(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777927
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム
(51)【国際特許分類】
F16H 61/00 20060101AFI20150820BHJP
F16H 61/16 20060101ALI20150820BHJP
F16H 61/686 20060101ALI20150820BHJP
B60K 6/36 20071001ALI20150820BHJP
B60K 6/54 20071001ALI20150820BHJP
B60K 6/48 20071001ALN20150820BHJP
【FI】
F16H61/00
F16H61/16
F16H61/686
B60K6/36
B60K6/54
!B60K6/48
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-91691(P2011-91691)
(22)【出願日】2011年4月18日
(65)【公開番号】特開2012-82951(P2012-82951A)
(43)【公開日】2012年4月26日
【審査請求日】2014年1月29日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0100448
(32)【優先日】2010年10月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】申 光 燮
(72)【発明者】
【氏名】金 鐘 ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】金 永 哲
(72)【発明者】
【氏名】李 將 美
(72)【発明者】
【氏名】金 連 鎬
(72)【発明者】
【氏名】李 載 信
【審査官】
小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−132014(JP,A)
【文献】
特開2005−003191(JP,A)
【文献】
特開2005−344741(JP,A)
【文献】
特開2006−207699(JP,A)
【文献】
特開2009−115307(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2009−0043123(KR,A)
【文献】
特開2009−109001(JP,A)
【文献】
特開2007−263170(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0136608(US,A1)
【文献】
特開2011−098712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00−61/12
F16H 61/16−61/24
F16H 61/66−61/70
F16H 63/40−63/50
B60K 6/20− 6/547
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各走行モードに応じて第1、第2クラッチ及び第1、第2ブレーキを選択的に作動させるハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システムにおいて、
マニュアルバルブから供給される前進圧及び後進圧を選択的に前記第1クラッチに供給する第1比例制御ソレノイドバルブ、
プライマリレギュレーターバルブから供給されるライン圧を選択的に前記第2クラッチに供給する第2比例制御ソレノイドバルブ、
前記プライマリレギュレーターバルブから供給されるライン圧を選択的に前記第1ブレーキに供給する第3比例制御ソレノイドバルブ、そして
前記マニュアルバルブから供給される前進圧を選択的に前記第2ブレーキに供給する第4比例制御ソレノイドバルブを含むことを特徴とするハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項2】
前記マニュアルバルブと前記第1比例制御ソレノイドバルブとの間には、選択的に前進圧または後進圧を前記第1比例制御ソレノイドバルブに供給する後進圧制御バルブが配置されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項3】
