じ群の溶媒を含む。
【0025】
試薬(M−A)がアンモニアである場合、試薬(M−A)は、溶液の形態で、好ましくはメタノールまたはエタノール中溶液の形態で好ましくは使用される。
【0026】
カルバミン酸エチル、ホルムアミドおよびアセトアミドの場合、試薬(M−A)は溶媒(M−solv)と同一であってよく、溶媒(M−solv)として使用することができる。
【0027】
好ましくは、反応(M1−reac)の反応温度は、−10℃から250℃、より好ましくは0℃から200℃、いっそう好ましくは10℃から180℃である。
【0028】
反応(M1−reac)は、大気に対して閉鎖または開放されている系において行うことができ;
好ましくは、反応(M1−reac)は閉鎖系において行われる。
【0029】
閉鎖系において、圧力は、主に溶媒(M−solv)の沸点に、使用されるアンモニアの量に、および反応(M1−reac)の反応温度に依存し;
好ましくは、反応(M1−reac)は、大気圧から20バール、より好ましくは大気圧から10バール、いっそう好ましくは大気圧から5バールの圧力で行われる。
【0030】
好ましくは、反応(M1−reac)の反応時間は、30分から72時間、より好ましくは30分から48時間、いっそう好ましくは30分から24時間である。
【0031】
反応(M1−reac)は一定温度で実施することができ、または温度は反応の進行中に変更することができる。例えば、反応は、特定時間の間は第1温度で、次いで所定時間の間は第1温度と異なる第2温度で実行することができ;
別法として、温度は、反応中に連続的に変更することができる。
【0032】
好ましくは、0.5モル当量から10モル当量、より好ましくは0.5モル当量から5モル当量、いっそう好ましくは0.5モル当量から3モル当量の試薬(M−reag)が使用され、モル当量は式(XXI)の化合物のモルに基づく。
【0033】
アンモニア、ホルムアミドおよびカルバミン酸エチルと異なる1種以上の試薬(M−A)が使用される場合、試薬(M−A)として使用されるアンモニア、ホルムアミドおよびカルバミン酸エチルと異なる物質の総量は、好ましくは1.0モル当量から10モル当量、より好ましくは1.1モル当量から5モル当量、いっそう好ましくは1.1モル当量から3モル当量であり、モル当量は式(XXI)の化合物のモルに基づく。
【0034】
アンモニア、ホルムアミド、カルバミン酸エチルまたはこれらの混合物が試薬(M−A)として使用される場合、好ましくは1.0モル当量から100モル当量、より好ましくは1.1モル当量から50モル当量、いっそう好ましくは1.1モル当量から30モル当量のアンモニア、ホルムアミド、カルバミン酸エチルまたはこれらの混合物が使用され、モル当量は式(XXI)の化合物のモルに基づく。
【0035】
アンモニア、ホルムアミドおよびカルバミン酸エチルからなる群から選択される1種以上の物質ならびにアンモニア、ホルムアミドおよびカルバミン酸エチルと異なる1種以上の物質が試薬(M−A)として使用される場合、アンモニア、ホルムアミドおよびカルバミン酸エチルの所定量ならびにアンモニア、ホルムアミドおよびカルバミン酸エチルと異なる1種以上の物質の所定量は、合計で試薬(M−A)の総量となり、試薬(M−A)の総量は、好ましくは1.0モル当量から100モル当量、より好ましくは1.1モル当量から50モル当量、いっそう好ましくは1.1モル当量から30モル当量であり、モル当量は式(XXI)の化合物のモルに基づく。
【0036】
好ましくは0.01モル当量から15モル当量、より好ましくは0.02モル当量から10モル当量、いっそう好ましくは0.02モル当量から5モル当量の化合物(M−comp)が使用され、モル当量は式(XXI)の化合物のモルに基づく。
【0037】
試薬(M−A)が、アンモニア、ホルムアミドおよびカルバミン酸エチルからなる群から選択される1種以上の物質でない場合、好ましくは1モル当量から15モル当量、より好ましくは1モル当量から10モル当量、いっそう好ましくは1モル当量から5モル当量の化合物(M−comp)が使用され、モル当量は式(XXI)の化合物のモルに基づく。
【0038】
好ましくは、溶媒(M−solv)の量は、式(XXI)の化合物の重量の0.5倍から20倍、より好ましくは1倍から20倍、いっそう好ましくは2倍から20倍である。
【0039】
好ましくは、反応(M1−reac)は、不活性雰囲気下で行われる。
【0040】
トリチルアミンが試薬(M−A)として使用される場合、反応(M1−reac)の生成物はN−トリチルメデトミジンであってよく、トリチル基は除去されなければならない。
【0041】
好ましくは、この場合、式(XX)の化合物の調製のための方法は、さらなるステップ(M2)を含み、ステップ(M2)はステップ(M1)の後で行われ、ステップ(M2)は反応(M2−reac)を含み;
反応(M2−reac)は、酸(M−acid detrit)を用いる反応(M1−reac)の生成物の処理である。酸(M−acid detrit)は、酢酸、プロピオン酸、ギ酸、HClまたはこれらの混合物からなる群から好ましくは選択される。
【0042】
酸(M−acid detrit)は、水溶液として使用することができる。
【0043】
反応(M1−reac)における、試薬(M−reag)および試薬(M−A)と式(XXI)の化合物との反応は、任意の順序が使用されることができ:
式(XXI)の化合物を先ず試薬(M−reag)と反応させ、次いで試薬(M−A)を添加することができ;
または
式(XXI)の化合物を先ず試薬(M−A)と反応させ、次いで試薬(M−reag)を添加することができ;
または
式(XXI)の化合物を、試薬(M−reag)および試薬(M−A)と同時に反応させることができ、この実施形態は、試薬(M−A)および溶媒(M−solv)が同一であるとともにホルムアミド、カルバミン酸エチルまたはアセトアミド、好ましくはホルムアミドである場合に好適である。
【0044】
好ましくは、式(XXI)の化合物を先ず試薬(M−reag)と反応させ、次いで試薬(M−A)を添加する;
