(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットが普及するまでは、ポスターやパンフレット、さらに様々なテレビ、新聞、雑誌等のマスメディアを利用した広告やPR等によって、企業が消費者に提供する商品やサービスの宣伝広告が行われていた(マスマーケティング)。そして、このようなマスマーケティングは、実際にその商品等に対してニーズや興味を持たず結果として購買行動を起こさない消費者に対しても非選択的に宣伝広告が打たれることが普通であった。このため、これらの宣伝広告にかかるコストは莫大なものとなり、また膨大なコストをかけて行った宣伝広告が売上げに結びつきにくく非効率であった。
【0003】
しかし、現在では、インターネットの普及及び高度な情報技術の進展により、これまで実質的には不可能であった消費者の嗜好、興味、購買履歴等を、コンピュータとネットワークを通じて収集し分析することが可能となった。これにより、消費者層化や消費者ターゲティング等を行って宣伝広告の対象を絞り込むことができ、嗜好や興味が合致する商品等の宣伝広告を特定の消費者に対して効果的に行うことができるようになった(ダイレクトマーケティング)。このようなダイレクトマーケティングは、消費者が必要とし、興味を持ち、消費者の嗜好にマッチし、消費者が購買意欲を持っている商品等が提供されるため、消費者にとってもメリットが大きいといえる。
【0004】
インターネットを活用したダイレクトマーケティングとしては、消費者が閲覧したウェブページやコンテンツのカテゴリを記憶し、消費者のプロファイル(嗜好・趣味)を推測して、消費者が今見ているウェブページに消費者の趣味や嗜好に合致する広告を表示する、コンテキスト広告と呼ばれるものがその一例である。また、インターネットを活用したダイレクトマーケティングでは、消費者のより細やかなニーズを満たす商品等を提供するために、例えばクッキーやアドウェア等の個人情報収集技術を利用して消費者のインターネット上の行動履歴情報(ウェブ閲覧履歴、メール送受信履歴、SNS(Social Networking Site)送信閲覧履歴等)を収集、蓄積し、また、自社製品に興味を持つ消費者に自社ホームページ等を通じて個人情報を登録させて、取得した個人情報等を用いて商品等の宣伝広告を行う場合が多い。
【0005】
ところで、例えば特許文献1には、プライバシーを保護しつつユーザの生活履歴に対応した適切な広告を配信できるようにする技術が開示されている。当該技術では、ユーザ端末は、ユーザの生活履歴を公開生活履歴情報と非公開生活履歴情報とに分離し、公開生活履歴情報のみ広告配信サーバに提供する。そして、広告配信サーバで、公開生活履歴情報を広告配信条件に含む広告データを選別する。また、広告配信サーバは、非公開生活履歴情報に対応する所定の広告配信条件と関連の強い公開生活履歴情報を推定し、推定された公開生活履歴情報を広告配信条件に含む広告データを優先的に配信する。ユーザ端末は、広告データをダウンロードすると、非公開生活履歴情報と広告データとを照合し、非公開生活履歴情報と合致する広告配信条件をもつ広告情報を表示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ソーシャルネットワークや登録制サービスなどに代表されるコミュニティを想定し、サービスを受けられることを前提としており、ユーザの端末で行われている行動履歴をサーバに送り、サーバがユーザの行動履歴を把握し、ユーザの端末に対してその行動履歴に適合した広告を返すことを含むものである。
【0022】
<構 成>
図1は、本発明に係る情報処理システムの一実施の形態を示す概念図である。
同図に示すシステムは、ネットワーク5と、ネットワーク5に接続された複数の端末としてのクライアント装置(以下、端末と表記)1a〜1nと、ネットワーク5に接続されたサーバ装置2と、サーバ装置2に接続されたDB(Data Base)3とを備える。
端末1a〜1nは、上位概念化された行動履歴に基づいてサーバから情報を受信し、上位概念化する前の行動履歴に基づいて受信した情報を表示するか否かを判断する機能を有し、例えば、PCが挙げられる。
DB3は、各端末1a〜1nに送るための情報(例えば、広告情報)を記憶するための手段であり、例えば、HDD(Hard Disc Drive)が挙げられる。
