特許第5777928号(P5777928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5777928
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】印刷用マスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41C 1/14 20060101AFI20150820BHJP
   B41N 1/24 20060101ALI20150820BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   B41C1/14 101
   B41N1/24
   H05K3/12 610P
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-94255(P2011-94255)
(22)【出願日】2011年4月20日
(65)【公開番号】特開2012-223996(P2012-223996A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2014年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(72)【発明者】
【氏名】住谷 篤
(72)【発明者】
【氏名】牧野 聡朗
【審査官】 藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−183151(JP,A)
【文献】 特開平06−234202(JP,A)
【文献】 特開昭59−190851(JP,A)
【文献】 特開昭53−036303(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0101877(US,A1)
【文献】 米国特許第04687553(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41C 1/14
B41N 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷パターンに対応した金属膜パターンをメッシュに接合して構成された印刷用マスクの製造方法において、
前記金属膜パターンと前記メッシュとの接合を、(1)台板の一面に形成された前記金属膜パターン上に前記メッシュを載置するステップと、(2)支持板を用いて前記メッシュに透液性弾性体から成る押圧部材を圧縮しながら押し付けて該メッシュを前記金属膜パターンに密着させるステップと、(3)前記金属膜パターンと前記メッシュとをメッキ膜を介して接合するステップと、(4)前記押圧部材を前記メッシュから引き離すと共に、前記台板を前記メッシュから引き離して該台板から前記金属膜パターンを剥離するステップと、を経て行う、
ことを特徴とする印刷用マスクの製造方法。
【請求項2】
前記台板として、該台板の一面の前記金属膜パターンが存しない部分に該金属膜パターンと同じ厚さを有するレジスト膜パターンが形成されているものを用いる、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷用マスクの製造方法。
【請求項3】
前記押圧部材を前記支持板の一面に設けて、該支持板を用いて前記押圧部材の押し付けを行う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用マスクの製造方法。
【請求項4】
前記台板を導電体から形成して、該台板を前記メッキ膜を形成するときの陰極として用いる、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の印刷用マスクの製造方法。
【請求項5】
前記支持板を導電体から形成して、該支持板を前記メッキ膜を形成するときの陽極として用いる、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の印刷用マスクの製造方法。
【請求項6】
前記台板を絶縁体から形成し、且つ、該台板の前記一面側に電極層を設けて、該電極層を前記メッキ膜を形成するときの陰極として用いる、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の印刷用マスクの製造方法。