または
式(XXI)の化合物を、試薬(M−reag)および試薬(M−A)と同時に反応させる。
【0045】
ステップ(M1)は、そのため、3つの選択肢において行うことができ、3つの選択肢は、選択肢(M1−A1)、選択肢(M1−A2)および選択肢(M1−A3)である。
【0046】
選択肢(M1−A1)は、2つの連続したステップである第1ステップ(M1−A1−1)および第2ステップ(M1−A1−2)を含み;
ステップ(M1−A1−1)は、反応(M1−A1−1)を含み;
反応(M1−A1−1)は、化合物(M−comp)の存在下および溶媒(M−solv)中における、式(XXI)の化合物と試薬(M−reag)との反応であり;
ステップ(M1−A1−2)は、反応(M1−A1−2)を含み;
反応(M1−A1−2)は、溶媒(M−solv)中における、反応(M1−A1−1)の反応生成物と試薬(M−A)との反応である。
【0047】
好ましくは、反応(M1−A1−1)の反応温度は、−10℃から250℃、より好ましくは0℃から200℃、いっそう好ましくは10℃から180℃である。
【0048】
好ましくは、反応(M1−A1−2)の反応温度は20℃から250℃、より好ましくは50℃から200℃、いっそう好ましくは80℃から180℃である。
【0049】
好ましくは0.01モル当量から1モル当量、より好ましくは0.02モル当量から1モル当量、いっそう好ましくは0.02モル当量から1モル当量の化合物(M−comp)が、反応(M1−A1−1)において使用され、モル当量は式(XXI)の化合物のモルに基づく。
【0050】
反応(M1−A1−2)は、化合物(M−comp)の存在下で行うことができる。
【0051】
試薬(M−A)が、アンモニア、ホルムアミドおよびカルバミン酸エチルからなる群から選択される1種以上の物質でない場合、反応(M1−A1−2)は、好ましくは化合物(M−comp)の存在下で行われ、好ましくは1モル当量から15モル当量、より好ましくは1モル当量から10モル当量、いっそう好ましくは1モル当量から5モル当量の化合物(M−comp)が使用され、モル当量は式(XXI)の化合物のモルに基づく。
【0052】
反応(M1−A1−1)後、反応(M1−A1−1)の反応生成物は、当業者にそれ自体知られている加水分解、濾過、揮発性構成成分の蒸発、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーおよびこれらの任意の組合せなどの標準的方法によって単離することができる。
【0053】
反応(M1−A1−1)の反応生成物は、式(XXIII)の化合物であり;
【0054】
【化7】
(式中、
R2は、4−トリル、フェニル、4−アセトアミドフェニル、メチルまたはトリフルオロメチルである。)
好ましくはR2は4−トリルであり、この場合は式(23)の化合物である。
【0055】
【化8】
【0056】
式(XXIII)の化合物は、反応(M1−A1−1)後に、反応(M1−A1−1)から得られたそのままの反応混合物への水の添加によって単離することができる。水の添加は、式(XXIII)の化合物を沈殿させる。式(XXIII)の化合物は次いで、濾過によって単離し、続いて好ましくは洗浄および乾燥させることができる。式(XXIII)の化合物は、結晶化によってさらに精製することができる。
【0057】
この沈殿のために使用される水の体積は、溶媒(M−solv)の体積の好ましくは0.01倍から5倍、より好ましくは0.05倍から2倍である。
【0058】
選択肢(M1−A2)は、2つの連続したステップである第1ステップ(M1−A2−1)および第2ステップ(M1−A2−2)を含み;
ステップ(M1−A2−1)は、反応(M1−A2−1)を含み;
反応(M1−A2−1)は、溶媒(M−solv)中における式(XXI)の化合物と試薬(M−A)との反応であり;
ステップ(M1−A2−2)は、反応(M1−A2−2)を含み、
反応(M1−A2−2)は、化合物(M−comp)の存在下および溶媒(M−solv)中における反応(M1−A2−1)の反応生成物と試薬(M−reag)との反応である。
【0059】
好ましくは、反応(M1−A2−1)の反応温度は、0℃から250℃、より好ましくは10℃から200℃、いっそう好ましくは20℃から180℃である。
【0060】
好ましくは、反応(M1−A2−2)の反応温度は、−10℃から250℃、より好ましくは0℃から200℃、いっそう好ましくは20℃から180℃である。
【0061】
アンモニアおよびトリチルアミンでない試薬(M−A)の場合、反応(M1−A2−1)は酸(M1−A2−1)の存在下で行うことができ、酸(M1−A2−1)は、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸からなる群から選択され;
好ましくは0.01モル当量から1モル当量、より好ましくは0.05モル当量から0.5モル当量、いっそう好ましくは0.1モル当量から0.3モル当量の酸(M1−A2−1)が、反応(M1−A2−1)において使用され、モル当量は式(XXI)の化合物のモルに基づく。
【0062】
反応(M1−A2−1)は、化合物(M−comp)の存在下で行うことができる。
【0063】
試薬(M−A)が、アンモニア、ホルムアミドおよびカルバミン酸エチルからなる群から選択される1種以上の物質でない場合、反応(M1−A2−1)は、好ましくは化合物(M−comp)の存在下で行われ、好ましくは1モル当量から15モル当量、より好ましくは1モル当量から10モル当量、いっそう好ましくは1モル当量から5モル当量の化合物(M−comp)が使用され、モル当量は式(XXI)の化合物のモルに基づく。
【0064】
好ましくは0.01モル当量から1モル当量、より好ましくは0.02モル当量から1モル当量、いっそう好ましくは0.02モル当量から1モル当量の化合物(M−comp)が、反応(M1−A2−2)において使用され、モル当量は式(XXI)の化合物のモルに基づく。
【0065】
選択肢(M1−A3)は、ステップ(M1−A3−1)を含み、
