(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記手前クランプ機構の各々のクランプ部材の先端部は、前記作業台側の縫い針の針落ち位置を通過する搬送方向に沿った直線から5[mm]以内の範囲で前記布押さえの側端部まで延出させたことを特徴とする請求項1又は2記載の縫製装置。
前記搬送機構は、前記ロックミシンの縫製の駆動源となるモータのトルクにより縫製時のミシン搬送を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の縫製装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロックミシンに対して上記の大型の生地を手作業で送り込むことは非常に困難を伴う作業である。
このため、長尺の作業台に生地を二枚重ねた状態で載置し、作業台の端縁部から縫い代を突き出した状態で、生地を移動させずに、作業台の端縁部に沿ってロックミシンを搬送させながら縫製を行う縫製装置が従来から使用されていた。
このような縫製装置を使用して、生地の縫い代となる端縁部に対して交差する模様や柄が存在する生地同士を縫い合わせる場合、上下送りを使用して上下の生地を送っても、送り歯が間欠的に接する動作を行うので、上下の生地の送り量に差が生じ、予め模様や柄が合致するように上下の生地の位置合わせを行っても、途中から模様や柄がずれてしまうという問題があった。
この問題に対処するために、生地の上から押さえるクランプを作業台の端縁部に沿って設けることも考えられるが、作業台の端縁部ではミシンが搬送されることから、ミシンの布押さえや送り歯等との干渉を避けるために、クランプを針落ち位置に近づけることができず、クランプを用いても上下の生地の模様や柄のズレを十分に抑えることはできなかった。
【0005】
本発明は、模様や柄のある生地同士の縫い合わせにおいて、模様や柄にズレのない高品質な縫いの実現を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、
二枚の生地を互いの一端部で直線状の縫い目でつなぎ合わせるための縫製装置であって、
前記つなぎ合わせる端部をその端縁部から突き出した状態で前記二枚の生地が重ねて載置される作業台と、
前記二枚の生地をつなぎ合わせるための縫製を行う二本針オーバーロックミシン又はインターロックミシンからなるロックミシンと、
前記縫製時に前記作業台の端縁部に沿って前記ロックミシンを搬送する搬送機構と、
上方から前記二枚の生地を保持する複数のクランプ部材を前記作業台の端縁部に沿って並んで配置した手前クランプ機構とを備え、
前記ロックミシンは、布押さえを前記作業台の端縁部に隣接する配置とすると共に、前記作業台側の縫い針が前記布押さえの前記作業台側の側端部に対して針落ちを行い、
前記複数のクランプ部材の先端部の位置を前記作業台の端縁部のきわの位置に合わせ
、
前記手前クランプ機構は、前記複数のクランプ部材と前記二枚の生地を保持するためにクランプ板の昇降動作を付与する昇降機構を含む支持機構とを上方に退避可能とする退避機構を有することを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、
請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、
前記手前クランプ機構の各々のクランプ部材の先端部は、前記作業台側の縫い針の針落ち位置を通過する搬送方向に沿った直線から5[mm]以内の範囲で前記布押さえの側端部まで延出させたことを特徴とする請求項1記載の縫製装置。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記搬送機構は、前記ロックミシンの縫製の駆動源となるモータのトルクにより縫製時のミシン搬送を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、
二枚の生地を互いの一端部で直線状の縫い目でつなぎ合わせるための縫製装置であって、
前記つなぎ合わせる端部をその端縁部から突き出した状態で前記二枚の生地が重ねて載置される作業台と、
前記二枚の生地をつなぎ合わせるための縫製を行う二本針オーバーロックミシン又はインターロックミシンからなるロックミシンと、
前記縫製時に前記作業台の端縁部に沿って前記ロックミシンを搬送する搬送機構と、
上方から前記二枚の生地を保持する複数のクランプ部材を前記作業台の端縁部に沿って並んで配置した手前クランプ機構とを備え、
前記ロックミシンは、布押さえを前記作業台の端縁部に隣接する配置とすると共に、前記作業台側の縫い針が前記布押さえの前記作業台側の側端部に対して針落ちを行い、
前記複数のクランプ部材の先端部の位置を前記作業台の端縁部のきわの位置に合わせ
、
前記作業台に載置された一枚目の生地の仮押さえを行う後クランプ機構を備え、
前記後クランプ機構は、前記作業台と同じ高さで前記作業台の端縁部の前側に配置される下板と、前記下板の上方から前記一枚目の生地の突き出された端部を保持するクランプ部材と、前記下板及び前記クランプ部材を前記ロックミシンの搬送領域から退避させる退避機構とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明は、ロックミシンの布押さえを作業台の端縁部に隣接する配置として、作業台側の縫い針が布押さえの作業台側の側端部に対して針落ちを行う構成とすることから、布押さえに干渉することなく、作業台側の縫い針の針落ち位置に対して作業台の端縁部をより近接配置することができる。
