(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケースは、前記燃料タンクの底壁に取り付けられ、このケースに形成されている前記台座部上に、前記燃料ポンプを載置したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の燃料供給装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、コストダウンを目的として、ポンプケースの材質をアルミ等の金属から樹脂に変更することが考えられる。しかし、通常、アルミから樹脂にポンプケースの材質を変更すると、ポンプケースの強度が低下する。したがって、上述のように位置決め突起とポンプケースとを当接させた構造では、樹脂で形成されたポンプケースが変形するおそれがある。ポンプケースが変形すると、ポンプケースの内面とインペラとのクリアランスがなくなり、インペラとポンプケースの内面との接触による摺動抵抗が増加して燃料ポンプの効率が低下するおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、樹脂により形成されたポンプケースの変形、およびインペラとポンプケースの内面との接触を抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプの効率低下を防止できる低コストな燃料供給装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る燃料供給装置は、燃料タンク内に配置され、前記燃料タンク内の燃料を汲み上げて内燃機関へと圧送する燃料ポンプと、前記燃料ポンプを支持すると共に、前記燃料タンクの壁面に取り付けられるケースとを備えた燃料供給装置において、前記燃料ポンプは、モータ部と、前記モータ部の下部に設けられたポンプ部と、前記モータ部および前記ポンプ部の周囲を覆うように形成された金属製のハウジングケースと、を備え、前記ポンプ部は、樹脂により形成されたポンプケースを有し、前記ハウジングケースの内側には、前記ポンプケースに当接する鍔部が形成されており、前記燃料ポンプは、前記鍔部を介して、前記ケースに支持され
ており、前記ケースには、有底筒状に形成されたカップ体(実施形態における「アッパーカップ」および「ロワーカップ」に相当。)が係合されているとともに、前記ケースの内周面のうち少なくとも一部は、前記カップ体の開口端の外周面と当接することを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、ケース内に燃料ポンプを載置したとき、燃料ポンプはハウジングケースの鍔部を介してケースに支持されるので、吐出圧の反力等の外力が発生しても、樹脂製のポンプケースに外力が直接伝達されることがない。したがって、樹脂により形成されたポンプケースの変形、およびインペラとポンプケースの内面との接触を抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプの効率低下を防止できる。
また、ポンプケースを樹脂で形成することにより、例えば、アルミダイキャスト等によりポンプケースを金属で形成する場合よりも、低コストにポンプケースを形成することができる。したがって低コストな燃料供給装置を提供することができる。
【0012】
また、本発明の請求項2に係る燃料供給装置は、前記ケース内に、前記鍔部を介して、前記ポンプケースを支持する台座部を設けたことを特徴としている。
本発明によれば、ケース内に燃料ポンプを載置したとき、ケースの台座部がハウジングケースの鍔部に当接するので、台座部がポンプケースに直接当接することなく、鍔部を介して燃料ポンプを支持することができる。これにより、吐出圧の反力等の外力が発生しても、台座部からポンプケースに対して外力が直接伝達されることがない。したがって、樹脂により形成されたポンプケースの変形、およびインペラとポンプケースの内面との接触を確実に抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプの効率低下を効果的に防止できる。
【0013】
また、本発明の請求項3に係る燃料供給装置は、前記鍔部の根元部を介して、前記ポンプケースを支持するように形成されていることを特徴としている。