ステップ(M1−A3−1)は、反応(M1−A3−1)を含み;
反応(M1−A3−1)は、溶媒(M−solv)中における式(XXI)の化合物と試薬(M−reag)および試薬(M−A)との反応である。
【0066】
好ましくは、反応(M1−A3−1)の反応温度は、0℃から250℃、より好ましくは20℃から200℃、いっそう好ましくは50℃から180℃である。
【0067】
反応(M1−A3−1)は、化合物(M−comp)の存在下で行うことができ、好ましくは1モル当量から15モル当量、より好ましくは1モル当量から10モル当量、いっそう好ましくは1モル当量から5モル当量の化合物(M−comp)が、反応(M1−A3−1)において使用され、モル当量は式(XXI)の化合物のモルに基づく。
【0068】
全てのこれらの3つの選択肢の場合、試薬(M−reag)、試薬(M−A)、化合物(M−comp)および溶媒(M−solv)は、それらの好ましい実施形態も含めて本明細書において定義されている通りである。
【0069】
反応(M1−reac)が完了した時、式(XX)の化合物は、当業者にそれ自体知られている揮発性構成成分の蒸発、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、濾過、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーおよびこれらの任意の組合せなどの標準的方法によって単離することができる。
【0070】
好ましくは、反応混合物の揮発性構成成分は、減圧下での蒸発によって除去される。
【0071】
好ましくは、反応(M1−reac)から結果として得られた反応混合物または反応(M2−reac)から結果として得られた反応混合物は、溶媒(M−extract)を用いて抽出することができ、溶媒(M−extract)は、水、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸C1−8アルキルエステルおよびこれらの組合せからなる群から好ましくは選択され;
酢酸C1−8アルキルエステルは、好ましくは酢酸C1−4アルキルエステルであり、より好ましくは酢酸エチル、酢酸イソプロピルおよび酢酸ブチルからなる群から選択され;
好ましくは、溶媒(M−extract)は、トルエン、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸イソプロピルおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0072】
抽出後には、抽出物の濾過および濃縮を行うことができる。
【0073】
好ましくは、溶媒(M−extract)を用いる抽出後、溶媒(M−extract)を用いる抽出から結果として得られた抽出物は、酸(M−acid)の水溶液を用いて抽出することができる。酸(M−acid)は、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、NHCl、HCl、HBr、HSO、HPOおよびこれらの混合物からなる群から好ましくは選択される。
【0074】
酸(M−acid)の水溶液を用いる抽出から結果として得られた抽出物は、溶媒(M−wash)を用いて洗浄することができる。
【0075】
好ましくは、溶媒(M−wash)は、トルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸C1−8アルキルエステルおよびこれらの混合物からなる群から選択され、酢酸C1−8アルキルエステルは、好ましくは酢酸C1−4アルキルエステルであり、より好ましくは酢酸エチル、酢酸イソプロピルおよび酢酸ブチルからなる群から選択される。
【0076】
生成物は、溶媒(M−wash)を用いて洗浄された抽出物の濃縮によって単離することができる。
【0077】
別の好ましい実施形態において、反応(M1−reac)から結果として得られた反応混合物または反応(M2−reac)から結果として得られた反応混合物は、溶媒(M−extract)を用いる上述の抽出を用いず、酸(M−acid)の水溶液と混合することによって酸性化することができる。それによって得られる混合物は、溶媒(M−wash)を用いて洗浄することができ、生成物は、濃縮によって単離することができる。
【0078】
脱プロトン化メデトミジンが単離されるべきならば、メデトミジンの塩の懸濁液または溶液、好ましくはメデトミジンの塩の水性懸濁液または水溶液は、塩基(M−basify)または塩基(M−basify)の水溶液の添加によって塩基性化することができ;
好ましくは、塩基(M−basify)は、NaHCO、NaCO、NaOHおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0079】
好ましくは、塩基(M−basify)は、結果として得られた混合物のpHが7から12、より好ましくは8から10、いっそう好ましくは8から9であるような量で添加される。
【0080】
塩基(M−basify)の添加後、水性相は、溶媒(M−extract)を用いて抽出し、続いて抽出物の濃縮によって生成物を単離することができる。
【0081】
好ましくは、反応(M1−reac)後または反応(M2−reac)後の有機相の洗浄はいずれも、水を用いて、塩基(M−basify)を用いて、塩基(M−basify)の水溶液を用いてまたはブラインを用いて行うことができる。
【0082】
好ましくは、反応(M1−reac)後または反応(M2−reac)後の水性相の抽出はいずれも、溶媒(M−extract)を用いて行われる。
【0083】
好ましくは、反応(M1−reac)後または反応(M2−reac)後の反応混合物は、最初に減圧下で濃縮され、次いで、水を用いて希釈され、上に記載されている通りの酸(M−acid)を用いて酸性化され、溶媒(M−wash)を用いて洗浄され、好ましくは溶媒(M−wash)はトルエンであり、塩基(M−basify)を用いて塩基性化され、好ましくは塩基(M−basify)はNaHCOの水溶液であり、次いで、溶媒(M−extract)を用いて抽出され、好ましくは溶媒(M−extract)はトルエン、ジクロロメタン、酢酸イソプロピルおよび酢酸エチルからなる群から選択され、続いて、抽出物の濃縮によって生成物が単離される。