そして、クランプ部材の先端部を作業台の端縁部の際の位置まで延出することにより、作業台側の縫い針の針落ち位置により近い位置でクランプ部材と作業台とにより二枚の生地を保持することが可能となる。
このため、搬送機構により搬送しながらロックミシンが縫製を行う場合でも、上下の生地が効果的に保持され、上下の生地に柄や模様がある場合でも、ずれを生じることなくつなぎ合わせの縫製を行うことが可能となる。
また、これにより、上下送りを不要とすることができ、高速の縫製が可能となると共に装置の構成の簡易化、コスト低減を図ることが可能となる。
また、複数のクランプ部材及びその支持機構を上方に退避可能とするので、クランプを行う前に作業台に生地を載置する作業を容易に行うことが可能となる。
【0012】
請求項3記載の発明は、手前クランプ機構の各々のクランプ部材の先端部を作業台側の縫い針の針落ち位置を通過する搬送方向に沿った直線から5[mm]以内の範囲まで布押さえ
の側端部側に延出している。これは、発明者の試行錯誤により、この距離が10[mm]では十分な効果が得られず、5[mm]以内とすると良好な効果が得られるという成果に基づくもの
である。
なお、5[mm]以内であっても0は含まないことは当然である。布押さえとクランプ部材との干渉が生じない範囲であって5[mm]以内であることを前提とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、搬送機構がロックミシンの縫製の駆動源となるモータのトルクにより縫製時のミシン搬送を行うので、毎針の搬送による移動量(縫いピッチ)の均一化を図るための同期をより容易にとることが可能となる。これにより、同期精度を高めるためのサーボ機構等の高価な構成を不要とし、低コストで縫い品質の向上を図ることが可能となる。
【0015】
請求項2記載の発明は、後クランプ機構を備えるので、作業台に載置された一枚目の生地の仮押さえを行うことができ、二枚目の生地を乗せて位置調節を行う際に、下の生地が一緒に移動することを防止でき、作業性の向上及び縫い合わせた生地同士のずれを防止することが可能となる。
また、後クランプ機構は、下板及びクランプ部材を退避させる退避機構を備えるので、縫製時には、ロックミシンの搬送を妨げない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[発明の実施の形態の概要]
以下、発明の実施形態である縫製装置10について
図1から
図13に基づいて説明を行います。この縫製装置10は、大判の二枚の生地(具体例としてはカーテン地C)の直線状の端部同士を縫い合わせてつなぎ合わせの縫製を行うのに好適な縫製装置を例示するものである。
【0018】
縫製装置10は、全体を支持する基台20と、基台20に支持された作業台30と、二枚の生地をつなぎ合わせるための縫製を行うインターロックミシン40と、縫製時に作業台30の端縁部に沿ってインターロックミシン40を搬送する搬送機構50と、上方から二枚の生地を保持する複数のクランプ部材611を作業台の端縁部に沿って並んで配置した手前クランプ機構60と、カーテン地C1,C2をセットする際に作業台30に載置された一枚目のカーテン地C1の仮押さえを行う後クランプ機構70と、一枚目のカーテン地C1の縫い開始側の端部を保持する開始位置保持機構80と、作業台30の端縁部に隣接して設けられ、一枚目のカーテン地C1の縫い終了側の端部を保持すると共に、作業台30の端縁部に沿ってインターロックミシン40の縫製時の搬送方向下流側に向かって移動する生地運搬機構90と、上記各部の動作制御を行う図示しない制御装置とを備えている。
【0019】
なお、以下の説明において、水平方向であって、インターロックミシン40の搬送が行われる方向を「X軸方向」とし、縫製時の搬送方向を「X軸正方向」とし、その逆の方向を「X軸逆方向」と定義する。
また、水平方向であって、X軸方向に直交する方向を「Y軸方向」とし、
図1において作業台30に対してインターロックミシン40が位置する方向を「Y軸正方向」、その逆方向を「Y軸逆方向」と定義する。
また、鉛直上下方向を「Z軸方向」又は「上下方向」と定義する。
【0020】
[基台及び作業台]
基台20は、Y−Z平面に沿った二枚の側板21,21と、二枚の側板21,21の間に掛け渡された支柱22,23と、支柱23に設けられた脚部24,24,24とから主に構成されている。
【0021】
作業台30は、Y−Z平面に沿った断面形状が略矩形となる内部中空の金属製の柱状体であり、その上面はX軸方向に沿った長尺の生地載置面31となっている。例えば、この生地載置面31は、X軸方向に沿って5[m]程度の長さを有しており、縫い合わせを行う縫製距離が4[m]にも及ぶカーテン地C1,C2についても載置することができる。
この作業台30も基台20の側板21,21の間に掛け渡されており、その両端部がそれぞれの側板21,21に固定支持されている。また、かかる支持状態において、作業台30の生地載置面31は、水平となるように支持されている。
【0022】
図2は作業台30の周辺の平面図であり、この図に示すように、作業台30の生地載置面31のインターロックミシン40側の端縁部32は、X軸方向に沿った直線状に形成されている。そして、カーテン地C1,C2は、生地載置面31上で上下に重ねられた状態(C2が上側)で、端縁部32から縫い代となる端部を突き出した状態で載置され、カーテン地C1,C2の突き出された端部に対する縫製(縁かがり縫い及び二重環縫い)が行われる。
【0023】
[インターロックミシン]