【請求項7】
前記支持板を絶縁体から形成し、且つ、該支持板の前記一面側に電極層を設けて、該電極層を前記メッキ膜を形成するときの陽極として用いる、
ことを特徴とする請求項1〜3及び6の何れか1項に記載の印刷用マスクの製造方法。
【請求項8】
前記透液性弾性体から成る押圧部材は、発泡ウレタン、濾紙、不織布より選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の印刷用マスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品製造工程中の各種ペースト印刷や回路基板製造工程中の各種ペースト印刷等に好適に用いられる印刷用マスク、特に、印刷パターンに対応した金属膜パターンをメッシュに接合して構成された印刷用マスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開平08−183151号公報)には、電気鋳造によって台板の一面に金属膜パターン(印刷パターンに対応した金属膜を意味する)を形成するステップと、金属膜パターンにメッシュを直接押し付けて密着させるステップと、電解メッキによって少なくとも金属膜パターンとメッシュとをメッキ膜を介して接合するステップと、メッシュを台板をから引き離して該台板から金属膜パターンを剥離するステップと、を備えた印刷用マスクの製造方法が開示されている。
【0003】
ところで、この印刷用マスクの製造方法では、「金属膜パターンにメッシュを直接押し付けて密着させるステップ」と「メッシュを台板をから引き離して該台板から金属膜パターンを剥離するステップ」を採用しているが故に以下の如き不具合を生じる。
【0004】
即ち、「金属膜パターンにメッシュを直接押し付けて密着させるステップ」では、押し付けによってメッシュ自らのテンション(張力)が増加するために該メッシュに伸びが発生する。一方、「メッシュを台板をから引き離して該台板から金属膜パターンを剥離するステップ」では、伸びを生じていたメッシュが自らの弾性によって復元するために該メッシュに縮みが発生する。
【0005】
要するに、伸びが生じているメッシュに金属膜パターンが接合されるため、該メッシュが縮むときに金属膜パターンにも同様の縮みが発生して、該金属膜パターンに変形が生じる。台板の一面に形成された金属膜パターンはそもそも印刷パターンに対応したものであるから、メッシュに接合された後の金属膜パターンに前記のような変形が生じると、該変形を原因として印刷用マスクおける金属膜パターンの寸法精度及び位置精度が低下し、該印刷用マスクの印刷精度の低下を招来する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−183151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、印刷パターンに対応した金属膜パターンをメッシュに接合するときに該金属膜パターンに生じる変形を防止できる印刷用マスクの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、印刷パターンに対応した金属膜パターンをメッシュに接合して構成された印刷用マスクの製造方法において、前記金属膜パターンと前記メッシュとの接合を、(1)台板の一面に形成された前記金属膜パターン上に前記メッシュを載置するステップと、(2)支持板を用いて前記メッシュに透液性弾性体から成る押圧部材を圧縮しながら押し付けて該メッシュを前記金属膜パターンに密着させるステップと、(3)前記金属膜パターンと前記メッシュとをメッキ膜を介して接合するステップと、(4)前記押圧部材を前記メッシュから引き離すと共に、前記台板を前記メッシュから引き離して該台板から前記金属膜パターンを剥離するステップと、を経て行うことをその特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、金属膜パターン上に載置されたメッシュに押圧部材を圧縮しながら押し付けることによって該メッシュを金属膜パターンに密着させているため、押圧部材をメッシュに押し付けたときに該メッシュに伸びが生じることは無い。即ち、伸びが生じていないメッシュに金属膜パターンが接合されるため、メッシュに接合された後の金属膜パターンに従前のような変形を生じることが無く、該変形を原因として印刷用マスクおける金属膜パターンの寸法精度及び位置精度が低下することを防止して、該印刷用マスクに高い印刷精度を確保できる。