【0084】
別の好ましい実施形態において、式(XX)の化合物は、反応(M1−reac)後または反応(M2−reac)後にクロマトグラフィーによって精製される。
【0085】
有機相はいずれも、好ましくはMgSOまたはNaSOで脱水することができる。
【0086】
濃縮はいずれも、蒸留によって、好ましくは減圧下での蒸留によって、好ましくは行われる。
【0087】
式(XX)の化合物は、好ましくは減圧下での結晶化または蒸留によって、より好ましくはシクロヘキサンおよびトルエンの混合物から、いっそう好ましくはシクロヘキサン:トルエン 99:1v/vからの結晶化によって精製することができる。
【0088】
式(XX)の化合物は、酸(M−acid salt)と混合することによって塩に変換することもでき、酸(M−acid salt)は、水溶液として好ましくは使用され、酸(M−acid salt)は、酢酸、シュウ酸、HClおよびHSOからなる群から好ましくは選択され;
次いで、これは、濾過によって単離し、溶媒(M−cryst)中における再結晶化によって精製することができ、溶媒(M−cryst)は、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、酢酸エチルおよびこれらの混合物からなる群から好ましくは選択され、再結晶化は、異なる溶媒(M−cryst)を使用して反復することができる。
【0089】
好ましくは、触媒(N−cat)のための可能な化合物のリストの中の酸性無機固体物質は、アルミノシリケートである。
【0090】
好ましくは、触媒(N−cat)のための可能な化合物のリストの中の酸性イオン交換樹脂は、スチレンおよびジビニルベンゼンのコポリマー、ならびに過フッ素化された分岐または線状ポリエチレンのコポリマーからなる群から選択され、これらのポリマーはSOH基で官能化されており;
より好ましくは、酸性イオン交換樹脂は、5%超のジビニルベンゼンを含有し、好ましくは巨大網状である、スチレンおよびジビニルベンゼンのコポリマー、ならびに過フッ素化ポリエチレンのコポリマーからなる群から選択され、これらのポリマーはSOH基で官能化されている。
【0091】
好ましくは、炭素が処理される、触媒(N−cat)のための可能な化合物のリストの中の無機酸は、HCl、HSOおよびHNOからなる群から選択される。
【0092】
好ましくは、触媒(N−cat)は、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、HCl、HBr、HSO、HPO、BCl、BFOEt、MgCl、MgBr、AlCl、ZnCl、Cu(BF、アルミノシリケート、酸性イオン交換樹脂、(HCl、HSOまたはHNOで処理された)炭素、およびこれらの混合物からなる群から選択され;
より好ましくは、触媒(N−cat)は、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、HCl、HSO、BFOEt、Cu(BF、アルミノシリケート、酸性イオン交換樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択され;
いっそう好ましくは、触媒(N−cat)は、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、HSO、BFOEt、Cu(BF、アルミノシリケート、酸性イオン交換樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択され;
特に、触媒(N−cat)は、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、HSO、BFOEtおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0093】
好ましくは、反応(N−reac)は、溶媒(N−solv)中において行われる。
【0094】
溶媒(N−solv)は、好ましくは水、tert−ブタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、THF、メチル−THF、NMP、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン、ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸およびこれらの混合物からなる群から選択され;
より好ましくは、水、アセトニトリル、プロピオニトリル、THF、2−メチル−THF、1,2−ジメトキシエタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、トルエン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸、ギ酸およびこれらの混合物から選択され;
いっそう好ましくは、水、アセトニトリル、プロピオニトリル、THF、2−メチル−THF、1,2−ジメトキシエタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トルエン、酢酸エチルおよびこれらの混合物から選択され;
特に、アセトニトリル、THF、2−メチル−THF、ジクロロメタン、トルエン、酢酸エチルおよびこれらの混合物から選択される。
【0095】
触媒(N−cat)は、純粋な形態で、または水和物として使用することができる。
【0096】
触媒(N−cat)は、溶媒(N−solv)中溶液として使用することができる。
【0097】
好ましくは、触媒(N−cat)と式(XXII)の化合物との間のモル比は、1:1000から10:1、より好ましくは1:100から5:1、いっそう好ましくは1:50から1:1、特に1:25から1:2である。