図3はインターロックミシン40の縫い針41,42の周囲を示す斜視図であり、
図4(A)はインターロックミシン40の布押さえ43の平面図、
図4(B)は針板44の平面図である。
インターロックミシン40は、周知のものとほぼ同様の構成を有し、その一部のみについて縫製装置10による縫製に好適な加工が施されている。従って、ここでは、インターロックミシンとして周知の構成については言及せず、主として、その特徴的に部分についてのみ説明を行うものとする。
【0024】
インターロックミシン40は、二本の縫い針41,42を備え、Y軸逆方向側(作業台30に近い方)の縫い針41は二重環縫いを行い、Y軸正方向側(作業台30に遠い方)の縫い針42は縁かがり縫いを行うためのものである。
そして、インターロックミシン40は、アーム45により上下に回動可能に支持された布押さえ43を縫い針41,42の下方に備え、さらにその下側であってミシンベッドの上面には針板44が配置されている。
【0025】
布押さえ43は、アーム45を介して下方に押圧されており、これは、二重環縫いと縁かがり縫いの生地のない状態での空環の形成と目飛びの防止を可能とするためのものである。即ち、インターロックミシン40は、カーテン地C1,C2は移動を行わず、搬送機構50によりミシン40の方が搬送方向に進行するので、生地を後方に送り出すために必要な程度の加圧力は不要であり、これよりも弱い、空環の送り出しと目飛びの発生を防止するために必要最小限の加圧力の付与が行われている。
図4(A)に示すように、布押さえ43は、作業台30側の側端部43aが直線状に形成されると共に作業台30の端縁部32に近接対向するように配置されている。係る配置は、搬送機構50により搬送される際も維持される。
そして、
図4(A)に示す符号H1,H2は、それぞれ縫い針41,42の針落ち位置を示すものであり、図示のように、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1は、布押さえ43の作業台30側の側端部43aの際に位置している。即ち、従来のインターロックミシンの布押さえは、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1からY軸逆方向により膨らんだ形状に形成されているが、このインターロックミシン40の布押さえ43は、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1が布押さえ43の作業台30側の側端部43aに位置するように、作業台30側の膨らみは全て除去された形状となっている。
これにより、作業台30の端縁部32を、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1に極力近づけることを可能としている。作業台30の端縁部32から二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1までの距離は、5[mm]以内であり、搬送時に干渉を生じない範囲でより近接させることが望ましい。
なお、
図4(A)に示す符号H3は、縁かがり縫いを行う際のカーテン地C1,C2の端部における縫い代の余剰部分を切除するメス46のメス落ち位置を示している。
【0026】
針板44は、ミシンベッド部上面において作業台30の生地載置面31と同じ高さで配置された板状体である。
図4(B)に示す符号H4,H5は、それぞれ縫い針41,42の針落ち位置を示すものであり、図示のように、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H4は、針板44の作業台30側の側端部44aの際に位置している。即ち、従来のインターロックミシンの針板は、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H4よりもY軸逆方向側には、もう一条、送り歯が覗く開口部が形成されていたが、このインターロックミシン40の針板44は、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H4が針板44の作業台30側の側端部44aに位置するように、送り歯が覗く開口部が一つ除去された形状となっている。
また、
図4(B)に示す符号47,48は、針板44の下側に配置される第一と第二の送り歯を示しているが、これらの送り歯47,48も一条分の送り歯が削除されてスリム化されている。
これらにより、作業台30の端縁部32を、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H4に極力近づけることを可能としている。当然、作業台30の端縁部32から二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H4までの距離も5[mm]以内であり、搬送時に干渉を生じない範囲でより近接させることが望ましい。
【0027】
なお、
図2にも二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1が図示されており、当該針落ち位置H1は、インターロックミシン40の作業台30側の側端部よりも幾分Y軸正方向側に位置しているが、これは、インターロックミシン40の上部(アーム部)が作業台30側に幾分突出した形状であるためである。
【0028】
[搬送機構]
図1及び
図2では、インターロックミシン40のX軸正方向側に後クランプ機構70が配置された状態が図示されているが、後クランプ機構70は上方に退避させることが可能となっている。