【0023】
図2は、
図1に示した情報処理システムに用いられる端末のソフトウェアの一例を示すブロック図の一例である。
図2に示す端末1は、行動情報収集手段11、行動情報の段階化手段12、行動情報送信手段13、他人の行動情報受信手段14、自行動の珍しさ判断手段15、及び詳細段階化送信指示手段16を備える。
ここで、「段階」とは、端末1のユーザに関するプライバシー情報を含む行動履歴を階層的に明らかに公開可能になるまで上位概念化した際の個々のレベルを意味する。
【0024】
行動情報収集手段11は、端末1のユーザの利用状態や利用履歴を含む行動情報を収集する手段である。
【0025】
行動情報の段階化手段12は、端末1のユーザの行動情報を段階化する手段であり、上位を最も抽象化した「段階1」とし、下位に向かって具体的になり、「段階」の数値が1ずつ増加するようになっている。ここで、最下位段階はユーザ行動そのものを表す。
【0026】
行動情報送信手段13は、端末1のユーザの行動情報を上位概念から下位概念にわたって段階的にサーバ2に送信する手段である。
【0027】
他人の行動情報受信手段14は、端末1以外の端末(他端末18)のユーザの行動情報を受信する手段である。
【0028】
自行動の珍しさ判断手段15は、端末1のユーザの行動が他端末18のユーザの行動からどれだけかけ離れているか、あるいは同等かを判断する手段である。
【0029】
詳細段階化送信指示手段16は、自行動の珍しさ判断手段15の判断結果に基づき、端末1において1つ下位の段階の行動情報をサーバ2に送信するように、行動情報送信手段13に指示する手段である。
【0030】
<動 作>
端末1の行動情報をそのままサーバ2に送ると、端末1のユーザのプライバシー情報が公開されてしまうので、端末1のユーザの行動を上位概念化した行動情報(もしくは行動履歴)をサーバ2に送るようになっている。
サーバ2で、端末1のユーザの行動と同じ行動を取っている、他端末18のユーザが居た場合、例えば、同じショッピングサイト(商品売買のためのネットワークサーバ:以下、サイトと表記)に複数の端末がアクセスしているとする。
このような状態でたまたま端末1がTV(Tele Vision)を視聴できるPC(Personal Computer)であって、端末1のユーザがそのサイトにアクセスしつつ、TVを見ていた場合、端末1のユーザはPCに向かって操作していると言う情報が端末1からサーバ2に送られる。端末1がサイトにアクセスすると、サイトでは端末1のユーザが操作中であることが分かるが、例えば5分経過したら、従来であれば、そのサイトを端末1がまだ閲覧しているか否かは不明であった。ここで、「PCに向かって操作している」という情報をえることができれば、端末1のユーザが継続してそのサイトの画面を見ているか否かはサイトのサーバ2および他端末18は判断することが可能である。
例えば、端末1のユーザがその端末1用のリモコン(登録商標)の操作によりTV番組のチャンネルを変えたり、マウス操作を行ったりすれば、端末1の操作状態が「PCに向かって操作している」ということになり、操作状況をサーバ2および他の端末18には把握することができる。
端末1のユーザによる操作状況は、端末及び他端末18はサーバ2側に定期的に情報を流す必要がある。
このとき、グループの概念を用いて、端末群を適宜グループ分け(グルーピングともいう)することが行ってもよい。例えば、端末1の行動履歴は、サーバ2と同じグループに属する他端末18に送信され、異なるグループに属す他端末18には送信されないようにすることができる。そしてサーバ2はグループの単位で行動情報を受け取り、それに合致する情報を当該グループに対して送信する。このようにすることで、グループ単位で各ユーザの行動情報が混合することになり、匿名性とターゲッティングの効率性との両立を図ることができる。
【0031】
両端末1、18が同一グループに属していることが互いの端末1、18同士で分かる。ここでは、他端末が特定できる必要性はなく、同一グループに属している端末の台数が判ればよい。そして、サーバ2に送信されている行動情報を同一グループで共有し、同一行動情報を計数する。この計数値が十分に大きければ、端末1のユーザの行動が特異的ではないことがわかる。この情報は端末1のユーザのプライバシー情報を含んでいないと判断することができる。すなわち、行動情報からは、端末1のユーザは他のユーザと区別がつかない。