前記後進圧制御バルブは、前記マニュアルバルブの前進圧管路と連結される第1ポート、前記マニュアルバルブの後進圧管路と連結される第2ポート、前記第1ポートに供給される油圧を前記第1比例制御ソレノイドバルブに供給する第3ポート、そして前記第2ポートに供給される油圧を前記第1比例制御ソレノイドバルブに供給する第4ポートを有することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項4】
前記第3、第4比例制御ソレノイドバルブと前記第1、第2ブレーキとの間には、第1、第2、第3フェイルセイフバルブのうちの少なくとも一つ以上を含むフェイルセイフ手段が配置されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項5】
前記第1フェイルセイフバルブは、オン/オフソレノイドバルブによって制御され、
前記オン/オフソレノイドバルブがオフされて前記第1ブレーキが作動するモードでは、前記第1クラッチの作動を解除してエンジンロックを防止し、前記オン/オフソレノイドバルブがオンされると、前記第1ブレーキ及び前記第1クラッチを同時に作動させることができることを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項6】
前記第1フェイルセイフバルブは、前記第1クラッチ、前記オン/オフソレノイドバルブ、そしてライン圧によって制御されて、前記第3比例制御ソレノイドバルブから前記第1ブレーキに供給される油圧を制御することを特徴とする請求項5に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項7】
前記第1フェイルセイフバルブは、前記第3比例制御ソレノイドバルブから油圧が供給される第1ポート、前記第1ポートに供給される油圧を選択的に前記第2フェイルセイフバルブに供給する第2ポート、前記第1フェイルセイフバルブの一側に形成されていて、前記オン/オフソレノイドバルブの制御圧が供給される第3ポート、前記第3ポートの反対側に形成されていて、前記第1クラッチの作動圧が制御圧として供給される第4ポート、そしてライン圧が供給される第5ポートを有することを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項8】
前記第2フェイルセイフバルブは、前記第1、第2クラッチが同時に作動する時に、前記第1ブレーキが作動するのを防止するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項9】
前記第2フェイルセイフバルブは、前記第1、第2クラッチの作動圧及びライン圧によって制御されて、前記第1フェイルセイフバルブから前記第1ブレーキに供給される油圧を制御することを特徴とする請求項8に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項10】
前記第2フェイルセイフバルブは、前記第1フェイルセイフバルブの第2ポートと連結される第1ポート、前記第1ポートに供給される油圧を前記第1ブレーキに供給する第2ポート、前記第1クラッチの作動圧が制御圧として供給される第3ポート、前記第2クラッチの作動圧が制御圧として供給される第4ポート、そして前記第3、第4ポートの反対側に形成されていて、ライン圧が制御圧として供給される第5ポートを有することを特徴とする請求項9に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項11】
前記第3フェイルセイフバルブは、前記第1ブレーキまたは前記第2クラッチの作動時に、前記第2ブレーキが作動するのを防止するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項12】
前記第3フェイルセイフバルブは、前記第1ブレーキ及び前記第2クラッチの作動圧及び前進圧によって制御されて、前記第4比例制御ソレノイドバルブから前記第2ブレーキに供給される油圧を制御することを特徴とする請求項11に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項13】
前記第3フェイルセイフバルブは、前記第4比例制御ソレノイドバルブと連結される第1ポート、前記第1ポートに供給される油圧を前記第2ブレーキに供給する第2ポート、前記第2クラッチの作動圧が制御圧として供給される第3ポート、前記第1ブレーキの作動圧が制御圧として供給される第4ポート、そして前記第3、第4ポートの反対側に形成されていて、前進圧が制御圧として供給される第5ポートを有することを特徴とする請求項12に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項14】
