(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1に記載のブラシレスモータでは、モータ取り付け板の凹部に軸受ハウジングが嵌合する部分(凹部に軸受ハウジングが入り込む部分)を設ける必要がある。このため、モータの小型化・薄型化が難しいという問題がある。また、特許文献1に記載のブラシレスモータは、モータ取り付け板に設けられた凹部に軸受ハウジングが嵌合されているため、モータ取り付け板とシャフトとの間に軸受および軸受ハウジングが介在することとなる。つまり、モータの固定位置からモータの軸芯までに2部品が介在することとなり、モータの固定位置からモータの軸芯までの寸法にバラつきが生じ易い。このような寸法のバラつきは、例えば光ディスクを回転させるためのモータに用いたときに特に問題となる。光ディスクへの記録、再生を高精度に行うためには、上記寸法精度を高める必要があるためである。
【0007】
本発明はそのような問題点を解決するためになされたものであり、薄型化、小型化が可
能なブラシレスモータ
およびディスク駆動装
置を提供することを第1の目的としている。
【0008】
また、本発明は、モータの固定位置からモータの軸芯までの寸法精度が高いブラシレスモータ
およびディスク駆動装
置を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、ブラシレスモータは、軸受により支持されるシャフトが、軸受に対して相対的に回転するブラシレスモータであって、軸受は、孔部を有するブラケットに取付けられるとともに、孔部に嵌合する突起部を有し
、軸受の外周面を覆い、
ブラケットとは別体の軸受ハウジングと、軸受ハウジングの外周面に固定されたステータとを備え
、突起部は、軸受ハウジングから、ブラケットに対する軸受の取付方向に突出する。
【0010】
この発明によると、ブラシレスモータの軸受は、ブラケットの孔部に嵌合する突起部を有し、突起部は、ブラケットに対する軸受の取付方向に突出する。この構成により、ブラケットの孔部に軸受の突起部を嵌合させることができる。これにより、薄型化、小型化が可能なブラシレスモータを提供することが可能となる。また、ブラシレスモータの固定位置からブラシレスモータの軸芯までの寸法精度が高いブラシレスモータを提供することが可能となる。
【0011】
好ましくは、ブラシレスモータは、ステータの外周に配置されたロータマグネットと、ロータマグネットとシャフトとを接続するロータフレームと、ロータフレームに固定された抜け止め部材とをさらに備え、軸受ハウジングは、抜け止め部材と係合する係合部を含む。
好ましくは、軸受には、上面、底面、および側面にそれぞれ溝が形成されている。
好ましくは、孔部は、ブラケットをシャフトの軸方向に貫通する孔である。
【0012】
このように、ブラケットをシャフトの軸方向に貫通する孔を孔部とし、突起部をその孔部に嵌合させることで、より薄型化、小型化が可能なブラシレスモータを提供することが可能となる。また、突起部が嵌合される部分を長くすることができる。すなわち、ブラケットの厚さ全てを嵌合に使うことができるので、軸受をより強固にブラケットに固定することができる。特に、薄型のモータに対してこのような貫通孔を用いることで、軸受の固定をより強固とすることができる。
【0013】
好ましくは、突起部のシャフトに最も近い部分は、シャフトの軸芯を中心とする円弧形状である。
【0014】
このように、突起部のシャフトに最も近い部分を、シャフトの軸芯を中心とする円弧形状とすることで、突起部と孔部との接合面積を比較的広く取ることができる。また、シャフトの軸芯の位置合わせが容易となる。
【0015】
この発明の他の局面に従うと、ディスク駆動装置は、上述のいずれかに記載のブラシレスモータを備え、ブラシレスモータは、ディスク回転用に用いられる。
【0016】
この発明によると、薄型化、小型化が可能なディスク駆動装置を提供することが可能となる。また、ディスクへのデータの記録およびディスクに記録されたデータの再生を高精度化することができるディスク記録装置を提供することが可能となる。
【0018】
この発明によると、薄型化、小型化が可能なブラシレスモータを製造するための軸受を提供することが可能となる。また、モータの固定位置からモータの軸芯までの寸法精度が高いブラシレスモータを製造するための軸受を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるブラシレスモータ1およびブラケット50を示す断面図であり、