【0098】
好ましくは、反応(N−reac)の反応温度は、−20℃から200℃、より好ましくは0℃から150℃、いっそう好ましくは10℃から100℃である。
【0099】
反応(N−reac)は、大気に対して閉鎖または開放されている系において行うことができる。
【0100】
閉鎖系において、圧力は、主に溶媒(N−solv)の沸点および反応(N−reac)の反応温度に依存する。
【0101】
好ましくは、反応(N−reac)は、0.01バールから20バール、より好ましくは0.1バールから10バール、いっそう好ましくは大気圧から5バールの圧力で行われる。
【0102】
より好ましくは、反応(N−reac)は、開放系において行われる。
【0103】
好ましくは、反応(N−reac)の反応時間は、30分から72時間、より好ましくは1時間から48時間、いっそう好ましくは1.5時間から24時間である。
【0104】
別法として、反応(N−reac)は、連続気相反応として、気化させた式(XXII)の化合物を触媒(N−cat)上に通過させることによって行うことができる。この気相反応は、不活性ガスの存在下で行うことができ、不活性ガスは、窒素、希ガスおよび二酸化炭素からなる群から好ましくは選択される。
【0105】
反応(N−reac)後、式(XXI)の化合物は、当業者にそれ自体知られている揮発性構成成分の蒸発、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、濾過、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーおよびこれらの任意の組合せなどの標準的方法によって単離することができる。
【0106】
好ましくは、反応混合物の揮発性構成成分、または後処理中に添加もしくは発生される揮発性構成成分はいずれも、減圧下での蒸発によって除去することができる。
【0107】
好ましくは、反応(N−reac)から結果として得られた反応混合物、または反応(N−reac)後の後処理中の水性相はいずれも、溶媒(M−extract)を用いて抽出することができ、溶媒(M−extract)は、全てのその好ましい実施形態も含めて上記で定義されている通りである。
【0108】
好ましくは、反応(N−reac)後の有機相の洗浄はいずれも、水を用いて、塩基(M−basify)を用いて、塩基(M−basify)の水溶液を用いて、酸(M−acid)の水溶液を用いて、またはブラインを用いて行うことができ、塩基(M−basify)および酸(M−acid)は、全てのこれらの好ましい実施形態を用いて上記で定義されている通りである。
【0109】
抽出または洗浄後にはいずれも、抽出物または洗浄混合物の濾過および濃縮を行うことができる。
【0110】
別の好ましい実施形態において、式(XXI)の化合物は、反応(N−reac)後にクロマトグラフィーによって精製される。
【0111】
有機相はいずれも、好ましくはMgSOまたはNaSOで脱水することができる。
【0112】
濃縮はいずれも、蒸留によって、好ましくは減圧下で好ましくは行われる。
【0113】
式(XXI)の化合物は、式(XXI)に描かれている通りのアルデヒドとして、ステップ(N)で得ることができるが、その水和物またはヘミアセタールの形態で得ることもできる。ステップ(N)からの生成物として結果として得ることができる式(XXI)の化合物のヘミアセタールは、式(XXI)に描かれている通りのアルデヒドと、tert−ブタノールおよびイソプロパノールからなる群から選択されるアルコールとの間、または式(XXI)に描かれている通りのアルデヒドと、反応(N−reac)後の単離中に使用されるアルコールとの間の付加反応の生成物であってよい。
【0114】
また、この水和物およびこのヘミアセタールは、ステップ(M1)において直接使用することができる。
【0115】
式(XXI)の化合物が、反応(N−reac)から、この水和物またはヘミアセタールの形態で得られる場合、水和物またはヘミアセタールは、当業者に知られている標準的反応によってアルデヒドに変換することができる。
【0116】
別の好ましい実施形態において、化合物(XXI)は、反応(N−reac)後に単離されない。好ましくは、反応(N−reac)および反応(M1−reac)は、同じポットで行われる。より好ましくは、反応(N−reac)後に溶媒(N−solv)は蒸発によって除去され、反応(M1−reac)は、溶媒(N−solv)の蒸発後に、および反応(N−reac)と同じポットで行われる。
【0117】
好ましくは、R1はBrである。
【0118】
好ましくは、試薬(Q1−reag)は、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、イソプロピルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムブロミド、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
より好ましくは、試薬(Q1−reag)は、リチウム、マグネシウム、イソプロピルマグネシウムクロリド、イソプロピルマグネシウムブロミド、n−ブチルリチウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0119】
反応(Q1−reac)は、触媒(Q1−cat)の存在下で行うことができ;
触媒(Q1−cat)は、ヨウ素、1,2−ジブロモエタン、TiCl、AlCl、PbCl、BiCl、LiClおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0120】
好ましくは、反応(Q1−reac)は、溶媒(Q1−solv)中において実行される。
【0121】
好ましくは、反応(Q2−reac)は、溶媒(Q2−solv)中において実行される。
【0122】