図5は後クランプ機構70を退避状態とした場合の搬送機構50及びインターロックミシン40の斜視図である。
図示のように、基台20は、後クランプ機構70の下側にミシン支持板25を備えている。そして,搬送機構50は、ミシン支持板25の上面にX軸方向に沿った状態で装備された二本のスライドレール51,51と、スライドガイド52,52を介してスライドレール51に沿って滑動可能なミシン搭載板53とを備えている。
さらに、ミシン搭載板53の上面にはインターロックミシン40及びその縫製の駆動源となるミシンモータ49とが搭載されており、搬送機構50は、トルク伝達機構540を介して、ミシンモータ49の出力トルクを利用して、縫製時にインターロックミシン40をX軸正方向に向かって搬送を行うことを可能としている。
即ち、トルク伝達機構540は、ミシンモータ49の出力軸に装備された一体型の大小の主動プーリ541,542と、主動プーリ542からタイミングベルトを介してトルクが伝達される従動プーリ543と、従動プーリ543の回転を所定の減速比で減速する減速器544と、減速器544介して従動プーリ543からのトルクが付与される第一の中間プーリ545と、第一の中間プーリ545からタイミングベルトを介してトルクが伝達される第二の中間プーリ546と、制御装置の制御に従って第二の中間プーリ546から下流側へのトルク伝達の接続と切断とを切り替え可能なクラッチ装置547と、クラッチ装置547を介してトルクが付与されるピニオンギア548とを備えている。
そして、このピニオンギア548は、ミシン支持板25の上面においてスライドレール51に並んでX軸方向に沿って装備されたラックギア56に噛合している。
また、前述した主動プーリ541は、タイミングベルトを介してインターロックミシン40の動力入力プーリ40aに縫製を行うためのトルクを入力する。
【0029】
かかる構成により、ミシンモータ49が駆動を行うと、インターロックミシン40の縫製動作と搬送機構50によるX軸正方向への搬送とが同時に開始される。
また、インターロックミシン40の縫製動作速度と搬送機構50によるX軸正方向への搬送動作速度とは、いずれもミシンモータ49の回転数に比例するので、インターロックミシン40の縫製動作速度と搬送機構50によるX軸正方向への搬送動作速度も比例関係となる。つまり、インターロックミシン40の一針ごとの搬送距離,即ち、縫いピッチは、ミシンモータ49の回転数に拘わらず、常に一定とすることができる。具体的には、搬送機構50は、一針毎に3[mm]の縫いピッチとなるように調整されている。
【0030】
また、搬送機構50は、基台20に図示しないベルト送り機構を備えており、ミシン搭載板53に連結された送りベルト57を介して、ミシン搭載板53及びインターロックミシン40をX軸逆方向に搬送することを可能としている。
即ち、図示しないベルト送り機構は、ミシンモータ49とは別に駆動源となるモータを備えており、縫製時におけるX軸正方向へのインターロックミシン40の搬送はミシンモータ49を駆動源として行い、縫製終了後のホームポジションへのインターロックミシン40の復帰動作は、ミシンモータ49とは別のモータを駆動源として行うようになっている。
【0031】
[手前クランプ機構]
図6は手前クランプ機構60の平面図、
図7(A)は一部切り欠いた側面図、
図7(B)は一つのクランプ板61の周囲の構成を示した拡大平面図,
図8は退避機構65の動作説明図である。
手前クランプ機構60は、複数のクランプ部材611を並列させた状態で一体的に備える複数のクランプ板61と、各クランプ板61をX軸方向に沿って並んだ状態で保持する支柱62と、支柱62に対する各クランプ板61の昇降動作を付与する昇降機構63と、全てのクランプ板61と支柱62と昇降機構63とを作業台30から上方に退避させる退避機構65とを備えている。
【0032】
支柱62は、その両端部が退避機構65を介して基台20の側板21,21によりX軸方向に沿った状態で支持されている。そして、支柱62のY軸正方向側の面には、昇降機構63を介して各クランプ板61が支持されている。なお、この支柱62及び昇降機構63がクランプ部材611の支持機構に相当する。
【0033】
クランプ板61は、可撓性を有する平板であり、串歯状に複数(例えば、九つ)のクランプ部材611が同じ方向に延出された状態で並んで形成されている。
各クランプ板61は、複数(例えば、34枚)がX軸方向に並んだ状態で支柱62に支持されており、当該支持状態において、各クランプ板61の九つのクランプ部材611もX軸方向に並んだ状態となる。また、個々のクランプ部材611自体は、その長手方向がY軸方向に沿った状態であって、先端部がY軸正方向に向けられた状態となる。
そして、各クランプ部材611の先端部には、摩擦係数の高い樹脂等からなる滑り止めが装備されており、当該各先端部が作業台30の生地載置面31上のカーテン地C1,C2を上方から押さえつけることが可能となっている。
また、退避機構65による下降状態且つ各クランプ板61が昇降機構63による下降状態にある場合おいて、各クランプ部材611は、いずれもその先端位置が、作業台30の端縁部32と同じ位置で並ぶように配置されている。即ち、各クランプ部材611は、作業台30の端縁部32の際の位置でカーテン地C1,C2を保持することが可能となっている。