図2は
図1のD部分を拡大して示す断面図である。また、
図3は本発明の第1の実施の形態におけるブラシレスモータ1を構成する軸受40を示す斜視図であり、
図4は
図3におけるB−B断面を示す図であり、
図5は軸受を
図3における矢印C方向から示す平面図である。
図6は軸受が固定されたブラケットを裏側から見た図であり、ブラケット50を
図1の矢印Aの方向とは逆方向から見たことを示している。
【0022】
本実施の形態では、ブラシレスモータ1は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)やBlu−rayなどの光ディスクを回転させるためのディスク駆動装置に用いられている。勿論、ブラシレスモータ1の用途はこれに限られるものではない。
【0023】
図1〜
図6を参照して、ブラシレスモータ1は、シャフト30を支持する概略筒形状を有する軸受40と、ステータ20と、ステータ20に対して相対的に回転するロータ10と、ロータ10の一部を構成するシャフト30を軸方向に支持するスラスト板31とを備える。軸方向とは、
図1における矢印Aに平行な方向である。
【0024】
ステータ20は、中央から径方向外側へ放射状に延びるように形成される複数のティース部21aを有するステータコア21と、ティース部21aの周囲に巻回されたステータコイル22と、ステータコア21を保持するコアホルダー54とを備える。ロータ10は、ステータ20の外周に配置される円筒状のロータマグネット12と、軸受40により回転可能に支持されるシャフト30と、ロータマグネット12とシャフト30とを接続するロータフレーム11とを備える。
【0025】
ブラシレスモータ1においては、ステータ20とロータマグネット12とが協働して回転磁界を発生することにより、ロータ10がステータ20に対して相対的に回転する。ロータフレーム11には、光ディスクをチャッキングする調芯部材56と、ディスクがチャッキングされた際にディスクの下面が当接するゴムシート13とが固定されている。ブラシレスモータ1は、シャフト30の軸方向に貫通する2つの孔部51が形成されるブラケット(モータ取り付け板)50に取付けられる。
【0026】
軸受40は、多孔性金属材料などから構成され、オイルが含浸されている。この構成により、軸受40は、シャフト30を回転自在に支持する。軸受40は、ブラケット50の2つの孔部51にそれぞれ嵌合する2つの突起部41を有する。軸受40は、軸受40の外周側面を覆う軸受ハウジング52に圧入および接着により保持される。
【0027】
突起部41は、その突出方向に向かって先細となる断面テーパ形状を有している。これは、孔部51への嵌合容易のためである。また、本実施の形態における軸受40は、粉粒体状の原材料が加圧成形されることにより製造されている。この加圧成形の際に、突起部41がその突出方向に向かって先細となる断面テーパ形状であることにより、軸受40の型からの取り出しが容易となる。
図3、5および6に示されるように、突起部41は2つ設けられており、ブラケット50の裏側から見ると、それぞれの突起部41の形状は円弧形状である。
図6に示されるように、孔部51もブラケット50に2つ設けられており、それぞれの孔部51の形状も、それぞれの突起部41の形状に合致した円弧形状である。これにより、2つの孔部51に2つの突起部41が嵌合する。また、
図1に示されるように突起部41が軸受40から突出する長さは、ブラケット50の厚さとほぼ等しく(好ましくは等しく)なるように設計されている。
【0028】
突起部41は、ブラケット50に対する軸受40の取付方向(
図1における矢印A方向)に突出する。すなわち軸受ハウジング52によって保持された軸受40は、突起部41の部分が軸受ハウジング52から突出して保持されている。従って、ブラケット50と軸受ハウジング52とが嵌合する部分が不要となるので、その分だけブラシレスモータ1を小型・薄型化することができる。すなわち、ブラケット50と軸受40との嵌合のためには、突起部41と孔部51との嵌合代(
図2における長さL)があればよい。本実施の形態においては、嵌合代はブラケット50の厚さに等しい。
【0029】