好ましくは、溶媒(Q1−solv)および溶媒(Q2−solv)は、同一でありまたは異なり、互いに独立して、THF、トルエン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘキサン、2−メチル−THF、NMP、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、メトキシシクロペンタン、ジイソプロピルエーテル、2,2,5,5−テトラメチル−THF、1,2−ジメトキシエタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,2−エチレンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリC1−4アルキルアミンおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
より好ましくは、THF、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、2−メチル−THF、1,2−ジメトキシエタン、メチル−tert−ブチルエーテル、メトキシシクロペンタン、トリC1−4アルキルアミンおよびこれらの混合物からなる群から選択され;
いっそう好ましくは、THF、トルエン、ヘプタン、ヘキサン、2−メチル−THF、1,2−ジメトキシエタン、トリエチルアミンおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0123】
ヘプタンが溶媒として使用される場合、それは異性体ヘプタンの混合物としてしばしば使用される。
【0124】
1つの特別な実施形態において、溶媒(Q1−solv)は、THF、ヘキサンまたはこれらの混合物であり、溶媒(Q2−solv)は、THF、ヘキサン、トルエンまたはこれらの混合物である。
【0125】
別の特別な実施形態において、溶媒(Q1−solv)および溶媒(Q2−solv)は同一である。
【0126】
反応(Q1−reac)および反応(Q2−reac)の反応温度は、同一でありまたは異なり、互いに独立して、好ましくは−100℃から150℃、より好ましくは−90℃から100℃、いっそう好ましくは−80℃から80℃である。
【0127】
反応(Q1−reac)および反応(Q2−reac)は一定温度で行うことができ、または温度は反応の進行中に変更することができる。例えば、反応は、特定時間の間は第1温度で、次いで後続の時間は第1温度と異なる第2温度で実行することができる。別法として、温度は、反応中に連続的に変更することができる。
【0128】
反応(Q1−reac)および反応(Q2−reac)の反応時間は、同一でありまたは異なり、互いに独立して、好ましくは30分から48時間、より好ましくは1時間から24時間、いっそう好ましくは2時間から12時間である。
【0129】
溶媒(Q1−solv)および溶媒(Q2−solv)の量は、同一でありまたは異なり、互いに独立して、溶媒(Q1−solv)の場合における式(XXV)の化合物の重量および溶媒(Q2−Solv)の場合における反応(Q1−reac)の反応生成物の重量の、好ましくは2倍から40倍、より好ましくは3倍から20倍、いっそう好ましくは5倍から10倍である。
【0130】
好ましくは、1.0モル当量から10モル当量、より好ましくは1.1モル当量から5モル当量、いっそう好ましくは1.1モル当量から3モル当量の試薬(Q1−reag)が使用され、モル当量は式(XXV)の化合物のモルに基づく。
【0131】
好ましくは、1.0モル当量から10モル当量、より好ましくは1.1モル当量から5モル当量、いっそう好ましくは1.1モル当量から3モル当量のクロロアセトンが使用され、モル当量は式(XXV)の化合物のモルに基づく。
【0132】
好ましくは、反応(Q1−reac)および反応(Q2−reac)は、大気圧で行われる。
【0133】
好ましくは、反応(Q1−reac)および反応(Q2−reac)は、不活性雰囲気下で行われる。好ましくは、不活性雰囲気は、アルゴン、別の希ガス、より低い沸騰のアルカン、窒素およびこれらの混合物からなる群から好ましくは選択される不活性ガスの使用によって達成される。
【0134】
より低い沸騰のアルカンは、好ましくはC1−3アルカン、即ちメタン、エタンまたはプロパンである。
【0135】
反応(Q2−reac)後、式(XXII)の化合物は、当業者にそれ自体知られている揮発性構成成分の蒸発、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーおよびこれらの任意の組合せなどの標準的方法によって単離することができる。
【0136】
好ましくは、(Q1−reac)の反応生成物は、単離されない。
【0137】
好ましくは、反応(Q1−reac)および反応(Q2−reac)は連続して行われる。
【0138】
好ましくは、反応(Q1−reac)および反応(Q2−reac)はワンポットで行われる。
【0139】
別の好ましい実施形態において、反応(Q1−reac)および反応(Q2−reac)は、ワンポットで、式(XXV)の化合物およびクロロアセトンの溶媒(Q1−solv)中混合物に試薬(Q1−reag)を添加することによって行うことができる。
【0140】
好ましくは、反応(Q2−reac)後の式(XXII)の化合物の単離のため、試薬(Q3)は、反応(Q2−reac)から誘導された反応混合物と組み合わせられ;
試薬(Q3)は、水、メタノール、エタノール、シュウ酸、クエン酸、NHCl、HCl、HBr、HNO、HSO、HPO、酢酸、プロピオン酸、ギ酸およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0141】
好ましくは、試薬(Q3)は、水または水性のNHCl水溶液であり;
より好ましくは、試薬(Q3)は水である。
【0142】
好ましくは、0.01モル当量から1000モル当量、より好ましくは0.02モル当量から1000モル当量の試薬(Q3)が使用され、モル当量は式(XXV)の化合物のモルに基づく。試薬(Q3)は、過剰の試薬(Q1−reag)を中和するために使用され、そのため試薬(Q3)の量は、反応(Q1−reac)において使用される試薬(Q1−reag)の過剰に関して調整される。