なお、作業台30の端縁部32は、前述したように、インターロックミシン40の二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1に対して5[mm]以内の範囲まで近接配置されていることから、各クランプ部材611の先端部も同様に、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1に対して5[mm]以内の範囲まで近接した状態となる。
【0034】
昇降機構63は、一枚のクランプ板61につき一基設けられている。この昇降機構63は、支柱62のY軸正方向側の平面に取り付けられた支持ブロック631と、支持ブロック631に対して垂直上下方向に滑動可能なガイド軸632と、ガイド軸632の下端部に連結されてクランプ板61の基端部を保持する保持体633と、支持ブロック631に装備された昇降用のアクチュエータとしてのエアシリンダ634とを備えている。
そして、エアシリンダ634はプランジャが下方に向けられると共に当該プランジャの先端部が保持体633に連結されている。つまり、エアシリンダ634のプランジャが突出するように作動すると、クランプ板61は下降する。このとき、クランプ板61の各クランプ部材611は、その先端部に向かうにつれて下降するように幾分勾配が形成されており、エアシリンダ634の作動により、その先端部が作業台30のカーテン地C1,C2を圧接保持するようになっている。
【0035】
なお、
図6に示すように、X軸方向に並んだ複数の昇降機構63は、一つおきに、手動操作によりクランプ板61を下降させる作動スイッチ635が設けられている。つまり、一つおきのクランプ板61については、個々に下降させることが可能となっている。なお、作動スイッチ635が設けられていない残りの昇降機構63については、一括的に下降動作を実行させる図示しない作動スイッチが設けられている。
このように、一つおきではあるが、個々にクランプ板61を下降させることができるので、X軸方向に長いカーテン地C1,C2を一つのクランプ板61の保持範囲ごとに位置合わせをクランプすることができ、位置合わせ作業の作業性を向上することができる。
なお、全ての昇降機構63について、作動スイッチ635を設けても良いことはもちろんである。
【0036】
退避機構65は、
図6に示すように、支柱62の両端部に設けられている。これら両側の退避機構65は、その構成は同一なので、
図8に基づいて一方の退避機構のみについて説明を行うものとする。
退避機構65は、側板21の内側面において、上端部側を支点としてX軸周りに揺動可能に支持された長方形状の揺動板651と、当該揺動板651の内側面において当該揺動板651の長手方向に沿って装備されたガイドレール652と、ガイドレール652に対して図示しないスライドガイドを介して滑動可能であって支柱62の一端部を保持するスライド板653と、揺動板651の上端部近傍に設けられた主動プーリ654と、揺動板651の下端部近傍に設けられた従動プーリ655と、これらのプーリ654,655の間に掛け渡されたタイミングベルト656と、揺動板651の下端部をY軸方向に沿って前後移動するように揺動を付与するアクチュエータとしてのエアシリンダ657とを備えている。
【0037】
上記揺動板は、主動プーリ654の回転軸を支軸として揺動可能となっており、プーリ654,655の間に掛け渡されたタイミングベルト656は、ガイドレール652に平行な方向に張設されている。さらに、タイミングベルト656はスライド板653と連結されている。これにより、主動プーリ654にトルクが付与されると、タイミングベルト656を介してスライド板653及び支柱62を上下動させることが可能となっている。
なお、側板21の反対側の面には、主動プーリ654にトルク付与を行うための駆動装置が設けられている。かかる駆動装置は、例えば、モータを使用しても良いが、その動作の瞬発製を考慮して、例えば、エアシリンダやソレノイドのような直動型のアクチュエータをベルト機構を介して回転運動に変換して主動プーリ654に付与するものが採用されている。
【0038】
かかる構成により、退避機構65は、クランプ板61が上方に退避された状態において、主動プーリ654にトルク付与を行い、ガイドレールに沿って下降させる。そして、所定位置まで下降すると、エアシリンダ657を作動させて各クランプ板61のクランプ部材611の先端部がY軸正方向に向かって前進するように引き寄せる。これにより、各クランプ部材611の先端部をインターロックミシン40の縫い針41に最接近させることが可能である。
これにより、インターロックミシン40のアーム部が縫い針41よりも作業台30側に突出する形状の場合でも、下降するクランプ部材611がミシンのアーム部と干渉することを回避でき、なおかつ、各クランプ部材611の先端部を縫い針41の近傍までに前進移動させることが可能となる。
【0039】
また、各クランプ板61を退避させる場合には、まず、エアシリンダ657を作動させて揺動板651を介して各クランプ部材611をY軸逆方向に後退移動させ、しかる後に、主動プーリ654にトルクを付与して支柱62及び各クランプ板61を上方に退避移動させる。
【0040】
[後クランプ機構]
図9は後クランプ機構70の側面図、
図10は一つのクランプ板71の周囲の構成を示した拡大平面図である。
前述した手前クランプ機構60は、縫製時にカーテン地C1,C2を保持してズレのない縫製を行うためのものであるが、この後クランプ機構70は、作業台30にカーテン地C1とC2との相互の位置合わせを行う際に、下側のカーテン地C1のみを保持して位置合わせ作業をやりやすくすることで作業性の向上及び縫い品質の向上を図るものであり、その用途は異なっている。
【0041】
