(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
間接活線工具を用いて前記腕金に固定される腕金固定部、及び前記前方支持アームの前記固定部をスライドさせながら挿入しかつ前記前方支持アームを支持する挿入部を有する取付具を更に備え、
前記前方支持アームは、前記取付具を介して前記腕金に設置されることを特徴とする請求項1記載の防護具。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態における防護具1の概略構成を示す斜視図である。
図1において、防護具1は、第1防護カーテンユニット10、第2防護カーテンユニット12、前方支持アーム14、前方下部支持アーム16、後方支持アーム18、及び後方下部支持アーム20を備えている。なお、以下の説明の便宜上、
図1において、図中A方向(電柱100の長手方向)を上下方向、図中A方向に垂直な図中B方向を左右方向、A方向及びB方向に垂直な図中C方向を前後方向と称する場合がある。
【0019】
電柱100には、電灯用の変圧器110及び動力用の変圧器120が設置されており、変圧器110及び変圧器120は、電柱100の前方に位置している。
【0020】
第1防護カーテンユニット10は、第1防護カーテン10aを巻き取った状態で収納し、必要に応じて第1防護カーテン10aを引き出して使用するものである。第2防護カーテンユニット12も同様に、第2防護カーテン12aを巻き取った状態で収納し、必要に応じて第2防護カーテン12aを引き出して使用するものである。
【0021】
前方支持アーム14及び前方下部支持アーム16は、第1防護カーテンユニット10を支持するためのT字状の部材である。前方支持アーム14は、棒状の固定部14a(
図4参照)と、固定部14a(
図4参照)に対して垂直方向に両端部が延びる支持部14bとを備えている。前方下部支持アーム16は、棒状の下部固定部16aと、下部固定部16aに対して垂直方向に延びる下部支持部16bとを備えている。ここで、支持部14bと下部支持部16bとは同じ長さである。
【0022】
前方支持アーム14の棒状の固定部14a(
図4参照)は、詳細については後述するが、電柱100に変圧器110及び変圧器120を設置するために装柱された腕金130に設置される。前方下部支持アーム16の下部固定部16aは、電柱100に設置される。このとき、支持部14b及び下部支持部16bは、変圧器110及び変圧器120の前方に配置される。また、下部支持部16bは変圧器110及び変圧器120の前側下方に配置され、支持部14bは下部支持部16bの上方に配置される。このとき、支持部14b及び下部支持部16bは互いに平行である。そして、一対の第1防護カーテンユニット10が、支持部14b及び下部支持部16bの両端部にそれぞれ設置される。
【0023】
後方支持アーム18及び後方下部支持アーム20は、変圧器110及び変圧器120の後方に配置され、第2防護カーテンユニット12を支持するための、同じ長さの棒状の部材である。後方支持アーム18は、電柱100における変圧器110よりも上方の部位に設置される。このとき、後方支持アーム18は、両端部が左右方向に延在する。後方下部支持アーム20は、電柱100における変圧器110よりも下方の部位に設置される。後方下部支持アーム20は、後方支持アーム18と同様に両端部が左右方向に延在し、後方支持アーム18及び後方下部支持アーム20は互いに平行である。そして、一対の第2防護カーテンユニット12が、後方支持アーム18及び後方下部支持アーム20の両端部にそれぞれ設置される。
【0024】
一対の第1防護カーテンユニット10及び一対の第2防護カーテンユニット12は、地上からそれぞれ同じ高さで配置される。このとき、一対の第1防護カーテンユニット10の長手方向及び一対の第2防護カーテンユニット12の長手方向は、電柱100の長手方向に対してそれぞれ平行である。そして、第1防護カーテンユニット10、10から第1防護カーテン10a、10aを引き出し、第2防護カーテンユニット12、12から第2防護カーテン12a、12aを引き出して、所定部位に係合させることにより、変圧器110及び変圧器120の周りが、第1防護カーテン10a、10a及び第2防護カーテン12a、12aによって囲まれる。
【0025】
図2は、第1防護カーテンユニット10の構成を示す説明図であり、
図2(a)は第1防護カーテンユニット10の正面図、