前記第1、第2、第3、第4比例制御ソレノイドバルブの下流側管路上には、チェックバルブを有するバイパス管路が形成されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【請求項15】
前記第1、第2比例制御ソレノイドバルブは、ノーマルオープン型に形成し、前記第3、第4比例制御ソレノイドバルブは、ノーマルクロス型に形成することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システムに係り、より詳細には、摩擦要素に供給される油圧を直接制御することによって、バルブボディーの構成を単純化し、応答性を向上させることができるようにした、ハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両とは、互いに異なる二種類以上の動力源を効率的に組み合わせて駆動力を発生させる車両を意味する。大部分のハイブリッド車両は、燃料を使用して動力を発生させるエンジンと、電気で動力を発生させる電気モータとを備えている。
このようなハイブリッド車両において、燃費向上効果が最も大きく達成されるのは、(1)車両が加速する時に電気モータを利用してエンジンの動力を補助する場合や、(2)自動変速制御によるエンジンの最適運転を行う場合である。このような運転を行なう場合に、ハイブリッド車両は、既存のガソリンエンジン及び自動変速機を搭載した車両に比べて、優れた燃費を達成することができる。
【0003】
ハイブリッド車両は、エンジンの出力側にエンジンクラッチを配置し、その後側に電気モータを含む自動変速機を配置する。こうして、自動変速機から出力される動力で駆動輪を駆動するように構成される。
そして、モータコントロールユニットは、電気モータに供給されるバッテリーの電源を制御する。ハイブリッド車両を総合制御するハイブリッド制御ユニットは、エンジン制御ユニット、トランスミッション制御ユニット、バッテリー管理システム、そして運転者が直接操作する多様な機構と電気的に連結されて、現在の車両の運転状態が入力されて、これに基づいてモータコントロールユニットを制御する。
【0004】
ハイブリッド車両の初期発進時には、電気モータの動力によってelectric vehicle(EV)モードで走行する。その後、エンジンクラッチが締結されると、HEVモード(モータ+エンジン)に変更されて、ハイブリッド車両が走行する。
このようなハイブリッド車両に適用される自動変速機は、変速メカニズムとして、ギヤトレイン及び車両の走行状態に応じてギヤトレインの作動要素のうちのいずれか一つの作動要素を選択的に作動させるための油圧制御システムを有する。
そして、ギヤトレインは、少なくとも一つ以上の遊星ギヤセットを含み、これに適用される複数の摩擦要素は、油圧制御システムによって供給される油圧によって選択的に作動する。
【0005】
従来のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システムは、オイルポンプから供給される油圧を間接的に制御して摩擦要素に供給されるように構成されていた。従って、各々のソレノイドバルブにスプールバルブを備えた圧力制御バルブが適用されるため、バルブボディーの流路構成が複雑で、部品数が多く、生産原価が上昇する問題点があった(例えば、特許文献1参照)。
また、圧力制御バルブを制御するための別途のリデューシング圧を形成しなければならないため、制御区間が制限されて、応答が遅いという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−176805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、バルブボディーの構成を単純化し、応答性を向上させたハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明のハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システムは、各走行モードに応じて第1、第2クラッチ及び第1、第2ブレーキを選択的に作動させるハイブリッド車両用自動変速機の油圧制御システムにおいて、マニュアルバルブから供給される前進圧及び後進圧を選択的に第1クラッチに供給する第1比例制御ソレノイドバルブ、プライマリレギュレーターバルブから供給されるライン圧を選択的に第2クラッチに供給する第2比例制御ソレノイドバルブ、プライマリレギュレーターバルブから供給されるライン圧を選択的に第1ブレーキに供給する第3比例制御ソレノイドバルブ、そしてマニュアルバルブから供給される前進圧を選択的に第2ブレーキに供給する第4比例制御ソレノイドバルブを含むことを特徴とする。