後クランプ機構70は、複数のクランプ部材711を並列させた状態で一体的に備える複数のクランプ板71と、各クランプ板71をX軸方向に沿って並んだ状態で保持すると共にカーテン地C1,C2の先端部を付き合わせて縫い代を決めるための定規72と、定規72に対する各クランプ板71の昇降動作を付与する昇降機構73と、定規72を作業台30の端縁部32に対する接離方向(Y軸方向)に任意に位置決めする位置決め機構74と、その上面が作業台30の生地載置面31と同じ高さとなるように作業台30の端縁部32の前側に配置される下板75と、全てのクランプ板71と定規72と昇降機構73と位置決め機構74と下板75とを支持する支柱76と、下板75の先端部の位置を三段階に切り替える下板位置切り替え機構77と、支柱76とこれに支持される構成をインターロックミシン40の搬送領域外に退避させる退避機構78とを備えている。
【0042】
支柱76は、その両側の端部の近傍で退避機構78に支持されている。そして、支柱76のY軸逆方向側の面には、定規72がY軸方向に沿って移動可能に支持されている。
下板75は、X軸方向に長尺の長方形の平板部751と、平板部751のY軸正方向側の端部から立設されたX−Z平面に沿った立板部752を備えている。
下板75は、平板部751が支柱76の底面と摺接し、支柱76によってY軸方向に沿って滑動可能に支持されている。下板75の平板部751は、その上面高さが作業台30の生地載置面31と同じ高さに設定されており、平板部751のY軸逆方向の端部が作業台30の端縁部32に近接するまで前進させた状態で、カーテン地C1とC2の縫い代側の端部を乗せることができ、その状態で、カーテン地C1とC2の位置合わせ作業を行うことが想定されている。
【0043】
定規72は、X軸方向の断面形状が略コ字状となるX軸方向に長い枠体である。その底板部721は、天板部722よりもY軸逆方向に向かって突出されており、底板部721の先端面にカーテン地C1とC2の端部を付き合わせることで縫い代の長さの調節を行うことを可能とする。
また、天板部722には、X軸方向に並んで昇降機構73が設けられ、当該昇降機構73によってクランプ板71が支持されている。
なお、この定規72及び昇降機構73がクランプ部材711の支持機構に相当する。
【0044】
位置決め機構74は、支柱76の上面においてY軸方向に滑動可能に支持されたラックギア741と、ラックギア741に噛合するピニオンギア742と、ピニオンギア742を固定支持する回転軸743と、回転軸743を回転操作するハンドル744とを備えている。なお、回転軸743は、支柱76の全長とほぼ等しく、回転軸743の長手方向における複数箇所にピニオンギア742が設けられ、これと噛合する各位置にラックギア741が設けられている。
また、各ラックギア741はその先端部が定規72に連結されており、ハンドル744を回転操作することにより、ピニオンギア742を介してラックギア741及び定規72をY軸方向に任意に移動させることが可能となっている。これにより、定規72の底板部721の先端面がY軸方向に任意に移動し、カーテン地C1,C2の先端位置即ち縫い代の長さを任意に設定することが可能となっている。
【0045】
クランプ板71は、可撓性を有する平板であり、串歯状に複数(例えば、九つ)のクランプ部材711が同じ方向に延出された状態で並んで形成されている。
各クランプ板71は、複数(例えば、15枚)がX軸方向に並んだ状態で定規72に支持されており、当該支持状態において、各クランプ板71の九つのクランプ部材711もX軸方向に並んだ状態となる。また、個々のクランプ部材711自体は、その長手方向がY軸方向に沿った状態であって、先端部がY軸逆方向に向けられた状態となる。即ち、各クランプ部材711は、前述した手前クランプ機構60のクランプ部材611と先端部同士を互いに向かい合わせに突き合わせた状態となる。
また、
図2に示すように、クランプ板71はクランプ板61に比べてX軸方向にまばらに配置されるが、これは、クランプ部材711の機能が、位置合わせの際にカーテン地C1をC2に対して仮止めするためのものであることから、全長に渡って隙間なく位置ズレを防止する要求が高くないためである。
【0046】
そして、各クランプ部材711の先端部には、摩擦係数の高い樹脂等からなる滑り止めが装備されており、当該各先端部が下板75の平板部751上のカーテン地C1を上方から押さえつけることが可能となっている。
また、各クランプ部材711は、いずれもその先端位置が、作業台30の端縁部32から幾分離れてY軸方向における同位置で並ぶように配置されている。これは、後述する生地運搬機構90が、各クランプ部材711と作業台30の端縁部32との間を通過することを妨げないようにするためである。
【0047】
昇降機構73は、一枚のクランプ板71につき一基設けられている。この昇降機構73は、定規72の天板722に対して垂直上下方向に滑動可能なガイド軸732と、ガイド軸732の下端部に連結されてクランプ板71の基端部を保持する保持体733と、天板722に装備された昇降用のアクチュエータとしてのエアシリンダ734と、作動スイッチ731とを備えている。
そして、エアシリンダ734はプランジャが下方に向けられると共に当該プランジャの先端部が保持体733に連結されている。つまり、作動スイッチ731が押されてエアシリンダ734のプランジャが突出するように作動すると、クランプ板71は下降する。このとき、クランプ板71の各クランプ部材711は、その先端部が低位置となるようにクランク状に形成されており、エアシリンダ734の作動により、その先端部が下板75の平板部751の上面でカーテン地C1を圧接保持するようになっている。