図2(b)は第1防護カーテンユニット10の側面図、
図2(c)は、第1防護カーテンユニット10に係る固定板10fの正面図である。
【0026】
図2(a)、
図2(b)に示すように、第1防護カーテンユニット10は、第1防護カーテン10a、第1巻き取り軸10b、引き出し軸10c及び第1収納体10eを備えている。
【0027】
第1防護カーテン10aは、絶縁性部材からなり、網目を有する矩形のネット部材である。第1防護カーテン10aにおける一方の端部には、第1巻き取り軸10bが固定されている。第1防護カーテン10aの他方の端部には、四角柱状の引き出し軸10cが固定されている。
【0028】
第1収納体10eは、内部に第1巻き取り軸10bを回転自在に設置し、第1防護カーテン10aを第1巻き取り軸10bに巻き付けた状態で収納するものである。
【0029】
また、第1収納体10eは、固定板10f、軸受10g、10g及び第2カーテン支持部に相当するシャフト10hを備えている。固定板10fは、長手方向が第1巻き取り軸10bと略同じ長さの金属板であり、固定板10fの長手方向の両端部に軸受10g、10gが設置されている。
【0030】
軸受10g、10gは、第1巻き取り軸10bの両端部を回転自在に支持するものである。軸受10g、10gに、第1防護カーテン10aが巻かれた第1巻き取り軸10bの両端部を取り付けることにより、第1防護カーテン10aが第1収納体10eに引き出し自在に収納される。更に、軸受10g、10gは、シャフト10hの両端部を支持している。シャフト10hは、軸受10g、10gの外周部に設置されている。
【0031】
固定板10fの板面には、
図2(c)に示すように、長手方向に貫通孔30が並列して形成されており、固定板10fの板面の中央部及び両端部には固定板10fの長手方向に延びる長孔32が形成されている。長孔32は、ビス38(
図8(b)参照)の頭部38a(
図8(b)参照)が遊嵌可能な大きさの円孔部32aと、円孔部32aの上下の部位から固定板10fの長手方向に延びる長孔部32bとによって形成されている。ここで、長孔部32bの短手方向の幅は、ビス38(
図8(b)参照)の頭部38a(
図8(b)参照)より小さく、かつシャフト部38b(
図8(b)参照)が遊嵌可能に設定されている。また、固定板10fの板面において貫通孔30の縁部上にナット34が固定されている。このナット34は、第1防護カーテン10aを支持部14bに固定する際に用いるボルト36(
図8(c)参照)に螺合するものである。また、固定板10fにおける中央部の長孔32の上部近傍に取付部に相当する延在部10iが形成されている。この延在部10iは、固定板10fの長手方向に対して垂直方向でかつ固定板10fの両側から延在している。
【0032】
間接活線工具に第1防護カーテンユニット10を取り付ける場合には、間接活線工具によって延在部10iの下部を把持させる。そして、間接活線工具を持ち上げた際に、間接活線工具に延在部10iが当接することによって、間接活線工具から第1防護カーテンユニット10が落下することが防止される。ここで延在部10iから固定板10f中央の長孔32の中心までの距離は、当該長孔32にビス38(
図8(a)、(b)参照)を対向させた場合に、第1防護カーテンユニット10を保持している間接活線工具が、支持部14bの上部に位置するように設定されている。これにより、長孔32にビス38(
図8(a)、(b)参照)を遊嵌させる際に、間接活線工具が支持部14bに当たってしまうことが防止できる。
【0033】
図3は、第2防護カーテンユニット12の構成を示す説明図であり、
図3(a)は第2防護カーテンユニット12の正面図、
図3(b)は第2防護カーテンユニット12の側面図、
図3(c)は、第2防護カーテンユニット12に係る固定板12fの正面図である。
【0034】
図3(a)、
図3(b)に示すように、第2防護カーテンユニット12は、第2防護カーテン12a、第2巻き取り軸12b、引き出し軸12c及び第2収納体12eを備えている。
【0035】
第2防護カーテン12aは、第1防護カーテン10aと同一の素材からなる矩形のネット部材であり、長手方向の長さが第1防護カーテン10aよりも長く設定されている。第2防護カーテン12aにおける長手方向に対向する一方の端部には、第2巻き取り軸12bが固定されている。第2防護カーテン12aの他方の端部には、四角柱状の引き出し軸12cが固定されている。また、引き出し軸12cには、フック12hが固定されている。