鍔部の根元部は、ハウジングケースの下方端部によって支持されているため、鍔部の先端部よりも強度を有している。本発明によれば、台座部は、強度を有する鍔部の根元部を介してポンプケースを支持しているので、鍔部の変形を抑制することができる。したがって、樹脂により形成されたポンプケースの変形、およびインペラとポンプケースの内面との接触を抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプの効率低下を防止できる。
【0014】
また、本発明の請求項4に係る燃料供給装置は、前記ポンプケースと前記鍔部との間に、シール部材を設けたことを特徴としている。
本発明によれば、例えば吐出圧の反力等の外力が発生しても、ポンプケースと鍔部との間に設けたシール部材により、外力を吸収することができる。これにより、ポンプケースに伝達される外力を緩和することができる。したがって、樹脂により形成されたポンプケースの変形、およびインペラとポンプケースの内面との接触を抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプの効率低下を防止できる。さらに、安定した燃料ポンプの性能を長期にわたって維持することができる。
【0015】
また、本発明の請求項5に係る燃料供給装置は、前記鍔部が、前記ハウジングケースの下方端部に形成された内フランジ部であることを特徴としている。
本発明によれば、鍔部を強固に形成することができるので、鍔部の変形を抑制することができる。したがって、樹脂により形成されたポンプケースの変形、およびインペラとポンプケースの内面との接触を確実に抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプの効率低下を防止できる。また、モータ部とポンプ部とを確実に一体化することができる。さらに、シール部材と、ポンプケースおよび鍔部とが確実に密着するので、シール性を高めることができる。
【0016】
また、本発明の請求項6に係る燃料供給装置は、前記燃料タンクの底壁に取り付けられ、このケースに形成されている前記台座部上に、前記燃料ポンプを載置したことを特徴としている。
本発明によれば、燃料タンクの底壁に取り付けられる燃料供給装置に、上述の構造を適用できる。とりわけ燃料ポンプの下側にフランジユニットが設けられている、いわゆる下付けタイプの燃料供給装置に好適に用いることができる。したがって、燃料タンクの下側に固定される燃料供給装置で、樹脂により形成されたポンプケースの変形、およびインペラとポンプケースの内面との接触を確実に抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプの効率低下を防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ケース内に燃料ポンプを載置したとき、燃料ポンプはハウジングケースの鍔部を介してケースに支持されるので、吐出圧の反力等の外力が発生しても、樹脂製のポンプケースに外力が直接伝達されることがない。したがって、樹脂により形成されたポンプケースの変形、およびインペラとポンプケースの内面との接触を抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプの効率低下を防止できる。
また、ポンプケースを樹脂で形成することにより、例えば、アルミダイキャスト等によりポンプケースを金属で形成する場合よりも、低コストにポンプケースを形成することができる。したがって低コストな燃料供給装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態、下付けタイプの燃料供給装置)
以下に、第1実施形態の燃料供給装置について、図を参照して説明する。なお、インタンク式の燃料供給装置は、燃料タンクの上部に取り付ける上付けタイプと、燃料タンクの底部に取り付ける下付けタイプとが存在するが、第1実施形態では下付けタイプを例にして説明している。また、燃料ポンプの軸方向の相対位置を単に上側、下側と表現している。
【0020】
燃料供給装置1は、燃料タンク2の底壁2b(
図2参照)に形成されている開口部2aから挿入され、燃料タンク2の底壁2bに取り付けられている。燃料供給装置1は、燃料タンク2内に配置される燃料ポンプ3と、燃料ポンプ3に外挿されるアッパーカップ25と、燃料タンク2の底壁2bに取り付けられ、燃料ポンプ3を支持するフランジユニット4(請求項の「ケース」に相当)とを備えている。