さらに、本実施の形態におけるブラシレスモータ1では、軸受ハウジング52等を介することなく、ブラケット50に対して軸受40が直接嵌合されているため、ブラケット50とシャフト30との間に存在する部品は、軸受40ただ1つである。従って、複数の部品の寸法公差が累積するという問題が生じない。これにより、ブラシレスモータ1の固定位置(ブラケット50に対する突起部41の固定位置)からブラシレスモータ1の軸芯(シャフト30の回転軸)までの寸法精度をより高精度化することができる。結果として、本実施の形態のように、ブラシレスモータを光ディスクの回転駆動に用いる場合には、光ディスクへのデータの記録およびディスクに記録されたデータの再生を高精度化することができる。
【0030】
軸受40には、底面(下面)、側面、および上面にそれぞれ溝42,43,44が形成されている。これは、ブラシレスモータ1の回転による発熱により軸受40に含浸された空気が膨張した際に、オイルが飛散してオイルが軸受40の外部に漏れることを防止するためである。すなわち、これらの溝42,43,44は、オイルおよび空気の循環路としての役割や、空気抜きの役割を果たす。特に軸受底面部の溝42が無い場合、軸受内の空気の逃げ場は軸受内上方向しかなく、モータの回転による発熱で空気が膨張した時に、軸受上側からオイルが飛散して軸受外に飛び出してしまう。軸受底面部に溝42を設けることで、空気およびオイルの循環路ができる。これによって、発熱による軸受内圧の上昇を防ぐことができ、オイルの飛散を防ぐことができる。
【0031】
図1を参照して、孔部51は、シャフト30の軸方向に貫通する。この貫通する孔部51に突起部41が嵌合されることにより、軸受40とブラケット50との間を確実に固定することができる。
図5を参照して、突起部41のシャフト30に最も近い部分Xは、シャフト30の軸芯(回転軸)を中心とする円弧形状である。これにより、突起部41と孔部51との接合面積が広がり、軸受40とブラケット50とをより確実に固定することができる。また、シャフト30の軸芯の位置合わせが容易となる。突起部41は、シャフト30の周方向に、互いに等間隔で2つ形成される。これにより、軸受40とブラケット50とが安定した状態で嵌合される。このように突起部を2つにすると、1つの場合よりもシャフト30の軸芯の位置合わせが容易となる。また、3つ以上の場合よりも、各突起部のサイズを大きくすることができるので、突起部の破損が生じにくいという効果がある。
【0032】
特に、小型、薄型のブラシレスモータにおいては、軸受自体の外径は4mm程度、長さは3mm程度しかない。その中でブラケットに圧入される突起部は、径方向の厚みが1mm程度、周方向の幅が3mm程度しかなく、欠けやすいものとなる。従って製造工程上の取り扱いで突起部が破損しやすいため、できるだけ突起部41を大きくすることが望ましい。なお、ここで挙げた数値は参考的な数値であり、更なる薄型化の為に長さを短くしても良い。
【0033】
なお
図1および2に示されるように、ブラケット50の軸受40が取り付けられる部分(孔部51が形成される部分であり、符号Dで囲まれた部分)には、矢印A方向に向かって窪む凹部が形成されている(ブラケット50の他の部分より一段低くなっており、段差が形成されている)。これは、以下の理由によるものである。すなわち、軸受40およびシャフト30の寿命を延ばし、強度を確保するために、軸受40およびシャフト30はできるだけ長くする必要がある。これにより、ブラシレスモータ1の中央の軸受部は下へ張り出す傾向がある。ブラケット50に凹部を形成することで、軸受40やシャフト30をその凹部内に収納することができる。
【0034】
軸受ハウジング52は、ロータフレーム11に固定される抜け止め部材55の先端が入り込むことができる係合部53を備える。これにより、ロータ10がステータ20に対して相対的に高速で回転しても、ロータ10とステータ20とが容易に外れない。
【0035】
上記のような構成により、ブラケットの孔部に軸受の突起部を嵌合させることができ、薄型化、小型化が可能なブラシレスモータを提供することが可能となる。また、ブラシレスモータの固定位置からモータの軸芯までの寸法精度が高いブラシレスモータを提供することが可能となる。さらに、ブラシレスモータを光ディスク駆動装置に用いる場合には、ディスクへのデータの記録およびディスクに記録されたデータの再生の高精度化が可能となる。