【0010】
しかも、メッシュを金属膜パターンに密着させる役目を果たす押圧部材が透液性を有しており、新鮮なメッキ液が該押圧部材を通じてメッシュ及び金属膜パターンに供給されるため、金属膜パターンとメッシュを接合するメッキ膜を良好に形成できる。即ち、メッキ膜を良好に形成してその厚さを均一化できるため、厚さバラツキを原因として印刷用マスクにおける金属膜パターンとメッシュの接合強度にバラツキを生じることを回避して、該印刷用マスクの印刷耐久性を向上できる。
【0011】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態(印刷用マスクの製造方法)の説明図である。
図2図2は、本発明の一実施形態(印刷用マスクの製造方法)の説明図である。
図3図3は、本発明の一実施形態(印刷用マスクの製造方法)の説明図である。
図4図4は、本発明の一実施形態(印刷用マスクの製造方法)の説明図である。
図5図5は、本発明の一実施形態(印刷用マスクの製造方法)の説明図である。
図6図6は、本発明の一実施形態(印刷用マスクの製造方法)の説明図である。
図7図7は、本発明の一実施形態(印刷用マスクの製造方法)の説明図である。
図8図8は、本発明の一実施形態(印刷用マスクの製造方法)の説明図である。
図9図9は、本発明の一実施形態(印刷用マスクの製造方法)の説明図である。
図10図10は、本発明の一実施形態(印刷用マスクの製造方法)の説明図である。
図11図11は、図1図10に示した一実施形態における第1ユニットと第3ユニットの変形例を示す図6対応の断面図である。
図12図12(A)及び図12(B)は、図1図10に示した一実施形態における第2ユニット変形例を示す図8対応の断面図と図10対応の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《本発明の一実施形態》
以下、図1図10を引用して、本発明の一実施形態(印刷用マスクの製造方法)について説明する。
【0014】
印刷用マスクMP(図10を参照)を製造するときには、先ず、
図4に示した第1ユニットU1(電気鋳造によって台板11の上面に金属膜パターン1 3が形成されたユニット)
図4に示した第2ユニットU2(枠体21の下面にメッシュ22を貼り付けて構成され たユニット)
図5に示した第3ユニットU3(支持板31の下面に押圧部材32を設けて構成された ユニット)
を用意する。
【0015】
〈第1ユニットU1の作製方法〉
図4に示した第1ユニットU1を作製するときには、図1に示したように、上面が平坦な台板11を用意し、続いて、台板11の上面に、印刷パターンに対応した凹部12a’を有するレジスト膜パターン12’(パターン化されたレジスト膜を意味する)を形成する。
【0016】
台板11は、ステンレス等の導電体から成り、その厚さは例えば5mmである。レジスト膜パターン12’は、ポジタイプ或いはネガタイプのフォトリソグラフィ法(レジスト剤塗布、露光、現像及び洗浄のプロセスを含む)により形成されたもので、その厚さは例えば30μmである。凹部12a’は台板11の上面に達しているものの、該凹部12a’の底に当たる台板11の上面に窪み等は存しない。
【0017】
続いて、図2に示したように、レジスト膜パターン12’を利用して、台板11の上面のレジスト膜パターン12’が存しない部分(凹部12a’)に金属膜パターン13(印刷パターンに対応した金属膜を意味する)を形成する。
【0018】
金属膜パターン13は、ニッケル等の導電体から成り、その厚さは例えば20μmである。また、金属膜パターン13の形成手法は電解メッキである。金属膜パターン13の厚さT13(図3(A)を参照)をレジスト膜パターン12’の厚さT12’(図3(A)を参照)よりも小さくした理由は、金属膜パターン13の厚さT13がレジスト膜パターン12’の厚さT12’を越えて該金属膜パターン13の形状が損なわれるのを防ぐための配慮である。
【0019】
続いて、図3(B)に示したように、レジスト膜パターン12’の上面を機械研磨等の研磨手法によって研磨して、該レジスト膜パターン12’の高さT12’を金属膜パターン13の厚さT13と同じ厚さT12にする。これにより、研磨後のレジスト膜パターン12の上面と金属膜パターン13の上面とが面一になって、台板11の上面と平行な1つの面となる。