【0143】
式(XXII)の化合物は、揮発性構成成分の蒸発、より高い沸騰の残留物の加水分解および場合による酸性化、抽出、ならびに蒸留などの従来の方法を使用して、好ましくは単離される。
【0144】
式(XXII)の化合物は、好ましくは減圧下での結晶化または蒸留によって精製することができる。
【0145】
水性相の抽出はいずれも、好ましくは溶媒(Q−extract)を用いて行われ、溶媒(Q−extract)は、ベンゼン、トルエン、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルである。
【0146】
有機相はいずれも、好ましくは硫酸マグネシウムを用いて、脱水することができる。
【0147】
濃縮はいずれも、蒸留によって、好ましくは減圧下で好ましくは行われる。
【0148】
式(XX)、(XX−T)、(XXI)、(XXII)、(XXIII)および(23)の化合物は、キラル化合物であり、式は、それぞれ、式(XX)、式(XX−T)、式(XXI)、式(XXII)、式(XXIII)または式(23)の化合物の任意のエナンチオマーのみならずエナンチオマーの任意の混合物を含む。
【0149】
エナンチオマーは、Cordiら、Synth.Commun.1996、26、1585−1593において式(XX)の化合物について開示されている通り、アルコール性媒体中における(+)酒石酸塩の反復結晶化など、有機化学において知られている従来の手順によって分離することができる。
【0150】
式(XXV)の化合物は公知化合物であり、公知方法に従って調製することができる。
【0151】
反応(M1−reac)、反応(N−reac)、反応(Q1−reac)および反応(Q2−reac)の反応のいずれの進行も、核磁気共鳴分光法(NMR)、赤外分光法(IR)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー質量分光分析法(LCMS)または薄層クロマトグラフィー(TLC)などの標準的技術によってモニタリングすることができ、出発材料の変換が95%を超えればまたは出発材料をもはや検出することができなければ、反応混合物の後処理を開始することができる。これが起こるのに必要とされる時間は、全ての試薬の正確な反応温度および正確な濃度に依存し、バッチによって変動し得る。
【0152】
一般に、有機相はいずれも、別段に明記されていない限り、好ましくはMgSOまたはNaSOで脱水することができる。
【0153】
本発明のさらなる対象は、式(XXIII)の化合物である。
【0154】
本発明のさらなる対象は、式(23)の化合物である。
【0155】
本発明のさらなる対象は、式(XX)の化合物の調製のための、式(XXIII)の化合物の使用である。
【0156】
本発明のさらなる対象は、式(XXIII)の化合物の調製または式(XX)の化合物の調製のための、式(XXI)の化合物の使用である。
【0157】
本発明のさらなる対象は、式(XXI)の化合物の調製のための、式(XXII)の化合物の使用である。
【0158】
本発明のさらなる対象は、式(XXII)の化合物の調製のための、式(XXV)の化合物の使用である。
【0159】
従来技術と比較して、本発明の方法は、いくつかの利点を提供する。重要なことに、式(XX)の化合物の全体の炭素骨格は、より少ない化学的ステップにおいて、安価な試薬のみを使用して構築される。より少ない化学的ステップは、費用効果の高い手順を明らかに提供する。保護基は必要とされず、使用される材料の全体的量はそのため低減され、モル量に基づくバッチサイズは増加される。
【0160】
特に、トリチル保護基またはアセタール保護基は使用されず、イミダゾールの保護は必要でない。それによって、例えばトリチル保護基またはアセタール保護基が使用される場合に反して、必要とされる試薬の数および量は低減され、保護または脱保護のステップは必要とされず、廃棄物は低減される。該方法は良好な収率を有する。
【実施例】
【0161】
方法
Hおよび13C NMRスペクトルは、Varian VNMRS 500(Hには500MHz、13Cには125MHz)機器上でCDCl中において記録された。化学シフトは、TMSに対してppmで、カップリング定数(J)はヘルツで表される。
【0162】
EIは、電子イオン化質量スペクトル(70eV)を意味し、これらはAMD−604分光計上で得られた。
【0163】
ESIは、電子スプレーイオン化質量スペクトルを意味する。
【0164】
実施例1において、THFをナトリウムで乾燥させなかった。実施例2において、NaHをこの目的で使用した。
【0165】
[実施例1]
2−(2,3−ジメチルフェニル)メチルオキシラン、式(XXII)の化合物、ブチルリチウムを用いるTHF中におけるメタル化
1−ブロモ−2,3−ジメチルベンゼン(0.27ml、2.0mmol)のTHF(4.0ml)中溶液に、−78℃で、n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M溶液2.0ml、3.2mmol)を添加した。混合物を−78℃で30分間撹拌し、次いでクロロアセトン(0.24ml、3.0mmol)のトルエン(0.42ml)中溶液を滴下により20分以内で添加した。混合物を−78℃で1時間の間撹拌し、次いでそのまま室温まで温めた。室温で3時間後、試料の分析は、標題エポキシドが主な反応生成物であることを示した。室温で3日間の撹拌後、混合物を水(20ml)中に注ぎ、生成物を酢酸エチル(1×10ml、2×5ml)で抽出した。合わせた抽出物をMgSO4で脱水し、減圧下で濃縮することで、標題エポキシドが油として定量的収量で得られた。
【0166】
H NMR:1.59(s,3H),2.28(s,3H),2.31(s,3H),2.83(br d,J=5.4,1H),2.98(d,J=5.4Hz,1H),7.08(m,2H),7.21(m,1H).