【0021】
(燃料ポンプ)
燃料ポンプ3は、略円柱形状に形成されており、燃料ポンプ3の上側に配設されたモータ部30と、燃料ポンプ3の下側に配設されたポンプ部40とを有している。
モータ部30には、例えば、ブラシ(不図示)付きの直流モータ30aが使用される。モータ部30の中央には出力軸30bが配置されており、モータ部30の上側と、ポンプ部40の下側とにより回動自在に枢支されている。なお、出力軸30bのポンプ部40側には、後述するように位置規制用のDカット面(不図示)が形成されている。
【0022】
また、モータ部30の上側には、ブラシと電気的に接合している一対のモータ端子32が、燃料ポンプ3の上側において中心軸Oに沿って立設されている。一対のモータ端子32には、ハーネス6が接続されており、ハーネス6により外部電源とモータ部30とが電気的に接続されて、外部電源から直流モータ30aを駆動するための電力が供給される。
また、モータ部30の上側におけるモータ端子32およびブラシの周辺は、モータ部30の他の部分よりも若干縮径されており、段部30cが形成されている。段部30cには、後述するハウジングケース20の上端がカシメられている。
【0023】
また、モータ部30の上側には、燃料を排出する排出ポート31と、この排出ポートと連通するチェックバルブ74とが設けられている。排出ポート31およびチェックバルブ74は、後述する燃料流路ユニット52に接続され、燃料流路ユニットと連通している。チェックバルブ74は、排出ポート31から排出された燃料が、燃料流路ユニット52から燃料ポンプ3内に逆流しないようにするためのものである。
【0024】
(ポンプ部)
ポンプ部40は、インペラ47を有する非容積型のポンプが用いられており、インペラ47と、インペラ47の全体を覆うように形成されたポンプケース45とにより構成されている。
インペラ47は、樹脂からなる略円板状に形成された部材である。インペラ47の略中央には、挿通孔47cが形成されており、直流モータ30aの出力軸30bが挿通される。インペラ47の挿通孔47cおよび出力軸30bのインペラ47側には、例えばDカット面が形成されている。そして、挿通孔47cおよび出力軸30bのDカット面を合わせつつ、インペラ47の挿通孔47cに出力軸30bが挿通されている。挿通孔47cおよび出力軸30bのDカット面により、モータ部30の直流モータ30aによりインペラ47が駆動された際に、直流モータ30aの出力軸30bとインペラ47との相対回転を規制している。
【0025】
インペラ47の上面および下面における外周側には、複数の羽根部(不図示)が形成されており、複数の羽根部の間は、インペラ47の下面と上面とを貫通している。また、インペラ47の径方向における挿通孔47cと羽根部との間には、インペラ47の下面と上面とを貫通する燃料流路孔(不図示)が形成されている。直流モータ30aが駆動されてインペラ47が回転すると、燃料は、燃料流路孔を通過し、インペラの下側から上側に向かって圧送される。
【0026】
(ポンプケース)
インペラ47の全体を覆うポンプケース45は、ロワケース42とアッパーケース43とミドルケース44とにより構成されている。具体的にポンプケース45は、インペラ47が内側に配置されたミドルケース44を、ロワケース42とアッパーケース43とで挟持することにより、インペラ47の全体を覆うように形成されている。そして、ロワケース42、アッパーケース43およびミドルケース44は、中心軸Oに沿うように、下側から上側に向かってロワケース42、ミドルケース44、アッパーケース43の順に並設されている。
ロワケース42、アッパーケース43およびミドルケース44の各ケースは、いずれも耐油性を有する樹脂からなり、例えばインジェクション成型等により形成される。
【0027】
ロワケース42は、モータ部30と略同一の外径を有した略円盤状の部材である。ロワケース42の略中央には、直流モータ30aの出力軸30bを支持する軸支部42cが形成されている。軸支部42cは有底の孔であり、底面には不図示のスラストプレートが配置されている。スラストプレートは、出力軸30bの軸方向の荷重を受けるとともに、出力軸30bの摺動抵抗を低減している。
【0028】