【0036】
第2収納体12eは、内部に第2巻き取り軸12bを回転自在に設置し、第2防護カーテン12aを第2巻き取り軸12bに巻き付けた状態で収納するものである。
【0037】
また、第2収納体12eは、固定板12f及び軸受12g、12gを備えている。固定板12fは、長手方向が第2巻き取り軸12bと略同じ長さの金属板であり、固定板12fの長手方向の両端部に軸受12g、12gが設置されている。
【0038】
軸受12g、12gは、第2巻き取り軸12bの両端部を回転自在に支持するものである。軸受12g、12gに、第2防護カーテン12aが巻かれた第2巻き取り軸12bの両端部を取り付けることにより、第2防護カーテン12aが第2収納体12eに引き出し自在に収納される。
【0039】
固定板12fの板面には、
図3(c)に示すように、長手方向に貫通孔40が並列して形成されており、固定板12fの板面の中央部及び両端部には固定板12fの長手方向に延びる長孔42が形成されている。長孔42は、ビス48(
図9(b)参照)の頭部48a(
図9(b)参照)が遊嵌可能な大きさの円孔部42aと、円孔部42aの上下の部位から固定板12fの長手方向に延びる長孔部42bとによって形成されている。ここで、長孔部42bの短手方向の幅は、ビス48(
図9参照)の頭部48a(
図9(b)参照)より小さく、かつシャフト部48b(
図9(b)参照)が遊嵌可能に設定されている。また、固定板12fの板面において貫通孔40上にナット44が固定されている。このナット44は、第2防護カーテン12aを下部支持部16bに固定する際に用いるボルト46(
図9(c)参照)に螺合するものである。
【0040】
ここで、
図2、
図3に示す、第1巻き取り軸10bの長さと第2巻き取り軸12bの長さとは同じに設定されている。また、引き出し軸10cの長さと引き出し軸12cの長さとは同じに設定されている。また、第1防護カーテン10aにおける長手方向に対向する長辺の長さと、第2防護カーテン12aにおける長手方向に対向する長辺の長さとは同じであり、その長さは、変圧器110や変圧器120及びその周辺に配置されている引き出し線や碍子等を覆うことができる程度の長さに設定されている。また、固定板10fの長手方向の長さと固定板12fの長手方向の長さとは同じに設定されている。
【0041】
図4は、前方支持アーム14の取付構造を示す側面図である。
前方支持アーム14における固定部14aの一端部は、取付具22を介して腕金130に設置される。ここで、腕金130は、電柱100(
図1参照)に変圧器110(
図1参照)及び変圧器120(
図1参照)を設置するために装柱されるものであり、後方支持アーム18(
図1参照)が延びる方向に対して前方に垂直に延びている。また、固定部14aの他端部には、支持部14bの中央部が設置される。固定部14aと支持部14bとはツイストロック機構によって着脱自在に結合されている。このため、腕金130に取付具22を介して設置された固定部14aに対して、支持部14bを、所謂ホットスティックと称されている間接活線工具を用いて取り付けることが可能である。
【0042】
図5は、取付具22の構成を示す斜視図である。取付具22は、挿入部22aと、連結部22bと、スペーサ部22cと、固定部14aの下部を保持するシャフト24と、ボルト26及びナット28とを備えている。
【0043】
挿入部22aは、固定部14aを挿入する矩形の開口を有する四角筒の金属部材である。本実施形態においては、2つの挿入部22aが、固定部14aの挿入方向に沿って並列配置されている。ここで、固定部14aにおける挿入部22aに挿入する部分は、他の部分よりも若干細く形成されており、挿入部22aに固定部14aを挿入した場合に、挿入部22aの開口縁部に、固定部14aにおける挿入部分と他の部分との段差部分が当接する。
【0044】
連結部22bは、略矩形形状の板状の金属部材からなる。ここで、取付具22は、一対の連結部22bを備えている。一対の連結部22bは互いに対向しており、長手方向の両端部にそれぞれ挿入部22aが配置される。そして、挿入部22aは、一対の連結部22bによって両側面が挟まれた状態で、一対の連結部22bに固定される。また、連結部22bには、下方延在部22d及び一対の上方延在部22e、22eが形成されている。下方延在部22dは、連結部22bにおける長手方向に延びる一方の長辺の中央部から、長手方向に対して垂直方向に延びている。一対の上方延在部22e、22eは、連結部22bにおける長手方向に延びる他方の長辺の中央部と一端部との間、及び中央部と他端部との間から延びている。一対の上方延在部22e、22eの端部には、正方形の貫通孔22fが形成されている。一対の連結部22bにそれぞれ形成された下方延在部22d、22dにシャフト24の両端部が固定される。