【0020】
換言すれば、第1ユニットU1の台板11の上面には、金属膜パターン13が存しない部分に該金属膜パターン13の厚さT13と同じ厚さT12を有するレジスト膜パターン12が形成されている。
【0021】
〈第2ユニットU2の作製方法〉
図4に示した第2ユニットU2を作製するときには、第1ユニットU1の台板11の外形と略一致した外形を有する枠体21と、紗張り機等で張力を付与した状態のメッシュ22を用意し、続いて、枠体21の下面に、メッシュ22の外周部分を接着する。
【0022】
枠体21は、アルミニウム等の剛性材料から成り、その厚さは例えば10〜35mmである。メッシュ22は、ステンレス線等の金属線を格子状に編み込んだもの(図8を参照)であり、金属線の線径は例えば14〜30μmで、開口数/インチは例えば200〜900である。また、メッシュ22は、弛みや歪み等が無い状態でその外周部分を枠体21の下面にシアノクリレート系等の接着剤を介して接着されている。
【0023】
尚、図面には、第2ユニットU2として直貼りタイプのものを示したが、コンビネーション張りタイプのもの、例えば金属メッシュの周囲を囲む非金属メッシュの外周部分を枠体21の下面に接着したものを第2ユニットU2としても良い。
【0024】
〈第3ユニットU3の作製方法〉
図5に示した第3ユニットU3を作製するときには、第2ユニットU2の枠体21の外形と略一致した外形を有する支持板31と、支持板31の外形よりも小さな外形を有する押圧部材32を用意し、続いて、支持板31の下面中央に押圧部材32の上面を接着する。
【0025】
支持板31は、ステンレス等の導電体から成り、その厚さは例えば5mmである。押圧部材32は、発泡ウレタンや濾紙や不織布等の透液性弾性体から成り、その厚さは例えば8mmで、支持板31の下面と平行な下面の輪郭は第1ユニットU1の金属膜パターン13の輪郭よりも大きい。押圧部材32を透液性弾性体から形成した理由は、後の押し付けとメッキ膜形成を容易に行うための配慮である。
【0026】
〈印刷用マスクMPの製造方法〉
印刷用マスクMPの製造は、先ず、図4に示したように、第1ユニットU1のレジスト膜パターン12及び金属膜パターン13の上面に、第2ユニットU2のメッシュ22の下面を載置する。ここでの「載置」は「載せて置く」ことを意味するものであり、第2ユニットU2の自重以外の荷重はメッシュ22にはかかっていない。
【0027】
続いて、図5に示したように、第2ユニットU2のメッシュ22の上面に、第3ユニットU3の押圧部材32の下面をその全体が第1ユニットU1の金属膜パターン13の上面を覆うように載置する。
【0028】
続いて、図6に示したように、第3ユニットU3の支持板31を押し下げて、押圧部材32を圧縮しながらその下面を第2ユニットU2のメッシュ22の上面に押し付け、該押し付けによってメッシュ22の下面を第1ユニットU1の金属膜パターン13の上面に密着させる。
【0029】
金属膜パターン13の上面に載置されたメッシュ22の上面に押圧部材32の下面を押し付けることによって該メッシュ22の下面を金属膜パターン13の上面に密着させているため、押圧部材32の下面をメッシュ22の上面に押し付けたときに該メッシュ22に伸びが生じることは無い。
【0030】
また、金属膜パターン13の上面がレジスト膜パターン12の上面と面一であるため、メッシュ22の上面に対する押圧部材32の下面の押し付け力が大きい場合やメッシュ22の剛性が低い場合でも、メッシュ22の下面を金属膜パターン13の上面に密着させるときに金属膜パターン13の上面とレジスト膜パターン12の上面との段差に基づく歪みがメッシュ22に生じることは無い。
【0031】
さらに、押圧部材32が支持板31の下面に設けられているため、該支持板31を用いてメッシュ22の上面に対する押圧部材32の下面の押し付けを的確に行える。
【0032】
さらに、押し下げられた支持板31の下面は枠体21の上面に当接するため、押し下げ前における支持板31の下面と枠体21の上面との間隔によって該支持板31の押し下げ量を簡単に制御できる。
【0033】