【0048】
下板位置切り替え機構77は、下板75の作業台30側の先端部の位置を最前進位置と、最後退位置と、中間位置の三段階に切り替え可能とするものであり、支柱76に設けられ、下板75を最前進位置と最後退位置の二位置に切り替えるアクチュエータとしての第一のエアシリンダ771と、中間位置に切り替えるアクチュエータとしての第二のエアシリンダ772とを備えている。
第一のエアシリンダ771は第二のエアシリンダ772に比してストロークが大きく、第二のエアシリンダ772のプランジャが突出しない状態で下板75を最前進位置と最後退位置とに切り替えることができる。
第二のエアシリンダ772は、第一のエアシリンダ771よりもストロークが小さいが第一のエアシリンダ771よりも作動圧が高圧となっている。これにより、第一のエアシリンダ771が下板75を最前進位置とする状態において、第二のエアシリンダ772が作動することで下板75を押し戻して、最前進位置よりも後退した中間位置に合わせることが可能となっている。
【0049】
図11は下板75の三段階の位置合わせの状態説明図である。図示のように、下板75における最前進位置P1は、下板75の先端部が作業台30の端縁部32に当接する程度まで前進した状態であり、作業台30と下板75との間に隙間がほとんど生じない状態となるため、柄合わせなどを行う場合に、カーテン地C1に対するC2の位置合わせ作業が非常にやりやすくなる。
下板75における中間位置P3は、下板75の先端部が作業台30の端縁部32に対して所定幅の隙間を生じる位置である。これは生地搬送を行う生地搬送機構90を使用する場合のポジションであり、その隙間は生地搬送機構90が通過可能な幅となっている。
下板75における最後退位置P2は、下板75の先端部が各クランプ部材711の先端部よりも後退した位置である。これは、後クランプ機構70において、カーテン地C1の先端部を仮止めしてカーテン地C2の位置調節作業を行った後、縫製を行うために、後クランプ機構70を上方に退避させる場合に、下板75の先端部がカーテン地C1を上方に捲り上げないようにするポジションである。
【0050】
退避機構78は、
図1に示すように、基台20の支柱22に回転可能に支持された回転軸781と、上下方向に設けられ、下端部が支柱73に連結されたラックギア782と、回転軸781に設けられ、ラックギア741に噛合する図示しないピニオンギアと、回転軸にトルクを付与する図示しない駆動装置とを備えている。
退避機構78は、制御装置の制御に従って、回転軸にトルクが付与され、ピニオンギアが回転してラックギア782を介して支柱76が上方に引き上げられることで、後クランプ機構70の全体をインターロックミシン40の搬送領域外に退避させる。
【0051】
[開始位置保持機構]
開始位置決め機構80は、
図5に示すように、ミシン搭載板53の上面において、インターロックミシン40に対する搬送方向下流側に隣接して設けられている。
この開始位置決め機構80は、一枚目のカーテン地C1の縫い開始側の端部を保持する一対の把持部材81,82と、上側の把持部材82を下降させてカーテン地C1の把持圧を付与するアクチュエータとしてのエアシリンダ83とから主に構成される。
【0052】
[生地運搬機構]
図12は生地運搬機構90の斜視図である。
生地運搬機構90は、
図5及び
図12に示すように、インターロックミシン40を搬送するための作業台30に近い方のスライドレール51を利用してX軸方向に滑動を行い、カーテン地C1の縫製の終端部側を搬送方向下流側に運搬するようになっている。
この生地運搬機構90は、スライドレール51に対して滑動可能なスライドガイド91と、スライドガイド91から上方に立設された支柱92と、支柱92の上端部に固定支持された第一の把持部材93と、第一の把持部材93から立設された二本の支軸95に沿って上下動可能な第二の把持部材94と、第二の把持部材94に対して第一の把持部材93側への把持圧を付与するアクチュエータとしてのエアシリンダ99と、エアシリンダ99を手動操作で作動させる作動スイッチ96と、支柱92の下端部に連結され、X軸方向に沿った移動動作を付与する搬送ベルト97と、搬送ベルト97の搬送を行う図示しないベルト搬送機構と、各把持部材93,94の搬送方向下流側への移動を実行させる移動開始スイッチ98とを備えている。
なお、上記第一の把持部材93は作業台30の端縁部32に対して隙間なく接しており、また、その上面が生地載置面31と同じ高さとなるように設定されている。
【0053】
上記開始位置保持機構80及び生地運搬機構90は、柄合わせの必要がないようなカーテン地C1、C2のつなぎ合わせの縫製を行う場合に、まず、下板75を前述した中間位置とし、作業者の操作により、開始位置保持機構80を作動させて、カーテン地C1の縫い開始端部を把持する。次に、作動スイッチ96を操作して、カーテン地C1の縫い終端部を各把持部材93,94により把持する。なお、これらカーテン地C1の両端部を把持する際には、定規72に布端部を当てて、予定された縫い代となるように予め調整しておく必要がある。
そして、移動開始スイッチ98を操作すると、生地運搬機構90が搬送方向下流側に移動を開始し、カーテン地C1の終端部を自動的に運搬する。なお、生地運搬機構90のベルト搬送機構は、その動作トルクを任意に設定することができ、カーテン地C1の品質に応じて例えば、延びやすい生地であれば、弱いトルクで搬送して延びの発生を回避するなど、適切な生地運搬を行うことができるようになっている。
【0054】