逆に、この計数値が小さい場合は、端末1のユーザが普通の人と異なる行動をしているため、他のユーザと区別できる可能性が高まる。
端末1が公開している行動情報に対して、同一の行動を行っているユーザの人数を計数することによって行動情報の匿名度合いを決めることができる。同一グループに属す個々のユーザは、お互いにお互いが同じ行動情報を出しているのなら、もう一段階具体的な情報を発信しようと試みる。
【0032】
例えば、TV番組の視聴が可能な端末1のユーザがあるTV番組の映像を見ていると、端末1のユーザの行動情報の階層は、映像視聴→生放送→地上波→視聴チャンネルの順の段階がある。
そして、初めに「映像を視聴している」という情報が端末1からサーバ2に送られるが、その時同様に映像視聴しているユーザの人数が所定の閾値(例えば100人)以上であれば、端末1のユーザのプライバシー情報がサーバ2に知られることはないと判断して、端末1はさらに具体的な行動情報をサーバ2に送る。
【0033】
また、視聴チャンネル番号の上位段階に、偶数チャンネルを視聴という段階を設けても良い。具体的な視聴番組を特定できないという意味で、プライバシー情報が保護できる。
【0034】
端末1のユーザは、さらに下位に段階を下げても(さらに具体化しても)同一条件のユーザの人数が所定の数より多い場合、端末1のユーザはまだ他の端末のユーザに素性が知られることがないとして、さらに下位の段階であるフジヤマテレビを視聴しているという情報をサーバ2に送る。同一のチャンネルの番組を視聴している他の端末のユーザの人数が所定の数より多い場合、端末1のユーザは、未だ他の端末のユーザに素性が知られることがないと判断し、その時間のフジヤマテレビはこの番組、ゴールデンタイム同じ番組→フジヤマテレビまでショッピングサイト(以下、サイトと表記)にアクセスする。その時間のフジヤマテレビが例えば旅行番組の場合、その旅行番組で紹介された取り寄せ商品のレコメンデーションであるとサイトに表示される場合がある。
【0035】
しかし、「○チューブ」でヒット数が低い、例えばマニアックなベンチャービジネス(A社)の新製品発表の場合には、行動情報の段階化の途中段階(例えば、アクセス累計数が200以下のコンテンツを見ているなど)で、所定の閾値(例えば100人)を下回る数のユーザしかアクセスしていないことになる。こういう段階に到達したときは「○チューブ」の何らかのコンテンツ(この場合、アクセス数200以下のコンテンツ)を視聴していることまではサーバ2に教えるが、端末1のユーザは、どの番組を視聴しているかについては端末1のユーザの素性がサーバ2に知られてしまうおそれがあるので教えない。端末1のユーザが「○チューブ」を視聴する場合、サイトは「○チューブ」の視聴を便利にするような商品を「このような商品がありますがいかがでしょうか」とユーザに紹介することができるが、番組の内容に踏み込んだ「A社の商品はいかがでしょうか」といったレコメンデーションは、行動情報が得られないのですることができない。
【0036】
ここで、特許文献1では、サイトのサーバにアクセスしている端末のユーザに適した広告、プライバシー保護、及びユーザの個人情報のうち公開可能と非公開とに分けておき、公開可能なプライバシーに適した広告をサーバから端末側に一旦送り、端末側で非公開の情報を使って、非公開の情報がその広告に適しているか否かを判断し、適していると判断した場合に広告を表示するようになっている。具体的には、端末のユーザは年齢情報を公開するが、体重情報は公開しないとしている。サーバから端末に送る広告の情報については、体重が70kg以下なら表示すが70kgより多い場合は表示しない。年齢情報は端末からサーバに送るが、体重情報はサーバに送らずに端末側で非公開の情報を使って表示するか否かを判断するようになっており、体重の数値は全く送られない。
【0037】
これに対して本願は、例えば、端末からサーバへ送る年齢情報が40代であるとして送って、まだ他の端末の数が100以上の多数であると判断した場合には、端末からの年齢情報が40代前半であるとしてサーバに送る。他の端末のユーザの年齢が40代前半であるユーザの数が100以上の場合は、端末のユーザは、未だ他に100以上いるから大丈夫だなと判断した場合、年齢情報を43歳であるとする。
【0038】