続いて、メッシュ22の下面が金属膜パターン13の上面に密着した状態で保持されるように、第1ユニットU1、第2ユニットU2及び第3ユニットU3を適当な留め具(図示省略)を用いて一体化する。
【0034】
続いて、図7に示したように、メッキ槽PB内のメッキ液PSに、一体化された第1ユニットU1、第2ユニットU2及び第3ユニットU3を浸漬し、第1ユニットU1の台板11を陰極とし第3ユニットU3の支持板31を陽極として電解メッキを行う。
【0035】
この電解メッキはニッケル等から成るメッキ膜41を形成するものであって、該電解メッキにより、図8に示したように、メッシュ22の表面、並びに、金属膜パターン13とメッシュ22との界面にメッキ膜41が形成され、金属膜パターン13とメッシュ22との界面に形成されたメッキ膜41を介して該金属膜パターン13と該メッシュ22とが接合される。
【0036】
メッシュ22の表面、並びに、金属膜パターン13とメッシュ22との界面に形成されるメッキ膜41の厚さは、電解メッキ時間等によって変化するが、少なくとも1μmの厚さが得られれば、金属膜パターン13とメッシュ22との接合は十分に行える。
【0037】
また、メッシュ22の下面を金属膜パターン13の上面に密着させる役目を果たす押圧部材23が透液性を有しており、新鮮なメッキ液PSが該押圧部材23を通じてメッシュ22及び金属膜パターン13に供給されるため、金属膜パターン13とメッシュ22を接合するメッキ膜41を良好に形成できる。
【0038】
続いて、金属膜パターン13とメッシュ22とがメッキ膜41を介して接合された後の第1ユニットU1、第2ユニットU2及び第3ユニットU3をメッキ槽PBから取り出して、留め具を外して一体化を解除する。
【0039】
続いて、図9に示したように、第3ユニットU3の支持板31を上方移動させて押圧部材32をメッシュ22から引き離すと共に、第1ユニットU1の台板11を下方移動させるか、または、第2ユニットU2の枠体21を上方移動させて台板11をメッシュ22から引き離す。
【0040】
台板11をメッシュ22から引き離すと、メッシュ22に接合されている金属膜パターン13が台板11の上面から剥離し、これにより、印刷パターンに対応した金属膜パターン13をメッシュ22に接合して構成された印刷用マスクMP(図10を参照)が製造される。
【0041】
〈前記製造方法によって得られる効果〉
(効果1)金属膜パターン13の上面に載置されたメッシュ22の上面に押圧部材32を圧縮しながらその下面を押し付けることによって該メッシュ22の下面を金属膜パターン13の上面に密着させているため、押圧部材32の下面をメッシュ22の上面に押し付けたときに該メッシュ22に伸びが生じることは無い。即ち、伸びが生じていないメッシュ22に金属膜パターン13が接合されるため、メッシュ22に接合された後の金属膜パターン13に従前のような変形を生じることが無く、該変形を原因として印刷用マスクMPおける金属膜パターン13の寸法精度及び位置精度が低下することを防止して、該印刷用マスクMPに高い印刷精度を確保できる。
【0042】
(効果2)メッシュ22の下面を金属膜パターン13の上面に密着させる役目を果たす押圧部材23が透液性を有しており、新鮮なメッキ液PSが該押圧部材23を通じてメッシュ22及び金属膜パターン13に供給されるため、金属膜パターン13とメッシュ22を接合するメッキ膜41を良好に形成できる。即ち、メッキ膜41を良好に形成してその厚さを均一化できるため、厚さバラツキを原因として印刷用マスクMPにおける金属膜パターン13とメッシュ22の接合強度にバラツキを生じることを回避して、該印刷用マスクMPの印刷耐久性を向上できる。
【0043】
(効果3)金属膜パターン13の上面がレジスト膜パターン12の上面と面一であるため、メッシュ22の上面に対する押圧部材32の下面の押し付け力が大きい場合やメッシュ22の剛性が低い場合でも、メッシュ22の下面を金属膜パターン13の上面に密着させるときに金属膜パターン13の上面とレジスト膜パターン12の上面との段差に基づく歪みがメッシュ22に生じることは無い。即ち、金属膜パターン13の上面に載置されたメッシュ22の上面に押圧部材32の下面を押し付けても該メッシュ22にフラットな状態を確保できるため、金属膜パターン13の上面に対するメッシュ22の下面の密着を良好に行って、メッシュ22と金属膜パターン13との接合を良好に行える。
【0044】