【0045】
スペーサ部22cは、コ字状の金属部材であり、挿入部22aと腕金130との間に所定間隔の隙間を形成させるものである。スペーサ部22cのコ字状の先端部が、挿入部22aの上部、及び一対の連結部22bの長辺における二つの上方延在部22e、22eの間に固定されている。
【0046】
次に取付具22の設置方法について説明する。取付具22は、間接活線工具を用いて腕金130の先端部に下方から装着して、腕金130の下面にスペーサ部22cを当接させ、腕金130の上方に上方延在部22eの端部を延出させる。次に、互いに対応する上方延在部22e、22eの貫通孔22fにボルト26を挿入する。ここで、ボルト26には、ねじ山が形成されているシャフトと頭部との付け根部分に正方形の柱状部が形成されており、この柱状部が貫通孔22fに嵌合する。そして、ボルト26の端部にナット28を、間接活線工具を用いて螺合させることによって、取付具22が腕金130に設置される。このように、上方延在部22e、22e、ボルト26及びナット28は腕金固定部に相当する。
【0047】
取付具22が腕金130に設置された後、間接活線工具を用いて固定部14aを前側の挿入部22aに挿入し、スライドさせることによって後側の挿入部22aに挿入することにより、固定部14aが取付具22に設置される。そして、間接活線工具を用いて固定部14aに支持部14bを取り付け、T字型を形成させることにより、前方支持アーム14が腕金130に取付具22を介して設置される。
【0048】
なお、スペーサ部22cの高さは、挿入部22aを正面視した場合に、例えば、
図4中符号Dが示す部材のように、腕金130から取付具22側に突出した部材が、固定部14aに当接しない程度に設定されている。
【0049】
図6は、電柱100に設置した防護具1の側面図、
図7は、電柱100に設置した防護具1の正面図である。
図6に示すように、前方下部支持アーム16における下部固定部16aの一端部は、電柱100に固定される。ここで、下部固定部16aの一端部は、略直角三角形形状に形成されており、直角部分が上方に向けられている。これにより、下部固定部16aが下方に傾くことを防止することができる。また下部固定部16aの他端部には、下部支持部16bの中央部が設置される。下部固定部16aと下部支持部16bとはツイストロック機構によって着脱自在に結合されている。このため、下部支持部16bは、間接活線工具を用いて下部固定部16aに取り付けることが可能である。前方下部支持アーム16は、前方支持アーム14の下方に位置付けられ、下部支持部16bは、支持部14bの直下に位置付けられる。
【0050】
また、
図7に示すように、支持部14bは、正面中央部に一対の係合部14d、14dを備えている。下部支持部16bも同様に、正面中央部に一対の係合部16d、16dを備えている。係合部14d、16dは、第1防護カーテンユニット10から引き出された引き出し軸10cに係合し、引き出し軸10cを支持部14bの正面中央部に保持するものであり、第1カーテン支持部に相当する。
【0051】
そして、支持部14bと下部支持部16bとの両端部に第1防護カーテンユニット10が、それぞれ設置される。また、後方支持アーム18と後方下部支持アーム20との両端部に第2防護カーテンユニット12がそれぞれ設置される。
【0052】
図8は、支持部14b及び下部支持部16bへの第1防護カーテンユニット10の取付構造を示す説明図である。
【0053】
支持部14bの長手方向の両端部には、
図8(b)に示すように、支持部14bの前面から後面に向かって貫通する一対の挿入孔14c、14cが、上下方向に並んで形成されている。ここで、支持部14bの後面における下方の挿入孔14cの縁部にナット39が固定されている。そして、支持部14bの前方からビス38を挿入して、ビス38とナット39とを螺合させることにより、支持部14bにビス38が取り付けられる。この時、ビス38の頭部と支持部14bの面との間に、固定板10fの肉厚よりも若干大きい程度の間隙を設けておく。これにより、長孔32の円孔部32a(