さらに、端末からサーバへの体重情報を60kg〜80kgとして送った後、これに合致する他のユーザの数が100人に満たない値であった場合には、これ以上具体化したユーザの個人情報を送らない。
【0039】
特許文献1において、端末からサーバへは非公開の情報を全く送らないので、サーバから端末へはユーザにとって不要な広告情報を大量に受け取ることになる。例えば、サーバから端末に送りたい広告情報がLサイズ〜XXLサイズの衣料品の情報をとりあえず送ったり、ユーザに適しているか否か不明のまま簡単なダイエット用品の広告を送って表示したりしている。サイト側ではユーザにどのような商品の広告を送っていいのか不明なので関連商品の広告情報を全て送信してしまう。端末は不要な広告情報をその都度削除しなければならない。
しかしながら、本願は、サイトはユーザの端末から段階的に非公開情報を入手するので、無駄な広告情報を端末に送ったり、端末がサイトから無駄な広告情報を受け取ったりすることがない。例えば、広告情報の数が1000有った場合は、サイト側で10程度に絞って端末に送ることができ、通信効率やヒット率が向上する。端末のユーザが目にする広告数は変わらないが、ユーザの体重を70kgとしてフィルタリングをかけた状態で端末側にて表示することができる。本願では広告情報を送るサイト側は無駄な配信をすることが無くなる。
【0040】
従来は、直接個人情報を受け取ることはできなかったが、本願では段階的に具体化された個人情報を受け取ることにより、効率的に広告情報を端末に送ることができる。
また、特許文献1において、公開情報と非公開情報の判断はユーザにゆだねられており、仮に130歳という年齢であった場合に、これを公開すると個人が特定できるという判断基準をユーザが持っている必要がある。 特にいくつかの個人情報を公開する場合、その組合せが珍しいかどうか、公開してどの程度個人が特定できうるかという判断基準を持つことは非常に難しい。このため、適切な判断ができずに不用意に個人情報を公開してしまうリスクがある。
しかしながら、本願は、他のユーザとの比較において匿名性を判断しつつ、段階的に情報を公開していくため、このようなリスクを軽減することができる。
例えば体重70kgで身長が1m50cmの小学生で目黒区在住とする個人情報を送信すると、ユーザが誰か特定されるおそれがあるが、同一条件であっても成人男性なら100人以上のかなりの多人数となり、ユーザ同士横並びとなるので、ユーザが特定されるおそれはない。
例えば体重70kgで身長が1mの小学生で目黒区在住とする個人情報を送信すると、ユーザが誰か特定されるおそれがあるが、同一条件であっても成人男性70kgなら100人以上のかなりの多人数となり、ユーザ同士横並びとなるので、ユーザが特定されるおそれはない。
【0041】
本実施例において、ユーザの情報を端末1からサーバ2に段階的に送り、サーバ2から端末に必要最低限の広告情報を効率的に送ることができる。
【0042】
図3は、
図1に示した情報処理システムにおいて、端末からサーバに送られるプライバシー情報の段階的具体化の一例である。
ここで、端末1上で、ユーザはフジヤマテレビを見ているとする。これは、TV放送を受信し画面に表示するようなプログラムが動作しているか、もしくはストリーム動画を再生する円コーダプログラムが動作しているか、リモコンやキーボードなどの操作状況はどうか、端末1のモニタ上部にあるカメラ画像などでユーザがモニタを見ているか否かなどを、公知の技術により識別することで判断できる。
図3において、もっとも抽象化された段階1では、「今、ユーザがPCに向かっている。」という個人情報が端末1からサーバ2に送られる。端末1上で、「今、ユーザはフジヤマテレビを見ている」と識別できているので、その抽象化された状況として「今、ユーザがPCに向かっている」と言えるためである。この段階で端末1のユーザと同様のユーザの他の端末の数が所定の値(100人)以上の場合は、この行動の開示によりユーザを特定される心配がないという判定ができる。また、ユーザは、同様の行動履歴を公開している他端末の数を見る事で、どの程度の人数のユーザにまぎれているのかを確認することも可能である。
【0043】