ロワケース42の下面42bの外径側には、下側に突出した燃料吸入口41が形成されている。燃料吸入口41は略筒状に形成されており、燃料吸入口41の内側が燃料の通路となっている一方、燃料吸入口41の外側が後述するフランジユニット4に嵌合されている。これにより、燃料吸入口41は、フランジユニット4に形成されたフィルタ排出管51および燃料供給装置1とは別に設けられたフィルタユニット(不図示)と連通している。
【0029】
また、ロワケース42の下面42bの縁部には、段差部48が形成されている。段差部48は、ロワケース42の下面42b側を縮径させることにより形成される。段差部48には、シール部材としての角リング46が、段差部48の底部48aと接するように装着される。角リング46については後述する。
【0030】
ロワケース42の上面42aには、軸方向から見て略C字状の溝部(不図示)が形成されている。溝部の一端側には、ロワケース42の下面42bと上面42aとを貫通する燃料流路孔(不図示)が形成されている。燃料流路孔は燃料吸入口41と連通しており、燃料吸入口41から吸入された燃料が通過する。
【0031】
アッパーケース43は、ロワケース42と同様に、モータ部30と略同一の外径を有した略円盤状の部材である。アッパーケース43の略中央には挿通孔43cが形成されており、直流モータ30aの出力軸30bが挿通される。また、挿通孔43cの外周側には、アッパーケース43の下面43bと上面43aとを貫通する燃料流路孔(不図示)が形成されている。燃料流路孔はモータ部30と連通しており、インペラ47から圧送された燃料が通過する。
【0032】
ミドルケース44は、モータ部30と略同一の外径を有した略リング状の部材である。ミドルケース44の内側には、ミドルケース44の中心軸とインペラ47の中心軸とが一致するように、インペラ47が配置される。ミドルケース44の内径は、インペラ47の外径よりも若干大きくなるように形成されており、ミドルケース44の内面44a(すなわちポンプケースの内面44a)とインペラ47の外周面との間にクリアランスC1(
図3参照)が形成される。ここで、燃料ポンプ3の効率は、ポンプケース45とインペラ47とのクリアランスに依存する。したがって、クリアランスC1は要求される燃料ポンプ3の効率に応じて、所定値に設定される。
【0033】
ミドルケース44は、アッパーケース43とロワケース42との間に配置される。ここで、ミドルケース44の軸方向の厚さは、上述のインペラ47と略同一か、若干厚くなるように形成されている。すなわち、ミドルケース44は、インペラ47の上面47aとアッパーケース43の下面43b、およびインペラ47の下面47bとロワケース42の上面42aとの接触を防止するスペーサの役割をしている。そして、インペラ47の上面47aとアッパーケース43の下面43bとの間に、クリアランスC2(
図3参照)が形成される。また、インペラ47の下面47bとロワケース42の上面42aとの間に、クリアランスC3(
図3参照)が形成される。クリアランスC2およびC3は、前述のクリアランスC1と同様に、要求される燃料ポンプ3の効率に応じて、所定値に設定される。
【0034】
ここで、上述のモータ部30およびポンプ部40は、ハウジングケース20により覆われている。ハウジングケース20は、鉄等からなる略円筒状の部材であり、例えばシームレス管を切断することにより形成される。
ハウジングケース20の上側端部はカシメ部22となっており、モータ部30に形成された段部30cに対してカシメられている。
【0035】
(鍔部)
ハウジングケース20は、ハウジングケース20の下側端部から内側に向かって屈曲延出する鍔部21を有している。鍔部21は内フランジ部となっており、シームレス管を切断してハウジングケース20の本体を形成した後、ハウジングケース20の下側端部に、例えばプレスによる曲げ加工等を施して形成される。鍔部21はハウジングケースと一体形成されており、鍔部21の根元部21bは、ハウジングケース20の端部と接続されている。
鍔部21の先端部21aの内径は、ロワケース42に形成された段差部48の側部48bの外径よりも若干大きく形成されている。したがって、鍔部21における先端部21aの内径側に、ロワケース42の側部48bが配置される。
【0036】