MS(EI):162,147,133,117(100).
【0167】
[実施例2]
2−(2,3−ジメチルフェニル)メチルオキシラン、式(XXII)の化合物、マグネシウムを用いるTHF中におけるメタル化
マグネシウム(89mg、3.66mmol)のTHF(4.0ml)中懸濁液に、NaH(81mg、油中60%、2.0mmol)を添加し、室温で10分間の撹拌後に、1−ブロモ−2,3−ジメチルベンゼン(0.40ml、2.96mmol)を添加した。発熱反応が起こり、結果として得られた混合物を、室温で1時間の間撹拌する。混合物は次いで−20℃に冷却され、クロロアセトン(0.26ml、3.3mmol)のトルエン(0.63ml)中溶液が、10分以内で滴下により添加される。混合物は次いで室温で2時間の間撹拌される。水を用いる混合、酢酸エチルを用いる抽出、および窒素流を用いる酢酸エチルの蒸発によって、試料を後処理した。1H NMRによる残留物の分析は、それが、キシレンおよび標題オキシランの混合物であることを示した。
【0168】
[実施例3]
2−(2,3−ジメチルフェニル)プロパナール、式(XXI)の化合物
実施例1(158mg、0.97mmol)に従って調製された式(XXII)の化合物である2−(2,3−ジメチルフェニル)メチルオキシランを、トルエン(1.57mL)中に溶解させ、BFOEt(0.006ml、0.05mmol)を室温で添加した。室温で2時間後、試料を固体NaHCOと混合し、濾過し、減圧下で濃縮し、残留物をH NMRによって分析した。粗製生成物は、純粋な2−(2,3−ジメチルフェニル)プロパナールから本質的に成っていた。
【0169】
H NMR:1.40(d,J=7.1Hz,3H),2.25(s,3H),2.32(s,3H),3.89(qd,J=7.1,1.0Hz,1H),6.89−6.92(m,1H),7.12(m,2H),9.67(d,J=1.0Hz,1H).
【0170】
[実施例4]
5−(1−(2,3−ジメチルフェニル)エチル)−4−トシル−4,5−ジヒドロオキサゾール、式(23)の化合物
式XXIIの化合物(2.07g、12.8mmol)のジクロロメタン(10ml)中溶液に、BFOEt(EtO中0.1mol、4ml、0.4mmol)を4時間以内にて室温で添加した。混合物を室温で1時間の間撹拌し、次いで溶媒(ジクロロメタン)を減圧下で蒸発させた。残留物をメタノール(10ml)およびTosMIC(トルエンスルホニルメチルイソシアニド;2.24g、11.5mmol)中に溶解させ、次いでNaCO(102mg、0.96mmol)を添加した。混合物を室温で1時間の間撹拌し、次いで水(5ml)で希釈した。混合物を室温でさらに30分間撹拌し、次いで4℃で終夜保持した。濾過および乾燥で、式(23)の化合物3.1g(75%)を得た。
【0171】
H NMR(CDCl,500MHz):1.28(d,J=7Hz,3H),2.23(s,3H),2.30(s,3H),2.44(s,3H),3.28(m,1H),4.79(m,1H),5.20(m,1H),7.04(s,1H),7.10(m,3H),7.33(d,J=8Hz,2H),7.73(d,J=8Hz,2H).
【0172】
[実施例5]
メデトミジン、式(XX)の化合物
実施例4に従って調製された式(23)の化合物(3.16g、8.84mmol)を、アンモニア飽和エタノール(40ml、およそ160mmolのアンモニアを含有する。)中に溶解させ、3時間の間110℃に加熱した。次いで混合物を蒸発乾固させ、残留物をNaHCOの飽和水溶液(20ml)と混合した。混合物をトルエン(2×20ml)で抽出し、合わせた抽出物を水(2×20ml)で洗浄した。次いで合わせた抽出物を10%HCl水溶液(3×20ml)で抽出し、合わせた酸性抽出物をガス状アンモニアで塩基性化し、トルエン(2×20ml)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaSOで脱水し、減圧下で濃縮することで、式(XX)の化合物(1.57g、89%)が得られた。
【0173】
H NMR:1.56(d,J=7.2Hz,3H),2.18(s,3H),2.25(s,3H),4.35(q,J=7.2Hz,1H),6.66(s,1H),6.93(dd,J=6.6,2.2Hz,1H),6.99−7.05(m,2H),7.30(d,J=1.1Hz,1H),9.84(broad s,1H).
13C NMR:14.65,20.72,20.88,14.12,117.61,124.62,125.53,127.91,134.05,134.60,136.76,141.11,143.23.
MS(ESI):201[M+H]
【0174】
この生成物をアセトニトリル(10ml)中に再溶解させ、濃塩酸水溶液(0.8ml)を用いて塩酸塩に変換した。混合物を濃縮乾固させ、残留物をジエチルエーテル(30ml)中に懸濁し、室温で終夜撹拌した。減圧下での濾過および乾燥で、式(XX)の化合物1.55g(74%)を塩酸塩として得た。