端末1のユーザの個人情報を、段階1より1段階具体的にサーバ2に送る段階2では、ユーザの端末1から「今、ユーザが映像を見ている。」という個人情報がサーバ2に送られる。端末1上で、「今、ユーザはフジヤマテレビを見ている」と識別できているので、「今、ユーザがPCに向かっている」より具体化された状況として「今、ユーザが映像を見ている」と言えるためである。この段階において、端末1のユーザと同様のユーザの他の端末の数が所定の値(100人)以上の場合は、この行動の開示によりユーザを特定される心配がないという判定ができる。
サーバ2側では端末1のユーザが属すグループに対して、送られてきた行動情報に合致した広告を送る。段階が進むにつれて、よりユーザに適した広告を効率的に送ることができる。例えば、「今、ユーザが映像を見ている」という段階では、PCでTVを受信するための周辺機器の広告なども配信されるかもしれない。
【0044】
端末1のユーザの個人情報を、段階2より1段階具体的にサーバ2に送る段階3では、ユーザの端末1から「今、ユーザがTVを見ている。」という個人情報がサーバ2に送られる。端末1上で、「今、ユーザはフジヤマテレビを見ている」と識別できているので、「今、ユーザが映像を見ている」より具体化された状況として「今、ユーザがTVを見ている」と言えるためである。この段階において、端末1のユーザと同様のユーザの他の端末の数が所定の値(100人)以上の場合は、この行動の開示によりユーザを特定される心配がないという判定ができる。
サーバ2側では端末1のユーザが属すグループに対して、送られてきた行動情報に合致した広告を送る。段階が進むにつれて、よりユーザに適した広告を効率的に送ることができる。例えば、「今、ユーザがTVを見ている」という段階では、(すでにTVは見られるので)PCでTVを受信するための周辺機器の広告などは含まれなくなる。
【0045】
以下、同様にして段階4では、ユーザの端末1から「今、ユーザが生放送を見ている。」という個人情報がサーバ2に送られる。この段階において、端末1のユーザと同様のユーザの他の端末の数が所定の値(100人)以上の場合は、この行動の開示によりユーザを特定される心配がないという判定ができる。
サーバ2側では端末1のユーザが属すグループに対して、送られてきた行動情報に合致した広告を送る。段階が進むにつれて、よりユーザに適した広告を効率的に送ることができる。例えば、「今、ユーザが生放送を見ている」という段階では、CS・BS・地デジ・CATVなどを含む現在生放送されている全ての番組に関係する全ての広告が配信されるかもしれない。
【0046】
段階5では、ユーザの端末1から「今、ユーザが地上波(放送)を見ている。」という個人情報がサーバ2に送られる。この段階において、端末1のユーザと同様のユーザの他の端末の数が所定の値(100人)以上の場合は、この行動の開示によりユーザを特定される心配がないという判定ができる。
サーバ2側では端末1のユーザが属すグループに対して、送られてきた行動情報に合致した広告を送る。段階が進むにつれて、よりユーザに適した広告を効率的に送ることができる。例えば、「今、ユーザが地上波(放送)を見ている」という段階では、地上波以外の番組に関する広告は配信されない。そして、地上波で現在放送されている番組に関係する全ての広告が配信されるかもしれない。
【0047】
段階6では、ユーザの端末1から「今、ユーザがフジヤマテレビか日の出テレビか日の本テレビを見ている。」という個人情報がサーバ2に送られる。この段階において、端末1のユーザと同様のユーザの他の端末の数が所定の値(100人)以上の場合は、この行動の開示によりユーザを特定される心配がないという判定ができる。端末1のユーザと同様のユーザの他の端末の数が所定の値(100)に近い値もしくは下回る値であれば、ユーザは次の段階7の個人情報をサーバ2に送ると、ユーザが特定される場合があると判断して個人情報をサーバ2に送るのを停止することができる。
サーバ2側では端末1のユーザが属すグループに対して、送られてきた行動情報に合致した広告を送る。段階が進むにつれて、よりユーザに適した広告を効率的に送ることができる。例えば、「今、ユーザがフジヤマテレビか日の出テレビか日の本テレビを見ている」という段階では、これら3局以外の現在放送されている番組に関係する広告は含まれない。そして、これら3局の現在放送されている番組に関係する広告が配信されるかもしれない。
【0048】