【0009】
マニュアルバルブと第1比例制御ソレノイドバルブとの間には、選択的に前進圧または後進圧を第1比例制御ソレノイドバルブに供給する後進圧制御バルブが配置されることが好ましい。
後進圧制御バルブは、マニュアルバルブの前進圧管路と連結される第1ポート、マニュアルバルブの後進圧管路と連結される第2ポート、第1ポートに供給される油圧を第1比例制御ソレノイドバルブに供給する第3ポート、そして第2ポートに供給される油圧を第1比例制御ソレノイドバルブに供給する第4ポートを有することが好ましい。
【0010】
第3、第4比例制御ソレノイドバルブと第1、第2ブレーキとの間には、第1、第2、第3フェイルセイフバルブのうちの少なくとも一つ以上を含むフェイルセイフ手段が配置されることが好ましい。
第1フェイルセイフバルブは、オン/オフソレノイドバルブによって制御され、オン/オフソレノイドバルブがオフされて第1ブレーキが作動するモードでは、第1クラッチの作動を解除してエンジンロックを防止し、オン/オフソレノイドバルブがオンされると、第1ブレーキ及び第1クラッチ
を同時に作動させる
ことができる。
第1フェイルセイフバルブは、第1クラッチ、オン/オフソレノイドバルブ、そしてライン圧によって制御されて、第3比例制御ソレノイドバルブから第1ブレーキに供給される油圧を制御することが好ましい。
第1フェイルセイフバルブは、第3比例制御ソレノイドバルブから油圧が供給される第1ポート、第1ポートに供給される油圧を選択的に第2フェイルセイフバルブに供給する第2ポート、第1フェイルセイフバルブの一側に形成されていて、オン/オフソレノイドバルブの制御圧が供給される第3ポート、第3ポートの反対側に形成されていて、第1クラッチの作動圧が制御圧として供給される第4ポート、そしてライン圧が供給される第5ポートを有することが好ましい。
【0011】
第2フェイルセイフバルブは、第1、第2クラッチが同時に作動する時に、第1ブレーキが作動するのを防止するように構成されていることが好ましい。
第2フェイルセイフバルブは、第1、第2クラッチの作動圧及びライン圧によって制御されて、第1フェイルセイフバルブから第1ブレーキに供給される油圧を制御することが好ましい。
第2フェイルセイフバルブは、第1フェイルセイフバルブの第2ポートと連結される第1ポート、第1ポートに供給される油圧を第1ブレーキに供給する第2ポート、第1クラッチの作動圧が制御圧として供給される第3ポート、第2クラッチの作動圧が制御圧として供給される第4ポート、そして第3、第4ポートの反対側に形成されていて、ライン圧が制御圧として供給される第5ポートを有することが好ましい。
【0012】
第3フェイルセイフバルブは、第1ブレーキまたは
第2クラッチの作動時に、第2ブレーキが作動するのを防止するように構成されていることが好ましい。
第3フェイルセイフバルブは、第1ブレーキ及び第2クラッチの作動圧及び前進圧によって制御されて、第4比例制御ソレノイドバルブから第2ブレーキに供給される油圧を制御することが好ましい。
第3フェイルセイフバルブは、第4比例制御ソレノイドバルブと連結される第1ポート、第1ポートに供給される油圧を第2ブレーキに供給する第2ポート、第2クラッチの作動圧が制御圧として供給される第3ポート、第1ブレーキの作動圧が制御圧として供給される第4ポート、そして第3、第4ポートの反対側に形成されていて、前進圧が制御圧として供給される第5ポートを有することが好ましい。
【0013】
第1、第2、第3、第4比例制御ソレノイドバルブの下流側管路上には、チェックバルブを有するバイパス管路が形成されることが好ましい。
第1、第2比例制御ソレノイドバルブは、ノーマルオープン型に形成し、第3、第4比例制御ソレノイドバルブは、ノーマルクロス型に形成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、摩擦要素に供給される油圧を各々独立的に配置される比例制御ソレノイドバルブで直接制御することによって、応答性が非常に向上する。