【0037】
次に、ブラシレスモータ1の製造方法について説明する。
図7〜
図9は、ブラシレスモータ1の製造工程を時系列で順に示した概略図である。
【0038】
まず、
図7に示すように、ブラケット50上に、コアホルダー54が固定される。コアホルダー54によってステータコア21が保持される。これにより、ステータ20とブラケット50とがコアホルダー54を介して固定される。
【0039】
次に、
図8に示すように、ブラケット50と軸受40とが組み合わされる。この工程では、まず軸受40が、軸受ハウジング52に圧入されることで組み付けられる。スラスト板31は、ブラケット50に組み付けられる。軸受40の突起部41は、ブラケット50の孔部51に対し軽圧入される。このとき、孔部51のシャフト30に最も近い部分Y(
図6参照)と、突起部41のシャフト30に最も近い部分X(
図5参照)とを沿わせて、突起部41が孔部51に対し軽圧入される。孔部51のシャフト30に最も近い部分Yと、突起部41のシャフト30に最も近い部分Xとを沿わせて、突起部41が孔部51に対し軽圧入されるので、軸受40が内径側へ変形することを防止することができる。これにより、シャフト30と軸受40とが干渉することを防ぐことができる。
【0040】
ブラケットに対する軸受の位置精度を高めるためには、孔部51のシャフト30に最も近い部分Yと、突起部41のシャフト30に最も近い部分Xとを高精度に加工すればよい。これに対し、孔部51のシャフト30から最も遠い部分と、突起部41のシャフト30から最も近い部分との加工は低精度でもよい。また軸受の突起部を嵌合させたときに、孔部51のシャフト30から最も遠い部分と、突起部41のシャフト30から最も遠い部分とは接する必要がない。このため、孔部51のシャフト30から最も遠い部分と、突起部41のシャフト30から最も遠い部分との交差幅は広くてもよい。これにより、部品の製造コストを下げることができる。また、孔部51のシャフト30から最も遠い部分と、突起部41のシャフト30から最も遠い部分との間に距離(隙間)を設けることで、軸受40の突起部41をブラケット50に圧入しやすくすることができる。
【0041】
取付治具を用いることにより突起部41は孔部51に対して、シャフト30の軸方向に平行に軽圧入される。これにより、軸受40のステータ20およびブラケット50に対する直角度の精度が増す。
【0042】
なお、本明細書において、「軽圧入」とは、軸受40のブラケット50に対する角度を変動させることができる程度の軽い力で軸受40を押し込むことである。軽圧入により、突起部41の変形を最小限にすることができる。軽圧入でない圧入を行うと、圧入時に、部品の形状と寸法とによって軸受40のブラケット50に対する直角度が決まってしまう(圧入の場合は、部品同士が接触する面の角度がそのまま直角度となる)。そこで本実施の形態では、圧入を行う軸受40の突起部41と、孔部51との形状や長さを調整することで、軽い圧入状態(軽圧入)とするものである。軽圧入とすることで、軸受40のブラケット50に対する直角度は、部品の寸法ではなく、取付を行う治具の精度によって決定されることとなる。すなわち、軽圧入にすることで、取付治具の直角度に沿って軸受の直角度が決定される。より具体的には、軽圧入時のブラケット50の面と軸受40の内径面との直角度を精度良く設定し、部品同士は軽圧入で微小に動くようにすると、取付治具に従って直角度が決定される。
【0043】
図9に示されるように、突起部41が孔部51に対し軽圧入された後、軸受ハウジング52とコアホルダー54とを接着し、軸受40が、ブラケット50およびステータ20に対し、確実に固定される。軽圧入は、接着で固定される前の仮固定であるといえる。この仮固定で規格内の直角度にならなかった場合、直角度を修正する工程を実行してもよい。
【0044】
すなわち、突起部41が孔部51に対して軽圧入されたのみ状態では、軸受40のブラケット50に対する角度を変動させることができる。このような状態で、軸受40のブラケット50に対する直角度を精度良くした後に、軸受ハウジング52とコアホルダー54とを接着剤により接着することが好ましい。これにより、軸受40の、ステータ20およびブラケット50に対する直角度の精度を増すことができる。
【0045】