段階7では、ユーザの端末1から「今、ユーザがフジヤマテレビを見ている。」という個人情報がサーバ2に送られる。この段階において、端末1のユーザと同様のユーザの他の端末の数が所定の値(100人)以上のグループ内であれば端末1の表示部に表示され、特定化されないことがユーザに分かる。端末1のユーザと同様のユーザの他の端末の数が所定の値(100)に近い値もしくは下回る値であれば、ユーザは次の段階7の個人情報をサーバ2に送ると、ユーザが特定される場合があると判断して個人情報をサーバ2に送るのを停止することができる。
サーバ2側では端末1のユーザが属すグループに対して、送られてきた行動情報に合致した広告を送る。段階が進むにつれて、よりユーザに適した広告を効率的に送ることができる。例えば、「今、ユーザがフジヤマテレビを見ている」という段階では、フジヤマテレビ以外の現在放送されている番組に関係する広告は含まれない。そして、フジヤマテレビで現在放送されている番組に関係する広告が配信されるかもしれない。
【0049】
以上の動作により、ユーザの行動履歴に関連する広告を表示するターゲット広告において、ユーザの個人情報を段階的に詳細化することにより、ネットワークに接続される情報処理装置のユーザのプライバシーを保護しつつ、ユーザの興味関心を精度良く推定できる。
【0050】
すなわち、ユーザの端末から抽象化された行動履歴をサーバ側に通知し(この行動履歴通知は他のユーザの端末にも公開される。)、ユーザの端末から送信した抽象化された行動履歴と同じ行動履歴を一定数のユーザの端末から送信している場合、以前送信した行動履歴情報に関連する形で、段階的に具現化された行動履歴をサーバに送信することにより、適切に抽象化された状態でサーバに行動履歴を通知することができる。サーバ側ではユーザの端末に効率的に広告情報を送ることができる。
【0051】
<プログラム>
以上で説明した本発明にかかる情報処理装置は、コンピュータで情報処理を実行させるプログラムによって実現されている。コンピュータとしては、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションなどの汎用的なものが挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。よって、一例として、プログラムにより本発明を実現する場合の説明を以下で行う。
【0052】
例えば、
情報処理端末のコンピュータに、
複数の情報処理端末と、前記情報処理端末に配信データを送信するサーバ装置とを含む情報処理システムの制御プログラムの制御プログラムであって、
前記複数の情報処理端末のうち一の情報処理端末のコンピュータに、
段階化手段が、ユーザの行動履歴を段階的に上位概念化する手順、
端末側の送信手段が、前記行動履歴のうち上位の概念を送信する手順、
受信手段が、他の前記情報処理端末の前記送信手段から送信された行動履歴と前記配信データを受信する手順、
前記端末側の送信手段が、前記受信手段で受信した他の前記情報処理端末からの行動履歴に基づき、前記行動履歴のうち送信した前記概念よりも下位の概念を送信する手順を実行させ、
前記サーバ装置のコンピュータに、
前記サーバ側の受信手段が、前記一の情報処理端末が送信した前記下位の概念を受信する手順、
サーバ側の送信手段が、前記下位の概念に対応づけられた配信データを前記一の情報処理端末に送信する手順、
を実行させるプログラム
が挙げられる。
【0053】
これにより、プログラムが実行可能なコンピュータ環境さえあれば、どこにおいても本発明にかかる情報処理装置を実現することができる。
【0054】
<記憶媒体>
このようなプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。
ここで、記憶媒体としては、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD−R(CD Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)などのコンピュータで読み取り可能な記憶媒体、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、FeRAM(強誘電体メモリ)等の半導体メモリやHDDが挙げられる。
【0055】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。