そして、各比例制御ソレノイドバルブごとに適用された圧力制御バルブが省略されることによって、部品数が減少し、それにともなう流路も省略される。従って、バルブボディーの構成を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態による油圧制御システムの構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に適用される摩擦要素の各変速段別作動状態図である。
【
図3】本発明の実施形態に適用される第1、第2、第3フェイルセイフバルブの拡大図である。
【
図4】本発明の実施形態に適用される第1フェイルセイフバルブの作動説明図である。
【
図5】本発明の実施形態に適用される第2フェイルセイフバルブの作動説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に適用される第3フェイルセイフバルブの作動説明図である。
【
図7】本発明の実施形態に適用されるソレノイドバルブの各変速段別作動状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
本発明を明確に説明するために、説明に不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似した構成要素については、同一の符号を付けた。
下記の詳細な説明で、構成の名称を第1、第2などと区分したのは、その構成の名称が同一の場合に、これを区別するためのものであって、必ずしもその順序に限定されるものではない。
【0017】
図1は本発明の実施形態による油圧制御システムの構成図である。本発明の実施形態による油圧制御システムは、2個のクラッチC1、C2及び2個のブレーキB1、B2を利用して、2個の動力分岐モード{入力分岐(INPUT SPLIT)/複合分岐(COMPOUND SPLIT)}と、3個の固定段モード{減速(UD)/同速/増速(OD)}とを実現することができるように構成したものである(
図2参照。図中“○”は、クラッチC1、C2またはブレーキB1、B2の作動を示す。)。
このような本発明の実施形態による油圧制御システムは、オイル供給手段である2個のオイルポンプ10、11、ライン圧制御手段である2個のレギュレーターバルブ12、13、ライン圧を減圧させるリデューシングバルブ14、変速レンジを選択するマニュアルバルブ15、リデューシングバルブ14から制御圧が供給されるライン圧制御用ソレノイドバルブRCS及びオン/オフソレノイドバルブSS−A、4個の摩擦要素C1、C2、B1、B2に供給される作動圧を制御する第1、第2、第3、第4比例制御ソレノイドバルブVFS1、VFS2、VFS3、VFS4、マニュアルバルブ15から供給される前進圧及び後進圧の流路を切換える後進圧制御バルブ16、フェイルセイフ手段である第1、第2、第3フェイルセイフバルブ17、18、19を有する。
【0018】
オイル供給手段を形成する2個のオイルポンプ10、11は、メインオイルポンプ10及びサブオイルポンプ11から構成される。メインオイルポンプ10は、エンジンによって駆動され、サブオイルポンプ11は、別途の駆動モータによって駆動される。それによって、オイルパン20に保存されているオイルは、2個のオイルポンプ10、11のうちの少なくともいずれか一つのポンプによってポンピングされる。
そして、メイン及びサブオイルポンプ10、11によって生成される油圧は、プライマリレギュレーターバルブ12及びセカンドリレギュレーターバルブ13、及びこれらレギュレーターバルブ12、13を制御するライン圧制御用ソレノイドバルブRCSに供給される。
それによって、ライン圧制御用ソレノイドバルブRCS、及びレギュレーターバルブ12、13内のスプール121、131を所定の方向に弾性支持する弾性部材122、132によって油圧が一定のライン圧に調節されると同時に、運転条件に応じてライン圧を可変させて、燃費を向上させることができる。
【0019】
リデューシングバルブ14は、減圧バルブであって、リデューシングバルブ14内のスプール141を所定の方向に弾性支持する弾性部材142の弾性力によってライン圧をより減圧する。リデューシングバルブ14で減圧された油圧は、ライン圧制御用ソレノイドバルブRCS及びオン/オフソレノイドバルブSS−Aの制御圧として供給される。
マニュアルバルブ15は、運転者のマニュアル変速により流路を切換えるものであって、ライン圧管路21と、前進圧管路22と、後進圧管路23と連結される。