図2(c)参照)にビス38の頭部を遊嵌した後、固定板10fを下方に降ろして、ビス38を長孔32の長孔部32b(
図2(c)参照)に係合させることが可能になる。また、
図8(c)に示すように、下部支持部16bの長手方向の両端部には、下部支持部16bの前面から後面に向かって貫通する一対の挿入孔16c、16cが上下方向に並んで形成されている。
【0054】
第1防護カーテンユニット10の取り付けの際には、まず、間接活線工具によって延在部10i(
図2(c)参照)の下部を把持させ、間接活線工具に第1防護カーテンユニット10を取り付ける。次に、間接活線工具を操作して第1防護カーテンユニット10を、支持部14b及び下部支持部16bの前方に位置付ける。次に、間接活線工具を後方に引いて、第1防護カーテンユニット10を移動させ、ビス38に、固定板10fの中央部の長孔32を遊嵌させる。そして、間接活線工具による把持状態を解除することにより、第1防護カーテンユニット10が自重によって下方に移動し、
図8(b)に示すように、ビス38が長孔32の上部に係合する。このように、ビス38は、ユニット支持部に相当し、長孔32は、ユニット係合部に相当する。これにより、
図8(a)に示すように、第1防護カーテンユニット10が支持部14bに設置される。
【0055】
本実施形態においては、一対の挿入孔16c、16c間の長さは、長孔32における円孔部32aの中心から長孔部の端部までの長さに設定されているため、ビス38が長孔32の上部に係合した場合に、下方の挿入孔16cが貫通孔30に対向する。そこで、
図8(c)に示すように、ボルト36を下部支持部16bの後方から挿入孔16c差し込み、回転させることで、ボルト36とナット34とを螺合させる。これにより、
図8(a)に示すように、第1防護カーテンユニット10が下部支持部16bに設置される。
【0056】
ここで、ビス38を長孔32の上部に係合させて、第1防護カーテンユニット10を支持部14bに設置した際に、下方の挿入孔16cが貫通孔30に対向していない場合には、第1防護カーテンユニット10を上方にずらすことにより、一対の挿入孔16cのいずれか一方と貫通孔30とを対向させる。この時、一対の挿入孔16c、16cの長さは、長孔32における円孔部32a(
図2(c)参照)の中心から長孔部の端部までの長さに設定されているため、ビス38と上方の長孔部32b(
図2(c)参照)との係合状態が維持される。
【0057】
なお、上述した第1防護カーテンユニット10の取付方法は一例であって、他の取付方法でもよい。例えば、下部支持部16bの両端部にビス38を固定し、このビス38に、下方の長孔32を遊嵌させ、支持部14bの挿入孔14cにボルト36を挿入して、ナット34に螺合させることによって、第1防護カーテンユニット10を支持部14b及び下部支持部16bに取り付けてもよい。
【0058】
このような作業によって、第1防護カーテンユニット10は、第1巻き取り軸10bの軸方向が電柱100の長手方向に対して平行になるように、間接活線工具を用いて支持部14b及び下部支持部16bに設置される。また、第1防護カーテンユニット10の設置作業は、長孔32にビス38を通すという作業と、挿入孔16cにボルト36を差し込んで回転させるという作業であるため、間接活線工具を用いて設置作業を行うことが可能である。
【0059】
図9は、後方支持アーム18及び後方下部支持アーム20への第2防護カーテンユニット12の取付構造を示す説明図である。後方支持アーム18の長手方向の両端部には、
図9(b)に示すように、後方支持アーム18の前面から後面に向かって貫通する一対の挿入孔18a、18aが上下方向に並んで形成されている。また、後方下部支持アーム20の長手方向の両端部には、
図9(c)に示すように、後方下部支持アーム20の前面から後面に向かって貫通する一対の挿入孔20a、20aが上下方向に並んで形成されている。
【0060】
第2防護カーテンユニット12の取り付けの際には、まず、挿入孔18aに、固定板12fにおける上方の長孔42を合わせるように、第2防護カーテンユニット12を後方支持アーム18に当接させる。次に、固定板12fの上方の長孔42にビス48を差し込み、後方支持アーム18に形成されている挿入孔18aに通し、後方支持アーム18の後面から突出したビス48の端部をナット49によって仮締めする。
【0061】