ポンプケース45の段差部48とハウジングケース20の鍔部21との間には、角リング46が設けられている。角リング46は、断面が略矩形状に形成されたフッ素ゴム等の耐油性に優れた材料からなる部材である。角リング46の軸方向の厚さは、ポンプケース45に形成された段差部48の軸方向の高さよりも低くなるように設定されている。
【0037】
(アッパーカップ)
燃料ポンプ3に外挿されるアッパーカップ25は、耐油性に優れた樹脂により形成された有底筒状の部材であり、例えばインジェクション成型等により形成される。
アッパーカップ25の上側には、液面検出器60の取付部61が形成されている。取付部61は、径方向外側に向かって延出形成された板状に形成されており、アッパーカップ25を形成する際、同時にインジェクションにより成型される。液面検出器60は、取付部61にスナップフィット等により固定される。
【0038】
アッパーカップ25は、燃料ポンプ3に外挿される筒部24を有している。筒部24は、下側に配置された大径部26と、上側に配置された小径部27とを備えている。
筒部24の大径部26の外周面には、フランジユニット4に設けられた係合片15aの係合孔に対応する位置に、係合凸部25aが形成されている。これらアッパーカップ25の係合凸部25aと、フランジユニット4の係合片15aとによって、両者がスナップフィットし、アッパーカップ25とフランジユニット4とが一体化される。
【0039】
アッパーカップ25の筒部24の内側には、燃料ポンプ3から吐出された燃料が通る燃料流路ユニット52が設けられている。燃料流路ユニット52は、筒部24の小径部27の上側端面から、筒部24の外周面にわたって断面略L字状に形成されている。
【0040】
また、アッパーカップ25の小径部27の内側には、中心軸Oを挟んでチェックバルブ74とは反対側に、プレッシャレギュレータ76が設けられている。燃料流路ユニット52内の燃圧を一定に保つためのものであり、燃料流路ユニット52内に余剰な燃圧が発生した場合に、燃料流路ユニット52内の燃料をリザーバ部11に排出している。
【0041】
(フランジユニット)
燃料供給装置1は燃料ポンプ3の下側に配置され、燃料タンク2の底壁2bに取り付けられるフランジユニット4を備えている。フランジユニット4は、耐油性に優れた樹脂等からなる部材であり、例えばインジェクション成型等により形成される。
フランジユニット4は、略円盤形状のフランジ部12と、フランジ部12の上側に形成される係合部15と、フランジ部12の下側に形成されるユニット本体10とにより構成されている。
【0042】
フランジ部12には、燃料タンク2の開口部2aに対応する部位に、環状部13が形成されている。燃料タンク2にフランジ部12を取付けることにより、フランジ部12よりも下側が燃料タンク2の外部に露出した状態になる。また、フランジ部12よりも上側が燃料タンク2内の燃料に浸漬された状態になる。なお、フランジ部12と燃料タンク2の底壁2bとの間には、ゴム等からなるシール部材(不図示)が設けられており、燃料供給装置1と燃料タンク2との間のシール性を確実に確保できるようになっている。
【0043】
フランジ部12の上側には、後述するアッパーカップ25に形成された係合凸部25aと係合する係合部15が設けられている。係合部15は、軸方向からみて略円形状に形成されている。係合部15の周縁には、上側に突出する係合片15aが複数個所(本実施形態では4箇所)形成されている。係合片15aは、先端側が拡径する方向に向かって弾性変形可能に形成されている。また、係合片15aには、アッパーカップ25に形成されている係合凸部25aと係合可能な係合孔が形成される。アッパーカップ25に係合部15をスナップフィットさせて、フランジユニット4とアッパーカップ25とを固定している。
【0044】
ユニット本体10は有底筒状に形成されており、燃料ポンプ3の下側から燃料ポンプ3に外挿される。ユニット本体10の内周面10aは、燃料ポンプ3の外径よりも大径となるように設定されており、ユニット本体10の内周面10aと燃料ポンプ3の外周面との間にはクリアランスが形成される。このクリアランスにより、プレッシャレギュレータ76とリザーバ部11とを連通する、燃料のリターン流路が形成される。
【0045】
ユニット本体10には、コネクタ14が一体成形されている。コネクタ14は有底筒状の部材であり、径方向外側に開口するコネクタ嵌合面を有している。