それによって、マニュアルバルブ15は、ライン圧管路21を通じて供給される油圧をレンジ変換により前進圧管路22または後進圧管路23に供給する。
【0020】
第1クラッチC1の作動圧を制御する第1比例制御ソレノイドバルブVFS1、及び第2ブレーキB2の作動圧を制御する第4比例制御ソレノイドバルブVFS4は、マニュアルバルブ15の前進圧管路22と連結されて、前進走行時にマニュアルバルブ15から供給される前進圧を制御して、第1クラッチC1及び第2ブレーキB2に各々供給したり、排出させる。
第1ブレーキB1の作動圧を制御する第3比例制御ソレノイドバルブVFS3、及び第2クラッチC2の作動圧を制御する第2比例制御ソレノイドバルブVFS2は、ライン圧管路21と直接連結されて、ライン圧を制御して、第2クラッチC2及び第1ブレーキB1に各々供給したり、排出させる。
【0021】
上記で、第2、第3比例制御ソレノイドバルブVFS2、VFS3にライン圧が直接供給されるようにしたのは、エンジン始動及び充電モードの実現のためである。
上記で、第1、第2比例制御ソレノイドバルブVFS1、VFS2は、ノーマルオープン型からなって、通電が行われない時に油圧を供給することができるようにし、第3、第4比例制御ソレノイドバルブVFS3、VFS4は、ノーマルクロス型からなって、通電が行われる時に油圧を供給することができるようにしている。
また、第1、第2、第3、第4比例制御ソレノイドバルブVFS1、VFS2、VFS3、VFS4の下流側管路24、25、26、27上には、チェックバルブCV1、CV2、CV3、CV4を有するバイパス管路を形成して、安定した油圧が供給されるようにしている。
【0022】
後進圧制御バルブ16は、シャトルバルブであって、前進圧管路22と連結される第1ポート161、後進圧管路23と連結される第2ポート162、第1ポート161に供給される油圧を第1比例制御ソレノイドバルブVFS1に供給する第3ポート163、そして第2ポート162に供給される油圧を第1比例制御ソレノイドバルブVFS1に供給する第4ポート164を有する。
それによって、後進圧制御バルブ16に前進圧が供給される時には、第1、第3ポート161、163を連通させて前進圧を第1比例制御ソレノイドバルブVFS1に供給する。これとは異なって、後進圧制御バルブ16に後進圧が供給される時には、第2、第4ポート162、164を連通させて第1比例制御ソレノイドバルブVFS1に後進圧を供給することができる。
つまり、後進圧制御バルブ16は、後進時に第1クラッチC1を制御することによって、後進登坂性能(reverse hill−climbing ability)を向上させるためのものである。
より具体的には、後進1段(REV1)は、第1ブレーキB1を駆動させて実現し、後進2段(REV2)は、第1クラッチC1及び第1ブレーキB1を駆動させて実現することができるようにした。
【0023】
そして、第3、第4比例制御ソレノイドバルブVFS3、VFS4と第1、第2ブレーキB1、B2との間には、フェイルセイフ機能を行う第1、第2、第3フェイルセイフバルブ17、18、19が配置される。
第1フェイルセイフバルブ17は、第1クラッチC1、オン/オフソレノイドバルブSS−A、そしてライン圧によって制御されて、第3比例制御ソレノイドバルブVFS3から第1ブレーキB1に供給される油圧を制御する。第2フェイルセイフバルブ18は、第1、第2クラッチC1、C2の作動圧及びライン圧によって制御されて、第1フェイルセイフバルブ17から第1ブレーキB1に供給される油圧を制御し、第3フェイルセイフバルブ19は、第1ブレーキB1及び第2クラッチC2の作動圧及び前進圧によって制御されて、第4比例制御ソレノイドバルブVFS4から第2ブレーキB2に供給される油圧を制御する。
【0024】
このような作動のために、第1フェイルセイフバルブ17は、
図3のように、第3比例制御ソレノイドバルブVFS3から油圧が供給される第1ポート171、第1ポート171に供給される油圧を選択的に第2フェイルセイフバルブ18に供給する第2ポート172、第1フェイルセイフバルブ17の一側に形成されていて、オン/オフソレノイドバルブSS−Aの制御圧が供給される第3ポート173、第3ポート173の反対側に形成されていて、第1クラッチC1の作動圧が制御圧として供給される第4ポート174、そしてライン圧が供給される第5ポート175を有する。