次に、第2防護カーテンユニット12を、上方の長孔42の長孔部42bの範囲内で上下させて、固定板10fに形成されているいずれかの貫通孔40と、後方下部支持アーム20に形成されている挿入孔20aとを合わせる。そして、後方下部支持アーム20の挿入孔20aにボルト46を差し込み、ボルト46の端部にナット44を螺合させることにより、ナット締めを行う。更に、上方の長孔42に差し込んだ仮締め状態のビス48においてもナット締めを行う。これにより、
図9(a)に示すように、第2防護カーテンユニット12が、第2巻き取り軸12bの軸方向が電柱100の長手方向に対して平行になるように、間接活線工具を用いて後方支持アーム18及び後方下部支持アーム20に設置される。
【0062】
なお、後方支持アーム18及び後方下部支持アーム20を電柱100に設置する作業、及び後方支持アーム18及び後方下部支持アーム20の両端部に第1防護カーテンユニット10を設置する作業は、柱上作業として作業員によって直接的に行われる。
【0063】
図10は、引き出し軸10cの支持部14b(16b)への取付構造を示す説明図である。係合部14d、16dは、
図10(a)に示すように、L字型の板状部材からなり、正面中央部から正面側に延在し更に上側に延在している。係合部14d、16dにおける上側に延在している板面には、ねじ孔14e、16eが形成されている。
【0064】
一方、引き出し軸10cは、四角柱状の中空部材によって形成され、引き出し軸10cの正面及び背面には、引き出し軸10cの長手方向に沿って並列するように複数の矩形の長孔50が形成されている。これら複数の長孔50がカーテン係合部に相当する。引き出し軸10cの正面に形成された長孔50と背面に形成された長孔50とは、互いに対向するように配置されている。また、長孔50は、係合部14d、16dが遊嵌可能な大きさに設定されている。
【0065】
そして、第1防護カーテンユニット10から引き出し軸10cを引き出した際に、
図10(b)に示すように、引き出し軸10cの長孔50に係合部14d、16dを遊嵌させ、
図10(c)に示すように、引き出し軸10cを降ろして、係合部14d、16dと長孔50の上縁とを係合させる。更に、
図10(a)、(c)に示すように、係合部14d又は係合部16dのいずれかに、座金52を介してボルト54を螺合する。
【0066】
ここで、座金52は、矩形の中央部と、当該中央部の両側部から、中央部に対して垂直に延びる側面部とからなるU字型の部材である。座金52における両側面部方向の中央部の幅は、引き出し軸10cにおける正面の横幅よりも若干大きく設定されている。また、座金52の中央部には、ボルト54が遊嵌する貫通孔52aが形成されている。
【0067】
例えば、
図10(a)に示すように、係合部14dにボルト54を螺合させる際には、ボルト54に座金52の貫通孔52aを通した状態で、ボルト54の先端を係合部14dに対向させ、ボルト54を回転させる。これにより、ボルト54が係合部14dに螺合するとともに、座金52の側面部が、引き出し軸10cの両側部に位置付けられ、座金52と係合部14dとによって引き出し軸10cが把持される。これにより、引き出し軸10cが支持部14b及び下部支持部16bの正面中央部に保持され、強風等で容易に外れないように固定される。
【0068】
次に、
図7、
図8を参照しながら、電柱100に防護具1を設置する工程について説明する。まず、電柱100に後方支持アーム18を設置し、次に、後方下部支持アーム20を設置する。次に、後方支持アーム18と後方下部支持アーム20との両側部に、一対の第2防護カーテンユニット12を設置する。次に、電柱100に前方下部支持アーム16の下部固定部16aの一端部を設置する。ここまでは、作業員による柱上作業によって行われる。次からの工程は、間接活線工具を用いて行われる。まず、腕金130に取付具22を設置し、この取付具22に前方支持アーム14の固定部14aの一端部を設置する。次に、固定部14aの他端部に、支持部14bを設置する。次に、下部固定部16aの他端部に下部支持部16bを設置する。次に、前方支持アーム14の支持部14bと前方下部支持アーム16の下部支持部16bとの両側部に、一対の第1防護カーテンユニット10を設置する。ここまでの工程により、
図7、
図8に示すように、防護具1が電柱100に設置される。
【0069】
次に、間接活線工具を用いて、