なお通常は、ブラケット50に対する軸受40の内径の位置(およびシャフト30の軸芯の位置)は、軸受締結工程での取付治具の位置精度および各部品の寸法公差の累積で決まる。これに対して本実施の形態のように、ブラケット50の孔部(取付穴)51に軸受50の突起部51を軽圧入することで、位置精度はそれぞれの部品の精度に依存することとなる。本実施の形態では、ブラケット50の孔部51の位置精度および軸受40の突起部41の寸法形状を高精度に確保することで、軸受内径の位置を高精度に確保できる。なお、ブラケット50および軸受40の寸法形状の精度を高くするためには、それら部品を金型部品とすることが望ましい。
【0046】
軸受ハウジング52とコアホルダー54とが接着剤により接着された後、軸受40に対し、ロータ10を構成するシャフト30が挿入されて、ブラシレスモータ1が完成する。
【0048】
以上の構成により、ブラケット50の孔部51に、軸受40の下部に設けられた突起部41を嵌合させることができるため、薄型化、小型化が可能な軸受締結構造を有するブラシレスモータ1を提供することが可能となる。また、薄型化のために軸受40やシャフト30を短くする必要がない(軸受40やシャフト30の長さを比較的長く確保することができる)。また、ブラシレスモータの固定位置からブラシレスモータの軸芯までの寸法精度が高いブラシレスモータを提供することが可能となる。さらに、圧入代を十分に確保できるので、軸受の圧入強度を高めることができる。
【0049】
また、上記実施の形態におけるブラシレスモータを光ディスク駆動装置に用いることで、ディスクへのデータの記録およびディスクに記録されたデータの再生の高精度化が可能となる。
【0051】
図10は、本発明の第2の実施の形態におけるブラシレスモータ1およびブラケット150を示す断面図である。以下、第2の実施の形態におけるブラシレスモータ1が第1の実施の形態におけるブラシレスモータ1と異なる点について説明する。第2の実施の形態におけるブラシレスモータ1の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。
【0052】
図10を参照して、第2の実施の形態におけるブラシレスモータ1が取り付けられるブラケット150には、突起部41に嵌合されるための孔部151が形成される。孔部151は、ブラケットの凹んだ部分(厚さが他の部分よりも薄くなる部分)であり、貫通孔ではない。ブラケット150の孔部151をこのような貫通しない孔部151とすることで、オイルが貫通孔を介して漏れることが防止される。ただし、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同等の薄型化を実現するためには、突起部41と孔部151との嵌合代(
図2の符号L)を短くする必要がある。一方で、第1の実施の形態と同等の固定強度を実現するためには、第1の実施の形態と同等の突起部41と孔部151との嵌合代を確保する必要がある。このため第1の実施の形態と同等の固定強度を実現するためには、ブラケット150の板厚を厚くする必要がある。
【0054】
図11は、第3の実施の形態におけるブラシレスモータ1に用いられる軸受を示す平面図であり、
図5に対応する図である。以下、第3の実施の形態におけるブラシレスモータ1が第1の実施の形態におけるブラシレスモータ1と異なる点について説明する。第3の実施の形態におけるブラシレスモータ1の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。
【0055】
第3の実施の形態におけるブラシレスモータの軸受は、3つの突起部241を有する点で、2つの突起部41を有する第1の実施の形態における軸受40と異なる。また、第3の実施の形態におけるブラケットには、この突起部241のそれぞれと嵌合する3つの孔部が形成される点で、突起部41と嵌合する2つの孔部51が形成される第1の実施の形態におけるブラケット50と異なる。第1の実施の形態における突起部41と同様に、突起部241のシャフト30に最も近い部分Xは、シャフト30の軸芯を中心とする円弧形状である。これにより、突起部241と孔部との接合面積が広がり、軸受とブラケットとの間をより確実に固定することができる。また、それぞれの突起部241は、シャフト30の周方向に、互いに等間隔で形成される。これにより、軸受とブラケットとが安定した状態で嵌合される。
【0057】