(効果4)押圧部材32が支持板31の下面に設けられているため、該支持板31を用いてメッシュ22の上面に対する押圧部材32の下面の押し付けを的確に行える。即ち、支持板31を押圧部材32と別体で構成して同様の押し付けを行うことも可能ではあるが、支持板31と押圧部材32が一体化されていた方が、メッシュ22の上面に押圧部材32の下面を押し付ける作業を簡単に行える。
【0045】
(効果5)押し下げられた支持板31の下面は枠体21の上面に当接するため、押し下げ前における支持板31の下面と枠体21の上面との間隔によって該支持板31の押し下げ量を簡単に制御できる。即ち、支持板31の押し下げ量をセンシングしながら制御する場合に比べて、メッシュ22の上面に押圧部材32の下面を押し付ける作業を簡単に行える。
【0046】
(効果6)台板11をメッキ膜41を形成するときの陰極として用い、支持板31をメッキ膜41を形成するときの陽極として用いているため、メッキ膜41を形成するときに陰極及び陽極を別途配置する必要が無い。しかも、陰極(台板11)と陽極(支持板31)がメッキ膜41を形成すべき領域を挟んで向き合っているため、メッキ膜41の形成を効率的に行える。
【0047】
《第1ユニットU1と第3ユニットU3の変形例》
〈変形例1〉
前記一実施形態では、第1ユニットU1の台板11を導電体から形成して該台板11をメッキ膜41を形成するときの陰極として用い、第3ユニットU3の支持板31を導電体から形成して該支持板31をメッキ膜41を形成するときの陽極として用いたが、第1ユニットU1の台板11を絶縁体から形成して、メッキ膜41を形成するときの陰極を該台板11の外側に別途配置しても良い。また、第3ユニットU3の支持板31を絶縁体から形成して、メッキ膜41を形成するときの陽極を該支持板31の外側に別途配置しても良い。
【0048】
〈変形例2〉
前記一実施形態では、第1ユニットU1の台板11を導電体から形成し、第3ユニットU3の支持板31を導電体から形成したが、図11に示したように、台板11をアクリル樹脂やポリ塩化ビニル等の絶縁体から形成し、且つ、該台板11の上面側にステンレス等の導電体から成る電極層14を設けた第1ユニットU1’を作製して、該電極層14をメッキ膜41を形成するときの陰極として用いても良い。また、支持板31をアクリル樹脂やポリ塩化ビニル等の絶縁体から形成し、且つ、該支持板31の下面側にステンレス等の導電体から成る電極層33を設けた第3ユニットU3’を作製して、該電極層33をメッキ膜41を形成するときの陽極として用いても良い。
【0049】
図11に示した態様の両電極層14及び33を採用すれば、メッキ膜41を形成するときの電流の流れを制御して、メッキ膜41の形成をより効率的に行える。
【0050】
《第2ユニットU2の変形例》
〈変形例1〉
前記一実施形態では、第2ユニットU2のメッシュ22として金属線を格子状に編み込んだものを示したが、該メッシュ22はプラスチック線等の非金属線を格子状に編み込んだものであっても良い。
【0051】
この場合には、金属膜パターン13とメッシュ22との界面に形成されたメッキ膜41を介して該金属膜パターン13と該メッシュ22とを接合することが困難であるため、図12(A)に示したように、電解メッキ時間等を調整して、メッシュ22における金属膜パターン13の上側に位置する部分を覆うメッキ膜41’が形成されるようにすると良い。図12(A)に示したメッキ膜41’が形成されれば、台板11をメッシュ22から引き離すことによって該メッシュ22に接合されている金属膜パターン13を該台板11の上面から剥離して、印刷パターンに対応した金属膜パターン13をメッシュ22に接合して構成された印刷用マスクMP(図12(B)を参照)を、前記一実施形態と同様に製造できる。
【0052】
〈変形例2〉
前記一実施形態、並びに、前記変形例1では、メッシュ22として金属線或いは非金属線を格子状に編み込んだものを示したが、多数の孔が所定配列で形成されたシート状のものを代わりに用いても良い。
【符号の説明】
【0053】
11…台板、12…レジスト膜パターン、13…金属膜パターン、14…電極層、21…枠体、22…メッシュ、31…支持板、32…押圧部材、33…電極層、41,41’…メッキ膜、MP…印刷用マスク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12