図11の括弧内の数字に示す順番に、第1防護カーテン10a、第2防護カーテン12aを引き出し、変圧器110及び変圧器120の周囲を第1防護カーテン10a、第2防護カーテンで囲む作業を行う。
【0070】
具体的には、まず、片方の第2防護カーテンユニット12の引き出し軸12cを引っ張り、フック12h(
図3参照)を、第2防護カーテンユニット12の前方に位置する第1防護カーテンユニット10のシャフト10hに係合する。これにより、
図12に示すように、変圧器110及び変圧器120の側部が第2防護カーテン12aによって覆われる。同様の作業をもう片方の第2防護カーテンユニット12に対して行う。
【0071】
次に、片方の第1防護カーテンユニット10の引き出し軸10cを引っ張り、引き出し軸10cを係合部14d、16dに係合する。同様の作業をもう片方の第1防護カーテンユニット10に対して行う。これにより、
図13に示すように、変圧器110及び変圧器120の前方が第1防護カーテン10aによって覆われる。
【0072】
その結果、
図1に示すように、変圧器110及び変圧器120の周りが第1防護カーテン10a及び第2防護カーテン12aによって覆われ、作業員が変圧器110や変圧器120等の充電部に触れてしまうことを確実に防止することが可能になり、感電事故等を防止することが可能になる。
【0073】
以上説明したように構成された本実施形態によれば、前方支持アーム14の支持部14bに第1防護カーテン10aを取り付け、前方支持アーム14の両端部と後方支持アーム18の両端部に第2防護カーテン12aを取り付けることにより、変圧器110の周りを囲むように防護カーテンが配置される。更に、電柱100から離れた位置にある前方支持アーム14の支持部14bには、間接活線工具を用いて第1防護カーテンユニット10の取付及び第1防護カーテン10aの引き出しを行うことができる。このため、第1防護カーテン10aを取り付ける作業を行う作業員の安全性が向上する。
【0074】
また、本実施形態によれば、間接活線工具を用いて腕金に取付具22を設置し、更に、前方支持アーム14の固定部14aを挿入部22aにスライドさせながら挿入することによって、取付具22を介して腕金130に前方支持アーム14が設置される。このため、間接活線工具を用いて、腕金130に前方支持アーム14の固定部14aを設置することが可能になる。
【0075】
また、本実施形態によれば、巻かれた状態の第1防護カーテン10a及び第2防護カーテン12aを、前方支持アーム14の両端部及び後方支持アーム18の両端部に設置し、第1防護カーテン10a及び第2防護カーテン12aを引き出して、所定位置に係合させることにより、変圧器110、120の周囲を第1防護カーテン10a及び第2防護カーテン12aで覆う。これにより、間接活線工具を用いて、変圧器110、120の周囲を第1防護カーテン10a及び第2防護カーテン12aで覆う作業を容易に行うことが可能になる。
【0076】
また、本実施形態によれば、腕金130に取付具22を設置する工程と、取付具22に固定部14aを設置する工程と、第1防護カーテンユニット10を支持部14bに取り付ける工程と、第1防護カーテン10aを引き出して支持部14bの所定部位に取り付ける工程と、第2防護カーテン12aを引き出して第1防護カーテンユニット10の所定部位に取り付ける工程とを、間接活線工具を用いて行うため、防護カーテンを取り付ける作業を行う作業員の安全性が向上する。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限るものではない。例えば、第1防護カーテンユニット10の第1巻き取り軸10b、及び第2防護カーテンユニット12の第2巻き取り軸12bを手動で回転させるハンドルを設け、第1防護カーテン10aあるいは第2防護カーテン12aの巻き取りを可能にしてもよい。また、ハンドルの代わりに、自動巻き取り機構を軸受10g、12gに設けてもよい。
【0078】
また、前述した実施形態によれば、第2防護カーテンユニット12の本体から引き出された引き出し軸12cを保持するために、フック12hをシャフト10hに係合させているが、引き出し軸12cを保持するための構成はそれに限るものではない。また、第1防護カーテンユニット10の本体から引き出された引き出し軸10cを保持するために、支持部14b及び下部支持部16bの正面中央部にL字状の係合部14d、16dを設けているが、引き出し軸10cを保持するための構成はそれに限るものではない。