コネクタ14の内部にはコネクタ端子34が設けられており、一端側34aはコネクタ14の内側に突出している。このコネクタ端子34の一端側34aには、外部電源(不図示)に電気的に接続された外部コネクタ(不図示)が嵌着される。
また、コネクタ端子34の他端側34bは、フランジ部12の上側に突出している。コネクタ端子34の他端側34bにはハーネス6が接続され、外部電源からモータ部30および液面検出器60に対して電力が供給される。
【0046】
ユニット本体10の内側には、ユニット本体10の内周面10aと底面10bとによりスペースが形成されている。このスペースは、燃料が貯留されるリザーバ部11として機能している。また、ユニット本体10の外側には、リザーバ部11と連通し、燃料の流路となる不図示のフィルタ導入管、フィルタ排出管51および燃料取出管57が形成されている。
【0047】
フィルタ導入管およびフィルタ排出管51は、燃料供給装置1とは別に設けられた不図示のフィルタユニットと連通している。リザーバ部11内に貯留された燃料は、フィルタ導入管を通じて、フィルタユニットに導入され、濾過された後に排出される。
その後、燃料ポンプ3は、フィルタ排出管51を通じて、ポンプ部40の燃料吸入口41から燃料を汲み上げる。そして、燃料は、ポンプケース45内を通過してモータ部30の上側に圧送され、燃料流路ユニット52を通った後、燃料取出管57を通って内燃機関(不図示)に搬送される。
【0048】
(台座部)
また、ユニット本体10の内側には、台座部65が形成されている。台座部65は、ユニット本体10の内周面10aの下側が縮径することにより形成される。本実施形態では、ユニット本体10の内周面10aの下側が縮径してリザーバ部11が形成されており、このリザーバ部11により台座部65が形成されている。台座部65に燃料ポンプ3を載置した後、燃料ポンプ3の上側からアッパーカップ25を外挿し、フランジユニット4にアッパーカップ25を固定することで、燃料ポンプ3がフランジユニット4に支持される。
【0049】
台座部65の内径は、鍔部21の先端部21aの内径よりも大径になるように、かつハウジングケース20の外径よりも小径となるように設定される。このように台座部65の内径を設定し、台座部65の上面65aと鍔部21の根元部21bとを当接させて、フランジユニット4に燃料ポンプ3を載置している。
なお、上述のとおり鍔部21は、ハウジングケース20の下側端部を曲げることにより形成されるので、鍔部21の根元部21bは、ハウジングケース20の端部と接続されている。このため、鍔部21の先端部21aよりも鍔部21の根元部21bのほうが高い強度を有している。したがって、上述のように台座部65の上面65aと鍔部21の根元部21bとを当接させるのが望ましい。
【0050】
(効果)
本実施形態によれば、フランジユニット4内に燃料ポンプ3を載置したとき、燃料ポンプ3はハウジングケース20の鍔部21を介してフランジユニット4に支持されるので、吐出圧の反力等の外力が発生しても、樹脂製のポンプケース45に外力が直接伝達されることがない。これにより、ポンプケース45に伝達される外力を緩和することができるので、ポンプケース45の変形を抑制して、インペラ47とポンプケース45とのクリアランスC1,C2およびC3を保持することができる。したがって、樹脂により形成されたポンプケース45の変形およびインペラ47とポンプケース45の内面との接触を抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプ3の効率低下を防止できる。
また、ポンプケース45を樹脂で形成することにより、例えば、アルミダイキャスト等によりポンプケース45を金属で形成する場合よりも、低コストにポンプケース45を形成することができる。したがって低コストな燃料供給装置1を提供することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、フランジユニット4内に燃料ポンプ3を載置したとき、フランジユニット4の台座部65がハウジングケース20の鍔部21に当接するので、台座部65がポンプケース45に直接当接することなく、鍔部21を介して燃料ポンプ3を支持することができる。これにより、吐出圧の反力等の外力が発生しても、台座部65からポンプケース45に対して外力が直接伝達されることがないので、ポンプケース45の変形を抑制して、インペラ47とポンプケース45とのクリアランスC1,C2およびC3を保持することができる。したがって、樹脂により形成されたポンプケース45の変形およびインペラ47とポンプケース45の内面44aとの接触を確実に抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプ3の効率低下を効果的に防止できる。