それによって、第3ポート173に制御圧が供給されると、第1、第2ポート171、172が連結され、第4ポート174に油圧が供給されると、第1、第2ポート171、172が互いに遮断され、第3、第4ポート173、174に同時に制御圧が供給されると、油圧作用面積によって第1、第2ポート171、172が互いに連結されるように構成されている。
【0025】
つまり、
図4のように、オン/オフソレノイドバルブSS−Aがオフ(OFF:図中“×”で示す。)される時に、第1ブレーキB1が作動(図中“○”で示す。)するモードでは第1クラッチC1の作動を解除(図中“×”で示す。)してエンジンロックを防止し、オン/オフソレノイドバルブSS−Aがオン(ON:図中“●”で示す。)される時には、第1ブレーキB1及び第1クラッチC1が同時に作動(図中“●”または“○”で示す。)するEV2モードが実現されるようにした。従って、プラグインハイブリッド車両への拡張性を確保することができるのである。
【0026】
第2フェイルセイフバルブ18は、
図3のように、第1フェイルセイフバルブ17の第2ポート172と連結される第1ポート181、第1ポート171に供給される油圧を第1ブレーキB1に供給する第2ポート182、第1クラッチC1の作動圧が制御圧として供給される第3ポート183、第2クラッチC2の作動圧が制御圧として供給される第4ポート184、第3、第4ポート183、184の反対側に形成されていて、ライン圧が制御圧として供給される第5ポート185を有する。
それによって、第1、第2クラッチC1、C2が同時に作動しながら第3、第4ポート183、184に制御圧が供給されると、第1、第2ポート181、182が遮断されながら第1ブレーキB1に供給される油圧を遮断して、インターロックを防止する。
つまり、
図5のように、第1、第2クラッチC1、C2が同時に作動(図中“●”で示す。)する時に、第1ブレーキB1が作動するのを防止(図中“×”で示す。)することができるのである。
【0027】
第3フェイルセイフバルブ19は、
図3のように、第4比例制御ソレノイドバルブVFS4と連結される第1ポート191、第1ポート191に供給される油圧を第2ブレーキB2に供給する第2ポート192、第2クラッチC2の作動圧が制御圧として供給される第3ポート193、第1ブレーキB1の作動圧が制御圧として供給される第4ポート194、第3、4ポート193、194の反対側に形成されていて、前進圧が制御圧として供給される第5ポート195を有する。
それによって、第2クラッチC2の作動圧または第1ブレーキB1の作動圧が第3ポート193または第4ポート194に供給されると、第1、第2ポート191、192が遮断されながら第2ブレーキB2に供給される油圧を遮断して、インターロックを防止する。
つまり、
図6のように、第1ブレーキB1または
第2クラッチC2の作動時(図中“●”で示す。)に、第2ブレーキB2が作動するのを防止(図中“×”で示す。)することができるのである。
【0028】
本発明の実施形態による油圧制御システムは、
図7のように、各々のソレノイドバルブに電気が印加されることによって制御が行われる。図中“○”はソレノイドバルブに電気が印加された状態を表わす。
走行中のN、Pレンジでは、第1、第2比例制御ソレノイドバルブVFS1、VFS2に通電が行われ、第1、第2クラッチC1、C2に油圧が供給されるのを遮断し、停車中のN、Pレンジでは、第1、第2、第3比例制御ソレノイドバルブVFS1、VFS2、VFS3に通電が行われ、第1、第2クラッチC1、C2に油圧が供給されるのを遮断して、第1ブレーキB1に油圧が供給されるように制御する。
そして、本発明の実施形態では、2個の後進変速段が提供される。後進1段(REV1)では、第1、第2、第3比例制御ソレノイドバルブVFS1、VFS2、VFS3に通電が行われ、第1、第2クラッチC1、C2に油圧が供給されるのを遮断して、第1ブレーキB1に油圧が供給されるように制御する。
【0029】
また、後進2段(REV2)では、後進1段(REV1)で通電が行われた第1比例制御ソレノイドバルブVFS1の通電を遮断し、オン/オフソレノイドバルブSS−Aを通電させて、第1クラッチC1及び第1ブレーキB1に油圧が供給されるように制御する。
そして、動力分岐(POWER SPLIT)モードのうちの入力分岐(INPUT SPLIT)モードでは、第1、第2、第3比例制御ソレノイドバルブVFS1、VFS2、VFS3に通電が行われ、第1、第2クラッチC1、C2に油圧が供給されるのを遮断して、第1ブレーキB1に油圧が供給されるように制御する。