また、カーテン地C1とC2とでつなぎ合わせる縫い位置において、模様や柄などがずれないように、作業台30の上で調整作業を行う場合には、下板75と作業台30との間に隙間がない方が作業性が良いので、生地運搬機構90は使わない。
【0055】
[縫製装置の柄合わせ縫製動作]
上記構成からなる縫製装置10において、柄合わせを行う必要があるカーテン地C1,C2をつなぎ合わせる縫製を行う場合の動作を
図13の動作説明図によって説明する。
まず、制御装置に対して、柄合わせモードの実行を入力すると、手前クランプ機構60は上方への退避状態を維持し、後クランプ機構70は非退避状態とされる。
そして、後クランプ機構70の下板75は最前進位置となるよう制御される。
この状態で、定規72を適正な縫い代となる位置に調節し、作業台30の生地載置面31に手作業でカーテン地C1を乗せる。
さらに、カーテン地C1の縫い代側の端部を定規72の先端に突き当てて、縫い代を正確に調節する(
図13(A))。
【0056】
次に、後クランプ機構70のクランプ部材711が下降し、カーテン地C1の端部をクランプする(
図13(B))。
さらに、カーテン地C2の縫い代側の端部をカーテン地C1に重ね合わせる(
図13(C))。
そして、手前クランプ機構60が退避位置から下降して待機する。
この状態で、X軸方向における片側から順番に、カーテン地C2をカーテン地C1に対してX軸方向に沿って位置調節し(
図13(D))、一つのクランプ板61の保持幅について位置合わせが終わる毎に、対応する作動スイッチ635を操作し、クランプ板61を一枚ずつ下降させてクランプする(
図13(E))。最終的に個々のクランプ板61によるクランプが終わると、一括的な操作スイッチにより、残りのクランプ板61によりクランプを全て実行する。
【0057】
手前クランプ機構60によるクランプが完了すると、後クランプ機構70によるクランプ部材711のクランプが解除される(
図13(F))。同時に、下板75は最後退位置まで後退移動を行う。
そして、退避機構78により、後クランプ機構70は上方に退避される。
その後、ミシンモータ49の駆動により、インターロックミシン40が縫製を行いつつ、搬送され、カーテン地C1,C2の柄を合わせつつ縫い合わせ縫製が行われる。
【0058】
[発明の実施形態の効果]
上記縫製装置10では、インターロックミシン40の布押さえ43を作業台30の端縁部32に隣接する配置として、縫い針41が布押さえ43の側端部43aで針落ちを行う構成とすることから、布押さえ43に干渉することなく、針落ち位置H1に作業台30の端縁部32を近接配置することができる。
そして、クランプ部材611の先端部を作業台30の端縁部32と同じ位置まで延出することにより、二重環縫いを行う縫い針41の針落ち位置H1により近い位置でクランプ部材611がカーテン地C1,C2を保持することから、上下の生地が縫製によるズレを生じることなく縫い合わせられ、柄や模様があるカーテン地C1,C2についても、ずれを生じることなくつなぎ合わせの縫製を行うことが可能となる。
【0059】
また、手前クランプ機構60は上方に退避可能なので、クランプを行う前に作業台30にカーテン地C1を載置する作業を容易に行うことが可能となる。
さらに、縫製装置10の搬送機構50はインターロックミシン40のミシンモータ49のトルクにより縫製時のミシン搬送を行うので、毎針の搬送による移動量(縫いピッチ)の均一化を図るための同期をより容易にとることが可能となる。これにより、同期精度を高めるためのサーボ機構等の高価な構成を不要とし、低コストで縫い品質の向上を図ることが可能となる。
【0060】
さらに、縫製装置10は、後クランプ機構70を備えるので、作業台30に載置されたカーテン地C1の仮押さえを行うことができ、二枚目のカーテン地C2を乗せて位置調節を行う際に、カーテン地C1が一緒に移動することを防止でき、作業性の向上及び縫い合わせた生地同士のずれを防止することが可能となる。
また、後クランプ機構70では、退避機構78による後クランプ機構70全体の上方退避の際に、予めエアシリンダ771による下板75の最後退位置への後退移動を行うので、下板75の先端部よりカーテン地C1がめくりあげられることを防止することが可能となる。
【0061】
さらに、カーテン地C1の縫い開始側の端部を保持する開始位置保持機構80と生地運搬機構90とを備えるので、つなぎ合わせる端部の長さが長い場合でも自動的にカーテン地C1を運搬することができ、作業性の向上を図ることが可能となる。
また、生地運搬機構90の動作時には、エアシリンダ771,772が下板75を中間位置に移動させるので、生地運搬機構90と下板75との干渉の防止することが可能となる。
【0062】
また、後クランプ機構70は、カーテン地C1,C2の突き出された端部の先端を突き当てる定規72と定規72のY軸方向における位置を調節する位置決め機構74とを備えるので、作業台30から突き出されるカーテン地C1,C2の長さ及び縫い代の幅を自在に調節することが可能となる。
【0063】
なお、上記縫製装置10では、ロックミシンとしてインターロックミシン40を搭載しているが、これに限らず、例えば、縁かがり縫いを行う二本針オーバーロックミシンを搭載しても良い。
その場合、二本針の内の作業台側の縫い針の針落ちが、布押さえ43における作業台側の側端部に対して行われるように当該布押さえを形成することが要求される。また、同様に、作業台側の縫い針の針落ちが、針板44における作業台側の側端部に対して行われるように、針板44及び送り歯を形成することが要求される。