【0052】
また、本実施形態では、鍔部21の根元部21bがハウジングケース20の下方端部によって支持されているため、鍔部21の先端部21aよりも強度を有している。すなわち、本実施形態によれば、台座部65は、強度を有する鍔部21の根元部21bを介してポンプケース45を支持しているので、鍔部21の変形を抑制することができる。したがって、樹脂により形成されたポンプケース45の変形およびインペラ47とポンプケース45の内面44aとの接触を抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプ3の効率低下を防止できる。
【0053】
また、本実施形態によれば、例えば吐出圧の反力等の外力が発生しても、ポンプケース45と鍔部21との間に設けた角リング46(シール部材)により、外力を吸収することができる。これにより、ポンプケース45に伝達される外力を緩和することができる。したがって、樹脂により形成されたポンプケース45の変形およびインペラ47とポンプケース45の内面44aとの接触を抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプ3の効率低下を防止できる。さらに、安定した燃料ポンプ3の性能を長期にわたって維持することができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、鍔部21を強固に形成することができるので、鍔部21の変形を抑制することができる。したがって、樹脂により形成されたポンプケース45の変形およびインペラ47とポンプケース45の内面44aとの接触を確実に抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプ3の効率低下を防止できる。また、モータ部30とポンプ部40とを確実に一体化することができる。さらに、角リング46と、ポンプケース45および鍔部21とが確実に密着するので、シール性を高めることができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、燃料タンク2の底壁2bに取り付けられる燃料供給装置1に、上述の構造を適用している。とりわけ燃料ポンプ3の下側にフランジユニット4が設けられている、いわゆる下付けタイプの燃料供給装置1に好適に用いることができる。したがって、燃料タンク2の下側に固定される燃料供給装置1で、樹脂により形成されたポンプケース45の変形およびインペラ47とポンプケース45の内面44aとの接触を確実に抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプ3の効率低下を防止できる。
【0056】
(第2実施形態、上付けタイプの燃料供給装置)
次に、第2実施形態について、
図5から
図8を用いて説明する。第1実施形態では、燃料タンク2の底部に取り付ける、いわゆる下付けタイプの燃料供給装置1に本発明を適用した場合について説明した。しかし、第2実施形態では、燃料タンク2の上部に取り付ける、いわゆる上付きタイプの燃料供給装置1に本発明を適用した場合について説明する点で、第1実施形態とは異なっている。なお、第1実施形態および第1実施形態の変形例と同様の構成部分については、詳細な説明を省略する。
【0057】
第2実施形態の燃料供給装置1は、燃料タンク2の上壁2c(
図6参照)に形成されている開口部2aに挿入され、燃料タンク2の上壁2cに取り付けられている。燃料供給装置1は、燃料タンク2内に配置される燃料ポンプ3と、燃料ポンプ3に外挿され、燃料ポンプ3を支持するロワーカップ100(請求項の「ケース」に相当)と、燃料タンク2の上壁2cに取り付けられるフランジユニット4とを備えている。
【0058】
(フランジユニット)
燃料供給装置1は燃料ポンプ3の上側に配置され、燃料タンク2の上壁2cに取り付けられるフランジユニット4を備えている。