【0030】
また、動力分岐(POWER SPLIT)モードのうちの複合分岐(COMPOUND SPLIT)モードでは、第2比例制御ソレノイドバルブVFS2に通電が行われ、第2クラッチC2に油圧が供給されるのを遮断して、第1クラッチC1に油圧が供給されるように制御する。
そして、固定段(FIXED GEAR)モードでは、前進第1、第2、第3段が提供されるが、前進1速では、第1、第3比例制御ソレノイドバルブVFS1、VFS3を通電制御して、第2クラッチC2及び第1ブレーキB1を作動させ、前進2速では、第1、第3比例制御ソレノイドバルブVFS1、VFS3の通電を遮断して、第1、第2クラッチC1、C2を作動させ、前進3速では、第2、第4比例制御ソレノイドバルブVFS2、VFS4を通電制御して、第1クラッチC1及び第2ブレーキB2を作動させる。
【0031】
変速過程に対する説明では、摩擦要素C1、C2、B1、B2の作動制御だけを説明したが、これだけで変速が行われるわけではない。つまり、変速が行われるためには、摩擦要素C1、C2、B1、B2の作動以外に、ハイブリッド制御ユニットが遊星ギヤセットの組み合わせからなるギヤトレインに適用される2個のモータを所定の走行条件に応じて総合制御しなければならない。この過程は、当業者にとって周知であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0032】
このように、本発明の実施形態によれば、摩擦要素に供給される油圧を各々独立的に配置される比例制御ソレノイドバルブで直接制御することによって、応答性が非常に向上する。
そして、各比例制御ソレノイドバルブごとに適用された圧力制御バルブが省略されることによって、部品数が減少して、それにともなう流路が省略される。従って、バルブボディーの構成を単純化することができる。
【0033】
以上で、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、本発明の技術的範囲内で多様な形態への変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0034】
B1 第1ブレーキ
B2 第2ブレーキ
C1 第1クラッチ
C2 第2クラッチ
CV1、CV2、CV3、CV4 チェックバルブ
RCS ライン圧制御用ソレノイドバルブ
SS−A オン/オフソレノイドバルブ
VFS1 第1比例制御ソレノイドバルブ
VFS2 第2比例制御ソレノイドバルブ
VFS3 第3比例制御ソレノイドバルブ
VFS4 第4比例制御ソレノイドバルブ
10 メインオイルポンプ
11 サブオイルポンプ
12 プライマリレギュレーターバルブ
13 セカンドリレギュレーターバルブ
14 リデューシングバルブ
15 マニュアルバルブ
16 後進圧制御バルブ
17 第1フェイルセイフバルブ
18 第2フェイルセイフバルブ
19 第3フェイルセイフバルブ
20 オイルパン
21 ライン圧管路
22 前進圧管路
23 後進圧管路
24 (第1比例制御ソレノイドバルブVFS1の)下流側管路
25 (第2比例制御ソレノイドバルブVFS2の)下流側管路
26 (第3比例制御ソレノイドバルブVFS3の)下流側管路
27 (第4比例制御ソレノイドバルブVFS4の)下流側管路
121、131 スプール
122、132 弾性部材
161 (後進圧制御バルブ16の)第1ポート
162 (後進圧制御バルブ16の)第2ポート
163 (後進圧制御バルブ16の)第3ポート
164 (後進圧制御バルブ16の)第4ポート
171 (第1フェイルセイフバルブ17の)第1ポート
172 (第1フェイルセイフバルブ17の)第2ポート
173 (第1フェイルセイフバルブ17の)第3ポート
174 (第1フェイルセイフバルブ17の)第4ポート
175 (第1フェイルセイフバルブ17の)第5ポート
181 (第2フェイルセイフバルブ18の)第1ポート
182 (第2フェイルセイフバルブ18の)第2ポート
183 (第2フェイルセイフバルブ18の)第3ポート
184 (第2フェイルセイフバルブ18の)第4ポート
185 (第2フェイルセイフバルブ18の)第5ポート
191 (第3フェイルセイフバルブ19の)第1ポート
192 (第3フェイルセイフバルブ19の)第2ポート
193 (第3フェイルセイフバルブ19の)第3ポート
194 (第3フェイルセイフバルブ19の)第4ポート
195 (第3フェイルセイフバルブ19の)第5ポート