上述の各実施の形態の各特徴部分を組み合わせてブラシレスモータを構成してもよい。例えば、貫通しない孔部が形成されるブラケットと、その孔部に嵌合する3つの突起部を有する軸受との組み合わせでブラシレスモータ1を構成してもよい。
【0058】
また、上述の各実施の形態において、突起部41,241は、その突出方向に向かって先細となる断面テーパ形状を有しているが、突起部の構成はこれに限定されない。ただし、軸受40を加圧成形により製造する場合には、型の取り出し容易の観点から、突起部41,241は、突出方向に向かって先細となる断面テーパ形状を有することが好ましい。なお、軸受40の製造方法は、加圧成形によるものに限定されず、突起部41,241を形成可能な製造方法であれば、何れの方法であってもよい。ただし、低コストでの製造の観点からは、加圧成形によるものが好ましい。
【0059】
また、上述の各実施の形態においては、2つの突起部41を有する軸受40または3つの突起部241を有する軸受が採用されていたが、このような構成に限定されない。1つの突起部であっても、4つ以上の突起部であっても、ブラシレスモータの薄型化、小型化が可能であり、かつ、ブラシレスモータ1を光ディスクへのデータの記録およびディスクに記録されたデータの再生用に用いるときには、記録・再生の高精度化が可能である。ただし、突起部の破損しない程度の大きさの確保の観点からは、2つ以下の突起部を有する軸受40が採用されることが好ましい。なお、1つの突起部を有する軸受よりも、2つの突起部を有する軸受の方が、安定した状態で嵌合できる点で好ましい。
【0060】
また、上述した各実施の形態においては、突起部41,241のシャフト30に最も近い部分Xが、シャフト30の軸芯を中心とする円弧形状である構成が採用されていたが、突起部の形状はこれに限定されない。例えば突起部41,241の形状が、
図3における矢印C方向から見て、四角形状であっても、円形状であっても、楕円形状であっても、ブラケットの孔部に嵌合可能な形状であればよい。ただし、突起部と孔部との十分な接合面積の確保の観点および位置あわせの観点から、突起部のシャフト30に最も近い部分を、シャフト30の軸芯を中心とする円弧形状とすることが好ましい。
【0061】
さらに、上述した各実施の形態においては、それぞれの突起部41,241が、シャフト30の周方向に、互いに等間隔で形成される構成が採用されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。突起部がシャフト30の周方向に互いに不均一な間隔で形成されていてもよい。ただし、軸受とブラケットとの安定した状態での嵌合の観点からは、突起部41,241が、シャフト30の径方向において、互いに等間隔で形成されることが好ましい。
【0062】
また、上述した実施の形態においては、突起部41が、孔部51に対し軽圧入された後、軸受ハウジング52とコアホルダー54との間を接着で固定するが、ブラシレスモータ1の製造方法はこれに限定されない。突起部41が孔部51に対し軽圧入されるのみではなく、挿入や軽圧入以外の圧入によって突起部41と孔部51とが嵌合されてもよい。
【0063】
また、上述した各実施の形態においては、ステータ20の外周に配置される円筒状のロータマグネット12を備えるアウターロータ型のブラシレスモータの構成が採用されていたが、これに限定されない。インナーロータ型であっても、フラットロータ型であっても、各実施の形態の軸受およびブラケットを採用することができる。
【0064】
以上述べた発明は、本願発明者が、ブラケットと軸受ハウジングとの嵌合部分を無くすことでブラシレスモータの更なる薄型化、小型化が可能であることに着目したことに基づくものである。また、本願発明者は、ブラシレスモータの固定位置からブラシレスモータの軸芯までの寸法精度を高めるためには、ブラケットとシャフトとの間に存在する複数の部品の寸法公差の累積が問題となっていることにも着目している。さらに、本願発明者は、部品同士の結合強度を落とすことなく、ブラケットとシャフトの間に存在する部品点数を削減可能なブラシレスモータの構造を鋭意研究した結果、部品同士の結合強度を確保しながら、薄型化、小型化が可能であり、寸法公差の累積が少なくなるブラシレスモータの上記構成およびその製造方法に至ったものである。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。