フランジ部12には、燃料タンク2の開口部2aに対応する部位に、環状部13が形成されている。燃料タンク2にフランジ部12を取付けることにより、フランジ部12よりも上側が燃料タンク2の外部に露出した状態になる。また、フランジ部12よりも下側が燃料タンク2内の燃料に浸漬された状態になる。
【0059】
フランジ部12の下側には、後述するロワーカップ100に形成された係合凸部25aと係合する係合部15が設けられている。係合部15の周縁には、下側に突出する係合片15aが複数個所(本実施形態では4箇所)形成されている。ロワーカップ100に係合部15をスナップフィットさせて、フランジユニット4とロワーカップ100とを固定している。
【0060】
ユニット本体10は有底筒状に形成されており、燃料ポンプ3の下側から燃料ポンプ3に外挿される。ユニット本体10の内側には、燃料流路ユニット52が形成されている。燃料流路ユニット52は、プレッシャレギュレータ76、チェックバルブ74、および燃料取出管57と連通している。
【0061】
(ロワーカップ)
燃料ポンプ3の下側に外挿されるロワーカップ100は、耐油性に優れた樹脂により形成された有底筒状の部材であり、例えばインジェクション成型等により形成される。
ロワーカップ100の径方向外側には、液面検出器60の取付部61が形成されている。取付部61は、径方向外側に向かって延出形成された板状に形成されており、アッパーカップ25を形成する際、同時にインジェクションにより成型される。
【0062】
また、ロワーカップ100の下側には、フィルタユニット90が取り付けられている。フィルタユニット90は、フィルタ排出管51を介して、燃料吸入口41と連通しており、燃料タンク2内の燃料は、フィルタユニット90およびフィルタ排出管51を介して、ポンプ部40の燃料吸入口41に導入される。そして、燃料は、ポンプケース45内を通過してモータ部30の上側に圧送され、燃料流路ユニット52を通った後、燃料取出管57を通って内燃機関(不図示)に搬送される。
【0063】
(台座部)
また、
図7および
図8に示すように、ロワーカップ100の内側には、台座部65が形成されている。台座部65は、ロワーカップ100の内周面100aの下側が縮径することにより形成される。ロワーカップ100の台座部65に燃料ポンプ3を載置した後、燃料ポンプ3の上側からフランジユニット4を外挿し、ロワーカップ100にフランジユニット4を固定する。これにより、燃料ポンプ3のハウジングケース20がロワーカップ100の台座部65に当接した状態で支持される。
【0064】
(第2実施形態の効果)
本実施形態によれば、燃料タンク2の上壁2cに取り付けられる燃料供給装置1に、上述の構造を適用している。とりわけ燃料ポンプ3の上側にフランジユニット4が設けられている、いわゆる上付けタイプの燃料供給装置1に好適に用いることができる。したがって、燃料タンク2の上側に固定される燃料供給装置1で、樹脂により形成されたポンプケース45の変形およびインペラ47とポンプケース45の内面44aとの接触を確実に抑制し、摺動抵抗の増加による燃料ポンプ3の効率低下を防止できる。
【0065】
なお、この発明は上述した実施の形態に限られるものではない。
第1実施形態では、ユニット本体10の内周面10aの下側を縮径させてリザーバ部11を形成し、このリザーバ部11により台座部65を形成している。しかし、リザーバ部11とは別に内周面10aの縮径部を設けることにより台座部65を形成してもよい。ただし、フランジユニット4のスペースを有効に使って台座部65を設けている点で、本実施形態に優位性がある。
【0066】
第1実施形態では、ハウジングケース20の下側端部を曲げ加工等することにより鍔部21を形成している。しかし、例えば、別部品として鍔部を形成した後、ハウジングケース20の端部に溶接等で接続してもよい。ただし、鍔部21をハウジングケース20と一体形成することにより、低コストに鍔部21を形成でき、かつ強度に優れている点で、本実施形態に優位性がある。
【0067】
第1実施形態では、ポンプケース45と鍔部21との間に配置するシール部材として、角リング46を採用している。しかし、シール部材は角リング46に限られることはなく、Oリングでもかまわない。また、燃料ポンプ3にハウジングケース20を組み付ける際に、ポンプケース45の段差部48にシリコン等を塗布することにより、ポンプケース45と鍔部21との間にシール部材を配置してもよい。